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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231121BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20231121BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G03G21/00 312
G03G15/16
G03G15/00 303
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020010906
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117361
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸征
(72)【発明者】
【氏名】古川 利郎
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-89422(JP,A)
【文献】特開2010-134263(JP,A)
【文献】米国特許第5530521(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/04
G03G 21/10-21/12
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送ベルトを有し、感光体に形成された現像剤像を前記シートに転写する転写部と、
前記搬送ベルトに付着した付着物を吸引するための吸引電圧が生じており、吸引された前記付着物を回収する回収部材と、
前記回収部材に、前記吸引電圧を生じさせるためのクリーニング電圧を供給するクリーニング電圧供給部と、
第1接点を有し、前記回収部材によって回収された前記付着物を収容する収容体と、
前記第1接点と接続する第2接点を有し、前記収容体が着脱可能に装着される装着部と、
前記第1接点に第1端側で接続されており、前記収容体内の前記付着物の量が所定量よりも多い場合に、閉状態から開状態へと変化するスイッチと、
前記吸引電圧を、前記スイッチの第2端側に供給する吸引電圧供給部と、
前記第2接点に接続されており、前記第2接点の電圧に基づいて検出信号を生成する検出信号生成部と、
前記検出信号に基づいて、前記収容体内の前記付着物の量が前記所定量よりも多いか否かを判定する判定部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記クリーニング電圧供給部は、前記回収部材に流れる電流を制御すべく前記クリーニング電圧を調整する定電流制御を行い、
前記吸引電圧供給部は、
前記スイッチの第2端側に接続されており、前記吸引電圧に基づく高電圧を発生させる高電圧発生部を有し、
前記スイッチが閉状態である場合に、前記高電圧を前記スイッチの第1端側に供給する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回収部材は、
第1ローラと、
前記第1ローラとの間で、前記搬送ベルトを挟んだ状態で、互いの外周面が対向するように位置する第2ローラと、
前記第2ローラとの間で、互いの外周面が対向するように位置する第3ローラと、
により構成されており、
前記吸引電圧供給部は、前記第2ローラと前記スイッチの第2端側とを接続する接続線である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記スイッチが開状態である場合に、前記吸引電圧供給部により供給された前記吸引電圧をグランドに流すバイパス部を備える請求項1~3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収部材に前記搬送ベルトの前記付着物を回収させるクリーニング動作を行わせるクリーニング動作実行部を備え、
前記クリーニング電圧供給部は、
前記クリーニング動作中は、前記回収部材に流れる電流が第1電流値となるように定電流制御を行い、
前記クリーニング動作後又は前記クリーニング動作前の判定期間に、前記回収部材に流れる電流の絶対値が前記第1電流値よりも大きな第2電流値となるように定電流制御を行う請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーなどの現像剤によって画像形成を行う画像形成装置において、現像剤および紙粉などの付着物を回収する収容体が付着物で満杯になっていることを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄するトナーを収容する廃トナーボックスと、廃トナーボックスが満杯になったことを検知する満杯検知スイッチを備えた画像係止装置が知られている(特許文献1)。満杯検知スイッチの一端側は、廃トナーボックスの側面壁に設けられた電極に接続され、他端側は廃トナーボックスの側面壁に設けられた電極に接続されている。電極は、廃トナーボックスの外周壁に取り付けられており、ベルトクリーナを本体フレームの取り付け位置に装着すると、本体フレームに設けられた電極に対して、廃トナーボックス側の電極が接触する。そして、本体フレームに設けられた電極の電圧を検出することで、廃トナーボックスが満杯か否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-089422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本願発明者らは、電極が形成されている基板がメッキされていることに着目し、画像を形成するときの画像形成装置の振動が、電極間の接触部分に与える影響について考えた。画像形成装置が振動すると、電極間の接触部分が擦れ合い、その接触部分における電極のメッキが剥がれる可能性がある。そして、電極のメッキが剥がれると、電極間の接触抵抗の上昇により電圧が上昇し、廃トナーボックスが満杯でないにも関わらず、廃トナーボックスが満杯であると誤検知することがあり得ることが分かった。
【0005】
そこで、本発明は、収容体が付着物によって満杯であると誤検知し難い技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様では、シートを搬送する搬送ベルトを有し、感光体に形成された現像剤像をシートに転写する転写部と、搬送ベルトに付着した付着物を吸引するための吸引電圧が生じており、吸引された付着物を回収する回収部材と、回収部材に、吸引電圧を生じさせるためのクリーニング電圧を供給するクリーニング電圧供給部と、第1接点を有し、回収部材によって回収された付着物を収容する収容体と、第1接点と接続する第2接点を有し、収容体が着脱可能に装着される装着部とを備える画像形成装置に関する。画像形成装置は、第1接点に第1端側で接続されており、収容体内の付着物の量が所定量よりも多い場合に、閉状態から開状態へと変化するスイッチと、吸引電圧を、スイッチの第2端側に供給する吸引電圧供給部と、第2接点に接続されており、第2接点の電圧に基づいて検出信号を生成する検出信号生成部と、検出信号に基づいて、収容体内の付着物の量が所定量よりも多いか否かを判定する判定部と、を備える。
【0007】
一般的に、回収部材に生じる吸引電圧は、正側又は負側に高い電圧である。そこで、上記構成では、回収部材に生じる吸引電圧がスイッチの第2端側に供給される。このため、第1接点と第2接点との間に錆等が生じている場合でも、スイッチが閉状態であれば、第1接点には高電圧の吸引電圧が印加されるため、第1接点と第2接点との間の接点不良を生じにくくすることができる。これにより、収容体が付着物によって満杯であると誤検知されるのを抑制することができる。
【0008】
本発明の一態様では、クリーニング電圧供給部は、回収部材に流れる電流を制御すべくクリーニング電圧を調整する定電流制御を行い、吸引電圧供給部は、スイッチの第2端側と回収部材との間に接続されており、吸引電圧に基づく高電圧を発生させる高電圧発生部を有し、スイッチが閉状態である場合に、高電圧をスイッチの第1端側に供給する。上記構成では、定電流制御により制御された電流が高電圧発生部に流れ、高電圧を発生する。この高電圧がスイッチを介して第1接点に供給される。これにより、検出信号生成部には、定電流制御された電流により電圧が安定した高電圧が供給されるため、第1接点と第2接点との間の接点不良を、いっそう生じにくくすることができる。
【0009】
本発明の一態様では、回収部材は、第1ローラと、第1ローラとの間で、前記搬送ベルトを挟んだ状態で、互いの外周面が対向するように位置する第2ローラと、第2ローラとの間で、互いの外周面が対向するように位置する第3ローラと、により構成されており、吸引電圧供給部は、第2ローラとスイッチの第2端側とを接続する接続線である。上記構成では、吸引電圧を接続線によりスイッチの第2端側に供給することができるため、収容体内の付着物の量が所定量よりも多いか否かを判定するのに要する回路の大型化を防止することができる。
【0010】
本発明の一態様では、スイッチが開状態である場合に、吸引電圧供給部により供給された吸引電圧をグランドに流すバイパス部を備える。上記構成では、スイッチが開状態である場合に、吸引電圧が画像形成装置内の回路に流れ込むことにより、回路の動作が不安定になることを防止することができる。
【0011】
本発明の一態様では、回収部材に搬送ベルトの付着物を回収させるクリーニング動作を行わせるクリーニング動作実行部を備え、クリーニング電圧供給部は、クリーニング動作中は、回収部材に流れる電流が第1電流値となるように定電流制御を行い、クリーニング動作後又はクリーニング動作前の定期間に、回収部材に流れる電流の絶対値が第1電流値よりも大きな第2電流値となるように定電流制御を行う。一般的に、クリーニング動作が実行されることにより、収容体内の付着物が顕著に増加する。上記構成では、クリーニング動作後又はクリーニング動作前の判定期間において、回収部材に流れる電流の絶対値がクリーニング動作中に流れる第1電流値よりも大きな第2電流値となるように定電流制御が行われる。これにより、判定期間では、スイッチが開状態である場合の検出信号と、スイッチが閉状態である場合の検出信号の値とが大きく異なるため、収容体内の付着物の量が所定量よりも多いか否かを精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤などの付着物を収容する収容体が付着物によって満杯であると誤検知しにくい技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るレーザプリンタの縦断面構造の概略を示す図である。
図2】廃トナー状態検知処理を行うための各部を説明する図。
図3】クリーニング動作及び廃トナー状態検知処理の手順を説明するフローチャート。
図4】クリーニング動作及び廃トナー状態検知処理を説明するタイミングチャート。
図5】第2実施形態に係る廃トナー状態検知処理を行うための各部を説明する図。
図6】第3実施形態に係る廃トナー状態検知処理を行うための各部を説明する図。
図7】第4実施形態に係る廃トナー状態検知処理を行うための各部を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明の実施形態に係る画像形成装置について、レーザプリンタを例に説明する。
【0015】
<レーザプリンタの概略構成>
図1は、レーザプリンタ1を側方から見た場合の内部断面図であり、図面上の右側を前、左側を後とし、手前側を左、奥側を右とした図である。なお、図1において図面上の上側を上とし、下側を下としている。
【0016】
レーザプリンタ1は、給紙部10と、画像形成部20と、各部を収容する筐体2とを備えている。筐体2の前面にはフロントカバー2aが、後面にはリアカバー2bがそれぞれ開閉可能に設けられている。また、筐体2の上面には、操作パネル6と、排紙トレイ5とが設けられている。筐体2の内部には、給紙部10と、画像形成部20とが設けられている。操作パネル6は、印刷機能、設定メニュー、各色トナーの残量、紙詰まりの発生などを表示する他、廃トナーBOX71の交換、ワイヤの清掃を促すメッセージなどを表示する。また、操作パネル6は、印刷機能の選択や各種の設定を行う際の操作ボタンの役割をする。操作パネル6としては、液晶表示パネルまたは有機ELパネルの表面にタッチセンサが設けられたものを用いることができる。操作パネル6は、報知装置の一例である。
【0017】
給紙部10は、シートPを画像形成部20に給紙する部分である。シートPの定義には、紙製のシートの他、合成樹脂製のシートなど、現像剤像を転写可能なシートを含む。給紙部10は、給紙トレイ11と、給紙ローラ12と、搬送ローラ14と、レジストローラ15とを備える。給紙トレイ11は、筐体2の下方に着脱可能に装着されており、複数のシートPを積層可能な状態で収容する。給紙トレイ11は、A4サイズのシートやB5サイズのシートなど、シート搬送方向の全長が異なる種々のシートPを収容可能に構成されている。給紙ローラ12は、給紙モータ(図示せず)によって回転駆動され、給紙トレイ11に収容されている最上部のシートPを搬送ローラ14の方に搬送する。搬送ローラ14は、給紙ローラ12によって搬送されたシートPを挾持しながらレジストローラ15へ搬送する。レジストローラ15は、搬送ローラ14から搬送されたシートPを挾持しながら画像形成部20へ搬送する。搬送ローラ14およびレジストローラ15は、それぞれレジストモータ(図示せず)によって回転駆動される。
【0018】
画像形成部20は、筐体2の内部に配置されており、ドラムユニット3と、露光部40と、転写部50と、定着部60とを備える。露光部40は、筐体2内部の上方に配置されており、図示しないレーザ光源およびポリゴンミラーなどを備える。ドラムユニット3は、4つのプロセスカートリッジ30を備える。各プロセスカートリッジ30は、それぞれ構造は同じであり、前方に配置されたプロセスカートリッジ30から順に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーが収容されている。ドラムユニット3は、フロントカバー2aを介して着脱可能に収容されている。転写部50においてシートPが紙詰まり(ジャム)した場合は、フロントカバー2aを開放し、ドラムユニット3を前方へ引出すことにより、紙詰まり箇所にアクセス可能になっている。
【0019】
プロセスカートリッジ30の構成について説明する。プロセスカートリッジ30は、感光ドラム31と、帯電器32と、トナーカートリッジ33とを備える。トナーカートリッジ33は、トナー収容室33aと、供給ローラ33bと、現像ローラ33fと、層厚規制ブレード33dと、アジテータ33eとを備える。トナー収容室33aには、現像剤であるトナーが収容されている。アジテータ33eは、トナー収容室33aに収容されたトナーを撹拌する。この撹拌により、トナーは正帯電する。供給ローラ33bは、トナー収容室33a内のトナーを現像ローラ33fの周面に供給する。現像ローラ33fの周面に供給されたトナーは、層厚規制ブレード33dによって所定の厚さに調整される。現像ローラ33fを軸支するローラ軸(図示せず)には、現像電圧印加回路(図示せず)により、正の現像電圧が印加される。
【0020】
現像ローラ33fと対向して感光ドラム31が設けられており、感光ドラム31の周面近傍に帯電器32が設けられている。帯電器32は、ワイヤと、グリッド電極とを有するスコロトロン型の帯電器である。帯電電圧がワイヤに印加されると、感光ドラム31との間に電位差が形成され、ワイヤと感光ドラム31との間にコロナ放電が発生し、感光ドラム31の表面が正帯電される。露光部40は、印刷データに対応したレーザ光を感光ドラム31の周面に出射する。感光ドラム31の周面のうち、レーザ光が照射された領域の電位が低下し、その電位が低下した領域に静電潜像が形成される。つまり、感光ドラム31の表面が露光される。現像ローラ33fと、感光ドラム31に形成された静電潜像との間に電位差が形成され、現像ローラ33fに供給されたトナーが感光ドラム31の静電潜像に移動し、その静電潜像の領域にトナーが担持され、現像剤像が担持される。つまり、現像される。
【0021】
そして、転写ローラ55に負極性の転写電流が出力(負極性の転写電圧が印加)されると、感光ドラム31と搬送ベルト53とによってニップされたシートPに、感光ドラム31の現像剤像がシートPに転写される。つまり、印刷される。供給ローラ33bおよび現像ローラ33fは、それぞれプロセスモータ(図示せず)によって回転駆動される。感光ドラム31と対向してクリーニングローラ35が設けられている。クリーニングローラ35は、感光ドラム31を押圧し、感光ドラム31の回転に伴って感光ドラム31の周面をクリーニングする。
【0022】
転写部50は、ベルトユニットとも呼ばれ、給紙部10よりも上方であって、ドラムユニット3よりも下方に配置されている。転写部50は、駆動ローラ51と、従動ローラ52と、搬送ベルト53と、4個の転写ローラ55とを備える。駆動ローラ51は、プロセスカートリッジ30の後端下方に配置されており、従動ローラ52は、プロセスカートリッジ30の前端下方に配置されている。搬送ベルト53は、ベルトを環状にして構成された無端ベルトであり、駆動ローラ51と従動ローラ52との間に掛け渡されている。駆動ローラ51は、搬送モータ(図示せず)によって回転駆動される。
【0023】
定着部60は、相互に対向する定着ローラ61および加圧ローラ62を備える。転写部50から定着部60に搬送されたシートPは、定着ローラ61および加圧ローラ62によって押圧され、シートPに転写された現像剤像は、定着ローラ61による加熱と、加圧ローラ62による加圧とによってシートPに熱定着される。定着ローラ61には、定着ヒータ(図示せず)が内蔵されており、その定着ヒータによって定着ローラ61が所定温度に加熱される。定着ローラ61は、定着モータ(図示せず)によって回転駆動される。定着部60を通過した(抜けた)シートPは、定着部60の上方に設けられた排紙ローラ67によって、筐体2の上面に設けられた排紙トレイ5に排出される。排紙ローラ67は、排紙モータ(図示せず)によって回転駆動される。排紙トレイ5は、排出されたシートPを積層して収容可能に形成されている。
【0024】
次に、搬送ベルト53に付着したトナーおよび紙粉などの付着物を回収することにより、搬送ベルト53をクリーニングするクリーニング動作について説明する。レーザプリンタ1は、クリーニング動作を実行するためのクリーニング機構70を備えている。クリーニング機構70は、廃トナーBOX71と、バックアップローラ72と、クリーニングローラ73と、回収ローラ74と、剥離ブレード75とを備えている。クリーニングローラ73および回収ローラ74は、それぞれ廃トナーBOX71の左右方向にて相対向する各側壁にそれぞれ軸支されており、廃トナーBOX71と共に着脱可能に構成されている。各感光ドラム31の外周面に付着したトナーや紙粉などの付着物の多くは、搬送ベルト53に移動するため、搬送ベルト53に付着した付着物を除去すると、各感光ドラム31の外周面に付着している付着物が、搬送ベルト53によって除去される。つまり、搬送ベルト53をクリーニングすることにより、各感光ドラム31をクリーニングすることができる。廃トナーBOX71が収容体の一例であり、クリーニングローラ73、回収ローラ74および剥離ブレード75の少なくとも何れか1つは、回収部材の一例である。
【0025】
廃トナーBOX71は、搬送ベルト53から除去された付着物を収容する。廃トナーBOX71は、合成樹脂により、平面視、扁平の箱状に形成されている。廃トナーBOX71は、搬送ベルト53の下部と、給紙トレイ11の上部との間に配置されており、筐体2の内側に設けられた装着部2cに着脱可能に装着されている。たとえば、装着部2cは、筐体2の内側において左右方向にて相対向して配置された一対のフレーム、または、一対のステー、または、一対のアッセンブリなどであり、廃トナーBOX71の左右方向にて相対向する側壁が、各装着部2cに着脱可能に装着されている。図1では、一方の装着部2cのみが図示されており、その装着部2cと相対向して設けられた他方の装着部は図示されていない。フロントカバー2aを開放してドラムユニット3を前方へ引出すと、転写部50を前方へ引出すことができる状態となり、転写部50を前方へ引出すと、廃トナーBOX71を装着部2cから外して前方へ取り出すことができる。
【0026】
廃トナーBOX71の天板76には、開口部76aが形成されている。また、図2に示すように、廃トナーBOX71を構成する壁には、第1電極D1と、第2電極D2と、第3電極D3とが設けられている。第1電極D1は、廃トナーBOX71が装着される装着部2c(図1)に設けられた装着部側第1電極21と接離可能に電気的に接続されている。装着部側第1電極21は、コイルスプリングなどの付勢部材(図示省略)によって第1電極D1を付勢している。第2電極D2は、装着部2cに設けられた装着部側第2電極22と接離可能に電気的に接続されており、第3電極D3は、装着部2cに設けられた装着部側第3電極23と接離可能に電気的に接続されている。第1電極D1は、第1接点の一例であり、装着部側第1電極21は、第2接点の一例である。
【0027】
クリーニングローラ73は、円柱形状であり、回転軸の延びる方向を搬送ベルト53の幅方向に向けた状態で、廃トナーBOX71内に回転可能に配置されている。具体的には、クリーニングローラ73は、搬送ベルト53の下方であって廃トナーBOX71の開口部76aに配置されており、その周面を開口部76aから上方へ露出させている。クリーニングローラ73の周面は、搬送ベルト53の外周面と接触しており、その接触部分において搬送ベルト53とは反対方向に回転する。クリーニングローラ73は、金属性の本体と、この本体の外周面を覆う弾性層とを有している。弾性層は、たとえば、シリコーンからなる発泡材により形成されている。
【0028】
バックアップローラ72は、円柱形状であり、回転軸の延びる方向を搬送ベルト53の幅方向に向けた状態で、クリーニングローラ73と対向するようにして搬送ベルト53の内側に配置されている。バックアップローラ72の周面は、搬送ベルト53の内周面と接触しており、その接触部分において搬送ベルト53と同じ方向に回転する。バックアップローラ72は、金属により形成されている。
【0029】
回収ローラ74は、円筒形状であって、回転軸の延びる方向を搬送ベルト53の幅方向に向けた状態で、廃トナーBOX71内に回転可能に配置されている。回収ローラ74の回転軸は、クリーニングローラ73の回転軸と相対向しており、外周面がクリーニングローラ73の外周面と接触している。回収ローラ74は、廃トナーBOX71の内部において、その回転軸が、クリーニングローラ73の回転軸よりも下方、かつ後方に配置されている。回収ローラ74は、クリーニングローラ73とは逆方向に回転する。回収ローラ74は、金属により形成されている。
【0030】
クリーニングローラ73は、接続線L3により、第3電極D3に接続されている。回収ローラ74は、接続線L2により、第2電極D2に接続されている。第2電極D2に接続された装着部側第2電極22は、シグナルグランドSGに接続されている。バックアップローラ72が第1ローラの一例であり、クリーニングローラ73が第2ローラの一例であり、回収ローラ74が第3ローラの一例である。
【0031】
装着部側第2電極22と装着部側第3電極23とは、2つのツェナーダイオードZ1,Z2の直列接続体により接続されている。具体的には、ツェナーダイオードZ1のアノードは、装着部側第2電極22とシグナルグランドSGに接続されている。ツェナーダイオードZ1のカソードは、ツェナーダイオードZ2のアノードに接続されている。ツェナーダイオードZ2のカソードは、装着部側第3電極23に接続されている。
【0032】
廃トナーBOX71の天板76には、回収ローラ74の外周面に付着した付着物を剥離するための剥離ブレード75が設けられている。剥離ブレード75の基端は、廃トナーBOX71の天板76のうち、回収ローラ74よりも後方の部分に配置されている。剥離ブレード75の先端は、回収ローラ74の下方に配置されており、回収ローラ74の外周面と接触している。剥離ブレード75は、薄板状に形成されており、可撓性を有する。剥離ブレード75は、たとえば、軟質ウレタンなどの合成樹脂により形成されている。剥離ブレード75の先端は、回収ローラ74の外周面に付勢されており、回収ローラ74の外周面に付着したトナーおよび紙粉などの付着物は、剥離ブレード75の先端によって掻き落とされ、その掻き落とされた付着物は、廃トナーBOX71の内部に落下する。廃トナーBOX71の内部に落下した付着物は、廃トナーBOX71の前方から後方に向けて徐々に堆積する。
【0033】
バックアップローラ72には、接続線L4を通じてクリーニング電圧供給部77が接続されている。クリーニング電圧供給部77は、バックアップローラ72に供給するクリーニング電圧BCLNを生成する回路である。クリーニング電圧供給部77は、バックアップローラ72と、電源78のプラス端子との間に接続されている。本実施形態では、クリーニング電圧供給部77は、スイッチング素子、及びスイッチング素子のデューティを制御するコントローラを備える昇圧回路であり、電源78から供給される正極性の24V電圧を昇圧してバックアップローラ72に正極性のクリーニング電圧BCLNを供給する。また、クリーニング電圧供給部77は、各ローラ72,73,74に流れるクリーニング電流を制御すべく、クリーニング電圧BCLNを調整する定電流制御を行う。本実施形態では、クリーニング電圧供給部77は、回収ローラ74に流れる電流を検出電流として検出し、この検出電流が指令電流に近づくように、クリーニング電圧BCLNを調整する。
【0034】
クリーニング電圧供給部77により、バックアップローラ72にクリーニング電圧BCLNが印加されると、各ローラ72,73,74にクリーニング電流が流れ、吸引電圧が生じる。本実施形態では、バックアップローラ72、クリーニングローラ73、回収ローラ74の順序で、電位が低くなる。そのため、搬送ベルト53に付着しているトナーや紙粉等の付着物がクリーニングローラ73に電気的に吸引される。また、クリーニングローラ73に付着した付着物は、回収ローラ74に電気的に吸引される。回収ローラ74に付着したトナーは、剥離ブレード75によって掻き落とされ、廃トナーBOX71に収容される。
【0035】
次に、廃トナーBOX71に収容された付着物が満杯になったことを検出する廃トナー状態検知処理に関する構成を説明する。図2に示すように、レーザプリンタ1は、検出スイッチSWと、基板90と、制御部80とを備えている。
【0036】
検出スイッチSWは、廃トナーBOX71が付着物で満杯になった場合に、閉状態から開状態に変化する。本実施形態では、検出スイッチSWは、廃トナーBOX71内に収容されており、第1端が第1電極D1に接続されており、第2端が接触抵抗R4を介して第2電極D2に接続されている。検出スイッチSWは、1組のスイッチ電極と、スイッチ電極間の接点を閉状態とする付勢姿勢、及び接点を開状態とする開放姿勢との間で変化するスイッチカムとを有している。廃トナーBOX71が付着物で満杯でない場合、スイッチカムが付勢姿勢を維持することにより、スイッチ電極間の接点を閉状態(即ち、検出スイッチSWの閉状態)とする。一方、廃トナーBOX71が付着物で満杯となる場合、スイッチカムが開放姿勢となることにより、スイッチ電極間の接点を開状態(即ち、検出スイッチSWの開状態)とする。
【0037】
基板90は、給紙部10及び画像形成部20が有する電気的負荷に供給する電圧を生成する回路が実装されている。また、基板90は、廃トナー状態検知処理に関する部位として、高電圧発生部91と、検出信号生成部92が実装されている。なお、基板90は、上述したクリーニング電圧供給部77が実装されていてもよい。
【0038】
高電圧発生部91は、検出スイッチSWの第2端側に印加される高電圧Vhを発生させる。本実施形態では、高電圧発生部91はツェナーダイオードZ3を有している。ツェナーダイオードZ3のカソードは、第2電極D2及び装着部側第2電極22を介して、回収ローラ74に接続された接続線L2に接続されており、アノードはシグナルグランドSGに接続されている。具体的には、ツェナーダイオードZ3は、装着部側第2電極22とシグナルグランドSGとを接続する接続線L5上において、ツェナーダイオードZ1のアノードの接続点とシグナルグランドSGとの間に直列接続されている。バックアップローラ72にクリーニング電圧BCLNが印加されている状態では、高電圧発生部91は、回収ローラ74の吸引電圧により、ツェナーダイオードZ3に電流が流れ高電圧Vhを発生させる。本実施形態では、接続線L2及び高電圧発生部91が吸引電圧供給部の一例である。なお、高電圧発生部91は、ツェナーダイオードZ3に代えて抵抗を有していてもよいし、ツェナーダイオードZ3と抵抗とを共に有していてもよい。
【0039】
検出信号生成部92は、装着部側第1電極21に接続されており、第1電極D1及び装着部側第1電極21に生じる高電圧Vhを用いて、検出信号FBを生成する。検出信号生成部92は、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、及びコンデンサC1を有している。第2抵抗R2の一端は、装着部側第1電極21に接続されている。第2抵抗R2の他端は、第1抵抗R1の一端に接続されており、第1抵抗R1と第2抵抗R2とは直列接続体を構成している。第2抵抗R2の抵抗値は、第1抵抗R1の抵抗値よりも十分に大きな値である。第3抵抗R3は、第1抵抗R1と第2抵抗R2との接続点に一端が接続され、他端は接続線L1に接続されている。コンデンサC1は、一端が接続線L1に接続され、他端がシグナルグランドSGに接続されている。上記構成の検出信号生成部92では、装着部側第1電極21の高電圧Vhは、分圧比(R1/(R1+R2))に応じて分圧され、検出信号FBとして第3抵抗R3の他端から出力される。このとき、第2抵抗R2の抵抗値は、第1抵抗R1の抵抗値よりも十分に大きいため、検出信号FBは、装着部側第1電極21の高電圧Vhよりも小さな値となる。
【0040】
制御部80は、CPU81と、記憶部82とを備えている。記憶部82には、制御部80が廃トナー状態検知処理を実行するためのコンピュータプログラム83が記憶されている。制御部80の入力ポートP1は、検出信号生成部92の第3抵抗R3に接続された接続線L1に接続されている。廃トナーBOX71が付着物で満杯になっていない場合、検出スイッチSWが閉状態であるため、高電圧発生部91に生じた高電圧Vhを分圧比により分圧した検出信号FBが制御部80の入力ポートP1に生じる。一方、廃トナーBOX71が付着物で満杯になると、検出スイッチSWが閉状態から開状態へと変化する。このため、第1電極D1及び装着部側第1電極21には、高電圧Vhが生じず、制御部80の入力ポートP1の電圧が0V付近まで低下する。つまり、制御部80は、入力ポートP1の電圧に基づいて、廃トナーBOX71が付着物で満杯になっているか否かを判断することができる。制御部80は、検出信号FBが、廃トナーBOX71が付着物で満杯になったことを示す電圧になると、廃トナーBOX71が付着物で満杯になったことを報知する。たとえば、操作パネル6に「収容体が満杯になりました。」というメッセージを表示することにより、廃トナーBOX71が付着物で満杯になったことを報知する。
【0041】
なお、検出スイッチSWが開状態である場合、高電圧発生部91に生じる高電圧Vhは接続線L5に接続されたシグナルグランドSGを通じて低下する。本実施形態では、ツェナーダイオードZ3及び接続線L5がバイパス部の一例である。
【0042】
<廃トナー状態検知処理>
次に、制御部80が実行する廃トナー状態検知処理について図3を用いて説明する。図3の処理は、例えば、所定周期で制御部80により実行される処理であるため、主体の記載を省略する。
【0043】
ステップS11において、レーザプリンタ1が起動しているか否かを判断する。レーザプリンタ1が起動していないと判断した場合、図3の処理を一旦終了する。一方、ステップS11で、レーザプリンタ1が起動していると判断すると、ステップS12では、クリーニング動作の開始タイミングであるか否かを判断する。クリーニング動作の開始タイミングではないと判断した場合、図3の処理を一旦終了する。
【0044】
ステップS12において、クリーニング動作の開始タイミングであると判断すると、ステップS13でクリーニング動作を実行する。具体的には、クリーニング電圧供給部77に、クリーニング電圧BCLNをバックアップローラ72に印加させる。本実施形態では、クリーニング電圧供給部77が定電流制御を実行するための指令電流Ic*を、指令電流I1*に設定する。これにより、搬送ベルト53に付着している付着物がクリーニングローラ73に電気的に吸引される。また、クリーニングローラ73に付着した付着物は、回収ローラ74に電気的に吸引された後、剥離ブレード75によって掻き落とされ、廃トナーBOX71に収容される。
【0045】
ステップS14では、入力ポートP1の電圧変動を検知するタイミング、即ち、廃トナー状態検知処理の実行タイミングであるか否かを判断する。本実施形態では、クリーニング動作が終了した後における所定の判定期間Tdを、廃トナー状態検知処理の実行タイミングとしている。これは、クリーニング動作が実行されることにより、廃トナーBOX71内の付着物が顕著に増加するためである。ステップS14で、入力ポートP1の電圧変動を検知するタイミングではないと判断した場合、図3の処理を一旦終了する。この場合、印刷などの通常動作を実行する。
【0046】
ステップS14で、入力ポートP1の電圧変動を検出するタイミングであると判断すると、ステップS15で、クリーニング電圧供給部77に指示する指令電流Ic*を、指令電流I1*から、この指令電流I1*よりも大きな判定用指令値I2*に変更する。これにより、クリーニング電圧供給部77は、回収ローラ74に流れるクリーニング電流が判定用指令値I2*となるように、バックアップローラ72に供給するクリーニング電圧BCLNを調整する。
【0047】
ステップS16では、入力ポートP1により受信された検出信号FBが電圧判定値TH1よりも高いか否かを判断する。電圧判定値TH1は、検出スイッチSWが開状態である場合に、検出信号生成部92により生成される検出信号FBから定められた値であり、例えば、0Vである。検出信号FBが電圧判定値TH1よりも高いと判断した場合、廃トナーBOX71は付着物で満杯になってはいないため、図3の処理を一旦終了する。一方、検出信号FBが電圧判定値TH1以下であると判断した場合、ステップS17に進む。
【0048】
ステップS17では、廃トナーBOX71が付着物で満杯になったことを報知する。例えば、廃トナーBOX71が付着物で満杯であることを示す満杯報知信号を操作パネル6へ出力し、操作パネル6に「収容体が満杯になりました。」などのメッセージを表示する。ステップS18では、レーザプリンタ1の通常動作を停止させる。つまり、レーザプリンタ1の通常動作を停止させ、ユーザに廃トナーBOX71が満杯になったことを報知し、廃トナーBOX71の交換を促す。なお、ステップS17において、制御部80は、レーザプリンタ1を制御する外部のコンピュータや携帯端末などの端末装置に、廃トナーBOX71が付着物で満杯であることを通知してもよい。ステップS18を終了すると、図3の処理を一旦終了する。
【0049】
ステップS13がクリーニング動作実行部の一例であり、ステップS16が判定部の一例である。
【0050】
次に、図4を用いて、廃トナー状態検知処理の開始タイミングを説明する。図4(a)は、バックアップローラ72の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。図4(b)は、クリーニング電圧供給部77の指令電流Ic*の推移を示すタイミングチャートである。図4(c)は、検出信号FBの推移を示すタイミングチャートである。
【0051】
時刻t1で、クリーニング動作の開始タイミングとなることで、指令電流Ic*が指令電流I1*に設定されている。その後の時刻t2で、バックアップローラ72,クリーニングローラ73及び回収ローラ74の回転駆動が開始され、クリーニング動作が開始される。その後の時刻t3で、クリーニング動作の終了タイミングとなる。
【0052】
クリーニング動作が停止された時刻t3後、廃トナー状態検知処理を実行する判定期間Tdとなるため、指令電流Ic*が指令電流I1*から判定用指令値I2*に変更されている。図4(c)において、実線で示す検出信号FBは、検出スイッチSWが閉状態を維持した場合(即ち、廃トナーBOX71の満杯検知がされていない場合)の検出信号FBを示している。判定期間Tdでの検出信号FBは、クリーニング動作中の検出信号FBよりも電圧が高くなっている。実線で示される検出信号FBは電圧判定値TH1よりも高い値であるため、廃トナーBOXが満杯となったことが報知されない。一方、廃トナーBOX71が満杯であるため検出スイッチSWが開状態になると、検出信号FBは0付近となる(図中破線で示すFB)。この場合、検出信号FBが電圧判定値TH1以下であるため、廃トナーBOXが満杯となったことが報知される。その後の時刻t4では、廃トナー状態検知処理の終了タイミングとなることにより、指令電流Ic*が減少する。
【0053】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。廃トナーBOX71は、第1電極D1により、装着部2cの装着部側第1電極21に接続されている。検出スイッチSWは、第1電極D1に第1端側で接続されており、廃トナーBOX71内の付着物の量が所定量よりも多い場合に、閉状態から開状態へと変化する。回収ローラ74は、接続線L2を通じて第2電極D2に接続されており、吸引電圧に基づく高電圧Vhが検出スイッチSWの第2端側に供給される。制御部80は、検出信号生成部92により生成された検出信号FBが電圧判定値TH1以下である場合に廃トナーBOX71が付着物により満杯であることを判定する。これにより、廃トナーBOX71の第1電極D1と装着部側第1電極21との間に錆等が生じている場合でも、検出スイッチSWが閉状態であれば、第1電極D1と装着部側第1電極21との間に吸引電圧に応じた高電圧Vhが印加されているため、第1電極D1と装着部側第1電極21との間の接点不良を生じにくくすることができる。
【0054】
・クリーニング電圧供給部77は、各ローラ72,73,74に流れるクリーニング電流を制御すべく、クリーニング電圧BCLNを調整する定電流制御を行う。高電圧発生部91は、検出スイッチSWの第2端側に直列接続されており、検出スイッチSWが閉状態である場合に、検出スイッチSWの第1端側に吸引電圧に応じた高電圧Vhを発生させる。これにより、検出スイッチSWの第2端に接続された第1電極D1に定電流制御された安定的な高電圧Vhを供給することができるため、第1電極D1と装着部側第1電極21との間の接点不良をいっそう抑制することができる。
【0055】
・検出スイッチSWが開状態である場合に、高電圧発生部91により生成された高電圧VhをシグナルグランドSGに流す。これにより、検出スイッチSWが開状態となった場合でも、高電圧Vhが基板90上の他の回路に流れ込むのを防止することができ、基板90を安定して動作させることができる。
【0056】
・クリーニング電圧供給部77は、クリーニング動作中は、各ローラ72,73,74に流れるクリーニング電流が指令電流I1*に制御されるように定電流制御を行い、クリーニング動作後の判定期間Tdでは、各ローラ72,73,74に流れるクリーニング電流が指令電流I1*よりも大きな判定用指令値I2*に制御されるように定電流制御を行う。これにより、廃トナー状態検知処理中は、検出スイッチSWの閉状態での検出信号FBと、開状態での検出信号FBとが大きく異なるため、廃トナー状態の誤検知をいっそう抑制することができる。
【0057】
<第1実施形態の変形例>
・検出スイッチSWの第2端側にバックアップローラ72の吸引電圧を供給してもよい。この場合、バックアップローラ72と第2電極D2とを接続線L2により接続すればよい。
【0058】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において、第1実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、クリーニングローラ73の吸引電圧を、検出スイッチSWの第2端側に供給する。即ち、本実施形態では、第1実施形態と比べて、吸引電圧の供給源となるローラが異なる。図5に示すように、検出スイッチSWの第2端側に接続された接触抵抗R4は、接続線L6を介してクリーニングローラ73の回転軸に接続されており、クリーニングローラ73の吸引電圧が供給される。第2電極D2は、接続線L7を介して回収ローラ74に接続されている。本実施形態では、接続線L6が吸引電圧供給部の一例である。
【0060】
バックアップローラ72にクリーニング電圧BCLNが供給された状態では、クリーニングローラ73の吸引電圧が接続線L6を通じて検出スイッチSWの第2端側に供給される。廃トナーBOX71が付着物により満杯となっておらず、検出スイッチSWが閉状態であれば、第1電極D1及び装着部側第1電極21には吸引電圧が供給される。そのため、検出信号生成部92は、装着部側第1電極21に供給された吸引電圧を用いて検出信号FBを生成する。
【0061】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。検出スイッチSWの第2端側に電圧を発生させるために新たな回路を設ける必要がないため、基板90の体格の増加を抑制することができる。
【0062】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第3実施形態において、第1実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、バックアップローラ72、クリーニングローラ73及び回収ローラ74に生じる電圧の極性が第1実施形態と異なる。図6に示すように、検出スイッチSWの第2端側に接続された第2電極D2は、接続線L11を介してバックアップローラ72に接続されている。装着部側第2電極22は、シグナルグランドSGに接続されている。電源78のマイナス端子には、接続線L12を介して回収ローラ74が接続されている。電源78のプラス端子は接地されている。装着部側第3電極23は、ツェナーダイオードZ1,Z2を介して電源78のマイナス端子に接続されている。ツェナーダイオードZ1,Z2は順方向接続されており、ツェナーダイオードZ1のアノードが電源78のマイナス端子に接続され、ツェナーダイオードZ2のカソードが装着部側第3電極23に接続されている。これにより、電源78からクリーニング電圧BCLNが供給されることにより、回収ローラ74、クリーニングローラ73、バックアップローラ72の順序で、電位が低くなる。
【0064】
検出信号生成部92では、第6抵抗R6が第2抵抗R2に直列接続されて直列接続体を構成している。第6抵抗R6の第2抵抗R2に接続される側の端と反対側の端には、直流電圧源95が接続されている。第6抵抗R6と第2抵抗R2との接続点には、第3抵抗R3が接続されている。直流電圧源95により供給される電圧の絶対値は、バックアップローラ72の吸引電圧の絶対値よりも十分に低い電圧である。
【0065】
上記構成では、廃トナーBOX71が付着物により満杯となっておらず検出スイッチSWが閉状態である場合、装着部側第1電極21には、直流電圧源95からの電圧とバックアップローラ72の吸引電圧との電圧差に応じた電圧が印加される。そのため、検出信号FBは、この電圧差に応じた電圧を検出信号生成部92の分圧比により分圧した値となる。一方、廃トナーBOX71が付着物により満杯となることにより検出スイッチSWが開状態となった場合、検出信号FBは、直流電圧源95から供給される電圧値となる。これにより、制御部80は入力ポートP1に生じる検出信号FBの値により、廃トナーBOX71が付着物により満杯となっているか否かを判定することができる。
【0066】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0067】
<第4実施形態>
第4実施形態では、第3実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第4実施形態において、第3実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、第3実施形態と異なり、クリーニングローラ73から供給される吸引電圧により、検出スイッチSWの第2端側に高電圧が生じる。図7に示すように、検出スイッチSWの第2端側に接続された接触抵抗R4は、接続線L13を介して、クリーニングローラ73の回転軸に接続され、クリーニングローラ73からの吸引電圧が供給される。第2電極D2は、接続線L14を介してバックアップローラ72に接続されている。
【0069】
上記構成では、廃トナーBOX71が満杯となっておらず、検出スイッチSWが閉状態である場合、検出信号FBは、直流電圧源95からの電圧とクリーニングローラ73の吸引電圧との電圧差に応じた電圧を検出信号生成部92の分圧比により分圧した値となる。一方、廃トナーBOX71が付着物により満杯となることにより検出スイッチSWが開状態となった場合、検出信号FBは、直流電圧源95から供給された電圧の電圧値となる。これにより、制御部80は入力ポートP1に生じる検出信号FBの値に応じて、廃トナーBOX71が付着物により満杯となっているか否かを判定することができる。
【0070】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0071】
<その他の実施形態>
本実施形態は、その要旨を変更しない範囲で、様々な変形例が存在する。
・制御部80は、クリーニング処理の開始タイミングの前に、廃トナー状態検知処理を実行してもよい。
【0072】
・制御部80は、判定期間において、検出信号FBの絶対値が所定の電圧判定値以下である場合に、廃トナーBOX71内の付着物の量が所定量よりも多いことを判定してもよい。
【0073】
・制御部80が、検出信号生成部の機能を有していてもよい。この場合において、入力ポートP1と装着部側第1電極21とが接続されていればよい。判定部は、制御部80以外の部位により実現されてもよい。
【0074】
・画像形成装置は、レーザプリンタ以外にも、レーザプリンタ、スキャナ装置、及びFAX装置の機能を複合した複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…レーザプリンタ、2c…装着部、21…装着部側第1電極、31…感光ドラム、53…搬送ベルト、70…クリーニング機構、71…収容体、72…バックアップローラ、73…クリーニングローラ、74…回収ローラ、80…制御部、92…検出信号生成部、D1…第1電極、SW…検出スイッチ、L2…接続線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7