(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231121BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 305
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2020022980
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕詞
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297509(JP,A)
【文献】特開2006-018441(JP,A)
【文献】特開2015-118570(JP,A)
【文献】特開平11-004312(JP,A)
【文献】特開2005-301888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0094163(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行させ、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行させ、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータに、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
前記決定処理では、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記品質パラメータが前記第1品質であった場合に前記情報処理装置のオペレーティングシステムにてレンダリングが可能な画像データのデータサイズに基づく範囲として予め定められた前記第1サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記品質パラメータが前記第2品質であった場合に前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにてレンダリングが可能な画像データのデータサイズに基づく範囲として予め定められた前記第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行させ、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行させ、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータに、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
さらに前記コンピュータに、
ユーザ定義の媒体サイズの設定を受け付けるユーザ定義サイズ設定処理と、
前記ユーザ定義サイズ設定処理において前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲が前記第1サイズ範囲である場合に、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を拡張させる拡張指示を受け付ける拡張受付処理と、
前記拡張指示を受け付けた場合に、前記品質パラメータを前記第2品質に設定し、前記ユーザ定義サイズ設定処理において前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を、前記第1サイズ範囲から前記第2サイズ範囲に変更する変更処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記拡張指示を受け付けた場合に、前記品質パラメータが前記第2品質に変更されることを示す情報を報知する第1報知処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項2または
請求項3に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記変更処理にて前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を変更した後、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を元に戻させる復帰指示を受け付ける復帰受付処理と、
前記復帰指示を受け付けた場合に、前記ユーザ定義の前記媒体サイズとして入力されているサイズが前記第1サイズ範囲に含まれるか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理にて前記入力されているサイズが前記第1サイズ範囲に含まれると判断された場合に、前記ユーザ定義サイズ設定処理において前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を、前記第2サイズ範囲から前記第1サイズ範囲に変更する復帰処理と、 前記判断処理にて前記入力されているサイズが前記第1サイズ範囲に含まれないと判断された場合に、媒体サイズパラメータが不適切であることを示す情報を報知する第2報知処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行させ、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行させ、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータに、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
さらに前記コンピュータに、
前記品質パラメータを変更させる品質変更指示を受け付ける品質変更受付処理と、
前記品質変更指示を受け付けた場合に、前記指定されている媒体サイズパラメータが前記品質変更指示での変更後の品質パラメータで許容されるサイズの範囲を示す第1閾値範囲に含まれるか否かを判断する品質変更判断処理と、
前記品質変更判断処理にて前記指定されている媒体サイズパラメータが前記第1閾値範囲に含まれると判断された場合に、前記品質変更指示に示される前記品質パラメータに変更する第1品質変更処理と、
前記品質変更判断処理にて前記指定されている媒体サイズパラメータが前記第1閾値範囲に含まれないと判断された場合に、前記指定されている媒体サイズパラメータが不適切であることを示す情報を報知する品質変更報知処理と、
前記品質変更判断処理にて前記指定されている媒体サイズパラメータが前記第1閾値範囲に含まれないと判断された場合に、前記指定されている媒体サイズパラメータを、前記第1閾値範囲に含まれるサイズに変更し、前記品質変更指示に示される前記品質パラメータに変更する第2品質変更処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行させ、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータに、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行させ、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータに、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
さらに前記コンピュータに、
前記媒体サイズパラメータを変更させる媒体サイズ変更指示を受け付ける媒体サイズ変更受付処理と、
前記媒体サイズ変更指示を受け付けた場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが、指定されている品質パラメータで許容されるサイズの範囲を示す第2閾値範囲に含まれるか否かを判断する媒体サイズ変更判断処理と、
前記媒体サイズ変更判断処理にて前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが前記第2閾値範囲に含まれると判断された場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータに変更する第1媒体サイズ変更処理と、
前記媒体サイズ変更判断処理にて前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが前記第2閾値範囲に含まれないと判断された場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが不適切であることを示す情報を報知する媒体サイズ変更報知処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記媒体サイズ変更判断処理にて前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが前記第2閾値範囲に含まれないと判断された場合に、前記指定されている品質パラメータを、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが対応可能な品質パラメータに変更し、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータに変更する第2媒体サイズ変更処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1
から請求項7のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記取得処理では、前記品質パラメータが解像度を示すパラメータであり、前記第1品質が第1解像度であり、前記第2品質が前記第1解像度よりも低解像度の第2解像度である前記印刷設定を取得する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1から
請求項8のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
ユーザ定義の媒体サイズの設定を受け付けるユーザ定義サイズ設定処理を実行させ、前記ユーザ定義サイズ設定処理での前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲は、指定された前記品質パラメータに応じて決定する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1から
請求項9のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれるアプリケーションプログラムから前記情報処理装置のオペレーティングシステムを介して前記品質パラメータの能力要求を受け付けた場合に、受け付け可能な品質パラメータを前記オペレーティングシステムを介して前記アプリケーションプログラムに応答する能力応答処理を実行させ、前記能力要求には、媒体サイズパラメータを示す情報が含まれ、前記能力応答処理では、前記能力要求に含まれる前記情報によって示される媒体サイズパラメータが対応可能な品質パラメータを抽出し、抽出された品質パラメータを応答する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
コンピュータを備える情報処理装置であって、
前記コンピュータは、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行し、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行し、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータは、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
前記決定処理では、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記品質パラメータが前記第1品質であった場合に前記情報処理装置のオペレーティングシステムにてレンダリングが可能な画像データのデータサイズに基づく範囲として予め定められた前記第1サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記品質パラメータが前記第2品質であった場合に前記情報処理装置の前記オペレーティングシステムにてレンダリングが可能な画像データのデータサイズに基づく範囲として予め定められた前記第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータを備える情報処理装置であって、
前記コンピュータは、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行し、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行し、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータは、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
さらに前記コンピュータは、
ユーザ定義の媒体サイズの設定を受け付けるユーザ定義サイズ設定処理と、
前記ユーザ定義サイズ設定処理において前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲が前記第1サイズ範囲である場合に、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を拡張させる拡張指示を受け付ける拡張受付処理と、
前記拡張指示を受け付けた場合に、前記品質パラメータを前記第2品質に設定し、前記ユーザ定義サイズ設定処理において前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を、前記第1サイズ範囲から前記第2サイズ範囲に変更する変更処理と、
を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータを備える情報処理装置であって、
前記コンピュータは、
印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行し、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、
さらに前記コンピュータは、
前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータとして受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行し、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、
さらに前記コンピュータは、
前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含ま
れ、
さらに前記コンピュータは、
前記媒体サイズパラメータを変更させる媒体サイズ変更指示を受け付ける媒体サイズ変更受付処理と、
前記媒体サイズ変更指示を受け付けた場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが、指定されている品質パラメータで許容されるサイズの範囲を示す第2閾値範囲に含まれるか否かを判断する媒体サイズ変更判断処理と、
前記媒体サイズ変更判断処理にて前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが前記第2閾値範囲に含まれると判断された場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータに変更する第1媒体サイズ変更処理と、
前記媒体サイズ変更判断処理にて前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが前記第2閾値範囲に含まれないと判断された場合に、前記媒体サイズ変更指示に示される媒体サイズパラメータが不適切であることを示す情報を報知する媒体サイズ変更報知処理と、
を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、印刷設定を受け付けるプログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、プリンタでの印刷に用いる印刷設定を受け付け、その印刷設定に基づいてそのプリンタに印刷を指示する技術が知られている。例えば、特許文献1に開示されているように、ロール紙プリンタを制御するプリンタドライバであって、用紙サイズを含む印刷設定を受け付けるダイアログボックスを情報処理装置に表示させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オペレーティングシステムが有する印刷システムでは、レンダリング可能な画像データのデータサイズに上限がある。そのため、印刷媒体のサイズとして設定可能な範囲が設けられる、あるいは設定できたとしても一部の画像が印刷されない、といった不都合があり、サイズが大きい印刷媒体に印刷する場合に不便である。特許文献1のロール紙プリンタを制御するプリンタドライバであっても、前述した不便を解決する構成は開示されていない。
【0005】
本明細書は、印刷設定を受け付けるプログラムであって、印刷媒体のサイズの設定の自由度を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記コンピュータに、印刷品質を示す品質パラメータを取得する取得処理を実行させ、前記品質パラメータには、少なくとも第1品質と、前記第1品質よりも低品質の第2品質と、が指定可能であり、さらに前記コンピュータに、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第1品質であった場合、前記第1品質に対応して予め定められた第1サイズ範囲を、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定し、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータが前記第2品質であった場合、前記第2品質に対応して予め定められた第2サイズ範囲を、前記媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲に決定する決定処理を実行させ、前記第2サイズ範囲には、前記第1サイズ範囲に含まれないサイズも含まれ、さらに前記コンピュータに、前記決定処理にて決定されたサイズ範囲に含まれるサイズを示す前記媒体サイズパラメータの指定を受け付ける受付処理を実行させ、前記取得処理にて取得した前記品質パラメータと、前記受付処理にて受け付けた前記媒体サイズパラメータとは、印刷データの生成に用いられる印刷設定に含まれる、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるプログラムを実行することで、情報処理装置は、印刷品質を示す品質パラメータに対応して、印刷媒体のサイズを示す媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を決定し、決定された範囲の媒体サイズパラメータの指定を受け付ける。品質パラメータが第1品質より低品質の第2品質であった場合、媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲には、第1品質の場合には含まれないサイズも含まれる。これにより、媒体サイズパラメータの受け付け可能な範囲を固定する場合と比較して、印刷媒体のサイズの設定の自由度が高まる。
【0008】
上記プログラムの機能を実現する情報処理装置、プログラムの機能を実現するための制御方法、プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、印刷設定を受け付けるプログラムであって、印刷媒体のサイズの設定の自由度を向上させる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかるPCの概略構成図である。
【
図2】印字品質と用紙サイズとの関係の例を示す説明図である。
【
図3】印刷設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】サイズ確認処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】ユーザ定義登録処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】サイズ警告メッセージの例を示す説明図である。
【
図10】品質変更メッセージの例を示す説明図である。
【
図11】サイズ変更メッセージの例を示す説明図である。
【
図12】印字品質応答処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、プログラムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、印刷機能を有する装置であるプリンタに接続可能なパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)にて実行されるプログラムを開示するものである。
【0012】
本形態のPC1は、例えば、
図1に示すように、プリンタ2と通信可能に接続されている。PC1は、プリンタ2に各種の機能を行わせるための各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を実行可能な装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータであっても良い。
【0013】
プリンタ2は、少なくとも印刷媒体への画像の印刷を行う印刷機能と、PC1との通信を行う通信機能と、を有する装置である。なお、印刷媒体は、紙に限らず、布、フィルム等であっても良いが、以下では、印刷媒体のサイズを、単に「用紙サイズ」とする。また、用紙サイズのうち、プリンタ2における印刷媒体の搬送方向のサイズを「用紙高さ」、プリンタ2における印刷媒体の搬送方向に直交する方向のサイズを「用紙幅」とする。
【0014】
本形態のプリンタ2は、定型サイズ(例えば、国際規格A判、米国規格レター)などのカット紙を給紙可能に載置するための常設の給紙トレイを備え、さらに、着脱可能な給紙トレイの装着が可能である。そして、本形態のプリンタ2は、着脱可能な給紙トレイとして、ロール紙を給紙可能に載置するためのロール紙用トレイ、長尺カット紙を給紙可能に載置するための長尺紙用トレイ、が装着可能である。プリンタ2は、ロール紙用トレイまたは長尺紙用トレイが装着されることで、ロール紙または長尺カット紙への印刷が可能な装置である。
【0015】
ロール紙および長尺カット紙は、例えば、用紙高さが用紙幅よりも極端に長い(以下、便宜上、「定型サイズに比較して、用紙幅に対する用紙高さの比が大きい」とも記載する)などの理由で、常設の給紙トレイには、給紙可能に載置することが困難なサイズである。なお、プリンタ2は、長尺カット紙を給紙可能に載置できる多目的トレイをさらに備えていても良い。
【0016】
ロール紙は、ロール状に巻かれた用紙であり、ロール紙用トレイを装着することで、プリンタ2は、ロール紙を巻きだして給紙しつつ印刷することができる。また、本形態のプリンタ2は、ロール紙用トレイのオプションとして、印刷済みの部分を切り離して排出するためのカッターの装着が可能であっても良い。また、長尺カット紙は、カット済みの長尺紙であり、定型サイズに比較して、用紙幅に対する用紙高さの比が大きい用紙である。
【0017】
PC1は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ14と、を含む制御部10を備えている。さらに、PC1は、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)16と、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)18と、を備え、これらが制御部10に電気的に接続されている。なお、
図1中の制御部10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0018】
CPU11は、メモリ14から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。メモリ14は、例えば、HDD、フラッシュメモリであり、各種のプログラム、画像データや文書データ等のデータ、各種設定を記憶する領域として利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0019】
メモリの一例は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0020】
通信IF16は、プリンタ2等の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF16の通信方式は、無線でも有線でもよく、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、USB、LAN等、どのような規格の方式でもよい。
【0021】
ユーザIF18は、情報を画面に表示するハードウェアと、ユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF18は、表示機能と入力受付機能とを含むタッチパネルであっても良いし、表示機能を有するディスプレイと、入力受付機能を有するキーボードやマウス等との組み合わせであっても良い。
【0022】
本形態のPC1のメモリ14には、
図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)41と、印刷アプリ42と、プリンタドライバ43と、が組み込まれている。OS41は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Linux(登録商標)である。印刷アプリ42は、アプリケーションプログラムの一例である。プリンタドライバ43は、プログラムの一例である。
【0023】
印刷アプリ42は、印刷に関する各種の指示を受け付けるプログラムである。印刷アプリ42は、例えば、印刷を行わせる装置の指定、印刷対象の画像の指定、印刷設定の編集指示、印刷実行の指示、を受け付ける。印刷アプリ42は、さらに、印刷対象の用紙の種類やサイズの指定、コピー部数の指定、印字品質の選択等を受け付けてもよい。印刷アプリ42は、プリンタ2が指定された場合、プリンタドライバ43に問い合わせてプリンタ2の能力に関する情報を取得する。そして、印刷アプリ42は、取得した能力の情報に基づいて、受け付け可能な選択肢の範囲を決定する。
【0024】
プリンタドライバ43は、プリンタ2のモデルに対応するプログラムであり、プリンタ2と通信を行って、プリンタ2の動作を制御するプログラムである。プリンタドライバ43は、例えば、印刷アプリ42等にてプリンタ2が指定された状態で印刷実行の指示または印刷設定の編集指示を受け付けた場合、プリンタ2のプロパティ設定の指示を受け付けた場合、プリンタ2の能力の問い合わせを受けた場合、に起動される。
【0025】
プリンタドライバ43は、プリンタ2での印刷に関する詳細な印刷設定の編集指示、例えば、印刷媒体としての用紙種類や用紙サイズの選択、用紙サイズとしてのユーザ定義サイズの登録、印字品質の指定、給紙トレイや排紙トレイの選択、を受け付ける。また、プリンタドライバ43は、OS41から印刷ジョブを受け付けた場合、印刷ジョブにて指定されている画像データに基づいて、印刷データを生成する。印刷データは、プリンタ2に渡す印刷コマンドに含まれるデータである。用紙サイズの選択肢は、媒体サイズパラメータの一例である。
【0026】
プリンタドライバ43は、選択可能な印字品質として2以上の品質を備え、ユーザの選択を受け付ける。本形態のプリンタドライバ43は、印字品質が高いものから順に例えば、「最高品質」、「高品質」、「高速」の3つ選択肢を備える。「高速」は、低い印字品質で印刷することで、印刷速度を高速とすることを示す選択肢である。印字品質の選択肢の数は、少なくとも2以上であれば良く、4以上であっても良い。印字品質は、印刷品質の一例であり、各選択肢は、品質パラメータの一例である。
【0027】
印字品質が高いとは、印字品質が低いものに比較して、印刷解像度が高い、または、同じ大きさの画像で比較した場合のピクセル数が多い、ことを意味する。例えば、「最高品質」が、第1解像度および第1品質の一例であり、「高品質」や「高速」が、第2解像度および第2品質の一例である。なお、画質として、スーパーファイン、ファイン、ノーマル等の選択肢が選択可能なプリンタも存在するが、これらの選択によっても印刷解像度が変更される。スーパーファイン、ファイン、ノーマル等の選択肢も、印字品質の選択肢の一種である。
【0028】
プリンタドライバ43にて生成される印刷データのデータサイズは、同じ画像データに基づく印刷データであっても、用紙サイズや印字品質によって異なり、用紙サイズが大きいほど、また、印字品質が高いほど大きい。本形態のプリンタドライバ43は、印刷データの生成に際して、OS41の機能の一部、例えば、レンダリング機能を利用する。そのため、OS41の機能の制限により、適切に生成可能な印刷データのデータサイズには上限がある。
【0029】
本形態のプリンタドライバ43は、生成可能な印刷データのデータサイズに基づいて、印字品質ごとに対応可能な用紙サイズの範囲を予め定めて記憶している。
図2に、印字品質と用紙サイズの範囲との関係の一例を示す。
図2に示すように、例えば、印字品質が「高品質」の場合の最大の用紙高さは、印字品質が「最高品質」の場合の最大の用紙高さの倍となる。例えば、「最高品質」に対応する用紙サイズの範囲は、第1サイズ範囲の一例であり、「高品質」や「高速」に対応する用紙サイズの範囲は、第2サイズ範囲の一例である。
【0030】
対応可能な用紙サイズの範囲とは、その印字品質でその用紙に印刷するための解像度の画像を示す印刷データを、OS41の機能を用いることによって適切に生成可能な範囲である。対応可能な用紙サイズの範囲には、用紙幅と用紙高さとのそれぞれに上限がある。印字品質が高いほど、対応可能な最大の用紙サイズは小さい。つまり、印字品質が低い場合に選択可能な用紙サイズの範囲には、印字品質が高い場合には含まれないサイズも含まれる。なお、プリンタドライバ43は、選択可能な最小の用紙サイズもあらかじめ定めて記憶しているが、選択可能な最小の用紙サイズは、プリンタ2の構成や機能に応じて定められており、印字品質とは関係がない。
【0031】
本形態のプリンタドライバ43は、選択を受け付ける用紙サイズの情報として、プリンタドライバ43が予め備える定型サイズの用紙名と、ユーザによって定義されて登録されたユーザ定義サイズの用紙の情報とを使用可能である。定型サイズの用紙名は、例えば、A4、10×15cm、A5、A6、Letter、Legal、A3、Ledger、である。ユーザ定義サイズの用紙の情報は、ユーザに定義された用紙名の情報と用紙サイズの情報との組である。本形態のプリンタドライバ43は、例えば、ロール紙用トレイまたは長尺紙用トレイが選択された場合、定型サイズではなく、ユーザ定義サイズの用紙の選択を受け付ける。
【0032】
続いて、本形態のプリンタドライバ43による処理について説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOS41のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS41の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS41のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0033】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0034】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0035】
以下、本形態のプリンタドライバ43による印刷設定処理の手順について、
図3のフローチャートを参照して説明する。印刷設定処理は、印刷アプリ42等にて印刷設定の編集指示等を受け付けたことにより、プリンタドライバ43が起動されたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。なお、プリンタドライバ43が予め起動されていれば、印刷設定の編集指示を受け付けたアプリが、プリンタドライバ43に印刷設定処理の実行開始を指示する。
【0036】
CPU11は、まず、選択中の印刷設定を取得する(S101)。印刷設定には、前述した用紙サイズや印字品質の設定も含まれる。S101は、取得処理の一例である。印刷設定は、印刷をプリンタに指示するために用いられる各種のパラメータである。
【0037】
プリンタドライバ43の起動時に、CPU11は、メモリ14のプリンタドライバ43用の記憶領域に記憶されている印刷設定を読み出し、所定のデータ構造体に記憶させる。このデータ構造体は、印刷アプリ42等のアプリとプリンタドライバ43とが共用する領域であり、アプリとプリンタドライバ43とのいずれからも編集されることがある。データ構造体は、印刷アプリ42等のアプリの実行中に限って一時的に利用される領域であり、アプリの終了時には破棄される。S101では、CPU11は、このデータ構造体に記憶されている印刷設定を読み出す。以後の処理では、CPU11は、読み出した印刷設定を参照し、編集する。
【0038】
一方、プリンタドライバ43用の記憶領域は、プリンタドライバ43がPC1にインストールされた際に設けられる領域であり、例えば、レジストリ、設定ファイルである。プリンタドライバ43用の記憶領域は、プリンタドライバ43や印刷アプリ42等のアプリの実行状況にかかわらず保持される領域であり、恒久的に使用される。プリンタドライバ43のインストール時には、プリンタドライバ43のインストーラ、OS41、インストール直後のプリンタドライバ43、などが、その記憶領域に各種の情報を記憶させる。プリンタドライバ43用の記憶領域に記憶される情報としては、例えば、印刷設定、モデル情報があり、インストール後に編集される情報もある。
【0039】
モデル情報は、このプリンタドライバ43が印刷を指示するプリンタのモデルを示す情報である。プリンタドライバ43は、例えば同じ製品シリーズ内の複数のモデルに対応するプログラムであっても良く、プリンタドライバ43のインストール時に、使用するプリンタ(本形態ではプリンタ2)のモデル情報が記憶される。プリンタドライバ43用の記憶領域に記憶される情報に基づいて、プリンタドライバ43は、制御対象のプリンタのモデルを認識できる。
【0040】
CPU11は、S101にて取得した印刷設定に含まれる印字品質の設定や、プリンタのモデル情報に基づいて、受け付け可能な用紙サイズの範囲を決定する(S102)。S102は、決定処理の一例である。なお、用紙サイズの範囲には、用紙幅の範囲と用紙高さの範囲とが含まれる。プリンタドライバ43は、例えば、
図2に示したように、印刷データを生成可能な用紙サイズの範囲として、用紙幅と用紙高さとのそれぞれの範囲を印字品質ごとに予め記憶している。例えば、S101にて取得した印刷設定の印字品質として「最高品質」が設定されている場合、用紙幅の範囲は、「88.9-215.9(mm)」となり、用紙高さの範囲は、「127.0-355.6(mm)」となる。
【0041】
そして、CPU11は、ユーザIF18に印刷設定画面を表示させ(S103)、その印刷設定画面に、S101にて取得した印刷設定を表示させる。印刷設定画面の例を
図4に示す。
図4の例に示す印刷設定画面51には、用紙サイズの選択欄511と、印字品質の選択欄512と、OKボタン514と、キャンセルボタン515と、が表示される。CPU11は、印刷設定画面51に表示させた各選択欄や各ボタンへの操作を受け付ける。
【0042】
CPU11は、印刷設定画面51にて、例えば、用紙サイズの選択欄511へのユーザの操作を受け付けると、選択可能な用紙サイズの一覧を表示させる。選択可能な用紙サイズには、定型サイズの用紙名、登録済みのユーザ定義サイズ、ユーザ定義サイズの登録、の選択肢が含まれる。また、CPU11は、例えば、印字品質の選択欄512へのユーザの操作を受け付けると、選択中の用紙サイズに対して選択可能な印字品質の一覧を表示させる。印字品質の選択肢には、例えば、「最高品質」、「高品質」、「高速」の選択肢が含まれる。
【0043】
CPU11は、ユーザの操作により、用紙サイズとしてユーザ定義サイズが指定されたまたは印字品質の変更指示を受け付けたか否かを判断する(S104)。ユーザ定義サイズの指定も印字品質の変更指示も受け付けていないと判断した場合(S104:NO)、CPU11は、その他の変更指示を受け付けたか否かを判断する(S105)。その他の変更指示も受け付けていないと判断した場合(S105:NO)、CPU11は、OKボタン514への入力を受け付けたか否かを判断する(S106)。受け付けていないと判断した場合(S106:NO)、CPU11は、キャンセルボタン515への入力を受け付けたか否かを判断する(S107)。受け付けていないと判断した場合(S107:NO)、CPU11は、S104に戻って、さらに入力を受け付ける。
【0044】
ユーザ定義サイズの指定または印字品質の変更指示を受け付けたと判断した場合(S104:YES)、CPU11は、サイズ確認処理を実行する(S108)。サイズ確認処理は、用紙サイズまたは印字品質の変更指示が、印刷データの生成可能な範囲内の変更であるか否かを確認する処理である。
【0045】
なお、CPU11は、印刷設定処理では、用紙サイズとして登録済みのユーザ定義サイズの選択指示、または、ユーザ定義サイズの登録指示を受け付けた場合に、S104にてYESと判断し、定型サイズの用紙名の選択指示を受け付けた場合には、S104にてNOと判断する。本形態のプリンタドライバ43では、定型サイズの用紙名が選択された場合には、印字品質にかかわらず印刷データの生成が可能であり、用紙サイズの範囲の確認は不要である。
【0046】
サイズ確認処理の手順について、
図5のフローチャートを参照して説明する。CPU11は、用紙サイズの変更指示としてユーザ定義サイズの登録指示を受け付けたことで、サイズ確認処理を開始したか否かを判断する(S201)。ユーザ定義サイズの登録指示を受け付けたと判断した場合(S201:YES)、CPU11は、ユーザ定義登録処理を実行する(S202)。ユーザ定義サイズの登録指示は、媒体サイズ変更指示の一例であり、S201は、媒体サイズ変更受付処理の一例である。
【0047】
ユーザ定義登録処理は、用紙名や用紙サイズの指定を受け付け、ユーザ定義サイズとして登録する処理である。ユーザ定義登録処理の手順について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
ユーザ定義登録処理では、CPU11は、ユーザ定義サイズの登録画面をユーザIF18に表示させる(S301)。登録画面の例を
図7に示す。
図7に示す登録画面52には、用紙名の入力欄521と、入力可能な用紙サイズの範囲522と、用紙幅の入力欄523と、用紙高さの入力欄524と、OKボタン525と、キャンセルボタン526と、が表示される。入力可能な用紙サイズの範囲522として、CPU11は、現在指定されている印字品質に応じて、対応可能な用紙サイズの範囲を表示させる。用紙幅の入力欄523や用紙高さの入力欄524には、範囲522に表示されている範囲内の数値のみが入力可能である。登録画面52にはさらに、用紙高さの許容範囲を拡張する指示を受け付けるチェックボックス527が表示される。なお、用紙幅の範囲はプリンタ2の構成によって制限されており、拡張指示を受け付けない。
【0049】
そして、CPU11は、チェックボックス527への入力を受け付けたか否かを判断する(S303)。受け付けていないと判断した場合(S303:NO)、CPU11は、OKボタン525への入力を受け付けたか否かを判断する(S304)。なお、CPU11は、OKボタン525への入力を、用紙名の入力欄521、用紙幅の入力欄523、用紙高さの入力欄524にそれぞれ情報が入力されている場合に受け付け可能とする。OKボタン525への入力を受け付けていないと判断した場合(S304:NO)、CPU11は、キャンセルボタン526への入力を受け付けたか否かを判断する(S305)。受け付けていないと判断した場合(S305:NO)、CPU11は、S303に戻って、さらに入力を受け付ける。
【0050】
チェックボックス527への入力を受け付けたと判断した場合(S303:YES)、CPU11は、チェック無しから有りへの変更であるか否かを判断する(S306)。なお、初期状態のチェックボックス527では、
図7に示すように、チェック無しとなっている。登録画面52では、CPU11は、チェックボックス527への入力を受け付ける度に、チェック有りとチェック無しとを交互に表示させる。
【0051】
登録画面52に表示されている範囲522は、現在設定されている印字品質に対応する用紙サイズの範囲であり、印字品質を下げることで用紙サイズの範囲を広げることができる。なお、現在設定されている印字品質が、選択可能な最低の印字品質である場合には、用紙サイズの範囲を広げることができないことから、CPU11は、範囲を広げる指示を受け付けない。この場合、CPU11は、登録画面52のチェックボックス527を、表示しない、またはグレーアウトして表示する。
【0052】
チェック無しから有りへの変更指示であると判断した場合(S306:YES)、CPU11は、印字品質が低下することを報知する報知メッセージを、ユーザIF18に表示させる(S307)。チェック無しから有りへの変更指示は、用紙サイズの範囲を広げる指示であり、拡張指示の一例である。チェック無しから有りへの変更指示である場合のS306は、拡張受付処理の一例である。S307は、第1報知処理の一例である。
【0053】
報知メッセージの例を
図8に示す。
図8に示す報知メッセージ53は、設定中の印字品質が「最高品質」である場合の例であり、用紙サイズを拡張するには印字品質を「高品質」へ低下させる必要があることをユーザに示すメッセージである。設定中の印字品質よりも低い印字品質が複数段階有る場合、変更先の印字品質は、例えば、設定中の印字品質のすぐ下の印字品質とする。報知メッセージ53には、OKボタン531と、キャンセルボタン532と、が表示され、CPU11は、何れかのボタンへの操作を受け付ける。
【0054】
CPU11は、OKボタン531への操作を受け付けたか否かを判断する(S308)。OKボタン531への操作を受け付けていないと判断した場合(S308:NO)、CPU11は、キャンセルボタン532への操作を受け付けたか否かを判断する(S309)。キャンセルボタン532への操作を受け付けていないと判断した場合(S309:NO)、CPU11は、何れかへの操作を受け付けるまで待機する。
【0055】
OKボタン531への操作を受け付けたと判断した場合(S308:YES)、CPU11は、設定中の印字品質と、登録画面52中の用紙サイズの範囲522とを変更する(S310)。具体的には、CPU11は、印字品質を1段階下げる変更を行い、変更後の印字品質に対応する用紙サイズの範囲を読み出して、登録画面52に表示させる。S310は、変更処理の一例である。一方、キャンセルボタン532への操作を受け付けたと判断した場合(S309:YES)、CPU11は、拡張を行わないこととして(S311)、チェックボックス527のチェックを無しに変更する。
【0056】
チェックボックス527への入力がチェック無しから有りへの変更ではないと判断した場合(S306:NO)、つまり、チェック有りから無しへの変更を受け付けたと判断した場合、CPU11は、用紙幅の入力欄523や用紙高さの入力欄524に入力されている用紙サイズが、S310にて変更する前の印字品質に対応する用紙サイズの範囲内であるか否かを判断する(S312)。CPU11は、この範囲を、ユーザ定義登録処理の開始時に記憶しておいても良いし、S312の判断時に改めて取得しても良い。チェック有りから無しへの変更指示は、用紙サイズの範囲を元に戻す指示であり、復帰指示の一例である。チェック有りから無しへの変更指示である場合のS306は、復帰受付処理の一例である。S312は、判断処理の一例である。
【0057】
範囲内ではないと判断した場合(S312:NO)、CPU11は、用紙サイズが適切ではないことを示すサイズ警告メッセージをユーザIF18に表示させる(S313)。S313は、第2報知処理の一例である。
【0058】
サイズ警告メッセージの例を
図9に示す。
図9に示すサイズ警告メッセージ54は、用紙高さの入力欄524に入力されている用紙高さが、元の印字品質で対応可能な範囲内ではないことをユーザに示すメッセージである。サイズ警告メッセージ54には、OKボタン541が表示される。
【0059】
CPU11は、OKボタン541への操作を受け付けたか否かを判断する(S314)。受け付けていないと判断した場合(S314:NO)、CPU11は、受け付けるまで待機する。受け付けたと判断した場合(S314:YES)、CPU11は、用紙高さの入力欄524に入力されている用紙サイズの値をクリアする(S315)。CPU11は、用紙幅の入力欄523の値もクリアしても良い。
【0060】
S315の後、または、入力されている用紙サイズが許容範囲内であると判断した場合(S312:YES)、CPU11は、受け付け可能な用紙サイズの範囲522を拡張前の範囲に戻す(S316)。S316は、復帰処理の一例である。S316では、CPU11は、印字品質も変更前の印字品質に戻す。
【0061】
S310、S311、S316のいずれかの後、CPU11は、S303に戻って、登録画面52への入力を受け付ける。OKボタン525への入力を受け付けたと判断した場合(S304:YES)、CPU11は、受け付けた用紙サイズをユーザ定義サイズとして登録する(S317)。S317は、ユーザ定義サイズ設定処理の一例である。
【0062】
登録指示を受け付けた場合、CPU11は、表示中の用紙名と用紙サイズとの情報を、ユーザ定義サイズの用紙情報としてプリンタドライバ43用の記憶領域に記憶する。プリンタドライバ43用の記憶領域は、編集対象の印刷設定を一時的に記憶しているデータ構造体とは異なり、恒久的な領域である。登録されたユーザ定義サイズの情報は、印刷アプリ42等のアプリやプリンタドライバ43の次回以降の実行時にも参照可能であり、例えば、
図4に示した印刷設定画面51にて、用紙サイズの選択肢の1つとして表示される。
【0063】
さらに、CPU11は、登録した用紙サイズを、編集中の印刷設定の用紙サイズとして(S318)、ユーザ定義登録処理を終了する。なお、編集中の印刷設定での用紙サイズは、印刷設定画面51中の用紙サイズの選択欄511にて選択されている用紙サイズであり、印刷設定として決定された場合には、前述したデータ構造体に記憶される印刷設定中の用紙サイズとなる。一方、キャンセルボタン526への入力を受け付けたと判断した場合(S305:YES)、CPU11は、用紙サイズの登録を行わずに、ユーザ定義登録処理を終了して、サイズ確認処理に戻る。
【0064】
図5のサイズ確認処理の説明に戻る。サイズ確認処理では、S202のユーザ定義登録処理の後、ユーザ定義登録処理にてユーザ定義サイズの登録を行ったか否かを判断する(S203)。登録指示ではなく、キャンセルの指示を受け付けたことでユーザ定義登録処理を終了したと判断した場合には(S203:NO)、CPU11は、サイズ確認処理を終了して印刷設定処理に戻り、さらに印刷設定画面51への各種の入力を受け付ける。
【0065】
一方、印刷設定画面51にて受け付けた指示が、ユーザ定義サイズの登録指示ではないと判断した場合(S201:NO)、CPU11は、受け付けた指示が、登録済みのユーザ定義サイズの選択指示であるか否かを判断する(S204)。登録済みのユーザ定義サイズの選択指示を受け付けたと判断した場合(S204:YES)、CPU11は、選択された用紙の用紙サイズを取得する(S205)。ユーザ定義サイズの用紙情報は、プリンタドライバ43用の記憶領域に記憶されている。ユーザ定義サイズの選択指示は、媒体サイズ変更指示の一例であり、S204は、媒体サイズ変更受付処理の一例である。
【0066】
S205の後、または、ユーザ定義登録処理にてユーザ定義サイズの登録を行ったと判断した場合(S203:YES)、CPU11は、指示された用紙サイズが、印字品質に対応する用紙サイズの範囲内であるか否かを判断する(S206)。印字品質に対応する用紙サイズの範囲は、第2閾値範囲の一例であり、S206は、媒体サイズ変更判断処理の一例である。範囲内であると判断した場合(S206:YES)、CPU11は、印刷設定の用紙サイズを、登録あるいは選択されたユーザ定義サイズに変更する(S207)。S207は、第1媒体サイズ変更処理の一例である。
【0067】
範囲内ではないと判断した場合(S206:NO)、CPU11は、範囲外であることを示すメッセージをユーザIF18に表示させる(S208)。S208にて表示させるメッセージは、指示された用紙サイズが、設定されている印字品質に対応する用紙サイズの範囲外であり、印字品質を下げる変更を許可するか否かを問い合わせる品質変更メッセージである。S208は、媒体サイズ変更報知処理の一例である。
【0068】
品質変更メッセージの例を
図10に示す。
図10に示す品質変更メッセージ55は、印字品質が「最高品質」に設定されている場合であって、受け付けた用紙サイズが「最高品質」で対応可能な範囲を超えており、「高品質」で対応可能な範囲内である場合の例である。品質変更メッセージ55には、OKボタン551と、キャンセルボタン552と、が表示され、CPU11は、何れかへの操作を受け付ける。
【0069】
そして、CPU11は、OKボタン551への操作を受け付けたか否かを判断する(S209)。OKボタン551への操作を受け付けたと判断した場合(S209:YES)、CPU11は、印字品質を変更して(S210)、指示された用紙サイズに変更する。具体的には、CPU11は、指示された用紙サイズが対応可能な範囲内となるように、印字品質を下げる。S210は、第2媒体サイズ変更処理の一例である。
【0070】
一方、OKボタン551ではなく、キャンセルボタン552への操作を受け付けたと判断した場合(S209:NO)、CPU11は、最後に受け付けた変更指示である用紙サイズの変更、すなわち、ユーザ定義サイズの登録指示にて登録した用紙サイズ、または選択された登録済みユーザ定義サイズ、への変更をキャンセルし、元の用紙サイズに戻す(S211)。
【0071】
一方、印刷設定画面51にて受け付けた指示がユーザ定義サイズの登録や選択の指示ではないと判断した場合(S204:NO)、すなわち、印字品質の変更指示を受け付けたと判断した場合、CPU11は、受け付けた印字品質に対応する用紙サイズの範囲を決定する(S212)。この場合、印刷設定処理のS104にて受け付けた印字品質の変更指示は、品質変更指示の一例であり、S104は、品質変更受付処理の一例でもある。S212は、決定処理の一例であり、S212にて決定される用紙サイズの範囲は、第1閾値範囲の一例である。
【0072】
そして、CPU11は、印刷設定画面51にて指定されている用紙サイズが、S212にて決定した範囲内であるか否かを判断する(S213)。S213は、品質変更判断処理の一例である。範囲内であると判断した場合(S213:YES)、CPU11は、印字品質を、指定された印字品質に変更する(S214)。S214は、第1品質変更処理の一例である。
【0073】
範囲内ではないと判断した場合(S213:NO)、CPU11は、範囲外であることを示すメッセージをユーザIF18に表示させる(S215)。S215にて表示させるメッセージは、設定中の用紙サイズが変更を指示された印字品質での対応可能な範囲外であり、用紙高さを小さくする変更を許可するか否かを問い合わせるサイズ変更メッセージである。S215は、品質変更報知処理の一例である。
【0074】
サイズ変更メッセージの例を
図11に示す。
図11に示すサイズ変更メッセージ56は、用紙サイズが用紙高さの大きいユーザ定義サイズに設定されている場合であって、この用紙サイズが、変更指示を受け付けた印字品質である「最高品質」で対応可能な範囲外である場合の例である。このサイズ変更メッセージ56には、「最高品質」で対応可能な最大の用紙高さが表示され、さらに、OKボタン561と、キャンセルボタン562と、が表示され、CPU11は、何れかへの操作を受け付ける。
【0075】
そして、CPU11は、OKボタン561への操作を受け付けたか否かを判断する(S216)。OKボタン561への操作を受け付けたと判断した場合(S216:YES)、CPU11は、用紙高さを変更して(S217)、指示された印字品質に変更する。具体的には、CPU11は、用紙高さを、指示された印字品質で対応可能な最大の用紙高さまで小さくする。S217は、第2品質変更処理の一例である。
【0076】
一方、OKボタン561ではなく、キャンセルボタン562への操作を受け付けたと判断した場合(S216:NO)、CPU11は、最後に受け付けた変更指示である印字品質の変更をキャンセルし、元の印字品質に戻す(S218)。
【0077】
S207、S210、S211、S214、S217、S218のいずれかの後、CPU11は、サイズ確認処理を終了して印刷設定処理に戻り、さらに印刷設定画面51への各種の入力を受け付ける。なお、用紙サイズの変更に伴い、選択可能な印字品質の範囲が変更になる場合には、CPU11は、印刷設定画面51中の印字品質の選択欄512にて選択可能とする印字品質の選択肢を変更する。
【0078】
図3の印刷設定処理の説明に戻る。S108のサイズ確認処理の後、CPU11は、S104に戻り、印刷設定画面51への入力をさらに受け付ける。また、印刷設定画面51にて用紙サイズや印字品質以外の項目の変更指示を受け付けたと判断した場合(S105:YES)、CPU11は、印刷設定画面51の表示を更新して(S109)、S104に戻り、さらに入力を受け付ける。
【0079】
また、印刷設定画面51にてOKボタン514への操作を受け付けたと判断した場合(S106:YES)、CPU11は、印刷設定を編集中の内容に決定し(S110)、決定した印刷設定をデータ構造体に書き込んで、印刷設定処理を終了する。なお、CPU11は、決定した印刷設定をプリンタドライバ43用の記憶領域に記憶させても良い。
【0080】
また、印刷設定画面51にてキャンセルボタン515への操作を受け付けたと判断した場合(S107:YES)、CPU11は、印刷設定画面51にて受け付けた編集を全て破棄し(S111)、印刷設定処理を終了する。すなわち、CPU11は、編集された印刷設定をデータ構造体やプリンタドライバ43用の記憶領域に書き込まず、編集結果の情報を破棄する。
【0081】
なお、プリンタドライバ43は、印刷アプリ42等のアプリからの指示に限らず、例えば、OS41、プリンタドライバ43のメーカが提供する関連ツール、から印刷設定の編集指示を受け付けた場合にも、印刷設定処理を実行する。この場合、CPU11は、S110にて決定した印刷設定をプリンタドライバ43用の記憶領域に記憶させる。つまり、編集後の印刷設定は、恒久的なものとなる。なお、OS41または各種の関連ツールやアプリが、プリンタドライバ43用の記憶領域に編集後の印刷設定を記憶させても良い。
【0082】
ここまで、印刷アプリ42等にて印刷設定の編集指示を受け付けたことを契機にプリンタドライバ43が起動された場合について説明した。印刷アプリ42等からの指示で、CPU11が印刷設定処理を実行した場合、S110またはS111の後に印刷設定処理を終了した後も、印刷アプリ42等が終了されるまで、データ構造体は保持される。印刷アプリ42等は、プリンタドライバ43による印刷設定処理の終了の通知を受け取った後、当該アプリにて受け付け可能な各種の指示を受け付ける。
【0083】
なお、印刷アプリ42等のアプリでは、印刷設定の編集指示を受け付けることなく、つまり、前述した印刷設定処理を実行せずに印刷実行の指示を受け付ける場合がある。その場合でも、プリンタドライバ43は、印刷設定処理の開始時と同様に、プリンタドライバ43用の記憶領域に記憶されている印刷設定を読み出してデータ構造体に記憶させ、印刷アプリ42等は、そのデータ構造体から印刷設定を取得する。
【0084】
また、本形態の印刷アプリ42は、アプリの設定画面中で印字品質の選択を受け付ける。印刷アプリ42は、印刷を実行させる装置としてプリンタ2が選択された状態で、印字品質の選択指示を受け付けた場合に、プリンタドライバ43を起動して、プリンタドライバ43にプリンタ2にて対応可能な印字品質の範囲を問い合わせる。プリンタドライバ43は、印刷アプリ42からの問い合わせを受けた場合、印字品質応答処理を実行する。
【0085】
次に、本形態のプリンタドライバ43による印字品質応答処理の手順について、
図12のフローチャートを参照して説明する。印字品質応答処理は、印刷アプリ42から印字品質の問い合わせを受けて、プリンタドライバ43が起動されたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。なお、プリンタドライバ43が予め起動されていれば、印字品質の選択指示を受け付けた印刷アプリ42が、プリンタドライバ43に印字品質応答処理の実行開始を指示する。印刷アプリ42から受け付ける印字品質の問い合わせは、能力要求の一例である。
【0086】
印字品質応答処理では、CPU11は、まず、設定されている用紙サイズを取得する(S401)。用紙サイズの情報は、例えば、印刷アプリ42とプリンタドライバ43とで共用されるデータ構造体から取得しても良いし、問い合わせの際に印刷アプリ42から渡されても良いし、プリンタドライバ43が印刷アプリ42に問い合わせて取得しても良い。問い合わせの際に印刷アプリ42から渡される用紙サイズの情報は、媒体サイズパラメータを示す情報の一例である。
【0087】
CPU11は、取得した用紙サイズに対して、対応可能な範囲の印字品質の選択肢を取得する(S402)。CPU11は、用紙幅と用紙高さとの両方が対応可能な範囲内となる印字品質を、全ての印字品質の選択肢から抽出して、選択肢を取得する。さらに、CPU11は、取得した印字品質の選択肢を示す情報を、印刷アプリ42に応答し(S403)、印字品質応答処理を終了する。S403は、能力応答処理の一例である。
【0088】
印刷アプリ42では、受け取った情報に基づいて、選択可能な印字品質の選択肢を表示してユーザの選択を受け付ける。プリンタドライバ43が対応可能な印字品質を応答することで、印刷アプリ42にて不適切な印字品質の選択を受け付けることが回避される。なお、プリンタドライバ43と印刷アプリ42との情報のやり取りは、直接行っても良いし、OS41を介して行っても良い。
【0089】
以上、詳細に説明したように、本形態のプリンタドライバ43を備えるPC1は、受け付けた印刷設定にて、指定されている印字品質に応じて受け付け可能な用紙サイズの範囲を決定し、決定された範囲内の用紙サイズの指定を受け付ける。例えば、低品質の印字品質が指定されている場合には、高品質の印字品質が指定されている場合に比較して、受け付け可能な用紙サイズの範囲が広がることから、所望のサイズが受け付けられる可能性が高くなる。その結果、用紙サイズの受け付け可能な範囲を固定する場合と比較して、用紙サイズの設定の自由度が広がる。
【0090】
さらに、本形態では、印字品質が高品質であるほど受け付け可能な用紙サイズの範囲が小さい。例えば、低解像度であれば高解像度の場合よりも印刷データのサイズが小さいことから、低解像度が選択されることで、より大きい用紙サイズが受け付け可能となる。従って、用紙サイズの設定の自由度が広がる。
【0091】
さらに、本形態では、印刷設定にて指定されている印字品質に応じて、登録画面にて受け付け可能な用紙サイズの範囲を変更するので、不適切な設定を回避できる。また、登録画面52にて登録対象の用紙サイズの範囲の拡張指示を受け付け、拡張指示に応じて印字品質を低品質とすることで、より広範囲の用紙サイズを設定可能としている。従って、ユーザの指示に基づいて、用紙サイズの受け付け可能な範囲を広げることができる。
【0092】
さらに、本形態では、用紙サイズの範囲の拡張指示を受け付けた場合、印字品質が変更されることを示す情報を報知するので、ユーザが受け付け可能な用紙サイズの範囲の拡張に伴って印字品質が変更されることを認識でき、ユーザの意図しない変更による不審を回避できる。また、用紙サイズの範囲の拡張指示がキャンセルされた場合、入力されている用紙サイズが元の印字品質での範囲外となる場合には、その旨を報知するので、不適切な設定を回避できる。
【0093】
また、本形態では、印字品質の変更指示を受け付けた場合、指定されている用紙サイズが変更後の印字品質で許容されるサイズの範囲外となる場合には、その旨を報知するので、不適切な設定を回避できる。さらに、印字品質の変更指示を受け付けた場合、受け付けた印字品質の変更を優先して、印字品質に合わせて用紙サイズを変更するので、ユーザが希望する印字品質に変更でき、不適切な設定を回避できる。
【0094】
また、本形態では、用紙サイズの変更指示を受け付けた場合、変更後の用紙サイズが指定されている印字品質で許容されるサイズの範囲外となる場合には、その旨を報知するので、不適切な設定を回避できる。さらに、用紙サイズの変更指示を受け付けた場合、受け付けた用紙サイズの変更を優先して、用紙サイズに合わせて印字品質を変更するので、ユーザが希望する用紙サイズに変更でき、不適切な設定を回避できる。
【0095】
また、本形態では、印刷アプリ42等のアプリから能力要求を受け付けた場合にも、選択されている用紙サイズに適した印字品質の選択肢を応答するので、アプリにて不適切な印字品質が選択されることを回避できる。
【0096】
なお、本形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタ2は、印刷単機能の装置に限らず、例えば、原稿読取機能やFAX送受信機能を備えている装置であっても良い。本形態は、プリンタ2に代えて、複合機、コピー機、FAX装置等に接続されるPC1にも適用可能である。また、PC1には、2台以上のプリンタが接続されていても良い。
【0097】
また、例えば、各図に示したメッセージや設定画面は、いずれも一例であり、同等の内容を報知できる表示であればよい。例えば、
図8に示した報知メッセージ53では、変更される印字品質の選択肢そのものを表示する代わりに、単に品質が低下することを示すメッセージであっても良いし、品質の変更に伴う間接的な情報であっても良い。品質の変更に伴う間接的な情報としては、例えば、印刷速度が高速になることを示す情報が有る。また、印字品質の変更に伴って対応不可能となる設定がある場合には、その旨を報知しても良い。
【0098】
また、例えば、拡張指示はオンとオフとの選択に限らず、段階があっても良い。例えば、最低品質となるまでの複数の段階を受け付けても良い。また、チェックボックス527へのチェック有りから無しへの入力を受け付けた場合、用紙サイズの範囲と共に印字品質も元に戻すとしたが、戻さなくても良い。その場合、S312での用紙サイズの判断は不要であり、単に用紙サイズの範囲522を狭くすれば良い。また、拡張指示や復帰指示は受け付けない、すなわち、チェックボックス527を設けないとしても良い。
【0099】
また、例えば、サイズ確認処理のS206やS213の判断は、用紙サイズを大きくする変更指示、または、印字品質を高くする変更指示、を受け付けた場合に限って行うとしても良い。つまり、用紙サイズを小さくする変更指示や印字品質を低くする変更指示を受け付けた場合には、S206やS213の判断を行わず、S207またはS214に進むとしても良い。
【0100】
また、例えば、用紙サイズや印字品質の変更指示によって、用紙サイズが印字品質に対して許容される範囲外となる場合に、メッセージを表示させてユーザに問い合わせるとしたが、受け付けた指示を優先して他方を自動的に変更しても良い。なお、その場合でも、変更したことを報知すると良い。
【0101】
また、例えば、実施の形態では、ユーザ定義登録処理のS301にて、入力可能な用紙サイズの範囲522として、指定されている印字品質で許容されるサイズの範囲を表示するとしたが、これに限らない。例えば、初期画面では、入力可能な用紙サイズの範囲522としてデフォルトの範囲を表示させても良い。デフォルトの範囲は、例えば、印字品質にかかわらず対応可能な用紙サイズの範囲、すなわち最高品質にて対応可能な範囲である。この場合、指定されている印字品質が最高品質でなければ、指定されている印字品質で許容されるサイズの範囲は、表示中のデフォルトの範囲よりも広いことから、チェックボックス527のチェックが無しから有りに変更された場合(S306にてYES)、指定されている印字品質で許容されるサイズの範囲に変更して表示しても良い。この場合、報知メッセージを表示することなく、S307~S311をスキップして、単に用紙サイズの範囲522の表示を変更するのみでS303へ進むとすればよい。
【0102】
また、本形態では、ユーザ定義サイズの用紙サイズである場合に印字品質との適合性を判断しているが、定型サイズであっても同様の判断を行っても良い。例えば、定型サイズにも、印字品質によっては対応不可能な用紙サイズが含まれていても良い。この場合、CPU11は、定型サイズの用紙名を選択された場合でも、印刷設定処理のS104やサイズ確認処理のS204にてYESと判断する。
【0103】
また、各実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0104】
また、各実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 PC
11 CPU
41 OS
42 印刷アプリ
43 プリンタドライバ