(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】アクセシビリティ判定装置、アクセシビリティ判定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231121BHJP
G06T 7/246 20170101ALI20231121BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20231121BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06T7/246
G06T7/60 180B
(21)【出願番号】P 2020043947
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】籔内 智浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 和夫
(72)【発明者】
【氏名】岩本 直人
(72)【発明者】
【氏名】ラマ・エンドリ
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-115406(JP,A)
【文献】特開2018-124604(JP,A)
【文献】特開2017-102846(JP,A)
【文献】特開2018-55248(JP,A)
【文献】森 博志,外2名,往来者の注意を喚起するヴァーチャルヒューマン広告提示システム,情報処理学会論文誌 論文誌ジャーナル Vol.52 No.4 [CD-ROM] IPSJ Journal,日本,一般社団法人情報処理学会,2011年,第52巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザと異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザが前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部と、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザに対して報知を行う報知部とを備え、
前記処理部は、前記撮像部と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する、
アクセシビリティ判定装置。
【請求項2】
ユーザの周囲環境を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザと異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、及び表情を特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザが前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部と、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザに対して報知を行う報知部とを備え、
前記処理部は、前記撮像部と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する、
アクセシビリティ判定装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記ユーザの周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得し、
前記処理部は、前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人の顔の移動方向を更に特定し、特定された前記他人の顔の移動方向に更に基づいて、前記アクセシビリティを決定する、請求項2に記載のアクセシビリティ判定装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合、前記他人について前記アクセシビリティを決定し、
前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出しなかった場合、前記他人について前記アクセシビリティを決定しない、請求項1~3のいずれか1項に記載のアクセシビリティ判定装置。
【請求項5】
前記対象者検出部は、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが前記予め定められた基準を満たす場合、前記他人が前記予め定められた対象者であるか否かを検出し、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが前記予め定められた基準を満たさない場合、前記他人が前記予め定められた対象者であるか否かを検出しない、請求項1~3のいずれか1項に記載のアクセシビリティ判定装置。
【請求項6】
制御部が、ユーザの周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して得られた複数の撮像画像を取得するステップと、
前記制御部が、前記撮像画像を解析して前記ユーザと異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出ステップと、
前記制御部が、前記顔器官検出ステップの検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザが前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定するアクセシビリティ決定ステップと、
前記制御部が、前記顔器官検出ステップの検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出ステップと、
前記アクセシビリティ決定ステップにおいて決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出ステップにおいて前記他人が前記予め定められた対象者であることが検出された場合に、前記ユーザに対して報知を行うステップとを含む、
アクセシビリティ判定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のアクセシビリティ判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、他人とのコミュニケーションの取りやすさの指標を示すアクセシビリティを判定するアクセシビリティ判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
他人との会話等のコミュニケーションを含む社会生活を行う上で、他人が話しかけられてもよい状態であるか否かを把握することが重要な事項の1つである。撮影対象人物等の相手が自分又は自装置に関心を持っているか否かを判定する装置が知られている。例えば、特許文献1は、装置本体の前方の人物の装置本体に対する位置の推移に基づいて、その人物が、商品販売装置を利用しようとしている人物であるかを推定できる商品販売装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、他人の位置の推移が自分の方向に近づくものであったとしても、当該他人の顔がこちらを向いていない、又は怒った顔である等の場合には、円滑なコミュニケーションは期待できない。自分が他人と円滑にコミュニケーションを取ることができるか否かを的確に判断するには、他人の位置の推移を把握するだけでは足りない。
【0005】
本開示の目的は、ユーザが知人等の対象者と円滑にコミュニケーションを取ることを可能にするアクセシビリティ判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るアクセシビリティ判定装置は、
ユーザの周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザと異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザが前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部と、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザに対して報知を行う報知部とを備え、
前記処理部は、前記撮像部と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する。
【0007】
本開示の他の態様に係るアクセシビリティ判定装置は、
ユーザの周囲環境を撮像して撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザと異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、及び表情を特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザが前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部と、
前記顔器官検出部の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部と、
前記処理部によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザに対して報知を行う報知部とを備え、
前記処理部は、前記撮像部と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るアクセシビリティ判定装置は、ユーザが知人等の対象者と円滑にコミュニケーションを取ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係るアクセシビリティ判定装置の適用例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】
図3に示したアクセシビリティの決定ステップの流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図3に示した閾値Mthの決定ステップの流れを示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して本開示に係るナビゲーション装置の実施の形態を説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0011】
1.適用例
図1は、本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置100の適用例を示す模式図である。アクセシビリティ判定装置100は、ユーザ90の周囲環境をカメラ2によって撮像し、話しかけてもよい状態である知人等の対象者91が周囲にいる場合、音声出力装置72を用いてユーザ90に対して報知を行う。カメラ2は、本開示の「撮像部」の一例である。
【0012】
アクセシビリティ判定装置100は、知人等の対象者91が話しかけてもよい状態であるか否かを、アクセシビリティという指標に基づいて判断する。ここで、アクセシビリティとは、ユーザ90が他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を表す。アクセシビリティは、カメラ2によって撮像された撮像画像内の顔の情報に基づいて決定される。
【0013】
例えば、
図1に示したように対象者91の顔がユーザ90の方向を向き、笑顔である場合にはアクセシビリティが高く、対象者91は、ユーザ90が話しかけてもよい状態であるといえる。このような場合、アクセシビリティ判定装置100は、音声出力装置72を介して、ユーザ90に対して報知を行う。報知の内容は、例えば、対象者91の位置、対象者91の氏名、アクセシビリティの高さ等の情報である。報知により、ユーザ90は、話しかけてもよい状態である対象者91が周囲にいることを認識することができる。したがって、ユーザ90は、対象者91に話しかけるなどして、対象者91と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0014】
特に、ユーザ90が視覚障がい者である場合、街中で知人と遭遇しても、視覚によっては当該知人の存在を認識することができないことがあり得る。ユーザ90が知人と会話をしたいと望んでいたとしても、会話をすることなく通り過ぎてしまう場合がある。このような場合、アクセシビリティ判定装置100が、アクセシビリティが高い状態である知人が周囲にいることをユーザ90に報知することで、ユーザ90は知人と円滑にコミュニケーションを取ることができる。このように、アクセシビリティ判定装置100は、視覚障がい者であるユーザ90のコミュニケーションを支援する装置として適用可能である。
【0015】
ユーザ90は、自律移動可能なロボットであってもよい。この場合、カメラ2及び音声出力装置72等のアクセシビリティ判定装置100の構成要素は、ロボットに組み込まれてもよい。この場合、ロボットは、例えば自走している最中に、カメラ2の撮像画像に基づいて、対象者91が話しかけてもよい状態であるか否かを認識することができる。これにより、社会で人間とロボットが共存する場合に、ロボットが人間と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0016】
2.構成例
図2は、本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置100の構成例を示すブロック図である。アクセシビリティ判定装置100は、カメラ2と、制御部4と、記憶部5と、通信インタフェース(I/F)6と、報知部7とを備える。
【0017】
カメラ2は、ユーザ90の周囲の環境を撮像して撮像画像を形成する撮像装置である。カメラ2は、例えば所定のフレームレートでユーザ90の周辺を撮影し、逐次、画像データを生成する。カメラ2は、例えば、CMOS(Complementary MOS)、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子によって撮像画像を形成する。カメラ2は、例えば、ユーザ90が装着できるウェアラブルカメラである。カメラ2は、リュックサック、スーツケース等のユーザ90の荷物に搭載されてもよい。
【0018】
報知部7は、例えば制御部4による制御に従って出力を行う出力装置である。報知部7は、ユーザ90に対して報知を行う。報知部7は、例えば、表示装置71、音声出力装置72、及びバイブレータ73を含む。表示装置71は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及びプロジェクタを含む。音声出力装置72は、例えば、スピーカ、イヤホン、及びヘッドホン等のオーディオ機器を含む。
【0019】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じてアクセシビリティ判定装置100の各構成要素の制御を行う情報処理装置である。制御部4は、構成要素として、例えば、画像取得部41と、顔検出部42と、顔器官検出部43と、対象者検出部44と、アクセシビリティ決定部45と、出力制御部46とを含む。制御部4の各構成要素は、制御部4が必要なプログラムを実行することによって、それぞれが担当する処理を実行してもよい。このようなプログラムは、記憶部5に記憶されていてもよい。制御部4が必要なプログラムを実行する際は、記憶部5に記憶された対象となるプログラムをRAMに展開する。制御部4は、RAMに展開された当該プログラムをCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。各構成要素の動作例については後述する。
【0020】
記憶部5は、コンピュータその他の装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶部5は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部5は、例えば、顔データベース51、及び制御部4が実行するプログラム等を記憶する。記憶部5は、RAM等の主記憶装置を含んでもよい。
【0021】
通信インタフェース6は、アクセシビリティ判定装置100と外部機器との通信接続を可能とするためのインタフェース回路を含む。通信インタフェース6は、例えば、IEEE802.3、IEEE802.11又はWi-Fi(登録商標)、LTE、3G、4G、5G等の規格に従って通信を行う。通信インタフェース6は、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)、IEEE1394、Bluetooth(登録商標)等の規格に従って通信を行うインタフェース回路であってもよい。
【0022】
本実施形態では、制御部4の各機能がCPUによって実現される例について説明する。しかしながら、以上の機能の一部又は全部は、1又は複数の専用のプロセッサにより実現されてもよい。また、制御部4の構成要素に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換及び追加が行われてもよい。制御部4は、CPU、MPU、GPU、マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。
【0023】
3.動作例
3-1.全体のフロー
アクセシビリティ判定装置100は、カメラ2によって撮像された撮像画像に知人等の対象者が写っているか否かを検出し、写っている場合には、対象者についてのアクセシビリティを決定する。アクセシビリティ判定装置100は、決定されたアクセシビリティが予め定められた閾値より大きい場合、ユーザ90に対して報知を行う。これにより、ユーザ90は、周辺にいる知人等の対象者が話しかけてもよい状態であるかどうかを知ることができる。したがって、アクセシビリティ判定装置100を用いることにより、ユーザ90は、日常生活において、知人や興味のある人と円滑にコミュニケーションを取ることができる。以下、アクセシビリティ判定装置100の動作例について、
図3~5を参照して説明する。
【0024】
図3は、アクセシビリティ判定装置100の動作例を示すフローチャートである。
図3に示した処理は、例えば制御部4によって、所定の周期で実行される。
【0025】
(ステップS1)
まず、画像取得部41は、カメラ2によって撮像された撮像画像を取得する(S1)。例えば、カメラ2は、一定のフレームレートで撮像を行う。ステップS1においては、画像取得部41は、複数の撮像画像を取得してもよい。以下では、画像取得部41が1つの撮像画像を取得した後に次のステップS2に進む処理例について説明する。しかしながら、本開示はこれに限定されない。例えば、ステップS1において、画像取得部41は、複数フレームで構成される動画を取得してもよいし、複数枚の静止画像を取得してもよい。
【0026】
(ステップS2)
次に、顔検出部42は、画像取得部41によって取得された撮像画像を解析し、人の顔を検出する(S2)。ここで、人の顔を検出するとは、撮像画像内において人の顔が写っていると推定される領域を検出することを含む。
【0027】
(ステップS3)
次に、顔器官検出部43は、顔検出部42によって検出された顔の中で、顔の器官(以下、「顔器官」という。)を検出する(S3)。ここで、顔器官は、組織の集まりであって、特定の機能を有するものを含む。例えば、顔器官は、目、鼻、口、及び耳を含む。顔器官は、皮膚を含んでもよい。顔全体が顔器官に含まれてもよい。例えば、顔器官検出部43は、顔器官の位置を検出する。
【0028】
(ステップS4,S5)
次に、対象者検出部44は、顔器官検出部43の検出結果と、対象者の顔に関する情報が格納された顔データベース51とに基づいて、顔検出部42によって検出された顔が対象者の顔であるか否かを検出する(S4)。ステップS4で実行されるのは、顔検出部42によって検出された顔が対象者の顔に一致又は類似するか否かの同一性識別処理である。対象者は、ユーザ90がコミュニケーションを取りたい又は取り得る相手方であり、例えばユーザ90の知人、著名人等を含む。対象者検出部44が参照する顔に関する情報は、記憶部5に記憶された顔データベース51に限定されない。例えば、対象者検出部44は、通信インタフェース6を介して、ネットワークに接続された外部サーバに格納された顔のデータベースを参照してもよい。検出された顔が対象者の顔である場合(ステップS5でYesの場合)、ステップS6に進み、検出された顔が対象者の顔でない場合(ステップS5でNoの場合)、制御部4は、
図3に示したフローを終了する。
【0029】
ステップS2の顔の検出、ステップS3の顔器官の検出、及びステップS4の対象者の検出には、テンプレートマッチング等の公知の画像解析手法が用いられてもよいし、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ等の機械学習により構築された識別器が用いられてもよい。
【0030】
(ステップS6,S7)
ステップS6では、アクセシビリティ決定部45は、アクセシビリティMを決定する(S6)。アクセシビリティ決定部45は、本開示の「処理部」の一例である。アクセシビリティMは、ユーザ90が他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標である。次に、アクセシビリティ決定部45は、アクセシビリティMについての閾値Mthを決定する(S7)。閾値Mthは、本開示の「予め定められた基準」の一例である。ステップS6及びステップS7の詳細は後述する。
【0031】
(ステップS8,S9)
次に、出力制御部46は、アクセシビリティMが閾値Mthより大きいか否かを判断する(S8)。ステップS8においてアクセシビリティMが閾値Mth以下であると判断した場合(ステップS8でNoの場合)、制御部4は、報知を行わずに
図3に示したフローを終了する。アクセシビリティMが閾値Mthより大きいと判断した場合(ステップS8でYesの場合)、出力制御部46は、報知部7を制御して、ユーザ90に対して報知を行う(S9)。例えば、報知ステップS9では、ディスプレイ等の表示装置71が、ステップS4で検出された知人の氏名と、アクセシビリティMとを表示する。これらの情報は、音声出力装置72が音声によりユーザ90に報知してもよい。ステップS9では、バイブレータ73が振動することにより、周囲に知人がいて、知人についてのアクセシビリティMが閾値Mthより大きい旨をユーザ90に伝えてもよい。
【0032】
3-2.アクセシビリティMの決定処理
図4は、
図3に示したアクセシビリティMの決定ステップS6の流れを示すフローチャートである。
【0033】
(ステップS61)
まず、アクセシビリティ決定部45は、
図3のステップS3で検出された顔器官の情報に基づいて、顔の向きを特定する(S61)。顔の向きは、例えば、
図3のステップS3の検出結果から各顔器官の位置を表す特徴量を検出し、この特徴量を三次元顔形状モデルと比較することにより求めることができる。顔の向きは、例えば、ベクトルで表される。顔の向きは、カメラ2の方向を向いている場合を0°とする角度で表されてもよい。顔の向きを求める手法には、国際公開2006/051607号明細書、特許第4093273号公報等に例示されている技術が適用されてもよい。
【0034】
(ステップS62)
次に、アクセシビリティ決定部45は、顔の向きに関する第1の評価指標FPを特定する(S62)。ここで、第1の評価指標FPは、顔の向きに関してアクセシビリティMを評価するための評価指標を表す。第1の評価指標FPは、アクセシビリティMを構成する成分のうち、顔の向きに関するものともいえる。アクセシビリティ決定部45は、対象者がカメラ2の方向を向いていると、第1の評価指標FPを大きい値に設定する。例えば、第1の評価指標FPは、顔の向きの角度が0°である場合に最大となり、角度が大きくなるに連れて減少し、180°である場合に最小となる値である。第1の評価指標FPは、カメラ2の光軸の向きと、対象者の顔の向きとの内積に、-1を乗じたもので表されてもよい。第1の評価指標FPは、例えば、0~1の値となるように正規化される。
【0035】
(ステップS63)
また、アクセシビリティ決定部45は、
図3のステップS2で検出された顔の情報又はステップS3で検出された顔器官の情報に基づいて、顔の移動方向を特定する(S63)。例えば、アクセシビリティ決定部45は、異なる時刻に撮像された複数の撮像画像内の顔の位置又は顔器官の位置を比較して、顔の移動方向を特定する。顔の移動方向は、例えば、対象者の顔の3D位置変化ベクトルである。
【0036】
(ステップS64)
次に、アクセシビリティ決定部45は、顔の移動方向に関する第2の評価指標FMを特定する(S64)。ここで、第2の評価指標FMは、顔の移動方向に関してアクセシビリティMを評価するための評価指標を表す。第2の評価指標FMは、アクセシビリティMを構成する成分のうち、顔の移動方向に関するものともいえる。アクセシビリティ決定部45は、顔の移動方向がカメラ2の方向を向いていると、第2の評価指標FMを大きい値に設定する。第2の評価指標FMは、例えば、カメラ2の光軸の向きと、対象者の顔の位置変化ベクトルとの内積に、-1を乗じたもので表される。第2の評価指標FMは、例えば、0~1の値となるように正規化される。
【0037】
(ステップS65)
また、アクセシビリティ決定部45は、
図3のステップS3で検出された顔器官の情報に基づいて、顔の表情を推定する(S65)。例えば、アクセシビリティ決定部45は、顔器官の情報から、眼、眉、口等の顔の特徴点間の距離、または顔表面のエッジを、顔の表情を表す情報として検出する。
【0038】
表情の推定には、公知の手法が用いられてもよい。例えば、アクセシビリティ決定部45は、顔器官の位置情報に基づき顔器官の相対位置や形状に関わる特徴量を抽出する。特徴量は、例えば、Haar-like特徴量、特徴点間距離、フーリエ記述子を含む。次に、抽出された特徴量が、表情を判別する表情判別器に入力され、表情のスコア(表情成分値)が出力される。表情のスコアは、笑顔の度合いを示す笑度、幸福の度合いを示す幸福度等を含む。表情判別器は、例えば、ニューラルネットワーク、自己組織化マップ等の機械学習により多数の顔のサンプル画像を学習して構築される。
【0039】
顔の表情の推定とは、顔表情の種類を判別すること、すなわち認識の対象である顔
の表情の種類を感情を示す語によって特定することを含む。ここで、顔表情の特定は、単一の感情を示す語による特定でもよいし、感情を示す語の組み合わせによる特定でもよい。感情を示す語を組み合わせる場合、各感情を示す語が重み付けされていてもよい。例えば、顔の表情は、ポール・エックマン(Paul Ekman)の表情分析をもとに、顔表情を「真顔」、「喜び」、「怒り」、「嫌悪」、「驚き」、「怖れ」、及び「悲しみ」の7種類に分類される。表情の推定結果としては、7種類の表情それぞれの度合い(表情らしさ、表情度とも呼ぶ)を合計が1となるように数値化されたスコアが出力される。各表情のスコアは表情成分値とも呼ばれる。
【0040】
上記の表情判別器は、1つでなくてもよく、上記の7種類の表情をそれぞれ担当する7つの判別器で構成されてもよい。
【0041】
顔の表情を推定する手法には、特開2019-111092号公報、特開2016-149063号公報、特開2014-206903号公報等に例示されている技術が適用されてもよい。
【0042】
(ステップS66)
ステップS65の次に、アクセシビリティ決定部45は、顔の表情に関する第3の評価指標FAを特定する(S66)。ここで、第3の評価指標FAは、顔の表情に関してアクセシビリティMを評価するための評価指標を表す。第3の評価指標FAは、アクセシビリティMを構成する成分のうち、顔の表情に関するものともいえる。アクセシビリティ決定部45は、顔の表情がコミュニケーションに関してポジティブである場合に、第3の評価指標FAを大きい値に設定する。顔の表情がコミュニケーションに関してポジティブである場合とは、例えば、ステップS65の表情推定の結果、顔の表情が「喜び」に分類される場合を含む。あるいは、顔の表情がコミュニケーションに関してポジティブである場合とは、ステップS65の表情推定の結果、笑度又は幸福度が予め定められた閾値以上である場合を含む。
【0043】
(ステップS67)
次に、アクセシビリティ決定部45は、第1~第3の評価指標FP,FM,FAに基づいて、アクセシビリティMを決定する。例えば、アクセシビリティMは、第1~第3の評価指標FP,FM,FAの和である。第1~第3の評価指標FP,FM,FAが0~1の値となるように正規化されている場合、アクセシビリティMを正規化するために、第1~第3の評価指標FP,FM,FAの和に1/3を乗じたものをアクセシビリティMとしてもよい。アクセシビリティMは、第1~第3の評価指標FP,FM,FAの平均値であってもよい。
【0044】
以上では、
図4に示すように、ステップS61~S67が順次実行される例について説明した。しかしながら、本実施形態におけるアクセシビリティMの決定処理ステップS6はこれに限定されない。具体的には、ステップS62はステップS61の次に、ステップS64はステップS63の次に、ステップS66はステップS65の次に実行される必要があるが、ステップS61,S63,S65は順不同に実行されてよい。あるいは、ステップS61,S63,S65は、並列に処理されてもよい。
【0045】
また、以上では、
図4に示すように、アクセシビリティ決定部45が、第1~第3の評価指標F
P,F
M,F
Aのすべてを決定する例について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されない。アクセシビリティ決定部45は、第1~第3の評価指標F
P,F
M,F
Aのうちの少なくとも1つを決定するものであればよい。例えば、第1の評価指標F
Pのみが決定される場合、
図4のステップS63~S66を省略することができる。この場合、ステップS67では、アクセシビリティMは、第1の評価指標F
Pのみに基づいて決定される。
【0046】
あるいは、アクセシビリティ決定部45は、第1~第3の評価指標FP,FM,FAのうちの2つを決定し、決定された2つの評価指標に基づいてアクセシビリティMを決定するものであってもよい。この場合、例えば、第1の評価指標FP及び第3の評価指標FAが決定され、この2つに基づいてアクセシビリティMが決定される。
【0047】
3-3.アクセシビリティMの閾値Mthの決定処理
図5は、
図3に示した閾値Mthの決定ステップS7の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、アクセシビリティ決定部45は、
図3のステップS2で検出された顔の情報又はステップS3で検出された顔器官の情報に基づいて、カメラ2と対象者との距離dを検出する(S71)。カメラ2は、ユーザ90が装着するウェアラブルカメラ、ユーザ90の荷物に搭載されるカメラであるため、カメラ2と対象者との距離dは、ユーザ90と対象者との距離と同程度のものといえる。
【0049】
次に、アクセシビリティ決定部45は、ステップS71で検出された距離dが長距離であるか、中距離であるか、又は短距離であるかを判定する(S72,S73)。例えば、アクセシビリティ決定部45は、距離dが5mより長いときに長距離であると判定し、3mより長く5m以下であるときに中距離であると判定し、3m以下であるときに短距離であると判定する。
【0050】
距離dが長距離であると判定した場合(ステップS72でYesの場合)、アクセシビリティ決定部45は、閾値Mthを高レベル値M1に設定する(S74)。高レベル値M1は、例えば、アクセシビリティMが正規化されている場合、0.8に設定される。
【0051】
距離dが中距離であると判定した場合(ステップS73でYesの場合)、アクセシビリティ決定部45は、閾値Mthを高レベル値M1より低い中レベル値M2に設定する(S75)。中レベル値M2は、例えば、アクセシビリティMが正規化されている場合、0.5に設定される。
【0052】
距離dが短距離であると判定した場合(ステップS73でNoの場合)、アクセシビリティ決定部45は、閾値Mthを中レベル値M2より低い低レベル値M3に設定する(S76)。低レベル値M3は、例えば、アクセシビリティMが正規化されている場合、0.2に設定される。
【0053】
このように、制御部4は、距離dが長い程、報知ステップS9を実行する条件(ステップS8)を厳しくする。
【0054】
制御部4は、距離dが長い程、報知を行う条件を厳しくするものであればよく、厳しくする手段は
図3及び
図5に例示したものに限定されない。以下、距離dが長い程報知を行う条件を厳しくする手段の一例を説明する。例えば、制御部4は、距離dが長距離であると判定した場合、第1~第3の評価指標F
P,F
M,F
Aのすべてが0.8以上であるときに限り報知ステップS9を実行する。制御部4は、距離dが中距離であると判定した場合、第1~第3の評価指標F
P,F
M,F
Aのうちの2つ以上が0.8以上であるときに報知ステップS9を実行する。制御部4は、距離dが短距離であると判定した場合、第1~第3の評価指標F
P,F
M,F
Aのうちのいずれか1つが0.8以上であれば、報知ステップS9を実行する。
【0055】
また、以下、距離dが長い程報知を行う条件を厳しくする手段の他の例を説明する。アクセシビリティ決定部45は、カメラ2と他人との距離dに応じてアクセシビリティMを変更するものであってもよい。例えば、アクセシビリティ決定部45は、第1~第3の評価指標FP,FM,FAの和を距離dで除したものをアクセシビリティMとしてもよい。これにより、距離dが長い程アクセシビリティMが小さくなり、閾値Mthが一定値であっても、距離dが長い程報知ステップS9が実行されにくくなる。
【0056】
4.作用・効果
以上のように、本実施形態に係るアクセシビリティ判定装置100は、撮像部の一例であるカメラ2と、顔器官検出部43と、処理部の一例であるアクセシビリティ決定部45と、対象者検出部44と、報知部7とを備える。カメラ2は、ユーザ90の周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得する(S1)。顔器官検出部43は、撮像画像を解析してユーザ90と異なる他人の顔器官を検出する(S3)。アクセシビリティ決定部45は、顔器官検出部43の検出結果に基づいて、他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定する。また、アクセシビリティ決定部45は、特定された結果に基づいて、ユーザ90が他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティMを決定する(S6)。対象者検出部44は、顔器官検出部43の検出結果に基づいて、他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する(S4)。報知部7は、アクセシビリティ決定部45によって決定されたアクセシビリティMが予め定められた基準を満たし、かつ、対象者検出部44が、他人が予め定められた対象者であることを検出した場合に、ユーザ90に対して報知を行う(S9)。アクセシビリティ決定部45は、カメラ2と他人との距離に応じて、アクセシビリティM又は予め定められた基準を変更する(S7)。
【0057】
この構成により、ユーザ90は、アクセシビリティMが予め定められた基準を満たす状態である、知人等の対象者が周囲にいることを報知により認識することができる。ユーザ90は、報知により認識した対象者に対して、自分から話しかけてもよい状態であると認識することができる。したがって、ユーザ90は、日常生活において、知人等の対象者と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0058】
カメラ2は、時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得するものでなく、ユーザ90の周囲環境を撮像して撮像画像を取得するものであってもよい。アクセシビリティ決定部45は、顔器官検出部43の検出結果に基づいて、他人の顔の向き、及び表情を特定し、特定された結果に基づいてアクセシビリティMを決定するものであってもよい。
【0059】
このように、他人の顔の向き及び表情の2つのパラメータを特定する構成であっても、アクセシビリティMを決定することができる。したがって、上記と同様に、ユーザ90は、日常生活において、知人等の対象者と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0060】
アクセシビリティ決定部45は、顔器官検出部43の検出結果に基づいて、他人の顔の向き、表情、及び顔の移動方向を特定し、特定された結果に基づいてアクセシビリティMを決定するものであってもよい。
【0061】
このように、他人の顔の向き、表情、及び顔の移動方向の3つのパラメータを特定する構成により、精度良くアクセシビリティMを決定することができる。したがって、上記と同様に、ユーザ90は、日常生活において、知人等の対象者と円滑にコミュニケーションを取ることができる。
【0062】
本実施形態では、アクセシビリティ決定部45は、対象者検出部44が、他人が予め定められた対象者であることを検出した場合、当該他人についてアクセシビリティMを決定するものであってもよい。一方、アクセシビリティ決定部45は、対象者検出部44が、他人が予め定められた対象者であることを検出しなかった場合、当該他人についてアクセシビリティMを決定しないものであってもよい。
【0063】
これにより、他人が、知人等の予め定められた対象者でない場合に、当該他人についてアクセシビリティMを決定する処理を省略することができる。したがって、アクセシビリティ判定装置100の処理負荷を低減することができる。
【0064】
5.変形例
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、前述までの説明はあらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0065】
図6は、アクセシビリティ判定装置100の動作の変形例を示すフローチャートである。
図6のフローチャートでは、ステップS3の後にステップS6~S8が実行される。
図3のフローチャートでは、アクセシビリティMが閾値Mthより大きいか否かを判断するステップS8は、ステップS2で検出された顔が対象者の顔である場合(ステップS5でYesの場合)にのみ実行される処理であった。これに対して、
図6のフローチャートでは、アクセシビリティMが閾値Mthより大きいか否かを判断するステップS8は常に実行され、ステップS8でYesの場合にのみ、ステップS2で検出された顔が対象者の顔であるか否かを検出するステップS4が実行される。
【0066】
このように、変形例では、対象者検出部44は、アクセシビリティ決定部45によって決定されたアクセシビリティMが予め定められた基準を満たす場合、他人が予め定められた対象者であるか否かを検出し、それ以外の場合には、他人が予め定められた対象者であるか否かを検出しない。
【0067】
この構成により、アクセシビリティ判定装置100は、撮像画像から検出した顔のうち、アクセシビリティMが予め定められた基準を満たすものについてのみ、対象者の顔との同一性識別処理を実行する。アクセシビリティMが予め定められた基準を満たさない場合には、このような同一性識別処理を省略することができる。したがって、アクセシビリティ判定装置100の処理負荷を低減することができる。
【0068】
(付記)
以下、本開示の種々の態様を説明する。以下に記載する参照符号は例示に過ぎない。
【0069】
本開示の第1態様のアクセシビリティ判定装置100は、
ユーザ90の周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得する撮像部2と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザ90と異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部43と、
前記顔器官検出部43の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザ90が前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部45と、
前記顔器官検出部43の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部44と、
前記処理部45によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部44が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザ90に対して報知を行う報知部7とを備え、
前記処理部45は、前記撮像部2と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する。
【0070】
本開示の第2態様のアクセシビリティ判定装置100は、
ユーザ90の周囲環境を撮像して撮像画像を取得する撮像部2と、
前記撮像画像を解析して前記ユーザ90と異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出部43と、
前記顔器官検出部43の検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、及び表情を特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザ90が前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定する処理部45と、
前記顔器官検出部43の検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出部44と、
前記処理部45によって決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出部44が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合に、前記ユーザ90に対して報知を行う報知部とを備え、
前記処理部45は、前記撮像部2と前記他人との距離に応じて、前記アクセシビリティ又は前記予め定められた基準を変更する。
【0071】
本開示の第3態様では、
前記撮像部は、前記ユーザ90の周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して複数の撮像画像を取得し、
前記処理部は、前記顔器官検出部43の検出結果に基づいて、前記他人の顔の移動方向を更に特定し、特定された前記他人の顔の移動方向に更に基づいて、前記アクセシビリティを決定する、第2態様のアクセシビリティ判定装置100が提供される。
【0072】
本開示の第4態様では、
前記処理部45は、
前記対象者検出部44が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出した場合、前記他人について前記アクセシビリティを決定し、
前記対象者検出部44が、前記他人が前記予め定められた対象者であることを検出しなかった場合、前記他人について前記アクセシビリティを決定しない、第1~第3態様のいずれか1つのアクセシビリティ判定装置100が提供される。
【0073】
本開示の第5態様では、
前記対象者検出部44は、
前記処理部45によって決定された前記アクセシビリティが前記予め定められた基準を満たす場合、前記他人が前記予め定められた対象者であるか否かを検出し、
前記処理部45によって決定された前記アクセシビリティが前記予め定められた基準を満たさない場合、前記他人が前記予め定められた対象者であるか否かを検出しない、第1~第3態様のいずれか1つのアクセシビリティ判定装置100が提供される。
【0074】
本開示の第6態様のアクセシビリティ判定方法は、
制御部が、ユーザ90の周囲環境を時間的に間隔を空けて撮像して得られた複数の撮像画像を取得するステップS1と、
前記制御部が、前記撮像画像を解析して前記ユーザ90と異なる他人の顔器官を検出する顔器官検出ステップS3と、
前記制御部が、前記顔器官検出ステップの検出結果に基づいて、前記他人の顔の向き、移動方向、及び表情のうちの少なくとも1つを特定し、特定された結果に基づいて、前記ユーザ90が前記他人とコミュニケーションを取る際の取りやすさの指標を示すアクセシビリティを決定するアクセシビリティ決定ステップS6と、
前記制御部が、前記顔器官検出ステップの検出結果に基づいて、前記他人が予め定められた対象者であるか否かを検出する対象者検出ステップS4と、
前記アクセシビリティ決定ステップにおいて決定された前記アクセシビリティが予め定められた基準を満たし、かつ、前記対象者検出ステップにおいて前記他人が前記予め定められた対象者であることが検出された場合に、前記ユーザ90に対して報知を行うステップS9とを含む。
【0075】
本開示の第7態様では、本開示の第6態様のアクセシビリティ判定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0076】
2 カメラ
4 制御部
5 記憶部
6 通信インタフェース
7 報知部
41 画像取得部
42 顔検出部
43 顔器官検出部
44 対象者検出部
45 アクセシビリティ決定部
46 出力制御部
51 顔データベース
71 表示装置
72 音声出力装置
73 バイブレータ
90 ユーザ
100 アクセシビリティ判定装置