(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】通信制御装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20231121BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20231121BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20231121BHJP
【FI】
H02M3/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04 Z
(21)【出願番号】P 2020070492
(22)【出願日】2020-04-09
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上治 勝
(72)【発明者】
【氏名】年代 伸次
(72)【発明者】
【氏名】澤井 貴文
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-021686(JP,A)
【文献】特開2020-028178(JP,A)
【文献】特開2018-169676(JP,A)
【文献】特開2018-063558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H01M 8/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコンと、システム電源から前記マイコンの動作用の電源電圧を含む各種電源電圧を生成して出力する電源電圧生成器と、を備える基板に搭載され、前記マイコンと外部機器との通信を制御する通信制御装置であって、
バスパワー端子とデータ端子とを有し、前記外部機器が接続される接続コネクタと、
第1電力線を介して前記バスパワー端子に接続された電源入力端子を有し、データ線を介して前記データ端子に接続されると共に前記電源電圧生成器から通信用の電源電圧が印加された通信線を介して前記マイコンに接続され、前記電源入力端子に入力される電源電圧により動作して前記接続コネクタに接続された前記外部機器と前記マイコンとの通信を司る通信コントローラと、
前記電源電圧生成器の出力端子と前記通信コントローラの前記電源入力端子とを接続する第2電力線と、
前記第1電力線に前記電源入力端子側を順方向として設けられた第1ダイオードと、
前記第2電力線に前記電源入力端子側を順方向として設けられた第2ダイオードと、
を備える通信制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信制御装置であって、
前記通信コントローラは、前記電源入力端子に入力される電源電圧から所定の電源電圧を生成する電圧変換部と、前記電圧変換部により生成された電源電圧を出力する電源出力端子と、を有し、
前記通信制御装置は、更に、
前記通信コントローラの前記電源出力端子と前記電源電圧生成器の出力端子とを接続する第3電力線と、
前記第3電力線に前記電源電圧生成器側を順方向として設けられた第3ダイオードと、
を備える通信制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信制御装置であって、
前記外部機器は、前記通信コントローラを介した通信によって前記マイコンのソフトウエアを書き換え可能である、
通信制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の通信制御装置であって、
燃料電池と、前記燃料電池の運転に必要な各種補機を制御する制御用マイコンを搭載する制御基板と、を備える燃料電池システムにおける前記制御基板に搭載される、
通信制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池を制御する制御装置にパソコン(外部機器)を接続するためのPC接続口を備えた燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、制御装置を備えるシステムでは、外部機器を接続してマイコンと通信することにより制御装置をメンテナンスすることが行なわれる。こうしたメンテナンスに用いられる通信制御装置としては、例えば、外部機器が接続される接続コネクタと、接続コネクタとデータ線を介して接続されると共にマイコンと通信線を介して接続され接続コネクタに接続された外部機器とマイコンとの通信を司る通信コントローラと、を備え、マイコンの動作に必要な電源電圧と通信線に印加する電源電圧とをシステム電源から賄うと共に、通信コントローラの動作に必要な電源電圧を外部機器から供給される電源電圧(バスパワー)で賄うものを考えることができる。しかし、上述した通信制御装置では、システム動作中かつ接続コネクタに外部機器が接続されていないときには、通信コントローラには電源電圧が供給されないため、通信コントローラは、その動作が停止している状態でシステム電源から通信線に印加される電源電圧が当該通信線を介して作用され続けることとなり、通信コントローラに悪影響を及ぼすおそれがある。こうした悪影響を回避するために、通信コントローラと通信線における電源の接続箇所との間にフォトカプラなどの絶縁素子を介在させることも考えられるが、コスト増を招いてしまう。
【0005】
本発明の通信制御装置は、接続コネクタに接続される外部機器からバスパワーの供給を受けて動作する通信コントローラを備えるものにおいて、通信コントローラが動作を停止している状態でマイコンとの通信線に印加される電源電圧が通信線を介して作用することにより通信コントローラに及ぼす悪影響を防止しつつコストの低減を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の通信制御装置は、
マイコンと、システム電源から前記マイコンの動作用の電源電圧を含む各種電源電圧を生成して出力する電源電圧生成器と、を備える基板に搭載され、前記マイコンと外部機器との通信を制御する通信制御装置であって、
バスパワー端子とデータ端子とを有し、前記外部機器が接続される接続コネクタと、
第1電力線を介して前記バスパワー端子に接続された電源入力端子を有し、データ線を介して前記データ端子に接続されると共に前記電源電圧生成器から通信用の電源電圧が印加された通信線を介して前記マイコンに接続され、前記電源入力端子に入力される電源電圧により動作して前記接続コネクタに接続された前記外部機器と前記マイコンとの通信を司る通信コントローラと、
前記電源電圧生成器の出力端子と前記通信コントローラの前記電源入力端子とを接続する第2電力線と、
前記第1電力線に前記電源入力端子側を順方向として設けられた第1ダイオードと、
前記第2電力線に前記電源入力端子側を順方向として設けられた第2ダイオードと、 を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の通信制御装置は、外部機器が接続される接続コネクタのバスパワー端子と通信コントローラの電源入力端子とを接続する第1電力線に電源入力端子側を順方向として設けられた第1ダイオードと、システム電源から通信コントローラの電源電圧を生成して出力する電源電圧生成部の出力端子と通信コントローラの電源入力端子とを接続する第2電力線と、第2電力線に電源入力端子側を順方向として設けられた第2ダイオードと、を備える。これにより、通信コントローラには、外部機器から第1電力線を介して供給される電源電圧(バスパワー)とシステム電源から電源電圧生成部および第2電力線を介して供給される電源電圧(セルフパワー)とが選択的に供給されることとなる。したがって、システム動作中に接続コネクタに外部機器が接続されていなくても、通信コントローラに電源電圧(セルフパワー)を供給することができる。この結果、接続コネクタに接続される外部機器からバスパワーの供給を受けて動作する通信コントローラを備えるものにおいて、通信コントローラが動作を停止している状態でマイコンとの通信線に印加される電源電圧が通信線を介して作用することにより通信コントローラに及ぼす悪影響を防止することができる。また、こうした通信コントローラに及ぼす悪影響を回避するために通信コントローラと通信線の電源の接続箇所との間に絶縁素子を介在させる必要がないため、コストの低減を図ることができる。
【0009】
こうした本発明の通信制御装置において、前記通信コントローラは、前記電源入力端子に入力される電源電圧から所定の電源電圧を生成する電圧変換部と、前記電圧変換部により生成された電源電圧を出力する電源出力端子と、を有し、前記通信制御装置は、更に、前記通信コントローラの前記電源出力端子と前記電源電圧生成器の出力端子とを接続する第3電力線と、前記第3電力線に前記電源電圧生成器側を順方向として設けられた第3ダイオードと、を備えるものとしてもよい。こうすれば、システムが停止しているときでも、外部機器から供給される電源電圧(バスパワー)を用いてマイコンを動作させると共に通信線に電源電圧を印加することができ、外部機器でマイコンと通信することができる。
【0010】
また、本発明の通信制御装置において、前記外部機器は、前記通信コントローラを介した通信によって前記マイコンのソフトウエアを書き換え可能であるものとしてもよい。
【0011】
さらに、本発明の通信制御装置において、燃料電池と、前記燃料電池の運転に必要な各種補機を制御する制御用マイコンを搭載する制御基板と、を備える燃料電池システムにおける前記制御基板に搭載されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】制御基板を備える燃料電池システムの概略構成図である。
【
図2】本実施形態の通信制御装置を含む制御基板の概略構成図である。
【
図3】他の実施形態の通信制御装置を含む制御基板の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、制御基板を備える燃料電池システムの概略構成図であり、
図2は、本実施形態の通信制御装置を含む制御基板の概略構成図である。燃料電池システム10は、
図1に示すように、電力系統1と連系して負荷に電力を供給するものであり、燃料電池モジュール11と、パワーコンディショナ20と、システム全体を制御する制御基板マイクロコンピュータ(制御基板マイコン)31を含む制御基板30と、を備える。
【0015】
燃料電池モジュール11は、改質水を気化させて水蒸気を生成する気化器や、原燃料ガス(例えば、天然ガスやLPガス)を水蒸気改質して燃料ガスを生成する改質器、燃料ガスと空気との電気化学反応により発電する燃料電池スタックなどを有する。また、燃料電池モジュール11を運転(発電)するための補機として、改質器へ原燃料ガスを供給するガスポンプや、改質水を貯留する水タンク、水タンクから改質水を汲み上げて気化器へ供給する水ポンプ、燃料電池スタックへ空気を供給するエアポンプを有する。さらに、センサ類として、燃料電池スタックの近傍に設置された温度センサや、ガスポンプにより供給される原燃料ガスの流量を検出する流量センサ、水タンク内の水位を検出する水位センサ、水タンクと気化器とを接続する水配管における気化器の入口近傍に設置されて当該気化器の入口への改質水の到達の有無を検出する水検出センサなどを有する。これらの補機類やセンサ類は、制御基板マイコン31による制御を受けて動作する。
【0016】
パワーコンディショナ20は、燃料電池モジュール11(燃料電池スタック)により発電された直流電力を交流電力に変換すると共に電力系統1と連系して負荷に電力を供給するものであり、インバータ基板21と電源基板29とを備える。
【0017】
インバータ基板21は、燃料電池モジュール11により発電された直流電力を所定電圧の直流電力に変換するDC/DCコンバータ22と、変換された所定電圧の直流電力を交流電力に変換するインバータ23と、インバータ23の出力端子と電力系統1の電線との継断を行なうリレー24と、DC/DCコンバータ22やインバータ23,リレー24とを制御するインバータ基板マイクロコンピュータ(インバータ基板マイコン)25とを有する。
【0018】
電源基板29は、燃料電池モジュール11からの直流電力や電力系統1からの交流電力を変換して、燃料電池モジュール11の補機類やセンサ類、インバータ基板21、制御基板30の動作に必要な電源を供給する。
【0019】
制御基板30は、燃料電池システム10全体の制御を司るものであり、
図2に示すように、制御基板マイコン31と、電源基板29から入力されるシステム電源(例えば24V電源)から各部の動作に必要な電源電圧を生成して出力するDC/DCコンバータ32および電圧レギュレータ33と、本実施形態の通信制御装置40と、を備える。
【0020】
DC/DCコンバータ32は、電源基板29の出力端子に接続された入力端子を有し、システム電源から5Vの電源N5Vを生成して出力する。DC/DCコンバータ32により生成された電源N5Vは、例えば、燃料電池システム10が備える一部の補機類またはセンサ類の動作用の電源電圧や、制御基板マイコン31とインバータ基板マイコン25との通信用の電源電圧として用いられる。電圧レギュレータ33は、DC/DCコンバータ32の出力端子に接続される入力端子と、制御基板マイコン31の電源入力端子に接続される出力端子とを有し、DC/DCコンバータ32により生成された5Vの電源N5Vから3Vの電源N3.3Vを生成して出力する。電圧レギュレータ33により生成された電源N3.3Vは、制御基板マイコン31の動作用の電源電圧や、制御基板マイコン31と後述するUSBコントローラ42とを接続する通信ラインに印加する通信用の電源電圧として用いられる。
【0021】
本実施形態の通信制御装置40は、外部機器としてのメンテナンス用PC100と制御基板マイコン31との通信を制御するものであり、USB(Universal Serial Bus)コネクタ41とUSBコントローラ42(USBデバイスコントローラ)とを有する。
【0022】
USBコネクタ41は、メンテナンス用PC100を接続可能なものであり、電源用のVBUS端子Tbpおよびグランド端子Tgdと、データ用のD+端子TdpおよびD-端子Tdmと、を有する。VBUS端子TbpはバスパワーラインBPLを介してUSBコントローラ42と接続されており、USBコントローラ42は、USBコネクタ41に接続されたメンテナンス用PC100からのバスパワーVBUSの供給を受けて動作できるようになっている。また、D+端子TdpおよびD-端子Tdmは、それぞれのデータラインDLを介してUSBコントローラ42に接続されており、USBコネクタ41に接続されたメンテナンス用PC100とUSBコントローラ42とは、データラインDLを介して双方向通信を行なう。
【0023】
USBコントローラ42は、USBコネクタ41に接続されたメンテナンス用PC100と制御基板マイコン31とのUSB通信を司るUSBICであり、電源入力端子Tinと電源出力端子Toutと通信端子(送信端子Tctおよび受信端子Tcr)と電圧レギュレータ42aとを有する。
【0024】
USBコントローラ42の電源入力端子Tinには、バスパワーラインBPLの一端が接続されており、バスパワーラインBPLの他端には、USBコネクタ41のVBUS端子Tbpが接続されている。また、電源入力端子Tinには、セルフパワーラインSPLの一端が接続されており、セルフパワーラインSPLの他端には、DC/DCコンバータ32の出力端子(電圧レギュレータ33の入力端子)が接続されている。更に、バスパワーラインBPLには、電源入力端子Tin側を順方向としてダイオードD1が設けられており、セルフパワーラインSPLには、電源入力端子Tin側を順方向としてダイオードD2が設けられている。これにより、USBコントローラ42の電源入力端子Tinには、USBコネクタ41に接続されたメンテナンス用PC100からの5VのバスパワーVBUSあるいはDC/DCコンバータ32においてシステム電源から生成された5Vの電源N5Vのいずれかを入力することができる。
【0025】
USBコントローラ42の送信端子Tctには、送信用通信ラインCTLを介して制御基板マイコン31の受信端子が接続され、USBコントローラ42の受信端子Tcrには、受信用通信ラインCRLを介して制御基板マイコン31の送信端子が接続されている。送信用通信ラインCTLおよび受信用通信ラインCRLには、それぞれ抵抗R1,R2を介して3.3Vの電源N3.3Vが接続されている。また、USBコントローラ42は、図示しないが、電源VDDに対して直列に接続された2つのスイッチを有し、当該2つのスイッチ同士の接続点には、送信端子Tctが接続されている。また、制御基板マイコン31は、図示しないが、電源N3.3Vに対して直列に接続された2つのスイッチを有し、当該2つのスイッチ同士の接続点には、送信端子が接続されている。USBコントローラ42と制御基板マイコン31とは、それぞれ対応する2つのスイッチをオンオフすることで、送信用通信ラインCTLおよび受信用通信ラインCRLを介して双方向通信を行なう。
【0026】
USBコントローラ42の電圧レギュレータ42aは、電源入力端子Tinに入力される5Vの電源(バスパワーVBUSあるいは電源N5V)から3.3Vの電源VDDを生成すると共に生成した電源VDDを電源出力端子Toutから出力する。電圧レギュレータ42aで生成された電源VDDは、USBコントローラ42やその周辺回路の動作用の電源として用いられる。
【0027】
メンテナンス用PC100は、制御基板マイコン31のメンテナンスを行なうための専用のアプリケーションがインストールされており、アプリケーションを起動して制御基板30のUSBコネクタ41に接続することでUSBコントローラ42を介して制御基板マイコン31と通信を行なう。メンテナンス用PC100は、制御基板マイコン31のメンテナンスとして、例えば、制御基板マイコン31のソフトウエアを書き換えたり、制御基板マイコン31の状態や制御基板マイコン31に接続される各種補機(センサを含む)の状態をモニタしたりする。
【0028】
上述したように、USBコントローラ42と制御基板マイコン31とを接続する送信用通信ラインCTLおよび受信用通信ラインCRLには、それぞれ抵抗R1,R2を介して3.3Vの電源N3.3Vが接続されており、システム動作中は、USBコントローラ42の送信端子Tctおよび受信端子Tcrには、常時、電源N3.3Vからの3.3Vの電圧が作用している。DC/DCコンバータ32の出力端子とUSBコントローラ42の電源入力端子Tinとの間にセルフパワーラインSPLを備えない通信制御装置においては、システム起動中かつUSBコネクタ41に外部機器(メンテナンス用PC100)が接続されていない場合、USBコントローラ42はその動作を停止する一方でUSBコントローラ42の送信端子Tctおよび受信端子Tcrには電源N3.3Vからの3.3Vの電圧が作用し続ける状態になり、USBコントローラ42に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0029】
これに対して、本実施形態の通信制御装置40では、USBコントローラ42の電源入力端子Tinには、USBコネクタ41のVBUS端子TbpとバスパワーラインBPLを介して接続されると共に、システム電源から電源N5Vを生成するDC/DCコンバータ32の出力端子とセルフパワーラインSPLを介して接続されており、バスパワーラインBPLとセルフパワーラインSPLには、ダイオードD1,D2が設けられている。このため、システム動作中であれば、USBコネクタ41に外部機器(メンテナンス用PC100)が接続されていなくても、USBコントローラ42には、電源N5V(セルフパワー)が供給される。これにより、USBコントローラ42の動作が停止している状態で制御基板マイコン31との通信ライン(送信用通信ラインCTL,受信用通信ラインCRL)に印加されるシステム電源からの電源N3.3Vが当該通信ラインを介してUSBコントローラ42の送信端子Tct,受信端子Tcrに作用し続けるのを回避することができる。
【0030】
このように、本実施形態の通信制御装置40によれば、USBコネクタ41に接続される外部機器からバスパワーの供給を受けて動作するUSBコントローラ42を備えるものにおいて、USBコントローラ42が動作を停止している状態で制御基板マイコン31との通信ライン(送信用通信ラインCTL,受信用通信ラインCRL)に印加される電源N3.3Vが通信ラインを介して作用し続けることによりUSBコントローラ42に及ぼす悪影響を防止することができる。また、こうしたUSBコントローラ42に及ぼす悪影響を回避するためにUSBコントローラ42と通信ライン(送信用通信ラインCTL,受信用通信ラインCRL)における電源N3.3Vの接続箇所との間にフォトカプラなどの絶縁素子を介在させる必要がないため、コストの低減を図ることができる。
【0031】
上述した実施形態では、USBコントローラ42は、バスパワーVBUSあるいは電源N5V(セルフパワー)から3.3Vの電源VDDを生成する電圧レギュレータ42aと、電源VDDを出力する電源出力端子Toutと、を備えるものとしたが、
図3の他の実施形態に係る通信制御装置140に示すように、USBコントローラ42の電源出力端子Toutと電源N3.3Vを生成する電圧レギュレータ33の出力端子とを接続する電源ラインNLと、電圧レギュレータ33側を順方向として電源ラインNLに設けられたダイオードD3と、を備えるものとしてもよい。これにより、システムが停止している状態でも、外部機器(メンテナンス用PC100)から供給されるバスパワーVBUSを用いて制御基板マイコン31を動作させると共に通信ライン(送信用通信ラインCTL,受信用通信ラインCRL)に通信用の電源を印加することができ、外部機器で制御基板マイコン31と通信(制御基板マイコン31をメンテナンス)することができる。
【0032】
上述した実施形態は、本発明の通信切替装置を、燃料電池システム10に適用するものとしたが、制御装置(マイコン)を備えるシステムであれば、如何なるシステムに適用するものとしてもよい。
【0033】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、制御基板マイコン31が「マイコン」に相当し、DC/DCコンバータ32および電圧レギュレータ33が「電源電圧生成器」に相当し、制御基板30が「基板」に相当し、メンテナンス用PC100が「外部機器」に相当し、USBコネクタ41が「接続コネクタ」に相当し、D+端子TdpおよびD-端子Tdmが「データ端子」に相当し、VBUS端子Tbpが「バスパワー端子」に相当し、バスパワーラインBPLが「第1電力線」に相当し、USBコントローラ42が「通信コントローラ」に相当し、電源入力端子Tinが「電源入力端子」に相当し、データラインDLが「データ線」に相当し、送信用通信ラインCTLおよび受信用通信ラインCRLが「通信線」に相当し、セルフパワーラインSPLが「第2電力線」に相当し、ダイオードD1が「第1ダイオード」に相当し、ダイオードD2が「第2ダイオード」に相当する。また、USBコントローラ42の電圧レギュレータ42aが「電圧変換部」に相当し、電源出力端子Toutが「電源出力端子」に相当し、電力ラインNLが「第3電力線」に相当し、ダイオードD3が「第3ダイオード」に相当する。また、燃料電池モジュール11が「燃料電池」に相当し、制御基板マイコン31が「制御用マイコン」に相当し、制御基板30が「制御基板」に相当する。
【0034】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0035】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、通信切替装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 電力系統、10 燃料電池システム、11 燃料電池モジュール、20 パワーコンディショナ、21 インバータ基板、22 DC/DCコンバータ、23 インバータ、24 リレー、25 インバータ基板マイクロコンピュータ(インバータ基板マイコン)、29 電源基板、30 制御基板、31 制御基板マイクロコンピュータ(制御基板マイコン)、32 DC/DCコンバータ、33 電圧レギュレータ、40 通信制御装置、41 USBコネクタ、42 USBコントローラ、42a 電圧レギュレータ、Tbp VBUS端子、Tdp D+端子、Tdm D-端子、Tgd グランド端子、Tin 電源入力端子、Tout 電源出力端子、Tct 送信端子、Tcr 受信端子、N5V,N3.3V,VDD 電源、BPL バスパワーライン、SPL セルフパワーライン、CTL 送信用通信ライン、CRL 受信用通信ライン、NL 電源ライン、R1,R2 抵抗、D1~D3 ダイオード。