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特許7388294サーバ装置、情報処理システム、プログラム、制御装置、車両、及び情報処理システムの動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】サーバ装置、情報処理システム、プログラム、制御装置、車両、及び情報処理システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20231121BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20231121BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231121BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231121BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231121BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/20
G08G1/09 F
G08G1/13
B60R25/24
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020094754
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189772
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】安藤 強
(72)【発明者】
【氏名】軸丸 晃年
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/141291(WO,A1)
【文献】特開2002-319097(JP,A)
【文献】特開2019-016199(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039223(WO,A1)
【文献】特開2019-121369(JP,A)
【文献】特開2002-073853(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110059832(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/09
G08G 1/13
B60R 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有し、
前記制御部は、第1の端末装置から、車両の使用を予約するための情報と、目的地と当該目的地における滞在時間とを示す情報とを受け、前記車両から当該車両の整備状態に関する情報を受け、前記車両の使用の許可の情報を前記第1の端末装置へ送り、前記整備状態に関する情報とともに、前記車両に対する整備の打診を複数の2の端末装置へ送り、前記打診に応じた第2の端末装置へ、前記車両に対する整備の要請の情報とともに前記目的地と前記滞在時間の情報を送る、
サーバ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記整備状態に関する情報は、前記車両の撮像画像に基づく情報及び車室内の雰囲気の情報のいずれか一方又は両方を含む、
サーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御部は、前記整備の要請の情報を送った第2の端末装置に対応するユーザに、当該車両に対する整備の後の整備状態に応じたインセンティブを付与する処理を行う、
サーバ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のサーバ装置と車両とを含む、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載のサーバ装置と第1、第2の端末装置とを含む、
情報処理システム。
【請求項6】
互いに情報を送受するサーバ装置と車両とを有する情報処理システムの動作方法であって、
前記車両は、当該車両の整備状態に関する情報を前記サーバ装置へ送り、
前記サーバ装置は、第1の端末装置から、車両の使用を予約するための情報と、目的地と当該目的地における滞在時間とを示す情報とを受け、前記車両の使用の許可の情報を前記第1の端末装置へ送り、前記整備状態に関する情報とともに、前記車両に対する整備の打診を複数の2の端末装置へ送り、前記打診に応じた第2の端末装置へ、前記車両に対する整備の要請の情報とともに前記目的地と前記滞在時間の情報を送る、
動作方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記整備状態に関する情報は、前記車両の撮像画像に基づく情報及び車室内の雰囲気の情報のいずれか一方又は両方を含む、
動作方法。
【請求項8】
請求項6又は7において、
前記サーバ装置は、前記整備の要請の情報を送った第2端末装置に対応するユーザに、当該車両に対する整備の後の整備状態に応じたインセンティブを付与する処理を行う、
動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、情報処理システム、プログラム、制御装置、車両、及び情報処理システムの動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の利用者が車両を共用するいわゆるカーシェアリングにおいて、共用車両の管理を支援する種々の技術が提案されている。例えば特許文献1には、共用車両の利用要求を受け付ける共用車両管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/075808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共用車両の管理には改善の余地がある。
【0005】
以下では、共用車両の管理を改善し得るサーバ装置等を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるサーバ装置は、通信部と、前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有し、前記制御部は、車両から当該車両の整備状態に関する情報を受け、前記整備状態に応じて、前記車両の使用の許可の情報及び前記車両に対する整備の要請の情報のいずれか一方又は両方を端末装置へ送る。
【0007】
本開示における車両の制御装置は、車両に搭載され、通信部と前記通信部を介して他の装置と情報を送受する制御部とを有する制御装置であって、前記制御部は、前記車両の整備状態に関する情報を、サーバ装置が当該整備状態に応じて当該車両の使用の許可の情報及び当該車両に対する整備の要請の情報のいずれか一方又は両方を端末装置へ送るために、当該サーバ装置へ送る。
【0008】
本開示における互いに情報を送受するサーバ装置と車両とを有する情報処理システムの動作方法によれば、前記車両は、当該車両の整備状態に関する情報を前記サーバ装置へ送り、前記サーバ装置は、前記整備状態に応じて、前記車両の使用の許可の情報及び前記車両に対する整備の要請の情報のいずれか一方又は両方を端末装置へ送る。
【発明の効果】
【0009】
本開示におけるサーバ装置等によれば、共用車両の管理を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置の構成例を示す図である。
図3】端末装置の構成例を示す図である。
図4】車両の構成例を示す図である。
図5】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
図6】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
図7】端末装置の出力例を示す図である。
図8】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
図9】情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態における情報処理システムの構成例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、ネットワーク14を介して互いに情報通信可能に接続される、サーバ装置10、端末装置11及び12、並びに車両13を有する。サーバ装置10は、コンピュータである。端末装置11及び12は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置等の可搬型の情報端末装置であるが、パーソナルコンピュータであってもよい。車両13は、制御・通信機能を備えた乗用車、多目的車両等であって、共用車両としてカーシェアリングに供される。ネットワーク14は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。情報処理システム1が有する各構成要素の数はここに示す場合より多くてもよい。
【0013】
本実施形態では、情報処理システム1は、カーシェアリングにおける共用車両としての車両13の管理を支援する。サーバ装置10は、車両13から車両13の整備状態に関する情報を受け、整備状態に応じて、車両13の使用の許可及び車両13に対する整備の要請のいずれか一方又は両方を端末装置11又は12へ送る。例えば、端末装置11は車両13の使用者に用いられる。サーバ装置10は、車両13の整備状態が車両13の使用が可能な程度であれば、使用者の端末装置11へ車両13の使用の許可を送る。使用者は、端末装置11に送られた使用許可に基づいて車両13を使用、運転する。また、端末装置12は、車両13の整備を請け負う者(以下、整備者という)に用いられる。サーバ装置10は、車両13の整備状態が、整備が必要な程度であれば、整備者の端末装置11へ車両13に対する整備の要請を送る。整備者は、端末装置12に送られた要請に基づいて車両13を整備する。整備者は、車両13の使用者でもあり得るが、整備の要請を受けるときに使用のニーズが無く車両の整備を希望する者であればよい。本実施形態によれば、車両13の使用者に対する使用の許可を管理する一方で、整備者が提供する役務を利用して車両13を整備できる。よって、車両13の整備を含む管理が改善され得る。
【0014】
図2は、サーバ装置10の構成例を示す。サーバ装置10は、通信部20、記憶部21、及び制御部22を有する。サーバ装置10は、同等の構成を有する他のサーバ装置と通信して協働することで、本実施形態における動作を実行してもよい。
【0015】
通信部20は、ネットワーク14に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。本実施形態において、サーバ装置10は、通信部20を介してネットワーク14に接続され、ネットワーク14経由で他の装置と情報通信を行う。
【0016】
記憶部21は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部21は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部21は、サーバ装置10の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等を記憶する。
【0017】
制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の一以上の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用のプロセッサを有する。あるいは、制御部22は、一以上の、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を有してもよい。制御部22は、制御・処理プログラムに従って動作したり、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、サーバ装置10の動作を統括的に制御する。そして、制御部22は、通信部20を介して、端末装置12及び車両13と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0018】
図3は、端末装置11の構成例を示す。ここに示す端末装置11の構成例は、端末装置12にも適用される。端末装置11は、例えばスマートフォン、タブレット端末装置、パーソナルコンピュータ等の、情報端末装置である。端末装置11は、入出力部30、通信部31、記憶部32、及び制御部33を有する。
【0019】
入出力部30は、ユーザの入力を検出し、入力情報を制御部33に送る入力インタフェースを有する。かかる入力インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、パネルディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、各種ポインティングデバイス、音声入力を受け付けるマイクロフォン、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ等を含む任意の入力インタフェースである。また、入出力部30は、制御部33が生成したり他の装置から受けたりする情報を、ユーザに対して出力する出力インタフェースを有する。かかる出力インタフェースは、例えば、情報を画像・映像として出力する外付け又は内蔵のディスプレイ、情報を音声として出力するスピーカ、又は、外部の出力機器との接続インタフェースを含む、任意の出力インタフェースである。
【0020】
通信部31は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するモジュール等を有する。端末装置12は、通信部31により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク14に接続され、ネットワーク14経由で他の装置と情報通信を行う。
【0021】
記憶部32は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等を有する。記憶部32は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、端末装置12の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム等を記憶する。
【0022】
制御部33は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部33は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部33は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置12の動作を統括的に制御する。そして、制御部33は、通信部31を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0023】
図4は、車両13に搭載される制御装置40の構成例を示す。制御装置40は、通信部41、測位部42、入出力部43、撮像部44、検知部45、記憶部46、及び制御部47を有する。制御装置40は、例えば、ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、タブレット、又はPCである。なお、車両13は、運転手によって運転されてもよく、或いは任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。
【0024】
通信部41は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G、若しくは5Gなどの移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部41は、制御装置40の動作に用いられる情報を受信し、また制御装置40の動作によって得られる情報を送信する。制御装置40は、通信部41により、移動体通信の基地局を介してネットワーク14に接続され、ネットワーク14経由で他の装置と情報通信を行う。
【0025】
測位部42は、一以上のGNSS受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部42は、車両13の位置情報を取得する。
【0026】
入出力部43は、一以上の入力用インタフェースと一以上の出力用インタフェースとを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。入出力部43は、制御装置40の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部47に送ったり、制御装置40の動作によって得られる情報を出力したりする。
【0027】
撮像部44は、車両13の周囲又は車室内を撮像可能な位置に設けられる、一以上のカメラとその制御回路とを有する。撮像部44が有するカメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。撮像部44は、車両13の周囲又は車室内を任意の時間間隔で撮像し、撮像画像を制御部47に送る。また、撮像画像には、入出力部43の入力インタフェースから取得する車両13の周囲又は車室内の音声の情報が対応づけられてもよい。
【0028】
検知部45は、車両13の状態を検知するセンサ類を有する。センサ類には、例えば、車両13の傾き、タイヤの空気圧、車室内の湿度、臭い等の雰囲気の状態を検知するセンサ類が含まれる。検知部45は、車両13の状態を示す情報をセンサ類により検知し制御部47に送る。
【0029】
記憶部46は、一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部46は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部46は、制御装置40の動作に用いられる情報と、制御装置40の動作によって得られた情報とを記憶する。
【0030】
制御部47は、CPU、MPU等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部47は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部47は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、制御装置40と車両13の動作を統括的に制御する。そして、制御部47は、通信部41を介して、サーバ装置10と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0031】
図5は、情報処理システム1の動作例を示すシーケンス図である。図5では、サーバ装置10、端末装置11、及び車両13による連携動作の動作手順が示される。図5の手順は、例えば、車両13が走行を終えて所定の駐車地点に到達した時点から駐車中にかけて実行される、使用者が端末装置11で車両13の使用予約をする場合の手順である。
【0032】
ステップS500において、車両13は、位置情報をサーバ装置10へ送る。車両13の制御部47は、測位部42から取得した車両13の現在位置を、通信部41を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、位置情報を、通信部20を介して受けて、記憶部21に格納する。ステップS500は、例えば、制御部47が、任意の時間(例えば、数十秒)以上車両13の位置情報の変化を検出しないとき、すなわち車両13が駐車する蓋然性が大きいときに、実行される。
【0033】
ステップS502において、車両13は、車両13の状態を示す状態情報をサーバ装置10へ送る。状態情報は、例えば、車両13の検知部45が検知した車両13の傾き、タイヤの空気圧、車室内の雰囲気の状態等を示す情報である。車両13の制御部47は、状態情報を、通信部41を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、状態情報を、通信部20を介して受けて、記憶部21に格納する。
【0034】
ステップS504において、車両13は、撮像画像をサーバ装置10へ送る。車両13の制御部47は、撮像部44が撮像した車両13の車体外部の一部又は車室内を含む撮像画像を、通信部41を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、撮像画像を、通信部20を介して受けて記憶部21に格納する。
【0035】
ステップS506において、サーバ装置10は、車両13の状態又は撮像画像の経時変化に基づいて、車両13の整備状態を判定する。例えば、サーバ装置10の制御部22は、車両13ごとに識別情報に紐づけて過去の状態情報と過去の撮像画像とを記憶部21に格納しておき、状態又は撮像画像の任意の時間間隔における経時変化を検出する。時間間隔は、数時間~十数時間、車両13から前回状態情報等を取得した時点からの経過時間等である。また、車両13の識別情報は、例えば、車両13と通信を確立する際に取得される。
【0036】
制御部22は、経時変化が任意の基準を満たしていれば、整備の必要性を認識する。例えば、車両13の傾きが基準を上回って大きくなっていたり、タイヤの空気圧が基準を上回って減少したりしていれば、タイヤの減圧の蓋然性が認められるので、タイヤの空気圧調整という整備の必要性が認識される。また、例えば、車両13の車室内の湿度又は臭いが不快を示す基準を満たすようになっていれば、換気又は清掃という整備の必要性が認識される。さらに、例えば、車両13の外装又は内装の撮像画像に汚れ又は損傷を示す画像が出現していれば、清掃又は修復作業という整備の必要性が認識される。そして、制御部22は、予め分類した整備の必要性に応じて、整備状態をランク分けする。例えば、空気圧調整が必要な場合は、車両13の使用に支障が生じる程度の要整備状態(便宜上、使用不可ランクという)、外装又は内装の清掃又は修復、若しくは換気が必要な場合は、車両13の使用に支障がないが整備が必要な整備状態(要整備ランクという)、整備の必要性が認められず車両13の使用に支障がない場合(整備不要ランクという)というようにランク分けがなされる。なお、撮像画像から認識される外装又は内装の損傷が擦り傷程度であれば要整備ランク、ミラー等の部品の欠落であれば使用不可ランクというように、ランク分けの基準を任意に細分化してもよい。また、整備状態の例はここに示す例以外の状態も含まれ得る。
【0037】
ステップS508以降は、車両13の整備状態が整備不要ランクの場合の手順に関する。
【0038】
ステップS508において、端末装置11は、サーバ装置10に車両13の使用予約の情報を送る。例えば、使用者は、サーバ装置10が提供するカーシェアリングサービスの会員向けポータルサイトに端末装置11を用いてアクセスする。ポータルサイトには、例えば、車両13の車種等の属性、駐車地点の位置、整備状態が表示される。使用者は、端末装置11を用いて、使用希望の日時、自らの会員ID、使用希望の意思等を入力し、入力した情報を使用予約の情報としてサーバ装置10へ送る。端末装置11では、制御部33が、通信部31を介して、使用予約の情報をサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、使用予約の情報を受ける。
【0039】
ステップS510において、サーバ装置10は、車両13の使用許可の情報を端末装置11へ送る。使用許可の情報には、例えば、車両13のドアの解錠、エンジンの始動等を端末装置11から行うための認証情報が含まれる。サーバ装置10の制御部22は、使用許可の情報を、通信部20を介して、端末装置11へ送る。端末装置11の制御部33は、通信部31を介して、使用許可の情報を受ける。
【0040】
使用者が車両13の駐車地点に移動すると、ステップS510において、端末装置11は解錠指示を車両13へ送る。端末装置11の制御部33は、例えば使用者の指示の入力に応答して、通信部31を介して、サーバ装置10から受け取った認証情報を含む解錠指示を車両13へ送る。車両13の制御部47は、通信部41を介して、解錠指示を受ける。
【0041】
ステップS512において、車両13は、解錠指示に応答してドアを解錠する。車両13の制御部47は、解錠指示に含まれる認証情報により認証処理を行い、ドアの施錠機構に解錠させる。
【0042】
使用者が車両13に搭乗すると、ステップS516において、端末装置11はエンジンの始動指示を車両13へ送る。端末装置11の制御部33は、例えば使用者の指示の入力に応答して、通信部31を介して、サーバ装置10から受け取った認証情報を含む始動指示を車両13へ送る。車両13の制御部47は、通信部41を介して、始動指示を受ける。
【0043】
ステップS518において、車両13は、始動指示に応答してエンジンを作動させる。車両13の制御部47は、始動指示に含まれる認証情報により認証処理を行い、エンジンを作動させる。このようにして、使用者は、車両13を使用し、運転することが可能となる。
【0044】
次いで、図6に、車両13が使用不可ランクの場合の情報処理システム1の動作例を示す。図6では、サーバ装置10、端末装置12、及び車両13による連携動作の動作手順が示される。図6の手順は、例えば、車両13が走行を終えて駐車地点に到達した時点から駐車中にかけて実行される。ステップS500~S506は、図5と共通であるのでこれらのステップの説明は省略する。
【0045】
ステップS600以降は、ステップS506において車両13の整備状態が使用不可ランクと判定された場合の手順に関する。
【0046】
ステップS600において、サーバ装置10は、車両13の位置情報と整備打診の情報を端末装置12へ送る。整備打診の情報には、車両13の整備状態に関する情報が含まれる。サーバ装置10では、制御部22が、車両13の駐車地点の位置情報と整備打診の情報を、通信部20を介して、端末装置12へ送り、端末装置12の制御部33が、通信部31を介して、位置情報と整備打診の情報を受ける。そして、ステップS602において、端末装置12は、サーバ装置10に車両13の整備を請け負うことを示す整備応答を送る。端末装置12の制御部33は、通信部31を介して、整備応答をサーバ装置10へ送り、サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、整備応答を受ける。
【0047】
ステップS600及びS602では、例えば、整備者は、サーバ装置10が提供するカーシェアリングサービスの会員向けポータルサイトに端末装置12を用いてアクセスする。ポータルサイトには、例えば、車両13の車種等の属性、駐車地点の位置情報、整備状態等が表示され、さらに車両13の整備を求める旨のメッセージが表示される。整備者は、端末装置12を用いて、整備応答を入力してサーバ装置10へ送る。例えば、図7に示す、端末装置12がポータルサイトにアクセスしたときの表示画面例70のように、地図71に車両13の位置がマッピングされて要整備車両の存在を示すメッセージ73が表示される。また、地図71には端末装置12の現在位置72が表示される。整備車がメッセージ73をタップすると、整備打診の情報を示す別のメッセージ74が表示される。整備者が、メッセージ74の「Yes」を更にタップすると、サーバ装置10へ整備応答が送られる。
【0048】
図6に戻ると、ステップS604において、サーバ装置10は、車両13の整備要請の情報を端末装置12へ送る。整備要請の情報には、整備者が車両の整備を実施するために要する任意の情報が含まれる。詳細には、整備要請の情報には、例えば、整備状態に応じた整備の内容の情報とともに、車両13のドアの解錠等を端末装置12から行うための認証情報が含まれる。サーバ装置10の制御部22は、整備要請の情報を、通信部20を介して、端末装置12へ送る。端末装置12の制御部33は、通信部31を介して、整備要請の情報を受ける。
【0049】
ステップS602において、サーバ装置10が、ポータルサイトを通じて複数の整備者の端末装置12から整備応答を受けた場合に、車両13の駐車地点に近い整備者を優先的に選択して、選択した端末装置12に向け、ステップS604において整備要請を送ることが可能である。例えば、端末装置12が端末装置12の位置情報を整備応答とともにサーバ装置10へ送ることで、サーバ装置10の制御部22が、車両13の駐車地点と端末装置12の現在地との距離を求め、距離が最も近い端末装置12を選択する。あるいは、整備の内容が複数の整備者により行い得るものである場合に、距離が近い順に任意の数の整備者を選択してもよい。その場合、ステップS604以降は、複数の端末装置12に対して実行される。
【0050】
整備者が車両13の駐車地点に移動すると、ステップS606において、端末装置12は、解錠指示を車両13へ送る。端末装置12の制御部33は、通信部31を介して、サーバ装置10から受け取った認証情報を含む解錠指示を車両13へ送る。車両13の制御部47は、通信部41を介して、解錠指示を受ける。
【0051】
ステップS608において、車両13は、解錠指示に応答してドアを解錠する。車両13の制御部47は、解錠指示に含まれる認証情報により認証処理を行い、ドアの施錠機構に解錠させる。このようにして、使用者は、車両13に搭乗し、必要な整備を行うことができる。あるいは、整備の対象が外装の清掃、補修当であった場合、整備者は車両13に搭乗せずに外部から整備を行うことができる。
【0052】
整備が終了すると、ステップS610において、端末装置12は、サーバ装置10に完了通知を送る。端末装置12の制御部33は、整備者の入力に応答して、通信部31を介して、完了通知をサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部22は、通信部20を介して、完了指示を受ける。
【0053】
次いで、図8に、車両13が整備された後の整備状態に応じ整備者へインセンティブを付与する場合の情報処理システム1の動作例を示す。図8では、サーバ装置10、端末装置12、及び車両13による連携動作の動作手順が示される。図8の手順は、サーバ装置10が端末装置12から整備の完了通知を受けた後の任意のタイミングで、例えば、車両13の駐車中から次の作動時にかけて実行される。ステップS500~S506は、図5と共通であるのでこれらのステップの説明は省略する。ステップS800以降は、ステップS506において車両13の整備状態が要整備ランク、又は整備不要ランクと判定された場合、つまり、整備の結果、車両13が使用不可ランクではなくなり、使用可能な状態になった場合の手順に関する。
【0054】
ステップS800において、サーバ装置10は、車両13の整備状態に応じ整備者へのインセンティブ付与処理を行う。インセンティブは、現実通貨又は仮想通貨であってもよいし、経済価値を有するポイント等であってもよい。サーバ装置10の制御部22は、例えば、予め取得した整備者のメンバ用アカウントへのポイント付与、金融口座等への振込等の処理を実行する。制御装置22は、例えば、整備の程度に対し予め割り当てるインセンティブの大きさを対応付けて記憶部21に格納しておき、整備状態に応じた大きさのインセンティブを付与することが可能である。
【0055】
ステップS802において、サーバ装置10は、インセンティブ付与を行ったことを示す通知を、通信部20を介して、端末装置12へ送る。端末装置12の制御部33は、通信部31を介して、インセンティブ付与の通知を受ける。端末装置12がインセンティブ付与の通知を出力することで、整備者は、インセンティブ付与を知ることができる。
【0056】
かかるインセンティブ付与を実行することで、整備者に整備作業に対する協力を促すことが可能となる。なお、複数の整備者が整備を行った場合には、インセンティブを整備者の数に応じて案分し、それぞれの整備者ついてインセンティブ付与処理、付与通知が行われる。
【0057】
次いで、図9に、車両13が要整備ランクの場合の情報処理システム1の動作例を示す。図9では、サーバ装置10、端末装置11及び12、並びに車両13による連携動作の動作手順が示される。図9の手順は、図5及び図6の手順を組み合わせたもので、図5又は図6と同じステップには同じ符号を付して示し、適宜説明を省略する。
【0058】
要整備ランクは、車両13の使用に支障がないが整備が必要な整備状態である。よって、サーバ装置10がステップS506において要整備ランクと判定すると、使用者により車両13の使用予約がなされ、車両13が使用される。また、これと並行して、整備者に整備要請が送られて、整備者が車両13の整備を行う。ただし、図9の手順では、使用者が端末装置11から使用予約を行う際に、車両13による移動の目的地を示す情報をサーバ装置10へ送る。そして、サーバ装置10が端末装置12へ整備打診とともに送る位置情報として、車両13の現在の駐車地点の代わりに目的地の位置情報を送る。さらに、サーバ装置10は、車両13が目的地に到着する時間を地図情報に基づき算出し、整備打診とともに端末装置12へ送ってもよい。そうすることで、整備者は、車両13が使用者により使用され目的地に到着した後に、車両13の整備を行うことが可能となる。
【0059】
例えば、サーバ装置10が整備状態を要整備ランクと判定すると(S506)、端末装置11がサーバ装置10へ使用予約の情報を送る(S508)。このとき、端末装置11からサーバ装置10へ、目的地の位置情報、滞在時間等を送る。そして、サーバ装置10が端末装置11へ使用許可の情報を送る(S510)。次いで、サーバ装置10は、端末装置12へ目的地の位置情報と整備打診の情報を送り(S600)、端末装置12がサーバ装置10へ整備応答を送る(S602)。すると、サーバ装置10は、端末装置12へ整備要請を送る(S604)。次いで、端末装置11と車両13の間で、使用者による車両13の使用に係る情報の送受と処理が行われる(ステップS512、S514、S516、S518)。そして、車両13が目的地に到着すると、端末装置12と車両13の間で、整備者による車両13の整備に係る情報の送受と処理が行われる(ステップS606、S608)。
【0060】
このような図9の手順によると、使用者は端末装置11、サーバ装置10、及び車両13の連携動作により、車両13の使用予約をして使用し、目的地へ移動して車両13を目的地に駐車する。一方、整備者は端末装置12、サーバ装置10、及び車両13の連携動作により、目的地に移動し、そこに駐車されている車両13に対し整備を行う。かかる図9の手順によれば、車両13を使用したい使用者の要求と、車両13の整備の必要性とを同時に満たすことが可能となる。
【0061】
図9の手順は、使用者が目的地で車両13を乗り捨てる場合だけでなく、使用者が車両13を用いて目的地へ移動し、さらに別の地点へ移動することを予定するような場合にも適用される。例えば、サーバ装置10にて使用者の行動予定を使用予約とともに端末装置11から取得し、車両13が目的地に滞在する時間を整備要請とともに整備者の端末装置12へ送ることで、使用者が目的地に滞在中に整備者により車両13の整備を完了することが可能となる。よって、整備者の時間の有効活用とともに、使用者の満足感を向上させ、一方で、車両13の稼働効率を向上させることが可能となる。
【0062】
上述のとおり、本実施形態によれば、共用車両の管理を改善することが可能となる。
【0063】
上述の実施形態において、端末装置11及び12、並びに制御装置40の動作を規定する処理・制御プログラムは、サーバ装置10の記憶部21又は他のサーバ装置の記憶部に記憶されていて、ネットワーク14経由で各装置にダウンロードされてもよいし、各装置に読取り可能な可搬型で非一過性の記録・記憶媒体に格納され、各装置が媒体から読み取ってもよい。
【0064】
上述において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理システム
10 サーバ装置
11、12 端末装置
13 車両
14 ネットワーク
20、31、41 通信部
21、32、46 記憶部
22、33、47 制御部
30、43 入出力部
42 測位部
44 撮像部
45 検知部
図1
図2
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図9