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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020148916
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043578
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 雅一
(72)【発明者】
【氏名】松木 雅伸
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137551(JP,A)
【文献】実開昭52-085249(JP,U)
【文献】特開2017-001610(JP,A)
【文献】特開昭59-014565(JP,A)
【文献】特開平09-150690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動時に障害物との接触を検知する安全装置とを備えた洗車機において、前記安全装置は、前記洗車機本体に設けられる支持部材と、前記洗車機本体に下端を支持されるワイヤと、前記ワイヤの上端に配される検知ブロックと、前記支持部材と前記検知ブロックとの間に縮設して前記検知ブロックを上方に付勢する圧縮バネと、前記検知ブロックの側周面に対向配置して前記洗車機本体に取り付けられる近接センサとを有し、
前記検知ブロックの上下位置によって前記近接センサがON状態とOFF状態とに変化して前記OFF状態になることで障害物との接触を検知し、
前記ON状態から前記検知ブロックが所定量降下して前記圧縮バネが短縮されると前記OFF状態となるとともに、前記圧縮バネが自由長の時に前記OFF状態となることを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記安全装置が前記ワイヤを挿通するスリーブを備え、前記スリーブが前記圧縮バネに内嵌して前記支持部材上に配されることを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記スリーブが径方向に突出する鍔部を下端に有し、前記圧縮バネが前記鍔部上に配されることを特徴とする請求項に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置を備えた洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所等に設置される従来の洗車機は特許文献1に開示されている。この洗車機は被洗浄車両に対して前後方向に往復移動する門型の洗車機本体を備えている。洗車機本体には回転ブラシ及び噴射ノズルが設けられる。洗車機本体が前後方向に移動し、噴射ノズルから洗浄水を噴射して回転ブラシが被洗浄車両に回転摺動して被洗浄車両の洗浄が行われる。
【0003】
また、洗車機本体の入口面側の左右両端部及び出口面側の左右両端部には、移動時に人等の障害物との接触を検知する安全装置が設けられる。安全装置により障害物との接触が検知されると、洗車機本体の移動を停止して洗車機の安全性が保持されている。
【0004】
安全装置は、上部ブラケット、下部ブラケット、ワイヤ、引張バネ及び安全スイッチを備えている。上部ブラケットは洗車機本体の上部に前後方向に突出して取り付けられる。下部ブラケットは洗車機本体の下部に前後方向に突出して取り付けられる。
【0005】
安全スイッチは保持部材を介して洗車機本体に取り付けられ、上部ブラケットと下部ブラケットの間に配される。安全スイッチは上下方向に揺動可能なセンサを有し、センサは洗車機本体から前後方向に突出する。センサが水平に配された状態で安全スイッチは作動せず、センサが上下方向に揺動した揺動位置に配されると安全スイッチが作動する。
【0006】
引張バネは水平に配されたセンサと上部ブラケットとの間に張設され、ワイヤは水平に配されたセンサと下部ブラケットとの間に張設される。
【0007】
洗車機本体の進路上の障害物がワイヤに接触すると、ワイヤが引張バネに抗して前後方向に引っ張られる。これにより、安全スイッチのセンサの先端が降下して安全スイッチが作動し、洗車機本体と障害物との接触が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭59-14565号公報 (第2頁~第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の洗車機によると、洗車機本体の停止時等にワイヤが大きな力を受けて引っ張られると、引張バネが伸びて安全スイッチのセンサが揺動範囲を超えて安全スイッチが故障する問題があった。また、洗車機本体の停止時等にワイヤが左右方向の力を受けると、安全スイッチのセンサが左右方向に揺動できないため安全スイッチが故障する問題もあった。
【0010】
本発明は、安全装置の故障を防止できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両に対して前後方向に移動する洗車機本体と、前記洗車機本体の移動時に障害物との接触を検知する安全装置とを備えた洗車機において、前記安全装置は、前記洗車機本体に設けられる支持部材と、前記洗車機本体に下端を支持されるワイヤと、前記ワイヤの上端に配される検知ブロックと、前記支持部材と前記検知ブロックとの間に縮設して前記検知ブロックを上方に付勢する圧縮バネと、前記検知ブロックの側周面に対向配置して前記洗車機本体に取り付けられる近接センサとを有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記安全装置が前記検知ブロックの上昇限界を規制するストッパを有することを特徴としている。
【0013】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記ストッパが前記支持部材と一体に形成されることを特徴としている。
【0014】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記安全装置が前記ワイヤを挿通するスリーブを備え、前記スリーブが前記圧縮バネに内嵌して前記支持部材上に配されることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記スリーブが径方向に突出する鍔部を下端に有し、前記圧縮バネが前記鍔部上に配されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、安全装置は、ワイヤの上端に配した検知ブロックと支持部材との間に圧縮バネを縮設して検知ブロックの側周面に近接センサが対向配置される。これにより、ワイヤが引っ張られて検知ブロックが降下すると、検知ブロックと非接触の近接センサにより検知される。従って、安全装置の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の洗車機を示す側面図
図2】本発明の第1実施形態の洗車機を示す正面図
図3】本発明の第1実施形態の洗車機の安全装置を示す側面図
図4】本発明の第1実施形態の洗車機の安全装置を示す正面図
図5】本発明の第1実施形態の洗車機の第1往路工程を示す側面図
図6】本発明の第1実施形態の洗車機の第1復路工程を示す側面図
図7】本発明の第1実施形態の洗車機の第2往路工程を示す側面図
図8】本発明の第2実施形態の洗車機の安全装置を示す側面図
図9】本発明の第2実施形態の洗車機の安全装置を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1図2は第1実施形態の洗車機1を示す側面図及び正面図である。洗車機1は洗車機本体2、レール60、リモートパネル7を備えている。洗車機本体2は左右の対向する2つのスタンド部2dと、スタンド部2dの上端を連結する天井部2cとを有した門型に形成される。
【0019】
レール60は地面G上に左右一対設けられ、スタンド部2dの底面に設けた車輪3がレール60上に配される。これにより、洗車機本体2はレール60上に立設し、走行モータ(不図示)の駆動によりレール60上を走行して被洗浄車両70に対して前後方向に移動する。
【0020】
リモートパネル7は洗車機本体2に対する進入経路に沿って配される。リモートパネル7は複数のボタンを有し、洗車条件を設定する。また、リモートパネル7により、フロントガード有り、フェンダーポール有り、サイドミラー有り、リヤワイパ有り、ルーフキャリア有り等の装備品の設定も行うことができる。
【0021】
洗車機本体2の一方のスタンド部2dの正面には操作パネル8が配される。操作パネル8はリモートパネル7と同様に洗車条件を設定できる。
【0022】
洗車機本体2には被洗浄車両70上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシはトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6から成っている。
【0023】
トップブラシ4は天井部2cに昇降可能に設けられて左右方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両70の上面を洗浄する。サイドブラシ5は両スタンド部2dの出口面2b側にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられて上下方向に配した回転軸で回転し、被洗浄車両70の前面、両側面及び後面を洗浄する。ロッカーブラシ6は両スタンド部2dの下部にそれぞれ左右方向に進退可能に設けられ、被洗浄車両70の両側面の下部を洗浄する。
【0024】
洗車機本体2の上部には気流を発生するブロア20が配される。ブロア20には被洗浄車両70に向けて空気流を送出する複数の送風ノズルが接続される。送風ノズルはトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22から成っている。
【0025】
トップ送風ノズル21は天井部2cに昇降可能に設けられ、被洗浄車両70の上面及び後面に沿って移動して送風により上面及び後面を乾燥させる。サイド送風ノズル22は両スタンド部2dにそれぞれ設けられ、送風により被洗浄車両70の側面を乾燥させる。
【0026】
洗車機本体2の両スタンド部2dのトップブラシ4よりも入口面2a側には、車形センサ9が設けられている。車形センサ9は光電センサ、超音波センサ等から成り、洗車機本体2に進入する被洗浄車両70を側面投影した車両形状を検知する。
【0027】
スタンド部2dには洗剤やコーティング剤等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部30が配される。タンク収納部30の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部31が設けられる。分配配管部31には洗剤ノズル11、水ノズル12、13、15、コートノズル16、17がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0028】
洗剤ノズル11は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。また、洗剤ノズル11は入口面2aとトップブラシ4との間に配され、洗剤の水溶液から成る洗浄水を噴射する。
【0029】
水ノズル12、13、15は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。水ノズル12は洗剤ノズル11と入口面2aとの間に配される。水ノズル13はトップブラシ4と出口面2bとの間に配される。水ノズル15は水ノズル13と出口面2bとの間に配される。
【0030】
水ノズル12、13、15は被洗浄車両70に対して市水から成る洗浄水を噴射する。水ノズル12、13、15により被洗浄車両70の水洗いによる洗浄を行うとともに、洗剤や後述するコーティング剤の水洗いによるすすぎを行う。
【0031】
コートノズル16、17は天井部2cの左右方向の複数箇所に設けられるとともに、図示しないが、両スタンド部2dに設けられる。コートノズル16、17は被洗浄車両70の塗装面をコーティングするコーティング剤の水溶液を噴射する。コートノズル16は水ノズル13、15間に配される。コートノズル17は水ノズル12と洗剤ノズル11との間に配される。
【0032】
洗車機本体2の入口面2a側の左右両端部及び出口面2b側の左右両端部には、移動時に人等の障害物との接触を検知する安全装置40が設けられる。安全装置40は洗車機本体2の側面に取り付けられた前後方向に延びる延設部41、42を有している。延設部41、42は入口面2aまたは出口面2bから前後方向に突出する。延設部41は洗車機本体2の下端部に取り付けられ、延設部42は洗車機本体2の上部に取り付けられる。
【0033】
延設部41には上下方向に延びて配されるワイヤ43の下端が支持される。延設部42上にはワイヤ43の上端を支持する支持構造が形成される。
【0034】
図3図4はワイヤ43の上端部における安全装置40を示す側面図及び正面図である。延設部42は前後方向に延びるロッド42aの先端部に断面L字型のブラケット42bをボルト(不図示)により取り付けて形成される。ブラケット42b上には断面コ字型のアングル44がボルト(不図示)により取り付けられる。アングル44は延設部42を介して洗車機本体2に設けられる支持部材を構成し、支持部材によって後述する圧縮バネ45及び検知ブロック47を介してワイヤ43の上端部が支持される。
【0035】
ワイヤ43の上端部には固定具43aが設けられる。固定具43aの上部には雄ネジが形成され、検知ブロック47及び固定ナット48が螺合する。これにより、ワイヤ43の上端に円柱状の検知ブロック47が配される。ワイヤ43の上端部が検知ブロック47に嵌合してワイヤ43の上端に検知ブロック47を配してもよい。
【0036】
アングル44の底壁44a上には圧縮バネ45が配され、圧縮バネ45には円筒形のスリーブ46が内嵌される。スリーブ46の下端には径方向に突出する鍔部46aが設けられ、鍔部46a上に圧縮バネ45が設置される。
【0037】
ワイヤ43の上端部はブラケット42b及びアングル44の底壁44aを貫通してスリーブ46に挿通され、検知ブロック47を取り付けられる。この時、圧縮バネ45は検知ブロック47とアングル44の底壁44aとの間に縮設され、検知ブロック47が上方に付勢される。
【0038】
アングル44には検知ブロック47の側周面に対向配置される近接センサ49が取り付けられる。近接センサ49は光を出射して検知ブロック47の反射光を検知するとON状態になり、検知ブロック47が上下動して出射光の光路上から離れるとOFF状態になる。
【0039】
上記構成の洗車機1において、ユーザが運転して被洗浄車両70をリモートパネル7の面前で停車させ、被洗浄車両70の洗車条件の設定を被洗浄車両70内から行う。洗車条件を設定した後、ユーザは所定の洗浄開始位置まで被洗浄車両70を移動させる。
【0040】
リモートパネル7の操作により、水洗いコース、シャンプーコース、コーティングコースを選択することができる。水洗いコースは回転ブラシを回転して水ノズル12、13、15から市水の洗浄水を噴射し、被洗浄車両70を水洗いする。シャンプーコースは回転ブラシを回転して洗剤ノズル11から洗剤を含む洗浄水を噴射し、被洗浄車両70を洗浄する。この時、水ノズル12、13から市水の洗浄水を噴射して被洗浄車両70の予備洗浄及び洗剤のすすぎが行われる。コーティングコースはシャンプーコースと同様に被洗浄車両70を洗浄した後、被洗浄車両70にコーティング剤を塗布する。
【0041】
図5図7はシャンプーコースの洗車状態を示す側面図である。シャンプーコースを選択して洗車が開始されると、図5に示すように洗車機本体2が被洗浄車両70の後方(矢印E1)に所定の走行速度(例えば、5m/min)で移動して第1往路工程が行われる。第1往路工程では車形センサ9により被洗浄車両70の形状を検出しながら、各回転ブラシが回転して被洗浄車両70の前後面及び上面が洗浄される。
【0042】
この時、トップブラシ4に先行する洗剤ノズル11から洗剤の洗浄水S2が噴射される。また、洗剤ノズル11に先行する水ノズル12から市水の洗浄水S1が噴射され、トップブラシ4に後行する水ノズル13から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、洗浄水S1により濡れた被洗浄車両70の車体面にトップブラシ4及びサイドブラシ5が摺動し、洗剤を含む洗浄水S2による洗浄が行われる。
【0043】
被洗浄車両70の後面まで洗浄が終了すると、図6に示すように洗車機本体2が反転して被洗浄車両70の前方(矢印E2)に移動する第1復路工程が行われる。第1復路工程では回転ブラシが回転しながら水ノズル12、13から市水の洗浄水S1が噴射される。これにより、被洗浄車両70を水洗いして洗剤のすすぎ洗浄が行われる。
【0044】
被洗浄車両70の前面まで洗浄が終了すると第1復路工程が終了し、回転ブラシの回転が停止される。そして、図7に示すように洗車機本体2が反転して被洗浄車両70の後方(矢印E1)に移動する第2往路工程が行われる。第2往路工程はトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22から空気流K1を送出し、被洗浄車両70を乾燥させる。第2往路工程が終了すると洗車が終了し、被洗浄車両70は前方に退出する。
【0045】
また、洗車中の洗車機本体2の経路上に人等の障害物があった場合に、ワイヤ43が障害物に衝突すると引っ張られる。このため、検知ブロック47が圧縮バネ45に抗して降下し、近接センサ49がOFF状態になる。これにより、安全装置40によって洗車機本体2と障害物との接触が検知され、洗車機本体2の移動を停止して洗車機1の安全性が確保される。
【0046】
ワイヤ43と障害物との接触による検知ブロック47の降下が検知ブロック47に非接触の近接センサ49により検知される。このため、洗車機本体2の停止時等にワイヤ43に強い力が加わった場合や左右方向に力が加わった場合でも近接センサ49に力が加わらない。これにより、安全装置40の故障を防止することができる。
【0047】
この時、検知ブロック47と圧縮バネ45との間、圧縮バネ45と鍔部46aとの間、スリーブ46とアングル44の底壁44aとの間の各摩擦力によって検知ブロック47は水平方向の移動を抑制される。このため、風等によってワイヤ43が揺動した際に検知ブロック47が水平移動することによる近接センサ49の誤検知を防止することができる。
【0048】
また、スリーブ46を省いてもよいが、圧縮バネ45に内嵌されるスリーブ46によってワイヤ43の揺動が抑制される。このため、近接センサ49の誤検知をより確実に防止することができる。
【0049】
尚、スリーブ46の鍔部46aを省いてアングル44の底壁44a上に圧縮バネ45を設置してもよい。しかし、鍔部46a上に圧縮バネ45を設置すると底壁44aに対して鍔部46aを含むスリーブ46の接触面積を大きくできるため、検知ブロック47の水平移動をより確実に抑制できる。
【0050】
ワイヤ43は経年変化によって伸びる場合または切れる場合がある。ワイヤ43が伸びると、圧縮バネ45によって検知ブロック47が上昇する。これにより、ワイヤ43の撓みを防止し、ワイヤ43と障害物との接触を正確に検知することができる。
【0051】
ワイヤ43が切れると、圧縮バネ45によって検知ブロック47が上昇してアングル44の上壁44bに当接する。即ち、アングル44の上壁44bは検知ブロック47の上下ストロークの上限を規制するストッパを構成する。この時、近接センサ49がOFF状態になり、洗車機1の安全性が確保される。
【0052】
尚、アングル44の上壁44bは省いてもよい。アングル44の上壁44bを省くと、ワイヤ43が切れた際に圧縮バネ45の自由長まで検知ブロック47が上昇して近接センサ49がOFF状態になる。これに対して、アングル44の上壁44bを設けると、ワイヤ43が切れた際に検知ブロック47が上壁44bと圧縮バネ45との間に挟まれる。このため、検知ブロック47の脱落を防止することができる。
【0053】
本実施形態によると、安全装置40は、ワイヤ43の上端に配した検知ブロック47とアングル44(支持部材)の底壁44aとの間に圧縮バネ45を縮設し、検知ブロック47の側周面に近接センサ49が対向配置される。これにより、ワイヤ43が引っ張られて検知ブロック47が降下すると、検知ブロック47と非接触の近接センサ49により検知される。
【0054】
従って、洗車機本体2の停止時等にワイヤ43に強い力が加わった場合でも近接センサ49に力が加わらないため、安全装置40の故障を防止することができる。この時、風等によってワイヤ43が揺動した際に圧縮バネ45による摩擦力により検知ブロック47の水平移動が抑制され、近接センサ49の誤検知を防止することができる。
【0055】
また、検知ブロック47の上下ストロークの上限を規制するストッパ(上壁44b)を有するので、ワイヤ43が切れた際に検知ブロック47の脱落を防止することができる。
【0056】
また、アングル44(支持部材)の上壁44bによってストッパがアングル44と一体に形成されるため、部品点数を削減することができる。
【0057】
また、ワイヤ43を挿通するスリーブ46が圧縮バネ45に内嵌してアングル44の底壁44a上に配される。このため、ワイヤ43の揺動を抑制して近接センサ49の誤検知をより確実に防止することができる。
【0058】
また、スリーブ46が径方向に突出する鍔部46aを下端に有し、圧縮バネ45が鍔部46a上に配されるので、検知ブロック47の水平移動をより確実に抑制できる。
【0059】
<第2実施形態>
次に図8図9は第2実施形態の洗車機1の安全装置40の上端部を示す側面図および正面図である。本実施形態は延設部42及びアングル44の構成が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0060】
洗車機本体2の側面に取り付けられる延設部42は断面L字型に形成され、延設部42の先端部の上面にアングル44が取り付けられる。アングル44は断面鉤状に形成され、アングル44の底壁44aは近接センサ49に対して検知ブロック47の反対側に屈曲する。
【0061】
このため、圧縮バネ45はスリーブ46の鍔部46aを介して延設部42上に配される。延設部42は洗車機本体2に設けられる支持部材を構成し、圧縮バネ45及び検知ブロック47を介してワイヤ43の上端部を支持する。
【0062】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、安全装置40は、ワイヤ43の上端に配した検知ブロック47と延設部42(支持部材)との間に圧縮バネ45を縮設し、検知ブロック47の側周面に近接センサ49が対向配置される。これにより、ワイヤ43が引っ張られて検知ブロック47が降下すると、検知ブロック47と非接触の近接センサ49により検知される。従って、安全装置40の故障を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によると、安全装置を備えた洗車機に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 洗車機
2 洗車機本体
2a 入口面
2b 出口面
2c 天井部
2d スタンド部
3 車輪
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
6 ロッカーブラシ
7 リモートパネル
8 操作パネル
9 車形センサ
11 洗剤ノズル
12、13、15 水ノズル
13、15 水ノズル
16、17 コートノズル
20 ブロア
21 トップ送風ノズル
22 サイド送風ノズル
30 タンク収納部
31 分配配管部
40 安全装置
41、42 延設部
42a ロッド
42b ブラケット
43 ワイヤ
43a 固定具
44 アングル
44a 底壁
44b 上壁
45 圧縮バネ
46 スリーブ
46a 鍔部
47 検知ブロック
48 固定ナット
49 近接センサ
60 レール
70 被洗浄車両
G 地面
K1 空気流
S1、S2 洗浄水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9