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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】エアジェット織機の緯入れ装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 47/30 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
D03D47/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020149913
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044336
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】森田 光飛
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆二
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-028442(JP,A)
【文献】実開昭62-055586(JP,U)
【文献】実開昭57-162385(JP,U)
【文献】特開2020-063522(JP,A)
【文献】特開2004-244738(JP,A)
【文献】国際公開第2010/046092(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 47/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアを貯留する第1エアタンクと、
前記第1エアタンクから供給されるエアの噴射によって緯糸を射出する緯入れノズルと、
前記第1エアタンクと配管にて接続され、前記第1エアタンクから供給されたエアを貯留する第2エアタンクと、
前記緯入れノズル及び前記第2エアタンクに直接接続され、前記第2エアタンクから前記緯入れノズルへのエアの供給及び供給停止を切り替え可能なエアバルブと
を備え
前記緯入れノズルは、揺動可能に設けられたメインノズルと、前記メインノズルの上流側に設けられたタンデムノズルとを有し、
前記エアバルブは、前記タンデムノズル及び前記第2エアタンクに直接接続されるエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項2】
前記タンデムノズルは複数設けられ、前記複数のタンデムノズルに前記エアバルブがそれぞれ直接接続され、前記各エアバルブは共通の前記第2エアタンクに直接接続される請求項1に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【請求項3】
前記第2エアタンクは、前記緯入れノズルを支持する支持部材である請求項1又は2に記載のエアジェット織機の緯入れ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアジェット織機の緯入れ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
緯入れノズルから圧縮空気(エア)を噴射することにより緯糸を射出するエアジェット織機の緯入れ装置としては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているような緯入れ装置が知られている。この特許文献1及び特許文献2に記載されている緯入れ装置では、緯入れノズルに供給するエアを貯留するためのエアタンクから、緯入れノズルへのエアの供給及び停止を切り替えるためのエアバルブにエアが供給され、エアバルブから緯入れノズルへエアが供給される。また、特許文献1に記載されている緯入れ装置では、エアタンクとエアバルブとの間はエアが流通可能な配管によって接続されており、特許文献2に記載されている緯入れ装置では、エアバルブと緯入れノズルとの間はエアが流通可能な配管によって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-257344号公報
【文献】特開平6-306738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエアジェット織機の緯入れ装置では、エアタンクからエアバルブに供給されるエアが直径の小さい配管内で加速し、配管内よりも広い空間を有するエアバルブ内に流入したときに急減速することで水撃作用(ウォーターハンマー)を生じることがあった。そして水撃作用が生じることにより、緯入れノズルからのエアの噴射圧の急変動が発生し、緯糸の射出が不安定となるという問題があった。また、特許文献2に記載のエアジェット織機の緯入れ装置では、エアバルブから緯入れノズルへ供給されるエアが直径の小さい配管内で加速し、配管内よりも広い空間を有する緯入れノズル内に流入したときに急減速することで水撃作用を生じることがあった。そして水撃作用が生じることにより、緯入れノズルからのエアの噴射圧の急変動が発生し、緯糸の射出が不安定となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、緯入れノズルからのエアの噴射圧を安定させて、安定して緯糸を射出することができるエアジェット織機の緯入れ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエアジェット織機の緯入れ装置は、エアを貯留する第1エアタンクと、第1エアタンクから供給されるエアの噴射によって緯糸を射出する緯入れノズルと、第1エアタンクと配管にて接続され、第1エアタンクから供給されたエアを貯留する第2エアタンクと、緯入れノズル及び第2エアタンクに直接接続され、第2エアタンクから緯入れノズルへのエアの供給及び供給停止を切り替え可能なエアバルブとを備え、緯入れノズルは、揺動可能に設けられたメインノズルと、メインノズルの上流側に設けられたタンデムノズルとを有し、エアバルブは、タンデムノズル及び第2エアタンクに直接接続される。
【0007】
また、緯入れノズルは、揺動可能に設けられたメインノズルと、メインノズルの上流側に設けられたタンデムノズルとを有し、エアバルブは、タンデムノズル及び第2エアタンクに直接接続されてもよい。
また、タンデムノズルは複数設けられ、複数のタンデムノズルにエアバルブがそれぞれ直接接続され、各エアバルブは共通の第2エアタンクに直接接続されてもよい。
また、第2エアタンクは、緯入れノズルを支持する支持部材であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば第1エアタンクから緯入れノズルまでの圧縮空気の供給経路に設けられ、第1エアタンクから供給された圧縮空気を貯留する第2エアタンクを有し、緯入れノズル及び第2エアタンクにエアバルブが直接接続されているため、エアジェット織機の緯入れノズルからのエアの噴射圧を安定させて、安定して緯糸を射出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係るエアジェット織機の概略図である。
図2図1に示すタンデムノズルの概略図である。
図3図2に示すタンデムノズルの平面図である。
図4図2に示すタンデムノズルの正面図である。
図5図4に示すタンデムノズルのA-A’線断面図である。
図6図4に示すタンデムノズルのB-B’線断面図である。
図7】本発明の実施の形態2に係るエアジェット織機のタンデムノズルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施の形態1のエアジェット織機の概略図である。エアジェット織機100には、給糸装置110と、給糸装置110から引き出された緯糸111を貯留する貯留ドラム112と、貯留ドラム112の下流側で緯糸111を変形筬130に緯入れする緯入れ装置10とが設けられている。緯入れ装置10には、タンデムノズル1及びメインノズル113からなる緯入れノズル13が設けられている。タンデムノズル1は、圧縮空気(エア)を噴射することにより貯留ドラムから緯糸を引き出し、下流側のメインノズル113に射出する。またタンデムノズル1は、エアジェット織機100が配置されている床面又はエアジェット織機100の図示しないフレームに設けられた図示しないブラケットに固定された状態で取り付けられている。
【0011】
タンデムノズル1には、第2エアタンク50が接続されている。第2エアタンク50には、第1エアタンク115がエアホース114(配管)を介して接続されている。第1エアタンク115には、エアジェット織機100が設置された工場の図示しないエア供給系統から供給されたエアが貯留される。すなわち、第1エアタンク115に貯留されたエアがタンデムノズル1に供給されるエアの供給経路に、第2エアタンク50が設けられている。第2エアタンクは第1エアタンクから供給されるエアを貯留する。また、タンデムノズル1には、エアジェット織機100の動作を総合的に制御する制御装置140が電気的に接続されている。
【0012】
タンデムノズル1の下流側には、メインノズル113が設けられている。メインノズル113は第1エアタンク115にエアホース114を介して接続されており、第1エアタンク115から供給されるエアを噴射することにより緯糸111を射出して変形筬130の緯糸飛走経路131に飛走させる。またメインノズル113には、制御装置140に接続された図示しない電磁弁であるメインノズルバルブが取り付けられており、制御装置140によりメインノズルバルブが開閉されることにより、メインノズル113からのエアの噴射及び噴射停止が切り替えられる。
【0013】
変形筬130の緯糸飛走経路131に沿って、サブノズル132が複数設けられている。サブノズル132は、緯糸111を緯糸飛走経路131に沿ってメインノズル113の側、すなわち図1における左端の上流側から右端の下流側へ搬送する。また、サブノズル132はエアホース133を介して、4個のサブノズル132が1組となりサブバルブ134に接続されている。サブバルブ134はそれぞれサブノズルエアタンク135に接続されている。メインノズル113と、変形筬130と、サブノズル132とは、エアジェット織機100の図示しないスレイ上に設けられており、エアジェット織機100の前後方向に往復揺動される。
【0014】
図2図1に示すタンデムノズル1の概略図である。図3図2に示すタンデムノズル1の平面図であり、図4図2に示すタンデムノズル1の正面図である。タンデムノズル1には、緯糸111(図1参照)の経路の下流側に設けられた第1ノズル20と、第1ノズルの上流に設けられた第2ノズル30とが設けられている。第2ノズル30は、その先端が第1ノズル20の後端側に位置するように第1ノズル20と間隔を開けて設けられている。また第1ノズル20及び第2ノズル30は、緯糸111(図1参照)の経路を構成するために同じ直線上に中心軸が位置するように配置されている。第1ノズル20と第2ノズル30との間には、ピーク張力時に緯糸の糸切れを防止する既知の緯糸張力補正装置(ABS装置)40が設けられている。
【0015】
第1ノズルには、開閉することにより第1ノズル20へのエアの供給及びエアの供給停止を切り替えることが可能な電磁弁であるエアバルブとしての第1タンデムバルブ22と、第1ノズル20及び第1タンデムバルブ22を支持する第1タンデムバルブ基部21とが設けられている。第2ノズル30には、開閉することにより第2ノズル30へのエアの供給及びエアの供給停止を切り替えることが可能な電磁弁であるエアバルブとしての第2タンデムバルブ32と、第2ノズル30及び第2タンデムバルブ32を支持する第2タンデムバルブ基部31とが設けられている。
【0016】
第1タンデムバルブ基部21及び第2タンデムバルブ基部31の上部には、第2エアタンク50が設けられている。第2エアタンク50は、アルミニウム材料により形成された直方体の外形を有するエアタンクであり、長手方向が第1ノズル20及び第2ノズル30の軸方向に平行に設けられている。すなわち、第2エアタンク50はその下部に第1ノズル20と、第1タンデムバルブ22と、第2ノズル30と、第2タンデムバルブ32とを保持している。第1タンデムバルブ基部21が設けられている側の第2エアタンク50の端部付近下部には、第1ノズル20を輪状の端部に通して保持する吊りバンド状の第1ノズル保持部材23が設けられている。第2タンデムバルブ基部31が設けられている側の第2エアタンク50の端部には、第2エアタンク50の内部に接続されている第2エアタンク継手51が設けられている。第2エアタンク継手51は、図1に示すエアホース114に接続されている。なお、第1エアタンク115と、第2エアタンク50と、メインノズル113と、タンデムノズル1と、第1タンデムバルブ22(図2参照)と、第2タンデムバルブ32とは、エアジェット織機100の緯入れ装置を構成している。
【0017】
次に、図5及び図6を参照して第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32の構成を説明する。図5は、図4に記載されている第2タンデムバルブ基部31、第2タンデムバルブ32及び第2エアタンク50を、第1ノズル20及び第2ノズル30の軸方向に対して垂直方向に延びるA-A’線で切断し右側面側から見たA-A’線断面図である。また、図6図4に記載されている第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32を、第1ノズル20及び第2ノズル30の軸方向に延びるB-B’線で切断した断面図である。また、第1タンデムバルブ基部21及び第1タンデムバルブ22は第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32と同じ構成を有するため、第1タンデムバルブ基部21及び第1タンデムバルブ22の構成についても第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32と同じように図5及び図6を参照して説明する。
【0018】
図5を参照すると、第2エアタンク50は、内部に第1エアタンク115から供給されたエアを貯留する空間である貯留部50aを有している。第2エアタンク50は貯留部50aに貯留可能なエアの量が、一度の緯入れ工程において第1ノズル20及び第2ノズル30より噴射されるエアの合計量よりも大きく形成されている。
【0019】
次に、第2タンデムバルブ32及び第2タンデムバルブ基部31について説明する。第2タンデムバルブ基部31の内部には、貯留部50aから第2ノズル30へエアが流通するエア流路37が形成されている。第2タンデムバルブ32は、エア流路37に配置されている。第2タンデムバルブ32には円柱状の弁体34と、第2タンデムバルブ基部31の外側すなわち図5における左側に配置された円柱状の固定部材35とが設けられている。弁体34は、その一端がエア流路37内に突出しており、他端が固定部材35の端部に対向するように配置されている。また、弁体34はその長手方向に移動自在に形成されており、制御装置140(図1参照)により電気的に制御されて弁体34が移動することにより、エア流路37の開放と閉塞とが切り替えられる。すなわち、弁体34が図5における右側に移動することでエア流路37が閉塞され、弁体34が図5における左側へ移動することによりエア流路37が開放される。
【0020】
次に、同じように第1タンデムバルブ22及び第1タンデムバルブ基部21について説明する。第1タンデムバルブ基部21の内部には、貯留部50aから第1ノズル20へエアが流通するエア流路27が形成されている。第1タンデムバルブ22は、エア流路27に配置されている。第1タンデムバルブ22には円柱状の弁体24と、第1タンデムバルブ基部21の外側すなわち図5の左側に配置された円柱状の固定部材25が設けられている。弁体24は、その一端がエア流路27内に突出しており、他端が固定部材25の端部に対向するように配置されている。また、弁体24はその長手方向に移動自在に形成されており、制御装置140(図1参照)により電気的に制御されて弁体24が移動することにより、エア流路27の開放と閉塞とが切り替えられる。すなわち、弁体24が図5における右側に移動することでエア流路27が閉塞され、弁体24が図5における左側へ移動することによりエア流路27が開放される。
【0021】
図6を参照すると、第2タンデムバルブ基部31のエア流路37には第2ノズル30のノズル開口部30aが開口しており、ノズル開口部30aによりエア流路37と第2ノズル30の内部が接続されている。同じように、第1タンデムバルブ基部21のエア流路27には第1ノズル20のノズル開口部20aが開口しており、ノズル開口部20aによりエア流路27と第1ノズル20の内部が接続されている。
【0022】
次に、この実施の形態1のエアジェット織機の緯入れ装置の動作について説明する。
図1に示すエアジェット織機100において緯入れを行うときには、タンデムノズル1からエアを噴射することにより貯留ドラム112から緯糸を引き出してメインノズル113に緯糸111を射出し、メインノズル113からエアを噴射することで変形筬130に緯糸111の緯入れを行う。第1ノズル20からのエア噴射は、エアジェット織機100の制御装置140により第1タンデムバルブ22を開閉制御することにより行われる。第2ノズル30からのエア噴射は、エアジェット織機100の制御装置140により第2タンデムバルブ32を開閉制御することにより行われる。また、第1エアタンク115から供給されたエアが、図2に示す第2エアタンク50の貯留部50aに貯留される。
【0023】
次に、図5を参照して、第1タンデムバルブ22の開閉動作について説明する。制御装置140(図1参照)により、第1タンデムバルブ22の弁体24が電気的に制御されてその長手方向に移動し、第1タンデムバルブ基部21の内部のエア流路27の開放と閉塞とが切替えられる。弁体24が第1タンデムバルブ基部21側に移動してエア流路27を閉塞している場合には、バルブ上流側エア流路Aとバルブ下流側エア流路Bとが遮断されており、貯留部50aに貯留されたエアが第1ノズル20に流入しないため、第1ノズル20よりエアが噴射されない。
【0024】
制御装置140により、第1タンデムバルブ22の弁体24が電気的に制御されて固定部材25側に移動している場合には、エア流路27は開放されている。エア流路27が開放されている場合には、バルブ上流側エア流路Aとバルブ下流側エア流路Bとが連絡され、貯留部50aに貯留されたエアが図6に示すノズル開口部20aから第1ノズル20に流入する。これにより、第1ノズル20よりエアが噴射される。
【0025】
第2エアタンク50と、第1タンデムバルブ22と、第1タンデムバルブ基部21のエア流路27と、第1ノズル20とは直接接続されている。なお、本明細書において「直接接続」とは、バルブ、タンク及びノズルが配管等を介さずに一体的に接続されることをいう。よって、従来のエアジェット織機の緯入れ装置とは異なり第2エアタンク50と第1タンデムバルブ22との間、及び第1タンデムバルブ22と第1ノズル20との間には例えば配管及びエアホース等の直径の小さいエアの流路が存在しない。そのため、第1タンデムバルブ22及び第1ノズル20において急激なエアの圧力変化が発生しないため、第1タンデムバルブ22及び第1ノズル20における水撃作用の発生を抑制して第1ノズル20からのエアの噴射圧を安定させることができる。
【0026】
次に、第2タンデムバルブ32の開閉動作について説明する。制御装置140により、第2タンデムバルブ32の弁体34が電気的に制御されてその長手方向に移動し、第2タンデムバルブ基部31の内部のエア流路37の開放と閉塞とが切替えられる。第2タンデムバルブ32の弁体34が第2タンデムバルブ基部31側に移動してエア流路37を閉塞している場合には、バルブ上流側エア流路Aとバルブ下流側エア流路Bとが遮断されており、貯留部50aに貯留されたエアが第2ノズル30に流入しないため、第2ノズル30よりエアが噴射されない。
【0027】
制御装置140により、第2タンデムバルブ32の弁体34が電気的に制御されて固定部材35側に移動している場合には、エア流路37は開放されている。エア流路37が開放されている場合には、バルブ上流側エア流路Aとバルブ下流側エア流路Bとが連絡され、貯留部50aに貯留されたエアが図6に示すノズル開口部30aから第2ノズル30に流入する。これにより、第2ノズル30よりエアが噴射される。
【0028】
第2エアタンク50と、第2タンデムバルブ32と、第2タンデムバルブ基部31のエア流路37と、第2ノズル30とは直接接続されている。よって、従来のエアジェット織機の緯入れ装置とは異なり、第2エアタンク50と第2タンデムバルブ32との間、及び第2タンデムバルブ32と第2ノズル30との間には例えば配管及びエアホース等の直径の小さいエアの流路が存在しない。そのため、第2タンデムバルブ32及び第2ノズル30において急激なエアの圧力変化が発生しないため、第2タンデムバルブ32及び第2ノズル30における水撃作用の発生を抑制して第2ノズル30からのエアの噴射圧を安定させることができる。
【0029】
このように、本実施の形態1に係るエアジェット織機100の緯入れ装置10は、エアを貯留する第1エアタンク115と、第1エアタンク115から供給されるエアの噴射によって緯糸111を射出する緯入れノズル13と、第1エアタンク115とエアホース114にて接続され、第1エアタンク115から供給されたエアを貯留する第2エアタンク50と、タンデムノズル1及び第2エアタンク50に直接接続され、第2エアタンク50からタンデムノズル1への圧縮空気の供給及び供給停止を切り替え可能な第1タンデムバルブ22及び第2タンデムバルブ32とを備えるため、タンデムノズル1からのエアの噴射圧を安定させて、安定して緯糸111を射出することができる。
【0030】
また、緯入れノズル13は、揺動可能に設けられたメインノズル113と、メインノズル113の上流側に設けられたタンデムノズル1とを有する。そして、タンデムノズル1へのエアの供給及び供給停止を切り替える第1タンデムバルブ22は第1ノズル20及び第2エアタンク50に直接接続され、タンデムノズル1へのエアの供給及び供給停止を切り替える第2タンデムバルブ32は、第2ノズル30及び第2エアタンク50に直接接続されるため、第1ノズル20及び第2ノズル30の両方のノズルからのエアの噴射圧を安定させて、安定して緯糸111を射出することができる。
【0031】
また、第1ノズル20と第2ノズル30とが設けられ、第1ノズル20に第1タンデムバルブ22が直接接続され、第2ノズル30に第2タンデムバルブ32が直接接続され、第1タンデムバルブ22及び第2タンデムバルブ32が共通の第2エアタンク50に直接接続される。そのため、共通の第2エアタンク50により第1ノズル20及び第2ノズル30が互いに連結され、ノズル連結部材を用いることなく、部品点数を削減して簡単に第1ノズル20及び第2ノズル30を直列に配置することができる。
【0032】
また、本実施の形態1に係る緯入れ装置10は、共通の第2エアタンク50に第1タンデムバルブ22及び第2タンデムバルブ32を直接接続することで、第1エアタンク115から第1タンデムバルブ22及び第2タンデムバルブ32へのエアの供給経路を個別に設けることなく、第1エアタンク115に接続されたエアホース114として一本化することができる。
【0033】
また、本実施の形態1に係る緯入れ装置10の第2エアタンク50は、中空部である貯留部50aを有する直方体であるため、従来のバルブ支持部材よりも剛性が高いという利点を有する。
【0034】
なお、本実施の形態1においては、タンデムノズル1は第1ノズル20と、第2ノズル30との2個のノズルを有していたが、ノズルの数はこれに限定されるものではない。ノズルの数が2個以外の場合であっても、各ノズルに直接接続された各タンデムバルブが第2エアタンク50に直接接続されていればよい。
【0035】
また、本実施の形態1においては、第2エアタンク50はアルミニウム材料により形成され直方体の外形を有していたが、これ以外の材料を用いてもよいし、これ以外の形状に形成されていてもよい。例えば、ステンレス等の金属材料や樹脂材料により形成されていてもよいし、円筒状に形成されていてもよい。
【0036】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係るエアジェット織機の緯入れ装置について説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1の図1図6の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるのでその詳細な説明は省略する。本実施の形態2に係るエアジェット織機の緯入れ装置は、実施の形態1に対して第2エアタンクをタンデムノズルを支持する支持部材としたものである。
【0037】
図7は、本実施の形態2に係るエアジェット織機の緯入れ装置の概略図である。エアジェット織機のタンデムノズル1aの第1タンデムバルブ基部21と第2タンデムバルブ基部31は、棒状の水平接続部材11により水平方向に間隔を開けて接続されている。第1タンデムバルブ基部21には、長手方向が鉛直方向に延びるように配置された直方体の第2エアタンク52が接続されている。第2タンデムバルブ基部31には、長手方向が鉛直方向に延びるように配置されている直方体の第2エアタンク53が接続されている。第2エアタンク52及び第2エアタンク53は、第1エアタンク115(図1参照)から供給されるエアを貯留するタンクである。第2エアタンク52及び第2エアタンク53は、アルミニウム材料により形成され、直方体の外形を有し、互いに同じ構成を有している。また、第2エアタンク52と第2エアタンク53とは、エアジェット織機100のフレーム12に接続されている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0038】
本実施の形態2のエアジェット織機100のタンデムノズル1aは、フレーム12に設けられた第2エアタンク52が第1ノズル20、第1タンデムバルブ基部21及び第1タンデムバルブ22を支持する支持部材を構成し、フレーム12に設けられた第2エアタンク53が第2ノズル30、第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32を支持する支持部材を構成している。すなわち、第2エアタンク52及び第2エアタンク53は、タンデムノズル1aをフレーム12に対して支持する支持部材である。
【0039】
このように、第2エアタンク52及び第2エアタンク53は、第1ノズル20、第1タンデムバルブ基部21、第1タンデムバルブ22、第2ノズル30、第2タンデムバルブ基部31及び第2タンデムバルブ32を支持する支持部材であるため、別途に支持部材を設けることなくエアジェット織機100が第1ノズル20及び第2ノズル30を有するタンデムノズル1aをフレーム12に固定して支持することができる。
【0040】
また、本実施の形態2の第2エアタンク52及び第2エアタンク53は、長手方向が鉛直方向に延びるように配置されるため大型化することが容易であり、第2エアタンク52及び第2エアタンク53に貯留されるエアの容量を大容量化することが容易であるという利点を有する。さらに、第2エアタンク52及び第2エアタンク53は中空部である貯留部を有する直方体であるため、従来のタンデムノズル支持部材よりも剛性を高めつつ重量を比較的小さくすることが可能であり、重量増加を抑制しつつタンデムノズルの振動を抑制することができるという利点を有する。
【0041】
なお、本実施の形態2においては第2エアタンク52及び第2エアタンク53の2つの第2エアタンクがフレーム12に接続されてタンデムノズル1aの支持部材を構成していたが、第2エアタンク52及び第2エアタンク53のうちのいずれか一方のみをフレーム12に接続して支持部材を構成してもよい。
【0042】
また、本実施の形態2においては、第2エアタンク52及び第2エアタンク53はフレーム12に接続されていたが、第1ノズル20及び第2ノズル30を支持することができれば、これ以外の場所に接続されていてもよい。例えばエアジェット織機の設置されている床面に設置された、第1ノズル20及び第2ノズル30を支持するためのブラケット等に接続されていてもよい。
【0043】
また、緯入れノズルとして、タンデムノズルではなくメインノズルやサブノズルに本発明を適用してもよい。しかし、メインノズル及びサブノズルは製織中に揺動するため、揺動部分の重量増加が耐久性を低下させる恐れがある。この点、タンデムノズルは揺動することがないため、本発明の適用が耐久性に影響することがない。
【符号の説明】
【0044】
1,1a タンデムノズル、13 緯入れノズル、20 第1ノズル(タンデムノズル)、22 第1タンデムバルブ(エアバルブ)、30 第2ノズル(タンデムノズル)、32 第2タンデムバルブ(エアバルブ)、50 第2エアタンク、52,53 第2エアタンク(支持部材)、113 メインノズル、114 エアホース(配管)、115 第1エアタンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7