(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】金属被膜の成膜装置及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
C25D 17/00 20060101AFI20231121BHJP
C25D 17/10 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
C25D17/00 H
C25D17/10 A
(21)【出願番号】P 2020155163
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】近藤 春樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 創真
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218603(JP,A)
【文献】特開2001-020097(JP,A)
【文献】特開2009-019227(JP,A)
【文献】特開2004-307875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00
C25D 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と、前記陽極と陰極となる基材との間に設けられた固体電解質膜と、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加する電源部と、前記陽極と前記固体電解質膜との間に金属イオンを含む溶液を収容する溶液収容部と、前記溶液の液圧により前記固体電解質膜を前記陰極側に加圧する加圧部と、を備え、前記固体電解質膜で前記基材の表面を加圧しながら、前記電圧を印加することで前記固体電解質膜の内部に含有される前記金属イオンを析出させることにより、前記基材の表面に金属被膜を成膜する金属被膜の成膜装置であって、
前記陽極の外周面を取り囲むように設けられた電気力線を遮蔽する遮蔽部材をさらに備え
、
前記遮蔽部材の縮小幅Wの比率(%)及び前記遮蔽部材のギャップDの比率(%)をそれぞれX座標及びY座標とする座標系において、前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの前記比率(%)及び前記ギャップDの前記比率(%)の組み合わせが、(-2,0)、(-2,5)、(2,16)、(5,16)、(5,12)、及び(0,0)の座標を頂点とする範囲内に含まれ、
前記遮蔽部材の前記縮小幅Wは、前記基材の前記表面のうちの前記金属被膜が成膜される成膜領域を平面視した場合の前記成膜領域の周縁から前記遮蔽部材の内周面までの距離について、前記遮蔽部材の前記内周面が前記成膜領域の前記周縁よりも内側の場合に正の値で表し、前記遮蔽部材の前記内周面が前記成膜領域の前記周縁よりも外側の場合に負の値で表したものであり、
前記遮蔽部材の前記ギャップDは、前記遮蔽部材の前記陰極側の端面から前記固体電解質膜の前記陰極側の端面までの距離であり、
前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの前記比率(%)は、前記成膜領域の中央から前記周縁までの距離に対する前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの割合であり、前記遮蔽部材の前記ギャップDの前記比率(%)は、前記成膜領域の前記中央から前記周縁までの距離に対する前記遮蔽部材の前記ギャップDの割合であることを特徴とする金属被膜の成膜装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は前記陽極よりも前記陰極側に延在することを特徴とする請求項1に記載の金属被膜の成膜装置。
【請求項3】
前記電圧を印加する際に
前記遮蔽部材の前記縮小幅W≧0が成立することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属被膜の成膜装置。
【請求項4】
陽極と陰極となる基材との間に固体電解質膜を配置し、前記陽極と前記固体電解質膜との間に配置される金属イオンを含む溶液の液圧により前記固体電解質膜で前記基材の表面を加圧しながら、前記陽極と前記陰極との間に電圧を印加することで前記固体電解質膜の内部に含有される前記金属イオンを析出させることにより、前記基材の表面に金属被膜を成膜する金属被膜の成膜方法であって、
前記陽極の外周面を取り囲むように電気力線を遮蔽する遮蔽部材を配置した状態において、前記電圧を印加することで前記金属被膜を成膜
し、
前記電圧を印加する際に前記陽極の前記外周面を取り囲むように前記遮蔽部材を配置した前記状態において、前記遮蔽部材の縮小幅Wの比率(%)及び前記遮蔽部材のギャップDの比率(%)をそれぞれX座標及びY座標とする座標系において、前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの前記比率(%)及び前記ギャップDの前記比率(%)の組み合わせが、(-2,0)、(-2,5)、(2,16)、(5,16)、(5,12)、及び(0,0)の座標を頂点とする範囲内に含まれ、
前記遮蔽部材の前記縮小幅Wは、前記基材の前記表面のうちの前記金属被膜が成膜される成膜領域を平面視した場合の前記成膜領域の周縁から前記遮蔽部材の内周面までの距離について、前記遮蔽部材の前記内周面が前記成膜領域の前記周縁よりも内側の場合に正の値で表し、前記遮蔽部材の前記内周面が前記成膜領域の前記周縁よりも外側の場合に負の値で表したものであり、
前記遮蔽部材の前記ギャップDは、前記遮蔽部材の前記陰極側の端面から前記固体電解質膜の前記陰極側の端面までの距離であり、
前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの前記比率(%)は、前記成膜領域の中央から前記周縁までの距離に対する前記遮蔽部材の前記縮小幅Wの割合であり、前記遮蔽部材の前記ギャップDの前記比率(%)は、前記成膜領域の前記中央から前記周縁までの距離に対する前記遮蔽部材の前記ギャップDの割合であることを特徴とする金属被膜の成膜方法。
【請求項5】
前記遮蔽部材は前記陽極よりも前記陰極側に延在することを特徴とする請求項4に記載の金属被膜の成膜方法。
【請求項6】
前記電圧を印加する際に
前記遮蔽部材の前記縮小幅W≧0が成立することを特徴とする請求項4又は5に記載の金属被膜の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属被膜の成膜装置及び成膜方法に関し、特に基材の表面に金属被膜を成膜することができる金属被膜の成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属イオンを析出させることで金属被膜を成膜する成膜装置及び成膜方法が知られている。例えば、特許文献1には、陽極と、陽極と陰極となる基材との間に設けられた固体電解質膜と、陽極と陰極との間に電圧を印加する電源部と、陽極と固体電解質膜との間に金属イオンを含む溶液を収容する溶液収容部と、溶液の液圧により固体電解質膜を陰極側に加圧する加圧部と、を備え、固体電解質膜が溶液収容部の陰極側の開口部を封止するように設けられている成膜装置、並びにその装置を用いる金属被膜の方法が提案されている。
【0003】
この金属被膜の成膜方法により基材の表面に金属被膜を成膜する場合には、固体電解質膜を基材の表面に接触させた後、溶液の液圧により固体電解質膜で基材の表面を加圧しながら、電圧を印加することで固体電解質膜の内部に含有される金属イオンを析出させることにより、基材の表面に金属被膜を成膜する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の金属被膜の成膜装置及び成膜方法では、基材の表面に金属被膜を成膜する際に、陽極からの電気力線が基材の表面の成膜領域の周縁部に偏って集まり、成膜領域の周縁部に電流が集中することで、成膜領域の電流密度にバラツキが生じることがある。この結果、基材の表面の成膜領域の周縁部で金属イオンが過剰に析出し金属被膜の膜厚が増大することで、金属被膜を均一な膜厚で成膜できなくなることがある。
【0006】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属被膜を均一な膜厚で成膜できる金属被膜の成膜装置及び成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の金属被膜の成膜装置は、陽極と、上記陽極と陰極となる基材との間に設けられた固体電解質膜と、上記陽極と上記陰極との間に電圧を印加する電源部と、上記陽極と上記固体電解質膜との間に金属イオンを含む溶液を収容する溶液収容部と、上記溶液の液圧により上記固体電解質膜を上記陰極側に加圧する加圧部と、を備え、上記固体電解質膜で上記基材の表面を加圧しながら、上記電圧を印加することで上記固体電解質膜の内部に含有される上記金属イオンを析出させることにより、上記基材の表面に金属被膜を成膜する金属被膜の成膜装置であって、上記陽極の外周面を取り囲むように設けられた電気力線を遮蔽する遮蔽部材をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の金属被膜の成膜装置によれば、金属被膜を均一な膜厚で成膜できる。
【0009】
さらに、本発明の金属被膜の成膜方法は、陽極と陰極となる基材との間に固体電解質膜を配置し、上記陽極と上記固体電解質膜との間に配置される金属イオンを含む溶液の液圧により上記固体電解質膜で上記基材の表面を加圧しながら、上記陽極と上記陰極との間に電圧を印加することで上記固体電解質膜の内部に含有される上記金属イオンを析出させることにより、上記基材の表面に金属被膜を成膜する金属被膜の成膜方法であって、上記陽極の外周面を取り囲むように電気力線を遮蔽する遮蔽部材を配置した状態において、上記電圧を印加することで上記金属被膜を成膜することを特徴とする。
【0010】
本発明の金属被膜の成膜方法によれば、金属被膜を均一な膜厚で成膜できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属被膜を均一な膜厚で成膜できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置を示す概略斜視図である。
【
図2A】第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法を示す概略工程断面図であり、
図1に示される成膜装置の溶液収容部及び基材を含む要部の概略断面を示す。
【
図2B】第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法を示す概略工程断面図である。
【
図2C】第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法を示す概略工程断面図である。
【
図3】
図1に示される成膜装置の溶液収容部を陰極側から平面視した概略平面図である。
【
図4】(a)は、
図2Bの破線枠内の拡大図である。(b)及び(c)は、第1実施形態に係る変形例の(a)に対応する拡大図である。
【
図5】第2実施形態に係る金属被膜の成膜装置を示す概略断面図であり、溶液収容部及び基材を含む要部の概略断面を示す。
【
図6】(a)は、遮蔽部材の縮小幅Wの比率=2.5%及び遮蔽部材のギャップDの比率=20%の条件で解析した成膜領域の電流密度分布を示す画像であり、(b)は、(a)に示される長辺と平行な評価方向での成膜領域の中央から周縁までの電流密度の変化を示すグラフである。
【
図7】遮蔽部材の縮小幅Wの比率を各値に設定した場合について遮蔽部材のギャップDの比率に対する電流密度のバラツキの変化を示すグラフである。
【
図8】遮蔽部材のギャップDの比率を各値に設定した場合について遮蔽部材の縮小幅Wの比率に対する電流密度のバラツキの変化を示すグラフである。
【
図9】遮蔽部材の縮小幅Wの比率及び遮蔽部材のギャップDの比率をそれぞれX座標及びY座標とする座標系において、電流密度のバラツキが30%以下となる座標を点で示すとともに電流密度のバラツキが30%以下となる好ましい範囲を示すグラフである。
【
図10】従来技術に係る配線パターンの成膜方法の要部を示す概略断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る金属被膜の成膜方法である配線パターンの成膜方法の要部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の金属被膜の成膜装置及び成膜方法に係る実施形態について説明する。
最初に、実施形態の概略について、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置及び成膜方法を例示して説明する。
図1は、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置を示す概略斜視図である。
図2A~
図2Cは、第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法を示す概略工程断面図であり、
図2Aは、
図1に示される成膜装置の溶液収容部及び基材を含む要部の概略断面を示す。
図3は、
図1に示される成膜装置の溶液収容部を陰極側から平面視した概略平面図である。
図4(a)は、
図2Bの破線枠内の拡大図である。
【0014】
図1及び
図2Aに示すように、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置1は、陽極2と、陽極2と陰極となる基材4との間に設けられた固体電解質膜6と、陽極2と基材(陰極)4との間に電圧を印加する電源部8と、陽極2と固体電解質膜6との間に金属イオンを含む溶液(以下、「金属イオン溶液」ということがある。)Lを収容する溶液収容部12と、金属イオン溶液Lの液圧により固体電解質膜6を陰極側に加圧するポンプ(加圧部)30bと、を備えている。
【0015】
陽極2は、溶液収容部12の内側の上面12aに設けられ、溶液収容部12の内部に金属イオン溶液Lに接触するように収容されており、電源部8に電気的に接続されている。陽極2の表面2sは、固体電解質膜6の陰極側の端面6sと平行となっている。基材4は台座20の溝部20hに埋設されているため、基材4の表面4s及び台座20の表面20sは面一となっている。また、基材4は電源部8に電気的に接続されている。なお、基材4の表面4sの全体が成膜領域4rとなっている。陽極2を平面視した形状が、
図3に示すように成膜領域4rを平面視した形状の矩形と相似しており、陽極2を平面視したサイズが、成膜領域4rを平面視したサイズより僅かに小さくなっている。溶液収容部12の陰極側には開口部12hが設けられている。固体電解質膜6は、溶液収容部12の開口部12hを覆うように設けられている。電源部8は、制御装置50に電気的に接続されており、陽極2と基材4との間の電圧を制御するために制御装置50から制御信号を入力できる。台座20は、絶縁性及び金属イオン溶液への耐薬品性を有する材料から構成されている。
【0016】
金属被膜の成膜装置1は、
図2A及び
図3に示すように、陽極2の外周面2pを取り囲むように設けられた電気力線を遮蔽する遮蔽部材14をさらに備えている。遮蔽部材14は陽極2よりも陰極側に延在している。遮蔽部材14の陰極側には開口部14hが設けられており、
図3に示すように、遮蔽部材14を平面視した形状は矩形枠状となっており、遮蔽部材14の開口部14hを平面視した形状及びサイズは陽極2と同一になっている。
【0017】
金属被膜の成膜装置1では、
図1に示すように、溶液収容部12の一方側に、金属イオン溶液Lが収容される溶液タンク30が供給管30aを介して接続されており、供給管30aにポンプ(加圧部)30bが設けられている。溶液収容部12の他方側に、成膜後の金属イオン溶液Lの廃液を回収する廃液タンク40が廃液管40aを介して接続されており、廃液管40aに開閉弁40bが設けられている。ポンプ30b及び開閉弁40bは、制御装置50に電気的に接続されており、それらの動作を制御するために制御装置50から制御信号を入力できる。このような成膜装置1の構成によって、開閉弁40bを閉じた状態とすることで、溶液収容部12の内部を、金属イオン溶液Lを収容する密閉空間にすることができる。ポンプ30bを駆動することで、この密閉空間に対し供給管30aを介して溶液タンク30から金属イオン溶液Lを供給でき、この密閉空間に収容される金属イオン溶液Lの液圧を所望値に調整できる。開閉弁40bを開くことで、廃液管40aを介して成膜後の金属イオン溶液Lの廃液を廃液タンク40に送ることができる。
【0018】
さらに、金属被膜の成膜装置1では、溶液収容部12の上部に移動装置52が連結されている。移動装置52は、溶液収容部12を固体電解質膜6と一緒に基材4に向かって移動させることにより、固体電解質膜6を基材4の表面4sの成膜領域4rに接触させるものである。移動装置52は、制御装置50に電気的に接続されており、その動作を制御するために制御装置50から制御信号を入力できる。
【0019】
また、溶液収容部12の内部の密閉空間に収容される金属イオン溶液Lの液圧を測定する圧力計54が設けられている。圧力計54は、制御装置50に電気的に接続されており、圧力計54で測定される金属イオン溶液Lの液圧値を信号として出力できる。
【0020】
制御装置50は、電源部8、ポンプ30b及び開閉弁40b、移動装置52、並びに圧力計54に電気的に接続されている。制御装置50は、電源部8、ポンプ30b及び開閉弁40b、並びに移動装置52を制御するために制御信号を出力でき、圧力計54から信号として出力される液圧値を入力できる。
【0021】
第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法では、金属被膜の成膜装置1を用い、基材4の表面4sの成膜領域4rに金属被膜Mを成膜する。以下、その工程について説明する。
【0022】
まず、
図1及び
図2Aに示すように、基材4の表面4s及び台座20の表面20sが面一となるように、基材4を台座20の溝部20hに埋設し、電源部8を基材4に電気的に接続する。そして、陽極2と陰極となる基材4との間に固体電解質膜6を配置する。これとともに、陽極2の表面2s及び基材4の表面4sが平行となり、かつ平面視した場合に陽極2の外周面2pが基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁4pの内側にくるように、陽極2に対する基材4のアライメントを調整する。
【0023】
次に、制御装置50から制御信号を入力することで移動装置52を駆動することにより、
図2Bに示すように、溶液収容部12と一緒に固体電解質膜6を基材4に向かって移動させることにより、固体電解質膜6の陰極側の端面6sを基材4の表面4sの成膜領域4rに接触させる。この際、
図4(a)に示すように、遮蔽部材14の陰極側の端面14sを基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁部に対向させる(遮蔽部材の縮小幅W>0)。
【0024】
次に、制御装置50から制御信号を入力することで開閉弁40bを閉じた状態とすることにより、溶液収容部12の内部を、金属イオン溶液Lを収容する密閉空間にする。続いて、この状態で、制御装置50から制御信号を入力することでポンプ30bを駆動することにより、この密閉空間に対し供給管30aを介して溶液タンク30から金属イオン溶液Lを供給し、この密閉空間に収容される金属イオン溶液Lの圧力計54で測定される液圧を所望値に調整する。さらに、制御装置50から制御信号を入力することで電源部8を制御することにより、陽極2と基材4との間に電圧を印加し、この電圧を所望値に調整する。このようにすることで、
図2Cに示すように、陽極2と固体電解質膜6との間に配置される金属イオンを含む金属イオン溶液Lの液圧により固体電解質膜6で基材4の表面4sの成膜領域4rを加圧しながら、陽極2と基材4との間に電圧を印加することで固体電解質膜6の内部に含有される金属イオンを析出させる。これにより、基材4の表面4sの成膜領域4rに金属被膜Mを成膜する。
【0025】
従って、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置及び成膜方法によれば、陽極2の外周面2pを取り囲むように電気力線を遮蔽する遮蔽部材14を配置した状態で陽極2と基材4との間に電圧を印加することにより、陽極2からの電気力線を遮蔽部材14で遮蔽し、基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁部への電流の集中を抑制できる。よって、基材4の表面4sの成膜領域4rの電流密度のバラツキを抑制できるため、金属被膜Mを均一な膜厚で成膜できる。さらに、遮蔽部材14が陽極2よりも陰極側に延在していることで電気力線を効果的に遮蔽できる。また、電圧を印加する際に遮蔽部材14の陰極側の端面を基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁部に対向させることで、遮蔽部材14での電気力線の遮蔽により基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁部への電流の集中を容易に抑制できる。続いて、実施形態に係る金属被膜の成膜装置及び成膜方法の構成の詳細について説明する。
【0026】
1.遮蔽部材
遮蔽部材は、上記陽極の外周面を取り囲むように設けられた電気力線を遮蔽するものである。
【0027】
遮蔽部材としては、第1実施形態に係る遮蔽部材のように、上記陽極よりも上記陰極側に延在するものが好ましい。電気力線を効果的に遮蔽できるからである。
【0028】
図5は、第2実施形態に係る金属被膜の成膜装置を示す概略断面図であり、溶液収容部及び基材を含む要部の概略断面を示す。遮蔽部材としては、第2実施形態に係る遮蔽部材14のように、遮蔽部材14の陰極側の端面14sが陽極2の表面2sと面一となるものでもよい。このような遮光部材であっても、陽極の表面を基材の表面の成膜領域に近づけることで基材の表面の成膜領域の周縁部への電流の集中を抑制できる。
【0029】
遮蔽部材を平面視した形状及びサイズは、特に限定されないが、通常、陽極を平面視した形状及びサイズに応じたものとなる。このため、遮蔽部材を平面視した形状は、第1実施形態のように、陽極を平面視した形状が矩形である場合には矩形枠状となり、陽極を平面視した形状が円形である場合にはドーナツ状となる。また、遮蔽部材の開口部を平面視した形状及びサイズは、特に限定されないが、通常、陽極と同一となる。
【0030】
遮蔽部材の材料としては、電気力線を遮蔽可能な絶縁体であれば特に限定されないが、金属イオンを含む溶液への耐薬品性を有するものが好ましく、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PVC(塩化ビニール)、PP(ポリプロピレン)等が好ましい。電気力線を効果的に遮蔽可能であり、かつ耐薬品性が高いからである。遮蔽部材の厚さとしては、電気力線を遮蔽可能な厚さであれば特に限定されないが、例えば、数mm程度が好ましい。
【0031】
2.陽極
陽極は、特に限定されないが、例えば、金属イオンを含む溶液への耐薬品性を有し、かつ陽極として作用可能な導電率を有するものである。
【0032】
陽極の形状としては、特に限定されないが、第1実施形態に係る陽極のように、陽極の表面が固体電解質の陰極側の端面と平行なものが好ましい。また、陽極を平面視した形状及びサイズは、特に限定されないが、通常、基材の表面の成膜領域を平面視した形状及びサイズに応じたものとなる。陽極から成膜領域に向かう電気力線を均一にすることができ、膜厚の均一性に優れた金属被膜を成膜できるからである。このような形状及びサイズとしては、第1実施形態に係る陽極のように、平面視した形状が基材の表面の成膜領域と相似であり、かつ平面視したサイズが基材の表面の成膜領域より小さいか若しくは大きいもの、平面視した形状及びサイズが基材の表面の成膜領域と同一のもの等が挙げられる。
【0033】
陽極の材料としては、特に限定されないが、例えば、金属イオンの金属よりもイオン化傾向が低い(金属イオンの金属よりも標準電極電位が高い)、金属イオンの金属よりも貴なる金属などが挙げられる。このような金属としては、例えば、金等が挙げられる。
【0034】
3.固体電解質膜
固体電解質膜は、上記陽極と陰極となる基材との間に設けられたものである。
【0035】
固体電解質膜は、固体電解質からなり、金属イオンを含む溶液を接触させることで金属イオンを内部に含有させ、かつ陽極と陰極との間に電圧を印加することで固体電解質膜の内部に含有される金属イオンを基材の表面に析出させるものである。固体電解質膜としては、このようなものであれば特に限定されないが、例えば、デュポン社製のナフィオン(登録商標)等のフッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリアミック酸膜、旭硝子社製セレミオン(CMV、CMD、CMF等)等のイオン交換機能を有する膜などが挙げられる。
【0036】
4.溶液収容部
溶液収容部は、上記陽極と上記固体電解質膜との間に金属イオンを含む溶液(以下、「金属イオン溶液」ということがある。)を収容するものである。
【0037】
溶液収容部の材料は、陽極と固体電解質膜との間に金属イオン溶液を収容可能なものであれば特に限定されないが、金属イオン溶液への耐薬品性を有し、電気力線を遮蔽可能なものが好ましい。
【0038】
金属イオン溶液は、金属被膜に含まれる金属を金属イオンの状態で含む溶液である。金属イオンの金属としては、特に限定されないが、例えば、銅、ニッケル、銀、金等が挙げられる。金属イオン溶液は、金属イオンの金属を、硝酸、リン酸、コハク酸、硫酸ニッケル、ピロリン酸当の酸で溶解したものである。
【0039】
5.その他
電源部は、上記陽極と上記陰極との間に電圧を印加するものである。加圧部は、上記溶液の液圧により上記固体電解質膜を上記陰極側に加圧するものである。
【0040】
加圧部としては、特に限定されないが、例えば、第1実施形態に係る加圧部のように、溶液収容部の内部に金属イオン溶液を供給し、溶液収容部の内部の金属イオン溶液の液圧を調整し、金属イオン溶液の液圧により固体電解質膜を陰極側に加圧するポンプ等が挙げられる。
【0041】
6.金属被膜の成膜装置
金属被膜の成膜装置は、上記固体電解質膜で上記基材の表面を加圧しながら、上記電圧を印加することで上記固体電解質膜の内部に含有される上記金属イオンを析出させることにより、上記基材の表面に金属被膜を成膜するものである。
【0042】
金属被膜の成膜装置としては、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置のように、上記電圧を印加する際に上記遮蔽部材の上記陰極側の端面を上記基材の表面の成膜領域の周縁部に対向させるものが好ましい。遮蔽部材での電気力線の遮蔽により基材の表面の成膜領域の周縁部への電流の集中を容易に抑制できるからである。
【0043】
ここで、「基材の表面の成膜領域」とは、基材の表面のうちの金属被膜が成膜される領域を指す。基材の表面の成膜領域としては、第1実施形態のように基材の表面の全体でもよいし、基材の表面の一部でもよい。
【0044】
また、ここで、
図4(b)及び
図4(c)は、第1実施形態に係る変形例の
図4(a)に対応する拡大図である。「上記遮蔽部材の上記陰極側の端面を上記基材の表面の成膜領域の周縁部に対向させる」とは、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、基材の表面の成膜領域の周縁部への電流の集中を抑制することで基材の表面の成膜領域の電流密度のバラツキを抑制できるように遮蔽部材の縮小幅W≧0とすることを指す。なお、「遮蔽部材の縮小幅W」とは、
図4(a)~
図4(c)に示すように、基材4の表面4sを平面視した場合の成膜領域4rの周縁4pから遮蔽部材14の内周面14wまでの距離について、遮蔽部材14の内周面14wが成膜領域4rの周縁4pよりも内側の場合に正の値で表し、遮蔽部材14の内周面14wが成膜領域4rの周縁4pよりも外側の場合に負の値で表したものを指す。なお、「電流密度のバラツキ」とは、例えば、(成膜領域の電流密度の最大値-成膜領域の電流密度の最小値)/成膜領域の中央での電流密度×100[%]で表されるものである。
【0045】
金属被膜の成膜装置としては、
図4(c)に示すように、電圧を印加する際に、遮蔽部材14の陰極側の端面14sを基材4の表面4sの成膜領域4rの周縁部に対向させずに、遮蔽部材の縮小幅W<0とするものでもよい。このような場合でも、基材の表面の成膜領域の電流密度のバラツキを抑制できる。
【0046】
金属被膜の成膜装置では、遮蔽部材の縮小幅Wとともに遮蔽部材のギャップDを適宜設定することで遮蔽部材による電気力線の遮蔽作用を調整できる。なお、「遮蔽部材のギャップD」とは、
図4(a)~
図4(c)に示すように、遮蔽部材14の陰極側の端面14sから固体電解質膜6の陰極側の端面6sまでの距離を指し、電圧を印加する際における遮蔽部材14の陰極側の端面14sから基材4の表面4sまでの距離に相当する。
【0047】
ここで、第1実施形態に係る金属被膜の成膜装置1において、陽極2及び遮蔽部材14の開口部14hを平面視したサイズ、並びに遮蔽部材14が陰極側に延材する長さを調整することで、遮蔽部材14の縮小幅W及びギャップDの比率を変化させた場合について、陽極と陰極との間に電圧を印加する際の成膜領域の電流密度を解析した結果について説明する。解析では、解析用ソフトウェアとして、ダッソー・システムズ社製Abaqusを使用した。また、長辺と平行な評価方向での成膜領域の中央から周縁までの距離に対する遮蔽部材の縮小幅Wの割合を縮小幅Wの比率とし、この距離に対する遮蔽部材のギャップDの割合をギャップDの比率とした。そして、遮蔽部材の縮小幅Wの比率及び遮蔽部材のギャップDの比率を各値に設定した場合について、成膜領域の各位置の電流密度を計算し、成膜領域の電流密度分布を求めた。
図6(a)は、遮蔽部材の縮小幅Wの比率=2.5%及び遮蔽部材のギャップDの比率=20%の条件で解析した成膜領域の電流密度分布を示す画像であり、
図6(b)は、
図6(a)に示される長辺と平行な評価方向での成膜領域の中央から周縁までの電流密度の変化を示すグラフである。このグラフでは、評価方向での成膜領域の中央から周縁までの距離を1として、横軸の評価方向での成膜領域の中央からの距離が表されており、評価方向での成膜領域の中央の電流密度を1として、縦軸の電流密度が表されている。
【0048】
上記の解析結果から、遮蔽部材の縮小幅Wの比率及び遮蔽部材のギャップDの比率を各値に設定した場合について、電流密度のバラツキを計算した結果について説明する。この計算では、成膜領域の電流密度の最大値及び最小値として、
図6(b)に示すような評価方向での成膜領域の中央から周縁までの電流密度の最大値及び最小値を用い、(成膜領域の電流密度の最大値-成膜領域の電流密度の最小値)/成膜領域の中央での電流密度×100[%]で表される電流密度のバラツキを計算した。
図7は、遮蔽部材の縮小幅Wの比率を各値に設定した場合について遮蔽部材のギャップDの比率に対する電流密度のバラツキの変化を示すグラフである。
図8は、遮蔽部材のギャップDの比率を各値に設定した場合について遮蔽部材の縮小幅Wの比率に対する電流密度のバラツキの変化を示すグラフである。
図9は、遮蔽部材の縮小幅Wの比率及び遮蔽部材のギャップDの比率をそれぞれX座標及びY座標とする座標系において、電流密度のバラツキが30%以下となる座標を点で示すとともに電流密度のバラツキが30%以下となる好ましい範囲を示すグラフである。
【0049】
金属被膜の成膜装置としては、遮蔽部材の縮小幅Wの比率及び遮蔽部材のギャップDの比率の組み合わせが、
図9に示される(-2,0)、(-2,5)、(2,16)、(5,16)、(5,12)、及び(0,0)の座標を頂点とする範囲内に含まれるものが好ましい。電流密度のバラツキが30%以下となり、金属被膜を均一な膜厚で成膜できる効果が顕著となるからである。
【0050】
7.金属被膜の成膜方法
金属被膜の成膜方法は、陽極と陰極となる基材との間に固体電解質膜を配置し、上記陽極と上記固体電解質膜との間に配置される金属イオンを含む溶液の液圧により上記固体電解質膜で上記基材の表面を加圧しながら、上記陽極と上記陰極との間に電圧を印加することで上記固体電解質膜の内部に含有される上記金属イオンを析出させることにより、上記基材の表面に金属被膜を成膜する金属被膜の成膜方法であって、上記陽極の外周面を取り囲むように電気力線を遮蔽する遮蔽部材を配置した状態において、上記電圧を印加することで上記金属被膜を成膜することを特徴とする。
【0051】
金属被膜の成膜方法としては、第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法のように、上記遮蔽部材が上記陽極よりも上記陰極側に延在する方法が好ましい。電気力線を効果的に遮蔽できるからである。また、金属被膜の成膜方法としては、第1実施形態に係る金属被膜の成膜方法のように、上記電圧を印加する際に上記遮蔽部材の上記陰極側の端面を上記基材の表面の成膜領域の周縁部に対向させる方法が好ましい。遮蔽部材での電気力線の遮蔽により基材の表面の成膜領域の周縁部への電流の集中を容易に抑制できるからである。
【0052】
ここで、第3実施形態に係る金属被膜の成膜方法である配線パターンの成膜方法について、従来技術と比較して説明する。
図10は、従来技術に係る配線パターンの成膜方法の要部を示す概略断面図である。
図10には、配線の延伸方向と垂直な評価方向での成膜領域の中央から周縁までの電流密度の相対的な変化を点で表すグラフを併せて示す。これに対し、
図11は、第3実施形態に係る金属被膜の成膜方法である配線パターンの成膜方法の要部を示す概略断面図である。
【0053】
従来技術に係る配線パターンの成膜方法では、
図10に示すように、シード層付き基材4の表面4sの成膜領域4rに銅被膜(金属被膜、図示せず)を成膜する。シード層付き基材4は、絶縁性基材4Aと、絶縁性基材4Aの表面4Asに設けられた導電性の下地層4Bと、下地層4Bの表面4Bsに設けられたシード層4Cとを有している。下地層4Bの表面4Bsのシード層4Cが設けられていない露出領域は、酸化物を含んでおり、シード層4Cの表面4Csに比べて金属イオンの還元反応に対する活性化エネルギーが高いと推察される。シード層4Cは、ライン/スペース=100μm/100μmの銅配線4CLを含む配線パターンを有している。従来技術に係る配線パターンの成膜方法において、シード層付き基材4の表面4sの成膜領域4rに銅被膜を成膜する場合には、
図10に示すように、陽極2と固体電解質膜6との間に配置される銅イオンを含む金属イオン溶液Lの液圧により、固体電解質膜6をシード層4C及び下地層4Bに倣うように変形させ、固体電解質膜6でシード層4Cの表面4Cs及び下地層4Bの表面4Bsを加圧しながら、陽極2とシード層4C及び下地層4Bとの間に電圧を印加することで固体電解質膜6の内部に含有される銅イオンを析出させる。これにより、シード層付き基材4の表面4sの成膜領域4rのうちのシード層4Cの表面4Csに銅被膜を成膜する。この際にも、
図10に併せて示す電流密度のグラフからわかるように、成膜領域4rの周縁部にある銅配線4CLに電流が集中することで、シード層4Cの複数の銅配線4CLの電流密度にバラツキが生じることがある。
【0054】
これに対し、第3実施形態に係る配線パターンの成膜方法においては、同様のシード層付き基材4の表面4sの成膜領域4rに銅被膜(金属被膜、図示せず)を成膜する場合には、
図11に示すように、陽極2の外周面2pを取り囲むように電気力線を遮蔽する遮蔽部材14を配置した状態で陽極2と下地層4B及びシード層4Cとの間に電圧を印加することにより、陽極2からの電気力線を遮蔽部材14で遮蔽し、成膜領域4rの周縁部にある銅配線4CLへの電流の集中を抑制できる。よって、成膜領域4rにあるシード層4Cの複数の銅配線4CLの電流密度にバラツキが生じることを抑制できるため、銅被膜を均一な膜厚で成膜した複数の銅配線4CLを含む配線パターンを形成できる。
【0055】
陰極となる基材としては、陰極となり、金属被膜を成膜可能なものであれば特に限定されないが、アルミニウム等の金属からなる基材、樹脂やシリコン基材等の処理表面に金属下地層が設けられた基材などの他に、第3実施形態に係るシード層付き基材のように、絶縁性基材の表面上に配線パターンが設けられた配線パターン付き基材などが挙げられる。実施形態によれば、配線パターン付き基材の配線パターンの表面に金属被膜を成膜する場合には、成膜領域の周縁部にある配線への電流の集中を抑制でき、金属被膜を均一な膜厚で成膜した複数の配線を含む配線パターンを形成できる。
【0056】
なお、金属被膜の成膜方法を使用する場合には、例えば、実施形態に係る金属被膜の成膜装置を使用し、金属被膜を成膜することができる。
【0057】
以上、本発明に係る実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 金属被膜の成膜装置
2 陽極
2s 陽極の表面
2p 陽極の外周面
4 基材(陰極)
4s 基材の表面
4r 基材の表面の成膜領域
4p 成膜領域の周縁
6 固体電解質膜
6s 固体電解質膜の陰極側の端面
8 電源部
12 溶液収容部
12h 溶液収容部の開口部
14 遮蔽部材
14s 遮蔽部材の陰極側の端面
14h 遮蔽部材の開口部
14w 遮蔽部材の内周面
30b ポンプ(加圧部)
L 金属イオン溶液
M 金属被膜