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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】テープカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G11B 23/107 20060101AFI20231121BHJP
   G11B 23/087 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G11B23/107
G11B23/087 506V
G11B23/087 506Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020561265
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2019047111
(87)【国際公開番号】W WO2020129599
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2018237030
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 千知
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-071911(JP,A)
【文献】特開2013-054791(JP,A)
【文献】特開2003-100051(JP,A)
【文献】特開2001-052464(JP,A)
【文献】特開2010-044845(JP,A)
【文献】特開2000-339910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 23/00 - 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを巻装し一軸方向に軸心を有する円筒面と、前記一軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成された円筒底部と、を含むリールハブを有するリールと、
前記リールを回転可能に収容したカートリッジケースと、
前記円筒底部に向かって前記一軸方向に突出する凸部を有し、前記一軸方向に付勢されて前記リールハブと係合するリールロック部材と、
前記リールロック部材と前記円筒底部との間に配置された本体と、前記本体から前記一軸方向に延び前記複数の貫通孔各々に挿入された複数の脚部と、を有し、前記リールロック部材の付勢力に対抗した前記一軸方向の移動に基づいて前記リールロック部材と前記リールハブとの係合を解除するリールロック解除部材であって、前記本体は、前記凸部に接する中心部と、前記中心部から前記複数の脚部各々と接続された端部へ前記一軸方向に直交する方向に沿って放射状に延び、かつ前記中心部から前記端部に向かうに従い前記一軸方向に沿った厚みが漸減する複数の延在部と、を含む、リールロック解除部材と、
を具備し、
前記複数の延在部各々は、前記一軸方向及び延在方向に直交する方向に相互に対向する一対の側面を含む
テープカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部各々は、前記リールロック部材に対向する第1の主面と、前記第1の主面の反対側に配置された第2の主面と、を含み、
前記第2の主面は、前記複数の延在部各々の延在方向に延びる溝部を含む
テープカートリッジ。
【請求項3】
請求項2に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部各々は、前記溝部の底面と前記第1の主面との間の前記一軸方向に沿った厚みが、延在方向に沿って一定に構成される
テープカートリッジ。
【請求項4】
請求項2に記載のテープカートリッジであって、
前記第1の主面は、前記端部に形成された凹部を含む
テープカートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の脚部は、前記複数の延在部各々との接続部から前記一軸方向に沿って形成された凹部を含む
テープカートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載のテープカートリッジであって、
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部間を連結する連結部をさらに含む
テープカートリッジ。
【請求項7】
請求項1に記載のテープカートリッジであって、
前記リールロック解除部材は、樹脂材料で構成され、かつ、
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部の端部間を接続し、樹脂射出用のゲートカット部が形成され、前記一対の側面部を含む側部含む
テープカートリッジ。
【請求項8】
請求項1に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部は、前記中心部を中心とした周方向に等角度間隔で設けられる
テープカートリッジ。
【請求項9】
請求項に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部は、前記中心部の周りに120度の間隔で3つ設けられる
テープカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば磁気テープを巻装したリールを回転可能に収容するテープカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンピュータ等の外部記録媒体として使用されている磁気テープカートリッジには、磁気テープを巻装した単一のテープリールをカートリッジケース内に回転自在に収容したタイプのものが知られている。この種の磁気テープカートリッジは、コンピュータ等のデータ保存用として用いられ、重要かつ膨大な情報が記録されているため、落下等の衝撃で使用不能にならない構造である必要がある。
【0003】
上述の単一リール型の磁気テープカートリッジは、カートリッジの非使用時、カートリッジケースの内部におけるテープリールの回転による磁気テープの弛みを防止するために、テープリールの回転を抑止するリールロック機構が設けられている。
【0004】
例えば特許文献1には、リールロック機構を備えたLTO(リニアテープオープンカートリッジ)タイプの磁気テープカートリッジが記載されている。当該磁気テープカートリッジは、リールに係合してその回転を阻止するリールロック部材と、リールロック部材をリールに係合させるように付勢する付勢部材と、付勢部材の付勢力に抗してリールロック部材を押圧移動させてリールとの係合を解除するリールロック解除部材と、を備える。リールロック解除部材は、略三角形状を有し、その下面には略三角形状の各々の頂点部付近から下方に向けて計3本の脚が突出形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-76160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リールロック解除部材としては、より低コストで生産でき、かつ使用に耐え得る強度を維持できる構成が求められている。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、低コストで生産でき、かつ十分な強度を確保できるロック解除部材を備えたテープカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係るテープカートリッジは、リールと、カートリッジケースと、リールロック部材と、リールロック解除部材と、を具備する。
前記リールは、テープを巻装し一軸方向に軸心を有する円筒面と、前記一軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成された円筒底部と、を含むリールハブを有する。
前記リールロック部材は、前記円筒底部に向かって前記一軸方向に突出する凸部を有し、前記一軸方向に付勢されて前記リールハブと係合する。
前記リールロック解除部材は、前記リールロック部材と前記円筒底部との間に配置された本体と、前記本体から前記一軸方向に延び前記複数の貫通孔各々に挿入された複数の脚部と、を有し、前記リールロック部材の付勢力に対抗した前記一軸方向の移動に基づいて前記リールロック部材と前記リールハブとの係合を解除する。
前記本体は、前記凸部に接する中心部と、前記中心部から前記複数の脚部各々と接続された端部へ前記一軸方向に直交する方向に沿って放射状に延び、かつ前記中心部から前記端部に向かうに従い前記一軸方向に沿った厚みが漸減する複数の延在部と、を含む。
【0009】
上記構成のリールロック解除部材は、リールロック部材に接する中心部と、貫通孔を介してテープドライブ装置と接することが可能な脚部と、の間を接続する延在部が放射状に延びている。これにより、リールロック解除部材の重量を低減させ、生産コストを低減させることができる。さらに、延在部の厚みが中心部から端部に向かって徐々に減少することで、リールロック部材と接する中心部の厚みを確保することができる。これにより、リールロック部材側から押圧される中心部の強度を確保することができ、中心部の変形に伴う異音等の不良を防止することができる。
【0010】
前記複数の延在部各々は、前記リールロック部材に対向する第1の主面と、前記第1の主面の反対側に配置された第2の主面と、を含み、
前記第2の主面は、前記複数の延在部各々の延在方向に延びる溝部を含んでいてもよい。
【0011】
前記複数の延在部各々は、前記溝部の底面と前記第1の主面との間の前記一軸方向に沿った厚みが、延在方向に沿って一定に構成されてもよい。
【0012】
前記第1の主面は、前記端部に形成された凹部を含んでいてもよい。
【0013】
前記複数の脚部は、前記複数の延在部各々との接続部から前記一軸方向に沿って形成された凹部を含んでいてもよい。
【0014】
前記複数の延在部各々は、前記一軸方向及び延在方向に直交する方向に相互に対向する一対の側面を含んでいてもよい。
【0015】
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部間を連結する連結部をさらに含んでいてもよい。
【0016】
前記リールロック解除部材は、樹脂材料で構成され、かつ、
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部の端部間を接続し、樹脂射出用のゲートカット部が形成された側部をさらに含んでいてもよい。
【0017】
前記複数の延在部は、前記中心部を中心とした周方向に等角度間隔で設けられていてもよい。この場合、例えば前記複数の延在部は、前記中心部の周りに120度の間隔で3つ設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本技術の一実施形態に係るテープカートリッジの全体斜視図であって、Aは上面(上シェル)側から見たときの斜視図、Bは下面(下シェル)側から見たときの斜視図である。
図2】上記テープカートリッジの分解斜視図である。
図3】上記テープカートリッジの分解側断面図である。
図4】上記テープカートリッジの非使用時の状態を示す断面図である。
図5】上記テープカートリッジの使用時の状態を示す断面図である。
図6】上記リールロック解除部材の斜視図である。
図7】上記リールロック解除部材の平面図(上面図)である。
図8】上記リールロック解除部材の裏面図(下面図)である。
図9図7のIX-IX方向に切断した上記リールロック解除部材の断面図である。
図10図9の一部を拡大した図である。
図11】上記実施形態の比較例に係るリールロック解除部材の斜視図である。
図12】上記リールロック解除部材の裏面図(下面図)である。
図13図12のXIII-XIII方向で切断した上記リールロック解除部材の断面図である。
図14】実施例及び比較例に係るリールロック解除部材の、中心部に荷重を付加した場合の中心部の変形量を示すグラフであり、横軸が荷重、縦軸が変形量を示す。
図15】上記実施形態の実施例に係るリールロック解除部材と、比較例に係るリールロック解除部材の本体の断面形状を比較した図であり、Aは図7のXVa-XVa線で切断した断面図、Bは図12のXVb-XVb線で切断した断面図、Cは図7のXVc-XVc線で切断した断面図、Dは図12のXVd-XVd線で切断した断面図、Eは図7のXVe-XVe線で切断した断面図、Fは図12のXVf-XVf線で切断した断面図、である。
図16】本技術の他の実施形態に係るリールロック解除部材の裏面図(下面図)である。
図17図16のXVII-XVII線で切断した上記リールロック解除部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本技術の一実施形態に係るテープカートリッジ1の全体斜視図であって、Aは上面(上シェル2)側から見たときの斜視図、Bは下面(下シェル3)側から見たときの斜視図である。図2はテープカートリッジ1の分解斜視図、図3はその分解側断面図である。以下の説明において、上下方向は本実施形態の一軸方向に対応する。
【0021】
[全体構成]
本実施形態のテープカートリッジ1は、LTO規格に準ずる磁気テープカートリッジとして構成される。テープカートリッジ1は、上シェル2と下シェル3とを複数本のネジ部材43により結合して形成されるカートリッジケース4の内部に、磁気テープ22を巻装した単一のテープリール5を回転可能に収納した構成を有している。
【0022】
テープリール5は、有底円筒形状のリールハブ6と、リールハブ6の上端(開口端)に接合された上フランジ7と、リールハブ6の下端に一体形成された下フランジ8とを有し、それぞれ合成樹脂材料の射出成形体で形成されている。
【0023】
リールハブ6は、図3に示すように、テープを巻装し上下方向に軸心を有する円筒面61と、円筒底部(底部)60と、を含む。底部60には、上下方向に貫通する複数の貫通孔6aが形成されている。
【0024】
テープリール5の下面中央には、テープドライブ装置のリール回転駆動軸と係合するチャッキングギヤ9が環状に形成されており、図1Bに示すように、下シェル3の中央に設けられた開口部10を介して外部へ露出している。このチャッキングギヤ9の内周側には、上記リール回転駆動軸と磁気吸着する環状の金属プレート11がインサート成形によりリールハブ6の底部60の外面に固着されている。
【0025】
上シェル2の内面とテープリール5との間には、リールスプリング15、リールロック部材13およびリールロック解除部材14が配置されており、これらにより、テープカートリッジ1の非使用時におけるテープリール5の回転を抑止するリールロック機構が構成される。なお、このリールロック機構の詳細については後述する。
【0026】
カートリッジケース4の一側壁26には、磁気テープ22の一端を外部へ引き出すための引出口27が設けられている。側壁26の内方には、引出口27を開閉するスライドドア29が配置されている。スライドドア29は、テープドライブ装置のテープローディング機構(図示略)との係合によりトーションバネ57の付勢力に抗して引出口27を開放する方向にスライドするように構成される。
【0027】
磁気テープ22の一端部には、リーダーピン31が固定されている。リーダーピン31は、引出口27の内方側に設けられたピン保持部33に対して着脱可能に構成される。ピン保持部33は、上シェル2の内面及び下シェル3の内面にそれぞれ取り付けられており、リーダーピン31の上端部及び下端部をそれぞれ弾性的に保持することが可能に構成される。
【0028】
そして、カートリッジケース4の内部には、磁気テープ22に記録された情報の誤消去防止用のセイフティタブ53のほか、磁気テープ22に記録された情報に関する内容を非接触で読み書き可能なカートリッジメモリ54が配置されている。カートリッジメモリ54は、基板上にアンテナコイル、ICチップ等が搭載された非接触通信媒体で構成される。
【0029】
[リールロック機構]
図3に示すように、リールハブ6の内部には、テープカートリッジ1の非使用時におけるテープリール5の回転を抑止するためのリールロック機構が設けられている。
【0030】
リールロック機構は、リールハブ6の底部60の内面に立設された複数のギヤ形成壁12と、ギヤ形成壁12と係合可能なリールロック部材13と、ギヤ形成壁12とリールロック部材13との係合を解除するためのリールロック解除部材14と、上シェル2の内面とリールロック部材13の上面との間に設けられたリールスプリング15と、を含む。
【0031】
ギヤ形成壁12は円弧状を有し、リールハブ6の底部60の内面であって、リールハブ6の軸心のまわりの同一円周上に3カ所等間隔に形成されている。ギヤ形成壁12は、上面に形成されたギヤ部12aを有する。
【0032】
リールスプリング15は、コイルスプリングであり、リールロック部材13を下方へ付勢することで、テープリール5を下シェル3側へ付勢する。
【0033】
リールロック部材13は、リールスプリング15によって下方に付勢されてリールハブ6と係合する。具体的に、リールロック部材13は、リールハブ6の底部60に向かって下方に突出する凸部13bと、ギヤ形成壁12のギヤ部12aと上下方向に係合する係合歯13aと、上面に形成された篏合部13cと、を有する。凸部13bは、例えば円弧状の断面を有し、球面を有している。篏合部13cは、上シェル2の内面略中央部に形成された突起2aに篏合する。
【0034】
係合歯13aは、リールロック部材13の下面に環状に形成されており、ギヤ形成壁12のギヤ部12aに対向して配置される。係合歯13aは、リールスプリング15を受けて常時、ギヤ部12aと係合する方向に付勢されている。
【0035】
リールロック解除部材14は、リールロック部材13とリールハブ6の底部60との間に配置された本体140と、本体140から下方に延びる複数の脚部14aと、を有する。各脚部14aは、リールハブ6の底部60を上下方向に貫通する各貫通孔6aに挿入される。
【0036】
図4は、カートリッジ非使用時の状態を示す断面図であり、図5は、カートリッジ使用時の状態を示す断面図である。
【0037】
図4に示すテープカートリッジ1の非使用時では、複数の脚部14aが貫通孔6aを介してチャッキングギヤ9のギヤ間に位置している。本体140の中心部14bは、リールロック部材13の凸部13bを介して、リールスプリング15からの付勢力を受けている。これにより、本体140が付勢力を受けながら底部60上に配置される。
【0038】
カートリッジ非使用時において、リールロック部材13は、係合歯13aを介してギヤ形成壁12のギヤ部12aに係合するとともに、テープリール5を下シェル3側へ押し付ける。これにより、リールロック部材13は、テープリール5の回転を抑止する。
【0039】
図5に示すテープカートリッジ1の使用時には、各脚部14aが、チャッキングギヤ9に係合するテープドライブ装置のリール回転駆動軸により上方へ押圧される。これにより、リールロック解除部材14が、リールスプリング15の付勢力に対抗した上方への移動に基づいて、リールロック部材13の係合歯13aとギヤ部12aとの係合を解除する。
【0040】
そして、金属プレート11とリール回転駆動軸との間の磁気吸着作用でテープリール5がリール回転駆動軸と一体化し、チャッキングギヤ9を介してテープリール5が回転駆動される。このとき、リールロック部材13は、その篏合部13cと上シェルの突起2aとの嵌合作用により回転動作が規制される。一方で、リールロック解除部材14は、中心部14bとリールロック部材13の凸部13bとの間の点接触状態における摺接作用を介して、テープリール5とともに回転する。
【0041】
[リールロック解除部材]
図6は、リールロック解除部材14の斜視図である。図7は、リールロック解除部材14の平面図(上面図)である。図8は、リールロック解除部材14の裏面図(下面図)である。図9は、図7のIX-IX方向に切断したリールロック解除部材14の断面図である。図10は、図9の一部を拡大した図である。
【0042】
図6図8に示すように、リールロック解除部材14の本体140は、中心部14bから複数の延在部14cが放射状に延びた形状をしている。リールロック解除部材14は、例えばPC(ポリカーボネート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)に添加材を含有した合成樹脂の射出成形体として形成される。
【0043】
リールロック解除部材14の本体140を上記構成とすることで、後述する図11~13に示す略三角形状のリールロック解除部材と比較して、重量を低減させ、使用される樹脂の量を削減することができる。これにより、生産効率を高め、生産コストを削減させることができる。
【0044】
(中心部)
本体140は、凸部13bに接する中心部14bを含む。
図6及び図9に示すように、中心部14bは、本体部140において上方に凸状に構成される。
【0045】
図7~9に示すように、中心部14bは、例えば上部凹面14dと下部凹面14eとを含む。下部凹面14eは、上部凹面14dよりも上下方向の深さが深い凹状に構成される。
【0046】
上部凹面14dは、例えば円形状の平坦な底面を含み、凸部13bと摺接する。上部凹面14dの底面は、平坦面に限定されず、球面等の曲面で構成されてもよい。中心部14bに上部凹面14dが形成されることで、球面を有する凸部13bとその頂点でのみ接するように構成でき、凸部13bとの摺接性を確保することができる。
【0047】
下部凹面14eは、上部凹面14dに対応する円形状の平坦な底面を含む。下部凹面14eの底面も、平坦面に限定されず、球面等の曲面で構成されてもよい。下部凹面14eの底面は、例えば、後述する延在部14cの溝部14jの底面と連続する面で形成されている。下部凹面14eが形成されることで、下方に向かってリールロック部材13により付勢された場合に、中心部14b全体が下方へわずかに撓むように変形できる。この結果、中心部14bからリールロック部材13に作用する抗力を抑制でき、円滑に摺動させることができる。
【0048】
(延在部)
本体140は、中心部14bから複数の脚部14a各々に接続された端部14fへ上下方向に直交する方向に沿って放射状に延びる複数の延在部14cを含む。本体140は、本実施形態において3本の延在部14cを有する。各延在部14cは、中心部14bを中心とした周方向に等角度間隔で設けられ、本実施形態では、当該周方向に120度の間隔で3つ設けられる。
【0049】
図7図10に示すように、延在部14cは、リールロック部材13に対向する第1の主面14gと、第1の主面14gの反対側に配置された第2の主面14hと、一対の側面14iと、を含む。第1の主面14gは延在部14cの上面を構成し、第2の主面14hは延在部14cの下面を構成する。一対の側面14iは、第1の主面14gと第2の主面14hとを接続する。
【0050】
図9及び図10に示すように、第1の主面14gは、中心部14bから端部14fに向かって傾斜する略平坦な斜面状に構成される。つまり、延在部14cは、中心部14bから端部14fに向かうに従い上下方向に沿った厚みが漸減する。これにより、リールロック部材13から常時付勢力が付加される中心部14bの厚みを確保することができる。したがって、中心部14b周辺の曲げモーメントに対する剛性を確保することができる。
【0051】
図8図10に示すように、第2の主面14hは、延在部14cの延在方向に沿って延びる溝部14jを含む。溝部14jは、例えば、延在部14cの幅方向中央部に形成される。溝部14jは、本実施形態において、略平坦な底面を含む。
【0052】
延在部14cの第2の主面14hが溝部14jを有することで、使用される樹脂の量をさらに削減でき、より低コストで生産することが可能となる。また、延在部14cの延在方向と直交する方向から見た断面において、断面積の減少に伴う断面2次モーメントの低下を抑制することができる。これにより、リールロック部材13から付加される下方への押圧力に対する、延在部14cの剛性の低下を抑制することができる。
【0053】
図10に示すように、第1の主面14gと溝部14jの底面との間の上下方向に沿った厚みDは、延在部14cの延在方向に沿って一定でもよい。厚みDは、後述する図15C,Eに示すように、延在部14cの延在方向に直交する方向から見た各断面において、第1の主面14gと溝部14jの底面とが最も接近する位置における上下方向に沿った厚みとする。また、「一定の厚み」いう表現は、実質的に一定の範囲を含み、例えば延在部14cの各断面の厚みの平均値に対して1%以内の値の変動は許容されるものとする。
【0054】
上記構成では、延在部14cの延在方向に直交する方向から見た断面において、第1の主面14gと溝部14jの底面と側面14iとで囲まれる領域の断面積が、延在方向に沿って略一定となる。これにより、リールロック解除部材14が樹脂で射出成形された後、温度変化によって当該樹脂が収縮する際、上記領域の断面が、延在方向に沿って均一に収縮する。したがって、成形後の不均一な収縮に伴う延在部14cの湾曲等の変形を抑制し、良好な成形品質を得ることができる。
【0055】
さらに良好な成形品質を得る観点から、図9及び図10に示すように、第1の主面14gが、端部14fに形成された凹部14kを含んでいてもよい。凹部14kにより、端部14f付近の断面積がより均一化され、成形後の収縮に伴う変形をより確実に防止できる。
【0056】
一対の側面14iは、本実施形態において、上下方向及び延在部14cの延在方向に直交する方向に相互に対向する。一対の側面14iは、例えば、延在部14cの延在方向に沿った、相互に平行な平面として構成される。これにより、テープカートリッジ1の組み立て時に用いる組立装置が、リールロック解除部材14の一対の側面14iを掴んで、リールハブ6の内部に挿入しやすくなる。
【0057】
(連結部)
図6及び図7に示すように、本体140は、隣り合う延在部14c間を連結する連結部14mをさらに有する。連結部14mは、例えば、隣り合う延在部14cの基部から中間部までを接続し、延在部14cの側面14iに連接するように形成される。連結部14mにより、隣り合う延在部14c間の間隔の均一性を維持でき、各延在部14cの変形を防止することができる。
【0058】
(本体のその他の構成)
図6及び図7に示すように、本体140は、さらに、隣接する延在部14cの端部14f間を接続し、樹脂射出用のゲートカット部が形成された側部14nを含んでいてもよい。本実施形態において、側部14nは、延在部14cの側面14i及び連結部14mを含む、本体140の側方に向いた部分である。ゲートカット部は、射出成形時に、リールロック解除部材14形成用の金型へ樹脂を射出するゲートを切断した痕跡である。
【0059】
すなわち、本実施形態では、中心部14bから離れた場所にゲートを設定することができる。これにより、ゲート近傍に発生しやすい樹脂の断片が中心部14bに付着することを防止できる。したがって、当該樹脂の断片が中心部14bとリールロック部材13の凸部13bに挟まれることに起因する、カートリッジ使用時の異音等の不良を防止することができる。
【0060】
(脚部)
図6及び図9に示すように、複数の脚部14aは、延在部14cの端部14fに接続され、下方に延びる。各脚部14aは、本実施形態において、延在部14cとの接続部から下方に形成された凹部14pを含む。凹部14pは、例えば接続部から脚部14aの中間部まで延びる溝状に構成される。あるいは凹部14pは、脚部14aの端部まで延びてもよい。
【0061】
ここで、脚部14aと延在部14cとの接続部は、異なる方向に延びる延在部14cと脚部14aとが接合する部分であり、局所的に断面積が大きくなる。このため、射出成形後の温度変化によって、上記接続部が他の部分よりも大きく収縮し、延在部14cに対して脚部14aが傾く等の形状不良が起こりやすい。
【0062】
そこで、本実施形態では、脚部14aにおける延在部14cとの接続部に凹部14pを形成することで、脚部14aの断面積を低減させる。これにより、脚部14aの接続部における樹脂の収縮量を抑え、樹脂の収縮に起因する形状不良を防止することができる。
【0063】
凹部14pの断面形状は、例えば平坦な底面を含む溝状に構成されるが、これに限定されず、例えば曲面で構成された底面を含んでいてもよいし、V字状に構成されてもよい。凹部14pの深さも限定されず、形状不良の防止効果と脚部14aの強度とを鑑みて適宜設定することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、上述した延在部14cの端部14fに凹部14kを設けることによっても、脚部14aと延在部14cとの接続部における樹脂の収縮量を抑え、上記接続部における形状不良をより確実に防止することができる。
【0065】
[作用効果]
以下、比較例に係るリールロック解除部材24を挙げて本実施形態の作用効果をより詳細に説明する。
図11~13は、本実施形態の比較例に係るリールロック解除部材24を示す図であり、図11は斜視図、図12は平面図、図13図12のXIII-XIII方向で切断した断面図である。
【0066】
図11~13に示すように、リールロック解除部材24は、略正三角形状の本体240と、本体240の頂点部24f付近から下方に延びる3本の脚部24aと、を有する。本体240は、本実施形態と同様の構成の中心部24bと、中心部24bの周囲に形成された周縁部24cと、を含む。周縁部24cは、頂点部24fを含む略正三角形状の板状に構成され、例えば上下方向に相互に対向する、略平坦な第1の主面24gと、略平坦な第2の主面24hと、を含む。
【0067】
この構成では、周縁部24cが略正三角形状であるため、本実施形態の本体140と比較して本体240の体積が大きくなりやすく、使用される樹脂の量が多くなりやすい。このため、生産コストを下げることが難しい。
【0068】
一方で、本実施形態では、中心部14bと脚部14aとの間が棒状の延在部14cで接続されており、リールロック解除部材14の重量を、リールロック解除部材24と比較して大幅に(例えば約3~4割程度)減少させることができる。これにより、樹脂使用量を大幅に削減でき、リールロック解除部材14の生産効率を向上させるとともに、生産コストを削減することができる。
【0069】
また、周縁部24cの各側面24iは、約60°の角度で相互に開いているため、組立装置が側面24iを把持することが難しい。このため、リールハブ6内部への挿入時にリールロック解除部材14の姿勢が不安定になりやすく、組立作業の効率が低下する。
【0070】
一方で、本実施形態では、各延在部14cが略平行な側面14iを有するため、組立装置がこの側面14iを容易に把持することができる。これにより、組立装置の把持部に把持されたリールロック解除部材14を安定した姿勢でリールハブ6の内部へ挿入させることができる。したがって、組立作業の効率化を図ることができる。
【0071】
さらに、リールロック解除部材24の脚部24aは、本体240との接続部付近に凹部を有さない。このため、上記接続部付近において局所的に断面積が大きくなり、射出成形後の温度変化に伴う樹脂の収縮量が大きくなる。このため、上記接続部付近が不均一に収縮し、本体240に対する脚部24aの垂直性を維持することが難しい。
【0072】
一方で、本実施形態では、脚部14aが、延在部14cとの接続部に凹部14pを有することで、接続部の断面積を減少させ、射出成形後の温度変化に伴う樹脂の収縮量を抑えることができる。したがって、本体140に対する脚部14aの垂直性を確保することができる。
【0073】
ここで、リールロック解除部材14は、中心部14bがリールロック部材13によって常に下方へ付勢力を受けている。本実施形態のリールロック解除部材14は、リールロック解除部材24と比較して体積及び重量が大幅に削減されるが、この付勢力に対する強度を十分に確保することができる。
【0074】
仮に、上記付勢力に対する強度が十分に確保されない場合、付勢力によって中心部付近が大きく下方へ撓むように変形する。これにより、中心部によって上方へ抗力を受けるリールロック部材も下方へ変位し、係合部とリールハブ側のギヤ部との間のクリアランスが狭小になる。その結果、使用時に両者が接触し、異音等の不良が発生する。
【0075】
本実施形態では、以下に示すように、延在部14cが上下方向の曲げモーメントに対して十分な剛性を有する。これにより、リールスプリング15からの付勢力による中心部14bの下方への変形を抑制することができる。したがって、使用時における異音等の不良の発生を抑制できる。
【0076】
実際に、実施例に係るリールロック解除部材14と、比較例に係るリールロック解除部材24のサンプルを5個ずつ作製し、中心部に下方に向かう荷重を付加した場合の変形量を調べた。
【0077】
図14は、実施例及び比較例に係るリールロック解除部材の、中心部に荷重を付加した場合の中心部の変形量を示すグラフであり、横軸が荷重、縦軸が変形量を示す。このグラフは、実施例及び比較例のサンプル5個の平均値を示す。グラフ内の太い破線は、リールロック部材の係合部とリールハブ側のギヤ部との接触を防止できる許容変形量の上限値の値を示す。
【0078】
実施例及び比較例のリールロック解除部材の、上下方向と直交する面内において最も大きい部分の寸法L1,L2(図7及び図12参照)の設計値は、同一とした。実施例及び比較例のリールロック解除部材の、上下方向の脚部を含む厚みT1,T2(図9及び図13参照)の設計値も、同一とした。実施例のリールロック解除部材の重量は、比較例のリールロック解除部材の重量の約0.6倍であった。
【0079】
図14に示すように、実施例のリールロック解除部材の変形量は、いずれの荷重付加時においても、比較例のリールロック解除部材の変形量の1.1倍程度であり、遜色ない値であった。
【0080】
非使用時と比較して大きな荷重が付加される使用時では、最大で5N程度の荷重が付加される。実施例のリールロック解除部材の変形量は、5Nの荷重付加時においても許容変形量の上限値を上回っていなかった。
【0081】
この結果から、本実施形態のリールロック解除部材14は、樹脂使用量を大幅に削減しつつも、リールスプリング15からの付勢力に対する変形を十分に抑制できることが確認された。また、本実施形態のリールロック解除部材14は、実際のテープカートリッジ1の使用時においても、中心部14bの変形に基づくリールロック部材13の係合歯13aとリールハブ6側のギヤ部12aとの接触を防止できることが推認される。これらの作用は、中心部14bの上下方向の厚みが十分に厚いこと、及び第2の主面14hに溝部14jが形成されていること、等に起因するものと考えられる。
【0082】
延在部14cの上下方向における曲げモーメントに対する剛性は、延在部14cの延在方向から見た断面の断面2次モーメントを用いて評価することができる。そこで、上記荷重付加試験に用いた実施例及び比較例のサンプルの断面を比較し、その断面積及び断面2次モーメントを比較した。
【0083】
図15は、本実施形態のリールロック解除部材14と、比較例に係るリールロック解除部材24の本体の断面形状を比較した図である。
【0084】
図15Aは、図7のXVa-XVa線で切断した断面図であり、実施例のリールロック解除部材14の中心部14bを通る部分の断面図である。図15Bは、図12のXVb-XVb線で切断した断面図であり、比較例のリールロック解除部材24の中心部24bを通る部分の断面図である。なお、比較した実施例及び比較例のサンプルは、中心部14b,24b付近の上下方向の厚みを略同一に構成した。
【0085】
図15Aに示す断面では、凸状に形成された中心部14bから連結部14mが側方にわずかに突出している。これに対して、図15Bに示す断面では、中心部24bから側方に周縁部24cが大きく延びている。
【0086】
図15Aに示すリールロック解除部材14の断面積は、図15Bに示すリールロック解除部材24の断面積を100%としたとき、58%であった。その一方で、リールロック解除部材14の上記断面の断面2次モーメントは、リールロック解除部材24の上記断面の断面2次モーメントを100%としたとき、80%であった。
【0087】
図15Cは、図7のXVc-XVc線で切断した断面図であり、延在部14cの中間部の断面図である。図15Dは、図12のXVd-XVd線で切断した断面図であり、中心部24bと脚部24aとの間の図15Cに対応する部分の断面図である。図15Cに示す断面では、第2の主面14hに溝部14jが形成されている。図15Dに示す断面では、溝部が形成されておらず、全体が平板状に形成される。
【0088】
図15Cに示すリールロック解除部材14の断面積は、図15Dに示すリールロック解除部材24の断面積を100%としたとき、47%であった。その一方で、リールロック解除部材14の上記断面の断面2次モーメントは、リールロック解除部材24の上記断面の断面2次モーメントを100%としたとき、96%であった。
【0089】
図15Eは、図7のXVe-XVe線で切断した断面図であり、延在部14cの図15Cよりも端部14f寄りの位置における断面図である。図15Fは、図12のXVf-XVf線で切断した断面図であり、中心部24bと脚部24aとの間の図15Eに対応する頂点部24f寄りの部分の断面図である。図15Eに示す断面では、第2の主面14hに浅い溝部14jが形成されている。図15Fに示す断面では、図15Dに示す断面と同様に、全体が平板状に形成される。
【0090】
図15Eに示すリールロック解除部材14の上記断面の断面積は、図15Fに示すリールロック解除部材24の断面積を100%としたとき、47%であった。その一方で、図15Fに示すリールロック解除部材14の断面の断面2次モーメントは、リールロック解除部材24の上記断面の断面2次モーメントを100%としたとき、80%であった。
【0091】
以上の結果から、リールロック解除部材14の各部の断面積は、リールロック解除部材24の対応する部分の断面積に対して、いずれも50%前後まで大幅に減少した。これにより、樹脂使用量を大幅に削減でき、生産性を向上させ、生産コストを削減できることが確認された。
【0092】
その一方で、リールロック解除部材14の各部の断面2次モーメントは、リールロック解除部材24の対応する部分の断面2次モーメントに対して、いずれも80%以上であり、断面積の減少に伴う大幅な減少を抑制できた。これにより、本実施形態のリールロック解除部材14は、溝部14jを含む延在部14cを有することで、体積及び重量を縮小しつつも上下方向の曲げモーメントに対する剛性の高い構成であることが確認された。
【0093】
さらに、本実施形態では、図15C及び図15Eに示すように、延在部14cの第1の主面14gと溝部14jの底面との間の上下方向に沿った厚みDが、延在方向に沿って一定に構成される。すなわち、第1の主面14gと溝部14jの底面との間の断面積を、延在方向に沿って略一定に構成することができる。これにより、延在部14cにおける射出成形後の温度変化に伴う樹脂の収縮量を、延在方向に沿って均一化することができる。したがって、成形後の延在部14cの湾曲等の変形を抑制し、成形品質を高めることができる。
【0094】
[他の実施形態]
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0095】
図16及び図17は、本技術の他の実施形態に係るリールロック解除部材14を示す図であり、図16は裏面図(下面図)、図17図16のXVII-XVII線で切断した断面図である。これらの図及び以下の説明において、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
これらの図に示すように、リールロック解除部材14の延在部14cは、中心部14bに接続し下方に突出した基部14qをさらに含んでいてもよい。基部14qは、例えば、中心部14bの周囲を取り囲む環状に構成される。基部14qにより、延在部14cと中心部14bとの接続部が補強される。したがって、中心部14bに付加される荷重に対してさらに高い強度を有し、変形しにくい構成とすることができる。
【0097】
他の実施形態として、延在部が溝部を有さない構成でもよい。また、溝部の形状は上述の実施形態の形状に限定されず、底面が曲面で構成されてもよいし、V字状に構成されてもよい。
【0098】
延在部は、相互に平行な側面を有さなくてもよく、例えば端部に向かうに従い幅が大きくなるように構成されてもよい。
【0099】
本体が連結部を有さない構成でもよい。また、連結部の構成は、隣接する延在部同士を連結できれば上記に限定されない。例えば隣り合う延在部14c間の中間部同士を連結する棒状に構成されてもよい。あるいは、中心部の周りに環状に形成された、延在部14cの基部同士を連結する構成でもよい。
【0100】
脚部は、凹部を有さなくてもよい。
【0101】
以上の実施形態では、磁気テープを巻装したテープリールを内蔵する磁気テープカートリッジについて説明したが、クリーニングテープを巻装したテープリールを内蔵するクリーニングテープカートリッジにも同様に適用可能である。
【0102】
以上の実施形態では、LTO規格に準じたテープカートリッジについて説明したが、これに限られず、他の規格のテープカートリッジにおけるリールロック解除機構にも同様に適用可能である。
【0103】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) テープを巻装し一軸方向に軸心を有する円筒面と、前記一軸方向に貫通する複数の貫通孔が形成された円筒底部と、を含むリールハブを有するリールと、
前記リールを回転可能に収容したカートリッジケースと、
前記円筒底部に向かって前記一軸方向に突出する凸部を有し、前記一軸方向に付勢されて前記リールハブと係合するリールロック部材と、
前記リールロック部材と前記円筒底部との間に配置された本体と、前記本体から前記一軸方向に延び前記複数の貫通孔各々に挿入された複数の脚部と、を有し、前記リールロック部材の付勢力に対抗した前記一軸方向の移動に基づいて前記リールロック部材と前記リールハブとの係合を解除するリールロック解除部材であって、前記本体は、前記凸部に接する中心部と、前記中心部から前記複数の脚部各々と接続された端部へ前記一軸方向に直交する方向に沿って放射状に延び、かつ前記中心部から前記端部に向かうに従い前記一軸方向に沿った厚みが漸減する複数の延在部と、を含む、リールロック解除部材と、
を具備するテープカートリッジ。
(2)上記(1)に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部各々は、前記リールロック部材に対向する第1の主面と、前記第1の主面の反対側に配置された第2の主面と、を含み、
前記第2の主面は、前記複数の延在部各々の延在方向に延びる溝部を含む
テープカートリッジ。
(3)上記(2)に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部各々は、前記溝部の底面と前記第1の主面との間の前記一軸方向に沿った厚みが、延在方向に沿って一定に構成される
テープカートリッジ。
(4)上記(2)又は(3)に記載のテープカートリッジであって、
前記第1の主面は、前記端部に形成された凹部を含む
テープカートリッジ。
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のテープカートリッジであって、
前記複数の脚部は、前記複数の延在部各々との接続部から前記一軸方向に沿って形成された凹部を含む
テープカートリッジ。
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つに記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部各々は、前記一軸方向及び延在方向に直交する方向に相互に対向する一対の側面を含む
テープカートリッジ。
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つに記載のテープカートリッジであって、
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部間を連結する連結部をさらに含む
テープカートリッジ。
(8)上記(1)~(7)のいずれか1つに記載のテープカートリッジであって、
前記リールロック解除部材は、樹脂材料で構成され、かつ、
前記本体は、前記複数の延在部の隣り合う延在部の端部間を接続し、樹脂射出用のゲートカット部が形成された側部をさらに含む
テープカートリッジ。
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つに記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部は、前記中心部を中心とした周方向に等角度間隔で設けられる
テープカートリッジ。
(10)上記(9)に記載のテープカートリッジであって、
前記複数の延在部は、前記中心部の周りに120度の間隔で3つ設けられる
テープカートリッジ。
【符号の説明】
【0104】
1…テープカートリッジ
2…上シェル
3…下シェル
4…カートリッジケース
5…テープリール
6…リールハブ
12…ギヤ形成壁
13…リールロック部材
14…リールロック解除部材
22…磁気テープ
60…リールハブの底部
140…リールロック解除部材の本体
14a…脚部
14b…中心部
14c…延在部
14g…延在部の第1の主面
14h…延在部の第2の主面
14j…延在部の溝部
14p…脚部の凹部
14i…延在部の側面
14m…連結部
14n…本体の側部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17