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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/00 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A45D29/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021031386
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132757
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 孝幸
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500983(JP,A)
【文献】特開2016-143077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象となる爪を有する指を配置する指配置部と、前記指配置部に配置された前記指の前記爪の画像を撮像し取得する撮像部と、前記指配置部に配置された前記指の前記爪に印刷を施す印刷部と、を有する印刷装置と、
前記指に対応した腕を保持する腕保持装置と、
前記爪の輪郭形状を予め記憶する記憶部と、前記印刷装置及び前記腕保持装置と直接的又は間接的に通信する通信部と、前記印刷装置の前記撮像部によって取得された爪の画像を前記通信部を介して受信する制御手段と、を有する端末装置と、
を備え、
前記制御手段は、前記撮像部によって取得された爪の画像と、前記記憶部に記憶された前記爪の輪郭形状と、を比較し、前記爪の画像と、前記爪の輪郭形状と、の面積の差が所定の範囲より小さくなった場合に、配置判断手段として前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断し、
前記制御手段は、前記配置判断手段の判断結果に基づいて前記腕保持装置を制御するための動作指示を、前記通信部を介して前記腕保持装置に送信し、
前記腕保持装置は、受信した前記動作指示にしたがって、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成される膨縮部を膨張させることにより、膨張した状態において前記腕を保持した状態で固定させることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記指が前記指配置部に適切に配置されていると前記配置判断手段として判断した場合に、前記動作指示を、前記腕保持装置に送信させることを特徴とする請求項に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記腕保持装置は、
前記膨縮部に流体を送り込むポンプと、
開状態において前記膨縮部から前記流体を排出させるバルブと、
前記ポンプ及び前記バルブの動作を制御する動作制御部と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記腕保持装置は、前記膨縮部の内圧に関する圧力値を取得するセンサをさらに備え、
前記動作制御部は、前記センサによる取得結果に応じて前記ポンプによる流体の送り込み動作を制御することを特徴とする請求項に記載の印刷システム。
【請求項5】
印刷対象となる爪を有する指を配置する指配置部と、前記指配置部に配置された前記指の前記爪の画像を撮像し取得する撮像部と、前記指配置部に配置された指の爪に印刷を施す印刷部と、を有する印刷装置と、前記指に対応した腕を保持する腕保持装置と、前記指が前記指配置部に適切に配置されているか否かを判断する配置判断手段と、を含み、前記印刷装置と前記腕保持装置とが直接的又は間接的に通信可能に構成された印刷システムによって、前記腕保持装置によって前記指に対応した腕を保持させた状態で前記指配置部に適切に配置された前記指の前記爪に前記印刷部により印刷を施す場合に、
前記配置判断手段が、前記撮像部によって取得された爪の画像と予め記憶された爪の輪郭形状とを比較し、前記爪の画像と前記爪の輪郭形状との面積の差が所定の範囲より小さくなった場合に、前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断する配置判断工程と、
前記配置判断工程において前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断されたときに、前記腕保持装置に対して前記腕を固定させる動作指示を送信する動作指示送信工程と、
前記腕保持装置が、前記動作指示にしたがって、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成される膨縮部を膨張させることにより、膨張した状態において前記腕を固定させる腕固定工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等にネイルデザインの印刷を行う印刷装置(ネイルプリント装置)が知られている。こうした印刷装置では、印刷中に爪の位置がずれると美しい仕上がりを実現することができない。
【0003】
ネイルデザインの印刷にはある程度の時間を要するところ、ユーザに無理のある姿勢を強いると、体勢が安定せず、指や爪の位置もずれやすくなる。
この点、特許文献1には、指や爪を固定するだけでなく、腕の少なくとも一部を載置可能な腕載置部を備えて、ユーザにできるだけ安定した楽な姿勢をとらせるように工夫した印刷装置(特許文献1において「描画装置」)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-005306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の腕載置部は、下方から腕を支持して腕の高さを上げるものであり、腕の動きを規制するものではない。
印刷中に腕が動いて腕の向きや角度が変わると、指や爪の位置もずれるおそれがある。
【0006】
しかし、ユーザが意識して腕を動かさないように姿勢を保つには集中力が必要である。印刷中、腕の位置を維持するように緊張感を保っていなければならないのは、ユーザにとって負担となる。
このため、ある程度腕の動きを規制して、ユーザが特に意識しなくても同じ姿勢を保つことができる構成が望まれる。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、印刷する爪に対応する腕の動きを規制し、位置ずれなく印刷を行うことのできる印刷システム及び印刷制御方法を提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の印刷システムの一態様は、
印刷対象となる爪を有する指を配置する指配置部と、前記指配置部に配置された前記指の前記爪の画像を撮像し取得する撮像部と、前記指配置部に配置された前記指の前記爪に印刷を施す印刷部と、を有する印刷装置と、
前記指に対応した腕を保持する腕保持装置と、
前記爪の輪郭形状を予め記憶する記憶部と、前記印刷装置及び前記腕保持装置と直接的又は間接的に通信する通信部と、前記印刷装置の前記撮像部によって取得された爪の画像を前記通信部を介して受信する制御手段と、を有する端末装置と、
を備え、
前記制御手段は、前記撮像部によって取得された爪の画像と、前記記憶部に記憶された前記爪の輪郭形状と、を比較し、前記爪の画像と、前記爪の輪郭形状と、の面積の差が所定の範囲より小さくなった場合に、配置判断手段として前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断し、
前記制御手段は、前記配置判断手段の判断結果に基づいて前記腕保持装置を制御するための動作指示を、前記通信部を介して前記腕保持装置に送信し、
前記腕保持装置は、受信した前記動作指示にしたがって、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成される膨縮部を膨張させることにより、膨張した状態において前記腕を保持した状態で固定させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷する爪に対応する腕の動きを規制し、位置ずれなく印刷を行うことができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における印刷システムの要部構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態における印刷システムの制御構成を示した要部ブロック図である。
図3】撮影部が指配置部に配置された指を撮影する様子を模式的に示す要部側断面図である。
図4】指が傾いて配置された場合の指配置部を撮影して得られた爪画像の一例を示す図である。
図5】指が正しく配置された場合の指配置部を撮影して得られた爪画像の一例を示す図である。
図6】開放状態の腕保持装置に腕を挿入した様子を示す要部斜視図である。
図7図6に示す腕保持装置が腕固定状態となった様子を示す要部斜視図である。
図8】本実施形態における印刷制御処理の全体を示すフローチャートである。
図9】本実施形態における印刷制御処理の全体を示すフローチャートである。
図10図8に示す固定処理の詳細を示すフローチャートである。
図11図9に示す固定解除処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から図11を参照しつつ、本発明に係る印刷装置、印刷システム、印刷制御方法及びプログラムの一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、印刷装置が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する印刷装置を例に説明するが、本発明における印刷装置の印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪等を印刷対象としてもよい。この場合には以下に説明する腕保持装置を、足首等を固定する脚保持装置として用いる。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷システムの要部構成を示す斜視図である。また図2は、印刷システムの制御構成を示した要部ブロック図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向は、図1に示した方向をいうものとする。
【0013】
図1に示すように、印刷システム100は、印刷装置1、印刷装置1と連携する端末装置3、腕保持装置2を含んで構成されている。
後述するように、腕保持装置2は、印刷装置1側からの動作指示にしたがって動作する。ここで「印刷装置1側」とは、印刷装置1及び印刷装置1と連携する端末装置3をいう。
「印刷装置1側」には、印刷装置1と腕保持装置2との間で直接的又は間接的に通信する通信部と、この通信部を介して腕保持装置2に対する動作指示を送信させる動作指示手段とが設けられる。本実施形態では、後述するように、印刷装置1の通信部15及び端末装置3の通信部35が「腕保持装置2と通信する通信部」を構成し、端末装置3の制御部31が「動作指示手段」として機能する。
以下、印刷システム100を構成する各装置について説明する。
【0014】
図1に示すように、印刷装置1は、ほぼ箱形に形成された筐体11を有している。
筐体11の上面(天板)には、印刷装置1の操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置1の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置10に出力され、制御装置10が操作信号に従った制御を行い、印刷装置1の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置1の電源がON/OFFされる。
なお、操作部12に代えて、後述する端末装置3の操作部33から入力された操作信号に従って印刷装置1の各部が動作するようにしてもよい。
【0015】
また、筐体11の前面側(印刷装置1の正面側、図1において前側)には、上下左右のほぼ中央部分に開口部13が形成されている。開口部13は、図1に示すように、指Uを印刷装置1内部に挿入する挿入口である。
印刷装置1内部であって開口部13に対応する位置には、印刷対象となる爪Tを有する指Uを配置する指配置部14が設けられている。指配置部14は、指受け部材14aを備えている。指受け部材14aは、開口部13から挿入された指Uを下側から支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。
指配置部14の上側は開放されており、開口部13から挿入され指受け部材14a上に支持された指Uの爪T部分を露出させるようになっている。
【0016】
筐体11各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。
例えば、操作部12は、筐体11の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、印刷装置1が端末装置3の操作部33から入力された操作信号に従って動作する場合には、印刷装置1の筐体11等に操作部12を設けない構成としてもよい。また、筐体11には、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0017】
また図2に示すように、印刷装置1は、印刷部40、撮影部50、通信部15、制御装置10等を備えている。
【0018】
印刷部40は、後述する腕保持装置2に保持された腕Mの指Uを指配置部14に配置させた状態で、当該指Uの爪Tに印刷(ネイルプリント)を施すものである。
印刷部40は、印刷装置1の制御部16又は後述の端末装置3の制御部31において生成される印刷用データにしたがって印刷対象である爪Tの表面に印刷を施す。
印刷部40は、印刷動作を行う印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構49等を備えている。
【0019】
印刷ヘッド41は、例えば微滴化したインクを印刷対象面(すなわち、爪Tの表面)に吹き付けて印刷を行うインクジェットヘッドである。
印刷ヘッド41の種類や数は特に限定されないが、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインクを吐出するカラー印刷用の印刷ヘッドや、デザインを印刷する前に下地となる液剤を印刷する下地用の印刷ヘッド等である。
【0020】
本実施形態のヘッド移動機構49は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるためのX方向の移動機構及び印刷ヘッド41を装置の前後方向(Y方向)に移動させるためのY方向の移動機構を備える。
X方向の移動機構は図示しないX方向移動モータを含み、Y方向の移動機構は図示しないY方向移動モータを含んでいる。
ヘッド移動機構49は、制御部16の制御にしたがってX方向移動モータ、Y方向移動モータを適宜駆動させることにより、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)、装置の前後方向(Y方向)に移動させる二軸の移動機構となっている。
【0021】
撮影部50は、例えば筐体11内の天面内側等に配置されており、指配置部14の指受け部材14a上に支持された指Uの爪T部分周辺を上方から撮影して、爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像P」(図4及び図5参照)という。)を取得する。
図3は、撮影部が指配置部に配置された指を撮影する様子を模式的に示す要部側断面図である。また、図4及び図5は、指が配置された指配置部を撮影部によって撮影して得られた爪画像の一例を示す図である。
【0022】
撮影部50は、例えばカメラ等である撮影装置51と、撮影対象である爪Tを照明する白色LED等で構成された照明装置52とを含んでいる。
撮影部50によって撮影された爪画像Pは、制御部16において取得され、連携する端末装置3に適宜送信される。なお、図4及び図5では、図示の都合上、爪画像Pにおいて指Uや爪T以外の部分を白抜きで表現しているが、実際の指配置部14内部や指受け部材14aは、黒色等、爪Tと区別しやすい色となっている。
撮影部50によって撮影された爪画像Pの画像データは、後述する記憶部17に記憶されてもよい。
【0023】
通信部15は、指Uに対応した腕Mを保持する腕保持装置2との間で直接的又は間接的に通信する。
本実施形態では、通信部15を介して印刷装置1と端末装置3との間で通信が行われ、印刷装置1は端末装置3を介して間接的に腕保持装置2と通信する。
通信部15は、端末装置3の通信部35との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、制御部16は、印刷装置1、端末装置3間で各種のデータ等を送受信する際に通信部15の動作を制御する。
【0024】
印刷装置1と端末装置3との間での通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置1と端末装置3との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
なお、通信部15は、端末装置3との間で通信を行うことのできるものであればよく、端末装置3の通信部35の通信規格と合致するものが適用される。
【0025】
印刷装置1の制御装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部16と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部17とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部17の一部又は全部は別構成とし、制御装置10の外部に設けるようにしてもよい。
記憶部17には、印刷装置1を動作させるための各種プログラム(例えば印刷処理を行うための印刷プログラム等)や各種データ等が格納されており、制御部16がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部16において実行されることによって、印刷装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、特に本実施形態では、制御部16は、後述する腕保持装置2から、腕Mを固定させるための動作が完了した旨の「固定完了信号」を受信(本実施形態では端末装置3を介して間接的に受信)したことを条件として、印刷部40による印刷を開始させる印刷制御手段として機能する。
【0026】
腕保持装置2は、例えば図1に示すように印刷装置1の前方等に適宜配置される装置であり、印刷装置1の指配置部14に配置された指Uに対応する腕Mを保持する。
図6は、腕の抜き差しを自由に行うことのできる開放状態の腕保持装置に腕を挿入した様子を示す要部斜視図である。また図7は、図6に示す腕保持装置が腕を固定する固定状態となった様子を示す要部斜視図である。なお、本実施形態において「固定」とは、腕Mの動きを完全に規制する場合に限定されず、腕Mの状態を適切な位置、姿勢に確定し、当該状態を維持させることを広く含む。
本実施形態の腕保持装置2は、装置本体部21、膨縮部23を備えている。また図2に示すように、腕保持装置2は、ポンプ25、バルブ26、センサ27、腕保持装置2の各部の動作を制御する動作制御部20、通信部24及び操作部28等を有している。
なお、腕保持装置2の具体的な構成は図示例に限定されない。また、図1図6図7では、左手(腕M)を腕保持装置2に保持させる場合を図示しているが、右手(腕M)を保持させる場合も同様である。
【0027】
装置本体部21には、保持対象である腕Mを挿通させる挿通部22が形成されており、膨縮部23は挿通部22の内側に配置されている。
膨縮部23は、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成され、膨張状態において腕Mの位置を確定(腕Mを固定)させるものである。
膨縮部23を形成する材料は特に限定されないが、膨張時に腕Mを固定することができるとともに、固定時にも腕Mに不快感を与えない柔軟さ、肌当たりの良さを有する材料を適用することが好ましい。
【0028】
ポンプ25は膨縮部23に流体を送り込むものであり、バルブ26は開状態において膨縮部23から流体を排出させるものである。ポンプ25及びバルブ26は、膨縮部23に接続されている。
ポンプ25が膨縮部23の内部に送り込む流体は特に限定されないが、例えば、空気等の気体や水等の液体である。
バルブ26は、例えば通電することで開状態(開放状態)と閉状態とを切り替えることのできる電磁弁である。
ポンプ25及びバルブ26の動作は、印刷装置1側の制御手段(本実施形態では、端末装置3の制御部31)からの動作指示にしたがい、動作制御部20によって適宜制御される。
【0029】
また腕保持装置2には、膨縮部23の内圧に関する圧力値を取得するセンサ27が設けられている。
センサ27は、例えば気体や液体の圧力をダイヤフラム(ステンレスダイヤフラム、シリコンダイヤフラム等)を介して、感圧素子で計測し、電気信号に変換し出力する圧力センサである。なお、センサ27は膨縮部23内の圧力値を取得できるものであればよく、例えば静電容量型、半導体ピエゾ抵抗型等の圧力センサ、その他各種構成のセンサを適用することができる。
【0030】
センサ27によって取得された取得結果(すなわち膨縮部23の内圧の値、圧力値)は動作制御部20に出力され、ポンプ25やバルブ26が動作した際に、膨縮部23の内圧の変化を動作制御部20が把握できるようになっている。
動作制御部20は、センサ27による取得結果(センサ27によって検出された膨縮部23の内圧)に応じてポンプ25による流体の送り込み動作等を制御する。
【0031】
通信部24は、外部装置である印刷装置1や端末装置3との間で通信する。
本実施形態では、通信部24は端末装置3から各種の動作指示を受信する。また、端末装置3に対して処理結果等を送信するようになっている。
また、通信部24は、腕保持装置2が腕Mを固定させる動作を適切に行うことができない場合(例えば流体を送入しても膨縮部23が腕Mを固定できる程度の所定の内圧となるまで膨張しない場合)に、外部装置にエラーを通知するエラー送信部としても機能する。本実施形態では、外部装置として端末装置3にエラーを通知する。
なお、エラーは腕Mを固定させる動作時のエラーに限定されない。例えば本実施形態では、後述するように、腕Mの固定を解除させる動作時のエラー等の場合にも端末装置3にエラーを通知する。
本実施形態の通信部24は、端末装置3の通信部35との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、動作制御部20の制御にしたがって動作する。
【0032】
腕保持装置2と端末装置3との間での通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、腕保持装置2と端末装置3との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
なお、通信部24は、端末装置3との間で通信を行うことのできるものであればよく、端末装置3の通信部35の通信規格と合致するものが適用される。
【0033】
操作部28は、例えば腕保持装置2の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。操作部28が操作されると、操作信号が動作制御部20に出力され、動作制御部20が操作信号に従った制御を行い、腕保持装置2の各部を動作させる。例えば操作部28が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて腕保持装置2の電源がON/OFFされる。
【0034】
動作制御部20は、図示しないプロセッサ等を含み、ポンプ25、バルブ26、センサ27、通信部24及び操作部28等、腕保持装置2の各部の動作を制御する。
また動作制御部20は、図示しないクロックを含み、現在の日時を取得する機能を有している。本実施形態において動作制御部20は、処理時間(処理開始時からの経過時間)をカウントするタイマーとしても機能し、タイマーをスタートさせることで処理開始からの経過時間をカウントする。
【0035】
また、前述のように、本実施形態の印刷装置1は、端末装置3と連携して爪Tに対する印刷を行う。
端末装置3は、例えばスマートフォン等の携帯端末装置である。なお、端末装置3はスマートフォンに限定されない。例えばタブレット型のパーソナルコンピュータ(以下において「PC」とする。)やノート型のPC、据置型のPC、ゲーム用の端末装置等であってもよい。
図2に示すように、端末装置3は、操作部33、表示部34、通信部35及び制御装置30等を備えている。
【0036】
操作部33は、ユーザの操作に応じて各種の入力・設定等を行うことができるようになっており、例えば表示部34の表面に一体的に設けられたタッチパネルである(図1参照)。操作部33が操作されると、当該操作に対応する入力信号が制御装置30に送信される。
表示部34に構成されるタッチパネルには、制御装置30の制御にしたがって各種の操作画面が表示され、ユーザはタッチパネルへのタッチ操作によって各種の入力・設定等の操作を行うことができる。
なお、各種の入力・設定等の操作を行う操作部33はタッチパネルである場合に限定されない。例えば各種の操作ボタンやキーボード、ポインティングデバイス等が操作部33として設けられていてもよい。
【0037】
本実施形態では、ユーザが操作部33を操作することで、端末装置3から印刷装置1に対して印刷開始等の各種動作指示が出力されるようになっており、端末装置3は印刷装置1の操作部としても機能する。
また、ユーザが操作部33を操作することで、爪Tに印刷するネイルデザイン(単に「デザイン」ともいう)を選択したり、印刷を行う爪T(当該爪Tに対応する指の種類)を選択すること等ができるようになっている。
【0038】
表示部34は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OEL:organic electro-luminescence Display)、その他のフラットディスプレイで構成されている。
なお、前述のように、表示部34の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、タッチパネルが操作部33として機能する。
【0039】
表示部34には、各種のメッセージ画面、警告表示等が表示される。また表示部34には、印刷装置1から送信された爪画像データの基づく画像等、爪Tにネイルデザインを印刷した場合の印刷イメージが分かるプレビュー画像等、各種の画像が表示されてもよい。
【0040】
さらに本実施形態では、表示部34は、腕保持装置2からのエラー通知を受けたときに、当該エラーをユーザに報知する報知手段としても機能する。
報知の仕方は特に限定されず、例えばエラーの内容や状況を文字やイラスト等で表示部34に表示させたり、ユーザに対処を促すメッセージ等を表示させる。
【0041】
なお、報知手段は端末装置3の表示部34に限定されず、例えば端末装置3がランプを有する場合にはランプの点滅等によって報知するものであってもよいし、端末装置3が音声出力部を有する場合には音声出力部からの音声やアラート等で報知してもよい。
さらにエラーを通知する送信先は端末装置3に限定されない。例えば印刷装置1に表示部やインジケータ、音声出力部等が設けられている場合には、印刷装置1に対してエラー通知を送信し、印刷装置1の表示部等が当該エラーをユーザに報知する報知手段として機能してもよい。
【0042】
通信部35は、印刷装置1の通信部15、腕保持装置2の通信部24との間で通信可能に構成されている。
端末装置3と印刷装置1、端末装置3と腕保持装置2との間での通信は、前述のように、無線接続方式、有線接続方式のどちらでもよく、具体的な方式は限定されない。通信部35は印刷装置1や腕保持装置2との間で通信を行うことのできるものであればよく、印刷装置1の通信部15や腕保持装置2の通信部24の通信規格と合致するものが適用される。
【0043】
図2に示すように、本実施形態の端末装置3の制御装置30は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成される制御部31と、図示しないROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成される記憶部32とを備えるコンピュータである。
【0044】
記憶部32には、端末装置3の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部32のROM等には、端末装置3の各部を統括制御するための動作プログラムの他、印刷装置1を用いたネイルプリントを行うためのネイルプリントアプリケーションプログラム(以下「ネイルプリントAP」とする。)等の各種プログラム(いずれも図示せず)が格納された図示しないプログラム記憶領域が設けられている。
また、本実施形態では、後述するように制御部31が検出手段、配置判断手段、動作指示手段として機能するようになっており、記憶部32等には、制御部31を検出手段、配置判断手段、動作指示手段として機能させるプログラムが組み込まれる。
制御部31がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部31において実行されることによって、端末装置3の各部が統括制御されるようになっている。
【0045】
また、本実施形態の記憶部32には、ネイルデザイン(デザイン)のデータが格納されている。
なお、記憶部32に格納されるネイルデザイン(デザイン)は、予め用意された既存のデザインであってもよいし、ユーザが自ら作成したデザインであってもよい。
また、端末装置3が各種ネットワークに接続可能である場合には、ネットワーク接続可能な図示しないサーバ装置等に記憶されているネイルデザイン(デザイン)を取り込んで記憶部32に記憶させることが可能となっていてもよい。
記憶部32に格納されるデザインは、個別のデザインであってもよいし、例えば左右10本の指等、複数本の指に対応したデザインのデータセット等であってもよい。
【0046】
ユーザによって個別のデザインやデザインのデータセット等が作成されると、記憶部32に記憶される。この場合、デザインやデザインのデータセットには、ユーザ名等のユーザを識別するための情報、データを作成・編集した年月日、当該デザインを印刷する指種、印刷順序等の情報が対応付けられることが好ましい。これにより、次回からはユーザが自分で作成したお気に入りのデザインや複数本分のデザインのデータセットを容易に呼び出してネイルプリントに用いることができ、印刷を行う度に多数のデザインから印刷するデザインを選ぶ手間を省くことができる。
【0047】
また本実施形態では、ユーザの両手の各指U(左右の手の親指から小指までの全10本)について予め爪Tの形状認識(爪Tの輪郭形状の検出)を行い、各指Uの各爪Tの形状(爪輪郭)を記憶部32に登録する。このとき、ユーザ名等のユーザを識別するための情報や各指Uの指種等の情報も爪Tの輪郭形状と対応付けて登録する。
さらに、印刷装置1から送信された爪画像から爪Tに関する各種の情報(爪情報)が検出されたときには、これらの爪情報も記憶部32に記憶させる。この場合、爪情報は爪Tの輪郭形状(爪輪郭)のほか、例えば爪Tの湾曲度合を示す曲率等、各種の情報を含んでもよい。
【0048】
本実施形態において、端末装置3の制御部31は、検出手段、配置判断手段、動作指示手段(動作指示を腕保持装置2に送信する制御手段)として機能する。また制御部31は、表示部34の表示動作を制御する表示制御手段、通信部35の通信動作を制御する通信制御手段等としても機能する。
【0049】
検出手段としての制御部31は、印刷装置1から送られた爪画像P(図4図5参照)について画像解析等を行うことにより指配置部14に配置された指Uの爪Tを検出する。具体的には、指Uの皮膚部分の色や背景となる指配置部14の色と爪Tとの色の差から爪Tの輪郭形状(爪輪郭)を検出する。
なお、爪Tに予め下地として白色等の液剤を塗布しておいた場合には、より明確に、爪Tとそれ以外の部分とを区別することができ、正確に爪Tの輪郭形状を検出することができるため好ましい。
なお、検出手段としての制御部31は爪輪郭のほか、各種の爪情報(例えば爪Tの幅方向の湾曲度合等、爪Tに関する情報)を検出してもよい。
【0050】
配置判断手段としての制御部31は、指Uが指配置部14に適切に配置されているか否かを判断する。本実施形態では、配置判断手段としての制御部31は、検出手段として検出した爪Tの輪郭形状等の検出結果に基づいて、指Uの配置の適否を判断する。
具体的には配置判断手段は、検出手段としての制御部31によって検出された爪Tの輪郭形状が最大となったときに、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断する。
【0051】
指Uが傾いて配置されている指配置部14を撮影部50によって撮影すると、例えば図4に示す例のような爪画像Pが取得される。これに対して指Uが正しく配置されている指配置部14を撮影部50によって撮影すると、例えば図5に示す例のような爪画像Pが取得される。
図4及び図5に示すように、指配置部14に指Uが傾いて配置されている場合には、爪Tが横向きになったり斜めになったりするため、爪Tの表面全体を撮影部50によって撮影することができない。これに対して指配置部14に指Uが正しく配置されている場合には、爪Tの表面全体が撮影部50によってとらえられるため、爪Tの輪郭形状は指Uが傾いて配置されている場合と比較して大きく(広く)なる。
【0052】
爪Tの輪郭形状が最大であるか否かは、例えば予め各指Uの爪Tについて取得され記憶部32等に登録されている爪情報(爪Tの輪郭形状)と、検出手段としての制御部31が爪画像Pから検出した爪Tの輪郭形状とを比較することによって判断される。
すなわち、予め登録されている爪輪郭(既登録爪輪郭)が、指Uを正しく配置した状態で取得されたものであることを前提に、配置判断手段としての制御部31は、既登録爪輪郭との面積の誤差が許容限度内となったときに爪Tの輪郭形状が最大であると判断する。
【0053】
なお、配置判断手段としての制御部31が、指Uが指配置部14に適切に配置されているか否かを判断する手法は、ここに示したものに限定されない。
例えば指配置部14において指の腹部分と接触する部分に接触センサや圧力検知センサ等を設けておき、指の腹部分の接触面積が最大となったときに、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断してもよい。
なお、制御部31は、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断したときに、表示部34にその旨を表示させたり、ランプの点灯や音声等によってユーザに報知し、当該位置(状態)を維持するように促してもよい。
【0054】
動作指示手段(動作指示を腕保持装置2に送信する制御手段)としての制御部31は、配置判断手段として指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断したときに、腕保持装置2を動作させ、腕保持装置2に保持された腕Mを固定させるための動作指示を、通信部35を介して送信させる。
具体的には、ポンプ25を動作させて膨縮部23に流体を送入させ、膨縮部23の内圧が所定の圧力値となるまで膨縮部23を膨張させるように動作を指示する。
【0055】
ここで「所定の圧力値」は、適宜設定される。「所定の圧力値」はデフォルトの設定値であってもよいし、ユーザが適宜設定・変更できるようになっていてもよい。
すなわち、どの程度腕Mを締め付けたときに腕Mが安定するかはユーザによって異なり、ユーザごとの好みもある。この点、予めユーザが所定の圧力値を設定できるようにしておくことで、ユーザにとって楽な姿勢で印刷を行うことが可能となる。なお、この場合、指ごとや左右の手の別に応じて設定値を異ならせてもよい。設定された値はユーザの情報として登録され、設定が変更・更新されない限り、次回以降も同じ値が採用されるようにしてもよい。このようにすることで、ユーザに応じたカスタマイズが可能となり、腕保持装置2及びこれを備える印刷システム100の使い勝手が向上する。
また、ユーザが設定する際には具体的な数値を設定するのではなく、「強め(きつめ)」、「普通」、「弱め(緩め)」等の段階によって設置してもよい。このようにした場合には具体的な数値を設定するよりもユーザにとって分かりやすく簡易である。
【0056】
この他、制御部31は、表示部34の表示制御を行う表示制御部、通信部35の通信制御を行う通信制御部としても機能する。
また、制御部31は、表示用のデータを生成する表示データ生成部、印刷用のデータを生成する印刷データ生成部として機能してもよい。
【0057】
次に、図8から図11等を参照しつつ、本実施形態の印刷制御方法について説明する。
本実施形態の印刷装置1を用いてネイルプリントを行う場合には、ユーザは、印刷装置1の操作部12(操作ボタン)等を操作して電源を入れ起動させる。
また、端末装置3についても電源を入れて端末装置3の操作部33からネイルプリント処理の実行を選択する。これによりネイルプリントAPが起動してネイルプリントモードが起動する(ステップS1)。
端末装置3においてネイルプリントモードが起動すると、端末装置3の制御部31は、通信部35を介して、印刷装置1及び腕保持装置2に対して起動指示を送信する(ステップS2)。
【0058】
印刷装置1は、端末装置3からの起動指示を受信すると(ステップS3)、印刷モードに移行する(ステップS4)。なお、印刷装置1側で電源を入れる操作等を行わなくても、端末装置3から起動指示を受信することで印刷装置1の電源が入るようにしてもよい。
また、腕保持装置2は、ユーザが操作部28(電源スイッチ)を操作することで電源がONとなり(ステップS5)、外部装置(本実施形態では端末装置3)からの信号を受信可能な状態で待機する。
端末装置3がネイルプリントモードとなると、制御部31は表示部34を制御して、印刷したい爪Tに対応する指Uを指配置部14にセットするよう促すメッセージ等を表示させてもよい。
【0059】
その後、端末装置3の制御部31は、通信部35を介して、印刷装置1に対して爪画像Pのデータを送るよう求める要求(爪画像データ要求)を送信する(ステップS6)。
印刷装置1は、爪画像データ要求を受信すると(ステップS7)、制御部16が撮影部50を制御して指配置部14に配置された指Uを撮影させ、爪画像Pを取得する(ステップS8)。
そして制御部16は、取得した爪画像Pのデータ(爪画像データ)を、通信部15を介して端末装置3に送信する(ステップS9)。
端末装置3の制御部31は、印刷装置1から爪画像データを受信すると(ステップS10)、当該爪画像Pに基づいて指Uが正しく配置されているか否かを判断する(ステップS11)。
本実施形態の場合、具体的には、まず制御部31が検出手段として、爪Tの輪郭形状(爪輪郭)を検出する。そして制御部31は配置判断手段として、検出された爪Tの輪郭形状が最大となったか否かを判断し、爪Tの輪郭形状が最大となったとき(図5参照)に、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断する。
【0060】
爪Tの輪郭形状が最大ではないと判断する場合(ステップS11;NO)には、制御部31は、指Uを配置し直すように促すメッセージ等を表示部34に表示させ(ステップS12)、ステップS6以降の処理を繰り返す。
なお、指配置部14に配置された指Uは印刷装置1の撮影部50によって随時撮影されていてもよく、この場合制御部31は、当該撮影画像を印刷装置1から送信させて、表示部34に表示させてもよい。また撮影画像を表示する場合には、正しく指Uが配置された状態を枠や線等で示して撮影画像に重畳表示させてもよい。このような表示を行うことで、どのように指Uを配置すればよいかがユーザにとって分かりやすくなる。
他方、爪Tの輪郭形状が最大となったと判断する場合(ステップS11;YES)には、制御部31は、通信部35を介し、腕保持装置2に対して、腕Mの位置を確定(固定)する固定処理を開始するよう指示する動作指示(固定処理開始要求)を送信する(ステップS13)。
【0061】
なお、前述のように膨縮部23の内圧(「所定の圧力値」)をどの程度にするか、についてユーザごとの設定(例えば、右手は「強め(きつめ)」に固定し、左手は「弱め(緩め)」に固定するという設定や、親指を印刷する場合には姿勢が崩れやすいので左右の手いずれの場合にも「強め(きつめ)」に固定するという設定等)がある場合には、こうした設定に対応する圧力値の情報が、この動作指示(固定処理開始要求)に付帯される。
腕保持装置2は、端末装置3から固定処理開始要求を受信すると(ステップS14)、当該動作指示にしたがって、固定処理を行う(ステップS15)。
【0062】
ここで図10を参照しつつ、固定処理(図8のステップS15)の具体的な内容について説明する。
【0063】
まず、腕保持装置2の動作制御部20は、処理時間をカウントするタイマーをスタートさせる(ステップS41)。
動作制御部20は、ポンプ25を動作させて膨縮部23への流体(本実施形態では空気)の送入を開始させる(ステップS42)。このとき、安全性等の観点から、例えば動作制御部20は10cc等、所定量ずつ空気を送入させることが好ましい。
膨縮部23の内圧(圧力値)は随時センサ27によって測定されており、動作制御部20は、センサ27によって得られた圧力値を取得する(ステップS43)。
【0064】
動作制御部20は、取得した圧力値が所定値以上であるか否かを判断し(ステップS44)、所定値に満たない場合(ステップS44;NO)には、さらに所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS45)。
なお、膨縮部23の内圧(「所定の圧力値」)に関する設定情報が動作指示(固定処理開始要求)に付帯している場合には、動作制御部20によって、センサ27が取得した圧力値が設定された圧力値になったか否かが判断される。
未だ所定時間が経過していない場合(ステップS45;NO)には、さらに空気を送入するようにポンプ25を動作させ(ステップS46)、ステップS43に戻って処理を繰り返す。なおこの場合の空気の送入も、例えば10cc等、所定量ずつ行うことが好ましい。
【0065】
他方、圧力値が所定値以上である場合(ステップS44;YES)には、動作制御部20は、ポンプ25を止めて空気の送入を停止させ(ステップS47)、タイマーも停止させる(ステップS48)。
なお、センサ27が取得した圧力値がユーザによって設定された圧力値を超えてしまった場合(すなわち、例えばユーザは「弱め(緩め)」を設定したのに圧力値が「強め(きつめ)」のレベルに達している場合)には、所望の圧力値となるように、バルブ26を開放した状態でポンプ25を止めることで膨縮部23の内圧の調整を行ってもよい。
【0066】
さらに動作制御部20は、圧力値が異常値を超えているか否かを判断し(ステップS49)、超えていない場合(ステップS49;NO)には、バルブ26を閉状態とし、膨縮部23の内圧を現状で維持させる(ステップS50)。そして、処理結果の送信(図8のステップS16)として、端末装置3に対し、固定処理が正常に終了したことを送信(すなわち、「固定完了信号」を送信)して(ステップS51)、処理を終了する。
【0067】
一方、所定時間が経過しても膨縮部23の内圧が所定の圧力値とならない場合(ステップS45;YES)、及び圧力値が異常値を超えている場合(ステップS49;YES)には、処理結果の送信(図8のステップS16)として、端末装置3に対し、固定処理が正常に終了しなかったことを送信して(ステップS52)、処理を終了する。
【0068】
図8に戻り、腕保持装置2から送信された処理結果を受信すると(ステップS17)、端末装置3の制御部31は、送信結果から、腕保持装置2における固定処理が正常に終了したか否かを判断する(ステップS18、図9参照)。
固定処理が正常に終了しなかった場合(ステップS18;NO)には、印刷モードを停止する指示を印刷装置1に送信する(ステップS19)。印刷装置1は、端末装置3からの停止指示を受信すると(ステップS20)、印刷モードを停止して処理を終了する。
なお、腕Mの固定が正常に行われなかった場合には、すなわち、腕保持装置2からエラーが通知された場合(図10のステップ52)には、端末装置3の制御部31は表示部34にその旨を表示させる等により、ユーザにその旨報知してもよい。
【0069】
一方、固定処理が正常に終了した場合(ステップS18;YES)には、制御部31は、印刷装置1に対して、印刷処理を開始するよう求める動作指示(印刷処理開始要求)を送信する(ステップS21)。
印刷装置1は、印刷処理開始要求を受信すると(ステップS22)、印刷処理を行う(ステップS23)。なお、印刷処理は一般的な処理であるため、ここでは詳細を省略する。
印刷処理が終了すると、印刷装置1から端末装置3に対して印刷処理が終了した旨が送信される(ステップS24)。印刷処理が終了すると、印刷装置1は処理を終了する。
【0070】
端末装置3は、印刷装置1から印刷処理が終了した旨を受信すると(ステップS25)、腕保持装置2に対して固定解除処理を開始するよう指示する動作指示(固定解除処理開始要求)を送信する(ステップS26)。
腕保持装置2は端末装置3から固定解除処理開始要求を受信すると(ステップS27)、固定解除処理を行う(ステップS28)。
【0071】
ここで図11を参照しつつ、固定解除処理(図9のステップS28)の具体的な内容について説明する。
【0072】
まず、動作制御部20は、処理時間をカウントするタイマーをスタートさせる(ステップS61)。
動作制御部20は、バルブ26を開放し、空気の排出を開始させる(ステップS62)。このとき、膨縮部23の内圧(圧力値)は随時センサ27によって測定されており、動作制御部20は、センサ27によって得られた圧力値を取得する(ステップS63)。
【0073】
動作制御部20は、取得した圧力値が固定解除レベルまで下がったか、すなわち、腕を抜き差しできる程度まで膨縮部23が収縮したか否かを判断し(ステップS64)、圧力値が固定解除レベルまで下がっていない場合(ステップS64;NO)には、さらに所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS65)。
そして、未だ所定時間が経過していない場合(ステップS65;NO)には、ステップS63に戻って処理を繰り返す。
【0074】
一方、圧力値が固定解除レベルまで下がった場合(ステップS65;YES)には、動作制御部20は、タイマーを停止させ(ステップS66)、処理結果の送信(図9のステップS29)として、端末装置3に対し、固定解除処理が正常に終了したことを送信して(ステップS67)、処理を終了する。
【0075】
他方、所定時間が経過しても膨縮部23の内圧が固定解除レベルまで下がらない場合(ステップS65;YES)には、処理結果の送信(図9のステップS29)として、端末装置3に対し、固定解除処理が正常に行われないことを送信して(ステップS68)、処理を終了する。
図9に戻り、腕保持装置2から送信された処理結果を受信すると(ステップS30)、端末装置3は一連の処理を終了する。
【0076】
なお、端末装置3の制御部31は、固定解除処理が正常に終了したことを腕保持装置2から受信した場合に、腕Mの固定が解除された旨を表示部34等に表示させてユーザに報知してもよい。
なお、他にも爪Tに印刷を行う指Uがある場合には、次の指Uの爪Tについて同様の手順でステップS6からステップS30までの処理を繰り返す。
この場合には、端末装置3の制御部31は、次に印刷を行う指Uを指配置部14に配置するように促すメッセージ等を表示部34に表示させてもよい。
他方、腕Mの固定解除が正常に終われなかった場合には、すなわち、腕保持装置2からエラーが通知された場合(図11のステップ66)には、端末装置3の制御部31は、表示部34にその旨を表示させる等により、ユーザにその旨報知してもよい。
【0077】
このように、本実施形態の印刷システム100では、腕保持装置2により、指Uが正しく配置されている状態(爪Tが正しく配置されている状態)で腕Mの位置を確定(腕Mを固定)させ、腕Mの動きを規制することができる。
これにより、爪Tに印刷を施す間に指Uや爪Tの位置がずれてしまうのを防止して、美しい仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態の印刷システム100は、印刷対象となる爪Tを有する指Uを配置する指配置部14と、指配置部14に配置された指Uの爪Tに印刷を施す印刷部40と、を有する印刷装置1と、指配置部14に配置された指Uに対応する腕Mを保持する腕保持装置2と、印刷装置1と腕保持装置2との間で直接的又は間接的に通信する通信部15,35と、通信部15,35を介して腕保持装置2に対する動作指示を送信させる動作指示手段としての制御部31と、を備え、腕保持装置2は、印刷装置1側からの動作指示にしたがって動作し、腕Mを固定させる。
また本実施形態の印刷装置1は、指配置部14と、通信部15と、腕保持装置2に保持された腕Mの指Uを指配置部14に配置させた状態で、当該指Uの爪Tに印刷を施す印刷部40と、を備えている。
【0079】
これにより、印刷装置1の指配置部14に印刷対象となる爪Tを有する指Uを正しく配置した状態で、腕Mの高さや向きを腕保持装置2によって確定(固定)することができる。
印刷中に、腕Mの高さや向きが変わると、これに連動して指Uや爪Tの動いてしまうおそれがある。印刷中に爪Tが動いてしまうと印刷位置ずれが生じて、印刷品質が低下してしまう。
この点、本実施形態では腕Mの高さや位置をユーザの意識によらずに維持させることができ、ユーザが腕Mを動かさないように意識して姿勢を保つように集中しなくても、印刷中、楽に腕Mの姿勢を保つことができる。
このため、印刷位置ずれを生じず、美しい仕上がりのネイルプリントを実現することができる。
【0080】
また本実施形態において、検出手段は、爪Tの輪郭形状(爪輪郭)を検出するものであり、配置判断手段は、検出手段によって検出された爪輪郭が最大となったときに、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断する。
指配置部14に指Uが正しく配置されている場合には、爪Tの表面全体が撮影部50によってとらえられる。このため、指Uが傾いて配置されている場合と比較して爪Tの輪郭形状が大きく(広く)なる。
このように、指Uが指配置部14に適切に配置されているか否かは、爪Tの輪郭形状から正確に判断することができるため、腕Mの位置の確定を適切に行うことができる。
【0081】
また本実施形態の腕保持装置2は、腕Mを固定させる動作を適切に行うことができない場合に、エラーを通知するエラー送信部としての通信部24を有しており、端末装置3の表示部34は、腕保持装置2からのエラー通知を受けたときに、ユーザに報知する報知手段として機能する。
このため、腕保持装置2が適切に動作しないときにはユーザは端末装置3の表示部34を見ることで容易に状況を確認することができる。
【0082】
また本実施形態では、印刷システム100が印刷装置1及び腕保持装置2との間で通信可能な端末装置3を備え、動作指示手段が端末装置3の制御部31であって、腕保持装置2に対する印刷装置1側からの動作指示は端末装置3から送信される。
これにより、印刷装置1が直接腕保持装置2との間で通信する必要がなく、印刷装置1を簡易な構成とすることができる。
【0083】
また本実施形態では、動作指示手段としての制御部31が、指配置部14に指Uが適切に配置されている場合に、腕保持装置2を動作させて腕保持装置2に保持された腕Mを固定させるための動作指示を、腕保持装置2に対して送信する。
これにより、指U(及びその爪T)が正しい位置にある状態で腕Mの位置が確定され、高品質の印刷を行うことが可能となる。
【0084】
また本実施形態の腕保持装置2は、内圧を変化させることにより膨縮可能に構成され、膨張状態において腕Mを固定させる膨縮部23と、膨縮部23に流体を送り込むポンプ25と、開状態において膨縮部23から流体を排出させるバルブ26と、ポンプ25及びバルブ26の動作を制御する動作制御部20と、を有している。
【0085】
また本実施形態の腕保持装置2は、膨縮部23の内圧に関する圧力値を取得するセンサ27をさらに備え、動作制御部20は、センサ27による取得結果に応じてポンプ25による流体の送り込み動作を制御する。
これにより、膨縮部23が膨張しすぎてユーザの腕Mを締め上げすぎる事故等の発生を防止することができる。
このため、安全に腕Mの固定を行い、印刷を実行することができる。
【0086】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0087】
例えば、上記実施形態では、腕保持装置2が、腕Mを周りからほぼ均一に締め付ける膨縮部23を備えるものを例示したが、腕保持装置2の構成は実施形態に示したものに限定されない。
例えば腕Mの左右に個別に制御することのできる膨縮部をそれぞれ配置して、腕Mの左右で内圧を変え、印刷装置1における指Uや爪Tの配置状況等に応じて、腕Mの向きや左右の傾きを腕保持装置2によって調整することができるように構成してもよい。
また同様に、腕Mの前後(すなわち、手首側と腕Mの付け根側)に個別に制御することのできる膨縮部をそれぞれ配置して、腕Mの前後で内圧を変え、印刷装置1における指Uや爪Tの配置状況等に応じて、腕Mの上下の傾きを腕保持装置2によって調整することができるように構成してもよい。
【0088】
また、本実施形態では、印刷装置1が端末装置3と連携して爪Tに印刷を行う場合を例示し、印刷システム100も印刷装置1及び端末装置3と腕保持装置2とで構成されている場合を例示したが、印刷装置1はここに示すようなものに限定されず、単体で印刷動作が完結するように構成されたものであってもよい。
例えば、本実施形態では、端末装置3側に表示部34を備えるとともに、印刷開始指示の入力やネイルデザイン(デザイン)の選択等を端末装置3側の操作部33から行う場合を例としたが、印刷装置1に表示部を設け、各種指示の入力等についても印刷装置1側の操作部12において行う構成としてもよい。この場合、印刷装置1の表示部にタッチパネルを一体的に設け、タッチパネル式の操作部によって各種の入力操作を行えるようにしてもよい。
印刷装置1が単体で印刷動作が完結するように構成されている場合には、別途スマートフォン等の端末装置を用意しなくても、簡易にネイルプリントを楽しむことができる。
そしてこの場合には、印刷システム100も印刷装置1と腕保持装置2とで構成される。
【0089】
また、例えば腕保持装置2に、バイブレーション機能やライト点灯機能、音声出力機能等を有する各種の報知手段を設けておき、固定処理が完了したときや固定解除処理が完了したときなどに、上記報知手段による報知を行ってもよい。
この場合、固定処理が完了した場合と、固定解除処理が完了した場合とで、点灯させるライトの色や音声出力される内容(メッセージやブザー等)を変えてもよい。
このような報知が行われることで、ユーザが容易に状況を理解することができる。
すなわち、固定処理が完了したことが報知されると、ユーザは、これから印刷が開始されることを知ることができる。また、固定解除処理が完了したことが報知されると、ユーザは、印刷装置1から指を抜いたり、腕保持装置2から腕Mを抜いたりしてもいいことを知ることができる。
また、固定解除処理が完了した場合のみバイブレーションで報知してもよい。これにより、腕Mにバイブレーションが伝わったら、腕保持装置2から腕Mを抜いていいことを、ユーザが直感的に知ることができる。
【0090】
また印刷システム100の構成は、上記実施形態に示したものに限定されない。
例えば、指配置部14に配置された指Uの爪Tを検出する検出手段、検出手段の検出結果に基づいて指Uが指配置部14に適切に配置されているか否かを判断する配置判断手段、配置判断手段によって、指Uが指配置部14に適切に配置されていると判断されたときに、腕保持装置2を動作させ、腕保持装置2に保持された腕Mを固定させるための動作指示を、通信部15,35を介して送信させる制御手段(動作指示手段)として機能するのは、いずれも印刷装置1の制御部16であってもよい。この場合には、印刷装置1の記憶部17等に、制御部16を検出手段、配置判断手段、制御手段(動作指示手段)として機能させるプログラムが組み込まれる。
【0091】
また、例えば印刷装置1の制御部16が検出手段として機能し、端末装置3の制御部31が配置判断手段、制御手段(動作指示手段)として機能する、というように、各機能を印刷装置1の制御部16と端末装置3の制御部31とで分担してもよい。
各機能を印刷装置1の制御部16と端末装置3の制御部31とで分担した場合には、各制御部16、31にかかる負荷を軽減することができ、また記憶部17,32の容量も抑えることが期待できる。
【0092】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
印刷対象となる爪を有する指を配置する指配置部と、
前記指に対応した腕を保持する腕保持装置と通信する通信部と、
前記指が前記指配置部に適切に配置されているか否かを判断する配置判断手段と、
前記配置判断手段の判断結果に基づいて前記腕保持装置を制御するための動作指示を、前記通信部を介して前記腕保持装置に送信する制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
<請求項2>
前記制御手段は、前記配置判断手段によって前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断された場合に、前記腕保持装置に保持された前記腕を固定させるための動作指示を、前記通信部を介して前記腕保持装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
<請求項3>
前記指配置部に配置された指の爪を検出する検出手段を更に備え、
前記配置判断手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて前記指が前記指配置部に適切に配置されているか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。
<請求項4>
前記検出手段は、前記爪の輪郭形状を検出するものであり、
前記配置判断手段は、前記検出手段によって検出された前記輪郭形状が最大となったときに、前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
<請求項5>
前記指配置部に配置された前記指の爪に印刷を施す印刷部と、
前記腕を固定させるための動作が完了した旨の固定完了信号を受信したことを条件に、前記印刷部による印刷を開始させる印刷制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項6>
前記腕保持装置は、前記腕を固定させる動作を適切に行うことができない場合に、エラーを通知するエラー送信部を有し、
前記腕保持装置からのエラー通知を受けたときに、ユーザに報知する報知手段をさらに有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の印刷装置。
<請求項7>
印刷対象となる爪を有する指を配置する指配置部と、前記指配置部に配置された指の爪に印刷を施す印刷部と、を有する印刷装置と、
前記指に対応した腕を保持する腕保持装置と、
前記印刷装置と前記腕保持装置との間で直接的又は間接的に通信する通信部と、
前記指が前記指配置部に適切に配置されているか否かを判断する配置判断手段と、
前記配置判断手段の判断結果に基づいて前記腕保持装置を制御するための動作指示を、前記通信部を介して前記腕保持装置に送信する制御手段と、
を備え、
前記腕保持装置は、前記印刷装置側からの動作指示にしたがって動作し、前記腕を固定させることを特徴とする印刷システム。
<請求項8>
前記印刷装置及び前記腕保持装置との間で通信可能な端末装置をさらに備え、
前記制御手段は前記端末装置に設けられ、前記腕保持装置に対する前記印刷装置側からの動作指示は、前記端末装置から送信されることを特徴とする請求項7に記載の印刷システム。
<請求項9>
前記制御手段は、前記指が前記指配置部に適切に配置されている場合に、前記腕保持装置を動作させ、前記腕保持装置に保持された前記腕を固定させるための動作指示を、前記腕保持装置に送信させることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の印刷システム。
<請求項10>
前記腕保持装置は、
内圧を変化させることにより膨縮可能に構成され、膨張状態において前記腕を固定させる膨縮部と、
前記膨縮部に流体を送り込むポンプと、
開状態において前記膨縮部から前記流体を排出させるバルブと、
前記ポンプ及び前記バルブの動作を制御する動作制御部と、
を有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の印刷システム。
<請求項11>
前記腕保持装置は、前記膨縮部の内圧に関する圧力値を取得するセンサをさらに備え、
前記動作制御部は、前記センサによる取得結果に応じて前記ポンプによる流体の送り込み動作を制御することを特徴とする請求項10に記載の印刷システム。
<請求項12>
腕保持装置に保持された腕に対応する指の爪に印刷装置によって印刷を施す場合に、
前記指が指配置部に適切に配置されているか否かを判断する配置判断工程と、
前記配置判断工程において前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断されたときに前記腕保持装置に対して前記腕を固定させる動作指示を送信する動作指示送信工程と、
前記動作指示にしたがって前記腕を固定させる腕固定工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
<請求項13>
腕保持装置に保持された腕に対応する指の爪に印刷装置によって印刷を施す場合に、
前記指が指配置部に適切に配置されているか否かを判断する配置判断機能と、
前記配置判断機能によって前記指が前記指配置部に適切に配置されていると判断されたときに指配置部に配置された指に対応する腕を保持する腕保持装置に対して前記腕を固定させる動作指示を送信する動作指示送信機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0093】
1 印刷装置
10 制御装置
14 指配置部
15 通信部
16 制御部
2 腕保持装置
20 動作制御部
23 膨縮部
24 通信部
25 ポンプ
26 バルブ
27 センサ
3 端末装置
30 制御装置
31 制御部(検出手段、配置判断手段、動作指示手段)
34 表示部
35 通信部
M 腕
T 爪
U 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11