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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】配信装置、配信方法、配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20231121BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20231121BHJP
   G16Y 20/00 20200101ALI20231121BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G10L25/51
G16Y20/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021045193
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022144272
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】五味 秀仁
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 照彦
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156001(JP,A)
【文献】特開2019-036191(JP,A)
【文献】特開2015-166931(JP,A)
【文献】特開2019-36219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G10L 25/51
G16Y 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記音情報を記憶する記憶部と、
前記音情報の分類に対して事業者から広告情報を受け付ける受付部と、
前記取得部が取得した前記音情報を解析し、様々な音情報に対してイベントラベルを付与した学習データを学習した学習済みモデルを用いて、取得した音情報を分類する解析部と、
前記取得部が取得した前記音情報の分類に応じて配信する前記広告情報を決定する決定部と、
前記取得部が取得した音情報に付与された分類としてのイベントラベルごとに予め決定されたスマートスピーカー又は利用者端末に前記決定部が決定した前記広告情報を配信する配信部と、
を備える配信装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記取得部が取得した前記音情報を分類し、前記取得部が取得した前記音情報の分類ごとの発生頻度を算出し、
前記決定部は、前記解析部が算出した前記音情報の分類ごとの発生頻度に基づいて配信する前記広告情報を決定する、
請求項に記載の配信装置。
【請求項3】
前記取得部が取得した前記音情報が、普段よく聞く音か否かを前記解析部が算出した発生頻度に基づいて判定する判定部と、を備え、
前記決定部は、前記取得部が取得した音情報を、前記判定部が普段よく聞く音と判定した場合に、前記取得部が取得した前記音情報に関連する前記広告情報を配信することを決定し、
前記取得部が取得した前記音情報を前記判定部が普段よく聞く音ではないと判定した場合に、前記取得部が取得した前記音情報に関連しない前記広告情報を配信することを決定する、
請求項に記載の配信装置。
【請求項4】
前記解析部は、前記取得部が取得した前記音情報に、複数の音が含まれていた場合に、音の大きさ、又は周波数に応じて聞こえやすい音を決定し、
前記決定部は、前記解析部が決定した聞こえやすい音に付与された分類に応じて配信する前記広告情報を決定する、
請求項から請求項のいずれか1項に記載の配信装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記解析部が、前記取得部が取得した前記音情報を、事業者が入力した前記広告情報に対して親和性が高い分類に分類した場合に、親和性が高い前記広告情報を配信することを決定する、
請求項に記載の配信装置。
【請求項6】
前記受付部は、事業者からライバル企業の広告に関する情報を受け付け、
前記決定部は、前記解析部が、前記取得部が取得した音情報をライバル企業の広告に分類した場合に、前記ライバル企業の広告に関する情報を入力した前記事業者が入力した広告情報を配信することを決定する、
請求項に記載の配信装置。
【請求項7】
配信装置が実行する配信方法であって、
音情報を取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した前記音情報を記憶するステップと、
前記音情報の分類に対して事業者から広告情報を受け付けるステップと、
前記取得するステップにおいて取得した前記音情報を解析し、様々な音情報に対してイベントラベルを付与した学習データを学習した学習済みモデルを用いて、取得した音情報を分類するステップと、
取得した音情報に応じて配信する広告情報を決定するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した音情報に付与された分類としてのイベントラベルごとに予め決定されたスマートスピーカー又は利用者端末に前記決定するステップにおいて決定した前記広告情報を配信するステップと、
を含む配信方法。
【請求項8】
音情報を取得するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した前記音情報を記憶するステップと、
前記音情報の分類に対して事業者から広告情報を受け付けるステップと、
前記取得するステップにおいて取得した前記音情報を解析し、様々な音情報に対してイベントラベルを付与した学習データを学習した学習済みモデルを用いて、取得した音情報を分類するステップと、
取得した音情報に応じて配信する広告情報を決定するステップと、
前記取得するステップにおいて取得した音情報に付与された分類としてのイベントラベルごとに予め決定されたスマートスピーカー又は利用者端末に前記決定するステップにおいて決定した前記広告情報を配信するステップと、
をコンピュータに実行させる配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信装置、配信方法、配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の発達により多様な広告配信の手法が考案されている。例えば、特許文献1には、特定のコンテンツを視聴したユーザに対して当該コンテンツに関連する広告を、ユーザが所持する携帯端末に配信する為のマッチングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-13187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、ユーザが視聴したコンテンツに基づいて配信する広告を決定するため、コンテンツとは関係なく多様なユーザに広告配信を希望する事業者のニーズを十分に満たしているとはいえない。
【0005】
本発明は上記課題を鑑み、多様なユーザに広告配信を行うことを可能とする配信装置、配信方法、配信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る配信装置は、音情報を取得する取得部と、前記音情報の分類に対して事業者から広告情報を受け付ける受付部と、前記取得部が取得した前記音情報の分類に応じて配信する前記広告情報を決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、多様なユーザに広告配信を行うことを可能とする配信装置、配信方法、配信プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る配信処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る配信システムの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る配信装置の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るスマートスピーカーの構成例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る利用者端末の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る配信装置の音情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る配信装置の広告情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係るスマートスピーカーの音情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る配信処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、配信装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る配信装置、配信方法および配信プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る配信装置、配信方法および配信プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(実施形態)
〔1-1.配信処理の一例〕
まず、図1を用いて、実施形態に係る配信処理の一例について説明する。図1は、実施形態に係る配信処理の一例を示す図である。図1では、実施形態に係る配信処理が配信装置10により実行される例を示す。
【0011】
図1では、スマートスピーカー20が取得した音情報に基づいて、配信装置10が広告情報を配信する例を示している。以下、図1を用いて、実施形態に係る配信処理の一例を説明する。
【0012】
まず、実施形態に係る配信処理の概要について説明する。配信装置10は、スマートスピーカー20が取得したスマートスピーカー20の周囲の音の情報を示す音情報を取得する。配信装置10は、スマートスピーカー20が取得したスマートスピーカー20の周囲の音の情報に応じて、配信する広告情報を決定し、スマートスピーカー20又は利用者端末30に広告情報を配信する。なお、配信装置10、スマートスピーカー20、及び利用者端末30の構成例については後述する。
【0013】
次に、実施形態に係る配信処理の一例についてステップごとに説明する。事業者M1は、音情報の分類に対して広告情報を事業者端末40に入力する(ステップS1)。例えば、事業者M1は後述して説明する音情報の分類を意味するイベントラベルとして、イベントラベル「赤ちゃんの声」を選択し、広告情報として「オムツ」に関する広告を事業者端末40に入力する。なお、ここで事業者端末40はスマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型パーソナルコンピュータや、デスクトップ型パーソナルコンピュータや、携帯電話機や、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってもよい。図1に示す例では、事業者端末40がスマートフォンである場合が示されている。
【0014】
配信装置10は、事業者端末40から事業者M1が入力した広告情報を受け付ける(ステップS2)。例えば、配信装置10は、後述して説明する有線又は無線のネットワークNを介して、事業者端末40から事業者M1が入力した広告情報を取得する。
【0015】
スマートスピーカー20は、スマートスピーカー20の周囲の音の情報である音情報を取得する(ステップS3-1、ステップS3-2)。例えば、スマートスピーカー20は、スマートスピーカー20の周囲に赤ちゃんであるユーザU1がいた場合は、赤ちゃんの声の音情報A1を取得し、同時にスマートスピーカー20の周囲にテレビX1が配置されていた場合は、テレビの音声の音情報A2を取得する。
【0016】
配信装置10は、スマートスピーカー20から音情報を取得する(ステップS4)。例えば、配信装置10は、有線又は無線のネットワークNを介して、スマートスピーカー20からスマートスピーカー20が取得した音情報を取得する。
【0017】
配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報を解析する(ステップS5)。例えば、配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報に、複数の音情報が含まれていた場合は、複数の音情報を個別の音情報に分離する処理を実行する。
【0018】
配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報を分類する(ステップS6)。例えば、配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報を、種々の音情報に対してイベントラベルを付与したデータを学習した学習済みモデルに入力し、スマートスピーカー20から取得した音情報を分類する。
【0019】
配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定する(ステップS7)。例えば、配信装置10はスマートスピーカー20から取得した音情報が、イベントラベル「赤ちゃんの声」に分類された場合は、事業者M1がイベントラベル「赤ちゃんの声」の分類に対して入力した広告情報を配信することを決定する。
【0020】
配信装置10は、広告情報をスマートスピーカー20又はユーザU2の利用者端末30に送信する(ステップS8-1、ステップS8-2)。例えば、配信装置10はスマートスピーカー20に登録されている赤ちゃんであるユーザU1の親であるユーザU2の利用者端末30に、事業者M1が入力した「オムツ」に関する広告情報を配信する。
【0021】
スマートスピーカー20又は利用者端末30は、配信装置10から配信された広告情報を提供する(ステップS9-1、ステップS9-2)。例えば、利用者端末30は配信装置10から配信された広告情報を、利用者端末30の画面に表示することで、赤ちゃんの親であるユーザU2に事業者M1の「オムツ」に関する広告情報を提供する。
【0022】
このように、実施形態に係る配信装置10は、スマートスピーカー20から取得した音情報を解析して音情報を分類した上で、音情報の分類に応じて提供する広告情報を決定する。そして、配信装置10はスマートスピーカー20又は利用者端末30に、広告情報を配信する。スマートスピーカー20又は利用者端末30は、広告情報を表示または出力することで広告情報をユーザに提供する。これにより、配信装置10は多様なユーザに広告配信を行うことができる。
【0023】
なお、配信装置10がスマートスピーカー20から取得した音情報を解析したところ、同一のイベントラベルに複数回にわたって分類され、そのイベントラベルに対して事業者から入力された広告情報の配信により、利用者が広告情報で広告された商品の購入に至った場合は、配信装置10がスマートスピーカー20から取得した音情報を解析し、広告情報が配信され商品の購入に至ったイベントラベルに分類された時点で、利用者端末30に広告情報で広告された商品の注文受付画面を表示、もしくは商品の購入を実行してもよい。例えば、配信装置10がスマートスピーカー20から取得した音情報を解析したところ、イベントラベル「赤ちゃんの声」に複数回にわたって分類され、イベントラベル「赤ちゃんの声」に対して事業者M1が入力した「オムツ」に関する広告情報が複数回にわたって配信され、利用者が「オムツ」の購入に至ったとする。この場合、配信装置10はその購入の後にスマートスピーカー20から取得した音情報を解析し、イベントラベル「赤ちゃんの声」に分類された時点で、利用者端末30に「オムツ」の注文受付画面を表示させる。もしくは、配信装置10は自動的に「オムツ」の購入を実行する。
【0024】
〔1-2.発生頻度に基づく配信処理の一例〕
配信装置10は、音情報が普段よく聞く音か否かを発生頻度に基づいて判定し、音情報を普段よく聞く音と判定した場合に、音情報に関連する広告情報を配信することを決定し、音情報を普段よく聞く音ではないと判定した場合に、音情報に関連しない広告情報を配信することを決定する。
【0025】
例えば、配信装置10が取得した音情報が、イベントラベル「食材を炒める音」に分類され、その時点で配信装置10はイベントラベル「食材を炒める音」に分類された音情報を、例えば1日1回以上の発生頻度で取得していたとする。この場合、配信装置10はイベントラベル「食材を炒める音」に対して、関連性が有るとして入力された広告情報を配信することを決定する。また、例えば配信装置10がイベントラベル「食材を炒める音」に分類された音情報を、例えば1日1回未満の発生頻度で取得していたとする。この場合、配信装置10はイベントラベル「食材を炒める音」に対して、関連性が無いとして入力された広告情報を配信することを決定する。
【0026】
これにより、配信装置10は音情報の発生頻度に基づいて配信する広告情報を決定することができる。したがって、配信する広告情報の効果を上げることができる。
【0027】
〔1-3.聞こえやすさに基づく配信処理の一例〕
配信装置10は、取得した音情報に複数の音が含まれていた場合に、音の大きさ、又は周波数に応じて聞こえやすい音を決定し、聞こえやすい音に付与された分類に応じて配信する広告情報を決定する。
【0028】
例えば、配信装置10が取得した音情報に「赤ちゃんの声」と、「テレビの音声」の二つの音が含まれていたとする。この場合、配信装置10は取得した音情報を解析して、二つの音を分離し、音の大きさ、又は周波数に応じて聞こえやすい音を決定する。例えば、「赤ちゃんの声」の音の大きさが60dB、「テレビの音声」の音の大きさが50dBであったとする。この場合、配信装置10は「赤ちゃんの声」を聞こえやすい音として決定し、イベントラベル「赤ちゃんの声」に対して、事業者が入力した広告情報を配信することを決定する。
【0029】
これにより、配信装置10は取得した音情報に複数の音が含まれていた場合であっても、取得した音情報に基づいて配信する広告情報を決定することが可能となる。したがって、多様なユーザに広告情報を配信することが可能となる。
【0030】
〔1-4.親和性が高い広告に対する配信処理の一例〕
配信装置10は、取得した音情報を、事業者が入力した広告情報に対して親和性が高い分類に分類した場合に、親和性が高い広告情報を配信することを決定する。なお、配信装置10は、取得した音情報を解析したところ、事業者が入力した広告情報に対して親和性が認められなかった場合は、一般的な商品に関する広告情報を配信する。
【0031】
例えば、配信装置10が取得した音情報を解析したところ、「釣り道具の広告」に分類されたとする。この場合、配信装置10は、事業者が入力した広告情報の中から、「釣り道具の広告」と親和性が高い広告情報を配信することを決定する。例えば、「釣り道具の広告」に対して、親和性が高いと考えられる「キャンプ用品の広告」を配信することを決定する。また、例えば、配信装置10が取得した音情報を解析したところ、「ビールの広告」に分類されたとする。この場合、例えば、配信装置10は事業者が入力した広告情報の中から、親和性が高いと考えられる「フライドチキンの広告」を配信することを決定する。また、配信装置10が取得した音情報を解析したところ、事業者が入力した広告情報に対して親和性が認めらない分類に分類されたとする。この場合、配信装置10は、一般的な商品の広告として、例えば「ティッシュの広告」を配信することを決定する。
【0032】
これにより、配信装置10が取得した音情報が広告であった場合に、配信装置10はその広告に対して親和性が高い商品の広告を配信することができる。その為、事業者が入力した広告情報の宣伝効果を上げることができる。
【0033】
〔1-5.ライバル企業の広告に対する配信処理の一例〕
配信装置10は、事業者からライバル企業の広告に関する情報を受け付け、取得した音情報をライバル企業の広告に分類した場合に、ライバル企業の広告に関する情報を入力した事業者が入力した広告情報を配信することを決定する。
【0034】
例えば、事業者がイベントラベル「ライバル企業の広告」を選択して、ライバル企業の広告に関する情報としてライバル企業のテレビCMの動画ファイルを入力し、広告情報として広告情報「AD4」を入力していたとする。この場合、配信装置10はライバル企業のテレビCMの動画ファイルにイベントラベル「ライバル企業の広告」を付与したデータを学習モデルに入力し、学習済みモデルを生成する。配信装置10は、取得した音情報を生成した学習済みモデルに入力し取得した音情報を分類する。取得した音情報に対してイベントラベル「ライバル企業の広告」が出力されたら、イベントラベル「ライバル企業の広告」を選択して広告情報「AD4」を入力した事業者の広告情報「AD4」を配信することを決定する。
【0035】
これにより、事業者はユーザに自社の広告を積極的に提供することができる。
【0036】
〔2.配信システムの構成〕
次に、図2を用いて実施形態に係る配信システムの構成について説明する。配信システム1は、配信装置10と、スマートスピーカー20と、利用者端末30と、を含む。配信装置10と、スマートスピーカー20と、利用者端末30とは所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。なお、図2に示した配信システム1は、複数台の配信装置10や、複数台のスマートスピーカー20や、複数台の利用者端末30が含まれて構成されていてもよい。
【0037】
配信装置10は音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定し、スマートスピーカー20又は利用者端末30を介して広告情報を利用者に対して提供する為に用いられる。配信装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、WS(Work Station)、サーバの機能を備えるコンピュータなどの情報処理装置である。配信装置10は、スマートスピーカー20と利用者端末30とからネットワークNを介して送信されてきた情報に基づいて処理を行う。
【0038】
スマートスピーカー20は、例えば、室内等に置かれる据置式のスマートスピーカーである。なお、スマートスピーカーとは、内蔵されているマイクロフォンで音を認識し、情報の検索や連携家電の操作などを行う機能を備えるスピーカーである。ただし、スマートスピーカー20は、周囲の音情報を取得する機能を有していれば、必ずしもスマートスピーカーである必要はなく、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA等の情報処理装置であってもよい。
【0039】
利用者端末30は、利用者によって利用される情報処理装置である。利用者端末30は、実施形態における処理を実現可能であれば、どのような情報処理装置であってもよい。すなわち、利用者端末30は、スマートフォンや、タブレット型端末や、ノート型パーソナルコンピュータや、デスクトップ型パーソナルコンピュータや、携帯電話機や、PDA等の情報処理装置であってもよい。なお、図1に示す例においては、利用者端末30がスマートフォンである場合を示している。
【0040】
なお、図2においては、配信装置10とスマートスピーカー20とは、別体である場合を示しているが、配信装置10とスマートスピーカー20とが一体であってもよい。また、配信装置10とスマートスピーカー20とは、それぞれ同一とみなされる管理者によって管理されていてもよい。
【0041】
〔3.配信装置の構成〕
次に、図3を用いて、実施形態に係る配信装置10の構成について説明する。図3は、実施形態に係る配信装置10の構成例を示す図である。図3に示すように、配信装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。なお、配信装置10は、配信装置10の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0042】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、スマートスピーカー20及び利用者端末30との間で情報の送受信を行う。
【0043】
記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図3に示すように、記憶部12は、音情報記憶部121と、広告情報記憶部122と、有する。
【0044】
音情報記憶部121は、配信装置10が取得した音情報を記憶する。すなわち、配信装置10は、スマートスピーカー20から音情報を取得したら、取得した音情報を音情報記憶部121に記憶する。ここで、図6を用いて、音情報記憶部121に記憶される情報について説明する。図6は、実施形態に係る配信装置の音情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。図6に示すように、音情報記憶部121には、「取得元ID」、「音情報ID」、「取得時刻」、「音情報」、「イベントラベル」といった項目を有する情報が記憶される。
【0045】
「取得元ID」は、配信装置10が音情報を取得した取得元であるスマートスピーカー20を識別するための識別情報を示す。すなわち、配信装置10は「取得元ID」を用いて取得元のスマートスピーカー20を識別する。
【0046】
「音情報ID」は、配信装置10が取得した音情報を識別するための識別情報を示す。
【0047】
「取得時刻」は、スマートスピーカー20が周囲の音の情報を示す音情報を取得した時刻を示す。
【0048】
「音情報」は、配信装置10が取得した音情報を示す。例えば、音情報は音声ファイル形式で記憶されてよい。
【0049】
「イベントラベル」は、音情報に対する分類を示す。例えば、「人の声」、「水が流れる音」、「食材を炒める音」、「掃除機の排気音」などの音が発生するイベントごとに音情報を分類してもよい。なお、音情報の分類はこれに限定されるものではなく、その他の任意の分類方法によって音情報を分類してもよい。
【0050】
例えば、図6に示す例では、取得元ID「スマートスピーカー20A」、音情報ID「S1」、取得時刻「20XX年8月1日8時30分」、音情報「SD1」、イベントラベル「赤ちゃんの声」といった情報が紐付けされて記憶されている。これは、取得元ID「スマートスピーカー20A」が示すスマートスピーカー20Aから取得時刻「20XX年8月1日8時30分」が示す時刻に、音情報ID「S1」が付与された音情報「SD1」を取得し、音情報「SD1」がイベントラベル「赤ちゃんの声」に分類されたことを示している。
【0051】
なお、図6に示す例では音情報「SD1」といった概念的な表現を記載したが、実際には配信装置10が取得した音情報のデータが記憶されることになる。また、図6に示す情報以外にも、音情報に関連するその他の任意の情報が、音情報記憶部121に記憶されてもよい。
【0052】
広告情報記憶部122は、配信装置10が事業者端末40から受け付けた広告情報を記憶する。すなわち、配信装置10は事業者端末40から広告情報を受け付けたら、受け付けた広告情報を広告情報記憶部122に記憶する。ここで、図7を用いて広告情報記憶部122に記憶される情報について説明する。図7は、実施形態に係る配信装置の広告情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。図7に示すように、広告情報記憶部122には「広告主ID」、「イベントラベル」、「広告情報」、「関連性」、「ライバル企業の広告情報」、「入札価格」、「CTR」、「eCPM」といった項目を有する情報が記憶される。ここで、「イベントラベル」は配信装置10の音情報記憶部121に記憶される情報の一例に含まれる「イベントラベル」と同じであるから説明を省略する。
【0053】
「広告主ID」は、事業者、又は事業者による広告情報の入力等に利用される事業者端末40を識別するための識別情報を示す。
【0054】
「広告情報」は、事業者により入力された広告情報を示す。広告情報は音声による広告のデータであってよい。例えば、広告情報は、音声ファイル形式で入力されてもよい。
【0055】
「関連性」は、「イベントラベル」と「広告情報」との関連性を示す情報である。例えば、広告情報を入力する事業者が事業者端末40に広告情報を入力する際に、「イベントラベル」と「広告情報」との関連性を考慮して、関連性が有ると考える場合は、「有り」、関連性が無いと考える場合は、「無し」と入力する。また、配信装置10が、事業者が入力した広告情報を、種々の広告情報にイベントラベルを付与したデータを学習した学習済みモデルに入力して、出力された「イベントラベル」が、事業者が入力した広告情報の「イベントラベル」と関連性が有る場合に「有り」、関連性が無い場合に「無し」とする処理を実行する処理を実行してもよい。
【0056】
「ライバル企業の広告情報」は、事業者により入力されたライバル企業の広告情報を示す。事業者は、音情報の分類を示す「イベントラベル」の中から、イベントラベル「ライバル企業の広告」を選択した場合に、ライバル企業の広告情報を入力する。ライバル企業の広告情報は、例えば、テキスト形式で入力されてもよいし、動画ファイル形式や音声ファイル形式で入力されてもよい。
【0057】
「入札価格」は、事業者が広告情報を入力する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告情報がユーザに1回クリックされた際に事業者から広告配信事業者(例えば、配信装置10の管理者)に支払われる単価に該当する。
【0058】
「CTR」(Crick Through Rate)は、広告情報がクリックされた回数を広告情報の提供回数によって除算した値を示す。なお、スマートスピーカー20又は利用者端末30に配信されたことがない広告情報のCTRには、予め決められている固定値や、全ての広告情報におけるCTRの平均値等が記憶される。また、「CTR」には、CTRの予測モデル等から予測される予測CTRが記憶されてもよい。このような予測CTRは、例えば、広告情報の種別等によって予測される。
【0059】
「eCPM」(effective Cost Per Mille)は、広告情報の1000回提供当たりの期待収益額を示し、例えば、CTRに入札価格を乗じることにより算出することができる。なお、「eCPM」はスマートスピーカー20の周囲の状況を反映して計算されてもよい。すなわち、配信装置10は、後述して説明する取得部131が取得した音情報を後述して説明する解析部133が解析して付与された分類に基づいて、スマートスピーカー20の周囲に存在する人の数、及びその人の属性を推定し、推定された人の数、及びその人の属性に基づいて「eCPM」を算出してもよい。例えば、配信装置10は、取得部131が取得した音情報を、解析部133が解析して付与された分類が、イベントラベル「食材を炒める音」であった場合、少なくとも1人の人がスマートスピーカー20の周囲に存在し、その人は主婦の方である可能性が高いと推定する。この場合、配信装置10は、スマートスピーカー20の周囲に人が存在しないと推定される場合よりは「eCPM」が高い値に計算し、スマートスピーカー20の周囲に人が2人存在すると推定される場合よりは「eCPM」が低い値に計算する。また、配信装置10は、広告情報が例えば食品、日用品、化粧品などの主婦の方の購入頻度が高い商品に関する広告であった場合は、「eCPM」を高く計算する。
【0060】
例えば、図7に示す例では、広告主ID「C1」、イベントラベル「赤ちゃんの声」、広告情報「AD1」、関連性「有り」、ライバル企業の広告情報「―」、入札価格「100」、CTR「0.2」、eCPM「22」といった情報が紐付けされて記憶されている。これは、事業者ID「C1」が示す事業者から、イベントラベル「赤ちゃんの声」に示すイベントラベルに対して、関連性「有り」に示す関連性を指定して、広告情報「AD1」に示す広告情報が入力され、ライバル企業の広告情報は入力されていないことを示している。また、事業者ID「C1」が示す事業者は入札価格「110」に示す価格で広告情報を入札し、事業者ID「C1」が示す事業者が入力した広告情報「AD1」に対して、CTR「0.2」に示すCTRが予測されて、eCPM「22」に示すeCPMが算出されたことを示している。
【0061】
なお、図7に示す例では広告情報「AD1」といった概念的な表現を記載したが、実際には配信装置10が取得した広告情報のデータが記憶されることになる。また、図7に示す情報以外にも、広告情報に関連するその他の任意の情報が、広告情報記憶部122に記憶されてもよい。
【0062】
次に図3に戻って、制御部13について説明する。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、配信装置10の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、例えば、ASIC(Application Specific Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0063】
図3に示すように、制御部13は、取得部131と、受付部132と、解析部133と、判定部134と、決定部135と、配信部136と、を有する。
【0064】
取得部131は、スマートスピーカー20からスマートスピーカー20が取得した音情報を取得する。取得部131は音情報を取得したら、音情報を音情報記憶部121に記憶する。なお、配信システム1に複数のスマートスピーカー20が含まれる場合は、配信装置10は複数のスマートスピーカー20から音情報を取得する。
【0065】
受付部132は、事業者端末40から事業者が入力した広告情報を受け付ける。受付部132は、事業者端末40から事業者が入力した広告情報を受け付けたら、受け付けた広告情報を広告情報記憶部122に記憶する。
【0066】
解析部133は、取得部131が取得した音情報を解析する。解析部133は、様々な音情報に対してイベントラベルを付与した学習データを学習した学習済みモデルを用いて、取得した音情報を分類する。例えば、解析部133は、モデルとして非負値行列因子分解(NFL:nonnegative matrix factorization)、RNN(recurrent neural network)、CNN(Convolutional Neural Network)とRNNを結合したCNN-BiGRU(Convolutional bi-directional gated recurrent unit)などを用いることができる。また、モデルの学習には環境音を含む様々な音に対してイベントラベルを付与したデータを用いることができる。前述した通りイベントラベルとは、例えば、「人の声」、「水が流れる音」、「食材を炒める音」、「掃除機の排気音」などの音が発生する出来事を分類したラベルであってよい。
【0067】
解析部133は、前述したデータを学習した学習済みモデルに、音情報を入力することでイベントラベルと、それぞれのイベントの発生区間を出力する。解析部133は、音情報に含まれるイベントが検出されイベントラベルが出力されたら、イベントラベル、及び時刻情報を紐付けて音情報記憶部121に記憶する。
【0068】
また、解析部133は、取得部131が取得した音情報に複数の音が含まれていた場合に、音の大きさ、又は周波数に応じて聞こえやすい音を決定する。例えば、解析部133は、音情報に複数の音が含まれていた場合、複数のマイクロフォンに音声が入力される時間差から各音源のマイクロフォンに対する方向、及び距離を計算することによって、音源を特定し、音を分離する。また、解析部133は、例えば分離された音の大きさを比較して音の大きさが大きい方を聞こえやすい音と決定してよい。また、解析部133は、例えば分離された音の周波数を比較して、分離された音の周波数が2,000hzから4,000hzの間の値との距離が近い音を、聞こえやすい音と決定してよい。
【0069】
また、解析部133は、事業者が入力した広告情報を、音情報に対してイベントラベルを付与したデータを学習した学習済みモデルに入力して分類を付与する。すなわち、解析部133は、事業者が入力した広告情報に対しても、取得部131が取得した音情報に対する処理と同様の処理を実行する。これにより、事業者が入力した広告情報に対しても、取得部131が取得した音情報と同様に分類を付与することができる。
【0070】
また、解析部133は、取得部131が取得した音情報がライバル企業の広告に類似していた場合はイベントラベル「ライバル企業の広告」を出力する。解析部133は、事業者が事業者端末40に入力した「ライバル企業の広告情報」にイベントラベル「ライバル企業の広告」を付与したデータを学習データとして、モデルに学習させて学習済みモデルを生成する。解析部133は、取得部131が取得した音情報を生成された学習済みモデルに入力して、取得した音情報が入力されたライバル企業の広告情報に類似していた場合は、イベントラベル「ライバル企業の広告」が出力される。
【0071】
判定部134は、取得した音情報のイベントラベルごとの発生頻度を算出し、算出されたイベントラベルごとの発生頻度に基づいて、取得した音が普段よく聞く音か否かを判定する。例えば、判定部134は、イベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報が1日に1回以上の発生頻度で、音情報記憶部121に記憶されていた場合、イベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報は、普段よく聞く音と判定する。また、例えば、判定部134は、イベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報が1日に1回未満の発生頻度で、音情報記憶部121に記憶されていた場合、イベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報は、普段よく聞く音ではないと判定する。なお、普段よく聞く音か否かを判定する基準となる音情報の発生頻度は、イベントラベルごとに任意に設定してよい。
【0072】
決定部135は、取得部131が取得した音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定する。すなわち、例えば、解析部133が、取得部131が取得した音情報を解析し、取得した音情報がイベントラベル「食材を炒める音」に分類されたとする。また、事業者が音情報のイベントラベル「食材を炒める音」に対して、広告情報として「フライパン」に関する広告情報を入力し、配信装置10の受付部132が当該の広告情報を受け付けて広告情報記憶部122に記憶していたとする。この場合、決定部135は、「フライパン」に関する広告情報を配信することを決定する。なお、決定部135は、取得部131が取得した音情報の分類から推定される相性が良い商品の広告を配信することを決定してもよい。例えば、決定部135は、取得部131が取得した音情報が、イベントラベル「食材を炒める音」に分類された場合に、「食材を炒める音」から推定される料理に対して相性が良い料理を取り扱う「コンビニの広告」を配信することを決定する。
【0073】
また、決定部135は、取得部131が取得した音情報を、判定部134が普段よく聞く音と判定した場合に、取得部131が取得した音情報に関連する広告情報を配信することを決定し、取得部131が取得した音情報を判定部134が普段よく聞く音ではないと判定した場合に、取得部131が取得した音情報に関連しない広告情報を配信することを決定する。すなわち、例えば、解析部133が、取得部131が取得した音情報を解析し、取得した音情報がイベントラベル「食材を炒める音」に分類されたとする。また、その時点で既に音情報記憶部121には、イベントラベル「食材を炒める音」に分類された音情報が複数記憶されていたとする。そして、判定部134によってイベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報は、普段よく聞く音と判定されたとする。この場合、決定部135は、広告情報記憶部122に記憶された広告情報の中から、イベントラベル「食材を炒める音」に対して、入力された広告情報の内、音情報との関連性が有るとされた広告情報を配信することを決定する。なお、判定部134によって、イベントラベル「食材を炒める音」が付与された音情報が、普段よく聞く音ではないと判定された場合は、決定部135は、広告情報記憶部122に記憶された広告情報の中から、イベントラベル「食材を炒める音」に対して、入力された広告情報の内、音情報との関連性が無いとされた広告情報を配信することを決定する。
【0074】
また、決定部135は、解析部133が決定した聞こえやすい音に付与された分類に応じて配信する広告情報を決定する。例えば、取得部131が取得した音情報にイベントラベル「赤ちゃんの声」が付与された音と、イベントラベル「テレビの音声」が付与された音の二つの音が同じ時刻に記録されていたとする。そして、解析部133が二つの音を解析し、イベントラベル「赤ちゃんの音」が付与された音が、聞こえやすい音であると決定していたとする。この場合、決定部135は、イベントラベル「赤ちゃんの声」に対して、事業者が入力した広告情報を配信することを決定する。
【0075】
また、決定部135は、解析部133が、取得部131が取得した音情報を、事業者が入力した広告情報に対して親和性が高い分類に分類した場合に、親和性が高い広告情報を配信することを決定する。例えば、取得部131が取得した音情報を、解析部133が解析したところ、「釣り道具の広告」に分類されたとする。この場合、決定部135は、事業者が入力した広告情報の中から、「釣り道具の広告」と親和性が高い広告情報を配信することを決定する。例えば、「釣り道具の広告」に対して親和性が高いと考えられる「キャンプ用品の広告」を配信することを決定する。また、例えば、解析部133が、取得部131が取得した音情報を解析したところ、「ビールの広告」に分類されたとする。この場合、例えば、決定部135は事業者が入力した広告情報の中から、「ビールの広告」に対して親和性が高いと考えられる「フライドチキンの広告」を配信することを決定する。なお、広告情報同士の親和性の高さは、例えば、広告情報の分類の名称の分散表現を計算して、計算された広告情報の分類の名称の分散表現の類似度が高い場合に、広告情報同士の親和性が高いとしてよい。ここで、単語の分散表現への変換は、例えば、word2vecを用いることができる。また、分散表現の類似度の計算には、例えば、コサイン類似度を用いることができる。
【0076】
また、決定部135は、解析部133が、取得部131が取得した音情報をライバル企業の広告に分類した場合に、ライバル企業の広告に関する情報を入力した事業者が入力した広告情報を配信することを決定する。例えば、事業者M1が事業者端末40に、広告情報「AD4」と、ライバル企業の広告に関する情報として、ライバル企業の広告「ADX1」とを、イベントラベル「ライバル企業の広告」を指定して入力していたとする。この場合、解析部133は、ライバル企業の広告「ADX1」に、イベントラベル「ライバル企業の広告」を付与し、学習データとしてモデルに学習させて学習済みモデルを生成する。そして、解析部133が、取得部131が取得した音情報を学習済みモデルに入力して、イベントラベル「ライバル企業の広告」が出力されたとする。この場合、決定部135は、事業者M1が事業者端末40に入力した広告情報「AD4」を配信することを決定する。なお、解析部133が、取得部131が取得した音情報を学習済みモデルに入力すると、イベントラベル「ライバル企業の広告」以外のイベントラベルが出力された場合は、出力されたイベントラベルを指定して入力された広告情報を配信することを決定する。
【0077】
また、決定部135は、同一のイベントラベルに対して、複数の広告情報が入力されていた場合はeCPMの比較を行って、eCPMが最も高い広告情報を配信することを決定する。
【0078】
配信部136は、決定部135が配信することを決定した広告情報をスマートスピーカー20又は利用者端末30に配信する。例えば、決定部135が、事業者M1が事業者端末40に入力した広告情報「AD1」を配信することを決定した場合、配信部136はスマートスピーカー20、又は利用者端末30に広告情報を配信する。スマートスピーカー20と利用者端末30のどちらに広告情報を配信するかは、取得した音情報に付与されたイベントラベルごとに予め決定してよい。例えば、イベントラベル「食材を炒める音」やイベントラベル「掃除機をかける音」といったスマートスピーカー20の近くにユーザが存在する可能性が高いイベントラベルについてはスマートスピーカー20に広告情報を配信することとし、イベントラベル「電車の音」やイベントラベル「工事の音」といったスマートスピーカー20の近くに必ずしもユーザが存在するとは限らないイベントラベルについては、利用者端末30に広告情報を配信することとしてよい。なお、配信部136は、スマートスピーカー20と利用者端末30のいずれか一方だけではなく、スマートスピーカー20と利用者端末30の両方に広告情報を配信してもよい。
【0079】
〔4.スマートスピーカーの構成〕
次に、図4を用いて、実施形態に係るスマートスピーカー20の構成について説明する。図4は、実施形態に係るスマートスピーカー20の構成例を示す図である。図4に示すように、スマートスピーカー20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、外部情報取得部24と、を有する。なお、スマートスピーカー20は、スマートスピーカー20の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)や、音情報を出力する為の出力部(例えば、スピーカー等)を備えるか、もしくは、それらが有線又は無線にて接続可能に構成されていてよい。
【0080】
通信部21は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部21は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、配信装置10との間で各種の情報の送受信を行う。
【0081】
記憶部22は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図4に示すように、記憶部22は、音情報記憶部221を有する。
【0082】
音情報記憶部221は、スマートスピーカー20が取得したスマートスピーカー20の周囲で発生した音の情報を示す音情報を記憶する。ここで、図8を用いてスマートスピーカー20の音情報記憶部221に記憶される情報について説明する。図8は、実施形態に係るスマートスピーカーの音情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。図8に示すように、スマートスピーカー20の音情報記憶部221には、「音情報ID」、「取得時刻」、「音情報」といった項目を有する情報が記憶される。ここで、「音情報ID」、「取得時刻」、「音情報」という項目を有する情報は、配信装置10の音情報記憶部121に記憶される「音情報ID」、「取得時刻」、「音情報」と同じであるから説明を省略する。
【0083】
なお、スマートスピーカー20の音情報記憶部221には、スマートスピーカー20が取得した音情報を一時的に記憶しておくこととしてもよい。すなわち、配信装置10がスマートスピーカー20の音情報記憶部221に記憶された音情報を取得したら、スマートスピーカー20の音情報記憶部221に記憶された配信装置10が取得した音情報を消去してもよい。これにより、スマートスピーカー20の記憶部22に記憶しておくデータ容量を削減することが可能となり、スマートスピーカー20が備える記憶部22の記憶容量を節約することができる。
【0084】
制御部23は、例えば、CPUやMPU等によって、スマートスピーカー20の記憶部22に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部23は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0085】
図4に示すように、制御部23は、取得部231と、提供部232と、を有する。これらは以下に説明する情報処理の作用を実現または実行する。なお、制御部23の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0086】
取得部231は、後述する音情報取得部241が取得したスマートスピーカー20の周囲の音の情報を取得し、記憶部22の音情報記憶部221に取得した音情報を記憶する。
【0087】
提供部232は、配信装置10からスマートスピーカー20に配信された広告情報を、ユーザに提供する。例えば、提供部232は、事業者端末40に入力された広告情報が音声ファイル形式のデータである場合は、ストリーミング方式で音声ファイルを配信装置10からダウンロードしながら音声ファイルを再生することで、ユーザに広告情報を提供する。
【0088】
外部情報取得部24は、各種のセンサーを備えて、スマートスピーカー20の外部から情報を取得する。図4に示すように、外部情報取得部24は、音情報取得部241と、時刻情報取得部242と、を備える。
【0089】
音情報取得部241は、スマートスピーカー20の周囲の音の音情報を取得する。音情報取得部241は、例えば、複数のマイクロフォンによって実現されてよい。マイクロフォンは、空気振動である音をダイヤフラム等で受け止め、電気信号に変換する音響機器である。
【0090】
時刻情報取得部242は、音情報取得部241が音情報を取得した時刻を示す時刻情報を取得する。時刻情報取得部242は、例えば、標準時刻電波受信器を備えて、標準時刻電波送信所から送信される標準時刻電波を受信することで標準時刻を取得してもよい。
【0091】
〔5.利用者端末の構成〕
次に、図5を用いて、実施形態に係る利用者端末の構成について説明する。図5は、実施形態に係る利用者端末の構成例を示す図である。図5に示すように、利用者端末30は、通信部310と、入力部320と、出力部330と、制御部340と、を有する。
【0092】
通信部310は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部310は、所定のネットワークNと有線又は無線で接続され、所定のネットワークNを介して、配信装置10との間で情報の送受信を行う。
【0093】
入力部320は、ユーザからの各種操作を受け付ける。例えば、入力部320は、タッチパネル機能により表示面を介してユーザからの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部320は、利用者端末30に設けられたボタンや、利用者端末30に接続されたキーボードやマウスを介して、ユーザの各種操作を受け付けてもよい。
【0094】
出力部330は、配信装置10から配信された広告情報を出力する。出力部330は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される画像情報を出力する表示画面や、例えばスピーカー等の音情報を出力する為の音響装置であり、各種情報を出力するための出力装置である。
【0095】
制御部340は、CPUやMPU等によって、利用者端末30内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。例えば、この各種プログラムには、利用者端末30にインストールされたアプリケーションのプログラムが含まれる。例えば、この各種プログラムには配信装置10から送信された情報を表示するアプリケーションのプログラムが含まれる。また、制御部340は例えばASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0096】
図5に示すように、制御部340は提供部341を有する。提供部341は配信装置10から配信された広告情報をユーザに提供する。例えば、提供部341は事業者端末40に入力された広告情報が音声ファイル形式のデータである場合は、ストリーミング方式で音声ファイルをダウンロードしながら音声ファイルを再生し、出力部330から出力することで、ユーザに広告情報を提供する。
【0097】
〔6.配信処理のフロー〕
次に、図9を用いて、実施形態に係る配信装置による配信処理の手順について説明する。図9は、実施形態に係る配信処理の一例を示すフローチャートである。例えば、配信装置10は、事業者から音情報の分類に対して広告情報を受け付ける(ステップS101)。そして、配信装置10は、音情報を取得する(ステップS102)。そして、配信装置10は、取得した音情報を解析して取得した音情報を分類する(ステップS103)。そして、配信装置10は、音情報の分類に応じて広告情報を配信する(ステップS104)。
【0098】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る配信装置10は、例えば図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図10は、配信装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0099】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0100】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0101】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0102】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0103】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0104】
例えば、コンピュータ1000が配信装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部13の機能を実現する。
【0105】
〔8.効果〕
本開示に係る配信装置10は、音情報を取得する取得部131と、音情報の分類に対して事業者から広告情報を受け付ける受付部132と、取得部131が取得した音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定する決定部135と、を備える。
【0106】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定することができることから、多様なユーザに広告情報を配信することができる。
【0107】
また、本開示に係る配信装置10は、取得部131が取得した音情報を記憶する記憶部12と、取得部131が取得した音情報を解析する解析部133と、を備える。
【0108】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報を記憶部12に記憶し、取得した音情報を解析することができる。したがって、解析結果に基づいて多様なユーザに広告情報を配信することができる。
【0109】
また、本開示に係る配信装置10の解析部133は、取得部131が取得した音情報を分類し、取得部131が取得した音情報の分類ごとの発生頻度を算出し、決定部135は、解析部133が算出した音情報の分類ごとの発生頻度に基づいて配信する広告情報を決定する。
【0110】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報を分類し、音情報の分類ごとの発生頻度に基づいて、配信する広告情報を決定することができる。したがって、音情報の発生頻度に基づいて多様なユーザに広告情報を配信するできる。
【0111】
また、本開示に係る配信装置10は、取得部131が取得した音情報が、普段よく聞く音か否かを解析部133が算出した発生頻度に基づいて判定する判定部134と、を備え、決定部135は、取得部131が取得した音情報を、判定部134が普段よく聞く音と判定した場合に、取得部131が取得した音情報に関連する広告情報を配信することを決定し、取得部131が取得した音情報を判定部134が普段よく聞く音ではないと判定した場合に、取得部131が取得した音情報に関連しない広告情報を配信することを決定する。
【0112】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報が、音情報の分類ごとの発生頻度に基づいて普段よく聞く音と判定された場合に、音情報に関連する広告情報を配信することを決定し、普段よく聞く音ではないと判定された場合に、音情報に関連しない広告情報を配信することを決定することから、広告情報の配信による効果を上げることができる。
【0113】
また、本開示に係る配信装置10の解析部133は、取得部131が取得した音情報に、複数の音が含まれていた場合に、音の大きさ、又は周波数に応じて聞こえやすい音を決定し、決定部135は、解析部133が決定した聞こえやすい音に付与された分類に応じて配信する広告情報を決定する。
【0114】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報に複数の音が含まれていた場合であっても、聞こえやすい音に対して付与された音情報の分類に応じて配信する広告情報を決定することができる。したがって、多様なユーザに広告情報を配信することができる。
【0115】
また、本開示に係る配信装置10の受付部132は、事業者からライバル企業の広告に関する情報を受け付け、決定部135は、解析部133が、取得部131が取得した音情報をライバル企業の広告に分類した場合に、ライバル企業の広告に関する情報を入力した事業者が入力した広告情報を配信することを決定する。
【0116】
この構成によれば、配信装置10が取得した音情報がライバル企業の広告に分類された場合に、ライバル企業の広告に関する情報を入力した事業者が入力した広告情報を配信することができる。したがって、事業者は自社の広告を積極的にユーザに提供することができる。
【0117】
また、本開示に係る配信方法は、配信装置10が実行する配信方法であって、音情報を取得するステップと、取得した音情報に応じて配信する広告情報を決定するステップと、を含む。
【0118】
この構成によれば、多様なユーザに広告情報を配信することができる。
【0119】
本開示に係る配信プログラムは、音情報を取得するステップと、取得した音情報に応じて配信する広告情報を決定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0120】
この構成によれば、多様なユーザに広告情報を配信することができる。
【0121】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0122】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部131は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0123】
10 配信装置
11 通信部
12 記憶部
121 音情報記憶部
122 広告情報記憶部
13 制御部
131 取得部
132 受付部
133 解析部
134 判定部
135 決定部
136 配信部
20 スマートスピーカー
30 利用者端末
40 事業者端末
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10