(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
B62D1/06
(21)【出願番号】P 2021058994
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-055149(JP,A)
【文献】特表2010-537885(JP,A)
【文献】特表2020-508913(JP,A)
【文献】米国特許第06609768(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵時に把持する把持部を有したハンドル本体と、該把持部において運転者から視認可能な位置に配設される表示装置と、を備えるハンドルであって、
前記表示装置が、前記把持部に設けられる被取付部位に取り付けられる構成とされるとともに、前記ハンドル本体側から延びるハーネスを結線可能に、構成され、
前記ハーネスが、前記把持部の表面側を被覆する外皮層に表面側を覆われた部位から露出される先端側に、表示装置側コネクタと接続されるハーネス側コネクタを、有する構成とされ、
前記被取付部位側に、前記ハーネスにおいて、前記外皮層から露出される露出部位を、元部側から前記ハーネス側コネクタを配設させている先端側にかけて保持可能な保持部が、形成され
、
前記表示装置側コネクタが、前記表示装置における前記保持部側の端部側に、配設され、
前記保持部が、前記表示装置側となる上方を開口させるように、凹ませて形成されるとともに、下面側に、下方に凹むような凹部を、有していることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
前記保持部が、前記ハーネスにおける前記露出部位の、前記把持部の内周側方向と外周側方向とへの移動を規制可能に、
内外方向で対向するように配置される2つの規制面を、備える構成
とされていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記凹部が、前記規制面間の領域に配設されるとともに、前記表示装置側の端縁を、上方から見た状態で、略円弧状に湾曲させるように、構成されていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記保持部が、前記露出側部位における元部側を保持させる元部側部位と、前記露出側部位における先端側を挿通させる先端側部位と、を備える構成とされ、
前記元部側部位が、上方側から見た状態で、前記表示装置側コネクタに対して、内側にずれた位置に形成されるとともに、2つの前記規制面を配設させて構成され、
前記先端側部位が、前記元部側部位から拡開するように構成されて、上方側から見た状態で、前記規制面に対して傾斜するように配置されて前記露出側部位における先端側をガイド可能なガイド面を、有していることを特徴とする請求項2または3に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵時に把持する把持部を有したハンドル本体と、該把持部において運転者から視認可能な位置に配設される表示装置と、を備えるハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、把持部に表示装置を配設させたハンドルとしては、ハンドル本体から延びるハーネスを、表示装置に設けられるコネクタに結線させて、表示装置を、車体側と電気的に接続させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のハンドルでは、ハンドル本体から延びるハーネスは、把持部の表面側を被覆する外皮層に表面側を覆われた部位から露出される先端側を、表示装置側に結線されることから、結線作業時の作業性を良好とするためには、ハーネスにおいて、外皮層から露出している露出部位の長さにある程度余裕をもたせる必要がある。しかしながら、このハーネスの露出部位をある程度長く設定する場合、コネクタへ結線させた後には、この長く設定した分、余剰が生じることとなることから、コネクタへ結線させた後の表示装置のハンドル本体への取付時に、断線を招くように、表示装置とハンドル本体との間にハーネスを噛みこんでしまう虞れを生じ、ハーネスの露出部位の取扱作業性を良好にする点に、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、表示装置に結線されるハーネスの取扱作業性が良好なハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドルは、操舵時に把持する把持部を有したハンドル本体と、把持部において運転者から視認可能な位置に配設される表示装置と、を備えるハンドルであって、
表示装置が、把持部に設けられる被取付部位に取り付けられる構成とされるとともに、ハンドル本体側から延びるハーネスを結線可能に、構成され、
ハーネスが、把持部の表面側を被覆する外皮層に表面側を覆われた部位から露出される先端側に、表示装置側コネクタと接続されるハーネス側コネクタを、有する構成とされ、
表示装置側若しくは被取付部位側に、ハーネスにおいて、外皮層から露出される露出部位を、元部側からハーネス側コネクタを配設させている先端側にかけて保持可能な保持部が、形成されていことを特徴とする。
【0007】
本発明のステアリングハンドルでは、ハーネスを結線させる表示装置側、若しくは、表示装置を取り付けるハンドル本体における被取付部位側に、ハーネスにおいて外皮層から露出されている露出部位を保持可能な保持部が、形成される構成であることから、ハーネスにおける露出部位の長さ寸法を、この保持部によって保持可能な分だけ、大きく設定することができる。そのため、被取付部位に取付前の状態の表示装置に配置される表示装置側コネクタに、ハーネスの先端側に設けられるハーネス側コネクタを接続させる接続作業を、容易に行うことができる。そして、表示装置側に先端側を結線させたハーネスは、露出部位を、元部側からハーネス側コネクタを配設させている先端側にかけて、保持部に保持可能に構成されていることから、保持部に保持させれば、表示装置を被取付部位に取り付ける際に、表示装置とハンドル本体との間に進入するような露出部位の移動を抑制できて、露出部位(ハーネス)の噛みこみが抑制されることとなり、ハーネスの露出部位が取付作業を阻害することなく、表示装置を、容易に被取付部位に取り付けることができる。
【0008】
したがって、本発明のハンドルでは、表示装置に結線されるハーネスの取扱作業性が良好である。
【0009】
また、本発明のハンドルにおいて、保持部を、ハーネスにおける露出部位の、把持部の内周側方向と外周側方向とへの移動を規制可能に、構成すれば、ハーネスの露出部位を、上方から嵌め込むようにして、保持部に保持させることが可能となり、ハーネスの露出部位の保持部への組付が容易となり、また、保持部により、ハーネスの露出部位が、把持部からはみ出すことも、的確に抑制できて、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの平面図である。
【
図2】実施形態のステアリングホイールにおいて、リング部におけるライトバー側部の右端側(ハーネス配設側)の部位を示す部分拡大平面図である。
【
図3】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図2のIII-III部位に対応する図である。
【
図4】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図2のIV-IV部位に対応する図である。
【
図5】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図2のV-V部位に対応する図である。
【
図6】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、保持部の部位付近を示すリング部周方向に沿った縦断面図である。
【
図7】実施形態のステアリングホイールにおける被覆層の部分拡大平面図である。
【
図8】実施形態のステアリングホイールにおいて、被覆層にライトバーユニットのユニット本体を載置させ、ハーネスを接続させた状態を示す概略斜視図である。
【
図9】実施形態のステアリングホイールにおいて、カバー部に形成される嵌合突起部を、被覆層に形成される嵌合凹部に嵌合させる状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、ハンドルとして、円環状のリング部2(把持部)を備えたステアリングホイール1を例に採り、説明をする。ステアリングホイール1は、
図1に示すように、回転操舵時に把持する把持部としての円環状のリング部2と、リング部2の略中央に配置されて図示しない回転軸に連結されるボス部7と、リング部2とボス部7とを連結するスポーク部6と、を有して構成され、構成部品としては、ボス部7の上部のエアバッグ装置10と、リング部2に配設される表示装置としてのライトバーユニット55と、それ以外のハンドル本体としてのステアリングホイール本体15と、を具備して構成されている。リング部2は、ライトバーユニット55を配設させているライトバー側部3と、それ以外の一般部4と、から構成されている。ライトバー側部3は、リング部2におけるスポーク部6L,6R間の前側の領域から、構成されている。
【0012】
なお、本明細書では、前後,上下,左右の方向を、特に断らない限り、車両に搭載させた状態のステアリングホイール1の直進操舵状態を基準として、リング部2の図示しない回転中心軸に沿った方向を上下方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の前後方向に略沿う方向を前後方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の左右方向に略沿う方向を左右方向としている。
【0013】
ボス部7の上部に配置されるエアバッグ装置10は、折り畳まれて収納される図示しないエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、折り畳まれたエアバッグの上面側を覆うパッド11と、を備えている。パッド11は、
図1に示すように、ボス部7の上面側を全面にわたって覆うように、配置されている。
【0014】
ステアリングホイール本体15は、
図1,2,4,5に示すように、リング部2,ボス部7,スポーク部6を相互に連結するように配置される芯金16と、芯金16におけるリング部2とスポーク部6におけるリング部2側の部位との周囲を覆う被覆層30と、被覆層30の外周面側を覆う外皮層50と、ボス部7の下面側を覆う図示しないロアカバーと、車体側に設けられる図示しない作動制御回路とライトバーユニット55とを電気的に接続させるハーネス25と、を備えている。
【0015】
芯金16は、アルミニウム合金等からなる金属製とされている。芯金16は、
図1に示すように、ボス部7の部位に配置されるボス部芯金16aと、スポーク部6の部位に配置されるスポーク部芯金16bと、リング部2の部位に配置されるリング部芯金17と、を備えている。
【0016】
リング部芯金17は、実施形態の場合、表示装置としてのライトバーユニット55の配置領域、すなわち、リング部2におけるスポーク部6L,6R間のライトバー側部3の部位に配設されるライトバー配設部19と、リング部2の一般部4の部位に配設される一般部18と、から構成されている。詳細には、一般部18は、リング部2において、ライトバー側部3を除いた一般部4の領域であって、実施形態の場合、左右のスポーク部6L,6Rのやや前方まで延びる領域に、配設されている。一般部18は、断面略逆U字形状に湾曲して構成されている(
図5参照)。ライトバーユニット55の配置領域に配設されるライトバー配設部19は、断面形状を、上下前後の幅寸法を一般部18よりも小さく設定されるとともに、上下方向側を幅広とした略長方形状として、構成されている。詳細には、ライトバー配設部19は、リング部2における上部側に配置されるライトバーユニット55との干渉を抑制されるように、リング部2の下半分程度の領域に、配設されている(
図3,4参照)。
【0017】
ライトバーユニット55を図示しない作動制御回路に電気的に接続させるハーネス25は、詳細な図示を省略するが、ボス部7の領域を経て、右側のスポーク部6Rから、リング部2における右前側の領域にかけて、ステアリングホイール1の下面側を通るように配設されるもので、実施形態の場合、可撓性を有した線状体から構成されて3本並設されるハーネス本体26と、先端側に設けられて後述するライトバー側コネクタ64(表示装置側コネクタ)と接続されるハーネス側コネクタ27と、を備える構成とされている(
図2,4,6,8参照)。このハーネス25は、ライトバーユニット55の取付前の状態では、ハーネス側コネクタ27と、ハーネス本体26におけるハーネス側コネクタ27近傍の部位と、を、リング部2における一般部4の端末4aから露出させ、一般部4の領域内に配置される残りの部位は、後述する境界側部位35の凹溝36から一般部側部位31の収納凹溝33内に収納されて、リング部2の表面側を被覆する後述する外皮層50に、表面側を覆われている(
図5参照)。
【0018】
被覆層30は、クッション性を有した軟質合成樹脂から形成されるもので、実施形態の場合、発泡ポリウレタン等の軟質発泡材から形成されている。この被覆層30は、リング部2の部位においては、
図3~5に示すように、リング部芯金17(一般部18,ライトバー配設部19)の外周側を覆うように構成されるもので、一般部18の外周側を覆う一般部側部位31と、ライトバー配設部19の外周側を覆うライトバー側部位38と、一般部側部位31とライトバー側部位38との境界を構成する境界側部位35と、を備えている。被覆層30において、一般部18の外周側を覆う一般部側部位31は、断面形状を、上下方向側を幅広とした略楕円形状とされている。また、一般部側部位31において、右側のスポーク部6Rと、境界側部位35と、の間の領域となる右前側部位32の下端32a側には、ハーネス25におけるハーネス本体26を挿通させるための収納凹溝33が、下面側を上方に向かって凹ませるようにして、リング部2の周方向に沿って連続的に形成されている(
図5,7参照)。境界側部位35には、後述する外皮層50の端末(図示省略)を嵌め込むための凹溝36が、リング部2の断面周方向に沿った全域にわたって連続的に形成されており(
図7,8参照)、この凹溝36は、一般部側部位31に形成される収納凹溝33から連なるように、形成されている。そして、ハーネス本体26は、収納凹溝33と、凹溝36における内下側の領域と、を挿通される構成である(
図5,8参照)。
【0019】
ライトバー配設部19の外周側を覆うライトバー側部位38は、ライトバーユニット55を取り付けるための被取付部位を構成している。ライトバー側部位38は、ライトバーユニット55を収納可能に、上方を開口させるように凹ませて形成されるもので、
図3に示すように、底面38aを、リング部2におけるリング面2aと略平行とするように、構成されて、この底面38aに、ライトバーユニット55における後述するケース59を載置させる構成とされている。このライトバー側部位38は、底面38aから上方に立ち上がるように形成されて、ライトバーユニット55におけるケース59の側方(内側と外側)に配置される内側面38b及び外側面38cを備えている(
図3,7参照)。ライトバー側部位38における長手方向側(リング部2の周方向側)の両端側には、
図7,8に示すように、ライトバーユニット55における後述するカバー部75を取り付けるための取付部40が、形成されている。さらに、ハーネス25の配設側となるライトバー側部位38の右端側には、ハーネス25における後述する露出部位28を保持可能な保持部45が、取付部40に隣接されている。
【0020】
取付部40は、ライトバー側部位38の長手方向の両端側において、それぞれ、外側(前側)となる位置に配設されるもので、ライトバー側部位38における底面38aから部分的に隆起するようにして、上面40aをカバー部75における後述する上壁部76の裏面76a側と当接可能に、構成されている。なお、実施形態では、ライトバー側部位38における右端側(ハーネス25配設側)の取付部40を例に採り、詳細に説明する。左端側の取付部40は、詳細な図示を省略するが、保持部を隣接させていない以外は、右端側の取付部40と同様の構成である。
【0021】
取付部40は、ライトバー側部位38における外側面38cから連なるように形成されるとともに、上面40aを、カバー部75における上壁部76の裏面76aに略沿って湾曲させて、上壁部76と当接可能に、構成されている(
図4,8参照)。この取付部40には、カバー部75の上壁部76から下方に突出するように形成される嵌合突起部80を嵌合させるための嵌合凹部42が、形成されている。具体的には、嵌合凹部42は、取付部40における右端側(スポーク部6R側、すなわち、カバー部75の端末側)となる端末側部位41において、取付部40の上面40aから下方に凹ませるように形成されるもので、嵌合突起部80と対応して、上方から見た開口形状を、長手方向をリング部2の軸直交方向である内外方向(前後方向)に略沿わせた略長方形状とされている(
図7,8参照)。嵌合凹部42は、上方から嵌合突起部80を挿入可能に、上端側を開口させて構成されるもので、
図6に示すように、リング部2の内方側から見た状態の外形形状を、上下の全域にわたって幅寸法を略一定として構成され、リング部断面に沿った方向側での断面形状を、上端側を狭幅とし、下端側を広幅として、構成されている(
図4,9参照)。この嵌合凹部42における上端側の狭幅部42aの開口幅寸法は、嵌合突起部80における後述する首部82を挿通可能な寸法に設定され、下端側の広幅部42bの幅寸法は、嵌合突起部80における後述する頭部83を挿通可能な寸法に、設定されている。そして、狭幅部42aと広幅部42bとの境界部位は、
図9のAに示すように、広幅部42bにかけてテーパ状に拡開されるように、構成されている。また、取付部40は、嵌合凹部42を配設させている端末側部位41の左側(ライトバーユニット55側)の領域である中央側部位43を、上下方向側から見た状態において、外形形状を、左端側にかけて収束させるような、略三角形状とされている。詳細には、中央側部位43の端末は、ライトバー側部位38の外側面38cに収束されている。
【0022】
保持部45は、ハーネス25において、ハーネス側コネクタ27をライトバー側コネクタ64側に接続させた状態で外皮層50から露出している露出部位28を保持するためのもので、ライトバー側部位38の右端側において、取付部40の内側の領域から、構成されている。詳細には、実施形態の場合、保持部45は、
図4,6~8に示すように、ライトバー側部位38の底面38a及び内側面38bから連なるように配置される底面45a及び内側面45bと、取付部40と、によって囲まれる領域から、構成されて、ハーネス本体26を挿通可能に、境界側部位35に形成される凹溝36と連通されている。
すなわち、保持部45は、ライトバー側部位38と同様に、上方を開口させるように凹ませて形成されている。保持部45は、ハーネス25の露出部位28における元部28a側を保持させる元部側部位46と、元部側部位46から拡開するように構成されて露出部位28における先端28b側(ハーネス側コネクタ27側)を挿通させる先端側部位47と、を有する構成とされ、平面視において、元部側部位46を、リング部2における断面中心Cよりも内側となる位置(ライトバー側部3の内縁3a側)に配置させるように、構成されている(
図2,4,7参照)。元部側部位46は、取付部40における端末側部位41の側面41aと、底面45aと、内側面45bと、に囲まれた領域から構成されており、内外方向で対向するように配置される端末側部位41の側面41aと内側面45bとを、内部に収納させたハーネス本体26における露出部位28の元部28a側の内外方向側(リング部2の内周側方向と外周側方向と)への移動を規制する規制面46a,46bとしている。元部側部位46は、規制面46a,46b間の離隔距離を、ハーネス本体26(露出部位28)を円滑に挿通可能に、ハーネス本体26の幅寸法より若干大きく設定されている(
図4参照)。先端側部位47は、取付部40における中央側部位43の側面43aと、底面45aと、内側面45bと、に囲まれた領域から構成されている。先端側部位47を構成している中央側部位43の側面43aは、端末側部位41から離隔した側の端縁43bを、ライトバー側部位38の外側面38cに連ならせるように、平面視において傾斜して配設される構成であり、この端縁43bは、ライトバーユニット55におけるケース59の右端近傍(右壁部61a近傍)となる位置に、配設されている(
図7,8参照)。すなわち、この中央側部位43の側面43aは、ハーネス側コネクタ27を、ケース59内に配置されるライトバー側コネクタ64に接続させた状態で、露出部位28を保持部45内に保持させる際に、ケース59の右壁部61aから突出するように配置される露出部位28(ハーネス本体26)をガイドするガイド面47aを構成するもので、露出部位28の先端28b側を、ガイド面47a(側面43a)に沿って配置させることにより、露出部位28における元部28a側の部位を、安定して、元部側部位46の規制面46a,46b間に保持させることができる。
【0023】
さらに、保持部45の底面45aには、露出部位28規制用の凹部48が、形成されている。凹部48は、平面視の状態において、ライトバーユニット55側の端縁48aを、略円弧状に湾曲させるようにして、底面45aを略全域にわたって下方に凹ませるように、構成されるもので(
図6,7参照)、この凹部48を配設させることにより、保持部45の実質的な深さ(上下の幅寸法)を大きくすることができる。また、凹部48におけるライトバーユニット55側の端縁48a(
図6参照)により、露出部位28(ハーネス本体26)のライトバーユニット55側への移動も、規制することができる。保持部45は、ライトバーユニット55の後述するユニット本体57の基板63側に設けられているライトバー側コネクタ64に、先端側のハーネス側コネクタ27を接続させた状態で、ユニット本体57とリング部2における一般部4の端末4aとの間に露出しているハーネス25の露出部位28を、保持可能に構成されるもので、露出部位28の元部28aを保持させる元部側部位46は、平面視において、ライトバーユニット55におけるライトバー側コネクタ64に対して、内側(ステアリングホイール1の回転中心側)にずれた位置に、配設される構成である(
図7参照)。そして、露出部位28は、先端側部位47のガイド面47aにガイドされるように湾曲して、元部28a側の内外を元部側部位46の規制面46a,46bに規制されつつ、保持部45内に収納される構成である(
図2,8参照)。そのため、ハーネス本体26を平面視において直線状に配設させる場合と比較して、この湾曲分、露出部位28を長くすることができる。また、保持部45は、底面45aに凹部48を配設させていることから、露出部位28の長さにさらに余剰が生じても、露出部位28を上下方向側で湾曲させつつ保持部45内に保持させることもできる。
【0024】
被覆層30の外周面側を覆う外皮層50は、一般部側部位31の外周面を全面にわたって覆う構成とされ、ライトバー側部位38においては、ライトバーユニット55における後述するカバー部75の配置領域を除いた全面にわたって覆うように、構成されている(
図3,4参照)。外皮層50は、実施形態の場合、合成樹脂製のシート体や、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革から、形成されている。
【0025】
表示装置としてのライトバーユニット55は、リング部2に略沿って湾曲して配設される略長尺状として構成されるもので、実施形態の場合、リング部2において、左右のスポーク部6L,6R間となるライトバー側部3の上面側に、露出されるように配設されている。詳細には、ライトバーユニット55は、上方側から見た外形形状を、長手方向をリング部2の周方向に略沿わせるように湾曲させた略帯状として、リング部2の1/4程度の領域に、連続的に形成されている。
【0026】
ライトバーユニット55は、
図3に示すように、ユニット本体57と、ユニット本体57の上面側を覆うカバー部75と、を備える構成とされている。ユニット本体57は、ケース59と、ケース59内に収納保持される基板63と、基板63に取り付けられて作動時に点灯可能とされる可視光LED70(可視光光源)と、可視光LED70から発光される可視光をカバー部75側に放射させる導光体72と、を備えている。
【0027】
ケース59は、実施形態の場合、
図3,6,8に示すように、上側を開口させた略箱形状とされるもので、上端側に、作動時の可視光を放射可能な放射用開口59aを、配設させている。このケース59は、湾曲した帯状の底壁部60と、底壁部60の外周縁から上方に延びる周壁部61と、を備えるもので、周壁部61において、ケース59の右端側に配設される右壁部61aには、ハーネス本体26の先端側に配設されるハーネス側コネクタ27を挿通可能な挿入用開口61bが、形成されている(
図6参照)。
【0028】
基板63は、ケース59内において、放射用開口59aの開口面(ケース59の底壁部60)に略沿うように、前後方向に略沿って配設されている。実施形態の場合、基板63は、底壁部60との間に隙間を設けられるように配置されるもので(
図3,6参照)、所定箇所で、ケース59に取り付けられている。また、基板63における右端63b側の裏面63a側には、ハーネス25の先端側に形成されるハーネス側コネクタ27と接続可能なライトバー側コネクタ64が、配設されている(
図6参照)。
すなわち、ライトバー側コネクタ64は、ライトバーユニット55において、保持部45側の端部側に、配設されている。ライトバー側コネクタ64は、詳細には、中央を、ケース59の幅方向の中央と略一致させ、リング部2の断面中心Cと略一致させるようにして、配設されている(
図2,7参照)。可視光LED70(可視光光源)は、作動時に所定の色を発光可能とされるもので、基板63の裏面63a側において、長手方向に略沿って複数個並設されている。各可視光LED70は、導光体72側となる外方(前方)に向かって可視光を発光可能に、取り付けられており、図示しない作動回路によって、作動を制御される構成である。導光体72は、
図3に示すように、ケース59内における基板63の前方側(外方側)に配置されるもので、可視光LED70の前側から前方に延びつつ上方に延びるように屈曲されて、断面略L字形状の板状とされている。この導光体72は、可視光LED70から発光される可視光を、内部で偏向させつつ、上端側から、放射用開口59a側(カバー部75側)となる上方に向かって出射させるもので、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の合成樹脂から形成されている。
【0029】
ユニット本体57は、ケース59内に、可視光LED70を配設させた基板63と、導光体72と、を収納させるようにして、一体化された状態で、ケース59を、被覆層30におけるライトバー側部位38の底面38aに、載置させ、図示しない所定箇所をライトバー側部位38側に取り付けることにより、被覆層30におけるライトバー側部位38(被取付部位)に取り付けられる構成とされている。また、ユニット本体57(ケース59)は、幅方向の中央を、リング部2における断面中心Cと略一致させるようにして、配設されている(
図2,3、7参照)。
【0030】
カバー部75は、ユニット本体57全体の上面側を全面にわたって覆うように構成されるもので、リング部2の表面に露出される上壁部76と、上壁部76の裏面76a側から下方に突出するように形成されてケース59の内側面と外側面とを覆うように配設される側壁部77と、長手方向の両端側に配設される嵌合突起部80,80と、を備えている。カバー部75は、実施形態の場合、黒色の外皮層50に合わせて、透光性を有する黒色透明の合成樹脂製とされるもので、可視光LED70から発光される可視光を透過可能に構成されている。上壁部76は、ケース59における放射用開口59aを覆うもので、上面を、外皮層50の外表面からなだらかに連なるように、湾曲して形成されている。この上壁部76は、ユニット本体57の長手方向の両端よりも長手方向の両側(リング部2周方向側の外方)に延びて、被覆層30におけるライトバー側部位38の上面側を、取付部40の部位も含めて、覆うように形成されており、取付部40の部位を覆う両端側に、取付部40に形成される嵌合凹部42に嵌合可能な嵌合突起部80を、配設させている。
【0031】
嵌合突起部80は、上壁部76(カバー部75)の両端側に、1個ずつ配設されるもので、それぞれ、上壁部76の裏面76a側から下方に突出するように、形成されている。この嵌合突起部80は、厚さ寸法を略一定として構成されるとともに、幅方向を上壁部76の幅方向に略沿わせるようにして、配設されるもので(
図2参照)、
図4,9に示すように、首部82と、首部82の先端側において首部82から膨出するように形成される頭部83と、を備える構成とされている。首部82は、嵌合凹部42における上端側の狭幅部42aに挿通されるもので、幅寸法を、狭幅部42aに挿入可能な寸法に設定されている。頭部83は、幅寸法を、首部82よりも大きく、すなわち、狭幅部42aよりも大きな寸法に設定されるとともに、嵌合凹部42における広幅部42b内に収納可能な寸法に、設定されている。嵌合突起部80を挿入させる嵌合凹部42は、上述したごとく、軟質発泡材からなる被覆層30における取付部40の上面40a側を凹ませるようにして形成されていることから、嵌合突起部80を挿入させる際に、
図9のAに示すように、頭部83が、狭幅部42aよりも幅寸法を大きく設定されていても、嵌合凹部42の開口周縁を圧縮させるようにして、頭部83を狭幅部42aに挿通させることができる。そして、頭部83が広幅部42bまで到達すれば、嵌合凹部42の開口周縁の圧縮されている領域が、頭部83の上方を覆うように復元されることとなって、嵌合突起部80を、嵌合凹部42に嵌合させることができる(
図9のB参照)。
【0032】
実施形態のステアリングホイール1の製造手順を説明すれば、予め製造しておいたステアリングホイール本体15に、エアバッグ装置10を組み付ける。同時に、ステアリングホイール本体15に、ライトバーユニット55のユニット本体57を取り付ける。このとき、リング部2における一般部4の端末4a側の外皮層から露出しているハーネス25(露出部位28)の先端28b側に配置されるハーネス側コネクタ27を、ユニット本体57におけるケース59内に配置されるライトバー側コネクタ64に接続させ、ユニット本体57を、被覆層30におけるライトバー側部位38の底面38aに、載置させ、ケース59の図示しない所定箇所をライトバー側部位38側に取り付ける。その後、ケース59とリング部2における一般部4の端末4aとの間で露出しているハーネス25の露出部位28を、上方から嵌め込むようにして、被覆層30のライトバー側部位38に形成される保持部45内に収納させて、保持させる。その後、カバー部75を、ユニット本体57を覆うように、上方から被せ、嵌合突起部80を嵌合凹部42内に挿入させるようにして、被覆層30(ライトバー側部位38)側に取り付ければ、ステアリングホイール1を製造することができる。
【0033】
そして、実施形態のステアリングホイール1(ハンドル)では、表示装置としてのライトバーユニット55を取り付けるステアリングホイール本体15(ハンドル本体)における被覆層30のライトバー側部位38(被取付部位)側に、ハーネス25において外皮層50から露出されている露出部位28を保持可能な保持部45が、形成される構成であることから、ハーネス25における露出部位28の長さ寸法を、この保持部45によって保持可能な分だけ、大きく設定することができる。そのため、ライトバー側部位38に取付前の状態のライトバーユニット55(ユニット本体57)に配置されるライトバー側コネクタ64(表示装置側コネクタ)に、ハーネス25の先端側に設けられるハーネス側コネクタ27を接続させる接続作業を、容易に行うことができる。そして、ライトバーユニット55側に先端側を結線させたハーネス25は、露出部位28を、元部28a側からハーネス側コネクタ27を配設させている先端28b側にかけて、保持部45に保持可能に構成されていることから、保持部45に保持させれば、ライトバーユニット55を被覆層30のライトバー側部位38に取り付ける際に、ライトバーユニット55とステアリングホイール本体15(ハンドル本体)との間に進入するような露出部位28の移動を抑制できて、露出部位28(ハーネス本体26)の噛みこみが抑制されることとなり、ハーネス25の露出部位28が取付作業を阻害することなく、ライトバーユニット55を、容易に被覆層のライトバー側部位38に取り付けることができる。具体的には、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット55におけるユニット本体57を、被覆層30のライトバー側部位38に載置させて、ライトバー側部位38に取り付けた後、ユニット本体57を覆うカバー部75を、ユニット本体57の上方から被せるようにして、ライトバー側部位38に取り付ける構成であるが、このカバー部75のライトバー側部位38への取付作業時に、露出部位28が、保持部45に保持されることから、露出部位28がカバー部75とライトバー側部位38との間で噛み込まれることを抑制できて、取付作業を阻害せず、円滑に、カバー部75をライトバー側部位38に取り付けることができる。
【0034】
したがって、実施形態のステアリングホイール1では、表示装置としてのライトバーユニット55に結線されるハーネス25の取扱作業性が良好である。
【0035】
特に、実施形態のステアリングホイール1では、カバー部75に設けられる嵌合突起部80が、ハーネス本体26を配設させている領域の近傍に配置される取付部40に設けられる嵌合凹部42に挿入される構成であるが、ハーネス本体26、すなわち、露出部位28を、保持部45に保持させることができることから、保持部45に取付部40が隣接される構成であっても、カバー部75の取付時に、ハーネス25の露出部位28が、カバー部75(上壁部76)と取付部40との間に挟まれて、断線を招くような噛み込みが発生することを、抑制できて、カバー部75を、円滑にライトバー側部位38に取り付けることができる。
【0036】
また、実施形態のステアリングホイール1では、保持部45が、ハーネス25における露出部位28の、リング部2の内外方向側(リング部2の軸直交方向の両側)への移動を規制可能に、構成されていることから、ハーネス25の露出部位28を、上方から嵌め込むようにして、保持部45に保持させることが可能となり、ハーネス25の露出部位28の保持部45への組付が容易となり、また、保持部45により、ハーネス25の露出部位28が、リング部2からはみ出すことも、的確に抑制できる。さらに、実施形態のステアリングホイール1では、保持部45の底面45aに、さらに下方に凹む凹部48が形成されていることから、保持部45の実質的な上下方向側の幅寸法を増大させることができ、露出部位28の長さに余剰が生じ、露出部位28が、保持部45内において、上下方向側で湾曲するような態様となっても、露出部位28を、内外方向側への移動を安定して規制することができる。
【0037】
なお、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット55として、カバー部75をユニット本体57と別に被覆層30のライトバー側部位38(被取付部位)に取り付ける構成のものを使用しているが、ライトバーユニット(表示装置)としては、カバー部を予めケースと一体化させた状態で、ライトバー側部位に取り付ける構成のものを使用してもよい。
【0038】
また、実施形態では、ハンドルとして、円環状のリング部2を把持部として構成されるステアリングホイール1を例に採り、説明しているが、本発明を適用可能なハンドルは、実施形態に限定されるものではない。また、実施形態のステアリングホイール1では、表示装置として、ライトバーユニット55を設けているが、表示装置としては、例えば、リング部(把持部)の表面に露出して配置されるスイッチ等も例示できる。また、実施形態では、保持部45は、ライトバーユニット55を取り付ける被取付部位としての被覆層30のライトバー側部位38に形成されているが、保持部の配置位置は実施形態に限定されるものではなく、保持部は、ライトバーユニット(表示装置)の裏面側に、配設させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…ステアリングホイール(ハンドル)、2…リング部(把持部)、25…ハーネス、26…ハーネス本体、27…ハーネス側コネクタ、28…露出部位、28a…元部、28b…先端、30…被覆層、38…ライトバー側部位(被取付部位)、45…保持部、46…元部側部位、46a,46b…規制面、55…ライトバーユニット(表示装置)、64…ライトバー側コネクタ(表示装置側コネクタ)。