(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】位置情報取得システム、位置情報取得方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20231121BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231121BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01C21/28
G08G1/09 F
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2021068364
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀往
(72)【発明者】
【氏名】浦野 博充
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-145118(JP,A)
【文献】特開2004-213191(JP,A)
【文献】特開2019-086390(JP,A)
【文献】特開2019-148484(JP,A)
【文献】特開2008-077476(JP,A)
【文献】特開2008-241507(JP,A)
【文献】特開平10-153435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得する位置情報取得システムであって、
前記車両を含む端末からリクエストデータを受信
するウェブサーバと、
所定の識別方法により
前記ウェブサーバに対して情報の送信をリクエストする前記リクエストデータを取得することが可能なコードを表す複数の画像マーカーと、
前記車両に備えられ、前記車両周囲の環境を撮像するカメラと、
前記車両に備えられ、前記識別方法に基づいて前記カメラにより撮像された前記画像マーカーを識別して前記リクエストデータを取得する処理を実行する情報処理装置と、
前記車両に備えられ、
前記ウェブサーバに対して前記リクエストデータを送信し、
前記ウェブサーバから
前記情報を受信する通信装置と、
を含み、
前記画像マーカーそれぞれは、
特定の場所に設置されており、
前記ウェブサーバは、
前記画像マーカーから取得される前記リクエストデータを受信した場合に、
受信した前記リクエストデータの送信元が前記車両であるか否かを判定し、
前記車両から前記リクエストデータを受信した場合、
前記リクエストデータが取得された前記画像マーカーが設置されている前記特定の場所における前記位置情報を前記車両に送信
し、
前記車両以外のその他の端末から前記リクエストデータを受信した場合、前記リクエストデータの内容に応じて、前記位置情報とは異なる情報を前記その他の端末に送信する
ように構成されている
ことを特徴とする位置情報取得システム。
【請求項2】
車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得する位置情報取得方法であって、
ウェブサーバは、
前記車両を含む端末からリクエストデータを受信
するように構成されており、
画像マーカーは、特定の場所に設置され、所定の識別方法により
前記ウェブサーバに対して情報の送信をリクエストする前記リクエストデータを取得することが可能なコードを表すマーカーであり、
前記車両において、少なくとも1つのプログラムを実行するプロセッサが、
前記車両の周囲の環境を撮像するカメラから情報を取得する処理と、
前記識別方法に基づいて、前記カメラにより撮像された前記画像マーカーを識別して前記リクエストデータを取得する処理と、
前記ウェブサーバに対して前記リクエストデータを送信し、
前記ウェブサーバから
前記情報を受信する処理と、
を実行し、
前記ウェブサーバにおいて、少なくとも1つのプログラムを実行するプロセッサが、
前記ウェブサーバが前記画像マーカーから取得される前記リクエストデータを受信した場合に、
受信した前記リクエストデータの送信元が前記車両であるか否かを判定する処理と、
受信した前記リクエストデータの送信元が前記車両である場合に、
前記リクエストデータが取得された前記画像マーカーが設置されている前記特定の場所における前記位置情報を前記車両に送信する処理と、
受信した前記リクエストデータの送信元が前記車両以外のその他の端末である場合に、前記リクエストデータの内容に応じて、前記位置情報とは異なる情報を前記その他の端末に送信する処理と、
を実行する
ことを特徴とする位置情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得する位置情報取得システム、位置情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GPS信号が受信できない環境下においても確実な位置検出を安価に実現することが可能な車両位置推定システムが開示されている。この車両位置推定システムは、位置情報が埋め込まれた画像マーカーと、GPS信号を受信して自車両の位置を特定する車両と、から構成される。車両は、カメラによって撮影された画像から画像マーカーに埋め込まれた位置情報を取得する画像認識手段を有し、GPS信号を受信できない場合には、画像認識手段によって取得された位置情報に基づいて、自車両の位置を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行を行う自動運転車では、自車の地図上の位置及び姿勢を推定する自己位置推定を精度良く行うことが求められている。自己位置推定においては、一般に、推定を開始する地点の自車の地図上の位置及び姿勢の情報を基点として、移動量から自車の地図上の位置及び姿勢を推定する手法が部分的に行われる。ここで、推定を開始する地点の自車の地図上の位置及び姿勢の情報の精度は、自己位置推定の精度に影響する。このため、推定を開始する地点の地図上の位置及び姿勢を精度よく特定することが必要となる。
【0005】
本開示の出願人らは、公共バスやタクシーといった停留所等の特定の場所から出発する車両が自律走行を行う場合を想定して、画像マーカーにより地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な情報(以下、「位置情報」とも称する。)を取得することを考えている。つまり、停留所等の特定の場所に画像マーカーを設置し、車両は、特定の場所における位置情報を取得する。そして、取得した位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定し、自己位置推定及び自律走行を開始する。このとき、利便性やコストの観点から、画像マーカーは、特殊なコードではなく、一般に普及しているコードを表すことを考えている。このため、一般のユーザが好奇心で画像マーカーから情報を取得することが想定される。
【0006】
ここで、特許文献1で開示されるように、画像マーカーから取得することができる情報が位置情報であると、ユーザは自身にとって無意味な情報を取得することとなり、ユーザに煩わしさを感じさせる虞がある。
【0007】
本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、一般のユーザが無意味な情報を取得することなく、車両が画像マーカーから位置情報を取得することが可能な位置情報取得システム、位置情報取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の開示に係る位置情報取得システムは、車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得するシステムである。この位置情報取得システムは、端末からリクエストデータを受信し、受信したリクエストデータの内容に応じた情報を端末に送信するサーバと、所定の識別方法によりリクエストデータを取得することが可能なコードを表す複数の画像マーカーと、車両に備えられ車両周囲の環境を撮像するカメラと、車両に備えられ、所定の識別方法に基づいて、カメラにより撮像された画像マーカーを識別してリクエストデータを取得する処理を実行する情報処理装置と、車両に備えられ、サーバに対してリクエストデータを送信し、サーバから情報を受信する通信装置と、を含んでいる。ここで、画像マーカーそれぞれは、特定の場所に設置されている。そして、サーバは、車両からリクエストデータを受信した場合、リクエストデータの内容に関わらず、画像マーカーが設置されている特定の場所における位置情報を車両に送信する。
【0009】
第2の開示に係る位置情報取得システムは、第1の開示に係る位置情報取得システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
サーバは、ウェブサーバであり、リクエストデータはURLである。
【0010】
第3の開示に係る位置情報取得システムは、車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得するシステムである。この位置情報取得システムは、所定の識別方法によりデータを取得することが可能なコードを表す複数の画像マーカーと、車両に備えられ車両周囲の環境を撮像するカメラと、車両に備えられた情報処理装置と、を含んでいる。ここで、画像マーカーそれぞれは、特定の場所に設置されている。また、情報処理装置は、画像マーカーから取得するデータに対して特定の場所における位置情報を対応させる対応テーブルを記憶している。そして、情報処理装置は、カメラから情報を取得する処理と、所定の識別方法に基づいて、カメラにより撮像された画像マーカーを識別して画像マーカーからデータを取得する識別処理と、対応テーブルに基づいて、識別処理により取得したデータと対応する位置情報を取得する変換処理と、を実行する。
【0011】
第4の開示に係る位置情報取得システムは、第3の開示に係る位置情報取得システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
画像マーカーから取得するデータは、URLである。
【0012】
第5の開示に係る位置情報取得システムは、第3又は第4の開示に係る位置情報取得システムに対して、さらに以下の特徴を含んでいる。
対応テーブルは、画像マーカーから取得するデータと画像マーカーが表すコードの種別との組み合わせに対して特定の場所における位置情報を対応させている。また、識別処理において、情報処理装置は、さらにカメラにより撮像された画像マーカーが表すコードの種別の情報を取得する。そして、変換処理において、情報処理装置は、対応テーブルに基づいて、識別処理により取得したデータとコードの種別との組み合わせに対応する位置情報を取得する。
【0013】
第6の開示に係る位置情報取得方法は、車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得する方法である。この位置情報取得方法では、車両において、少なくとも1つのプログラムを実行するプロセッサが、車両の周囲の環境を撮像するカメラから情報を取得する処理と、所定の識別方法に基づいて、カメラにより撮像された画像マーカーを識別してリクエストデータを取得する処理と、サーバに対してリクエストデータを送信し、サーバから情報を受信する処理と、を実行する。またサーバにおいて、少なくとも1つのプログラムを実行するプロセッサが、受信したリクエストデータの送信元が車両であるか否かを判定する処理と、受信したリクエストデータの送信元が車両である場合に、リクエストデータの内容に関わらず、画像マーカーが設置されている特定の場所における位置情報を車両に送信する処理と、を実行する。ここで、サーバは、端末からリクエストデータを受信し、リクエストデータの内容に応じた情報を端末に送信する装置である。画像マーカーは、特定の場所に設置され、所定の識別方法によりリクエストデータを取得することが可能なコードを表すマーカーである。
【0014】
第7の開示に係る位置情報取得方法は、車両が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な位置情報を取得する方法である。この位置情報取得方法では、少なくとも1つのプログラムを実行するプロセッサが、車両の周囲の環境を撮像するカメラから情報を取得する処理と、所定の識別方法に基づいて、カメラにより撮像された画像マーカーを識別してデータを取得する処理と、画像マーカーから取得するデータに対して特定の場所における位置情報を対応させる対応データに基づいて、識別処理により取得したデータと対応する位置情報を取得する処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る位置情報システム及び位置情報取得方法によれば、特定の場所に設置される画像マーカーにより、車両が特定の場所における位置情報を取得することができる。一方で、画像マーカーが表すコードを適当なリクエストデータ又はデータを示すように構成することができる。特に、そのリクエストデータ又はデータによりユーザが意味のある情報を取得することができるように構成することができる。延いては、ユーザが画像マーカーから無意味な情報を取得することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る位置情報取得システムの概要を説明するための概念図である。
【
図2】位置情報取得システムが複数の特定の場所を車両が自律走行を行う場合に適用される例を示す概念図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る車両の構成の例を説明するためのブロック図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る情報処理装置が実行する処理を説明するためのブロック図である。
【
図5】サーバから取得する位置情報、及び自己位置推定処理部が実行する位置特定処理の例について説明するための概念図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る位置情報取得システムによる位置情報取得方法において、車両における処理を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施の形態に係る位置情報取得システムによる位置情報取得方法において、サーバにおける処理を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施の形態の変形例に係る情報処理装置が実行する処理の概要を説明するための概念図である。
【
図9】第1の実施の形態の変形例に係る情報処理装置が実行する処理を説明するためのブロック図である。
【
図10】第2の実施の形態に係る位置情報取得システムの概要を説明するための概念図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る対応テーブルの例を示す概念図である。
【
図12】第2の実施の形態に係る情報処理情報処理装置が実行する処理を説明するためのブロック図である。
【
図13】第2の実施の形態に係る位置情報システムによる位置情報取得方法を示すフローチャートである。
【
図14】第2の実施の形態の変形例1に係る位置情報システムにおいて、変換処理部が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図15】第2の実施の形態の変形例1に係る対応テーブルの例を示す概念図である。
【
図16】第2の実施の形態の変形例2に係る対応テーブルの例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成等は、特に明示した場合や原理的に明らかにそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を附しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0018】
1.第1の実施の形態
1-1.概要
第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10は、公共バスやタクシーといった停留所等の特定の場所から出発する車両が自律走行を行う場合に適用される。
図1は、第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10の概要を説明するための概念図である。
図1に示す車両1は、特定の場所SPから出発して自律走行を行う自動運転車である。車両1は、典型的には、一般のユーザUSRが利用し、自律走行を行う公共バスやタクシーである。
図1では、特定の場所SPとして、車両1が停車し、ユーザUSRが車両1への乗降を行う停留所を示している。
【0019】
位置情報取得システム10は、画像マーカーMKと、サーバ3と、を含んでいる。画像マーカーMKは、所定の識別方法によりデータを取得することが可能なコードを表している。例えば、スタック型あるいはマトリックス型の2次元コードである。ただし、その他のコードであっても良い。典型的には、画像マーカーMKが表すコードは、一般的に普及しているコードであって、ユーザUSRが所持するユーザ端末2(例えば、スマートフォン)によりデータを取得することが可能なコードである。
【0020】
画像マーカーMKは、特定の場所SPに設置されている。例えば、
図1に示すように、特定の場所SPにある看板BDに設置される。
【0021】
サーバ3は、通信ネットワーク上に構成された装置(仮想的に構成されていても良い)であって、通信ネットワークに接続する端末から所定の形式のリクエストデータを受信し、リクエストデータの内容に応じた情報(応答情報)を端末に送信する装置である。サーバ3は、典型的には、インターネット上に構成されたウェブサーバである。リクエストデータは、典型的には、URL(Uniform Resource Locator)である。
【0022】
位置情報取得システム10では、画像マーカーMKが表すコードは、サーバ3に対するリクエストデータを示す。つまり、画像マーカーMKからリクエストデータを取得し、取得したリクエストデータを端末からサーバ3に対して送信することで、端末はサーバ3からリクエストデータの内容に応じた情報(応答情報)を受信することができる。
【0023】
これにより、ユーザUSRはユーザ端末2を介して、以下のように画像マーカーMKから情報を取得することができる。ここで、サーバ3はウェブサーバであり、リクエストデータはURLである場合を例として説明する。ユーザUSRは、ユーザ端末2の機能(例えば、ユーザ端末2にインストールされたアプリケーション)により、画像マーカーMKからURLを取得する。URLは、サーバ3が記憶するデータを指定する。典型的には、所定のウェブページを示すHTML(Hyper Text Markup Language)ファイルや画像ファイル等を指定する。
【0024】
次に、インターネットに接続されたユーザ端末2は、URLに従いサーバ3に対してデータをリクエストし、サーバ3は、ユーザ端末2に対してURLの内容に応じたデータを送信する。そして、ユーザ端末2は、サーバ3からデータを受信し、データの情報をユーザUSRに通知する。典型的には、ユーザ端末2は、適当なウェブブラウザを介して、サーバ3から受信したHTMLファイル等に従って情報を表示することでユーザUSRに通知する。
【0025】
このようにして、ユーザUSRはユーザ端末2を介して、画像マーカーMKから情報を取得することができる。ここで、URLが指定するデータを、時刻表やサービスの情報を表示するHTMLファイルといった適当なデータとすることで、ユーザUSRは、画像マーカーMKから意味のある情報を取得することができる。
【0026】
一方で、第1の実施の形態に係る車両1は、周囲の環境を撮像するカメラCAMを備え、撮像領域IMGの画像データを取得する。次に、車両1は、
図1において図示しない情報処理装置を備え、所定の識別方法に基づいて画像データに含まれる画像マーカーMKからリクエストデータを取得する。そして、車両1は、
図1において図示しない通信装置を備え、サーバ3と通信し、サーバ3へのリクエストデータの送信と、サーバ3からの情報の受信を行う。
【0027】
ここで、第1の実施の形態に係るサーバ3は、車両1からリクエストデータを受信した場合は、リクエストデータの内容に関わらず、特定の場所SPにおいて車両1が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な情報(位置情報)を車両1に送信する。つまり、車両1は、通信装置を介して画像マーカーMKから取得するリクエストデータをサーバ3に送信することで、サーバ3から特定の場所SPにおける位置情報を取得することができる。
【0028】
なお、位置情報取得システム10は、特定の場所SPが複数存在し、それぞれの特定の場所SPに画像マーカーMKが設置されるように構成されていても良い。
図2は、位置情報取得システム10が、複数の特定の場所SP1、SP2、及びSP3を車両1が自律走行を行う場合に適用される例を示す概念図である。
【0029】
図2は、車両1が、自律走行により特定の場所SP1、SP2、及びSP3をSP1、SP2、SP3の順番に走行することが予定されている場合を示している。例えば、車両1は公共バスであり、特定の場所SP1、SP2、及びSP3は、それぞれ公共バスの停留所である。
【0030】
特定の場所SP1、SP2、及びSP3それぞれには、画像マーカーMKが設置されている。
図2に示すように、特定の場所SP1、SP2、及びSP3に設置されるそれぞれの画像マーカーMKには、それぞれを区別するために符号に数字を附している。
【0031】
車両1は、まず特定の場所SP1において、画像マーカーMK1からリクエストデータを取得し、リクエストデータを送信することでサーバ3から特定の場所SP1における位置情報を取得する。そして、車両1は、位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定して自己位置推定及び自律走行を開始し、特定の場所SP2に向けて走行を行う。次に、車両1は、特定の場所SP2において、画像マーカーMK2からリクエストデータを取得し、リクエストデータを送信することでサーバ3から特定の場所SP2における位置情報を取得する。そして、車両1は、位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定して自己位置推定及び自律走行を開始し、特定の場所SP3に向けて走行を行う。
【0032】
以降、車両1は、特定の場所SP3において同様の処理を繰り返し、自車の地図上の位置及び姿勢を特定して自己位置推定及び自律走行を開始する。位置情報取得システム10が、さらに多くの特定の場所SPそれぞれに設置される画像マーカーMKを含む場合についても同様である。
【0033】
このように、車両1が、複数の特定の場所SPそれぞれにおいて、画像マーカーMKから位置情報を取得して自車の地図上の位置及び姿勢を特定し、自己位置推定及び自律走行を開始することで、更新されたより正確な自己位置推定に基づいて次の特定の場所SPまで自律走行を行うことができる。
【0034】
ここで、画像マーカーMK1、MK2、及びMK3が表すコードは、典型的には、それぞれ異なるリクエストデータを示す。つまり、サーバ3は、車両1からリクエストデータを受信した場合は、特定の場所SP1、SP2、及びSP3のいずれに設置された画像マーカーMKから取得されたリクエストデータであるかを判断し、対応する特定の場所SPにおける位置情報を車両1に送信する。これにより、サーバ3は、特定の場所SP1、SP2、及びSP3それぞれにおける位置情報を選択して送信することができる。
【0035】
ただし、画像マーカーMK1、MK2、及びMK3が表すコードが同一のリクエストデータを示し、サーバ3は、リクエストデータの通信に係る情報に基づいて、位置情報を選択して送信しても良い。例えば、車両1に備える通信装置が基地局を介してリクエストデータを送信する場合に、その基地局の位置から特定の場所SP1、SP2、及びSP3のいずれに設置された画像マーカーMKから取得されたリクエストデータであるかを判断し、対応する特定の場所SPにおける位置情報を車両1に送信しても良い。
【0036】
なお、前述したように、車両1以外の端末から、画像マーカーMK1、MK2、及びMK3から取得するリクエストデータをサーバ3に送信した場合は、サーバ3は、リクエストデータの内容に応じた情報を端末に送信する。
【0037】
1-2.車両の構成例
図3は、第1の実施の形態に係る車両1の構成の例を説明するためのブロック図である。車両1は、カメラCAMと、情報処理装置100と、センサ類200と、HMI装置300と、通信装置400と、アクチュエータ類500と、を備えている。情報処理装置100は、カメラCAM、センサ類200、HMI装置300、通信装置400、及びアクチュエータ類500と互いに情報を伝達することができるように構成されている。典型的には、ワイヤーハーネスにより電気的に接続されている。
【0038】
カメラCAMは、車両1の周囲の環境を撮像し、画像データを出力する。ここで、カメラCAMは、車両1の周囲の特定の範囲の環境に限って撮像するものであっても良い。例えば、カメラCAMは、車両1の前方の環境を撮像するものであって良い。カメラCAMが出力する画像データは、情報処理装置100に伝達される。
【0039】
センサ類200は、車両1の運転環境を示す情報(運転環境情報)を検出し出力するセンサの類である。センサ類200が出力する運転環境情報は、情報処理装置100に伝達される。センサ類200は、典型的には、車両1の走行状態(車速、加速度、ヨーレート等)といった車両1の環境の情報を検出するセンサと、車両1の周囲の環境(先行車、車線、障害物等)の情報を検出するセンサと、を含んでいる。
【0040】
車両1の環境の情報を検出するセンサとして、車両1の車速を検出するための車輪速センサ、車両1の加速度を検出するための加速度センサ、車両1のヨーレートを検出するための角速度センサ等が例示される。車両1の周囲の環境を検出するセンサとして、ミリ波レーダー、センサカメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)等が例示される。ここで、カメラCAMは、車両1の周囲の環境を検出するセンサであっても良い。例えば、センサカメラがカメラCAMとして機能しても良い。
【0041】
HMI装置300は、HMI(Human Machine Interface)機能を有する装置である。HMI装置300は、車両1のオペレータ等が操作することにより情報処理装置100に対して種々のHMI情報を与え、また情報処理装置100が実行する処理に関するHMI情報をオペレータ等に通知する。HMI装置300は、例えば、スイッチ、タッチパネルディスプレイ、自動車メータ等、あるいはこれらの組み合わせである。
【0042】
情報処理装置100は、取得する情報に基づいて、車両1の制御等の種々の処理を実行し、実行結果を出力する。実行結果は、例えば、制御信号としてアクチュエータ類500に伝達される。あるいは、通信情報として通信装置400に伝達される。情報処理装置100は、車両1の外部の装置であっても良い。この場合、情報処理装置100は、車両1との通信により、情報の取得、及び実行結果の出力を行う。
【0043】
情報処理装置100は、メモリ110と、プロセッサ120と、を備えるコンピュータである。典型的には、情報処理装置100は、ECU(Electronic Control Unit)である。メモリ110は、プロセッサで実行可能なプログラムPGと、情報処理装置100が取得する情報やプログラムPGに係る種々の情報を含むデータDTを記憶している。ここで、メモリ110は、データDTとして、取得する情報の一定期間の時系列データを記憶していても良い。プロセッサ120は、メモリ110からプログラムPGを読み出し、メモリ110から読み出すデータDTの情報に基づいて、プログラムPGに従う処理を実行する。
【0044】
情報処理装置100が実行する処理、より詳しくは、プログラムPGに従ってプロセッサ120が実行する処理には、画像マーカーMKを識別してリクエストデータを取得する処理、自己位置推定に係る処理、及び自律走行に係る処理が含まれる。これらの処理の詳細については後述する。ここで、情報処理装置100が実行する処理により画像マーカーMKから取得したリクエストデータは、通信情報として通信装置400に伝達される。
【0045】
なお、情報処理装置100は、複数のコンピュータにより構成される系であっても良い。この場合に、それぞれのコンピュータは、処理の実行に際して必要な情報を取得することができる程度に、互いに情報を伝達することができるように構成される。また、プログラムPGは、複数のプログラムの組み合わせであっても良い。
【0046】
通信装置400は、車両1の外部の装置と通信を行うことで種々の情報(通信情報)の送受信を行う装置である。通信装置400は、少なくとも、サーバ3が構成されている通信ネットワークNETに接続し、サーバ3と情報の送受信を行うことができるように構成されている。例えば、サーバ3はインターネット上に構成され、通信装置400は、インターネットに接続して情報の送受信を行うことが可能な装置である。この場合、典型的には、通信装置400は、基地局を介してインターネットに接続し、無線通信により情報の送受信を行う端末である。
【0047】
通信装置400が受信する通信情報は、情報処理装置100に伝達される。情報処理装置100に伝達される通信情報には、少なくとも、サーバ3から受信する位置情報が含まれる。また、通信装置400が情報処理装置100から取得するリクエストデータは、通信装置400からサーバ3に送信される。
【0048】
なお、通信装置400は、その他の装置を含んでいても良い。例えば、車車間通信や路車間通信を行う装置、GPS(Global Positioning System)の受信機等を含んでいても良い。この場合、通信装置400は、これらの装置の類を示す。
【0049】
アクチュエータ類500は、情報処理装置100から取得する制御信号に従って動作するアクチュエータの類である。アクチュエータ類500に含まれるアクチュエータは、例えば、エンジン(内燃機関、電気モータ、あるいはそれらのハイブリット等)を駆動するアクチュエータ、車両1に備えるブレーキ機構を駆動するアクチュエータ、車両1のステアリング機構を駆動するアクチュエータ等である。アクチュエータ類500に含まれる種々のアクチュエータが制御信号に従って動作することにより、情報処理装置100による車両1の種々の制御が実現される。
【0050】
前述したように、車両1は、通信装置400を介して、サーバ3へのリクエストデータの送信と、サーバ3からの位置情報の受信を行う。サーバ3は、車両1から通信装置400を介してリクエストデータを受信した場合は、車両1に対して位置情報を送信する一方で、通信ネットワークNETに接続する車両1以外の端末(例えば、ユーザ端末2)からリクエストデータを受信した場合は、リクエストデータの内容に応じた情報(応答情報)を送信する。つまり、サーバ3は、受信したリクエストデータの送信元が車両1であるか否かに応じて、送信する情報が異なるように動作する。
【0051】
1-3.情報処理装置が実行する処理
図4は、情報処理装置100が実行する処理を説明するためのブロック図である。
図4に示すように、情報処理装置100が実行する処理は、画像マーカー識別処理部MRUと、自己位置推定処理部LCUと、自律走行制御処理部ADUと、により構成される。これらは、プログラムPGの部分として実現されていても良いし、情報処理装置100を構成している別個のコンピュータにより実現されていても良い。
【0052】
画像マーカー識別処理部MRUは、カメラCAMが出力する画像データから、カメラCAMにより撮像された画像マーカーMKを識別してリクエストデータを取得する処理を実行する。画像マーカー識別処理部MRUは、画像マーカーMKに係る所定の識別方法に基づいて処理を実行する。例えば、画像マーカーMKがマトリックス型の2次元コードを表す場合、画像マーカー識別処理部MRUは、画像データの画像解析を実行して画像データに含まれる画像マーカーMKの部分を認識する。そして、画像マーカーMKの画像処理により2次元コードのセルのパターンを識別し、リクエストデータを取得する。
【0053】
情報処理装置100は、画像マーカー識別処理部MRUが実行する処理により取得したリクエストデータを出力し、通信装置400に伝達する。通信装置400は、取得するリクエストデータをサーバ3に送信し、サーバ3から位置情報を受信する。そして、通信装置400は、サーバ3から受信した位置情報を出力し、情報処理装置100に伝達する。
【0054】
自己位置推定処理部LCUは、車両1の地図上の位置及び姿勢を推定する自己位置推定に係る処理を実行する。典型的には、運転環境情報及び地図情報に基づいて、推定を開始する地点からの車両1の移動量や周囲環境に対する車両1の相対位置から車両1の地図上の位置及び姿勢を刻々推定する。自己位置推定処理部LCUによる自己位置推定の結果(自己位置推定結果)は、自律走行制御処理部ADUに伝達される。
【0055】
ここで、自己位置推定処理部LCUが推定する車両1の地図上の位置及び姿勢の自由度は限定されない。例えば、車両1の地図上の位置を2次元座標値(X,Y)で与え、車両1の姿勢をヨー角θで与えても良いし、車両1の地図上の位置及び姿勢それぞれを3自由度で与えても良い。
【0056】
また、地図情報は、メモリ110がデータDTとしてあらかじめ記憶する情報であっても良いし、通信装置400を介して外部から取得する情報であっても良い。あるいは、情報処理装置100が実行する処理により生成する環境地図の情報であっても良い。
【0057】
自己位置推定処理部LCUが実行する処理は、情報処理装置100が取得した位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定する処理(以下、「位置特定処理」とも称する。)を含む。典型的には、自己位置推定処理部LCUは、位置特定処理により特定する自車の地図上の位置及び姿勢の情報を基点として、推定を開始する。位置情報及び位置特定処理の例については後述する。
【0058】
自律走行制御処理部ADUは、車両1の自律走行に係る処理を実行し、自律走行を行うための制御信号を生成する。典型的に、目的地までの走行計画を設定し、走行計画、運転環境情報、地図情報、及び自己位置推定結果に基づいて走行経路を生成する。そして、走行経路に沿って車両1が走行するように加速、制動、操舵に係る制御信号を生成する。
【0059】
なお、画像マーカー識別処理部MRUは、HMI装置300の所定の操作が行われたときに処理を実行するように構成されていても良い。そして、自己位置推定処理部LCU及び自律走行制御処理部ADUは、情報処理装置100が位置情報を取得したときに自己位置推定及び自律走行を開始するように構成されていても良い。例えば、画像マーカー識別処理部MRUは、HMI情報を入力とし、車両1に備える所定のスイッチが押下されたときに処理を実行するように構成されていても良い。この場合、所定のスイッチが押下されたときに、車両1は自己位置推定及び自律走行を開始する。
【0060】
1-4.位置情報及び位置特定処理
車両1がサーバ3から取得する特定の場所SPにおける位置情報は、特定の場所SPにおいて車両1が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な情報である。また、
図4に示す自己位置推定処理部LCUは、位置特定処理を実行し、位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定する。以下、車両1がサーバ3から取得する位置情報、及び自己位置推定処理部LCUが実行する位置特定処理の例について説明する。
【0061】
図5は、車両1がサーバ3から取得する位置情報、及び自己位置推定処理部LCUが実行する位置特定処理の例について説明するための概念図である。
図5には、位置情報及び位置特定処理の例として、a(
図5上部)とb(
図5下部)の2つの例を示している。
【0062】
aとして示す例では、特定の場所SPに車両1が停車するための停車枠FRが設けられている。停車枠FRは、例えば、停留所の停車位置である。車両1がサーバ3から取得する位置情報は、車両1が停車枠FRに沿って停車しているときの車両1の地図上の位置及び姿勢とする。例えば、
図5に示すように、車両1が停車枠FRに沿って停車しているときの車両1の2次元座標値及びヨー角(X,Y,θ)を取得する位置情報とする。
【0063】
そして、位置特定処理において、自己位置推定処理部LCUは、取得する位置情報を特定する自車の地図上の位置及び姿勢として良い。あるいは、自己位置推定処理部LCUは、車両1と停車枠FRとの相対位置の情報から位置情報を補正し、補正した位置情報を特定する自車の地図上の位置及び姿勢として良い。つまり、車両1は、停車枠FRに沿って停車させている状態で位置情報を取得することで、自車の地図上の位置及び姿勢を特定することができる。
【0064】
bとして示す例では、車両1がサーバ3から取得する位置情報は、画像マーカーMKが設置されている地図上の位置とする。例えば、
図5に示すように、画像マーカーMKが看板BDに設置されている場合に、看板BDの2次元座標(X,Y)を取得する位置情報とする。また、センサ類200により画像マーカーMKが設置されている位置に対する車両1の相対位置及び相対角度を検出する。
【0065】
そして、位置特定処理において、自己位置推定処理部LCUは、取得する位置情報と、検出する相対位置及び相対角度の情報と、から自車の地図上の位置及び姿勢を特定する。つまり、車両1は、特定の場所SPにおいて画像マーカーMKを検知し、位置情報を取得することで、自車の地図上の位置及び姿勢を特定することができる。
【0066】
1-5.位置情報取得方法
以下、第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10による位置情報取得方法について説明する。
【0067】
図6は、第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10による位置情報取得方法において、車両1における処理を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、車両1が特定の場所SPに停車し、カメラCAMが画像マーカーMKを撮像している場合において実行される。処理の開始の判断は、所定の周期毎に繰り返し行われても良いし、車両1のオペレータ等がHMI装置300の所定の操作を行ったことを条件として行われても良い。
【0068】
ステップS100では、カメラCAMが車両1の周囲の環境を撮像し、情報処理装置100がカメラCAMから画像データを取得する。ステップS100の後、処理は、ステップS110に進む。
【0069】
ステップS110では、画像マーカー識別処理部MRUにより、画像データから画像マーカーMKを識別し、リクエストデータを取得する。ステップS110の後、処理はステップS120に進む。
【0070】
ステップS120において、通信装置400により、サーバ3にリクエストデータを送信する。ステップS120の後、処理はステップS130に進む。
【0071】
ステップS130において、通信装置400により、サーバ3から位置情報を取得する。ステップS130の後、処理を終了する。
【0072】
図6に示す処理の終了後、典型的には、自己位置推定処理部LCUにより、取得した位置情報から自車の地図上の位置及び姿勢を特定し、自己位置推定を開始する。さらに、自律走行制御処理部ADUにより、自律走行を開始する。
【0073】
図7は、第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10による位置情報取得方法において、サーバ3における処理を示すフローチャートである。
図7に示す処理は、サーバ3が端末からリクエストデータを取得したときに開始する。
【0074】
ステップS200において、サーバ3は、取得したリクエストデータの送信元の判断を行う。これは、例えば、通信ネットワークNETをインターネットであるとして、次のように行うことができる。
【0075】
通信装置400に固定IPアドレスを割り当て、サーバ3は、送信元のIPアドレス又はホスト名からリクエストデータの送信元が車両1であるか否かを判断する。または、通信装置400は特定のOSにより動作し、サーバ3は、送信元のOS名の情報からリクエストデータの送信元が車両1であるか否かを判断する。または、サーバ3をウェブサーバ、リクエストデータをURLであるとして、通信装置400は特定のブラウザによりサーバ3に対してURLに従うリクエストを行い、サーバ3は、ブラウザの種類の情報からリクエストデータの送信元が車両1であるか否かを判断する。ただし、その他の方法により、リクエストデータの送信元が車両1であるか否かを判断しても良い。
【0076】
ステップS200の後、処理はステップS210に進む。
【0077】
ステップS210において、サーバ3は、取得したリクエストデータの送信元が車両であるか否かを判定する。リクエストデータの送信元が車両である場合(ステップS210;Yes)、処理はステップS220に進む。リクエストデータの送信元が車両でない場合(ステップS210;No)、処理はステップS230に進む。
【0078】
ステップS220において、サーバ3は、車両1に対して位置情報を送信する。ステップS220の後、処理を終了する。
【0079】
ステップS230において、サーバ3は、端末に対してリクエストデータの内容に応じた情報(応答情報)を送信する。ステップS230の後、処理を終了する。
【0080】
1-6.効果
以上説明したように、第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10によれば、特定の場所SPに設置される画像マーカーMKにより、車両1が特定の場所SPにおける位置情報を取得することができる。一方で、画像マーカーMKが表すコードが適当なリクエストデータを示すように構成することができる。特に、ユーザUSRにとって意味のある情報(例えば、時刻表やサービスの情報)をサーバ3から受信するリクエストデータとすることができる。延いては、ユーザUSRが画像マーカーMKから無意味な情報を取得することを防ぐことができる。
【0081】
1-7.変形例
第1の実施の形態に係る位置情報取得システム10は、以下のように変形した態様を採用しても良い。以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0082】
情報処理装置100は、カメラCAMから取得する画像データに対して、画像マーカーMKを識別する領域を指定する処理を実行するように構成されていても良い。
【0083】
図8は、第1の実施の形態の変形例に係る情報処理装置100が実行する処理の概要を説明するための概念図である。
図8において、情報処理装置100は、カメラCAMから撮像領域IMG(点線で囲む領域)の画像データを取得する。情報処理装置100は、取得する画像データに対して、撮像領域IMGのうち画像マーカーMKを識別する領域を指定する識別領域IDA(一点鎖線で囲む領域)を算出する。そして、情報処理装置100は、識別領域IDAの画像データについて画像マーカーMKの識別を行う。
【0084】
情報処理装置100は、運転環境情報に基づいて、識別領域IDAを算出する。例えば、LiDARにより検出する情報から画像マーカーMKが設置されている位置の地面からの高さを算出し、その高さから所定の範囲(例えば、1.5m±50cm)の領域を識別領域IDAとする。
【0085】
図9は、第1の実施の形態の変形例に係る情報処理装置100が実行する処理を説明するためのブロック図である。
図3と比較して
図9に示すように、第1の実施の形態の変形例に係る情報処理装置100が実行する処理は、さらに識別領域指定処理部IDUを含んで構成されている。
【0086】
識別領域指定処理部IDUは、運転環境情報に基づいて、画像データから識別領域IDAを算出する処理を実行する。識別領域指定処理部IDUにより算出された識別領域IDAは、画像マーカー識別処理部MRUに伝達される。画像マーカー識別処理部MRUは、識別領域IDAの画像データについて画像マーカーMKを識別してリクエストデータを取得する処理を実行する。
【0087】
このように、識別領域IDAを算出することで、情報処理装置100による画像マーカーMKの識別において、誤認識の低減や読み取り速度の向上を図ることができる。また、画像マーカーMKのサイズや設置する箇所の柔軟性を向上させることができる。
【0088】
2.第2の実施の形態
以下、第2の実施の形態について説明する。ただし、第1の実施の形態と重複する内容については適宜省略している。
2-1.概要
第2の実施の形態に係る位置情報取得システムは、第1の実施の形態と同様に、公共バスやタクシーといった停留所等の特定の場所SPから出発する車両1が自律走行を行う場合に適用される。
【0089】
図10は、第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20の概要を説明するための概念図である。
【0090】
第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20は、画像マーカーMKを含んでいる。画像マーカーMKは、所定の識別方法によりデータを取得することが可能なコードを表している。位置情報取得システム20において、画像マーカーMKから取得されるデータは適当に与えても良い。例えば、画像マーカーMKが表すコードが、特定のURLを示すとし、そのURLにより指定されるウェブページが時刻表やサービスの情報を示すものとしても良い。これにより、ユーザUSRはユーザ端末2を介して、画像マーカーMKから意味のある情報を取得することができる。
【0091】
以下の説明において、画像マーカーMKが表すコードは、URLを示すとする。
【0092】
第2の実施の形態に係る車両1は、周囲の環境を撮像するカメラCAMを備え、撮像領域IMGの画像データを取得する。次に、車両1は、情報処理装置を備え、所定の識別方法に基づいて画像データに含まれる画像マーカーMKからURLを取得する。
【0093】
一方で、車両1に備える情報処理装置は、画像マーカーMKから取得するURLと、特定の場所SPにおける位置情報と、を対応させる対応テーブルTBLを記憶している。そして、車両1は、対応テーブルTBLに基づいて、画像マーカーMKから取得したURLと対応する位置情報を特定の場所SPにおける位置情報として取得する。
【0094】
なお、位置情報取得システム20は、特定の場所SPが複数存在し、それぞれの特定の場所SPに画像マーカーMKが設置されるように構成されていても良い。例えば、位置情報取得システム20は、
図2において説明したように、複数の特定の場所SPを車両1が自律走行を行う場合に適用されても良い。この場合、車両1は、それぞれの特定の場所SPにおいて画像マーカーMKから位置情報を取得する。
【0095】
ここで、それぞれの特定の場所SPに設置される画像マーカーMKが表すコードは、それぞれ異なるURLを示すように構成される。これにより、車両1は、対応テーブルTBLに基づいて、それぞれの特定の場所SPにおける位置情報を選択して取得することができる。
【0096】
ただし、ユーザUSRがユーザ端末2を介してそれぞれの画像マーカーMKから取得することができる情報は同一となるように構成しても良い。例えば、画像マーカーMKが表すコードは、それぞれ異なるURLパラメータにより異なるURLを示す一方で、それぞれのURLは同一のウェブページを指定するものとしても良い。
【0097】
2-2.車両の構成例
第2の実施の形態に係る車両1の構成は、
図3に示す構成と同等であって良い。ただし、通信装置400は、サーバ3と情報の送受信を行うことができなくて良い。延いては、通信装置400に係る通信情報には、画像マーカーMKから取得するURL及び位置情報が含まれていなくて良い。また、サーバ3は、画像マーカーMKから取得するURLが指定する一般的なサーバであって良い。つまり、サーバ3は、受信したURLの送信元に応じた動作をしなくて良い。
【0098】
ここで、メモリ110はデータDTとして、対応テーブルTBLを記憶している。ただし、対応テーブルTBLは、あらかじめ記憶されている情報であっても良いし、通信装置400を介して外部から取得して記憶される情報であっても良い。
【0099】
図11は、第2の実施の形態に係る対応テーブルTBLの例を示す概念図である。
図11には、対応テーブルTBLの例として、a(
図11上部)とb(
図11下部)の2つの例を示している。
【0100】
対応テーブルTBLは、画像マーカーMKから取得するURLに対して位置情報を対応させるデータである。画像マーカーMKに対応させる位置情報は、その画像マーカーMKが設置されている特定の場所SPにおいて車両1が自車の地図上の位置及び姿勢を特定することが可能な情報であり、
図5において説明したものと同等であって良い。
【0101】
aでは、位置情報取得システム20において、それぞれの画像マーカーMKから取得するURLの末尾が異なる場合の対応テーブルTBLの例を示している。対応テーブルTBLでは、それぞれのURLに対して、車両1の3次元座標及びヨー角(X,Y,Z,θ)を対応させている。
【0102】
bでは、位置情報取得システム20において、それぞれの画像マーカーMKから取得するURLのURLパラメータが異なる場合の対応テーブルTBLの例を示している。aの場合と同様に、対応テーブルTBLでは、それぞれのURLに対して、車両1の3次元座標及びヨー角(X,Y,Z,θ)を対応させている。
【0103】
2-3.情報処理装置が実行する処理
図12は、第2の実施の形態に係る情報処理装置100が実行する処理を説明するためのブロック図である。
図12に示すように、情報処理装置100が実行する処理は、画像マーカー識別処理部MRUと、変換処理部CVUと、自己位置推定処理部LCUと、自律走行制御処理部ADUと、により構成される。これらは、プログラムPGの部分として実現されていても良いし、情報処理装置100を構成している別個のコンピュータにより実現されていても良い。
【0104】
自己位置推定処理部LCUと、自律走行制御処理部ADUは、
図4において説明したものと同等である。
【0105】
画像マーカー識別処理部MRUは、カメラCAMが出力する画像データから、カメラCAMにより撮像された画像マーカーMKを識別してURLを取得する処理を実行する。画像マーカー識別処理部MRUは、画像マーカーMKに係る所定の識別方法に基づいて処理を実行する。画像マーカー識別処理部MRUにより取得したURLは、変換処理部CVUに伝達される。
【0106】
なお、画像マーカー識別処理部MRUは、HMI装置300の所定の操作が行われたときに処理を実行するように構成されていても良い。
【0107】
変換処理部CVUは、対応テーブルTBLに基づいて、画像マーカー識別処理部MRUにより取得したURLと対応する位置情報を出力する。変換処理部CVUが出力する位置情報は、自己位置推定処理部LCUに伝達される。
【0108】
2-4.位置情報取得方法
以下、第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20による位置情報取得方法について説明する。
【0109】
図13は、第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20による位置情報取得方法を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、車両1が特定の場所SPに停車し、カメラCAMが画像マーカーMKを撮像している場合において実行される。処理の開始の判断は、所定の周期毎に繰り返し行われても良いし、車両1のオペレータ等がHMI装置300の所定の操作を行ったことを条件として行われても良い。
【0110】
ステップS300では、カメラCAMが車両1の周囲の環境を撮像し、情報処理装置100がカメラCAMから画像データを取得する。ステップS300の後、処理は、ステップS310に進む。
【0111】
ステップS310では、画像マーカー識別処理部MRUにより、画像データから画像マーカーMKを識別し、URLを取得する。ステップS310の後、処理はステップS320に進む。
【0112】
ステップS320において、変換処理部CVUにより、対応テーブルTBLに基づいて、取得したURLと対応する位置情報を取得する。ステップS320の後、処理を終了する。
【0113】
2-5.効果
以上説明したように、第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20によれば、特定の場所SPに設置される画像マーカーMKにより、車両1が特定の場所SPにおける位置情報を取得することができる。一方で、画像マーカーMKが表すコードを適当なデータを示すように構成することができる。特に、画像マーカーMKが表すコードがURLを示すとし、URLが指定するウェブページをユーザUSRにとって意味のある情報(例えば、時刻表やサービスの情報)とすることができる。延いては、ユーザUSRが画像マーカーMKから無意味な情報を取得することを防ぐことができる。
【0114】
2-6.変形例
第2の実施の形態に係る位置情報取得システム20は、以下のように変形した態様を採用しても良い。以下、前述した内容において説明した事項については適宜省略している。
【0115】
2-6-1.変形例1
変換処理部CVUは、画像マーカー識別処理部MRUにより取得したURLから特定の部分を抽出する処理を実行し、抽出した部分と対応する位置情報を出力するように構成しても良い。この場合に、対応テーブルTBLは、抽出する部分に対して位置情報を対応させるデータとなる。
【0116】
図14は、第2の実施の形態の変形例1に係る位置情報取得システム20において、変換処理部CVUが実行する処理(
図13におけるステップS320)を示すフローチャートである。ここで、それぞれの画像マーカーMKから取得されるURLは、
図11のaに示すように、http://XXX.IDj(j=1,2,・・・)、の形式であるとし、IDjを特定の部分とする。
【0117】
ステップS321において、変換処理部CVUは、対象としない不正なURLの除去を行う。例えば、取得したURLが、http://XXX.IDj、の形式に該当しない場合は、位置情報の取得を行わないと判断する。これにより、特定の部分のみを示すコードを読み取ることによる誤判断を防止することができる。ステップS321の後、処理はステップS322に進む。
【0118】
ステップS322において、変換処理部CVUは、特定の部分に抽出を行う。例えば、取得したURLが、http://XXX.IDj、であるとき、IDjの部分を抽出する。ステップS322の後、処理はステップS323に進む。
【0119】
ステップS323において、変換処理部CVUは、対応テーブルTBLに基づいて、抽出した特定の部分と対応する位置情報を取得する。
図15は、第2の実施の形態の変形例1に係る対応テーブルTBLの例を示す概念図である。
図15に示すように、対応テーブルTBLは、抽出した特定の部分(ID)に対して位置情報を対応させるデータである。ステップS323の後、処理を終了する。
【0120】
変形例1のように変形した態様を採用することで、対応テーブルTBLのデータのサイズを削減することができる。
【0121】
2-6-2.変形例2
画像マーカー識別処理部MRUは、さらに画像マーカーMKが表すコードの種別の情報を取得するように構成しても良い。変換処理部CVUは、画像マーカーMKから取得したURLとコードの種別の組み合わせと対応する位置情報を出力するように構成しても良い。
【0122】
画像マーカーMKが表すコードは、一般に、データに関わらない複数の種別を与えることができる。例えば、マトリックス型の2次元コードでは、ファインダパターンによりコードの方向を与えている。このコードの方向により、コードの種別を与えることができる。あるいは、コードのバージョン、コードのマスクパターン、コードのサイズの違い、誤り訂正レベル等によってもコードの種別を与えることができる。
【0123】
変形例2に係る画像マーカー識別処理部MRUは、さらにこのような画像マーカーMKが表すコードの種別の情報を取得し、取得したコードの種別の情報を変換処理部CVUに伝達する。そして、変換処理部CVUは、対応テーブルTBLに基づいて、画像マーカーMKから取得したURLとコードの種別の組み合わせと対応する位置情報を出力する。この場合に、対応テーブルTBLは、URLとコードの種別の組み合わせに対して位置情報を対応させるデータとなる。
【0124】
図16は、第2の実施の形態の変形例2に係る対応テーブルTBLの例を示す概念図である。
図16に示すように、対応テーブルTBLは、URLとコードの種別の組み合わせに対して位置情報を対応させるデータである。つまり、URLが同一であっても、コードの種別が異なる場合は、異なる位置情報を対応させる。なお、対応テーブルTBLは、URLと複数のコードの種別との組み合わせに対して位置情報を対応させるデータであっても良い。
【0125】
変形例2のように変形した態様を採用することで、1つのURLに対して対応させることが可能な位置情報をより多く与えることができる。
【0126】
2-6-3.変形例3
情報処理装置100は、カメラCAMから取得する画像データに対して、画像マーカーMKを識別する領域(識別領域IDA)を指定する処理を実行するように構成されていても良い。
【0127】
変形例3のように変形した態様を採用することで、識別領域IDAを算出することで、情報処理装置100による画像マーカーMKの識別において、誤認識の低減や読み取り速度の向上を図ることができる。また、画像マーカーMKのサイズや設置する箇所の柔軟性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0128】
1 車両
2 ユーザ端末
3 サーバ
SP 特定の場所
10,20 位置情報取得システム
CAM カメラ
100 情報処理装置
400 通信装置
MRU 画像マーカー識別処理部
CVU 変換処理部
MK 画像マーカー
TBL 対応テーブル