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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】固体撮像素子、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231121BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20231121BHJP
   H04N 25/778 20230101ALI20231121BHJP
   H04N 23/12 20230101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H04N25/70
H04N25/778
H04N23/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021159060
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2016070060の分割
【原出願日】2016-03-31
(65)【公開番号】P2022002331
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】伊東 恭佑
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-029337(JP,A)
【文献】特開2008-072098(JP,A)
【文献】特開2011-029453(JP,A)
【文献】特開2013-062789(JP,A)
【文献】特開2010-114323(JP,A)
【文献】特開2013-084785(JP,A)
【文献】特開2013-211615(JP,A)
【文献】特開2009-295937(JP,A)
【文献】特開2013-021169(JP,A)
【文献】特開2016-009739(JP,A)
【文献】特開2011-159757(JP,A)
【文献】特開2014-183206(JP,A)
【文献】特開2013-012556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008553(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0312461(US,A1)
【文献】特開2011-071347(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0274874(US,A1)
【文献】特開2013-038118(JP,A)
【文献】特開2012-084610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0307040(US,A1)
【文献】特開2014-033054(JP,A)
【文献】特開2011-097418(JP,A)
【文献】特開2011-108839(JP,A)
【文献】特開2011-199196(JP,A)
【文献】特開2011-114324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H04N 25/778
H04N 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の第1の画素、第2の画素、および第3の画素が横並びで隣接し、
前記第1乃至第3の画素のそれぞれは、
入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、
前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、貫通電極で形成されたの読み出し部と、
前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、縦型トランジスタで形成されたの読み出し部と、
前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出し、平面トランジスタで形成された第3の読み出し部と、
前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部と
を備え、
前記第1の画素の前記第2の読み出し部と前記第2の画素の前記第2の読み出し部との間に形成され、前記第1の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第2の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と、
前記第2の画素の第3の光電変換部と前記第3の画素の第3の光電変換部の間に形成され、前記第2の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第3の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と
を備え、
前記第2の画素の前記第3の読み出し部と前記第3の画素の前記第3の読み出し部は、前記第2の画素の前記第2の読み出し部と前記第3の画素の前記第2の読み出し部との間に設けられている
固体撮像素子。
【請求項2】
隣接する2×2画素である前記第1の画素、前記第2の画素、第4の画素、および第5の画素において、前記第の蓄積部は、前記2×2画素間に形成され、前記2×2画素にそれぞれ形成されている前記第の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
隣接する2×2画素である前記第2の画素、前記第3の画素、前記第5の画素、および第6の画素において、前記第の蓄積部は、前記2×2画素間に形成され、前記2×2画素にそれぞれ形成されている前記第の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
固体撮像素子を含む電子機器において、
前記固体撮像素子は、
光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の第1の画素、第2の画素、および第3の画素が横並びで隣接し、
前記第1乃至第3の画素のそれぞれは、
入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、
前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、貫通電極で形成されたの読み出し部と、
前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、縦型トランジスタで形成されたの読み出し部と、
前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出し、平面トランジスタで形成された第3の読み出し部と、
前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部と
を備え、
前記第1の画素の前記第1の読み出し部と前記第2の画素の前記第1の読み出し部との間に形成され、前記第1の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第2の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と、
前記第2の画素の第3の光電変換部と前記第3の画素の第3の光電変換部の間に形成され、前記第2の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第3の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と
を備え、
前記第2の画素の前記第3の読み出し部と前記第3の画素の前記第3の読み出し部は、前記第2の画素の前記第2の読み出し部と前記第3の画素の前記第2の読み出し部との間に設けられている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子、および電子機器に関し、特に、1画素の領域からR(赤)、G(緑)、B(青)の各色信号を生成できるようにした縦分光方式の固体撮像素子、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の深さ方向に複数の光電変換部(PD(フォトダイオード)など)を積層するなどして、1画素の領域から複数の色信号を生成できる縦分光方式の固体撮像素子が提案されている。
【0003】
縦分光方式の固体撮像素子は、デモザイク処理を必要としないために偽色が発生しにくいこと、1画素の領域からR,G,Bのいずれか1色の色信号を生成する従来の個体撮像素子に比較して光の利用効率が高いことなどのメリットがある。
【0004】
また、従来、固体撮像素子では画素の微細化を実現するためのFD(フローティングディフージョン)を複数の画素で共有する技術が存在し、縦分光方式の固体撮像素子に対しても複数の画素でFDを共有する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図1は、複数の画素でFDを共有する縦分光方式の固体撮像素子の構成の一例を示している。
【0006】
この固体撮像素子10は、裏面側(図面下側)から光が入射される裏面照射型である。
固体撮像素子10の画素1には、Si基板11の裏面外側に入射光のG成分の波長に応じて光電変換を行う光電変換膜(G)12-1が形成され、Si基板11内に裏面側から順に、入射光のB成分の波長に応じて光電変換を行うPD(B)13-1と、入射光のR成分の波長に応じて光電変換を行うPD(R)14-1が積層されている。
【0007】
PD(B)13-1には縦型Tr(トランジスタ)16-1が接続されている。PD(R)14-1の表面側(図面上側)には平面Tr17-1が形成されている。
【0008】
同様に、画素2には、Si基板11の裏面外側に光電変換膜(G)12-2が形成され、Si基板11内に裏面側から順に、PD(B)13-2とPD(R)14-2が積層されている。
【0009】
PD13-2には縦型Tr16-2が接続されている。PD(R)14-2の表面側には平面Tr17-2が形成されている。
【0010】
さらに、画素間にはFD15が形成されている。例えば、画素1と画素2の間にはFD15-2が形成されている。
【0011】
固体撮像素子10の画素1においては、実線矢印で示すように、PD(B)13-1により光電変換された電荷は、縦型Tr16-1を介してFD15-2に伝送、蓄積される。また、PD(R)14-1により光電変換された電荷は、平面Tr17-1を介してFD15-1に伝送、蓄積される。
【0012】
また、画素2においては、PD13-2(B)により光電変換された電荷は、縦型Tr16-2を介してFD15-3に伝送、蓄積される。また、PD(R)14-2により光電変換された電荷は、平面Tr17-2を介してFD15-2に伝送、蓄積される。
【0013】
すなわち、固体撮像素子10では、隣り合う画素1,2であってSi基板11の異なる深さに形成されており、光電変換を行う光の波長が異なるPD(B)13-1とPD(R)14-2がFD15-2を共有するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2010-114323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図1に示された固体撮像素子10の構成では、縦型Tr16の転送領域と平面Tr17の転送領域とが隣接しているので、それぞれを同時に最適化することが難しく微細化に不利である。また、PD(R)14-2に電荷が蓄積されている状態で縦型Tr16-1がオンとされた場合、図中に破線矢印で示すように、PD(R)14-2の電荷が縦型Tr16-1によって誤って読み出されてしまう事象を指す電荷のショートが起こり、混色が発生し得る。
【0016】
さらに、光電変換を行う光の波長が異なるPD(B)13とPD(R)14がFD15を共有するので、色毎の変換効率を最適化できない。また、光電変換を行う光の波長が異なるPD(B)13とPD(R)14がFD15を共有するので、FD15の後段に存在するアンプTr(不図示)をPD(B)13とPD(R)14に対して個別に最適化することもできない。
【0017】
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画素の微細化、変換効率およびアンプTrの最適化を実現できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本技術の一側面の固体撮像素子は、光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の第1の画素、第2の画素、および第3の画素が横並びで隣接し、前記第1乃至第3の画素のそれぞれは、入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、貫通電極で形成されたの読み出し部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、縦型トランジスタで形成されたの読み出し部と、前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出し、平面トランジスタで形成された第3の読み出し部と、前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部と、を備え、前記第1の画素の前記第2の読み出し部と前記第2の画素の前記第2の読み出し部との間に形成され、前記第1の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第2の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と、前記第2の画素の第3の光電変換部と前記第3の画素の第3の光電変換部の間に形成され、前記第2の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第3の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部とを備え、前記第2の画素の前記第3の読み出し部と前記第3の画素の前記第3の読み出し部は、前記第2の画素の前記第2の読み出し部と前記第3の画素の前記第2の読み出し部との間に設けられている固体撮像素子である。
【0019】
本技術の一側面の電子機器は、固体撮像素子を含む電子機器において、前記固体撮像素子は、光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の第1の画素、第2の画素、および第3の画素が横並びで隣接し、前記第1乃至第3の画素のそれぞれは、入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、貫通電極で形成されたの読み出し部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、縦型トランジスタで形成されたの読み出し部と、前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出し、平面トランジスタで形成された第3の読み出し部と、前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部と、を備え、前記第1の画素の前記第1の読み出し部と前記第2の画素の前記第1の読み出し部との間に形成され、前記第1の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第2の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と、前記第2の画素の第3の光電変換部と前記第3の画素の第3の光電変換部の間に形成され、前記第2の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第3の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部とを備え、前記第2の画素の前記第3の読み出し部と前記第3の画素の前記第3の読み出し部は、前記第2の画素の前記第2の読み出し部と前記第3の画素の前記第2の読み出し部との間に設けられている電子機器である。
【0020】
本技術の一側面の固体撮像素子においては、光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の第1の画素、第2の画素、および第3の画素が横並びで隣接し、前記第1乃至第3の画素のそれぞれには、入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、貫通電極で形成されたの読み出し部と、前記の光電変換部により変換された電荷を読み出し、縦型トランジスタで形成されたの読み出し部と、前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出し、平面トランジスタで形成された第3の読み出し部と、前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部とが備えられる。前記第1の画素の前記第2の読み出し部と前記第2の画素の前記第2の読み出し部との間に形成され、前記第1の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第2の画素の前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部と、前記第2の画素の第3の光電変換部と前記第3の画素の第3の光電変換部の間に形成され、前記第2の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷と、前記第3の画素の前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第の蓄積部とを備え、前記第2の画素の前記第3の読み出し部と前記第3の画素の前記第3の読み出し部は、前記第2の画素の前記第2の読み出し部と前記第3の画素の前記第2の読み出し部との間に設けられている
【0021】
本技術の一側面の電子機器においては、前記固体撮像素子が含まれる構成とされる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の第1および第2の一側面によれば、画素の微細化、変換効率およびアンプTrの最適化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の縦分光方式固体撮像素子の構成の一例を示す断面図である。
図2】本開示を適用した固体撮像素子の第1の構成例を示すブロック図である。
図3図2に示された固体撮像素子の構成例を示す平面図である。
図4図2に示された固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図5図2に示された固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
図6】本開示を適用した固体撮像素子の第2の構成例を示す平面図である。
図7】本開示を適用した固体撮像素子の第3の構成例を示す平面図である。
図8図2に示された固体撮像素子の製造工程を示す図である。
図9図2に示された固体撮像素子の製造工程を示す図である。
図10】本開示を適用した固体撮像素子の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示を実施するための最良の形態(以下、実施の形態と称する)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
本開示を適用した固体撮像素子の第1の構成例(第1の実施の形態)について図2乃至図5を参照して説明する。
【0026】
図2は第1の実施の形態である固体撮像素子20の1画素分の構成例を示すブロック図である。ただし、図2は該固体撮像素子20の所定の断面を表すものではない。
【0027】
図3は該固体撮像素子20の横方向に隣接する3画素分の平面図、図4図3の線分AA’における断面図、図5図3の線分BB’における断面図である。
【0028】
固体撮像素子20は、隣接する2画素でFDを共有するようになされている。
【0029】
固体撮像素子20の各画素には、Si基板21の裏面外側に入射光のG成分に対して感度を有する光電変換膜(G)22が形成され、Si基板11内には裏面側から順に、入射光のB成分に対して感度を有するPD(B)27と、入射光のR成分に対して感度を有するPD(R)30が積層されている。光電変換膜(G)22の裏面側(図面下側)にはオンチップレンズ33が形成されている。
【0030】
以下、例えば、画素1における光電変換膜(G)22は、光電変換膜(G)22-1と称する。他の構成要素についても同様とする。
【0031】
光電変換膜(G)22の上下には、上部電極23と下部電極24が光電変換膜(G)22を挟むように形成されている。下部電極24には貫通電極25が接続されている。PD(B)27には縦型Tr28が接続されている。PD(R)30の表面側には平面Tr31が形成されている。
【0032】
また、Si基板21内の表面側の画素間には、光電変換膜(G)22からの電荷を蓄積するFD26、PD(B)27からの電荷を蓄積するFD29、および、PD(R)30からの電荷を蓄積するFD32が形成されている。FD26,29,32は、それぞれ隣接する2画素により共有される。以下、例えば、画素1と画素2の間に形成されたFD29をFD29-12と称する。FD26およびFD32についても同様とする。
【0033】
例えば、図4に示されるように、画素1と画素2の間に形成されたFD29-12は、画素1と画素2により共有される。よって、固体撮像素子20においては、実線矢印で示すように、画素1のPD(B)27-1により光電変換された電荷が、縦型Tr28-1を介してFD29-12に伝送、蓄積される。画素1に隣接する画素2のPD(B)27-2により光電変換された電荷も、縦型Tr28-2を介してFD29-12に伝送、蓄積される。
【0034】
また例えば、画素2と画素3の間に形成されたFD32-23は、画素2と画素3により共有される。よって、固体撮像素子20において、画素2のPD(R)30-2により光電変換された電荷が、平面Tr31-2を介してFD32-23に伝送、蓄積される。
画素2に隣接する画素3のPD(R)30-3により光電変換された電荷も、平面Tr31-3を介してFD32-23に伝送、蓄積される。
【0035】
なお、光電変換膜(G)22からの電荷を蓄積するFD26については、複数の画素により共有されておらず、画素毎に形成されている。ただし、FD26が複数の画素により共有されるようにしてもよい。
【0036】
固体撮像素子20によれば、FD以降の画素トランジスタも共用できるので、画素の微細化を進めることができる。また、縦型Tr28と平面Tr31の転送領域を離すことができたので、同時にそれぞれを最適化することができ、画素の微細化に有利となることに加え、従来構成で発生し得た隣接画素からの電荷のショートに起因する混色も抑止できる。
【0037】
さらに、隣り合う画素であってSi基板21内における形成されている深さが等しく、光電変換を行う光の波長が等しいPD(B)27どうし、および、PD(R)30どうしがFDを共有するので、色毎に変換効率やアンプトランジスタを最適化することが可能となる。
【0038】
<第2の実施の形態>
次に、本開示を適用した固体撮像素子の第2の構成例(第2の実施の形態)について図6を参照して説明する。
【0039】
図6は第2の実施の形態である固体撮像素子50の6画素分の平面図である。該固体撮像素子50の1画素分の構成例は、図2に示された固体撮像素子20の構成例と同様である。
【0040】
固体撮像素子50は、隣接する2×2画素でFDを共有するようになされている。
【0041】
例えば、図6に示されるように、画素1,2,4,5の間に形成されたFD29は、画素1,2,4,5それぞれの同じ深さに形成されているPD(B)27により共有される。また、画素2,3,5,6の間に形成されたFD32は、画素2,3,5,6それぞれの同じ深さに形成されているPD(R)30により共有される。
【0042】
固体撮像素子50によれば、上述した固体撮像素子20と同様の効果を得られることに加えて、画素トランジスタ数をより削減することができ、画素の微細化をより進めることができる。
【0043】
<第3の実施の形態>
次に、本開示を適用した固体撮像素子の第3の構成例(第3の実施の形態)について図6を参照して説明する。
【0044】
図7は第3の実施の形態である固体撮像素子60の6画素分の平面図である。該固体撮像素子60は、図6に示された第2の実施の形態である固体撮像素子50に対して、画素1,2,4,5で共有されるFD29と、画素2,3,5,6の間で共有されるFD32とを接続する配線61を追加し、FD29とFD32の後段に配置される各種トランジスタ(不図示)を共有するようになされている。
【0045】
固体撮像素子60によれば、FD以降の画素トランジスタも共用できるので、上述した固体撮像素子50よりも画素トランジスタ数を削減することができ、画素の微細化をより進めることができる。
【0046】
また、縦型Tr28と平面Tr31の転送領域を離すことができたので、同時にそれぞれを最適化することができ、画素の微細化に有利となることに加え、従来構成で発生し得た隣接画素からの電荷のショートに起因する混色も抑止できる。
【0047】
さらに、固体撮像素子60の場合、画素配線を最短となる構造のため、FDの容量を小さくすることができる、変換効率を上げることができる、画素の1辺に他の素子を配置することができるなどの効果がある。
【0048】
<第1の実施の形態である固体撮像素子20の製造方法>
次に、第1の実施の形態である固体撮像素子20の製造方法について、図8および図9を参照して説明する。
【0049】
図8および図9は、固体撮像素子20の製造工程を示している。
【0050】
まず、図8Aに示すように、Si基板21に対してI.I.(イオンインプラント)により不純物を打ち込んでPD(B)27を形成し、図8Bに示すように、エピタキシャル成長によりSi基板21の厚みを増し、図8Cに示すように、I.I.により不純物を打ち込んでPD(R)30を形成する。
【0051】
次に、図8Dに示すように、縦型Tr28および平面Tr31(不図示)を形成し、図9Aに示すように、画素間にFD26(不図示)、FD29,FD32(不図示)を形成して、図9Bに示すように、Si基板21の表面側に配線層71を形成し、Si基板21の裏面側を研磨する。
【0052】
次に、図9Cに示すように、貫通電極25を形成し、Si基板21の裏面外側に光電変換膜(G)22とオンチップレンズ33を形成する。
【0053】
なお、固体撮像素子50,60の製造方法についても同様なので、その説明は省略する。
【0054】
<イメージセンサの使用例>
図10は、上述した固体撮像素子20,50,60を使用する使用例を示す図である。
【0055】
固体撮像素子20,50,60は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0056】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0057】
なお、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0058】
本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の固体撮像素子において、
各画素の領域に形成され、入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、
各画素の領域に形成され、前記第1の光電変換部により変換された電荷を読み出す第1の読み出し部と、
隣接する画素間に形成され、前記隣接する複数の画素にそれぞれ形成されている前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部と
を備える固体撮像素子。
(2)
前記第1の読み出し部は、縦型トランジスタである
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記第1の読み出し部は、隣接する画素間に形成された前記第1の蓄積部に隣接した各画素の領域に形成されている
前記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記第1の蓄積部は、隣接する2画素間に形成され、前記隣接する2画素にそれぞれ形成されている前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)
前記第1の蓄積部は、隣接する2×2画素間に形成され、前記隣接する2×2画素にそれぞれ形成されている前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)
各画素の領域の前記第1の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1の波長とは異なる第2の波長に応じて光電変換を行う第2の光電変換部と、
各画素の領域に形成され、前記第2の光電変換部により変換された電荷を読み出す第2の読み出し部と、
隣接する画素間に形成され、前記隣接する複数の画素にそれぞれ形成されている前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第2の蓄積部と
をさらに備える前記(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
前記第2の読み出し部は、平面トランジスタである
前記(6)に記載の固体撮像素子。
(8)
前記第2の読み出し部は、隣接する画素間に形成された前記第2の蓄積部に隣接した各画素の領域に形成されている
前記(6)または(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記第2の蓄積部は、隣接する2画素間に形成され、前記隣接する2画素にそれぞれ形成されている前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(6)から(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(10)
前記第2の蓄積部は、隣接する2×2画素間に形成され、前記隣接する2×2画素にそれぞれ形成されている前記第2の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(6)から(8)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(11)
前記第1の蓄積部と前記第2の蓄積部は、配線により接続されている
前記(6)から(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12)
各画素の領域の前記第1および第2の光電変換部に積層して形成され、入射光の前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長に応じて光電変換を行う第3の光電変換部と、 各画素の領域に形成され、前記第3の光電変換部により変換された電荷を読み出す第3の読み出し部と、
隣接する画素間に形成され、前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第3の蓄積部と
をさらに備える前記(6)から(11)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(13)
前記第3の読み出し部は、貫通電極である
前記(12)に記載の固体撮像素子。
(14)
前記第3の読み出し部は、隣接する画素間に形成された前記第3の蓄積部に隣接した各画素の領域に形成されている
前記(12)または(13)に記載の固体撮像素子。
(15)
前記第3の蓄積部は、隣接する2画素間に形成され、前記隣接する2画素にそれぞれ形成されている前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(12)から(14)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(16)
前記第3の蓄積部は、隣接する2×2画素間に形成され、前記隣接する2×2画素にそれぞれ形成されている前記第3の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する
前記(12)から(14)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(17)
光電変換を行う光の波長が異なる複数の光電変換部が各画素の領域に積層されている縦分光方式の固体撮像素子が搭載された電子機器において、
前記固体撮像素子は、
各画素の領域に形成され、入射光の第1の波長に応じて光電変換を行う第1の光電変換部と、
各画素の領域に形成され、前記第1の光電変換部により変換された電荷を読み出す第1の読み出し部と、
隣接する画素間に形成され、前記隣接する複数の画素にそれぞれ形成されている前記第1の読み出し部により読み出された前記電荷を蓄積する第1の蓄積部とを備える
電子機器。
【符号の説明】
【0059】
20 固体撮像素子, 21 Si基板, 22 光電変換膜(G), 25 貫通電極, 26 FD, 27 PD(B), 28 縦型Tr, 29 FD, 30 PD(R), 31 平面Tr, 32 FD, 33 オンチップレンズ, 50,60 固体撮像素子, 61 配線, 71 配線層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10