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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】液体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20231121BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20231121BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/175 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/175 119
B41J2/17
B41J2/175 167
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021204743
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2017197176の分割
【原出願日】2017-10-10
(65)【公開番号】P2022027963
(43)【公開日】2022-02-14
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】上田 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 幹生
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0118259(US,A1)
【文献】特開2016-97649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
第2液室を有するタンクであって、
一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、
上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、
一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、
を有する上記タンクと、
上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着された状態において、上記第2流路が大気に連通されており、上記第1液室と上記第2液室との間で上記第1流路および上記第3流路を通じて水頭差によって液体が移動し、
上記コントローラは、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が第4時間に到達したことに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行し、
上記第4時間は、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点から、上記第1液室の液体の液面と上記第2液室の液体の液面との上下方向の位置が一致した状態となるまでの経過時間よりも短い時間である液体排出装置。
【請求項2】
液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
第2液室を有するタンクであって、
一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、
上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、
一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、
を有する上記タンクと、
上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、
温度センサと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が第4時間に到達したことに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行し、
上記温度センサから受信した信号による温度が所定温度より低いことに応じて、上記第4時間に代えて、上記第4時間より長い第5時間を設定し、
上記経過時間が上記第5時間に到達したことに応じて、上記初期処理を実行する液体排出装置。
【請求項3】
液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
第2液室を有するタンクであって、
一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、
上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、
一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、
を有する上記タンクと、
上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、
インターフェースと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記インターフェースを通じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから上記第1液室に初期容量の液体が貯留されていることを示す識別情報を読み出したことを条件として、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が第4時間に到達したことに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行する液体排出装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
上記カートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室が貯留する液体の液量Vcを読み出し、
読み出した上記液量Vcに基づいて、上記初期処理を実行した後の上記第1液室が貯留する液体の液量Vc及び上記第2液室が貯留する液体の液量Vsを決定し、
決定した上記液量Vcを上記インターフェースを通じて上記カートリッジメモリに書き込む請求項に記載の液体排出装置。
【請求項5】
液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、
第2液室を有するタンクであって、
一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、
上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、
一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、
を有する上記タンクと、
上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、
メモリと、
コントローラと、を備える液体排出装置であって、
上記コントローラは、
上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、
上記メモリから、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理が実行されていないことに対応する第1値を読み出したことを条件として、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が第4時間に到達したことに応じて、上記初期処理を実行し、
上記初期処理を終了したことに応じて、上記第1値を、上記初期処理が実行されたことに対応する第2値に更新する液体排出装置。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を排出する液体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、着脱可能なメインタンクと、装着されたメインタンクから供給されたインクを貯留するサブタンクと、サブタンクに貯留されたインクを吐出して画像を記録する画像記録ユニットとを備えるインクジェットプリンタが知られている(例えば、特許文献1)。また、上記インクジェットプリンタは、メインタンク及びサブタンクの内部空間が大気に開放されている。そのため、メインタンクをインクジェトプリンタに装着すると、メインタンクの内部空間の水頭及びサブタンクの内部空間の水頭の差(以下、「水頭差」と標記する。)によって、メインタンク及びサブタンクの液面が同一高さに揃うように、水頭圧によってインクが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-213162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インクジェットプリンタの初期動作として、インクの初期処理が設定されている。初期処理は、インクジェットプリンタにメインタンクが装着された後、サブタンクから記録ヘッドへインクを流入させて、記録ヘッドがインクを吐出可能な状態にするための動作である。初期処理において、サブタンクから記録ヘッドに至るインクの流路に空気が進入しない程度に、サブタンクにインクが貯留されていることが望ましい。したがって、インクジェットプリンタにメインタンクが装着された後、水頭圧によってメインタンクからサブタンクへインクが流入して、メインタンク及びサブタンクの液面が同一高さに揃った後に、初期処理が開始されることが考えられる。
【0005】
しかしながら、インクジェットプリンタにメインタンクが装着されてから初期処理が実行されるまでの時間が長ければ、インクジェットプリンタが使用可能となるまでに、ユーザを長時間待たせるという不都合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着ケースにカートリッジが装着されてから、第2液室からヘッドへ液体を流入させるための初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、第2液室を有するタンクであって、一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、を有する上記タンクと、上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、液面センサと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、上記第2液室内の液面の位置が所定位置以上であることに応じて上記液面センサが出力する第1信号を、上記液面センサから受信し、上記第2液室内の液面の位置が上記所定位置未満であることに応じて上記液面センサが出力する第2信号を、上記液面センサから受信し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定したこと、且つ、上記第2信号を受信した後に上記第1信号を上記液面センサから受信したことに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行する。
【0008】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、第2液室から第4流路へ空気が進入することなく初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記コントローラは、上記初期処理を実行している間に、上記第2信号を上記液面センサから受信したことに応じて、上記初期処理を中断し、上記初期処理を中断した後に、上記第1信号を上記液面センサから受信したことに応じて、中断している上記初期処理を実行する。
【0010】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流れが悪いなどを原因として、初期処理を実行している間に、第2液室の液面が所定位置未満となったときには、初期処理を中断して、第2液室から第4流路へ空気が進入することが抑制される。
【0011】
(3) 好ましくは、上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点から、上記第1信号を上記液面センサから受信するまでの第1経過時間が、第1時間に到達していることに応じて、上記初期処理を実行せず、上記第1信号を上記液面センサから受信してからの第2経過時間が第2時間に到達したことに応じて、上記初期処理を実行する。
【0012】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流量が少ないときには、装着ケースにカートリッジが装着された後、初期処理を開始するタイミングを遅くすることができる。これにより、第2液室から第4流路へ空気が進入することが抑制される。
【0013】
(4) 好ましくは、上記液体排出装置は、報知機を更に備えており、上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの第3経過時間が、上記第1時間より長い第3時間に到達したこと、且つ、上記第1信号を受信せずに上記第2信号を上記液面センサから受信したことに応じて、上記報知機を作動する。
【0014】
上記構成によれば、第1液室から第2液室への液体の流量が更に少ないときには、第1液室から第2液室への液体の流入に異常があることがユーザに知らされる。
【0015】
(5) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、第2液室を有するタンクであって、一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、 一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、を有する上記タンクと、上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記装着センサに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間が第4時間に到達したことに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行する。
【0016】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、第2液室から第4流路へ空気が進入することなく初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0017】
(6) 好ましくは、上記液体排出装置は、温度センサを更に備えており、上記コントローラは、上記温度センサから受信した信号による温度が所定温度より低いことに応じて、上記第4時間に代えて、上記第4時間より長い第5時間を設定し、上記経過時間が上記第5時間に到達したことに応じて、上記初期処理を実行する。
【0018】
上記構成によれば、温度が低く液体の粘度が高いことにより、第1液室から第2液室への流量が少なくなれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、初期処理を実行するタイミングが遅くなるので、第2液室から第4流路へ空気が進入することが抑制される。
【0019】
(7) 好ましくは、上記液体排出装置は、インターフェースを更に備えており、上記コントローラは、上記インターフェースを通じて、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから上記第1液室に初期容量の液体が貯留されていることを示す識別情報を読み出したことを条件として、上記初期処理を実行する。
【0020】
上記構成によれば、初期容量の液体を貯留しないカートリッジが装着ケースに装着されたときには、初期処理が実行されないので、第2液室から第4流路へ空気が進入することが抑制される。
【0021】
(8) 本発明に係る液体排出装置は、液体が貯留された第1液室、一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第1流路、及び一端が上記第1液室と連通され且つ他端が外部と連通される第2流路を有するカートリッジが装着される装着ケースと、第2液室を有するタンクであって、一端が外部と連通され且つ他端が上記第2液室と連通される第3流路であって、上記カートリッジが上記装着ケースに装着されたときに、上記第1液室及び上記第2液室を連通させる流路を、上記第1流路と共に構成する上記第3流路と、上記第3流路よりも下方に位置する一端が上記第2液室と連通される第4流路と、一端が上記第2液室に連通され且つ他端が外部と連通される第5流路と、を有する上記タンクと、上記第4流路の他端と連通されるヘッドと、インターフェースと、コントローラと、を備える。上記コントローラは、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたか判定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した後に、上記カートリッジが有するカートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室に貯留された液体の液量Vcを読み出し、上記第1液室から上記第2液室へ液体が流入する流量Qcを、読み出した上記液量Vcに基づいて決定し、上記装着ケースに上記カートリッジが装着されたと判定した時点からの経過時間を上記流量Qcに乗じて、上記第2液室に貯留されている液量Vsを算出し、上記流量Qcが第1閾値以上であり、且つ上記液量Vsが第2閾値以上であることに応じて、上記第1液室に貯留された液体を上記ヘッド及び上記第4流路に導入させる初期処理を実行する。
【0022】
上記構成によれば、装着ケースにカートリッジが装着された後、第2液室から第4流路へ空気が進入することなく初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0023】
(9) 好ましくは、上記コントローラは、上記流量Qcが上記第1閾値未満であることを条件として、上記第1閾値と上記流量Qcとの差に、上記初期処理が実行される時間を乗じた液量Vthを、上記第2閾値に加えた第2閾値に加えた第3閾値を算出し、上記液量Vsが上記第3閾値以上であることに応じて、上記ヘッド又は上記第4流路を通じて液体を排出させる初期処理を実行する。
【0024】
上記構成によれば、流量Qcに応じて、装着ケースにカートリッジが装着されてから初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0025】
(10) 好ましくは、上記コントローラは、上記カートリッジメモリから、上記インターフェースを通じて、上記第1液室が貯留する液体の液量Vcを読み出し、読み出した上記液量Vcに基づいて、上記初期処理を実行した後の上記第1液室が貯留する液体の液量Vc及び上記第2液室が貯留する液体の液量Vsを決定し、決定した上記液量Vcを上記インターフェースを通じて上記カートリッジメモリに書き込む。
【0026】
(11) 好ましくは、上記液体排出装置は、メモリを更に備えており、上記コントローラは、上記メモリから、上記初期処理が実行されていないことに対応する第1値を読み出したことを条件として上記初期処理を実行し、上記初期処理を終了したことに応じて、上記第1値を、上記初期処理が実行されたことに対応する第2値に更新する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、装着ケースにカートリッジが装着されてから、第2液室からヘッドへ向けて空気が進入することなく、第2液室からヘッドへ液体を流入させるための初期処理が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、プリンタ10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が被覆位置である状態、(B)はカバー87が露出位置である状態を示す。
図2図2は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
図3図3は、装着ケース150の縦断面図である。
図4図4は、カートリッジ200の構造を示す図であって、(A)は前方斜視図を、(B)は縦断面図を示す。
図5図5は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態の縦断面図である。
図6図6は、プリンタ10のブロック図である。
図7図7は、第1実施形態の初期処理のフローチャートである。
図8図8(A)は、装着ケース150に初めてカートリッジ200が装着された直後の状態の模式図であって、図8(B)は、装着ケース150に初めてカートリッジ200が装着されて、液室171のインクの液面が所定位置Pに到達した状態を示す。
図9図9は、第2実施形態の初期処理のフローチャートである。
図10図10は、第3実施形態の初期処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0030】
[第1実施形態]
[プリンタ10の概要]
本実施形態に係るプリンタ10は、インクジェット記録方式でシートに画像を記録する液体排出装置の一例である。プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14を有している。また、プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する、所謂、「複合機」であってもよい。
【0031】
筐体14の内部には、図1及び図2に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、ヘッド21に対面するプラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、カートリッジ200が着脱される装着ケース150と、ヘッド21及び装着ケース150に装着されたカートリッジ200を連通させるチューブ32とが位置している。
【0032】
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200からチューブ32を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が記録される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が記録されたシートを排出トレイ16に排出する。
【0033】
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向に往復移動するキャリッジに搭載されていてもよい。そして、プリンタ10は、主走査方向の一方から他方へキャリッジを移動させる過程で、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させてもよい。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域(以下、「1パス」と表記する。)に画像が記録される。次に、プリンタ10は、次に画像が記録されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させてもよい。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が記録される。
【0034】
なお、本実施形態においては、画像記録におけるヘッド21のノズル29からのインクの排出が「吐出」と称され、他方、パージにおけるヘッド21のノズル29からのインクの排出が「吐出」と称されないが、「吐出」は「排出」に含まれる概念である。
【0035】
[カバー87]
図1に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を閉塞させる被覆位置(図1(A)に示される位置)と、開口85を開放する露出位置(図1(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、装着ケース150が位置している。
【0036】
[カバーセンサ88]
プリンタ10は、カバーセンサ88(図6参照)を有する。カバーセンサ88は、例えば、カバー87が接離するスイッチ等の機械式センサであってもよいし、カバー87の位置によって光が遮断或いは透過される光学式センサであってもよい。カバーセンサ88は、カバー87の位置に応じた信号をコントローラ130に出力する。より詳細には、カバーセンサ88は、カバー87が被覆位置に位置していることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、カバーセンサ88は、カバー87が被覆位置と異なる位置に位置していることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。換言すれば、カバーセンサ88は、カバー87が露出位置に位置していることに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0037】
[装着ケース150]
装着ケース150は、図3に示されるように、接点152と、ロッド153と、装着センサ154と、液面センサ155と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ154、液面センサ155は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
【0038】
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87を露出位置に配置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に露出させる。
【0039】
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に挿入され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8の後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8の前向きに通過する。
【0040】
[接点152]
接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ130に電気的に接続されている。接点152は、インターフェースの一例である。
【0041】
[ロッド153]
ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
【0042】
[装着センサ154]
装着センサ154は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ154は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ154は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245は、装着センサ154の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ154の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0043】
装着センサ154は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(図中では、「装着信号」と表記する。)を出力する。装着センサ154は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、装着センサ154は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。ハイレベル信号が第3信号、非装着信号の一例である。ローレベル信号が、第4信号、装着信号の一例である。
【0044】
[液面センサ155]
液面センサ155は、後述するアクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出するためのセンサである。液面センサ155は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。換言すれば、液面センサ155の発光部及び受光部は、検出位置に位置した被検出部194を挟んで、互いに対向した状態で位置している。液面センサ155は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号(図中では、「液面信号」と表記する。)を出力する。液面センサ155は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液面センサ155は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。ローレベル信号が第1信号の一例である。ハイレベル信号が、第2信号の一例である。
【0045】
[ロックピン156]
ロックピン156は、装着ケース150の内部空間の上端で且つ開口85付近において、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックピン156の左右方向9の両端は、装着ケース150の一対の側壁に固定されている。ロックピン156は、4つのカートリッジ200が収納可能な4つの空間に亘って左右方向9に延びている。ロックピン156は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、図5に示される装着位置に保持するためのものである。カートリッジ200は、装着ケース150に装着された状態で、ロックピン156に係合される。
【0046】
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、図3に示されるように、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2液室の一例である。
【0047】
タンク160を構成する壁のうち、少なくとも液面センサ155に対面する壁は、透光性を有している。これにより、液面センサ155が出力した光は、液面センサ155に対面する壁を透過することができる。後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。4つのタンク160の構成は、概ね共通する。
【0048】
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より上下方向7の下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ32(図2参照)に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ32を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ32を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ32は、一端(流出口174)が液室171に連通され、且つ他端33(図2参照)がヘッド21に連通された第4流路の一例である。
【0049】
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。貫通孔176は、半透膜178によって閉塞されている。半透膜178は、大気を通過させるが、インクを通過させない又はインクの通過に大気より大きな抵抗を付与するものである。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。すなわち、大気連通室175は、一端(貫通孔176)が液室171に連通され、且つ他端(大気連通ポート177)がプリンタ10の外部に連通された第5流路の一例である。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。
【0050】
[ジョイント180]
ジョイント180は、図3に示されるように、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の突出先端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184を通じて液室171に連通されている。ニードル181は、一端(開口183)がタンク160の外部に連通され、且つ他端(貫通孔184)が液室171に連通された第3流路の一例である。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、突出端が開口している。
【0051】
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の前向きに付勢している。
【0052】
[アクチュエータ190]
液室171には、アクチュエータ190が位置している。アクチュエータ190は、液室171内に配置された不図示の支持部材によって、矢印198、199の向きに回動可能に支持されている。アクチュエータ190は、図3の実線で示される位置及び破線で示される位置の間を回動することができる。さらに、アクチュエータ190は、不図示のストッパ(例えば、液室171の内壁)によって、実線の位置より矢印198の向きへの回動が規制される。アクチュエータ190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検出部194とを備える。
【0053】
フロート191は、液室171に貯留されるインクより比重が小さい材料で形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に突出している。軸192は、支持部材に形成された不図示の孔に挿入されている。これにより、アクチュエータ190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。アーム193は、フロート191から略上方へ延びている。被検出部194は、アーム193の突出先端部に位置している。被検出部194は、上下方向7及び前後方向8に延びる板状の部材である。被検出部194は、液面センサ155の発光部から出力された光を遮光する材料又は色で形成されている。
【0054】
液室171内のインクの液面が所定位置P以上のとき、浮力によって矢印198の向きに回動されたアクチュエータ190は、ストッパによって図3の実線で示される検出位置に保持される。一方、インクの液面が所定位置P未満のとき、アクチュエータ190は、液面の降下に追従して矢印199の向きに回動される。これにより、被検出部194は、検出位置から外れた位置に移動する。すなわち、被検出部194は、液室171に貯留されたインクの量に対応する位置に移動する。
【0055】
所定位置Pは、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。しかしながら、所定位置Pは、上下方向7における流出口174より上方の位置であれば、前述の位置に限定されない。他の例として、所定位置Pは、ニードル181の内部空間の上端や下端の高さでもよいし、インク供給口234の上端や下端の高さでもよい。
【0056】
液室171に貯留されたインクの液面が所定位置P以上のとき、液面センサ155の発光部から出力された光が被検出部194で遮られる。これにより、液面センサ155は、発光部からの光が受光部に到達しないので、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が所定位置P未満のとき、液面センサ155は、発光部から出力された光が受光部に到達するので、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。すなわち、コントローラ130は、液室171内のインクの液面が所定位置P以上か否かを、液面センサ155から出力される信号によって検出することができる。
【0057】
[カートリッジ200]
カートリッジ200は、液体の一例であるインクを内部に貯留可能な液室210(図2参照)を有する容器である。液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、図4(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
【0058】
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
【0059】
カートリッジ200の内部空間には、図4(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。液室210は、第1液室の一例である。
【0060】
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
【0061】
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通された第2流路の一例である。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の後ろ向きに付勢している。
【0062】
また、大気バルブ室214は、隔壁224によって、前後方向8において2つの部屋に分けられている。前後方向8の後方に位置する部屋には、バルブ222及びコイルバネ223が設けられており、大気連通口221を通じて外部と連通している。前後方向8の前方に位置する部屋は、貫通孔218を通じて上部液室211と連通している。隔壁224には貫通孔225が形成されている。貫通孔225は、前後方向8に分かれた2つの部屋を連通している。貫通孔225は、半透膜226によって閉塞されている。半透膜226は、大気を通過させるが、インクを通過させない又はインクの通過に大気より大きな抵抗を付与するものである。
【0063】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
【0064】
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から後方に突出している。供給管230は、その突出端(すなわち、後端)が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213は、一端(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他端(後述するインク供給口234)がカートリッジ200の外部と連通された第1流路の一例である。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
【0065】
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8の後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
【0066】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
【0067】
これにより、図5に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。すなわち、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、インクバルブ室213及びニードル181の内部空間は、カートリッジ200の液室210とタンク160の液室171とを連通させる流路を構成する。
【0068】
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。その結果、液室210に貯留されたインクは、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、水頭差によってタンク160の液室171に移動する。
【0069】
図4に示されるように、上壁204には、突起241が形成されている。突起241は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。突起241は、ロック面242と、傾斜面243とを有する。ロック面242及び傾斜面243は、上壁204より上方に位置している。ロック面242は、前後方向8の前方を向き且つ上下方向7及び左右方向9に延びている(すなわち、上壁204と概ね直交する)。傾斜面243は、上下方向7の上方及び前後方向8の後方を向くように、上壁204に対して傾斜している。
【0070】
ロック面242は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、ロックピン156に当接される面である。傾斜面243は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロックピン156をロック面242と当接する位置まで案内する面である。ロック面242とロックピン156とが当接した状態では、コイルバネ186、223、233の付勢力に抗して、カートリッジ200が図5に示される装着位置に保持される。
【0071】
ロック面242より前方において上壁204から上方へと延びるようにして、平板状の部材が形成されている。この平板状の部材の上面は、カートリッジ200を装着ケース150から抜去する際に、ユーザが操作する操作部244である。カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で且つカバー87が露出位置に位置しているとき、操作部244は、ユーザに操作可能となる。操作部244が下方へ押されると、カートリッジ200が回動することによって、ロック面242がロックピン156より下方へ移動する。その結果、カートリッジ200が装着ケース150から抜去することが可能となる。
【0072】
上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ154の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ154の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ154は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130に出力する。一方、装着センサ154は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130に出力する。すなわち、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ154から出力される信号によって検出することができる。
【0073】
上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、IC基板247が位置している。IC基板247には、電極248が形成されている。また、IC基板247は、不図示のメモリを備える。電極248は、IC基板247の上記メモリと電気的に接続されている。電極248は、IC基板247の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と電気的に導通する。コントローラ130は、接点152及び電極248を通じてIC基板247のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてIC基板247のメモリに情報を書き込むことができる。IC基板247のメモリが、カートリッジメモリの一例である。
【0074】
IC基板247のメモリは、初期インク量Vc0と、インク量Vcと、カートリッジ200の個体を識別するための識別情報などを記憶する。初期インク量Vc0は、新品のカートリッジ200に貯留されているインクの量を示す。以下、IC基板247のメモリに記憶されている情報を総称して、「CTG情報」と表記することがある。また、「新品」とは、いわゆる未使用品であり、製造されて販売されているカートリッジ200から、カートリッジ200内のインクが一度も外部へ流出していない状態を示す。初期カートリッジとは、液室210からインクが外部へ流出していない状態のものである。初期カートリッジにおいては、初期インク量Vc0がIC基板247に記憶されている。
【0075】
[コントローラ130]
コントローラ130は、図6に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、メモリの一例である。
【0076】
ASIC135は、給送ローラ23、搬送ローラ25、排出ローラ27、及びヘッド21を動作させるためのものである。コントローラ130は、ASIC135を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させる。また、コントローラ130は、ASIC135を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。ASIC135は、ノズル29を通じて吐出すべきインクの量に応じて、複数種類の駆動信号を出力可能である。
【0077】
また、ASIC135には、ディスプレイ17と、操作パネル22とが接続されている。ディスプレイ17は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等であり、各種情報を表示する表示面を備える。ディスプレイ17は、報知機の一例である。但し、報知機の具体例はディスプレイ17に限定されず、スピーカ、LEDランプ、或いはこれらの組み合わせでもよい。操作パネル22は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ130に出力する。操作パネル22は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。
【0078】
さらに、ASIC135には、接点152と、カバーセンサ88と、装着センサ154と、液面センサ155とが電気的に接続されている。コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247のメモリに、接点152を通じてアクセスする。コントローラ130は、カバー87の位置をカバーセンサ88を通じて検出する。また、コントローラ130は、カートリッジ200の挿抜を装着センサ154を通じて検出する。さらに、コントローラ130は、液室171内のインクの液面が所定位置P以上か否かを液面センサ155を通じて検出する。
【0079】
EEPROM134は、装着ケース150に装着される4つのカートリッジ200それぞれに対応付けて、換言すれば、カートリッジ200と連通されるタンク160それぞれに対応付けて、各種情報を記憶している。各種情報とは、例えば、液体量の一例であるインク量Vc、Vsと、関数Fと、初期処理フラグと、閾値となる各値T1,T2,T3や待機時間Tw1,Tw2,Tw3など、を含む。時間T1は、第1時間の一例である。待機時間Tw1は、第2時間の一例である。時間T2は、第3時間の一例である。
【0080】
なお、インク量Vc及び識別情報は、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で、接点152を通じてIC基板247のメモリからコントローラ130によって読み出される情報である。関数Fは、EEPROM134に代えて、ROM132に記憶されていてもよい。
【0081】
インク量Vcは、カートリッジ200の液室210に貯留されているインクの量を示す。インク量Vsは、タンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す。インク量Vc、Vsは、例えば、関数Fによって算出される。関数Fは、インクの総量Vtと、インク量Vcと、インク量Vcとの対応関係を示す情報である。カートリッジ200の液室210のインクと、タンク160の液室171のインクとは、それぞれのインク液面の上下方向7の位置が一致した状態で平衡になる。つまり、平衡状態では、液室210と液室171との間でのインクの移動が停止する。例えば、インクの総量Vtとインク量Vsとの関係は、関数Fで近似することができる。したがって、インクの総量Vtが算出されると、インク量Vs及びインク量Vcが求められる。なお、インク量Vs及びインク量Vcは、関数Fの形式に限定されず、総量Vt毎に対応づけられたテーブルによって求められてもよい。
【0082】
初期処理フラグは、プリンタ10において初期処理が行われたか否かを示す情報である。初期処理フラグには、初期処理が行われたことに対応する値“ON”、或いは初期処理が行われていないことに対応する値“OFF”が設定される。初期処理フラグは、製品出荷時において、”OFF”が設定されている。
【0083】
[プリンタ10の動作]
図7を参照して、本実施形態に係るプリンタ10の動作を説明する。図7に示される初期処理は、コントローラ130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、コントローラ130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。また、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0084】
コントローラ130は、プリンタ10の装着ケース150に初めてカートリッジ200が装着されたときに、初期処理を実行する。図8(A)に示されるように、未使用のプリンタ10においては、タンク160の液室171にインクが貯留されていない。また、液室171の流出口174からチューブ32及びヘッド21までの空間には、インクが存在せずに、空気が存在する状態か、或いはインクとは異なる保存液が満たされている状態である。したがって、プリンタ10が初めて使用されるときには、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の液室210から、液室171を通じて、チューブ32及びヘッド21へインクを導入する初期処理を実行する必要がある。例えば、ヘッド21のノズル29からポンプ等によって吸引又は排出を行うことにより、液室210に貯留されているインクが、液室171を通じて、チューブ32及びヘッド21へ導入される。
【0085】
図7に示されるように、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したかを判定する(S10)。そして、コントローラ130は、カートリッジ200が装着ケース150に初めて装着された時刻、すなわち、装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したことに応じて(S10:Yes)、その時刻をEEPROM134に記憶する。
【0086】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247から、識別情報やインク量Vc0などのCTG情報を読み出す(S11)。読み出されたCTG情報は、EEPROM134に記憶される。
【0087】
そして、コントローラ130は、EEPROM134の初期処理フラグを読み出す(S12)。コントローラ130は、初期処理フラグが”ON”であれば(S12:No)、初期処理を終了する。初期処理フラグが”ON”であれば、既に初期処理が実行されているからである。
【0088】
コントローラ130は、初期処理フラグが”OFF”であれば(S12:Yes)、液面センサ155から受信した信号がローレベル信号であるかを判定する(S13)。図8(B)に示されるように、例えば、新品のカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、液室210から液室171へインクが流入して、その後に時間が経過すれば、液室171においてインクの液面が所定位置Pに到達して、液面センサ155がローレベル信号を出力することとなる。
【0089】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信していないと判定したことに応じて(S13:No)、装着センサ154からローレベル信号を受信した時刻から現在の時刻までの時間ΔT1が、時間T2に到達したかを判定する(S14)。コントローラ130は、時間ΔT1が時間T2に到達していないと判定したことに応じて(S14:No)、S13を実行する。コントローラ130は、時間ΔT1が時間T2に到達したと判定したことに応じて(S14:Yes)、ディスプレイ17に、初期処理がエラーである旨を示す画面を表示させ(S15)、初期処理を終了する。時間T2は、例えば、後述される時間T1より長い時間として予め設定されている。
【0090】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて(S13:Yes)、装着センサ154からローレベル信号を受信した時刻から現在、すなわち液面センサ155からローレベル信号を受信した時刻までの時間ΔT1が、時間T1以上であるかを判定する(S16)。コントローラ130は、時間ΔT1が時間T1未満であると判定したことに応じて(S16:No)、初期処理動作を開始する(S17)。すなわち、ヘッド21のノズル29を通じた吸引動作を開始する。時間ΔT1が第1経過時間及び第2経過時間の一例である。
【0091】
コントローラ130は、時間ΔT1が時間T1以上であると判定したことに応じて(S16:Yes)、時間Tw1を待機した後(S18)、初期処理動作を開始する(S17)。時間Tw1を待機することは、第2経過時間が第2時間に到達したことの一例である。時間T1は、例えば、初期インク量Vc0のインクが液室210に貯留されているカートリッジ200が装着ケース150に装着されてから、液室210から空の液室171にインクが流出して、液室171の液面の位置が所定位置Pとなるに要する時間より長い時間として予め設定されている。時間ΔT1が時間T1以上であるときは、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へインクが流出する速度(流量Qc)が、流出不良などの原因により遅くなり、通常より長い時間を要していると推定される。したがって、初期処理動作が開始された後の液室171へのインクの流量Qcも通常より少なくなる。そのような状態では、液室171の液面が所定位置Pに到達した後、さらに時間Tw1を待機することによって、液室171に十分な量のインクを貯留させ、その後に初期処理動作を所定の流量Qipで実行しても、液室171の液面が流出口174の直上付近に到達しないようにすることができる。なお、設計段階では、基準となる環境(温度や湿度など)において、初期インク量Vc0のインクが液室210に貯留されているカートリッジ200が装着された場合に、液面センサ155がローレベル信号を出力した後において、カートリッジ200の液室からタンク160の液室171へインクが流出する速度(流量Qc)が、液面センサ155がローレベル信号を出力した後において、初期処理動作によってタンク160に液室171からインクが流出する速度よりも速くなるように、初期処理動作が設定されている。
【0092】
コントローラ130は、初期処理動作を開始した後、液面センサ155からハイレベル信号を受信したかを判定する(S19)。コントローラ130は、液面センサ155からハイレベル信号を受信することなく(S19:No)、初期処理動作が終了したと判定すると(S20:Yes)、EEPROM134に記憶されている初期処理フラグに”ON”を代入して(S21)、初期処理を終了する。
【0093】
コントローラ130は、初期処理動作を開始した後、液面センサ155からハイレベル信号を受信したと判定したことに応じて(S19:Yes)、初期処理動作を停止する(S22)。また、コントローラ130は、液面センサ155からハイレベル信号を受信した時刻をRAM133に記憶する。そして、コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したかを判定する(S23)。
【0094】
初期処理動作によって液室171からチューブ32及びヘッド21へインクが流出する。他方、カートリッジ200の液室210から液室171へインクが流入する。液室171へ流入するインク量より、液室171から流出するインク量が多くなれば、液室171の液面が下降して所定位置P未満となることがある。液室171の液面が所定位置P未満となると、液面センサ155がハイレベル信号を出力する。液室171へ流入するインク量より、液室171から流出するインク量が多い状況が継続すると、液室171の液面が、やがて流出口174の直上付近に到達するおそれがあるので、初期処理動作を一時的に停止して、液室171の液面が上昇することを待つ。
【0095】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて(S23:Yes)、時間Tw2を待機した後(S24)、停止していた初期処理動作を再開する(S25)。初期処理動作によって液室171の液面が下降する状態なので、液室171の液面が所定位置Pに到達した後、さらに時間Tw2を待機することによって、液室171に十分な量のインクを貯留させることができる。そして、コントローラ130は、S19を実行する。
【0096】
コントローラ130は、液面センサ155からローレベル信号を受信していないと判定したことに応じて(S23:No)、装着センサ154からハイレベル信号を受信した時刻(S19:Yesの時刻)から現在の時刻までの時間ΔT2が、時間T3に到達したかを判定する(S26)。コントローラ130は、時間ΔT2が時間T3に到達していないと判定したことに応じて(S26:No)、S19を実行する。コントローラ130は、時間ΔT2が時間T3に到達したと判定したことに応じて(S26:Yes)、ディスプレイ17に、初期処理がエラーである旨を示す画面を表示させ(S27)、初期処理を終了する。時間T3は、例えば、後述される時間T1より長い時間として予め設定されている。
【0097】
[第1実施形態の作用効果]
上記第1実施形態によれば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、液面センサ155からローレベル信号を受信したことに応じて初期処理動作が開始されるので、液室171からチューブへ空気が進入することなく、初期処理動作が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【0098】
また、液室210から液室171へのインクの流れが悪いなどを原因として、初期処理動作を実行している間に、液室171の液面が所定位置P未満となって液面センサ155からハイレベル信号受信したときには、初期処理動作が停止されて、液室171からチューブ32へ空気が進入することが抑制される。
【0099】
また、液室210から液室171へのインクの流量Qcが少ないときには、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、時間Tw1を待機することによって、初期処理動作を開始するタイミングを遅くすることができる。これにより、液室171からチューブ32へ空気が進入することが抑制される。
【0100】
また、液室210から液室171へのインクの流量Qcが更に少ないときには、ディスプレイ17を通じて初期処理に異常があること、すなわち、液室210から液室171へのインクの流出に異常があることがユーザに知らされる。
【0101】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態が説明される。第2実施形態に係るプリンタは、第1実施形態に係るプリンタ10において液面センサ155を備えておらず、また、温度センサを備える構成である。温度センサは、プリンタが設定されている環境温度に応じた電気信号をコントローラ130へ出力する。また、EEPROM134には、所定温度についての閾値C0、及び待機時間Tkとして設定される時間T4,T5が記憶されている。時間T4が第4時間の一例である。時間T5が、第5時間の一例である。第2実施形態においては、第1実施形態とは異なる初期処理が実行される。それ以外のプリンタの構成については、第1実施形態に係るプリンタ10と同様なので、詳細な説明が省略される。
【0102】
第1実施形態と同様に、コントローラ130は、プリンタ10の装着ケース150に初めてカートリッジ200が装着されたときに、初期処理を実行する。図9に示されるように、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したかを判定する(S30)。
【0103】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247から、識別情報やインク量Vc0などのCTG情報を読み出す(S31)。読み出されたCTG情報は、EEPROM134に記憶される。
【0104】
そして、コントローラ130は、EEPROM134の初期処理フラグを読み出す(S22)。コントローラ130は、初期処理フラグが”ON”であれば(S22:No)、初期処理を終了する。初期処理フラグが”ON”であれば、既に初期処理が実行されているからである。
【0105】
コントローラ130は、初期処理フラグが”OFF”であれば(S22:Yes)、CTG情報から初期インク量Vc0を読み出したかを判定する(S33)。新品であるカートリッジ200のIC基板247のメモリには初期インク量Vc0が記憶されている。そして、カートリッジ200が使用されると、例えば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、画像記録やパージなどのヘッド21を通じたインクの排出が実行されると、コントローラ130は、IC基板247のメモリに記憶されている初期インク量Vc0を消去する。したがって、コントローラ130が、初期インク量Vc0を読み出したカートリッジ200は、新品のカートリッジである。なお、初期インク量Vc0に代えて、CTG情報に新品のカートリッジであることを示すフラグなどの値や情報が記憶されており、コントローラ130は、その値や情報を読み出すことによって、新品のカートリッジである否かを判定することとしてもよい。
【0106】
コントローラ130は、IC基板247のメモリから初期インク量Vc0を読み出せないと判定したことに応じて(S33:No)、初期処理を終了する。新品のカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、液室210から液室171へインクが流入する。そのときの流量Qcは、タンク160の液室171の液面とカートリッジ200の液室210の液面との差である水頭差が最大となるため、同種のカートリッジにおいて最も速い。しかしながら、既に使用されて液室210に貯留されているインク量が初期インク量Vc0より少ないカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、水頭差が小さくなる分、流量Qcが少なくなる。その結果、初期処理動作において液室171から流出するインクの流量Qipより流量Qcが少なくなるおそれがある。流量Qcが流量Qipより少なければ、初期処理動作中に液室171の液面が下降して、流出口174の直上付近に至るおそれがある。したがって、新品でないカートリッジ200が装着ケース150に装着されたときには、初期処理動作が実行されない。
【0107】
コントローラ130は、IC基板247のメモリから初期インク量Vc0を読み出したことに応じて(S33:Yes)、温度センサが出力する温度が閾値C0未満であるかを判定する(S34)。コントローラ130は、温度センサが出力する温度が閾値C0以上であると判定したことに応じて(S34:No)、待機時間Tkに時間T4を設定する(S35)。他方、コントローラ130は、温度センサが出力する温度が閾値C0未満であると判定したことに応じて(S34:Yes)、待機時間Tkに時間T5を設定する。時間T5は、時間T4より長い。
【0108】
プリンタ10が設置された環境温度が低ければ、装着ケース150に装着されたカートリッジ200に貯留されているインクの温度も低いと推定される。インクは、温度が低くなるに従って粘度が高くなる。したがって、環境温度が低くなるに従って、液室210から液室171へのインクの流量Qcが少なくなる傾向にあるので、温度Cが閾値C0未満であれば、時間T4より長い時間T5が待機時間Tkとして設定される。
【0109】
そして、コントローラ130は、待機時間Tkを待機した後(S37)、初期処理動作を実行する(S38)。待機時間Tkを待機している間に、カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へインクが流出して、液室171に貯留されているインク量が増える。待機時間Tkが長くなるに従って、液室171に貯留されるインク量が多くなる。
【0110】
コントローラ130は、初期処理動作を実行した後、EEPROM134に記憶されている初期処理フラグに”ON”を代入して(S39)、初期処理を終了する。
【0111】
[第2実施形態の作用効果]
上記第2実施形態によれば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、待機時間Tkが経過すると初期処理動作が実行されるので、液室171からチューブ32へ空気が進入することなく初期処理動作が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0112】
また、プリンタ10が設置されている環境温度が低くインクの粘度が高いことにより、液室210から液室171への流量Qcが少なくなれば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、初期処理動作を実行されるまでの待機時間Tkとして、時間T4より長い時間T5が設定されるので、初期処理動作が実行されるタイミングが遅くなる。これにより、初期処理動作において、液室171からチューブ32へ空気が進入することが抑制される。
【0113】
また、初期インク量Vc0のインクを貯留しないカートリッジ200が装着ケース150に装着されたときには、初期処理動作が実行されないので、液室171からチューブ32へ空気が進入することが抑制される。
【0114】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態が説明される。第3実施形態に係るプリンタは、第2実施形態に係るプリンタと同様に液面センサ155を備えていない。また、EEPROM134には、閾値としての流量Qip(第1閾値の一例)、初期処理動作の実行時間Tip、閾値Vth1(第2閾値の一例)、及びインク量Vcと流量Qcとの関係を示す関数またはテーブルが記憶されている。第3実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる初期処理が実行される。それ以外のプリンタの構成については、第1実施形態に係るプリンタ10と同様なので、詳細な説明が省略される。
【0115】
第1実施形態と同様に、コントローラ130は、プリンタ10の装着ケース150に初めてカートリッジ200が装着されたときに、初期処理を実行する。図10に示されるように、コントローラ130は、装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したかを判定する(S50)。そして、コントローラ130は、カートリッジ200が装着ケース150に初めて装着された時刻、すなわち、装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したことに応じて(S50:Yes)、その時刻をEEPROM134に記憶する。
【0116】
つづいて、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のIC基板247から、識別情報や初期インク量Vc0、インク量VcなどのCTG情報を読み出す(S51)。読み出されたCTG情報は、EEPROM134に記憶される。
【0117】
そして、コントローラ130は、EEPROM134の初期処理フラグを読み出す(S52)。コントローラ130は、初期処理フラグが”ON”であれば(S52:No)、初期処理を終了する。初期処理フラグが”ON”であれば、既に初期処理が実行されているからである。
【0118】
コントローラ130は、初期処理フラグが”OFF”であれば(S52:Yes)、CTG情報に含まれるインク量Vc又は初期インク量Vc0から流量Qcを決定する(S53)新品であるカートリッジ200のIC基板247のメモリには初期インク量Vc0が記憶されている。そして、カートリッジ200が使用されると、例えば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、画像記録やパージなどのヘッド21を通じたインクの排出が実行されると、コントローラ130は、IC基板247のメモリに記憶されている初期インク量Vc0(第1値の一例)を消去し、現在貯留しているインク量Vc(第2値の一例)をIC基板247のメモリに記憶させる。なお、初期インク量Vc0に代えて、CTG情報に新品のカートリッジであることを示すフラグなどの値や情報が記憶されており、コントローラ130は、その値や情報を読み出して、予めEEPROM134に記憶されている初期インク量を読み出すことによって、カートリッジ200に貯留されているインク量を決定してもよい。
【0119】
装着ケース150にカートリッジ200が装着された後の液室210から液室171へのインクの流量Qcは、基準位置(例えば所定位置P)からの液室210の液面の高さと液面171の液面の高さとの差、すなわち水頭差によって変動する。初期処理動作前においては、液室171にインクが貯留されていないので、流量Qcは、液室210の液面の高さ、すなわちインク量Vcに依存することとなる。したがって、インク量Vcと流量Qcとの関係を示す関数またはテーブルがEEPROM134に記憶されていれば、IC基板247から読み出したインク量Vc又は初期インク量Vc0に基づいて流量Qcを決定することができる。
【0120】
つづいて、コントローラ130は、決定した流量Qcと、装着センサ154からローレベル信号を受信した時刻から現在までの時間ΔT1とを乗じて、液室171に貯留されたインク量Vsを算出する(S54)。そして、コントローラ130は、決定した流量Qcが閾値である流量Qip以上であると判定したことに応じて(S55:Yes)、算出したインク量Vsが閾値Vth1以上であるかを判定する(S56)。コントローラ130は、算出したインク量Vsが閾値Vth1未満であると判定すれば(S56:No)、所定の時間間隔でS56を繰り返して実行する。算出したインク量Vsは、現在時刻が遅くなるにつれて大きくなるので、やがて閾値Vth1以上となる(S56:Yes)。そして、コントローラ130は、インク量Vsが閾値Vth1以上であると判定したことに応じて(S56:Yes)、初期処理動作を開始する(S57)。
【0121】
コントローラ130は、初期処理動作を実行した後、EEPROM134に記憶されている初期処理フラグに”ON”を代入する(S58)。そして、初期処理動作を実行した後のインク量Vc,Vsを算出して、EEPROM134に記憶させる(S59)。また、算出したインク量VcをIC基板247のメモリに記憶させて(S60)、初期処理を終了する。
【0122】
コントローラ130は、S55において、流量Qcが流量Qip未満であると判定したことに応じて(S55:No)、閾値Vth2(第3閾値の一例)を算出する(S61)。閾値Vth2は、流量Qipと流量Qcとの差に、初期処理動作を実行する時間Tipを乗じた値として算出される。流量Qcが流量Qip未満であれば、初期処理動作が実行される間に、液室171に貯留されているインクが減少する。流量Qipと流量Qcとの差は、初期処理動作において、単位時間当たりに液室171から減少するインク量に相当する。これに時間Tipを乗じた値が、初期処理動作において液室171から減少するインク量の総量に相当する。
【0123】
コントローラ130は、算出したインク量Vsが、閾値Vth1と閾値Vth2の和以上であるかを判定する(S62)。コントローラ130は、算出したインク量Vsが、閾値Vth1と閾値Vth2との和未満であると判定すれば(S62:No)、所定の時間間隔でS62を繰り返して実行する。算出したインク量Vsは、現在時刻が遅くなるにつれて大きくなるので、やがて閾値Vth2以上となる(S62:Yes)。そして、コントローラ130は、インク量Vsが、閾値Vth1と閾値Vth2との和以上であると判定したことに応じて(S62:Yes)、初期処理動作を開始し(S57)、また、S58からS60を実行する。
【0124】
[第3実施形態の作用効果]
上記第3実施形態によれば、装着ケース150にカートリッジ200が装着された後、流量Qcが流量Qip以上であれば、インク量VsがVth1以上となれば、初期処理動作を実行する。これにより、液室171からチューブ32へ空気が進入することなく初期処理動作が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0125】
また、流量Qipcが流量Qip未満であれば、閾値Vth1に閾値Vth2を加えた値よりインク量Vsが多くなれば、初期処理動作を実行する。これにより、流量Qcに応じて、装着ケース150にカートリッジ200が装着されてから初期処理動作が実行されるまでの時間を短くすることができる。
【0126】
[変形例]
また、上記実施形態では、ヘッド21を通じたインクの排出がシートへの画像記録として説明がされているが、ヘッド21を通じたインクの排出は、ヘッド21のノズル29から強制的にインクを排出させる所謂パージであってもよい。
【0127】
また、前述された実施形態では、コントローラ130が、液面センサ15が出力する信号に基づいて、アクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出する構成であるが、液室171におけるインクの液面が検出できれば、液面センサ155の構成は特に限定されない。例えば、コントローラ130が、液室171の後壁164にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室171におけるインクの液面を光学的に検出するためのセンサであってもよい。また、液面センサ155は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
【0128】
前述された実施形態では、コントローラ130は、装着センサ154からローレベル信号を取得し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したことに応じて(S14:Yes)、S15に示す処理を実行した。コントローラ130がS15に示す処理を実行するのは、装着ケース150内にカートリッジ200が存在しない装着ケース150内に、カートリッジ200が装着されたことを契機としている。つまり、コントローラ130は、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定したことに応じて、S15に示す処理を実行すればよい。なお、コントローラ130が、装着センサ154からローレベル信号を取得し、その後に装着センサ154からハイレベル信号を取得し、さらにその後に装着センサ154からローレベル信号を取得したことは、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジが装着されたと判定したことの一例である。コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定する、他の例を以下に説明する。
【0129】
例えば、コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較する。IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定したことに応じて、コントローラ130は、S15に示す処理を実行してもよい。つまり、「コントローラ130は、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較する。その結果、IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定した」ことが、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定することの一例である。この場合、コントローラ130は、S15において記憶する時刻として、IC基板247のメモリから識別情報を読み出して、EEPROM134に記憶された交換前のカートリッジ200の識別情報と比較し、IC基板247のメモリから読み出した識別情報と、EEPROM134に記憶された識別情報とが異なると判定した時刻をEEPROMに記憶する。もしくは、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信した時刻を、S15においてEEPROMに記憶しても良い。
【0130】
また、例えば、コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ130は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着した、ことに対応していることに応じて、コントローラ130は、S15に示す処理を実行する。つまり、「コントローラ130が、カバーセンサ88からハイレベル信号を受信した後にローレベル信号を受信する。そして、コントローラ130は、ディスプレイ17を通じてユーザに、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着をしたか、を示す確認画面を表示させる。コントローラ130は、ディスプレイ17に確認画面を表示させている一方で、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信する。受信した当該入力が、装着ケース150内に新たなカートリッジ200の装着した、ことに対応している」ことが、コントローラ130が、装着ケース150内にカートリッジ200が装着されたと判定することの一例である。この場合、コントローラ130は、S15において記憶する時刻として、操作パネル22を通じて、当該確認画面に対応する、入力を受信した時刻をEEPROMに記憶する。
【0131】
また、前述された実施形態では、インクが液体の一例として説明されているが、液体は、例えば、画像記録時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液でもよいし、ヘッド21を洗浄するための水でもよい。
【符号の説明】
【0132】
10・・・プリンタ(液体排出装置)
17・・・ディスプレイ(報知機)
21・・・ヘッド
32・・・チューブ(第4流路)
130・・・コントローラ
132・・・ROM(メモリ)
133・・・RAM(メモリ)
134・・・EEPROM(メモリ)
150・・・装着ケース
155・・・液面センサ
160・・・タンク
171・・・液室(第2液室)
175・・・大気連通室(第5流路)
181・・・ニードル(第3流路)
200・・・カートリッジ
210・・・液室(第1液室)
213・・・インクバルブ室(第1流路)
214・・・大気バルブ室(第2流路)
図1
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図10