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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】窓の取付方法および足場構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20231121BHJP
   E04G 1/36 20060101ALI20231121BHJP
   E04G 5/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
E04G21/16
E04G1/36 301Z
E04G5/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021209936
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023094451
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】疊 将志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知慈
(72)【発明者】
【氏名】金井 匠
(72)【発明者】
【氏名】木村 栄利
(72)【発明者】
【氏名】流 祐治
(72)【発明者】
【氏名】柿木 義広
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-073892(JP,A)
【文献】特開2020-105740(JP,A)
【文献】特開平10-046824(JP,A)
【文献】特開2000-264570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
E04G 1/36
E04G 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠を組み立てる組立工程と、
上記窓枠を建物の開口部に取り付ける窓枠取付工程と、
上記開口部に取り付けられた上記窓枠にガラス障子を嵌め込む嵌込工程と、を含んでおり、
上記組立工程は、
建物の周囲に設置された足場構造の第1支柱と第1手摺のうちの少なくとも1つから建物に向かって張り出す支持部材に第1横枠を支持させる支持工程と、
上記支持部材に支持された上記第1横枠に縦枠を取り付ける縦枠取付工程と、
上記第1横枠に取り付けられた上記縦枠に第2横枠を取り付ける横枠取付工程と、を含んでいる窓の取付方法。
【請求項2】
上記第1横枠は上記窓枠の上部を構成する上枠であり、
上記第2横枠は上記窓枠の下部を構成する下枠である請求項1に記載の窓の取付方法。
【請求項3】
上記支持部材は、上記開口部に対向する位置に配置されている請求項1又は2に記載の窓の取付方法。
【請求項4】
上記開口部は、上記建物の2階以上に位置している請求項1から3のいずれかに記載の窓の取付方法。
【請求項5】
上記嵌込工程は、足場構造に取り付けられた滑車に巻回されたワイヤを、上記足場構造の上記滑車の下方に取り付けられた巻取機で巻き取ることにより、上記ガラス障子を上記開口部まで引き上げる引上工程を有する請求項1から4のいずれかに記載の窓の取付方法。
【請求項6】
上記請求項1から5のいずれかに記載の窓の取付方法で使用される足場構造であって、
建物の周囲に沿って間隔を空けて地面に立設された複数の第1支柱と、
上記複数の第1支柱から建物とは反対側に間隔を空けて地面に立設された複数の第2支柱と、
上記複数の第1支柱と上記複数の第2支柱との間で支持された足場板と、
上記複数の第1支柱に掛け渡された第1手摺と、
上記複数の第2支柱に掛け渡された第2手摺と、
上記複数の第1支柱と上記第1手摺のうちの少なくとも1つから建物に向かって張り出しており、窓枠の第1横枠を支持可能な支持部材と、を備える足場構造。
【請求項7】
上記支持部材は、第1横枠の嵌合溝に嵌合可能な突起を有している請求項6に記載の足場構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の取付方法および窓の取付方法で使用される足場構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サッシ窓にサッシ窓吊具を取り付け、建物の梁等に取り付けたホイストによって上記サッシ窓吊具を介して上記サッシ窓を吊り上げ、窓枠に上記サッシ窓を嵌め込む窓の取付方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-105740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、サッシ窓を窓枠に嵌め込む方法が開示されるのみで、窓枠を建物の開口部に嵌め込む方法が考慮されていない。また、特許文献1では、ホイストを窓枠の上方に設置しているので、ホイスト用のレールを窓枠の上方に敷設したり、重量物であるホイストをレールの位置まで持ち上げたりする必要がある。このため、特許文献1では、ホイストの設置作業に時間を要し、工期が長くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、窓を建物に取り付ける工期を短くできる窓の取付方法および足場構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る窓の取付方法は、窓枠を組み立てる組立工程と、上記窓枠を建物の開口部に取り付ける窓枠取付工程と、上記開口部に取り付けられた上記窓枠にガラス障子を嵌め込む嵌込工程と、を含んでいる。上記組立工程は、建物の周囲に設置された足場構造の第1支柱と第1手摺のうちの少なくとも1つから建物に向かって張り出す支持部材に第1横枠を支持させる支持工程と、上記支持部材に支持された上記第1横枠に縦枠を取り付ける縦枠取付工程と、上記第1横枠に取り付けられた上記縦枠に第2横枠を取り付ける横枠取付工程と、を含んでいる。
【0007】
本発明によれば、組立工程において、建物の周囲に設置された足場構造の第1支柱と第1手摺のうちの少なくとも1つから建物に向かって張り出す支持部材に第1横枠を支持させて窓枠を組み立てるので、足場と建物との間のスペースで窓枠が組み立てられる。このため、建設資材が多く置かれている建物内で、特に大型の窓枠を組み立てる場合に比べて、窓枠を組み立てやすい。したがって、作業者は、迅速に窓枠を組み立てることができ、窓を建物に取り付ける工期を短くできる。
【0008】
(2) 上記第1横枠は上記窓枠の上部を構成する上枠であってもよい。上記第2横枠は上記窓枠の下部を構成する下枠であってもよい。
【0009】
組立工程において、作業者が支持部材に支持させた上枠に縦枠を取り付けたときに、縦枠が上枠から吊り下げられた状態になるので、縦枠が安定化しやすい。このため、組立工程において、作業者が縦枠に下枠を取り付けるときに、縦枠を支える作業が軽減される。
【0010】
(3) 上記支持部材は、上記開口部に対向する位置に配置されていてもよい。
【0011】
足場の開口部に対向する位置で窓枠が組み立てられるので、組み立てられた窓枠を開口部まで運ぶ作業が軽減される。
【0012】
(4) 上記開口部は、上記建物の2階以上に位置していてもよい。
【0013】
作業者は、窓枠を構成する部品毎に、すなわち、第1横枠、縦枠および第2横枠毎に建物の開口部と対向する位置まで運んで窓枠を組み立てるので、例えば、建物の外や建物の1階で組み立てられた窓枠を建物の開口部と対向する位置まで運ぶ場合に比べて、窓枠の損傷が抑制される。
【0014】
(5) 上記嵌込工程は、上記足場構造に取り付けられた滑車に巻回されたワイヤを、上記足場構造の上記滑車の下方に取り付けられた巻取機で巻き取ることにより、上記ガラス障子を上記開口部まで引き上げる引上工程を有してもよい。
【0015】
滑車の下方に巻取機が取り付けられるので、作業者は、足場構造の地面に近い位置に巻取機を取り付けることができる。このため、作業者は、建物の開口部の上方に重量物であるホイストを設置する場合に比べて、嵌込工程を迅速に行うことができる。作業者は、引上工程においてワイヤを巻取機で巻き取ることによってガラス障子を開口部まで引き上げるので、大型のガラス障子であっても容易に開口部まで引き上げることができる。
【0016】
(6) 本発明に係る足場構造は、上記窓の取付方法で使用される足場構造である。上記足場構造は、建物の周囲に沿って間隔を空けて地面に立設された複数の第1支柱と、上記複数の第1支柱から建物とは反対側に間隔を空けて地面に立設された複数の第2支柱と、上記複数の第1支柱と上記複数の第2支柱との間で支持された足場板と、上記複数の第1支柱に掛け渡された第1手摺と、上記複数の第2支柱に掛け渡された第2手摺と、上記複数の第1支柱と上記第1手摺のうちの少なくとも1つから建物に向かって張り出しており、窓枠の第1横枠を支持可能な支持部材と、を備える。
【0017】
本発明によれば、作業者は、窓枠の第1横枠を支持部材に支持させることができるので、足場構造と建物との間のスペースで窓枠を組み立てることができる。このため、建設資材が多く置かれている建物内で、特に大型の窓枠を組み立てる場合に比べて、窓枠を組み立てやすい。したがって、作業者は、迅速に窓枠を組み立てることができ、窓を建物に取り付ける工期を短くできる。
【0018】
(7) 上記支持部材は、第1横枠の嵌合溝に嵌合可能な突起部を有していてもよい。
【0019】
作業者は、第1横枠の嵌合溝に突起部を嵌合させた状態で第1横枠を支持部材に支持させることができるので、第1横枠が支持部材に支持された状態を安定化させることができる。その結果、作業者が窓枠4を組み立てるときに、第1横枠を支える作業が軽減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、窓を建物に取り付ける工期を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法が適用される建物1の周囲に足場構造2が設置された状態を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る足場構造2の正面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る足場構造2の支持部材46を含む周辺の拡大図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法で使用される窓枠4の分解斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る足場構造2の支持部材46に上枠11が支持された状態を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法の組立工程を示す簡略図であり、(a)は方立取付工程を示す図であり、(b)は縦枠取付工程を示す図であり、(c)は下枠取付工程を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法の引上工程においてガラス障子5がワイヤ34によって吊り下げられた状態を示す図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法の引上工程を示す簡略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る窓の取付方法で使用されるガラス障子5が窓枠4に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る窓の取付方法および足場構造について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
本発明の実施形態に係る窓の取付方法は、図1に示されるように、建物1の外壁に形成された開口部1a(図1の点線で囲まれた部分)に窓を取り付ける方法である。本発明の実施形態に係る窓の取付方法は、一戸建ての建物1に適用されるが、これに限定されることはない。例えば、本発明の実施形態に係る窓の取付方法は、集合住宅やビルに適用されてもよい。また、本発明の実施形態では、フィクス窓を例に説明がされるが、窓はフィクス窓に限定されず、ガラス障子がスライドや回動して開口可能な構造であってもよい。
【0024】
また、以下の説明において、建物1に対して足場構造2が構築される方向を前向き51とし、前向き51の反対向きを後向き52とする。前向き51と後向き52とを合せて前後方向51,52とする。前後方向51,52と直交する上下の方向を上下方向53,54とする。上下方向53,54の上向きを上向き53とし、下向きを下向き54とする。前後方向51,52および上下方向53、54と直交する方向を左右方向55,56とする。建物1及び足場構造2を後向き52に視て、左右方向55、56の左向きを左向き55とし、右向きを右向き56とする。
【0025】
本発明の実施形態に係る窓の取付方法が使用される足場構造2は、建物1の周囲に設置される足場の構造物である。図1から図3に示されるように、足場構造2は、複数の第1支柱41、複数の第2支柱42、足場板43、第1手摺44(図8参照)、第2手摺45、及び支持部材46を備える。なお、図1では、図示簡略化のため、支持部材46を省略している。
【0026】
複数の第1支柱41は、建物1の周囲に沿って間隔を空けて地面gに立設されている。本実施形態では、4本の第1支柱41が立設されている。第1支柱41は、第1手摺44、第2手摺45、及び支持部材46を第1支柱41に取り付けるための複数の取付部材47を有する。複数の取付部材47は、上下方向53,54に間隔を空けて各第1支柱41の前側、後側、右側、及び左側にそれぞれ配置されている。各取付部材47には、第1手摺44、第2手摺45、及び支持部材46の一端が上方から差し込み可能な差入孔が形成されている。差入孔は、下方に行くほど孔径が小さくなるように形成されている。
【0027】
複数の第2支柱42は、第1支柱41と同一の構成を有するものである。複数の第2支柱42は、複数の第1支柱41の前方に間隔を空けて地面gに立設されている。本実施形態では、4本の第2支柱42が立設されている。複数の第2支柱42は、複数の第1支柱41と前後方向51,52に対向している。4本の第2支柱42のうち左右方向55,56の中間に位置する2本の第2支柱42は、第1支柱41よりも上方に延びている。
【0028】
足場板43は、複数の第1支柱41と複数の第2支柱42との間で第1支柱41および第2支柱42に支持されている。本実施形態では、2つの足場板43が上下方向53,54に間隔を空けて配置されている。足場板43は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がる平板状である。
【0029】
第1手摺44は、複数の第1支柱41に掛け渡されている。第1手摺44は、取付部材47の差込孔に差し込み可能な差込部を両端に有する。第1手摺44の両端の差込部は、左右方向55,56に隣り合う第1支柱41において左右方向55,56に対向する取付部材47の取付孔に差し込まれている。これにより、第1手摺44は、左右方向55,56に隣り合う第1支柱41に取り付けられている。本実施形態では、複数の第1手摺44が左右方向55,56及び上下方向53,54に間隔を空けて左右方向55,56に隣り合う第1支柱41に取り付けられている。
【0030】
第2手摺45は、第1手摺44と同一の構成を有するものである。第2手摺45は、複数の第2支柱42に掛け渡されている。第2手摺45は、取付部材47の差込孔に差し込み可能な差込部45aを両端に有する。第2手摺45の両端の差込部45aは、左右方向55,56に隣り合う第2支柱42において左右方向55,56に対向する取付部材47の取付孔に差し込まれている。これにより、第2手摺45は、左右方向55,56に隣り合う第2支柱42に取り付けられている。本実施形態では、複数の第2手摺45が左右方向55,56及び上下方向53,54に間隔を空けて左右方向55,56に隣り合う第2支柱42に取り付けられている。
【0031】
支持部材46は、第1支柱41から後向き52に張り出すように第1支柱41に取り付けられている。支持部材46は、窓枠4の後述の上枠11を支持可能な部材である。本実施形態では、支持部材46としてブラケットが用いられている。支持部材46は、左右方向55,56に隣り合う第1支柱41にそれぞれ取り付けられている。2つの支持部材46は、上下方向53,54において同じ高さに位置している。2つの支持部材46は、建物1の開口部1aと前後方向51,52に対向している。2つの支持部材46間の距離は、上枠11の長さよりも短い。本実施形態では、2つの支持部材46は、開口部1aの上部と前後方向51,52に対向している。
【0032】
支持部材46は、載置部46a、差込部46b、突起部46c(突起の一例)、及び当接部46dを有する。載置部46aは、第1支柱41から後向き52に延びている。載置部46aは、開口部1aと上下方向53,54に重なる位置まで延びている。載置部46aは、上向き53の載置面46aaを有する。差込部46bは、載置部46aの前端から下向き54に延びている。差込部46bは、第1支柱41の後側の取付部材47の差込孔に差し込まれている。突起部46cは、載置面46aaから上向き53に延びている。突起部46cは、載置面46aaの前方側に位置している。突起部46cは、上枠11の後述の第1嵌合溝16に嵌合可能な形状を有する。本実施形態では、突起部46cは円柱状に形成されている。当接部46dは、載置部46aの後端側の下端から前向き51に対して斜め下向き54に延びている。当接部46dの前端は、差込部46bが差し込まれた取付部材47の下方において第1支柱41に当接している。
【0033】
本発明の実施形態に係る窓の取付方法が適用される窓は、窓枠4と2枚のガラス障子5とを有する。窓枠4は、建物1の開口部1aに沿った枠状である。窓枠4は、建物1の開口部1aに沿って取り付けられた枠状の取付金具6や窓台などに係止可能である。なお、取付金具6の形状は、窓枠4が係止可能であれば、特に限定されることはない。また、以下では、窓枠4を開口部1aに取り付けた状態の取付姿勢を基準に窓枠4の向きが説明される。
【0034】
図4図5に示されるように、窓枠4は、上枠11(第1横枠の一例)、方立12、左縦枠13(縦枠の一例)、右縦枠14(縦枠の一例)、及び下枠15(第2横枠の一例)とを有する。上枠11は、窓枠4の上部を構成する部材である。上枠11は、左右方向55,56に延びる角筒状の係止部11aと、係止部11aの後方に位置して左右方向55,56に延びる角筒状の載置部11bと、係止部11aと載置部11bとを前後方向51,52に連結する連結部11cと、を有する。
【0035】
係止部11aの後壁11aaには、取付金具6の上端部に係止可能な係止片3が形成されている。係止部11aの下壁には、左右方向55,56に延びる第1嵌合溝16(嵌合溝の一例)が形成されている。第1嵌合溝16は、係止部11aの下壁から下向き54に延びる一対の嵌合片16a,16bによって形成されて下向き54に開口している。一対の嵌合片16a,16bは、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がる平板状である。一対の嵌合片16a,16bは、前後方向51,52に間隔を空けて位置している。一対の嵌合片16a,16bの前後方向51,52の間隔は、支持部材46の突起部46cが嵌合可能に設定されている。一対の嵌合片16a,16bの各上端は、係止部11aの下壁と一体に形成されている。なお、一対の嵌合片16a,16bの各上端は、溶接などによって係止部11aの下壁に接続されてもよい。
【0036】
載置部11bは、一対の嵌合片16a,16bの下端よりも下方に延びている。載置部11bの下壁は、支持部材46の載置面46aaに載置される載置面11bbを形成している。載置部11bは、開口部1aに固定される部分である。
【0037】
連結部11cは、係止部11aの下端と載置部11bの上端とを連結している。連結部11cの下面と載置部11bの前壁と嵌合片16bとによって第2嵌合溝18が形成されている。第2嵌合溝18には、ガラス障子5の上端部が嵌合可能である。
【0038】
方立12は、窓枠4の左右方向55,56の中央を構成する部材である。方立12は、上下方向53,54に延びる角筒状に形成されている。方立12は、上枠11の左右方向55,56の中央に連結可能に構成されている。方立12の左壁には、ガラス障子5の右端部が嵌合可能な第3嵌合溝が形成されている。方立12の右壁は、ガラス障子5の左端部が嵌合可能な第4嵌合溝20が形成されている。なお、ガラス障子5がスライドする構造であれば方立12は省略されてもよい。
【0039】
左縦枠13は、窓枠4の左端部を構成する部材である。左縦枠13は、上下方向53,54に延びる角筒状に形成されている。左縦枠13は、上枠11の左端部に連結可能に構成されている。左縦枠13の左壁は、取付金具6の左端部に係止可能である。左縦枠13の右壁には、ガラス障子5の左端部が嵌合可能な第5嵌合溝21が形成されている。
【0040】
右縦枠14は、窓枠4の右端部を構成する部材である。右縦枠14は、上下方向53,54に延びる角筒状に形成されている。右縦枠14は、上枠11の右端部に連結可能に構成されている。右縦枠14の左壁は、取付金具6の右端部に係止可能である。右縦枠14の左壁には、ガラス障子5の右端部が嵌合可能な第6嵌合溝が形成されている。
【0041】
下枠15は、窓枠4の下部を構成する部材である。下枠15は、左右方向55,56に延びる角筒状に形成されている。下枠15は、左縦枠13の下端部と右縦枠14の下端部と方立12の下端部とに連結可能に構成されている。下枠15の下壁は、取付金具6の下端部に係止可能である。下枠15の上壁には、ガラス障子5の下端部が嵌合可能な第7嵌合溝23が形成されている。
【0042】
2枚のガラス障子5は、ガラス5aの外周部に框5bを嵌め込んだものである(図8参照)。2枚のガラス障子5は、窓枠4が方立12によって左右に仕切られる部分に嵌め込み可能な大きさに形成されている。なお、方立12が省略されて、1枚のガラス障子が使用されたり、2枚のガラス障子がスライド可能であってもよい。
【0043】
次に、足場構造2を使用して、建物1の開口部1aに窓を取り付ける窓の取付方法が説明される。窓の取付方法では、窓枠4を組み立てる組立工程と、窓枠4を建物1の開口部1aに取り付ける窓枠嵌込工程と、窓枠4にガラス障子5を嵌め込む嵌込工程と、が順に行われる。以下では、建物1の2階の開口部1aに窓を取り付ける方法が示される。また、建物1の開口部1aに枠状の取付金具6が取り付けられ、かつ、建物1の周囲に足場構造2が組み立てられた状態から説明される。
【0044】
図5に示されるように、組立工程では、まず、2つの支持部材46に上枠11を支持させる支持工程が行われる。支持工程では、作業者は、2つの支持部材46の位置まで上枠11を運び、2つの支持部材46に上枠11を載置する。このとき、作業者は、2つの支持部材46の突起部46cに上枠11の第1嵌合溝16を嵌め込むとともに、上枠11の載置面11bbを2つの支持部材46の載置面46aaに載置する。これにより、上枠11が2つの支持部材46を安定して支持する。
【0045】
次に、図6(a)に示されるように、上枠11に方立12を取り付ける方立取付工程が行われる。なお、図6では、窓枠4の組立工程を分かりやすくするため、窓枠4及び足場構造2を簡略化している。方立取付工程では、作業者は、まず、上枠11の位置まで方立12を運ぶ。次いで、作業者は、方立12の上端部を上枠11の左右方向55,56の中央に当接させ、この状態で、方立12の上端部を上枠11にねじ固定する。
【0046】
次に、図6(b)に示されるように、上枠11に左縦枠13及び右縦枠14を取り付ける縦枠取付工程が行われる。縦枠取付工程では、作業者は、まず、上枠11の位置まで左縦枠13を運ぶ。次いで、作業者は、左縦枠13の上端部を上枠11の左端部に当接させ、この状態で、左縦枠13の上端部を上枠11にねじ固定する。次に、作業者は、上枠11の位置まで右縦枠14を運ぶ。次いで、作業者は、右縦枠14の上端部を上枠11の右端部に当接させ、この状態で、右縦枠14の上端部を上枠11にねじ固定する。
【0047】
最後に、図6(c)に示されるように、方立12、左縦枠13及び右縦枠14に下枠15を取り付ける下枠取付工程が行われる。下枠取付工程では、作業者は、まず、方立12の下端部の位置まで下枠15を運ぶ。次いで、作業者は、方立12の下端部に下枠15の左右方向55,56の中央部を当接させ、この状態で、下枠15を方立12の下端部にねじ固定する。次いで、作業者は、下枠15の左端部を左縦枠13の下端部にねじ固定するとともに、下枠15の右端部を右縦枠14の下端部にねじ固定する。以上のようにして、窓枠4が組み立てられる。
【0048】
次に、窓枠取付工程が行われる。窓枠取付工程では、作業者は、まず、窓枠4を支持部材46から持ち上げて、上枠11の係止部11aの後壁を取付金具6の上端部に係止させる。次に、作業者は、左縦枠13を取付金具6の左端部に係止させるとともに、右縦枠14を取付金具6の右端部に係止させる。最後に、作業者は、下枠15を取付金具6の下端部に係止させる。これにより、窓枠4が建物1の開口部1aに取り付けられる。窓枠取付工程が終了すると、作業者は、2つの支持部材46を第1支柱41から取り外す。これにより、ガラス障子5を窓枠4に嵌め込むときに支持部材46が障壁にならない。なお、建物1の開口部1aと上下方向53,54に重なる位置まで支持部材46が張り出していなければ、作業者は、支持部材46を第1支柱41から取り外さなくてもよい。
【0049】
次に、図7から図9に示されるように、窓枠4にガラス障子5を嵌め込む嵌込工程が行われる。本実施形態では、2枚のガラス障子5が窓枠4に嵌め込まれる。嵌込工程では、作業者は、まず、滑車31を足場構造2に取り付ける滑車取付工程を行う。滑車取付工程では、作業者は、複数の第1手摺44のうちの開口部1aと前後方向51,52に対向する第1手摺44に滑車31を取り付ける。本実施形態では、開口部1aの上端と前後方向51,52に対向する第1手摺44に滑車31が取り付けられる。第1手摺44に取り付けられた滑車31は、第1手摺44に沿って左右方向55,56に移動可能に構成されてもよい。このようにすると、作業者は、滑車31を第1手摺44から取り外さなくても、開口部1aに対応して滑車31の位置合せを行うことができる。したがって、既に滑車31が第1手摺44に取り付けられている場合には、滑車31を第1手摺44に沿って目的の開口部1aの前方へ移動させる。なお、図8では、後述の引上工程を分かりやすくするため、地面gに一番近い第1手摺44に滑車31を取り付けている。
【0050】
次いで、作業者は、巻取機32を足場構造2に取り付ける巻取機取付工程を行う。巻取機取付工程では、作業者は、滑車31よりも低い位置において巻取機32を第1支柱41に取り付ける。本実施形態では、巻取機32は、地面gに近い位置おいて第1支柱41に取り付けられる。巻取機32としては、例えば、ウインチが用いられる。そして、作業者は、先端に吸盤33が取り付けられたワイヤ34を巻取機32に取り付けるとともに、滑車31にワイヤ34を巻回する。
【0051】
次に、1つ目のガラス障子5を建物1の開口部1aまで引き上げる引上工程が行われる。引上工程では、作業者は、まず、吸盤33をガラス障子5のガラス5aに吸着させる。本実施形態では、2つの吸盤33がガラス5aに吸着される(図8参照)。この状態で、作業者は、巻取機32を駆動することにより、ガラス障子5を開口部1aまで引き上げる。
【0052】
次に、図9に示されるように、作業者は、窓枠4が方立12によって仕切られる左側の部分にガラス障子5を嵌め込む。具体的には、作業者は、まず、ガラス障子5を支えながら、ガラス障子5の上端部を上枠11の第2嵌合溝18に嵌め込む。次いで、作業者は、ガラス障子5の左端部を左縦枠13の第5嵌合溝21に嵌め込むとともに、ガラス障子5の右端部を方立12の第3嵌合溝に嵌め込む。最後に、作業者は、ガラス障子5の下端部を下枠15の第7嵌合溝23に嵌め込む。そして、作業者は、吸盤33をガラス5aから取り外す。
【0053】
その後、作業者は、上記引上工程と同様の方法により、2つ目のガラス障子5を開口部1aまで引き上げる。そして、作業者は、ガラス障子5を支えながら、窓枠4の方立12によって仕切られる右側の部分にガラス障子5を嵌め込む。そして、作業者は、吸盤33をガラス5aから取り外す。
【0054】
[本実施形態の作用効果]
前述された窓の取付方法では、作業者は、組立工程において足場構造2の支持部材46に上枠11を支持させて窓枠4を組み立てるので、足場構造2と建物1との間のスペースで窓枠4を組み立てることができる。このため、建設資材が多く置かれている建物1内で、特に大型の窓枠4を組み立てる場合に比べて、窓枠4を組み立てやすい。したがって、作業者は、迅速に窓枠4を組み立てることができるので、窓を建物1に取り付ける工期を短くできる。
【0055】
また、組立工程において支持部材46に支持された上枠11から左縦枠13及び右縦枠14が吊り下げられた状態になるので、左縦枠13及び右縦枠14が安定化しやすい。このため、作業者が下枠15を左縦枠13及び右縦枠14に取り付けるときに、左縦枠13及び右縦枠14を支える作業が軽減される。
【0056】
また、足場構造2の開口部1aと前後方向51,52に対向する位置で窓枠4が組み立てられるので、組み立てられた窓枠4を開口部1aまで運ぶ作業が軽減される。
【0057】
また、作業者は、窓枠4を構成する部品毎に、すなわち、上枠11、左縦枠13、右縦枠14、及び下枠15毎に建物1の2階の開口部1aと前後方向51,52に対向する位置まで運んで窓枠4を組み立てるので、例えば、建物1の外や建物1の1階で組み立てられた窓枠4を建物1の開口部1aと前後方向51,52に対向する位置まで運ぶ場合に比べて、窓枠4の損傷が抑制される。
【0058】
また、作業者は、巻取機取付工程において第1支柱41の地面gに近い位置に巻取機32を取り付けることができるので、建物1の開口部1aの上方に重量物であるホイストを設置する場合に比べて、巻取機取付工程を迅速に行うことができる。作業者は、引上工程においてワイヤ34を巻取機32で巻き取ることによってガラス障子5を開口部1aまで引き上げるので、大型のガラス障子5であっても容易に開口部1aまで引き上げることができる。
【0059】
また、足場構造2では、作業者は、第1支柱41から後向き52に張り出す支持部材46に上枠11を支持させることができるので、足場構造2と建物1との間のスペースで窓枠4を組み立てることができる。このため、建設資材が多く置かれている建物1内で、特に大型の窓枠4を組み立てる場合に比べて、窓枠4を組み立てやすい。したがって、作業者は、迅速に窓枠4を組み立てることができるので、窓を建物1に取り付ける工期を短くできる。
【0060】
また、支持部材46は、上枠11の第1嵌合溝16に嵌合可能な突起部46cを有している。このため、作業者は、上枠11の第1嵌合溝16に突起部46cを嵌合させた状態で上枠11を支持部材46に支持させることができるので、上枠11がブラケット17に支持された状態を安定化させることができる。その結果、作業者が窓枠4を組み立てるときに、上枠11を支える作業が軽減される。
【0061】
[変形例]
前述された窓の取付方法では、作業者は、組立工程において上枠11を支持部材46に支持させるときに、上枠11の第1嵌合溝16に支持部材46の突起部46cを嵌合させたが、上枠11の第1嵌合溝16に支持部材46の突起部46cを嵌合させなくてもよい。
【0062】
前述された窓の取付方法では、作業者は、組立工程において上枠11を支持部材46に支持させたが、下枠15を支持部材46に支持させてもよい。この場合、作業者は、まず、方立12の下端部を下枠15に取り付けるとともに、左縦枠13の下端部及び右縦枠14の下端部を下枠15に取り付ける。次いで、作業者は、方立12の上端部、左縦枠13の上端部、及び右縦枠14の上端部に上枠11を取り付ける。
【0063】
前述された窓の取付方法では、建物1の2階の開口部1aに窓を取り付けるときに使用されたが、建物1の3階以上の開口部1aに窓を取り付けるときに使用されてもよい。また、上記窓の取付方法は、建物1の1階の開口部1aに窓を取り付けるときに使用されてもよい。
【0064】
前述された窓の取付方法では、嵌込工程において、滑車31を足場構造2に取り付ける滑車取付工程と、巻取機32を足場構造2に取り付ける巻取機取付工程と、が行われたが、滑車取付工程及び巻取機取付工程は省略されてもよい。この場合、作業者は、人力によってガラス障子5を持ち上げて建物1の開口部1aまでガラス障子5を運ぶ。
【0065】
前述された窓の取付方法では、嵌込工程において、巻取機32を足場構造2に取り付ける巻取機取付工程が行われたが、巻取機取付工程は省略されてもよい。この場合、作業者は、滑車31に巻回されたワイヤ34を人力で引っ張ることにより、建物1の開口部1aまでガラス障子5を引き上げる引上工程を行う。
【0066】
前述された窓の取付方法では、組立工程において、方立取付工程の後に縦枠取付工程が行われたが、縦枠取付工程の後に方立取付工程が行われてもよい。なお、窓枠4において方立12が省略される場合には、方立取付工程は省略される。この場合、嵌込工程において、窓枠4において上枠11と左縦枠13と右縦枠14と下枠15とによって囲まれる部分に嵌め込み可能な大きさのガラス障子が窓枠4に嵌め込まれる。
【0067】
前述された足場構造2では、上枠11を支持する支持部材46としてブラケットが用いられたが、支持部材46としては、複数の第1支柱41と第1手摺44のうちの少なくとも1つから後向き52に張り出して、上枠11と下枠15のうちの少なくとも一方を支持可能なものであればよい。
【0068】
前述された足場構造2では、支持部材46は、左右方向55,56に隣り合う第1支柱41にそれぞれ取り付けられたが、上枠11と下枠15のうちの少なくとも一方を支持できれば、支持部材46の数は1つでもよい。
【0069】
前述された足場構造2では、建物1の開口部1aと前後方向51,52に対向する位置において支持部材46が配置されたが、支持部材46が配置される位置は、建物1の開口部1aと前後方向51,52に対向する位置でなくてもよい。例えば、支持部材46が配置される位置は、建物1の開口部1aよりも高い位置又は低い位置であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・建物
1a・・・開口部
2・・・足場構造
4・・・窓枠
5・・・ガラス障子
11・・・上枠
13・・・左縦枠
14・・・右縦枠
15・・・下枠
16・・・第1嵌合溝
31・・・滑車
32・・・巻取機
34・・・ワイヤ
41・・・第1支柱
42・・・第2支柱
43・・・足場板
44・・・第1手摺
45・・・第2手摺
46・・・支持部材
46c・・・突起部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9