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特許73884243Dプリンタ装置、並びに三次元構造物の製造方法及び三次元構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】3Dプリンタ装置、並びに三次元構造物の製造方法及び三次元構造物
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/30 20170101AFI20231121BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20231121BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20231121BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231121BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231121BHJP
【FI】
B29C64/30
B29C64/124
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021501792
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003468
(87)【国際公開番号】W WO2020175001
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019033131
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 俊一
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0057900(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0250467(US,A1)
【文献】特開2017-001382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0055661(US,A1)
【文献】特開2016-117273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291361(US,A1)
【文献】特開平10-278123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/012663(US,A1)
【文献】特表平7-509188(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液と、
該三次元構造物形成液を収容する槽と、
電極と、を備え、
該槽の底面に少なくとも2つの該電極が配されており、
該少なくとも2つの電極は櫛歯電極であり、
該少なくとも2つの電極の間隔は0.1μm以上100μm以下であり、且つ、
該少なくとも2つの電極の間に電界が発生する、
3Dプリンタ装置。
【請求項2】
前記3Dプリンタ装置は、形成される三次元構造物に、異方性を発現させるように構成されている、請求項1に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの電極は+極及び-極を含む、請求項1又は2に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極のそれぞれの電極幅は、0.1μm以上100μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電極は交流が印加されるものである、請求項1又は2に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの電極は、積層構造を形成する少なくとも2つの電極層として構成されており、
該少なくとも2つの前記電極層の間に電界が発生する、請求項1~5のいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの前記電極層のうち、上層の前記電極層がパターニングされている、請求項6に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項8】
前記上層の前記電極層がスリット構造を有し、
該スリット構造は複数のスリットから構成され、
該複数のスリットのうち少なくとも2つのスリットの間隔は0.1μm以上100μm以下である、請求項7に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項9】
前記上層の前記電極層のスリットの幅は、0.1μm以上100μm以下である、請求項8に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項10】
前記電極が透明電極である、請求項1~9のいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項11】
平坦化層を備え、
前記電極が該平坦化層中に形成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項12】
前記平坦化層上に形成される表面処理層を更に備える、請求項11に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項13】
前記電極には、アクティブ素子が設置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の3Dプリンタ装置。
【請求項14】
分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は粒子を並べること、とを含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/該粒子を並べることと、を複数回で繰り返し、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の全体に電場がかけられる電極において、
該電場をかけない状態で、前記層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、該電場をかけた状態で、前記層の少なくとも一部以外の部分を硬化させる、
三次元構造物の製造方法。
【請求項15】
分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は粒子を並べること、とを含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/該粒子を並べることと、を複数回で繰り返し、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極において、
前記層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させる、
三次元構造物の製造方法
【請求項16】
前記分子及び/又は前記粒子が誘電異方性を有する、請求項14又は15に記載の三次元構造物の製造方法。
【請求項17】
前記分子及び/又は前記粒子が強誘電性を発現する、請求項14又は15に記載の三次元構造物の製造方法。
【請求項18】
前記層が樹脂材料を含有し、
該樹脂材料のうち、未硬化の該樹脂材料に対して温度制御しながら層を形成することを含む、請求項14又は15に記載の三次元構造物の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、3Dプリンタ装置に関し、より詳しくは、3Dプリンタ装置、並びに三次元構造物の製造方法及び三次元構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3Dプリンタ向けに様々な材料が提案および商品化されている。一般的には有機材料(高分子樹脂)であるが、無機材料(ガラス)や金属材料も提案されている。
【0003】
例えば、複数種類の樹脂材料を用いて三次元構造物を製造する、三次元構造物の製造方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、例えば、配向性材料を用いて三次元構造物を製造する、三次元構造物の製造方法が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-25187号公報
【文献】特開2016-117273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2で提案された技術では、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができないおそれがある。
【0007】
そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、三次元構造物の物性が自由にコントロールされた三次元構造物を製造することができる3Dプリンタ装置、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができる三次元構造物の製造方法及び三次元構造物の物性が自由にコントロールされた三次元構造物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができることに成功し、本技術を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本技術は、
少なくとも、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液と、
該三次元構造物形成液を収容する槽と、
電極と、を備え、
該槽の底面に該電極が配される、3Dプリンタ装置を提供する。
また、本技術は、
少なくとも、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液と、
該三次元構造物形成液を収容する槽と、
電極と、を備え、
該槽の底面に少なくとも2つの前記電極が配されており、
該少なくとも2つの電極は櫛歯電極であり、
該少なくとも2つの電極の間隔は0.1μm以上100μm以下であり、且つ、
該少なくとも2つの電極の間に電界が発生する、
3Dプリンタ装置も提供する。

【0010】
本技術に係る3Dプリンタ装置において、
前記槽の前記底面に少なくとも2つの前記電極が配されてよく、
該少なくとも2つの電極の間に電界が発生してよく
前記少なくとも2つの電極の間隔は0.1μm以上100μm以下でよく、
前記少なくとも2つの電極のそれぞれの電極幅は、0.1μm以上100μmでよく、
前記少なくとも2つの電極は櫛歯電極でよい。
【0011】
本技術に係る3Dプリンタ装置において、
前記槽の前記底面に少なくとも2つの前記電極層が配されてよく、
該少なくとも2つの前記電極層の間に電界が発生してよく、
そして、前記少なくとも2つの前記電極層が積層された構成を有してよく、
この積層構成のとき、上層の前記電極層がパターニングされてよく、
このパターニングにより、前記上層の前記電極層がスリット構造を有してよく、
該スリット構造は複数のスリットから構成されてよく、
該複数のスリットのうち少なくとも2つのスリットの間隔は0.1μm以上100μm以下でよく、
前記上層の前記電極層のスリットの幅は、0.1μm以上100μm以下でよい。
【0012】
本技術に係る3Dプリンタ装置において、
前記電極が透明電極でよい。
【0013】
本技術に係る3Dプリンタ装置は、平坦化層を備えてよく、前記電極が該平坦化層中に形成されてよい。
また、本技術に係る3Dプリンタ装置は、前記平坦化層上に形成される表面処理層を更に備えてよい。
【0014】
本技術に係る3Dプリンタ装置において、
前記電極には、アクティブ素子が設置されていてよい。
【0015】
また、本技術は、
分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は該粒子を並べること、とを含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/又は該粒子を並べること、とを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法を提供する。
また、本技術は、
分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は粒子を並べること、とを含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/該粒子を並べることと、を複数回で繰り返し、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の全体に電場がかけられる電極において、
該電場をかけない状態で、前記層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、該電場をかけた状態で、前記層の少なくとも一部以外の部分を硬化させる、
三次元構造物の製造方法も提供する。
また、本技術は、
分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は粒子を並べること、とを含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/該粒子を並べることと、を複数回で繰り返し、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極において、
前記層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させる、
三次元構造物の製造方法も提供する。
【0016】
本技術に係る三次元構造物の製造方法において、
前記分子及び/又は前記粒子が誘電異方性を有してもよく、前記分子及び/又は前記粒子が強誘電性を発現してもよい。
【0017】
本技術に係る三次元構造物の製造方法において、
前記層が樹脂材料を含有してよく、
該樹脂材料のうち、未硬化の該樹脂材料に対して温度制御しながら層を形成することが含まれてよい。
【0018】
本技術に係る三次元構造物の製造方法において、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面に電場がかけられる電極を用いて、
該電場をかけない状態で、前記層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、該電場をかけた状態で、前記層の少なくとも一部以外の部分を硬化させてよい。
【0019】
本技術に係る三次元構造物の製造方法において、
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極を用いて、
前記層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させてよい。
【0020】
さらに、本技術は、本技術に係る三次元構造物の製造方法、特には、本技術に係る三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の全体に電場がかけられる電極を用いて、該電場をかけない状態で、前記層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、該電場をかけた状態で、前記層の該少なくとも一部以外の部分を硬化させることによって得られ、
前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物を提供し、
前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有し、かつ、無配向領域を有する、三次元構造物を提供し、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
該第1分子の分子配向方向及び/又は該第1粒子の粒子配向方向と、該第2分子の分子配向方向及び/又は該第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物を提供し、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
前記第1分子の前記分子配向方向及び/又は前記第1粒子の前記粒子配向方向と、前記第2分子の前記分子配向方向及び/又は前記第2粒子の前記粒子配向方向とのなす角度が略90度である、三次元構造物を提供する。
【0021】
さらにまた、本技術は、本技術に係る三次元構造物の製造方法、特には、本技術に係る三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極を用いて、前記層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させることによって得られ、
前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物を提供し、
前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有し、かつ、無配向領域を有する、三次元構造物を提供し、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
該第1分子の分子配向方向及び/又は該第1粒子の粒子配向方向と、該第2分子の分子配向方向及び/又は該第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物を提供し、
第1分子を有する第1領域と、第2分子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
前記第1分子の前記分子配向方向及び/又は前記第1粒子の前記粒子配向方向と、前記第2分子の前記分子配向方向及び/又は前記第2粒子の前記粒子配向方向とのなす角度が略90度である、三次元構造物を提供する。
【0022】
本技術によれば、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果、または、それらと異質な効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本技術を適用した3Dプリンタ装置の構成例を示す図である。
図2】2つの電極間に発生した電場をかけて分子を並べながら層が形成されることを説明するための図である。
図3】2つの電極間隔及び電極幅を説明するめの図である。
図4】櫛歯電極の構成例を示す図である。
図5】2つの電極層間に発生した電場をかけて分子を並べながら層が形成されることを説明するための図である。
図6】電極が平坦化層中に形成されていることを説明するための図である。
図7】表面処理層が平坦化層上に形成されていることを説明するための図である。
図8】本技術を適用した三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
図9】本技術を適用した三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
図10】本技術を適用した三次元構造物の構成例を示す図である
図11】電極と電極に設置されたアクティブ素子との構成例を示す図である。
図12】電極と電極に設置されたアクティブ素子との構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、図面については、同一又は同等の要素又は部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
また、特に断りがない限り、図面において、「上」とは図中の上方向又は上側を意味し、「下」とは、図中の下方向又は下側を意味し、「左」とは図中の左方向又は左側を意味し、「右」とは図中の右方向又は右側を意味する。
【0026】
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術の概要
2.第1の実施形態(3Dプリンタ装置の例)
3.第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例)
4.第3の実施形態(三次元構造物の例)
【0027】
<1.本技術の概要>
まず、本技術の概要について説明をする。
【0028】
本技術は、三次元構造物内部(造形物内部)の分子構造及び/又は粒子構造に着目し、三次元構造物(造形物)の物性を自由にコントロールして、さらにその物性を拡張するものである。
【0029】
本技術は、SLA法(Stereolithography Apparatus;光造形方式)で3Dプリンティングを行う際に分子及び/又は粒子を並べる並べ方の発明である。SLA法の中でさらに吊り下げ方式の槽の底面に電極を配置し、電場をかけることで誘電異方性のある材料などを並べることができる。この状態で樹脂を硬化させる光を当てることによって、分子及び/又は粒子の方向の揃った層を形成できる。この後、引上げ→電場を印加→光硬化を繰り返すことで、三次元構造物(立体構造物)を作成することができる。
【0030】
さらに、電場を印加していない状態で光硬化する箇所と電場を印加している状態で光硬化する箇所を作ることで、三次元構造(立体構造)における水平方向の分子及び/又は粒子配向分布を作ることができる。この場合、光源としては硬化する場所を選択できるレーザー光などでスキャンしてもよいし、プロジェクタ方式で選択的に照射してもよい。すなわち、選択的に照射できる方法であれば、光源、照射方式等は特に限定されない。光照射するところは、三次元構造物を造形するところであり、光照射しないところは、三次元構造物を造形しないところである。したがって、立方体、直方体等の三次元構造物を作製しない限りは、全面一括露光をすることはあり得ない場合が多い。
【0031】
さらに、槽の底面に配置する電極について、アクティブ素子(例えば、TFT素子)を付け加えることで、三次元構造(立体構造)における水平方向の分子及び/又は粒子配向分布を作ることができる。この場合は、面内の分子及び/又は粒子配向状態がすべて決められているため、光源としてはプロジェクタなどの一括露光も可能であるし、ガルバノミラーやMEMSミラー等を用いたレーザー光の一括露光も可能である。すなわち、一括露光ができる方法であれば、光源、照射方式等は特に限定されない。光照射するところは、三次元構造物を造形するところであり、光照射しないところは、三次元構造物を造形しないところである。したがって、立方体、直方体等の三次元構造物を作製しない限りは、全面一括露光をすることはあり得ない場合が多い。一括露光は、電場をかけないで露光した後に電場をかけて、再度露光するような、同じ層を形成する際に2回に分けて露光をする必要がない。
【0032】
本技術によれば、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができ、より詳しくは、三次元構造物における、熱、光、力学等の物性値を、分子及び/又は粒子を並べることによって、三次元で自由にコントロールすることにより、異方性を発現し、これまでにない材料を製造することができる。なお、分子を並べるということは、分子の物性の方向を揃えることを意味し、さらに、粒子を並べるということは、粒子の物性の方向を揃えることを意味する。
【0033】
以下に、本技術に係る実施の形態について、具体的、かつ、詳細に説明をする。
【0034】
<2.第1の実施形態(3Dプリンタ装置の例)>
本技術に係る第1の実施形態(3Dプリンタ装置の例)の3Dプリンタ装置は、少なくとも、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液と、三次元構造物形成液を収容する槽と、電極と、を備え、槽の底面に電極が配される、3Dプリンタ装置である。
【0035】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置は、数ある3Dプリンタの中で、SLA(Stereolithography Apparatus;光造形方式)方式(SLA(Stereolithography Apparatus;光造形方式)方式の中にも、層を積層する方向についての「自由液面方式」と「吊り下げ方式」、層を形成するための露光方式としての、「レーザー走査方式」と「面露光(プロジェクタ)方式」がある)の中の「吊り下げ方式」に焦点を当てる(例えば、図1)。露光方式については、いずれでも適用可能であるが、また方法が分かれてくるので後述する。
【0036】
SLA方式(光造形方式)の「吊り下げ方式」においては、形成される層は常に(都度)樹脂槽の底面に接しているという特徴がある。これは、自由液面方式と比べて、層厚を精密に制御できるというメリット、硬化する樹脂面に酸素が接することがないため酸素による重合阻害を阻止できるというメリットがあり、最近ではSLA方式の主流は自由液面方式から吊り下げ方式に変わりつつある。また自由液面方式については、吊り下げ方式に対して、形成される層は空気(N2)界面に常に接しているということになる。
【0037】
本技術では、吊り下げ方式の形成される層は常に(都度)槽(樹脂槽)の底面に接しているという特徴に着目している。槽(樹脂槽)の底面に電極を配置することで、都度層を形成する際に形成する層に対して電場を印加することができる。よって、樹脂として電場によって方向が揃うような分子や粒子を添加することで、造形物(三次元構造物)に様々な異方性を発現させることができる。
【0038】
図1は、本技術を適用した3Dプリンタ装置の構成例であり、より詳しくは、本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置100-1を示す図である。
【0039】
3Dプリンタ装置100-1は、三次元構造物1-1を形成するための三次元構造物形成液5を収容する槽2と、レーザー3-1と、2つのガルバノミラー4と、ステージ6と、上下動駆動部7-1を備える上下動駆動装置7と、槽2の底面2-1に配される電極(不図示)とから構成される。三次元構造物形成液5は、未硬化の樹脂(ポリマー)でもよいし、モノマー液でもよい。また、三次元構造物形成液5は、光重合開始剤を含有してもよい。
【0040】
3Dプリンタ装置100-1は、上下動駆動部7-1を備える上下動駆動装置7により、吊り下げ方式であり、槽2の底面から層(三次元構造物1-1を構成する層)を形成するために、レーザー3-1から出力された光をガルバノミラー4-1で反射させて照射する。すなわち、槽2の底面(未硬化の樹脂が1層用意されている面)に対して、レーザー3-1を走査(スキャン)させる。層(三次元構造物1-1を構成する層)が形成されるとステージ6を引き上げて、底面と硬化済み樹脂層(三次元構造物1-1を構成する層)との間に未硬化の樹脂が入る。そして、また層(三次元構造物1-1を構成する層)を形成するための光が照射されるという仕組みである。
【0041】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、槽の底面に少なくとも2つの電極が配されてよく、その場合、少なくとも2つの電極の間に電界が発生する。
【0042】
少なくとも2つの電極は、+極と-極であってもよいし、交流が印加されることによって2つ以上の電極間に電場が発生するものでもよい。
【0043】
図2は、2つの電極間に発生した電場をかけて分子を並べながら層が形成されることを説明するための図である。なお、図2は、分子に適用されるだけでなく、粒子にも適用されてよい。図2に示されるように、槽2の底面2-1に配される+極11と-極12との間には電界(電気力線R1、横電界)が発生し、分子10が並べられて、層C100が形成されている。なお、交流が印加されれば、+極11は-極にもなり得るし、-極12は+極にもなり得る。
【0044】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、少なくとも2つの電極の間隔は随意でよいが、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、また、少なくとも2つの電極のそれぞれの電極幅も随意でよいが、0.1μm以上100μmであることが好ましい。
【0045】
上述のとおり、電極幅と電極間隔とについて、好ましい態様として設計値を限定しているが、下限(0.1μm)については、レーザーリペア機等の加工分解能を考慮して設定することができる。フォトリソグラフィーで電極を加工する場合は、これより粗く、2μm程度である。上限(100μm)については、現行の一般的な3Dプリンタ(SLA方式)のXY方向の分解能を考慮している。ところで、様々な3Dプリンタが製品化されているが、100μmの分解能のものが多い。
【0046】
図3は、2つの電極間隔及び電極幅を説明するめの図である。図3に示されるように、槽2の底面2-1には、+極11と-極12とが配されている。図3においては、+極11の電極幅はd1であり、-極12の電極幅はd3であり、+極11と-極12との電極間隔はd2である。例えば、+極11の電極幅d1は、好ましい態様として、0.1μm以上100μm以下であり、-極12の電極幅d3は、好ましい態様として、0.1μm以上100μm以下であり、+極11と-極12との電極間隔d2は、好ましい態様として、0.1μm以上100μm以下である。
【0047】
槽の底面に配される電極の設計例として、櫛歯電極が挙げられる。櫛歯電極をある範囲に渡って繰り返しパターンとして配置することで、ある範囲内の異方性材料の方向を一方向に揃えることができる。
【0048】
図4は、櫛歯電極の構成例を示す図である。図4に示されるように、槽2の底面2-1には、櫛歯電極15が配される。櫛歯電極15は、例えば、+極13と-極14とから構成される。
【0049】
電界(例えば、横電界)を発生させるための電極の設計として、電極を2層の積層構造にしてもよい。なお、積層構造は、電極を層構造にして、3層以上の積層にして構成されていてもよい。例えば、下層の電極をベタの面電極とし、上層の電極にはスリットを入れることによって上下電極間に電界を発生させることができる。この時、電界は上下電極間に発生しているが、これから形成される層(例えば、樹脂層)がある電極の上層には、電界(例えば、横電界)が発生することになる。上下電極間の層は、例えば絶縁層であればよく、好ましくは無機材料で構成された硬質な膜がよい。異物などの混入により上下電極間の短絡を防止できるからである。
【0050】
図5は、2つの電極層間に発生した電場をかけて分子を並べながら層が形成されることを説明するための図である。
【0051】
図5においては、槽2の底面2-1上には、下層の電極として、ベタの面電極(-極)17が配され、ベタの面電極(-極)17上には絶縁層18が配され、絶縁層18上には、上層の電極として、スリット形状の電極16-1及び16-2(+極)が配されている。なお、図5は、分子に適用されるだけでなく、粒子にも適用されてよい。図5に示されるように、スリット形状の電極(+極)16-1と、ベタの面電極(-極)17との間には電界(電気力線R2及びR3、横電界)が発生し、そして、スリット形状の電極(+極)16-2と、ベタの面電極(-極)17との間には電界(電気力線R4及びR5、横電界)が発生し、分子10が並べられて、層C200が形成されている。
【0052】
上層の電極が、スリット形状であるとき、上層の電極が有する複数のスリットのうち少なくとも2つのスリットの間隔は、随意でよいが、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、また、複数のスリットのうち少なくとも1つのスリットの幅は、随意でよいが、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0053】
上述のとおり、スリット間隔とスリット幅とについて、好ましい態様として設計値を限定しているが、下限(0.1μm)については、レーザーリペア機等の加工分解能を考慮して設定することができる。フォトリソグラフィーで電極を加工する場合は、これより粗く、2μm程度である。上限(100μm)については、現行の一般的な3Dプリンタ(SLA方式)のXY方向の分解能を考慮している。ところで、様々な3Dプリンタが製品化されているが、100μmの分解能のものが多い。
【0054】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、用いられる電極は随意でよいが、透明電極であることが好ましい。透明電極を構成する材料は随意でよいが、透明電極を構成する材料としては、ITO、IZO、Agナノワイヤ、PEDOTであることが好ましい。透明ではない金属電極のとき、硬化する層に対して光を照射できず、未硬化の部分ができるおそれがあるためである。
【0055】
しかしながら、透明電極が必須であるかというと、そうでないときがある。例えば、層厚が10μmの厚みで電極幅が2μmの場合、硬化するために照射する紫外線が回り込み効果と、発生するラジカルが移動するため、そこまでの問題にはならない可能性がある。
【0056】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、電極が平坦化層中に形成されることが好ましい。槽の底面が平坦であることが望ましいからである。作製される構造物を設計値とおりに作るためには、槽の底面が平坦であることが望ましいが、これも程度問題で許容される場合がある。例えば、都度作製される層(例えば、樹脂層)が10μmの厚みで電極の厚みが100nmの場合、電極の厚みのためにできる段差は層厚の1%に過ぎない。平坦化を行う場合、平坦化層を構成する材料については、ある程度の紫外線透過性があれば、材料は、特に限定されない。
【0057】
図6は、電極が平坦化層中に形成されていることを説明するための図である。図6に示されるように、槽2の底面2-1上には、+極11と-極12と平坦化層19とが形成されて、+極11と-極12とは、平坦化層19中に形成されている。+極11と-極12とが平坦化層19中に形成されていることで、槽2の底面(底面2-1と平坦化層19とから構成されたもの)は平坦になっている。
【0058】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、平坦化層上に、表面処理層が形成されていることが好ましい。吊り下げ方式の場合は、槽の底面に形成された層は都度底面から剥がす必要がある。底面から構造物ごと剥がして、次の層の隙間(隙間は未硬化の樹脂で満たされる)を作るためである。剥がすときに、槽の底面と層(三次元構造物)とが強く接着されることを避けるために、槽の底面にはフッ素などでコーティングされた表面処理層が形成されていることが望ましい。
【0059】
また、酸素透過性の機能を有する底面を備える槽が用いられてもよい。ラジカル重合を阻害する酸素を故意に導入することによって、槽の底面に僅かに未硬化の部分を残す技術である。なお、表面処理層は、平坦化層の上に形成されることの他に、平坦化層がなく、電極の上に直接に表面処理層が形成されていてもよい。
【0060】
図7は、表面処理層が平坦化層上に形成されていることを説明するための図である。図7に示されるように、槽2の底面2-1上には、+極11と-極12と平坦化層19とが形成されて、+極11と-極12とは、平坦化層19中に形成されて、平坦化層19上には、表面処理層20が形成されている。なお、表面処理層20も平坦化されていることが好ましい。
【0061】
本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置において、用いられる電極には、アクティブ素子が設置されていてもよい。各層毎に分子を並べる領域と無配向(並べない)領域を形成する場合、アクティブ素子によって領域毎に微細に分子を並べる領域と無配向(並べない)領域を制御することが可能になる。また、この場合アクティブ素子は透過性がある酸化物で構成されることが望ましい。アクティブ素子そのものによって硬化する層に照射される紫外線が遮光されてしまうためである。アクティブ素子としては、例えばTFT(薄膜トランジスタ)等が挙げられる。しかし、アクティブ素子によっては、照射された紫外線によって閾値電圧がシフトするなどの不具合が起きる場合もある。こういった場合は、アクティブ素子のサイズにもよるが、アクティブ素子自体を遮光する場合もある。アクティブ素子が小さければ、遮光しても硬化するために照射する紫外線が回り込み効果と、発生するラジカルが移動するため、そこまでの問題にはならない可能性がある。
【0062】
図11は、電極と電極に設置されたアクティブ素子(TFT)との構成例を示す図であり、より詳しくは、図11は、櫛歯電極と、櫛歯電極に設置されたアクティブ素子(TFT)との構成例を示す図である。
【0063】
図11においては、櫛歯電極は、電極21(例えば、Pixel電極)と、電極22(例えば、Common電極)とから構成されている。電極21は、電極21a(図11中では左右方向に延在する電極)と、電極21aと連結している3本の電極21b(図11中では、電極21aとの連結部から上方向に延在する電極)とから構成されている。また、電極22は、電極22a(図11中では左右方向に延在する電極)と、電極22aと連結している3本の電極22b(図11中では、電極22aとの連結部から下方向に延在する電極)とから構成されている。図11では、電極21(例えば、Pixel電極)と電極22(例えば、Common電極)との電極間隔はd4で示されている。
【0064】
アクティブ素子(TFT)26は、電極21(例えば、Pixel電極)の電極21aと接続し、Data line25と接続している。アクティブ素子(TFT)26の紙面の奥側には、Gateがあって、さらに、Gate line24が図11中の左右方向に配されている。
【0065】
図12は、電極と電極に設置されたアクティブ素子(TFT)との構成例を示す図であり、より詳しくは、図12は、2層の積層構造の電極と、2層の積層構造の電極に設置されたアクティブ素子(TFT)との構成例を示す図である。
【0066】
図12においては、2層の積層構造の電極は、上層(紙面の手前側)の電極23(例えば、Pixel電極)と、下層(紙面の奥側)の電極24(例えば、Common電極)とから構成されている。上層の電極23は、スリット形状の電極であり、7本のスリット電極23aと、7本のスリット電極23aと連結している2本の電極23bとかた構成されている。下層の電極24は、ベタの面電極である。図12では、スリット電極23aのスリット間隔は、d5で示されている。
【0067】
アクティブ素子(TFT)26は、電極21(例えば、Pixel電極)の電極21aと接続し、Data line25と接続している。アクティブ素子(TFT)26の紙面の奥側には、Gateがあって、さらに、Gate line24が図12中の左右方向に配されている。
【0068】
<3.第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例)>
本技術に係る第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例)の三次元構造物の製造方法は、分子及び/又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて分子及び/又は粒子を並べることとを含み、分子及び/又は粒子を含有する層を形成することと、電場をかけて分子及び/又は粒子を並べることと、を複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法である。ところで、分子を並べるということは、分子の物性の方向を揃えることを意味し、さらに、粒子を並べるということは、粒子の物性の方向を揃えることを意味する。
【0069】
本技術に係る第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例)の三次元構造物の製造方法においては、本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置を構成する電極を用いて、電場をかけて分子を並べながら紫外線を照射すると、電場をかけた部分の分子及び/又は粒子が並んだ状態で三次元構造物が形成され得る。なお、電場をかけて分子及び/又は粒子を並べた後に、紫外線を照射することもできる。
【0070】
材料の粘性などにより、電場を印加した後に分子及び/又は粒子が並ぶまでの時間を要することがある。また、このような場合にはこの現象を利用し、分子及び/又は粒子を並べ始めると同時に硬化させるための紫外線を領域毎に順次照射することにより、面内の分子配向及び/粒子配向にグラデーションを作ることもできる。
【0071】
図8は、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法を説明するための図であり、より詳しくは、本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置100-2を用いて、三次元構造物(層C1及び層C2)が製造されることを説明するための図である。なお、図8は、分子に適用されるだけでなく、粒子にも適用されてよい。
【0072】
図8(a)に示されるように、槽2の底面2-1上には、平坦化層19中に形成された+極11と-極12とが配されて、+極11及び-極12の上部には分子10が存在し、分子10の上部にはステージ6が配されている。次に、図8(b)に示されるように、+極11及び-極12により、電場が印加される(電気力線R6~R8)。
【0073】
図8(c)に示されるように、電場が印加されながら(電気力線R9~R11)、光源3により、光(例えば紫外光)が分子10に照射されて、並べられた分子10を含有する層C1が形成される。そして、図8(d)に示されるように、矢印L方向(図8(d)中では上方向)にステージ6を動かして、+極11及び-極12と、層C1との間に層C2を形成するための分子10を含有する三次元構造物形成液が配される。以上を繰り返して、三次元構造物を製造する。
【0074】
本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、電場によって並べる分子及び/又は粒子は誘電異方性を有していてよい。誘電異方性を有する分子及び/又は粒子としては、例えば、液晶材料等が挙げられる。
【0075】
本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、電場によって並べる分子及び/又は粒子は強誘電性を発現してよい。強誘電性を発現する分子及び/又は粒子は、自発分極を持つ分子及び/又は粒子であり、例えば、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等が挙げられる。
【0076】
本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法は、層が樹脂材料を含有するとき、樹脂材料のうち、未硬化の該樹脂材料に対して温度制御しながら層を形成することを含むことができる。この製造方法は、槽に加温機構を設けて、樹脂材料を加温(温度制御)した状態で層を形成する製造方法である。加温する目的は、樹脂の粘性が高く異方性分子及び/又は異方性粒子が動くのに時間がかかる可能性があるためと、樹脂材料の温度を一定に保つ機構がある方が、設計値と構造物との一致がよくなるためである。また、温度を上げることによって、樹脂に対する様々な分子や粒子の溶解性を上げることができ、より多くの種類の材料を取り扱うことができる。さらに、液晶性物質の場合、液晶相の温度領域を使用した方が分子や粒子の配向性を上げることができる場合がある。
【0077】
本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面に電場がかけられる電極を用いて、電場をかけない状態で、層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、電場をかけた状態で、層の少なくとも一部以外の部分を硬化させてもよい。なお、底面に電場をかけるとはステージの範囲内で電場をかけるということである。言い換えれば、一般的には、槽の底面よりはステージの方が小さいので、少なくとも底面上に配されるステージのサイズに対応する部分に電場をかければよい。
【0078】
形成される層内で選択的に電場をかけられない電極においても、選択的に分子及び/又は粒子が配向していない領域と分子及び/又は粒子が配向する領域をそれぞれ同一面内に作成することができる。初めに、槽の底にある形成される前の三次元構造物形成液中の分子及び/又は粒子はランダムな状態(配向していない状態)である。この状態で選択的に紫外線を照射することで、ランダムな状態で部分的に層を形成することができる。選択的に紫外線を照射する方法は、プロジェクタ方式であれば、ランダム状態で形成したい部分にのみ照射すればよく、レーザー走査方式の場合は、レーザーを走査しながらランダムで形成したい部分にのみレーザーを照射すればよい。この後、電場を全体に印加する。紫外線が照射されていない部分は材料が固まっていないため電場によって異方性分子及び/又は異方性粒子が動くことができるが、ランダム状態で既に形成された部分については材料が固まっているため動くことができない。電場を印加して異方性分子及び/又は異方性粒子を配向させた状態で紫外線を全体に、またはランダム状態で固化したところを除いて選択的に照射をすることで、配向状態と無配向状態の領域を同一面内に選択的に作成することができる。
【0079】
更に具体的に、図9を用いて説明をする。
【0080】
図9は、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法を説明するための図であり、より詳しくは、本技術に係る第1の実施形態の3Dプリンタ装置100-3を用いて、三次元構造物(層C3(層C3-1及び層C3-2)並びに層C4(層C4-1及び層C4-2))が製造されることを説明するための図である。なお、図9は、分子に適用されるだけでなく、粒子にも適用されてよい。
【0081】
図9(a)に示されるように、槽2の底面2-1上には、平坦化層19中に形成された+極11と-極12とが2組で配されて、+極11及び-極12の上部には分子10が存在し、分子10の上部にはステージ6が配されている。この状態で選択的に、光源3により光(例えば紫外線)を照射することで、分子10がランダムな状態で部分的に層C3-2を形成することができる。次に、図9(b)に示されるように、2組の+極11及び-極12により、電場が印加される(電気力線R14~R15)。紫外線が照射されていない部分(層C3-1に対応する部分)は材料が固まっていないため電場によって分子10が動くことができるが、ランダム状態で既に形成された部分(層C3-2)については材料が固まっているため分子10は動くことができない。
【0082】
図9(c)に示されるように、電場が印加されながら(電気力線R12及びR13)、光源3により、選択的に、光(例えば紫外光)が電場によって、並べられた分子10に照射されて、並べられた分子10を含有する層C3-1が形成される。
【0083】
そして、図9(d)に示されるように、矢印L方向(図9(d)中では上方向)にステージ6を動かして、+極11及び-極12と、層C1との間に、分子10を含有する層C4-1及び層C4-2を形成するための三次元構造物形成液が配される。以上を繰り返して、三次元構造物を製造する。
【0084】
本技術に係る三次元構造物の製造方法において、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極を用いて、層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させてもよい。
【0085】
選択的に電場をかけることができる電極、アクティブ素子、例えばTFT(薄膜トランジスタ)が設置された電極によって電場が保持される電極で選択的に電場をかけた後に、光(例えば紫外線)を照射することで、電場をかけた領域のみ、分子の配向した層及び/又は粒子の配向した層を形成することができる。
【0086】
<4.第3の実施形態(三次元構造物の例)>
本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の例)の三次元構造物は、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られる三次元構造物である。
【0087】
より具体的には、本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の例)の三次元構造物は、第1の態様として、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面に電場がかけられる電極を用いて、電場をかけない状態で、層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、電場をかけた状態で、層の少なくとも一部以外の部分を硬化させることによって得られ、層の領域毎に任意の分子配向方向及び/粒子配向方向を有する、三次元構造物である。なお、底面に電場をかけるとはステージの範囲内で電場をかけるということである。言い換えれば、一般的には、槽の底面よりはステージの方が小さいので、少なくとも底面上に配されるステージのサイズに対応する部分に電場をかければよい。
【0088】
また、本技術に係る第3の実施形態の第1の態様の三次元構造物は、無配向領域を有してもよい。
【0089】
本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の例)の三次元構造物は、第2の態様として、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極を用いて、層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、層の全体を硬化させることによって得られ、層の領域毎に任意の分子配向方向及び/任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物である。
【0090】
また、本技術に係る第3の実施形態の第2の態様の三次元構造物は、無配向領域を有してもよい。
【0091】
電場を印加した部分においては、分子及び/又は粒子が並んだ状態を作ることができる。そして、印加する電場強度、電場を印加する時間等によって、分子の配向度合い及び/又は粒子の配向度合いが制御できる。
【0092】
本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の例)の三次元構造物は、第3の態様として、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面に電場がかけられる電極を用いて、電場をかけない状態で、層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、電場をかけた状態で、層の少なくとも一部以外の部分を硬化させることによって得られ、第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、第1領域に、第1電場がかけられ、第2領域に、第2電場がかけられ、第1分子の分子配向方向及び/又は第1粒子の粒子配向方向と、第2分子の分子配向方向及び/又は第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物である。なお、底面に電場をかけるとはステージの範囲内で電場をかけるということである。言い換えれば、一般的には、槽の底面よりはステージの方が小さいので、少なくとも底面上に配されるステージのサイズに対応する部分に電場をかければよい。
【0093】
また、本技術に係る第3の実施形態の第3の態様の三次元構造物は、第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、第1領域に、第1電場がかけられ、第2領域に、第2電場がかけられ、第1分子の分子配向方向及び/第1粒子の粒子配向方向と、第2分子の分子配向方向及び/第2粒子の粒子配向方向とのなす角度が略90度である、三次元構造物でもよい。
【0094】
本技術に係る第3の実施形態の第3の態様の三次元構造物においては、電場をかける領域(例えば第1領域、第2領域)を、各ブロックとして考えることができる。この時に、隣り合う分子及び/又は粒子の向きが異なるように作成することができる。電場の強度や印加する時間、電極の配置によって、本技術に係る第3の実施形態の第3の態様の三次元構造物を製造することができる。
【0095】
本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の例)の三次元構造物は、第4の態様として、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法であって、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極を用いて、層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、層の全体を硬化させることによって得られ、第1分子及び/第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/第2粒子を有する第2領域とを有し、第1領域に、第1電場がかけられ、第2領域に、第2電場がかけられ、第1分子の分子配向方向及び/第1粒子の粒子配向方向と、第2分子の分子配向方向及び/第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物である。
【0096】
また、本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物は、第1分子及び/第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、第1領域に、第1電場がかけられ、第2領域に、第2電場がかけられ、第1分子の分子配向方向及び/第1粒子の粒子配向方向と、第2分子の分子配向方向及び/又は第2粒子の粒子配向方向とのなす角度が略90度である、三次元構造物でもよい。
【0097】
本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物においては、電場をかける領域(例えば第1領域、第2領域)を、各ブロックとして考えることができる。この時に、隣り合う分子及び/又は粒子の向きが異なるように作成することができる。電場の強度や印加する時間、電極の配置によって、本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物を製造することができる。
【0098】
図10は、本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物の構成例を示す図である。なお、図10は、分子に適用されるだけでなく、粒子にも適用されてよい。
【0099】
図10(a)には、本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物1-10-1の1層分である層C5が示されている。図10(a)に示されるように、層C5が含有する第1分子及び第2分子において、第1分子の分子配向方向Pと第2分子の分子配向方向Qとのなす角度は略90度である。
【0100】
図10(b)には、本技術に係る第3の実施形態の第4の態様の三次元構造物1-10-2の4層分である層C5~層C8が示されている。図10(b)に示されるように、層C5~層C8のそれぞれの層が含有する第1分子及び第2分子において、第1分子の分子配向方向Pと第2分子の分子配向方向Qとのなす角度は略90度である。
【0101】
本技術は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において変更することが可能である。
【0102】
また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]
少なくとも、三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液と、
該三次元構造物形成液を収容する槽と、
電極と、を備え、
該槽の底面に該電極が配される、3Dプリンタ装置。
[2]
前記槽の前記底面に少なくとも2つの前記電極が配され、
該少なくとも2つの電極の間に電界が発生する、[1]に記載の3Dプリンタ装置。
[3]
前記少なくとも2つの電極の間隔は0.1μm以上100μm以下である、[2]に記載の3Dプリンタ装置。
[4]
前記少なくとも2つの電極のそれぞれの電極幅は、0.1μm以上100μmである、[2]又は[3]に記載の3Dプリンタ装置。
[5]
前記少なくとも2つの電極は櫛歯電極である、[2]から[4]のいずれか1つに記載の3Dプリンタ装置。
[6]
前記槽の前記底面に少なくとも2つの前記電極層が配され、
該少なくとも2つの前記電極層の間に電界が発生する、[1]に記載の3Dプリンタ装置。
[7]
前記少なくとも2つの前記電極層が積層された構成を有し、
上層の前記電極層がパターニングされている、[6]に記載の3Dプリンタ装置。
[8]
前記上層の前記電極層がスリット構造を有し、
該スリット構造は複数のスリットから構成され、
該複数のスリットのうち少なくとも2つのスリットの間隔は0.1μm以上100μm以下である、[7]に記載の3Dプリンタ装置。
[9]
前記上層の前記電極層のスリットの幅は、0.1μm以上100μm以下である、[8]に記載の3Dプリンタ装置。
[10]
前記電極が透明電極である、[1]から[9]のいずれか1つに記載の3Dプリンタ装置。
[11]
平坦化層を備え、
前記電極が該平坦化層中に形成される、[1]から[10]のいずれか1つに記載の3Dプリンタ装置。
[12]
前記平坦化層上に形成される表面処理層を更に備える、[11]に記載の3Dプリンタ装置。
[13]
前記電極には、アクティブ素子が設置されている、[1]から[12]のいずれか1つに記載の3Dプリンタ装置。
[14]
分子及び又は粒子を少なくとも含有する層を形成することと、電場をかけて該分子及び/又は該粒子を並べることと、を含み、
該分子及び/又は該粒子を含有する層を形成することと、該電場をかけて該分子及び/該粒子を並べることと、を複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法。
[15]
前記分子及び/又は前記粒子が誘電異方性を有する、[14]に記載の三次元構造物の製造方法。
[16]
前記分子及び/又は前記粒子が強誘電性を発現する、[14]又は[15]に記載の三次元構造物の製造方法。
[17]
前記層が樹脂材料を含有し、
該樹脂材料のうち、未硬化の該樹脂材料に対して温度制御しながら層を形成することを含む、[14]から[16]のいずれか1つに記載の三次元構造物の製造方法。
[18]
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面に電場がかけられる電極において、
該電場をかけない状態で、前記層の少なくとも一部を選択的に硬化させた後に、該電場をかけた状態で、前記層の該少なくとも一部以外の部分を硬化させる、[14]から[17]のいずれか1つに記載の三次元構造物の製造方法。
[19]
三次元構造物を形成するための三次元構造物形成液を収容する槽の底面に配されて、該底面の少なくとも一部に選択的に電場がかけられる電極において、
前記層の少なくとも一部を、選択的に電場をかけた状態で、前記層の全体を硬化させる、[14]から[17]のいずれか1つに記載の三次元構造物の製造方法。
[20]
[18]に記載の製造方法によって得られ、前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物。
[21]
無配向領域を有する、[20]に記載の三次元構造物。
[22]
[19]に記載の製造方法によって得られ、前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物。
[23]
無配向領域を有する、[22]に記載の三次元構造物。
[24]
[18]に記載の製造方法によって得られ、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
該第1分子の分子配向方向及び/又は該第1粒子の粒子配向方向と、該第2分子の分子配向方向及び/又は第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物。
[25]
前記第1分子の前記分子配向方向及び/又は前記第1粒子の粒子配向方向と、前記第2分子の前記分子配向方向及び/又は前記第2粒子の粒子配向方向とのなす角度が略90度である、[24]に記載の三次元構造物。
[26]
無配向領域を有する、[24]又は[25]に記載の三次元構造物。
[27]
[19]に記載の製造方法によって得られ、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
該第1分子の分子配向方向及び/又は該第1粒子の粒子配向方向と、該第2分子の分子配向方向及び/又は前記第2粒子の粒子配向方向と、が異なる、三次元構造物。
[28]
前記第1分子の前記分子配向方向及び/又は前記第1粒子の粒子配向方向と、前記第2分子の前記分子配向方向及び/又は前記第2粒子の粒子配向方向とのなす角度が略90度である、[27]に記載の三次元構造物。
[29]
無配向領域を有する、[27]又は[28]に記載の三次元構造物。
[30]
[14]に記載の製造方法によって得られ、前記層の領域毎に任意の分子配向方向及び/又は任意の粒子配向方向を有する、三次元構造物。
[31]
無配向領域を有する、[30]に記載の三次元構造物。
[32]
[14]に記載の製造方法によって得られ、
第1分子及び/又は第1粒子を有する第1領域と、第2分子及び/又は第2粒子を有する第2領域とを有し、
該第1領域に、第1電場がかけられ、
該第2領域に、第2電場がかけられ、
該第1分子の分子配向方向及び/又は該第1粒子の粒子配向方向と、該第2分子の分子配向方向及び/又は第2粒子の粒子配向方向とが異なる、三次元構造物。
[33]
前記第1分子の前記分子配向方向及び/又は前記第1粒子の粒子配向と、前記第2分子の前記分子配向方向及び/又は前記第2粒子の粒子配向とのなす角度が略90度である、[32]に記載の三次元構造物。
[34]
前記分子及び/又は前記粒子が誘電異方性を有する、[20]から[33]のいずれか1つに記載の三次元構造物。
[35]
前記分子及び/又は前記粒子が強誘電性を発現する、[20]から[34]のいずれか1つに記載の三次元構造物。
[36]
前記層が樹脂材料を含有し、
該樹脂材料のうち、未硬化の該樹脂材料に対して温度制御しながら層を形成することを含む、[20]から[35]のいずれか1つに記載の三次元構造物。
【符号の説明】
【0103】
1(1-1、1-10-1、1-10-2)・・・三次元構造物、
2・・・槽、
3・・・光源、3-1・・・レーザー、
4-1・・・ガルバノミラー、
5・・・三次元構造物形成液、
6・・・ステージ、
7・・・上下動駆動装置、7-1・・・上下動駆動部、
10・・・分子、
11・・・電極(+極)、
12・・・電極(-極)、
16(16-1、16-2)・・・電極層(上層、+極)、
17・・・電極層(下層、-極)、
18・・・絶縁層、
19・・・平坦化層、
20・・・表面処理層、
100(100-1、100-2、100-3)・・・3Dプリンタ装置
C(C1、C2、C3-1、C3-2、C4-1、C4-2、C5、C6、C7、C8)・・・層、
R(R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10,R11、R12,R13,R14,R15)・・・電気力線、
P・・・第1分子の分子配向方向、
Q・・・第2分子の分子配向方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12