IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

特許7388430基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法
<>
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図1
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図2
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図3
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図4
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図5
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図6
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図7
  • 特許-基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 36/38 20090101AFI20231121BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20231121BHJP
【FI】
H04W36/38
H04W92/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021511813
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2019014547
(87)【国際公開番号】W WO2020202447
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲哉
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/188304(WO,A1)
【文献】Kyocera,Consideration of topology adaptation in IAB[online],3GPP TSG-RAN WG2 #103 R2-1811843,3Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_10/Docs/R2-1811843.zip>,2018年08月10日
【文献】Lenovo, Motorola Mobility,Backhaul link reselection[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #102 R2-1807902,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_102/Docs/R2-1807902.zip>,2018年05月11日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに無線接続して中継ネットワークを形成し自装置に接続する複数のノードそれぞれを他の基地局装置へ接続させるか否かを判定する制御部と、
前記制御部によって第1のノードを前記他の基地局装置へ接続させると判定された場合に、前記他の基地局装置に関する情報を含む接続情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された接続情報を、前記中継ネットワークにおいて前記第1のノードの下位に接続する第2のノード、並びに前記第1のノード若しくは前記第2のノードと無線通信する端末装置へ前記第1のノード経由で送信し、送信してから前記第1のノードが前記他の基地局装置へ接続を切り替えるまでの待機時間の経過後に、前記第1のノードに前記接続情報を送信する送信部と
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記他の基地局装置の識別情報、前記他の基地局装置の配下で使用される無線リソース情報、及び前記第1のノードが前記他の基地局装置へ接続するまでの前記待機時間を示す待機時間情報を含む接続情報を生成することを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記生成部は、
前記他の基地局装置の配下における接続関係に関するトポロジー情報をさらに含む接続情報を生成することを特徴とする請求項2記載の基地局装置。
【請求項4】
中継ネットワークの最上位に配置されるドナー基地局装置と、互いに無線接続して前記中継ネットワークを形成し前記ドナー基地局装置に接続する複数のノード基地局装置とを有する無線通信システムであって、
前記ドナー基地局装置は、
前記複数のノード基地局装置それぞれを他のドナー基地局装置へ接続させるか否かを判定する制御部と、
前記制御部によって第1のノード基地局装置を前記他のドナー基地局装置へ接続させると判定された場合に、前記他のドナー基地局装置に関する情報を含む接続情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された接続情報を、前記中継ネットワークにおいて前記第1のノード基地局装置の下位に接続する第2のノード基地局装置、並びに前記第1のノード基地局装置若しくは前記第2のノード基地局装置と無線通信する端末装置へ前記第1のノード基地局装置経由で送信し、送信してから前記第1のノード基地局装置が前記他のドナー基地局装置へ接続を切り替えるまでの待機時間の経過後に、前記第1のノード基地局装置に前記接続情報を送信する送信部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
互いに無線接続して中継ネットワークを形成する複数のノードが接続する基地局装置によって実行される接続変更方法であって、
前記複数のノードそれぞれを他の基地局装置へ接続させるか否かを判定し、
第1のノードを前記他の基地局装置へ接続させると判定した場合に、前記他の基地局装置に関する情報を含む接続情報を生成し、
生成された接続情報を、前記中継ネットワークにおいて前記第1のノードの下位に接続する第2のノード、並びに前記第1のノード若しくは前記第2のノードと無線通信する端末装置へ前記第1のノード経由で送信し、送信してから前記第1のノードが前記他の基地局装置へ接続を切り替えるまでの待機時間の経過後に、前記第1のノードに前記接続情報を送信する
処理を有することを特徴とする接続変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークにおいては、モバイル端末(スマートフォンやフィーチャーホン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使用するトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開に合わせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、第4世代移動体通信(4G)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データ信号レート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPPの作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められており、2017年の末に標準規格書の初版が出されている(非特許文献12~38)。
【0004】
上述したように、多種多様なサービスに対応するために、5Gでは、eMBB(Enhanced Mobile BroadBand)、Massive MTC(Machine Type Communications)、及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。
【0005】
また、5Gでは、基地局装置と端末装置の間の通信を他の基地局装置が中継することが検討されている。この中継においては、コアネットワークと端末装置との間に配置された複数の基地局装置が無線接続し、基地局装置間の無線通信によって中継が実行される。このような5Gにおける中継は、IAB(Integrated Access and Backhaul)とも呼ばれ、マルチホップの中継が許容される。すなわち、コアネットワークに接続する基地局装置であるIABドナーは、他の基地局装置である複数のIABノードを経由して、端末装置と通信することができる(非特許文献39)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】3GPP TS 36.133 V15.5.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.211 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.4.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.2.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.4.0(2018-12)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.4.1(2019-01)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、IABドナーとなる基地局装置は、無線制御装置であるCU(Central Unit)と無線装置であるDU(Distributed Unit)とに機能分離され、IABノードとなる基地局装置は、無線のバックホール回線を終端するMT(Mobile Termination)とDUとに機能分離されることがある。このとき、中継局となるIABノードは、最上位ノードであるIABドナーのCUと同じPCI(Physical Cell ID)及びグローバルRANノードID(Global RAN Node ID)を有する。つまり、複数の基地局装置が1つのセルを形成する同一の基地局装置として識別される。
【0008】
このため、最上位のIABドナーが変更される場合には、下位のIABノード及び端末装置において無線リンク障害(Radio Link Failure:RLF)が発生するという問題がある。具体的に、例えば図1に示すように、最上位のIABドナー#1の配下にIABノード#1~#3及び端末装置UE#1~#3が接続されている場合を考える。この場合、IABノード#1~#3は、IABドナー#1のCUと同じPCI及びグローバルRANノードIDを有し、IABドナー#1及びIABノード#1~#3が同一の基地局装置として識別される。
【0009】
IABドナー#1及びIABノード#1~#3は互いに無線接続されているため、無線回線の状態が変化すると、装置の接続関係を変更するトポロジーアダプテーションが実行される。すなわち、例えば基地局装置間の無線回線の状態が劣化した場合には、基地局装置間の接続関係を変更するハンドオーバが実行される。したがって、例えばIABドナー#1とIABノード#1の間の無線回線の状態が劣化した場合には、例えばIABノード#1がIABドナー#1からIABドナー#2へハンドオーバする。
【0010】
このとき、IABノード#1は、最上位ノードであるIABドナー#1及びIABドナー#2に直接接続するため、最上位ノードの変更に伴うPCI及びグローバルRANノードIDの変更に追従する。一方、IABノード#1より下位のIABノード#2、#3及びUE#1~#3は、PCI及びグローバルRANノードIDの急な変更に追従することができず、RLFの発生を検知する。結果として、IABノード#1より下位の通信装置による接続が維持されず、通信を継続することが困難になる。
【0011】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、トポロジーアダプテーション発生時にも通信を継続することができる基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願が開示する基地局装置は、1つの態様において、互いに無線接続して中継ネットワークを形成し自装置に接続する複数のノードそれぞれを他の基地局装置へ接続させるか否かを判定する制御部と、前記制御部によって第1のノードを前記他の基地局装置へ接続させると判定された場合に、前記他の基地局装置に関する情報を含む接続情報を生成する生成部と、前記生成部によって生成された接続情報を、前記中継ネットワークにおいて前記第1のノードの下位に接続する第2のノード、並びに前記第1のノード若しくは前記第2のノードと無線通信する端末装置へ前記第1のノード経由で送信する送信部とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本願が開示する基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法の1つの態様によれば、トポロジーアダプテーション発生時にも通信を継続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、通信装置の接続関係の一例を示す図である。
図2図2は、一実施の形態に係る無線通信システムの例を示す図である。
図3図3は、一実施の形態に係る基地局装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、一実施の形態に係る基地局装置の動作を示すフロー図である。
図5図5は、一実施の形態に係る他の基地局装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、一実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図7図7は、一実施の形態に係る接続変更方法を示すシーケンス図である。
図8図8は、一実施の形態に係る基地局装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願が開示する基地局装置、端末装置、無線通信システム及び接続変更方法の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
図2は、一実施の形態に係る無線通信システムの例を示す図である。この無線通信システムにおいては、コアネットワークに基地局装置100a、100bが有線接続している。コアネットワークに直接接続される基地局装置100a、100bは、中継ネットワークの最上位の通信装置であり「IABドナー」とも呼ばれる。基地局装置100aには、基地局装置200aが無線接続し、基地局装置200aには、基地局装置200bが無線接続する。
【0017】
基地局装置200a、200bは、IABドナーである基地局装置100aからの通信を中継する通信装置であり「IABノード」とも呼ばれる。これらの基地局装置200a、200bは、互いに無線接続して中継ネットワークを形成し、IABドナーに接続する。また、基地局装置200aは、端末装置300aと無線通信し、基地局装置200bは、端末装置300bと無線通信する。
【0018】
以下の説明では、基地局装置100a、100bと同じIABドナーとなる基地局装置を「基地局装置100」といい、基地局装置200a、200bと同じIABノードとなる基地局装置を「基地局装置200」ということがある。同様に、端末装置300a、300bを「端末装置300」ということがある。また、中継ネットワークを形成する基地局装置100、200及び端末装置300などの通信装置において、コアネットワークに近い通信装置が上位の通信装置であり、コアネットワークから遠い通信装置が下位の通信装置であるものとする。
【0019】
図2においては、基地局装置200aが基地局装置100aに無線接続されているが、無線回線の状態が変化し、例えば基地局装置200aと基地局装置100aの間の無線回線よりも基地局装置200aと基地局装置100bの間の無線回線の品質が良好となった場合には、トポロジーアダプテーションが実行される。すなわち、例えば基地局装置200aと接続するIABドナーを基地局装置100aから基地局装置100bへ変更するハンドオーバが実行される。
【0020】
図3は、IABドナーである基地局装置100の構成を示すブロック図である。図3に示す基地局装置100は、CU機能部110及びDU機能部120を有する。図3においては、基地局装置100がCU機能部110及びDU機能部120を1つずつ有するものとしたが、基地局装置100は、複数のCU機能部110又は複数のDU機能部120を有していても良い。また、CU機能部110とDU機能部120の対応関係は、1対1、1対多、多対1及び多対多のいずれであっても良い。
【0021】
CU機能部110は、基地局装置100による無線通信を制御する無線制御部である。具体的には、CU機能部110は、有線インタフェース部(以下「有線I/F部」と略記する)111、制御信号処理部112、ユーザ信号処理部113、IAB制御部114及びIAB情報生成部115を有する。
【0022】
有線I/F部111は、コアネットワークに有線接続し、端末装置300宛ての信号をコアネットワークから受信する。また、有線I/F部111は、端末装置300から送信された信号をコアネットワークへ送信する。有線I/F部111は、コアネットワーク以外にも、他の基地局装置のCU機能部と有線接続していても良い。
【0023】
制御信号処理部112は、制御信号の処理をするコントロールプレーンの処理部である。制御信号処理部112は、例えば基地局装置間や基地局装置と端末装置の間の無線品質の測定に関する設定をしたり、基地局装置間や基地局装置と端末装置の間の信号送受信に関するスケジューリングをしたりする。また、制御信号処理部112は、IAB情報生成部115によって生成されるIAB情報を、DU機能部120を介して、基地局装置100の下位の通信装置(基地局装置200及び端末装置300)へ送信する。すなわち、制御信号処理部112は、IABノードがハンドオーバする際に、IAB情報を下位の通信装置へ送信する。
【0024】
このとき、制御信号処理部112は、まずハンドオーバするIABノードの下位の通信装置へIAB情報を送信し、所定時間が経過した後、ハンドオーバするIABノードへIAB情報を送信する。すなわち、例えば図2に示した基地局装置100aの制御信号処理部112は、基地局装置200aがハンドオーバする際に、基地局装置200b及び端末装置300a、300bへIAB情報を送信し、所定時間が経過した後に、基地局装置200aへIAB情報を送信する。ただし、IAB情報が基地局装置200b及び端末装置300a、300bへ送信される場合も、基地局装置200aは、IAB情報を中継する。制御信号処理部112は、IAB情報を例えばRRC(Radio Resource Control)レイヤのメッセージとして送信する。
【0025】
ユーザ信号処理部113は、ユーザ信号の処理をするユーザプレーンの処理部である。ユーザ信号処理部113は、端末装置300宛ての信号を、DU機能部120を介して、端末装置300へ送信する。また、ユーザ信号処理部113は、端末装置300から送信されDU機能部120によって受信された信号を有線I/F部111へ出力する。
【0026】
IAB制御部114は、IABにおける接続関係を制御する。具体的には、IAB制御部114は、基地局装置間や基地局装置と端末装置の間の無線品質の測定結果に基づいて、下位のIABノード及び端末装置300の接続関係を決定する。また、IAB制御部114は、下位のIABノードにおける無線品質が劣化し、このIABノードを他のIABドナーへ接続させるハンドオーバが必要と判断した場合には、ハンドオーバ要求を生成する。そして、IAB制御部114は、制御信号処理部112及び有線I/F部111を介して、ハンドオーバ要求を他のIABドナーへ送信する。
【0027】
IAB情報生成部115は、IAB制御部114によってIABノードのハンドオーバが必要と判断された場合、ハンドオーバするIABノードとこのIABノードの下位の通信装置(基地局装置200及び端末装置300)とに対するIAB情報を生成する。具体的には、IAB情報生成部115は、IAB制御部114から送信されたハンドオーバ要求に対する応答に基づいて、ハンドオーバ先の新たなIABドナーの識別情報と、新たなIABドナーの配下で使用される無線リソース情報と、ハンドオーバ実行までの時間を示す待機時間情報と、新たなIABドナーの配下におけるトポロジーに関するIAB接続情報とを含む通信装置ごとのIAB情報を生成する。IAB接続情報には、例えば通信装置ごとの通信経路を識別する通信経路識別情報と、各通信経路上に配置されるIABノードの識別情報と、通信装置ごとのIABドナーまでのホップ数となどが含まれる。
【0028】
DU機能部120は、基地局装置100による無線通信を実行する無線部である。具体的には、DU機能部120は、無線処理部121及び無線送受信部122を有する。
【0029】
無線処理部121は、制御信号処理部112によって処理される制御信号及びユーザ信号処理部113によって処理されるユーザ信号に対して、所定の無線処理を施す。
【0030】
無線送受信部122は、無線処理部121によって無線処理が施された制御信号及びユーザ信号をアンテナから送信する。また、無線送受信部122は、下位のIABノード又は端末装置300から送信された信号をアンテナを介して受信する。
【0031】
次いで、上記のように構成された基地局装置100の動作について、図4に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0032】
基地局装置100に対しては、下位のIABノード及び端末装置300から無線品質の測定結果が報告される。そこで、IAB制御部114によって、無線品質の測定結果に基づいて、下位のIABノードのハンドオーバが必要か否かが判定される(ステップS101)。すなわち、下位のIABノードにおける無線品質が所定基準よりも劣化しているか否かが判定される。IAB制御部114によって下位のIABノードのハンドオーバが不要と判定される場合には(ステップS101No)、次回の無線品質測定結果の報告が待機される。
【0033】
一方、IAB制御部114によって下位のIABノードのハンドオーバが必要と判定される場合には(ステップS101Yes)、ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求が生成され、有線I/F部111を介して他のIABドナーへ送信される(ステップS102)。ハンドオーバ要求の送信先のIABドナーは、ハンドオーバ対象となっているIABノードから報告される無線品質の測定結果に基づいて決定されれば良い。すなわち、IABノードは、自ノードと周辺のIABドナー及びIABノードとの間の無線品質を測定しているため、IAB制御部114は、測定結果が良好なIABドナーをハンドオーバ先に決定するか、又は測定結果が良好なIABノードが接続する最上位のIABドナーをハンドオーバ先に決定する。
【0034】
IAB制御部114によってハンドオーバ要求が送信されると、ハンドオーバ先のIABドナーからハンドオーバ要求に対する応答が受信される。この応答には、IABノードのハンドオーバを許可するか否かを示す情報と、ハンドオーバ先のIABドナーの識別情報とが含まれる。また、IABノードがハンドオーバした場合の新たなトポロジーに関する情報が応答に含まれていても良い。IABノードのハンドオーバが許可された場合には、ハンドオーバ要求に対する応答に基づいて、IAB情報生成部115によってIAB情報が生成される(ステップS103)。
【0035】
具体的には、ハンドオーバ対象のIABノードと、このIABノードの下位にあるIABノード及び端末装置300とのそれぞれに対して、ハンドオーバ先の新たなIABドナーに関する情報を通知するIAB情報が生成される。IAB情報は、それぞれの通信装置(基地局装置200及び端末装置300)に対して個別に生成され、ハンドオーバ先の新たなIABドナーの識別情報と、新たなIABドナーの配下で使用される無線リソース情報と、ハンドオーバ実行までの時間を示す待機時間情報と、新たなIABドナーの配下におけるトポロジーに関するIAB接続情報とを含む。
【0036】
IAB情報が生成されると、制御信号処理部112によって、IAB情報が送信される。ここでは、まずハンドオーバするIABノードの下位にあるIABノード及び端末装置300に対して、IAB情報がDU機能部120を介して送信される(ステップS104)。つまり、この時点では、ハンドオーバするIABノードに対してはIAB情報が送信されない。例えば図2に示した例では、基地局装置200aがハンドオーバする際に、基地局装置200aに対してはIAB情報が送信されず、基地局装置200b及び端末装置300a、300bに対してIAB情報が送信される。このとき、例えば基地局装置200b及び端末装置300aに対するIAB情報は、基地局装置200aによって中継される。同様に、例えば端末装置300bに対するIAB情報は、基地局装置200a、200bによって中継される。
【0037】
そして、制御信号処理部112によって所定時間が待機され(ステップS105)、所定時間が経過すると(ステップS105Yes)、ハンドオーバするIABノードに対して、IAB情報がDU機能部120を介して送信される(ステップS106)。ここで待機される所定時間は、IAB情報に含まれる待機時間情報が示す時間に対応する。したがって、ハンドオーバするIABノードの下位にあるIABノード及び端末装置300による待機が終了する際に、ハンドオーバするIABノードへIAB情報が送信され、このIABノードによるハンドオーバが実行される。これにより、IABノードがハンドオーバするタイミングで、下位のIABノード及び端末装置300は、待機を終了して新たなIABドナーへ接続する。結果として、ハンドオーバするIABノードと、このIABノードの下位にあるIABノード及び端末装置300とが新たなIABドナーへ接続し、無線リンク障害が発生することがない。換言すれば、トポロジーアダプテーション発生時にも通信を継続することができる。
【0038】
図5は、IABノードである基地局装置200の構成を示すブロック図である。図5に示す基地局装置200は、MT機能部210及びDU機能部220を有する。
【0039】
MT機能部210は、基地局装置間の無線のバックホール回線を終端する。具体的には、MT機能部210は、無線インタフェース部(以下「無線I/F部」と略記する)211、信号判別部212、制御信号処理部213及びIAB制御部214を有する。
【0040】
無線I/F部211は、IABドナー又は上位のIABノードに無線接続し、端末装置300宛ての信号をIABドナー又は上位のIABノードから受信する。また、無線I/F部211は、端末装置300から送信された信号をIABドナー又は上位のIABノードへ送信する。
【0041】
信号判別部212は、無線I/F部211によって受信された信号を判別し、自装置宛てのIAB情報を取得する。また、信号判別部212は、下位のIABノード又は端末装置300宛ての信号をDU機能部220へ転送する。すなわち、信号判別部212は、下位のIABノード又は端末装置300宛ての信号を中継する。中継される信号には、下位のIABノード又は端末装置300宛てのIAB情報及びユーザ信号などが含まれる。さらに、信号判別部212は、下位のIABノード又は端末装置300から送信されDU機能部220によって受信された信号を、無線I/F部211を介してIABドナー又は上位のIABノードへ送信する。
【0042】
制御信号処理部213は、制御信号の処理をするコントロールプレーンの処理部である。制御信号処理部213は、例えば基地局装置間や基地局装置と端末装置の間の無線品質の測定に関する設定をする。また、制御信号処理部213は、自装置宛てのIAB情報をIAB制御部214へ出力する。
【0043】
IAB制御部214は、IABにおける接続関係を制御する。具体的には、IAB制御部214は、上位及び下位のIABノードを管理し、IABドナーとの通信経路を記憶する。また、IAB制御部214は、IAB情報が制御信号処理部213から出力された場合には、IAB情報に従って、接続するIABドナーを変更する。すなわち、基地局装置200がハンドオーバするIABノードである場合には、IAB制御部214は、IAB情報に従って新たなIABドナーに接続する。このとき、IAB制御部214は、新たなドナーの下位のIABノードを介して新たなIABドナーに接続しても良い。一方、基地局装置200がハンドオーバするIABノードの下位のIABノードである場合には、IAB制御部214は、IAB情報に従って所定時間待機した後、ハンドオーバしたIABノードを介して新たなIABドナーに接続する。つまり、IAB制御部214は、自装置又は上位のIABノードがハンドオーバする場合に、ハンドオーバ先の新たなIABドナーのCUに接続する。
【0044】
DU機能部220は、基地局装置200による無線通信を実行する無線部である。具体的には、DU機能部220は、無線処理部221及び無線送受信部222を有する。
【0045】
無線処理部221は、信号判別部212によって判別される制御信号及びユーザ信号に対して、所定の無線処理を施す。
【0046】
無線送受信部222は、無線処理部221によって無線処理が施された制御信号及びユーザ信号をアンテナから送信する。また、無線送受信部222は、下位のIABノード又は端末装置300から送信された信号をアンテナを介して受信する。
【0047】
図6は、端末装置300の構成を示すブロック図である。図6に示す端末装置300は、無線通信部310、プロセッサ320及びメモリ330を有する。
【0048】
無線通信部310は、基地局装置100又は基地局装置200との間で無線通信を実行する。無線通信部310は、基地局装置100又は基地局装置200から受信した信号をプロセッサ320へ出力し、プロセッサ320から出力される信号を基地局装置100又は基地局装置200へ送信する。
【0049】
プロセッサ320は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備え、端末装置300の全体を統括制御する。具体的には、プロセッサ320は、制御信号処理部321、接続制御部322及びユーザ信号処理部323を有する。
【0050】
制御信号処理部321は、制御信号の処理をするコントロールプレーンの処理部である。制御信号処理部321は、例えば自装置と基地局装置の間の無線品質の測定に関する設定をしたり、ユーザ信号の復調及び復号に使用される制御情報を取得したりする。また、制御信号処理部321は、自装置宛てのIAB情報を接続制御部322へ出力する。
【0051】
接続制御部322は、IABドナーとの通信経路を記憶する。また、接続制御部322は、通信経路上の上位のIABノードがハンドオーバする際に、自装置宛てのIAB情報に従って、接続するIABドナーを変更する。すなわち、接続制御部322は、IAB情報に従って所定時間待機した後、ハンドオーバしたIABノードを介して新たなIABドナーに接続する。つまり、接続制御部322は、上位のIABノードがハンドオーバする場合に、ハンドオーバ先の新たなIABドナーのCUに接続する。
【0052】
ユーザ信号処理部323は、ユーザ信号の処理をするユーザプレーンの処理部である。ユーザ信号処理部323は、無線通信部310によって受信された自装置宛ての信号を、制御情報を用いて復調及び復号する。また、ユーザ信号処理部323は、IABドナー宛てのユーザ信号を無線通信部310を介して送信する。
【0053】
メモリ330は、例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などを備え、プロセッサ320によって処理が実行される際に、種々の情報を記憶する。
【0054】
次に、上記の基地局装置100、基地局装置200及び端末装置300を有する無線通信システムにおける接続変更方法について、図7に示すシーケンス図を参照しながら説明する。図7は、図2に示した基地局装置200aが基地局装置100aから基地局装置100bへハンドオーバする際の接続変更方法を示す。
【0055】
IABドナーである基地局装置100aは、無線品質の測定結果の報告を受け、基地局装置200aのハンドオーバが必要であると判定した場合には、ハンドオーバ先の新たなIABドナーである基地局装置100bへハンドオーバ要求を送信する(ステップS201)。ハンドオーバ要求を受信した基地局装置100bは、基地局装置200aがハンドオーバする場合の新たなトポロジーを決定し、ハンドオーバを許可する旨とともに新たなトポロジーに関する情報を含む応答を基地局装置100aへ送信する(ステップS202)。
【0056】
ハンドオーバ要求に対する応答を受信した基地局装置100aは、ハンドオーバ対象の基地局装置200aの下位にある通信装置宛てのIAB情報を生成する。具体的には、ハンドオーバ先の基地局装置100bの識別情報と、基地局装置100bの配下で使用される無線リソース情報と、ハンドオーバ実行までの時間を示す待機時間情報と、基地局装置100bの配下におけるトポロジーに関するIAB接続情報とを含むIAB情報が通信装置ごとに生成される。そして、基地局装置100aは、生成したIAB情報をそれぞれの通信装置へ送信する(ステップS203)。すなわち、基地局装置200b及び端末装置300a、300bに対して、IAB情報が送信される。このとき、基地局装置200b及び端末装置300aに対するIAB情報は、基地局装置200aによって中継される。また、端末装置300bに対するIAB情報は、基地局装置200a、200bによって中継される。
【0057】
基地局装置100aは、基地局装置200b及び端末装置300a、300bへIAB情報を送信した後、所定時間が経過すると、ハンドオーバ対象の基地局装置200aへIAB情報を送信する(ステップS204)。これにより、基地局装置200aは、ハンドオーバを実行し、基地局装置100bに対して通信経路の再設定が完了したことを報告する(ステップS205)。
【0058】
一方、IAB情報を受信した基地局装置200b及び端末装置300a、300bは、IAB情報に従って、待機時間が経過した後に、接続するIABドナーのCUを変更する(ステップS206)。すなわち、基地局装置200b及び端末装置300a、300bは、新たなIABドナーである基地局装置100bのCUに接続する。そして、基地局装置200b及び端末装置300a、300bは、基地局装置100bに対して通信経路の再設定が完了したことを報告する(ステップS207)。このとき、基地局装置200b及び端末装置300aからの報告は、ハンドオーバ実行済みの基地局装置200aによって中継される。また、端末装置300bからの報告は、基地局装置200bとハンドオーバ実行済みの基地局装置200aとによって中継される。
【0059】
このように、基地局装置200aがハンドオーバする際には、ハンドオーバ元のIABドナーである基地局装置100aから基地局装置200aの下位の通信装置へIAB情報が送信され、その後、基地局装置200aへIAB情報が送信される。このため、基地局装置200aの下位の通信装置は、基地局装置200aのハンドオーバに伴って、接続するCUを新たなIABドナーである基地局装置100bのCUに切り替えることができる。結果として、基地局装置200aがハンドオーバしても、基地局装置200aの下位の通信装置において無線リンク障害(RLF)が発生することがなく、通信を継続することができる。
【0060】
以上のように、本実施の形態によれば、IABノードが他のIABドナーに接続するハンドオーバが実行される際に、IABノードの下位にあるIABノード及び端末装置へIAB情報が送信され、その後にIABノードのハンドオーバが実行される。このため、ハンドオーバ対象のIABノードの下位にあるIABノード及び端末装置はあらかじめ接続するIABドナーを切り替えることができ、ハンドオーバ対象のIABノードがハンドオーバしても、下位のIABノード及び端末装置において無線リンク障害が発生することがない。換言すれば、トポロジーアダプテーション発生時にも通信を継続することができる
【0061】
なお、上記一実施の形態に係る基地局装置100、200は、異なる機能を有するものとしたが、同じハードウェア構成を有していても良い。図8は、基地局装置100、200と同じハードウェア構成を有する基地局装置400を示すブロック図である。基地局装置400は、有線I/F部410、プロセッサ420、メモリ430及び無線通信部440を有する。
【0062】
有線I/F部410は、コアネットワークや他の基地局装置と有線接続するインタフェースである。IABでは、基地局装置間が無線接続されるが、IABドナーとコアネットワークは有線接続され、IABドナー間が有線接続されても良い。また、IABノードと他の基地局装置とが有線接続されても良い。
【0063】
プロセッサ420は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備え、基地局装置400の全体を統括制御する。メモリ430は、例えばRAM又はROMなどを備え、プロセッサ420によって処理が実行される際に、種々の情報を記憶する。プロセッサ420及びメモリ430は、基地局装置100のCU機能部110及び基地局装置200のMT機能部210として機能する。
【0064】
無線通信部440は、送信信号及び受信信号に対する無線処理を施し、アンテナを介して送受信する。無線通信部440は、基地局装置100、200のDU機能部120、220として機能する。
【符号の説明】
【0065】
110 CU機能部
111 有線I/F部
112、213、321 制御信号処理部
113、323 ユーザ信号処理部
114、214 IAB制御部
115 IAB情報生成部
120、220 DU機能部
121、221 無線処理部
122、222 無線送受信部
210 MT機能部
211 無線I/F部
212 信号判別部
310 無線通信部
320 プロセッサ
322 接続制御部
330 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8