(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20231121BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20231121BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20231121BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20231121BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20231121BHJP
H01L 29/43 20060101ALI20231121BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20231121BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231121BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231121BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L21/88 R
H01L21/88 N
H01L21/88 T
H01L21/90 S
H01L29/50 M
H01L29/46
H01L29/44 S
H01L29/44 L
H01L21/60 301N
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
(21)【出願番号】P 2021513521
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010216
(87)【国際公開番号】W WO2020208990
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019073401
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 光彦
(72)【発明者】
【氏名】大森 弘貴
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/44043(WO,A1)
【文献】特開2011-222963(JP,A)
【文献】特開2009-177104(JP,A)
【文献】特開2008-91457(JP,A)
【文献】特開2017-69366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 29/417
H01L 29/43
H01L 29/41
H01L 21/60
H01L 29/12
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する半導体基板と、
前記第1主面と対向している第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有し、前記半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、
前記第2面の周縁を覆い、前記第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、
銅膜とを備え、
前記開口から露出している前記第2面は、前記第1面に向かって窪む凹部を有し、
前記銅膜は、前記凹部中に配置されている、半導体装置。
【請求項2】
前記パッシベーション膜は、ポリイミド膜である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板は、炭化珪素半導体基板である、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、
前記銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、
前記第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤとをさらに備え、
前記第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製であり、
前記第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
ゲートと、
ゲート絶縁膜とをさらに備え、
前記半導体基板は、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第1主面に配置されたソース領域と、前記第2主面を構成しているドレイン領域と、前記ドレイン領域の前記第1主面側に配置されたドリフト領域と、前記ドリフト領域と前記ソース領域とを分離するボディ領域とを有し、
前記ゲートは、前記ドリフト領域と前記ソース領域との間にある前記ボディ領域の部分と前記ゲート絶縁膜を介して対向しており、
前記第2アルミニウム電極は、前記ゲートに電気的に接続されており、
前記第1アルミニウム電極は、前記ソース領域に電気的に接続されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1主面を有する半導体基板と、
前記第1主面と対向している第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有し、前記半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、
前記第2面の周縁を覆い、前記第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、
銅膜と、
前記半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、
前記銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、
前記第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤと、
ゲートと、
ゲート絶縁膜とを備え、
前記開口から露出している前記第2面は、前記第1面に向かって窪む凹部を有し、
前記銅膜は、前記凹部中に配置されており、
前記パッシベーション膜は、ポリイミド膜であり、
前記第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製であり、
前記第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記半導体基板は、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第1主面に配置されたソース領域と、前記第2主面を構成しているドレイン領域と、前記ドレイン領域の前記第1主面側に配置されたドリフト領域と、前記ドリフト領域と前記ソース領域とを分離するボディ領域とを有し、
前記ゲートは、前記ドリフト領域と前記ソース領域との間にある前記ボディ領域の部分と前記ゲート絶縁膜を介して対向しており、
前記第2アルミニウム電極は前記ゲートに電気的に接続されており、
前記第1アルミニウム電極は前記ソース領域に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項7】
第1主面を有する半導体基板と、
前記第1主面と対向している第1面と、前記第1面の反対面である第2面とを有し、前記半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、
前記第2面の周縁を覆い、前記第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、
銅膜と、
前記半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、
前記銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、
前記第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤと、
ゲートと、
ゲート絶縁膜とを備え、
前記開口から露出している前記第2面は、前記第1面に向かって窪む凹部を有し、
前記銅膜は、前記凹部中に配置されており、
前記パッシベーション膜は、ポリイミド膜であり、
前記半導体基板は、炭化珪素半導体基板であり、
前記第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製であり、
前記第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であり、
前記半導体基板は、前記第1主面の反対面である第2主面と、前記第1主面に配置されたソース領域と、前記第2主面を構成しているドレイン領域と、前記ドレイン領域の前記第1主面側に配置されたドリフト領域と、前記ドリフト領域と前記ソース領域とを分離するボディ領域とを有し、
前記ゲートは、前記ドリフト領域と前記ソース領域との間にある前記ボディ領域の部分と前記ゲート絶縁膜を介して対向しており、
前記第2アルミニウム電極は前記ゲートに電気的に接続されており、
前記第1アルミニウム電極は前記ソース領域に電気的に接続されている、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。本出願は、2019年4月8日に出願した日本特許出願である特願2019-073401号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許第6239214号公報)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、単結晶の炭化珪素(SiC)により形成された半導体基板と、半導体基板上に配置され、半導体基板側を向く第1面と、第1面の反対面である第2面とを有するアルミニウム(Al)電極と、アルミニウム電極の第2面の周縁を覆い、アルミニウム電極の第2面の一部を露出させる開口を有するポリイミド膜と、ポリイミド膜の開口から露出するアルミニウム電極の第2面上に配置された銅(Cu)膜とを有している。銅膜中の銅がポリイミド膜中へと拡散すると、ポリイミド膜の信頼性が劣化する。そのため、特許文献1に記載の半導体装置においては、銅膜をポリイミド膜から離間した位置に配置することにより、ポリイミド膜中への銅の拡散が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の半導体装置は、第1主面を有する半導体基板と、第1主面と対向している第1面と、第1面の反対面である第2面とを有し、半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、第2面の周縁を覆い、第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、銅膜とを備えている。開口から露出している第2面は、第1面に向かって窪む凹部を有している。銅膜は、凹部中に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体装置の上面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る半導体装置の詳細な内部構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る半導体装置の外部接続の状況を示す第1の断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る半導体装置の外部接続の状況を示す第2の断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程図である。
【
図8】
図8は、トランジスタ形成工程S1における実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図9】
図9は、層間絶縁膜形成工程S2における実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【
図10】
図10は、電極形成工程S3における実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の半導体装置において、ポリイミド膜と銅膜との間には、封止部材が充填されている。封止部材は樹脂材料により形成されているため、特許文献1に記載の半導体装置は、アルミニウム電極からの放熱性に改善の余地がある。
【0007】
本開示の目的は、銅膜からパッシベーション膜中への銅の拡散を抑制しつつ、アルミニウム電極からの放熱性を改善することが可能な半導体装置を提供することである。
【0008】
[本開示の効果]
本開示によれば、銅膜からパッシベーション膜中への銅の拡散を抑制しつつ、アルミニウム電極からの放熱性を改善することができる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を列記して説明する。
【0010】
(1)一実施形態に係る半導体装置は、第1主面を有する半導体基板と、第1主面と対向している第1面と、第1面の反対面である第2面とを有し、半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、第2面の周縁を覆い、第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、銅膜とを備えている。開口から露出している第2面は、第1面に向かって窪む凹部を有している。銅膜は、凹部中に配置されている。
【0011】
上記(1)の半導体装置によると、銅膜からパッシベーション膜中への銅の拡散を抑制しつつアルミニウム電極からの放熱性を改善することができる。
【0012】
(2)上記(1)の半導体装置において、パッシベーション膜は、ポリイミド膜であってもよい。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)の半導体装置において、半導体基板は、炭化珪素半導体基板であってもよい。
【0014】
(4)上記(1)から(3)の半導体装置は、半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤとをさらに備えていてもよい。第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製であってもよい。第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製であってもよい。
【0015】
(5)上記(1)から(4)の半導体装置は、ゲートと、ゲート絶縁膜とをさらに備えていてもよい。半導体基板は、第1主面の反対面である第2主面と、第1主面に配置されたソース領域と、第2主面を構成しているドレイン領域と、ドレイン領域の第1主面側に配置されたドリフト領域と、ドリフト領域とソース領域とを分離するボディ領域とを有していてもよい。ゲートは、ドリフト領域とソース領域との間にあるボディ領域の部分とゲート絶縁膜を介して対向していてもよい。第2アルミニウム電極は、ゲートに電気的に接続されていてもよい。第1アルミニウム電極は、ソース領域に電気的に接続されていてもよい。
【0016】
(6)他の実施形態に係る半導体装置は、第1主面を有する半導体基板と、第1主面と対向している第1面と、第1面の反対面である第2面とを有し、半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、第2面の周縁を覆い、第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、銅膜と、半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤと、ゲートと、ゲート絶縁膜とを備えている。開口から露出している第2面は、第1面に向かって窪む凹部を有している。銅膜は、凹部中に配置されている。パッシベーション膜は、ポリイミド膜である。第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製である。第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。半導体基板は、第1主面の反対面である第2主面と、第1主面に配置されたソース領域と、第2主面を構成しているドレイン領域と、ドレイン領域の第1主面側に配置されたドリフト領域と、ドリフト領域とソース領域とを分離するボディ領域とを有している。ゲートは、ドリフト領域とソース領域との間にあるボディ領域の部分とゲート絶縁膜を介して対向している。第2アルミニウム電極はゲートに電気的に接続されている。第1アルミニウム電極はソース領域に電気的に接続されている。
【0017】
(7)他の実施形態に係る半導体装置は、第1主面を有する半導体基板と、第1主面と対向している第1面と、第1面の反対面である第2面とを有し、半導体基板上に配置された第1アルミニウム電極と、第2面の周縁を覆い、第2面の一部を露出させる開口を有するパッシベーション膜と、銅膜と、半導体基板上に配置された第2アルミニウム電極と、銅膜に接続されている複数の第1ボンディングワイヤと、第2アルミニウム電極に接続されている第2ボンディングワイヤと、ゲートと、ゲート絶縁膜とを備えている。開口から露出している第2面は、第1面に向かって窪む凹部を有している。銅膜は、凹部中に配置されている。パッシベーション膜は、ポリイミド膜である。半導体基板は、炭化珪素半導体基板であり、第1ボンディングワイヤは、銅製又は銅合金製である。第2ボンディングワイヤは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。半導体基板は、第1主面の反対面である第2主面と、第1主面に配置されたソース領域と、第2主面を構成しているドレイン領域と、ドレイン領域の第1主面側に配置されたドリフト領域と、ドリフト領域とソース領域とを分離するボディ領域とを有している。ゲートは、ドリフト領域とソース領域との間にあるボディ領域の部分とゲート絶縁膜を介して対向している。第2アルミニウム電極はゲートに電気的に接続されている。第1アルミニウム電極はソース領域に電気的に接続されている。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参酌しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0019】
(実施形態に係る半導体装置の構成)
以下に、実施形態に係る半導体装置の構成を説明する。
【0020】
<実施形態に係る半導体装置の概略構成>
図1は、実施形態に係る半導体装置の上面図である。
図2は、
図1のII-IIに沿う断面図である。
図1及び2に示されるように、実施形態に係る半導体装置は、半導体基板1と、第1アルミニウム電極2と、パッシベーション膜3と、銅膜4とを有している。実施形態に係る半導体装置は、第2アルミニウム電極5と、第3アルミニウム電極6とをさらに有している。
【0021】
半導体基板1は、例えば、単結晶の炭化珪素により形成されている。半導体基板1は、第1主面1aと、第2主面1bとを有している。第2主面1bは、第1主面1aの反対面である。
【0022】
第1アルミニウム電極2は、半導体基板1上に配置されている。より具体的には、第1アルミニウム電極2は、半導体基板1の第1主面1a上に配置されている。第1アルミニウム電極2は、純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。第1アルミニウム電極2は、第1面2aと、第2面2bとを有している。第1面2aは、第1主面1aと対向している面である。第2面2bは、第1面2aの反対面である。
【0023】
パッシベーション膜3は、半導体基板1上に配置されている。具体的には、パッシベーション膜3は、第1アルミニウム電極2の第2面2bの周縁を覆っている。パッシベーション膜は、第1アルミニウム電極2の第2面2bの一部を露出させる開口3aを有している。開口3aから露出する第2面2bは、凹部2cを有している。開口3aから露出する第2面2bは、凹部2cにおいて、第1面2a側に向かって窪んでいる。好ましくは、凹部2cは、上面視において、パッシベーション膜3から離間している。
【0024】
パッシベーション膜3は、例えば、ポリイミドにより形成されている。但し、パッシベーション膜3は、これに限られない。パッシベーション膜3は、ポリイミド以外の絶縁性の樹脂材料により形成されてもよい。パッシベーション膜3は、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(Si3N4)、シリコン酸窒化物(SiON)等により形成されていてもよい。
【0025】
銅膜4は、第1アルミニウム電極2上に配置されている。具体的には、銅膜4は、第1アルミニウム電極2の凹部2c中に配置されている。そのため、銅膜4は、パッシベーション膜3に接触していない。銅膜4は、純銅又は銅合金により形成されている。
【0026】
図3は、
図1のIII-IIIに沿う断面図である。
図3に示されるように、第2アルミニウム電極5は、半導体基板1上に配置されている。より具体的には、第2アルミニウム電極5は、半導体基板1の第1主面1a上に配置されている。第2アルミニウム電極5は、純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。第2アルミニウム電極5は、第3面5aと第4面5bとを有している。第3面5aは、第1主面1aと対向している面である。第4面5bは、第3面5aの反対面である。
【0027】
パッシベーション膜3は、さらに、第2アルミニウム電極5の第4面5bの周縁を覆っている。パッシベーション膜3は、第2アルミニウム電極5の第4面5bの一部を露出させる開口3bをさらに有している。開口3bから露出する第2アルミニウム電極5の第4面5bは、凹部を有していない。開口3bから露出する第2アルミニウム電極5上には、銅膜が配置されていない。
【0028】
図2及び3に示されるように、第3アルミニウム電極6は、半導体基板1の第2主面1b上に配置されている。第3アルミニウム電極6は、純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。
【0029】
<実施形態に係る半導体装置の詳細構造>
図4は、実施形態に係る半導体装置の詳細な内部構造を示す断面図である。
図4に示されるように、半導体基板1は、ソース領域11と、ボディ領域12と、ドレイン領域13と、ドリフト領域14と、ボディコンタクト領域15とを有している。実施形態に係る半導体装置は、さらに、ゲート絶縁膜16と、ゲート17と、層間絶縁膜18とを有している。
【0030】
ソース領域11は、半導体基板1の第1主面1aに配置されている。ソース領域11の導電型は、第1導電型である。第1導電型は、例えばn型である。ボディ領域12は、ソース領域11を取り囲むように、半導体基板1の第1主面1aに配置されている。ボディ領域12の導電型は、第2導電型である。第2導電型は、第1導電型の反対の導電型である。すなわち、第2導電型は、例えばp型である。
【0031】
ドレイン領域13の端面は、第2主面1bを構成している。ドレイン領域13の導電型は、第1導電型である。ドレイン領域13は、第3アルミニウム電極6に電気的に接続されている。すなわち、第3アルミニウム電極6は、実施形態に係る半導体装置のドレイン電極になっている。
【0032】
ドリフト領域14は、ボディ領域12を取り囲んでおり、半導体基板1の第1主面1aに配置されている。このことを別の観点から言えば、ドリフト領域14はドレイン領域13上(すなわち、ドレイン領域13の第1主面1a側)に配置されており、ドリフト領域14及びソース領域11はボディ領域12により分離されている。ドリフト領域14の導電型は、第1導電型である。ドリフト領域14中における不純物濃度は、ソース領域11及びドレイン領域13中における不純物濃度よりも低い。半導体基板1の第1主面1aに位置するとともに、ソース領域11とドリフト領域14とに挟み込まれているボディ領域12の部分を、以下においては、チャネル領域という。
【0033】
ボディコンタクト領域15は、隣り合う2つのソース領域11の間において、半導体基板1の第1主面1aに配置されている。ボディコンタクト領域15は、ボディ領域12に達する深さを有している。ボディコンタクト領域15の導電型は、第2導電型である。ボディコンタクト領域15中における不純物濃度は、ボディ領域12中における不純物濃度よりも高い。
【0034】
ゲート絶縁膜16は、半導体基板1の第1主面1a上に配置されている。より具体的には、ゲート絶縁膜16は、チャネル領域上に配置されている。ゲート絶縁膜16は、例えばシリコン酸化物により形成されている。
【0035】
ゲート17は、ゲート絶縁膜16上に配置されている。すなわち、ゲート17は、ゲート絶縁膜16により絶縁されながら、チャネル領域と対向するように配置されている。ゲート17は、例えば、不純物がドープされた多結晶のシリコン(Si)により形成されている。図示されていないが、ゲート17は、第2アルミニウム電極5に電気的に接続されている。すなわち、第2アルミニウム電極5は、実施形態に係る半導体装置のゲート電極になっている。
【0036】
ソース領域11、ボディ領域12、ドレイン領域13、ドリフト領域14、ゲート絶縁膜16及びゲート17は、トランジスタ10を構成している。トランジスタ10は、プレーナゲート型のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)になっている。
【0037】
層間絶縁膜18は、ゲート17を覆うように半導体基板1の第1主面1a上に配置されている。層間絶縁膜18は、例えば、シリコン酸化物により形成されている。層間絶縁膜18には、コンタクトホール18aを有している。コンタクトホール18aは、層間絶縁膜18を厚さ方向に貫通している。コンタクトホール18aからは、ソース領域11及びボディコンタクト領域15が露出している。
【0038】
第1アルミニウム電極2は、層間絶縁膜18上に配置されている。また、第1アルミニウム電極2は、コンタクトホール18a中にも配置されている。これにより、第1アルミニウム電極2は、ソース領域11及びボディコンタクト領域15と電気的に接続されている。すなわち、第1アルミニウム電極2は、ソース電極になっている。
【0039】
上記の例においては、実施形態に係る半導体装置がプレーナゲート型のパワーMOSFETを有しているものとして説明を行ったが、実施形態に係る半導体装置には、他の半導体素子を有していてもよい。例えば、実施形態に係る半導体装置は、トレンチゲート型のパワーMOSFETを有していてもよい。また、実施形態に係る半導体装置は、トランジスタ以外の半導体素子(例えば、ショットキーバリアダイオード)を有していてもよい。
【0040】
<実施形態に係る半導体装置の外部接続>
図5は、実施形態に係る半導体装置の外部接続の状況を示す第1の断面図である。
図5に示されるように、第1アルミニウム電極2は、ボンディングワイヤ8aを銅膜4にワイヤボンディングすることにより、外部接続されている。ボンディングワイヤ8aは、好ましくは、純銅又は銅合金により形成されている。ボンディングワイヤ8aの数は、好ましくは、複数である。第3アルミニウム電極6は、例えばハンダ付けによりベース板9に電気的に接続されている。
【0041】
図6は、実施形態に係る半導体装置の外部接続の状況を示す第2の断面図である。
図6に示されるように、第2アルミニウム電極5は、ボンディングワイヤ8bを用いたワイヤボンディングにより、外部接続されている。ボンディングワイヤ8bは、例えば純アルミニウム又はアルミニウム合金により形成されている。
【0042】
図示されていないが、実施形態に係る半導体装置、ボンディングワイヤ8a及びボンディングワイヤ8bは、樹脂封止されていてもよい。
【0043】
(実施形態に係る半導体装置の製造方法)
以下に、実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0044】
図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程図である。実施形態に係る半導体装置の製造方法は、
図7に示されるように、トランジスタ形成工程S1と、層間絶縁膜形成工程S2と、電極形成工程S3と、パッシベーション膜形成工程S4とを有している。
図8は、トランジスタ形成工程S1における実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図8に示されるように、トランジスタ形成工程S1においては、トランジスタ10の形成が行われる。
【0045】
より具体的には、まず、基材が準備される。この基材は、不純物がドープされた単結晶の炭化珪素により形成されている。次に、基材上に、エピタキシャル層が形成される。さらに、エピタキシャル層に対してイオン注入及び活性化アニールが行われることにより、ソース領域11、ボディ領域12及びボディコンタクト領域15が形成される。イオン注入が行われなかったエピタキシャル層の部分がドリフト領域14になり、基材がドレイン領域13になる。これにより、半導体基板1が準備される。
【0046】
ゲート絶縁膜16は、半導体基板1の第1主面1aを熱酸化することにより、形成される。ゲート17は、ゲート17を構成する材料をCVD(Chemical Vapor Deposition)等で成膜するとともに、成膜されたゲート17を構成する材料をパターンニングすることにより形成される。
【0047】
図9は、層間絶縁膜形成工程S2における実施形態に係る半導体装置の断面図である。
図9に示されるように、層間絶縁膜形成工程S2においては、層間絶縁膜18が形成される。層間絶縁膜18の形成は、層間絶縁膜18を構成する材料をCVD等で成膜するとともに、成膜された層間絶縁膜18を構成する材料をCMP(Chemical Mechanical Polishing)等で平坦化することにより行われる。
【0048】
図10は、電極形成工程S3における実施形態に係る半導体装置の断面図である。電極形成工程S3においては、
図10に示されるように、第1アルミニウム電極2、銅膜4及び第3アルミニウム電極6が形成される。なお、図示されていないが、電極形成工程S3においては、第2アルミニウム電極5も形成される。
【0049】
電極形成工程S3においては、第1に、異方性のドライエッチング等により層間絶縁膜18中にコンタクトホール18aが形成される。電極形成工程S3においては、第2に、スパッタリング等により、第1アルミニウム電極2及び第2アルミニウム電極5を構成する材料が、層間絶縁膜18上に成膜されるとともに、コンタクトホール18a中に埋め込まれる。
【0050】
電極形成工程S3においては、第3に、成膜された第1アルミニウム電極2を構成する材料に凹部2cが形成される。凹部2cは、凹部2cが形成される位置に開口が形成されたフォトレジストを用いて第1アルミニウム電極2を構成する材料をエッチングすることにより形成される。
【0051】
電極形成工程S3においては、第4に、凹部2c中に、銅膜4が埋め込まれる。銅膜4は、例えば、電気めっき法により形成される。この電気めっきは、成膜された第1アルミニウム電極2及び第2アルミニウム電極5が上記のフォトレジストにより被覆された状態で行われる。上記のフォトレジストは、凹部2cが形成される位置に開口が形成されているため、銅膜4は、凹部2c中のみに形成される。
【0052】
電極形成工程S3においては、第5に、成膜された第1アルミニウム電極2及び第2アルミニウム電極5に対するパターンニングが行われる。これにより、第1アルミニウム電極2及び第2アルミニウム電極5が形成される。電極形成工程S3においては、第6に、第3アルミニウム電極6が形成される。第3アルミニウム電極6は、半導体基板1の第2主面1b上に第3アルミニウム電極6を構成する材料をスパッタリング等で成膜することにより形成される。
【0053】
パッシベーション膜形成工程S4においては、パッシベーション膜3が形成される。パッシベーション膜3がポリイミド膜である場合には、パッシベーション膜3は、第1アルミニウム電極2及び第2アルミニウム電極5を覆うようにポリイミド膜を塗布するとともに、塗布されたポリイミド膜を露光・現像することにより形成される。
【0054】
パッシベーション膜3がシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物である場合には、パッシベーション膜3は、パッシベーション膜3を構成する材料をCVD等で成膜するとともに、成膜されたパッシベーション膜3を構成する材料をエッチングで開口することにより形成される。以上により、
図1~
図4に示される実施形態に係る半導体装置の構造が形成される。
【0055】
(実施形態に係る半導体装置の効果)
以下に、実施形態に係る半導体装置の効果を比較例と対比しながら説明する。
【0056】
図11は、比較例に係る半導体装置の断面図である。比較例に係る半導体装置は、
図11に示されるように、比較例に係る半導体装置においては、第1アルミニウム電極2の第2面2bが、凹部2cを有していない。その代わりに、比較例に係る半導体装置においては、第1アルミニウム電極2の第2面2b上に、パッシベーション膜3と離間するように銅膜4が形成されている。比較例に係る半導体装置においては、銅膜4とパッシベーション膜3との間から露出している第2面2b上に封止材7が配置されている。封止材7は、絶縁性の樹脂材料により形成されている。その他の点に関しては、比較例に係る半導体装置の構成は、実施形態に係る半導体装置と同様である。
【0057】
比較例に係る半導体装置においては、パッシベーション膜3と銅膜4との間にから露出する第2面2b上に封止材7が配置されているため、銅膜4とパッシベーション膜3とが接触しておらず、銅膜4からパッシベーション膜3中への銅の拡散は抑制される。しかしながら、比較例に係る半導体装置では、開口3aから露出している第2面2bの一部が樹脂材料で形成された封止材7で覆われているため、第1アルミニウム電極2からの放熱性が低下する。
【0058】
実施形態に係る半導体装置においては、銅膜4とパッシベーション膜3とが接触しておらず、銅膜4からパッシベーション膜3中への銅の拡散は抑制される。加えて、実施形態に係る半導体装置においては、開口3aから露出している第2面2bに熱伝導性が乏しい材料により覆われている箇所がないため、第1アルミニウム電極2からの放熱が阻害されにくい。そのため、実施形態に係る半導体装置によると、銅膜4からパッシベーション膜3中への銅の拡散を抑制しつつ、第1アルミニウム電極2からの放熱性を改善することができる。
【0059】
比較例に係る半導体装置においては、3つの異種材料(第1アルミニウム電極2、パッシベーション膜3及び封止材7)が会合している箇所が存在する(
図11中の点線枠を参照)。このような箇所に、各々の材料の熱膨張係数の違いに起因して熱応力が加わりやすい。他方で、実施形態に係る半導体装置においては、3つの異種材料が会合している箇所は存在しないため、熱応力の発生を抑制することができる。
【0060】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 半導体基板、1a 第1主面、1b 第2主面、2 第1アルミニウム電極、2a 第1面、2b 第2面、2c 凹部、3 パッシベーション膜、3a,3b 開口、4 銅膜、5 第2アルミニウム電極、5a 第3面、5b 第4面、6 第3アルミニウム電極、7 封止材、8a,8b ボンディングワイヤ、9 ベース板、10 トランジスタ、11 ソース領域、12 ボディ領域、13 ドレイン領域、14 ドリフト領域、15 ボディコンタクト領域、16 ゲート絶縁膜、17 ゲート、18 層間絶縁膜、18a コンタクトホール、S1 トランジスタ形成工程、S2 層間絶縁膜形成工程、S3 電極形成工程、S4 パッシベーション膜形成工程。