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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20231121BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20231121BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231121BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02M3/07
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021561368
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043313
(87)【国際公開番号】W WO2021106762
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2019212120
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】志村 重輔
(72)【発明者】
【氏名】森 倫也
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-223058(JP,A)
【文献】特開2019-134635(JP,A)
【文献】国際公開第2013/140710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02M 3/07
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列数s及び並列数pの電池セルからなる組電池(sは1以上かつpは1以上の整数)と、電流をどちらの方向にも流すことが可能な双方向DC/DCコンバータの構成のコンバータとを備え、前記コンバータは、前記組電池の電圧Vに対して、-Vの電圧を生成するようになされた電池モジュールが複数個直列接続され、
ある電池モジュールによって生成された-Vの電圧が該電池モジュールのマイナス端子側に接続された別の電池モジュールのマイナス端子に供給されるようになされた電池ユニット。
【請求項2】
前記電池モジュールがそれぞれ有するコンバータをON/OFF制御するようにした請求項1に記載の電池ユニット
【請求項3】
マイナス端子とプラス端子との電圧を測定する第1の電圧測定手段と、
コンバータ端子と前記マイナス端子との電圧を測定する第2の電圧測定手段と、
前記第1の電圧測定手段による電圧と前記第2の電圧測定手段による電圧を比較する電圧比較器を備え、
前記電圧比較器により検出された電圧の比がしきい値以上の場合に、前記コンバータの動作をONにして電圧-Vを生成し、前記電圧比較器により検出された電圧の比がしきい値未満の場合に、前記コンバータの動作をOFFにして電圧-Vの生成を止める制御を行なう請求項2に記載の電池ユニット
【請求項4】
直列数s及び並列数pの電池セルからなる組電池(sは1以上かつpは1以上の整数)と、電流をどちらの方向にも流すことが可能な双方向DC/DCコンバータの構成のコンバータとを備え、前記コンバータは、前記組電池の電圧Vに対して、2Vの電圧を生成するようになされた電池モジュールが複数個直列接続され、
ある電池モジュールによって生成された2Vの電圧が該電池モジュールのプラス端子側に接続された別の電池モジュールのプラス端子に供給されるようになされた電池ユニット。
【請求項5】
前記電池モジュールがそれぞれ有するコンバータをON/OFF制御するようにした請求項に記載の電池ユニット
【請求項6】
マイナス端子とプラス端子との電圧を測定する第1の電圧測定手段と、
コンバータ端子と前記プラス端子との電圧を測定する第3の電圧測定手段と、
前記第1の電圧測定手段による電圧と前記第3の電圧測定手段による電圧を比較する電圧比較器を備え、
前記電圧比較器により検出された電圧の比がしきい値以上の場合に、前記コンバータの動作をONにして電圧2Vを生成し、前記電圧比較器により検出された電圧の比がしきい値未満の場合に、前記コンバータの動作をOFFにして電圧2Vの生成を止める制御を行なう請求項に記載の電池ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを直列及び/又は並列接続した電池モジュール複数を接続した電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、リチウムイオン電池などの二次電池の用途が太陽電池、風力発電などの新エネルギーシステムと組み合わせた電力貯蔵用蓄電装置、自動車用蓄電池等に急速に拡大している。大出力を発生するために多数の蓄電素子例えば単位電池(以下の説明では、電池セルと適宜称する。)を使用する場合、複数の電池モジュールを直列に接続する構成が採用される。円筒型電池の場合であれば、円筒1個が電池セルであり、また、ラミネートで被覆した電池であれば、被覆したパック1個が電池セルである。電池モジュールは、複数個例えば4個の電池セルを並列に接続して、電池ブロックを構成し、多数の電池ブロックを直列に接続して全体としてプラス端子及びマイナス端子を有する組電池を備えるものが電池モジュールである。なお、並列接続数が1で、直列接続数が1の構成、すなわち、電池セル数が1の電池モジュールもありうる。
【0003】
さらに、複数の電池モジュールが直列接続されたものを電池ユニットと呼ぶ。電池ユニットにおいて、電池モジュール間で電圧のバラツキが生じると、電池モジュールの能力を充分に発揮させることができなかったり、電池モジュールの寿命が短くなったりする問題が生じる。
【0004】
従来から電池セル間のバランスを制御するアクティブバランス調整回路が提案されている。例えば特許文献1には、電池モジュールを構成する複数個の電池セルの接続点を介して複数の電圧を出力する電源システムにおいて、各電池セルの充放電状態のドラツキを補正するバランス回路を設けた電源システムが記載されている。このバランス回路として、複数のキャパシタと複数のスイッチから構成されるスイッチドキャパシタ方式の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-247145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のものは、電池モジュール内の電池セルの充放電状態のバラツキを補正するものであって、電池モジュール間のバラツキをするものではない。また、特許文献1に記載の電池セルを電池モジュールに置き換えた構成の場合では、電池モジュール間にアクティブバランス調整回路を接続するために、電池モジュールの個数を変更する場合に、アクティブバランス調整回路の対応が難しく、柔軟な運用が困難な問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、接続される電池モジュールの個数の変更に対応が容易な柔軟性を有する電池ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、直列数s及び並列数pの電池セルからなる組電池(sは1以上かつpは1以上の整数)と、電流をどちらの方向にも流すことが可能な双方向DC/DCコンバータの構成のコンバータとを備え、コンバータは、組電池の電圧Vに対して、-Vの電圧を生成するようになされた電池モジュールが複数個直列接続され、
ある電池モジュールによって生成された-Vの電圧が該電池モジュールのマイナス端子側に接続された別の電池モジュールのマイナス端子に供給されるようになされた電池ユニットである。
本発明は、直列数s及び並列数pの電池セルからなる組電池(sは1以上かつpは1以上の整数)と、電流をどちらの方向にも流すことが可能な双方向DC/DCコンバータの構成のコンバータとを備え、コンバータは、組電池の電圧Vに対して、2Vの電圧を生成するようになされた電池モジュールが複数個直列接続され、
ある電池モジュールによって生成された2Vの電圧が該電池モジュールのプラス端子側に接続された別の電池モジュールのプラス端子に供給されるようになされた電池ユニットである。
【発明の効果】
【0009】
少なくとも一つの実施形態によれば、電池モジュールの直列数の変更に対して柔軟に対応できる。なお、本発明は、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果又はそれらと異質な効果であっても良い。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A及び図1Bは従来のバランス回路の一例の接続図及び駆動波形を示す波形図である。
図2図2は本発明の電池モジュールの第1の例のブロック図である。
図3図3は本発明に使用できるコンバータの一例の接続図である。
図4図4は本発明のシミュレーションに使用した回路構成の接続図である。
図5図5はシミュレーションの結果を示すグラフである。
図6図6は本発明の電池モジュールの第2の例のブロック図である。
図7図7は、本発明の電池モジュールの第3の例のブロック図である。
図8図8は、本発明の電池モジュールの第4の例のブロック図である。
図9図9は、本発明の第実施形態のブロック図である。
図10図10は、本発明の第実施形態のブロック図である。
図11図11は、本発明の変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0012】
本発明の説明に先立って従来のアクティブバランス調整回路の一例について図1A及び図1Bを参照して説明する。図1Aは、スイッチドキャパシタ方式のアクティブバランス調整回路の構成を示す接続図であり、図1Bは、駆動波形の一例である。
【0013】
例えば4個の電池セルB1,B2,B2及びB4が直列接続されて電池モジュールが構成されている。電池セルB1のプラス側がスイッチSW1の上側端子に接続され、電池セルB1のマイナス側がスイッチSW1の下側端子及びスイッチSW2の上側端子に接続されている。同様に、電池セルB2のプラス側及びマイナス側がスイッチSW2の上側端子及び下側端子にそれぞれ接続され、電池セルB3のプラス側及びマイナス側がスイッチSW3の上側端子及び下側端子にそれぞれ接続され、電池セルB4のプラス側及びマイナス側がスイッチSW4の上側端子及び下側端子にそれぞれ接続されている。
【0014】
スイッチSW1の上側端子及び下側端子と選択的に接続される端子(可動端子と適宜称する)がキャパシタC1の一方の電極と接続されている。キャパシタC1と直列にキャパシタC2及びC3が接続されている。スイッチSW2の可動端子がキャパシタC1及びC2の接続中点と接続され、スイッチSW3の可動端子がキャパシタC2及びC3の接続中点と接続され、スイッチSW4の可動端子がキャパシタC3の他方の電極と接続されている。
【0015】
発振器OSCにより生成された駆動波形(図1B)によってスイッチSW1~SW3が制御される。駆動波形のマイナス側の区間では、スイッチSW1~SW4の可動端子が下側端子と接続され、駆動波形のプラス側の区間では、スイッチSW1~SW4の可動端子が上側端子と接続される。スイッチSW1~SW4の可動端子と下側端子が接続される区間では、電池セルB2,B3,B4の電圧がキャパシタC1,C2,C3に供給される。次の駆動波形のマイナス側の区間では、スイッチSW1~SW4の可動端子が上側端子と接続され区間では、電池セルB1,B2,B3の電圧がキャパシタC1,C2,C3に供給される。
【0016】
したがって、駆動波形の1周期において、キャパシタC1によって電池セルB1及びB2の電圧が等しくなるように電流が流れ、キャパシタC2によって電池セルB2及びB3の電圧が等しくなるように電流が流れ、キャパシタC3によって電池セルB3及びB4の電圧が等しくなるように電流が流れる。所定期間が経過することによって、電圧B1~B4の電圧が等しいものとなる。
【0017】
かかる従来のスイッチドキャパシタ方式のアクティブバランス調整回路は、電池モジュール内の電池セルの電圧を均等化するもので、電池モジュール同士の電圧の均等化に使用されるものではなかった。また、電池セルの個数が変更された場合に、スイッチ及びキャパシタの接続を全面的に変更する必要があり、柔軟性が乏しい問題があった。本発明は、以下に述べるように、これらの問題を解決できるものである。
【0018】
図2及び図3を参照して電池モジュールの第1の例について説明する。複数の電池セル(例えばリチウムイオン二次電池)が直列及び/又は並列接続され、プラス端子ta(電圧がV)及びマイナス端子tbを有する組電池BTと、組電池BTのプラス端子taと接続されてコンバータ端子tcに対してnV(nは-1又は2)の電圧を出力するコンバータCNVによって、電池モジュールMが構成されている。組電池BTは、電池セルの直列数がs(sは1以上の整数)であり、また、並列数がp(pは1以上の整数)である。コンバータCNVは、電流をどちらの方向にも流すことが可能な双方向DC/DCコンバータとされている。
【0019】
一例として、組電池BTとコンバータCNVが共通の外装ケースに収納されている。このように、組電池BT及びコンバータCNVを一体的に有する構成の電池モジュールが直列に接続されることによって電池ユニットが構成される。本発明は、電池ユニットにおいて、複数の電池モジュールのアクティブバランス調整を行なう場合に、電池モジュールの個数の変更に対して柔軟に対応することができる。
【0020】
図3を参照してコンバータCNVの一例(Vを出力する例)について説明する。端子V+及びグランドの間にスイッチSW11及びSW21が直列に接続され、端子GND及びコンバータ端子tc(VOUT)の間にスイッチSW12及びSW22が直列に接続される。スイッチSW11及びSW21の接続点t1と、スイッチSW12及びSW22の接続点t2の間にキャパシタCpが接続されている。
【0021】
スイッチSW11及びSW12を制御する制御信号が発振器OSCによって生成され、制御信号をインバーターINVによって反転した制御信号によってスイッチSW21及びSW22が制御される。発振器OSCの出力がハイレベルの期間では、連動するスイッチSW11及びSW12がオンとなり、連動するスイッチSW21及びSW22がオフとなる。したがって、端子t1が端子V+に接続され、端子t2が端子GNDに接続される。その結果、端子V+からの電圧VがキャパシタCpに蓄積される。
【0022】
次に、発振器OSCの出力がローレベルになると、連動するスイッチSW11及びSW12がオフとなり、連動するスイッチSW21及びSW22がオンとなる。したがって、端子t1がグランドに接続され、端子t2が端子tcに接続される。その結果、キャパシタCpに蓄積された電圧を反転した電圧(-V)が端子tcから出力される。したがって、コンバータCNVによってV及び-Vの両方の電圧出力を生成できる。
【0023】
かかるコンバータCNVを使用することによってアクティブバランス調整が可能であることをLTspice(登録商標)を使用したシミュレーションによって確認した。図4は、シミュレーションに使用した回路構成であり、直列接続された4個の電池セル(又は電池モジュール)B1,B2,B3,B4と3個のコンバータCNV1,CNV2,CNV3が使用される。
【0024】
電池セルB1のプラス側からプラス端子taが導出され、電池セルB4のマイナス側からマイナス端子tbが導出される。電池セルB1のプラス側がコンバータCNV1の端子V+に接続され、電池セルB1のマイナス側とコンバータCNV1の端子GNDが接続され、電池セルB2のマイナス側とコンバータCNV1の端子tc(VOUT)が接続される。同様の関係で、電池セルB2及びB3とコンバータCNV2が接続され、電池セルB3及びB4とコンバータCNV3が接続される。
【0025】
端子V+に電圧Vが印加される場合、各コンバータの端子GNDと端子tc(VOUT)の電圧差がVとなる。この電池セルに対して直下の電池セルの電圧が当該電池セルの電圧との間で差が存在する場合、コンバータが双方向であるので、同電圧となるように電流が流れる。なお、コンバータが2Vを発生する構成の場合では、端子tc(VOUT)と端子V+の電圧差がVとなる。この電圧と直上の電池セルの電圧の間に差が存在する場合、コンバータが双方向であるので、同電圧となるように電流が流れる。
【0026】
一例として、電池セルB1の初期電圧が4.0V、電池セルB2,B3,B4の電圧がそれぞれ4.0V、3.8V、4.0Vである場合、シミュレーションの結果、これらの電圧が図5に示すように時間的に変化する。電池セルB1~B4は、0.5Fのコンデンサとして記述(約0.5mAhに相当),電池セルを模したコンデンサの内部抵抗は、50mΩ、並列容量は1mFとした。-Vを生成することができるコンバータとしては、リニアテクノロジ社製の反転チャージポンプIC(LTC660)を使用した。このコンバータにおいてキャパシタCpの容量を150μFとした。この条件で時間発展シミュレーションを行い、各電池セルの電圧がどのように変化するかを12分後まで計算した。
【0027】
電池セルB1の電圧は、曲線P1で示すように、一旦減少した後、約2分後に増加に転じた。その後、元の4.0Vに収束する挙動を示した。電池セルB2の電圧は、曲線P2で示すように、単調増加し、4.0Vに収束する挙動を示した。電池セルB3の電圧は、曲線P3で示すように、単調減少し、4.0Vに収束する挙動を示した。電池セルB4の電圧は、曲線P4で示すように、一旦増加した後、約2分後に減少に転じた。その後、元の4.0Vに収束する挙動を示した。電池セルB1及びB4は、初期電圧が4.0Vであるにもかかわらず、一旦減少及び増加してから4.0Vに収束している。これは、図4の構成が直近の電池セルとしか均等化できないことに起因している。
【0028】
結果的に全ての電池セルの電圧が4.0Vに収束する挙動を示した。このシミュレーションにおいて、全ての電池セルの容量が等しいこと、キャパシタに蓄えちれる電荷が電圧に比例すること、各電池セルの初期電圧の平均値が4.0Vであることを考えれば、全ての電池セルの電圧が4.0Vに収束する挙動を示したことは、電荷の均等化が行なわれていることを意味している。
【0029】
第1の例によれば、-V又は2Vを出力するコンバータ端子を備えているので,電池モジュールを1台増設する、又は1台減少させるような柔軟な運用が可能となる。また、全ての電池モジュールと接続するバランス回路を電池モジュールと別に用意する必要がない利点がある。
【0030】
図6は、電池モジュールの第2の例の構成を示す。第2の例は、コンバータCNVがON/OFF制御端子を有する点で第1の例と相違している。コンバータCNVのON/OFFは、コンバータCNV内の発振器OSCのON/OFFを制御することによってなされる。コンバータCNVがONの状態でバランス動作がなされ、コンバータCNVがOFFの状態でバランス動作がなされない。第2の例によれば、コンバータCNVをOFFすることによって電力消費を抑えることができる。
【0031】
図7は、電池モジュールの第3の例の構成を示す。第3の例は、コンバータCNVが-Vを出力する構成とされている。また、電池モジュールのプラス端子とマイナス端子の電圧との電圧を測定する電圧測定器DT1と、コンバータCNVのコンバータ端子と電池モジュールのマイナス端子との電圧を測定する電圧測定器DT2が設けられる。これらの電圧測定器DT1及びDT2により測定された電圧を比較する電圧比較器CMPが設けられている。コンバータCNVのON/OFF制御端子に対して電圧比較器CMPの出力が供給される。
【0032】
電圧比較器CMPは、電圧測定器DT1及びDT2によりそれぞれ測定された電圧の比ΔVがしきい値以上であった場合に、コンバータCNVをONとし、電圧の比ΔVがしきい値より小の場合にコンバータCNVをOFFとするように、コンバータCNVを制御する。しきい値としては、たとえば2%程度の値が使用される。この第3の例は、バランス動作が必要な場合にのみ、コンバータCNVをONとするので、常にコンバータCNVをONしている構成と比較して電力消費を抑えることができる。
【0033】
図8は、電池モジュールの第4の例の構成を示す。第4の例は、コンバータCNVが2Vを出力する構成とされている。また、電池モジュールのプラス端子とマイナス端子の電圧との電圧を測定する電圧測定器DT1と、コンバータCNVのコンバータ端子と電池モジュールのプラス端子との電圧を測定する電圧測定器DT3が設けられる。これらの電圧測定器DT1及びDT3により測定された電圧を比較する電圧比較器CMPが設けられている。コンバータCNVのON/OFF制御端子に対して電圧比較器CMPの出力が供給される。
【0034】
電圧比較器CMPは、電圧測定器DT1及びDT3によりそれぞれ測定された電圧の比ΔVがしきい値以上であった場合に、コンバータCNVをONとし、電圧の比ΔVがしきい値より小の場合にコンバータCNVをOFFとするように、コンバータCNVを制御する。この第4の例は、第3の例と同様に、バランス動作が必要な場合にのみ、コンバータCNVをONとするので、常にコンバータCNVをONしている構成と比較して電力消費を抑えることができる。
【0035】
図9は、本発明の第実施形態の構成を示す。図9に示すように、上述した第3の例の電池モジュール(-Vを発生するコンバータCNVを備える)をm個(mは2以上の整数)例えば3個直列に接続することによって電池ユニットUが構成される。電池モジュールM1、M2、M3は、それぞれ図7に示す電池モジュールと同様の構成とされているので、対応する構成要素に対しては、同一の参照符号を付すことにする。また、各電池モジュールのプラス端子をta1,ta2,ta3で示し、マイナス端子をtb1,tb2,tb3で示し、コンバータ端子をtc1,tc2,tc3で示す。
【0036】
電池モジュールM1のプラス端子ta1が電池ユニットUのプラス端子として導出され、電池モジュールM3のマイナス端子tb3が電池ユニットUのマイナス端子として導出される。マイナス端子tb1とプラス端子ta2が接続され、マイナス端子tb2とプラス端子ta3が接続され、電池モジュールM1~M3が直列接続される。
【0037】
さらに、電池モジュールM1のコンバータ端子tc1(-Vの電圧)が電池モジュールM1のマイナス端子tb1側に接続された別の電池モジュールM2のマイナス端子tb2と接続される。この接続によって、コンバータCNVがON時に、電池モジュールM1及びM2間の電圧差に応じた電流がコンバータCNVから電池モジュールM1の組電池BTに対して流れる。
【0038】
さらに、電池モジュールM2のコンバータ端子tc2(-Vの電圧)が電池モジュールM2のマイナス端子tb2側に接続された別の電池モジュールM3のマイナス端子tb3と接続される。この接続によって、コンバータCNVがON時に、電池モジュールM2及びM3間の電圧差に応じた電流がコンバータCNVから電池モジュールM2の組電池BTに対して流れる。かかる第実施形態は、時間経過と共に、3個の電池モジュールM1~M3の電圧をほぼ等しくすることができる。
【0039】
図10は、本発明の第実施形態の構成を示す。図10に示すように、上述した第4の例の電池モジュール(2Vを発生するコンバータCNVを備える)をm個(mは2以上の整数)例えば3個直列に接続することによって電池ユニットUが構成される。電池モジュールM1、M2、M3は、それぞれ図8に示す電池モジュールと同様の構成とされているので、対応する構成要素に対しては、同一の参照符号を付すことにする。また、各電池モジュールのプラス端子をta1,ta2,ta3で示し、マイナス端子をtb1,tb2,tb3で示し、コンバータ端子(2Vが出力される)をtc1,tc2,tc3で示す。
【0040】
電池モジュールM1のプラス端子taが電池ユニットUのプラス端子として導出され、電池モジュールM3のマイナス端子tb3が電池ユニットUのマイナス端子として導出される。マイナス端子tb1とプラス端子ta2が接続され、マイナス端子tb2とプラス端子ta3が接続され、電池モジュールM1~M3が直列接続される。
【0041】
さらに、電池モジュールM2のコンバータ端子tc2(2Vの電圧)が電池モジュールM2のプラス端子ta2側に接続された別の電池モジュールM1のプラス端子ta1と接続される。この接続によって、コンバータCNVがON時に、電池モジュールM1及びM2間の電圧差に応じた電流がコンバータCNVから電池モジュールM2の組電池BTに対して流れる。
【0042】
さらに、電池モジュールM3のコンバータ端子tc3(2Vの電圧)が電池モジュールM3のプラス端子ta3側に接続された別の電池モジュールM2のプラス端子ta2と接続される。この接続によって、コンバータCNVがON時に、電池モジュールM2及びM3間の電圧差に応じた電流がコンバータCNVから電池モジュールM3の組電池BTに対して流れる。かかる第実施形態は、時間経過と共に、3個の電池モジュールM1~M3の電圧をほぼ等しくすることができる。
【0043】
図11は、本発明の変形例の構成を示す。上述した実施形態では、電池モジュールがそれぞれコンバータCNV、電圧比較器CMP、電圧測定器DT1,DT2を備えていたが、図11に示すように、電池モジュールと独立してコンバータ装置の構成としてもよい。このような構成によって、既存のモジュールに対してコンバータ装置を後から接続することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
M・・・電池モジュール、BT・・・組電池、CNV・・・コンバータ、
ta・・・プラス端子、tb・・・マイナス端子、tc・・・コンバータ端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11