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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】クリーナ
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
A47L9/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021563851
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044272
(87)【国際公開番号】W WO2021117509
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2019225231
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼阿田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】中山 亜維
(72)【発明者】
【氏名】羽川 達哉
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-140752(JP,U)
【文献】特開2003-245232(JP,A)
【文献】実開昭63-095547(JP,U)
【文献】特開2019-097952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の駆動力により回転するファンと、
前記モータ及び前記ファンを内部に収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられ、前記ファンにより生じる空気流を前記本体ハウジング内に流入させる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記本体ハウジングへ着脱可能に取り付けられ、前記本体ハウジングへ塵埃が流入しないように捕集するフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、
通気性を有するフィルタと、
前記フィルタよりも硬質の材料からなり、互いに組み付け及び分離可能に構成される第1部品及び第2部品を含むホルダと、を有し、
前記フィルタは、前記第1部品が前記第2部品に組み付けられた状態において、前記第1部品と前記第2部品との間に挟持されることで、前記ホルダに対して固定され、
前記ホルダは、前記本体ハウジングへの係合部を有し、前記係合部が回動軸を中心に前記本体ハウジングに対して回動することで、前記フィルタ部が前記本体ハウジングに対して着脱自在に取り付けられ、
前記第1部品は、前記回動軸方向に延びる柱状部を有し、前記柱状部が前記フィルタへ前記回動軸方向に挿入されることで前記フィルタを筒形状に保持し、
前記第2部品は、前記回動軸方向に前記第1部品に対して移動することで前記第1部品に組み付けられ
前記係合部は、前記第1部品には設けられず、前記第2部品に設けられる、クリーナ。
【請求項2】
前記第2部品は、前記第1部品に組み付けられた状態で、前記本体ハウジングに対して着脱自在である、請求項に記載のクリーナ。
【請求項3】
前記第2部品は、自身と前記本体ハウジングとの間をシールするシール部を有する、請求項1または2に記載のクリーナ。
【請求項4】
前記第2部品は、前記回動軸を中心とする径方向の大きさが前記第1部品よりも大きく前記径方向に延びる壁部と、前記径方向において前記柱状部よりも外側に配置され前記壁部から前記回動軸方向に突出するつまみ部と、を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記フィルタは、開口を有する袋状に形成され、前記フィルタの内部に前記第1部品が入り込むようにして前記第1部品に固定され、
前記フィルタ内部が前記開口を介して前記吸気口と連通するように前記フィルタ部が前記本体ハウジングに取り付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項6】
旋回軸を中心に旋回する空気流を生成する旋回室を有し、
前記旋回室は、内部が前記吸気口に連通するとともに、前記フィルタを収容し、
前記フィルタは、前記第1部品によって前記旋回軸を中心とする筒形状に保持される、請求項に記載のクリーナ。
【請求項7】
前記係合部は、前記旋回室の外部に配置される、請求項に記載のクリーナ。
【請求項8】
前記第2部品は、環状に形成され、前記吸気口の開口方向視で前記吸気口を取り囲むように配置され、
前記第2部品の内周側に前記第1部品が取り付けられ、
前記第2部品の内周面と前記第1部品との間に前記フィルタが挟持される、請求項1からのいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項9】
前記フィルタは開口を有する袋状に形成され、
前記第2部品の内周部の後方に前記吸気口が位置し、
前記第1部品は、前記開口が後方に臨むように前記フィルタが取り付けられた状態で、前記第2部品の内周側に後方から前方に向けて進入することで、前記第2部品に取り付けられるとともに、前記第2部品との間に前記フィルタを挟持する、請求項に記載のクリーナ。
【請求項10】
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の駆動力により回転するファンと、
前記モータ及び前記ファンを内部に収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられ、前記ファンにより生じる空気流を前記本体ハウジング内に流入させる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記本体ハウジングへ着脱可能に取り付けられ、前記本体ハウジングへ塵埃が流入しないように捕集するフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、
通気性を有するフィルタと、
前記フィルタよりも硬質の材料からなり、互いに着脱自在に組み付けられる第1部品及び第2部品を含むホルダと、を有し、
前記フィルタは、前記第1部品が前記第2部品に組み付けられた状態において、前記第1部品と前記第2部品との間に挟持されることで、前記ホルダに対して固定され、
前記第2部品は、前記本体ハウジングへの係合部を有し、前記係合部が回動軸を中心に前記本体ハウジングに対して回動することで、前記フィルタ部が前記本体ハウジングに対して着脱自在に取り付けられ、
前記第1部品は、前記回動軸方向に延びる柱状部を有し、前記柱状部が前記フィルタへ前記回動軸方向に挿入されることで前記フィルタを筒形状に保持し、
前記第2部品は、前記回動軸方向に前記第1部品に対して移動することで前記第1部品に組み付けられ、
前記第2部品は、前記回動軸を中心とする径方向の大きさが前記第1部品よりも大きく前記径方向に延びる壁部と、前記径方向において前記柱状部よりも外側に配置され前記壁部から前記回動軸方向に突出するつまみ部と、を有する、クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ部を備えるクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、クリーナを開示する。このクリーナは、フィルタ部を備える。フィルタ部は、通気性を有するフィルタと、フィルタよりも硬質のホルダとからなる。フィルタはホルダに糸などにより縫合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-68726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフィルタ部の構成は、フィルタとホルダを分離できないため、フィルタの清掃性の点で改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、フィルタの清掃性を向上させたクリーナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、クリーナである。このクリーナは、
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の駆動力により回転するファンと、
前記モータ及び前記ファンを内部に収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられ、前記ファンにより生じる空気流を前記本体ハウジング内に流入させる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記本体ハウジングへ着脱可能に取り付けられ、前記本体ハウジングへ塵埃が流入しないように捕集するフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、
通気性を有するフィルタと、
前記フィルタよりも硬質の材料からなり、互いに組み付け及び分離可能に構成される第1部品及び第2部品を含むホルダと、を有し、
前記フィルタは、前記第1部品が前記第2部品に組み付けられた状態において、前記第1部品と前記第2部品との間に挟持されることで、前記ホルダに対して固定され、
前記ホルダは、前記本体ハウジングへの係合部を有し、前記係合部が回動軸を中心に前記本体ハウジングに対して回動することで、前記フィルタ部が前記本体ハウジングに対して着脱自在に取り付けられ、
前記第1部品は、前記回動軸方向に延びる柱状部を有し、前記柱状部が前記フィルタへ前記回動軸方向に挿入されることで前記フィルタを筒形状に保持し、
前記第2部品は、前記回動軸方向に前記第1部品に対して移動することで前記第1部品に組み付けられ
前記係合部は、前記第1部品には設けられず、前記第2部品に設けられる。
【0008】
前記第2部品は、前記第1部品に組み付けられた状態で、前記本体ハウジングに対して着脱自在であってもよい。
【0010】
前記第2部品は、自身と前記本体ハウジングとの間をシールするシール部を有してもよい。
【0011】
前記第2部品は、前記回動軸を中心とする径方向の大きさが前記第1部品よりも大きく前記径方向に延びる壁部と、前記径方向において前記柱状部よりも外側に配置され前記壁部から前記回動軸方向に突出するつまみ部と、を有してもよい。
【0012】
前記フィルタは、開口を有する袋状に形成され、前記フィルタの内部に前記第1部品が入り込むようにして前記第1部品に固定され、
前記フィルタ内部が前記開口を介して前記吸気口と連通するように前記フィルタ部が前記本体ハウジングに取り付けられてもよい。
【0013】
旋回軸を中心に旋回する空気流を生成する旋回室を有し、
前記旋回室は、内部が前記吸気口に連通するとともに、前記フィルタを収容し、
前記フィルタは、前記第1部品によって前記旋回軸を中心とする筒形状に保持されてもよい。
【0014】
前記係合部は、前記旋回室の外部に配置されてもよい。
【0015】
前記第2部品は、環状に形成され、前記吸気口の開口方向視で前記吸気口を取り囲むように配置され、前記第2部品の内周側に前記第1部品が取り付けられ、前記第2部品の内周面と前記第1部品との間に前記フィルタが挟持されてもよい。
【0016】
前記フィルタは開口を有する袋状に形成され、
前記第2部品の内周部の後方に前記吸気口が位置し、
前記第1部品は、前記開口が後方に臨むように前記フィルタが取り付けられた状態で、前記第2部品の内周側に後方から前方に向けて進入することで、前記第2部品に取り付けられるとともに、前記第2部品との間に前記フィルタを挟持してもよい。
本発明の別の態様は、クリーナである。このクリーナは、
駆動軸を有するモータと、
前記駆動軸の駆動力により回転するファンと、
前記モータ及び前記ファンを内部に収容する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングに設けられ、前記ファンにより生じる空気流を前記本体ハウジング内に流入させる吸気口と、
前記吸気口を覆うように前記本体ハウジングへ着脱可能に取り付けられ、前記本体ハウジングへ塵埃が流入しないように捕集するフィルタ部と、を備え、
前記フィルタ部は、
通気性を有するフィルタと、
前記フィルタよりも硬質の材料からなり、互いに着脱自在に組み付けられる第1部品及び第2部品を含むホルダと、を有し、
前記フィルタは、前記第1部品が前記第2部品に組み付けられた状態において、前記第1部品と前記第2部品との間に挟持されることで、前記ホルダに対して固定され、
前記第2部品は、前記本体ハウジングへの係合部を有し、前記係合部が回動軸を中心に前記本体ハウジングに対して回動することで、前記フィルタ部が前記本体ハウジングに対して着脱自在に取り付けられ、
前記第1部品は、前記回動軸方向に延びる柱状部を有し、前記柱状部が前記フィルタへ前記回動軸方向に挿入されることで前記フィルタを筒形状に保持し、
前記第2部品は、前記回動軸方向に前記第1部品に対して移動することで前記第1部品に組み付けられ、
前記第2部品は、前記回動軸を中心とする径方向の大きさが前記第1部品よりも大きく前記径方向に延びる壁部と、前記径方向において前記柱状部よりも外側に配置され前記壁部から前記回動軸方向に突出するつまみ部と、を有する。
【0017】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フィルタの清掃性を向上させたクリーナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1に係るクリーナ1の側断面図。
図2図1の要部拡大断面図。
図3図2からフィルタ部材40以外を除去した断面図。
図4図3とは異なる切断面(図9(B)のA-A線で示される切断面)で切断したフィルタ部材40の断面図。
図5図1のV-V断面図。
図6】フィルタ部材40の分解斜視図。
図7】フィルタ部材40の斜視図。
図8図8(A)は、フィルタ部材40の第1ホルダ50の背面図。図8(B)は、図8(A)のB-B断面図。図8(C)は、第1ホルダ50の正面図。
図9図9(A)は、図9(B)のA-A断面図。図9(B)は、フィルタ部材40の第2ホルダ60の背面図。図9(C)は、図9(B)のC-C断面図。図9(D)は、第2ホルダ60の正面図。
図10】本発明の実施の形態2に係るクリーナ1Aの側断面図。
図11】クリーナ1Aのフィルタ部材40Aの拡大断面図。
図12図10のXII-XII断面図。
図13】フィルタ部材40Aの分解斜視図。
図14】フィルタ部材40Aの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(実施の形態1) 図1図9を参照し、本発明の実施の形態1を説明する。本実施の形態は、クリーナ1に関する。クリーナ1は、コードレス型かつ携帯型のサイクロン式の電気掃除機である。図1及び図5により、クリーナ1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。前後方向は、モータ6の回転軸(駆動軸)6aと平行な方向である。左右方向は、クリーナ1を前方から見た場合を基準に定義する。回転軸6a及びその延長線を合わせた全体を「中心軸」とも表記する。図2では、図1に示すダストケース3及びファンカバー20の図示を省略している。
【0022】
クリーナ1の外殻は、本体ハウジング2及びダストケース3によって構成される。本体ハウジング2及びダストケース3は、共に例えば樹脂成形体である。ダストケース3は、本体ハウジング2の前方に着脱可能に接続、固定される。ダストケース3は、吸気パイプ部3aと、旋回室3cと、を有する。吸気パイプ部3aの前端開口が、吸気口(ダストケース吸気口)である。この吸気口には、図示しない延長管あるいはフレキシブルホースを取付け可能である。吸気パイプ部3aは、旋回室3cの下方に設けられる。吸気パイプ部3aと旋回室3cの後端部同士は、バルブ部3bを介して互いに連通する。バルブ部3bは、吸気パイプ部3aから旋回室3cへの気流を通す一方、旋回室3cから吸気パイプ部3aへの気流は遮断する。吸気パイプ部3aから旋回室3cに取り込まれた気流は、旋回室3c内において、旋回軸を中心に旋回する空気流となる。旋回軸は、中心軸と一致する。旋回室3cの内部には、フィルタ部材40が着脱可能に装着、収容される。旋回室3cの後端は開口している。この開口を覆うようにフィルタ部材40が設けられる。
【0023】
図5に示すように、本体ハウジング2は、左右二つ割り構造である。すなわち、本体ハウジング2は、互いに別部品である左本体ハウジング2fと右本体ハウジング2gとをネジ止め等により互いに固定、一体化したものである。図1に示すように、本体ハウジング2は、収容部2aと、ハンドル部2bと、電池パック装着部2cと、を有する。収容部2aは、本体ハウジング2の前部にあたる部分である。収容部2aは、モータ6、集塵ファン9、ファンガイド10及びファンカバー20を収容する。ハンドル部2bは、収容部2aの上端部から後方に延びる部分である。作業者は、ハンドル部2bを握ってクリーナ1を取り回す。ハンドル部2bの上面には、操作パネル(スイッチ部)5が設けられる。操作パネル5に設けられた各種スイッチにより、クリーナ1の起動、停止やクリーナ1の風量を切替え可能である。ハンドル部2bの、操作パネル5の前方となる位置に、前方を照らすLED等の照明部8が設けられる。電池パック装着部2cは、本体ハウジング2の後下部にあたる部分である。電池パック装着部2cには、クリーナ1の電源となる電池パック4が着脱可能に装着される。本体ハウジング2の後端部の左右両側面に、それぞれ排気口2eが設けられる。
【0024】
図2に示すように、本体ハウジング2は、前端部に、前方に突出する筒状部2hを有する。筒状部2hには、内向きに突出するフランジ部2iが設けられる。フランジ部2iは、前後方向と垂直な板状部である。フランジ部2iは、中心軸を一周するように設けられる。フランジ部2iの内縁は、吸気口(ハウジング吸気口)2dの開口縁である。吸気口2dは、中心軸を中心とし、回転軸6aの延出方向に貫通する円形の貫通穴である。吸気口2dは、左本体ハウジング2f及び右本体ハウジング2gに跨がって形成される。吸気口2dは、旋回室3c内の空間と連通する。吸気口2dの前方は、フィルタ部材40に覆われる。
【0025】
モータ6は、周知のブラシ付き電動モータである。モータ6は、モータケースや軸受を含むユニットとして構成される。モータ6は、電池パック4からの供給電力で動作する。モータ6の後端部は、防振用の弾性体7を介して本体ハウジング2に支持される。モータ6の回転軸6aには、集塵ファン9が取り付けられる。集塵ファン9は、回転軸6aを中心に回転軸6aと一体に回転する。回転軸6aは、集塵ファン9の中心軸でもある。集塵ファン9は、遠心ファンである。集塵ファン9は、ファンガイド10及びファンカバー20によって形成される内部空間に収容される。ファンガイド10及びファンカバー20の外径は、集塵ファン9の外径よりも大きい。集塵ファン9の外径は、モータケースの外径よりも大きい。ファンガイド10及びファンカバー20は、共に例えば樹脂成形体である。
【0026】
ファンガイド10は、モータ6の前面にネジ止め等により固定される。ファンカバー20は、ファンガイド10に爪係合等により固定、一体化される。ファンガイド10は、集塵ファン9の後方に位置する。ファンガイド10は、集塵ファン9の発生する気流を通過させる図示しない通気口を有する。ファンカバー20は、回転軸6aを中心とする円筒形状である。ファンカバー20の後端は開放である。ファンカバー20の前端は、吸気口(ファンカバー吸気口)21を除き非開放である。すなわち、ファンカバー20の前面に吸気口21が設けられる。吸気口21は、中心軸を中心とし、回転軸6aの延出方向に貫通する円形の貫通穴である。吸気口21は、旋回室3c内の空間と連通する。
【0027】
シール部材30は、本体ハウジング2とファンカバー20との間をシールする(気密に閉塞する)。具体的には、シール部材30は、本体ハウジング2における吸気口2dの内側及びファンカバー20における吸気口21の外側と当接することで、吸気口2dと吸気口21の間において本体ハウジング2及びファンカバー20の内外を空気が通過できないようにシールする。シール部材30は、防振機能も有する。シール部材30は、ゴム等の弾性体である。シール部材30は、中心軸を中心とする円環状に形成される。シール部材30の中心に設けられる穴を連通路として、吸気口2dと吸気口21が連通する。シール部材30は、吸気口21の周囲に配置される。シール部材30の外径は、ファンカバー20の外径よりも小さい。シール部材30の外径は、弾性体7の外径よりも大きい。
【0028】
フィルタ部材40は、通気性を有するフィルタ41と、第1部品としての第1ホルダ50と、第2部品としての第2ホルダ60と、を有する。フィルタ41は例えば布である。フィルタ41は、後端が開口した袋状に形成される。フィルタ41は、自身の開口を介して本体ハウジング2の吸気口2d及びファンカバー20の吸気口21と連通する。第1ホルダ50及び第2ホルダ60は、フィルタ41よりも硬質の材料からなる。第1ホルダ50及び第2ホルダ60は、共に例えば樹脂成形体である。第1ホルダ50及び第2ホルダ60は、互いに着脱自在に組み付けられて、フィルタ41を保持するホルダを構成する。フィルタ41は、第1ホルダ50が第2ホルダ60に組み付けられた状態において第1ホルダ50と第2ホルダ60との間に挟持されることで、第1ホルダ50及び第2ホルダ60に対して固定される。
【0029】
第1ホルダ50は、筒状基部51と、柱状部54と、を有する。筒状基部51は、中心軸を中心とする円筒形状である。筒状基部51の後端部には、切欠部52が設けられる。切欠部52は、第2ホルダ60の係止凸部64と係合する係合部である。切欠部52は、中心軸を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも表記)に複数設けられる。具体的には、切欠部52は、周方向に90度間隔で4つ設けられる。筒状基部51の後端部は、切欠部52を除く全周に渡って凸部(凸条部)53が設けられる。凸部53は、筒状基部51から中心軸を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも表記)に突出する。柱状部54は、筒状基部51の前端から前方に延びる。柱状部54は、フィルタ41を旋回軸を中心とする円筒形状に保持する形状保持部である。
【0030】
第2ホルダ60は、仕切り壁部61と、第1筒状部63と、第2筒状部66と、を有する。仕切り壁部61は、中心軸を中心とし中心軸と垂直な略円板形状である。仕切り壁部61は、フィルタ41の外側における旋回室3cの後壁部を成す。仕切り壁部61の中央部は開口している。仕切り壁部61の前面には、一対のつまみ部62が設けられる。つまみ部62は、仕切り壁部61から前方に突出する突起部である。つまみ部62は、フィルタ部材40をハウジング2に着脱する際に作業者がつまむための部分である。
【0031】
第1筒状部63は、仕切り壁部61の中央の開口縁部から後方に突出する。第1筒状部63は、中心軸を中心とする円筒形状である。第1筒状部63の内周面に、係止凸部64が設けられる。図2等に示すように、係止凸部64は、第1ホルダ50の切欠部52と係合する。係止凸部64と切欠部52との係合により、第2ホルダ60から第1ホルダ50が後方に抜けることが防止される。係止凸部64は、周方向に複数設けられる。具体的には、係止凸部64は、周方向に90度間隔で4つ設けられる。係止凸部64の周方向両側には、切込69が設けられる。切込69は、第1筒状部63の後端から切り込まれた部分である。切込69により、係止凸部64が径方向外側に倒れやすくなっている。第1筒状部63の後端部の内周面には、全周に渡って凹部65が設けられる。図4に示すように、凹部65は、第1ホルダ50の凸部53と係合する。凹部65と凸部53との係合により、第2ホルダ60から第1ホルダ50が前方に抜けることが防止される。
【0032】
第2筒状部66は、第1筒状部63の径方向外側において仕切り壁部61から後方に突出する。第2筒状部66は、中心軸を中心とする円筒形状である。第2筒状部66の後端部の上部及び下部にそれぞれ、係合部67が設けられる。係合部67は、第2筒状部66から径方向外側に突出する部分である。係合部67の周方向中央部には、突起部67aが設けられる。突起部67aは、係合部67から径方向外側に突出する。図2に示すように、係合部67は、本体ハウジング2の壁部2kの後側に位置する。係合部67が壁部2kにより前方から押さえられることで、第2ホルダ60が本体ハウジング2から前方に抜けることが防止される。図5に示すように、突起部67aは、本体ハウジング2に設けられた凹部2jに嵌まる。突起部67aと凹部2jとの嵌合により、第2ホルダ60が本体ハウジング2に対して回転することが防止される。係合部67と本体ハウジング2との係合及び解除は、第2ホルダ60が第1ホルダ50に組み付けられた状態で行える。すなわち、第2ホルダ60は、第1ホルダ50に組み付けられた状態で本体ハウジング2に対して着脱自在である。仕切り壁部61の後面には、径方向において第1筒状部63と第2筒状部66との間に、シール部としてのパッキン68が設けられる。パッキン68は、環状の弾性体である。パッキン68は、本体ハウジング2の筒状部2hに全周に渡って押圧され、第2ホルダ60と本体ハウジング2との間を気密に塞ぐ。
【0033】
フィルタ部材40の組立手順を説明する。まず、フィルタ41の開口に第1ホルダ50の柱状部54を挿入する。奥まで挿入すると、フィルタ41の開口部の内面は、第1ホルダ50の筒状基部51の外周面と近接する。続いて、第2ホルダ60の中央の開口に、柱状部54及びフィルタ41を挿入する。このとき、第1ホルダ50の切欠部52と第2ホルダ60の係止凸部64の周方向位置を互いに合わせて挿入していく。すると、係止凸部64は、径方向外側に撓んで筒状基部51を乗り越え、図3に示すように切欠部52に嵌まる(切欠部52と係合する)。このとき、図4に示すように第1ホルダ50の凸部53と第2ホルダ60の凹部65とが互いに係合する。フィルタ41の後端部は、第1ホルダ50の筒状基部51の外周面と第2ホルダ60の第1筒状部63の内周面との間に挟持される。以上の手順でフィルタ部材40が組み立てられる。
【0034】
フィルタ部材40を本体ハウジング2に取り付ける手順は以下のとおりである。第2ホルダ60を図5の回転位置に対して中心軸を中心に時計回りに45度回転させた状態で、フィルタ部材40を本体ハウジング2に前方から組み付ける。その後、フィルタ部材40を中心軸を中心に反時計回りに45度回転させる。すると、第2ホルダ60の係合部67が本体ハウジング2の壁部2kの背後に回り込み、また突起部67aが本体ハウジング2の凹部2jに嵌まる。フィルタ部材40を本体ハウジング2から取り外すには、取付け手順の逆を行えばよい。すなわち、フィルタ部材40を中心軸を中心に時計回りに45度回転させ、本体ハウジング2から前方に離間させればよい。
【0035】
フィルタ部材40を分解するには、組立手順の逆を行えばよい。すなわち、まず、第1ホルダ50を第2ホルダ60から後方に引き抜く。このとき、後方への一定以上の力を第1ホルダ50に加えることで、係止凸部64と切欠部52との係合を解除できる。第1ホルダ50を第2ホルダ60から引き抜いたら、フィルタ41を第1ホルダ50から前方に取り外す。
【0036】
クリーナ1の動作を説明する。作業者が操作パネル5のスイッチを操作してモータ6が駆動すると、モータ6の駆動力により集塵ファン9が回転する。集塵ファン9の発生する気流は、吸気パイプ部3aから旋回室3c内に取り込まれる。気流は、旋回室3c内で旋回流となり、フィルタ部材40を通過し、吸気口2d、21からファンカバー20内に取り込まれる。気流は、集塵ファン9の内側に吸い込まれて外側に排出され、ファンカバー20にガイドされてファンガイド10の図示しない通気口から後方に抜ける。気流は、最終的に排気口2eから本体ハウジング2の外部に排気される。吸気口3aから気流と共に進入した塵埃は、旋回室3cで遠心分離され、旋回室3cの内部かつフィルタ部材40の外側に溜まる。遠心分離されなかった塵埃は、フィルタ部材40のフィルタ41に捕集され、旋回室3cの内部かつフィルタ部材40の外側に溜まる。
【0037】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0038】
(1) フィルタ41が第1ホルダ50及び第2ホルダ60から分離可能なため、フィルタ41を清掃しやすい。特にフィルタ41の水洗いが容易となり、フィルタ41を清潔に保ちやすい。また、フィルタ41の交換時に第1ホルダ50及び第2ホルダ60を一緒に交換する必要がないため、廃棄物を減らすことができる。
【0039】
(2) フィルタ部材40の製造にあたり、フィルタ41をホルダに縫い付ける等により固定する必要がない。このため、フィルタ部材40の製造が容易となる。
【0040】
(3) フィルタ部材40と本体ハウジング2との係合が、仕切り壁部61の後方、すなわち旋回室3cの外部で行われる。すなわち、第2ホルダ60の係合部67及びそれに係合する本体ハウジング2の構成が旋回室3cの外部に設けられる。このため、フィルタ部材40と本体ハウジング2との係合構造が旋回室3c内の旋回流に与える影響を抑制でき、塵埃の遠心分離の効率が高められる。
【0041】
(実施の形態2) 図10図14を参照し、本発明の実施の形態2を説明する。本実施の形態は、クリーナ1Aに関する。クリーナ1Aは、コードレス型かつ携帯型の非サイクロン式の電気掃除機である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。ダストケース3の前端部には、吸気口(ダストケース吸気口)3dが設けられる。吸気口3dには、図示しない延長管あるいはフレキシブルホースを取付け可能である。ダストケース3の内部に、フィルタ部材40Aが着脱可能に設けられる。
【0042】
フィルタ部材40Aの第1ホルダ50は、筒状基部51に貫通穴52Aを有する。貫通穴52Aは、第2ホルダ60の係止凸部64と係合する係合部である。貫通穴52Aは、周方向に複数設けられる。具体的には、貫通穴52Aは、周方向に90度間隔で4つ設けられる。貫通穴52Aは、実施の形態1の切欠部52に替わるものである。筒状基部51の後端部の上部及び下部にそれぞれ、係合部57が設けられる。係合部57は、筒状基部51から径方向外側に突出する部分である。係合部57の周方向中央部には、突起部57aが設けられる。突起部57aは、係合部57から径方向外側に突出する。係合部57及び突起部57aは、実施の形態1の係合部67及び突起部67aに替わるものである。すなわち、本実施の形態では、本体ハウジング2との係合構造は第1ホルダ50に設けられる。シール部としてのパッキン58は、筒状基部51の後端部に設けられる。パッキン58は、環状の弾性体である。パッキン58は、本体ハウジング2の前面に全周に渡って押圧され、第1ホルダ50と本体ハウジング2との間を気密に塞ぐ。本実施の形態も、実施の形態1の効果(1),(2)と同様の効果を奏することができる。
【0043】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。例えば、本発明のクリーナは、外部の交流電源からの供給電力で動作するコード付きタイプであってもよい。モータは、ブラシレスモータであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A…クリーナ(電気掃除機)、2…本体ハウジング、2a…収容部、2b…ハンドル部、2c…電池パック装着部、2d…吸気口(ハウジング吸気口)、2e…排気口、2f…左ハウジング、2g…右ハウジング、2h…筒状部、2i…フランジ部、2j…凹部、2k…壁部、3…ダストケース、3a…吸気パイプ部、3b…バルブ部、3c…旋回室、3d…吸気口(ダストケース吸気口)、4…電池パック、5…操作パネル(スイッチ部)、6…モータ、6a…回転軸(駆動軸)、7…弾性体、8…照明部、9…集塵ファン、10…ファンガイド、20…ファンカバー、21…吸気口(ファンカバー吸気口)、30…シール部材、40,40A…フィルタ部材、41…フィルタ、50…第1ホルダ(第1部品)、51…筒状基部、52…切欠部(係合部)、52A…貫通穴(係合部)、53…凸部(凸条部)、54…柱状部、57…係合部、57a…突起部、58…パッキン(シール部)、60…第2ホルダ(第2部品)、61…仕切り壁部、62…つまみ部、63…第1筒状部、64…係止凸部、65…凹部、66…第2筒状部、67…係合部、67a…突起部、68…パッキン(シール部)、69…切込。
図1
図2
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図14