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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231121BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231121BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231121BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20231121BHJP
   H01M 50/547 20210101ALI20231121BHJP
   H01M 50/11 20210101ALN20231121BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/13
H01M50/547
H01M50/11
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021564041
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020046114
(87)【国際公開番号】W WO2021117827
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2019223855
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】朝重 陽介
(72)【発明者】
【氏名】西出 充良
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/186442(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/203474(WO,A1)
【文献】特開2011-198692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M 4/00- 4/62
H01M50/50-50/598
H01M 6/00- 6/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電池であって、
正極活物質を有する正極層、負極活物質を有する負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を有する固体電池積層体を有して成り、
前記正極層および前記負極層の一方において前記固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部と、該正極層および該負極層の他方において前記平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部とが積層方向で互いに対向しており
前記活物質輪郭部が、前記平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられており、
前記非活物質輪郭部が、前記平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられている、固体電池。
【請求項2】
前記正極層および前記負極層の前記他方において前記固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている第2の活物質輪郭部と、該正極層および該負極層の前記一方において前記平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない第2の非活物質輪郭部とが積層方向で互いに対向しており、
前記活物質輪郭部と前記非活物質輪郭部とが対向する面と、前記第2の活物質輪郭部と前記第2の非活物質輪郭部とが対向する面とが互いに異なる、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記活物質輪郭部が、前記平面視輪郭を成す辺について全ての辺に設けられており、
前記非活物質輪郭部が、前記平面視輪郭を成す辺について全ての辺に設けられている、請求項1または2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記一方が前記負極層であり、該負極層の負極活物質領域が前記平面視輪郭を成す辺に向かって狭窄する狭窄形状を有し、
前記他方が前記正極層であり、該正極層の正極活物質領域が前記平面視輪郭を成す辺に向かって狭窄する狭窄形状を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項5】
前記負極活物質領域が、前記正極活物質領域よりも大きい、請求項に記載の固体電池。
【請求項6】
前記正極活物質領域における前記狭窄形状の幅寸法が前記負極活物質領域における前記狭窄形状の幅寸法よりも大きい、請求項またはに記載の固体電池。
【請求項7】
前記非活物質輪郭部が絶縁材を含んで成る、請求項1~のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項8】
前記一方の前記活物質輪郭部と接するように正極外部端子および負極外部端子の一方が設けられ、
前記他方において前記平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部と接するように前記正極外部端子および前記負極外部端子の他方が設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項9】
前記固体電池積層体が直方体の全体形状を有している、請求項1~のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項10】
前記正極外部端子および前記負極外部端子の前記一方と、該正極外部端子および該負極外部端子の前記他方とが、前記固体電池積層体の互いに非対向の側面に設けられている、請求項に記載の固体電池。
【請求項11】
前記固体電池積層体が焼結体から成る、請求項1~10のいずれか1項に記載の固体電池。
【請求項12】
前記正極層および前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な層となっている、請求項1~11のいずれか1項に記載の固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池に関する。より具体的には、本発明は、電池構成単位を成す各層が積層して構成された積層型固体電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、繰り返しの充放電が可能な二次電池が様々な用途に用いられている。例えば、二次電池は、スマートフォンおよびノートパソコン等の電子機器の電源として用いられたりする。
【0003】
二次電池においては、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。しかしながら、そのような二次電池は、電解液の漏出防止点で安全性が一般に求められる。また、電解液に用いられる有機溶媒等は可燃性物質ゆえ、その点でも安全性が求められる。
【0004】
そこで、電解液に代えて、固体電解質を用いた固体電池について研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-181905号公報
【文献】特許2017-183052号公報
【文献】特開2011-198692号公報
【文献】国際公開(WO)2008/099508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの間の固体電解質層から成る固体電池積層体を有して成る(上記の特許文献1~4参照)。より具体的には、正極層と負極層とが固体電解質層を介して交互に積層されている。正極層には正極活物質が含まれる一方、負極層には負極活物質が含まれており、それらは固体電池における電子の受け渡しに関与する。つまり、固体電解質を介してイオンが正極層と負極層との間で移動して電子の受け渡しが行われ、固体電池の充放電がなされることになる。このような固体電池は、正極端子と負極端子といった外部端子400が、上記積層体を間に挟むように互いに対向している(図18参照)。
【0007】
本願発明者は、固体電池の実際の使用に鑑みると克服すべき課題が依然あることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者は見出した。
【0008】
固体電池における種々の用途に鑑みると、固体電池が筐体内などの電池収容スペースに収められたり、あるいは、プリント配線板またはマザーボードなどの各種基板に実装されることが考えられる。つまり、種々の電池用途を想定すると、固体電池の外部端子に求められる配置は必ずしも一定であると限らず、電池用途によって適宜変わり得る。したがって、従前における固体電池の正負極の外部端子配置では、自由度が大きいといえず、種々の電池用途に合わせて外部端子を設けることができることが望ましい。
【0009】
本発明はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、外部端子の配置の点でより自由度が高い固体電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された固体電池の発明に至った。
【0011】
本発明では、固体電池であって、
電極活物質として正極活物質を有する正極層、電極活物質として負極活物質を有する負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を備えた固体電池積層体を有して成り、
「正極層および負極層の一方において固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」と「正極層および負極層の他方において平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」とが積層方向で互いに対向している、固体電池が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る固体電池は、外部端子の配置の点でより自由度が高い固体電池となっている。
【0013】
本発明に係る固体電池は、一方の電極の活物質輪郭部と、他方の電極の非活物質輪郭部とが積層方向で互いに対向している。本発明では、この対向関係を維持していれば、一方の電極の外部端子は、その一方の電極の活物質輪郭部と接するように設けることができ、比較的自由に配置できる。同様にして、他方の電極の外部端子も、他方の電極の活物質輪郭部(すなわち、好ましくは上記の非活物質輪郭部を除いた輪郭部に相当する部分)と接するように設けることができ、比較的自由に配置できる。このように、本発明の固体電池は、正極および負極の外部端子の配置の点で比較的制約が少ないものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明における“外部端子の設置自由度”を説明するための模式的斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る固体電池の特徴を説明するための模式的平面図である。
図5図5は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図6図6は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図7図7は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図8図8は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図9図9は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図10図10は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図11図11は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図12図12は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部および他方の非活物質輪郭部の例示形態を説明するための模式的平面図である。
図13図13は、表面実装される固体電池を説明するための模式的斜視図である。
図14図14は、非活物質領域を説明するための模式的斜視図である。
図15図15は、「電極狭窄部の幅寸法関係に関する態様」を説明するための模式的平面図である。
図16図16は、電極層に対して集電層が設けられた場合における狭窄部のある好適な特徴を説明するための模式的平面図である。
図17図17は、狭窄部の輪郭コーナーのある好適な特徴を説明するための模式的平面図である。
図18図18は、固体電池の基本的構成を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の固体電池を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本発明の理解促進のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および/または寸法比などは実物と異なり得る。
【0016】
本明細書でいう「平面視」とは、固体電池(特に固体電池積層体)を構成する各層の積層方向に相当する厚み方向に沿って対象物を上側または下側から捉えた場合の形態に基づいている。又、本明細書でいう「断面視」とは、固体電池(特に固体電池積層体)を構成する各層の積層方向に対して略垂直な方向から捉えた場合の形態に基づいている。端的にいえば、断面視は、厚み方向に平行な面で切り取った場合に得られる形態に基づいている。本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」/「底面側」に相当し、その逆向きが「上方向」/「頂面側」に相当すると捉えることができる。
【0017】
本発明でいう「固体電池」は、広義にはその構成要素が固体から構成されている電池を指し、狭義にはその構成要素(特に好ましくは全ての構成要素)が固体から構成されている全固体電池を指している。ある好適な態様では、本発明における固体電池は、電池構成単位を成す各層が互いに積層するように構成された積層型固体電池であり、好ましくはそのような各層が焼結体から成っている。なお、「固体電池」は、充電および放電の繰り返しが可能な、いわゆる「二次電池」のみならず、放電のみが可能な「一次電池」をも包含する。本発明のある好適な態様に従うと「固体電池」は二次電池である。「二次電池」は、その名称に過度に拘泥されるものではなく、例えば、蓄電デバイスなどの電気化学デバイスをも包含し得る。
【0018】
以下では、まず、本発明を理解する上で必要と考えられる固体電池の基本的構成について説明する。ここで説明される固体電池の構成は、固体電池の前提となる事項を説明するための例示にすぎず、発明を限定するものではない。
【0019】
[固体電池の基本的構成]
固体電池は、正極および負極の電極層と固体電解質層とを少なくとも有して成る。具体的には図18に示すように、固体電池は、正極層100、負極層200、およびそれらの間に少なくとも介在する固体電解質層300から成る電池構成単位を含んだ固体電池積層体500を有して成る。
【0020】
固体電池は、それを構成する各層を焼成によって形成することが好ましい。正極層、負極層および固体電解質層などが焼結層を成している。好ましくは、正極層、負極層および固体電解質層は、それぞれ互いに一体焼成されており、それゆえ固体電池積層体が一体焼結体を成している。
【0021】
正極層100は、少なくとも正極活物質を含んで成る電極層である。正極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、正極層は、正極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。一方、負極層は、少なくとも負極活物質を含んで成る電極層である。負極層は、更に固体電解質を含んで成っていてよい。ある好適な態様では、負極層は、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを少なくとも含む焼結体から構成されている。
【0022】
正極活物質および負極活物質は、固体電池において電子の受け渡しに関与する物質である。固体電解質層を介してイオンは正極層と負極層との間で移動(又は伝導)して電子の受け渡しが行われることで充放電がなされる。正極層および負極層の各々は特にリチウムイオンまたはナトリウムイオンを吸蔵放出可能な層であることが好ましい。つまり、固体電池は、固体電解質層を介してリチウムイオンまたはナトリウムイオンが正極層と負極層との間で移動して電池の充放電が行われる全固体型二次電池であることが好ましい。
【0023】
(正極活物質)
正極層に含まれる正極活物質としては、例えば、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、リチウム含有層状酸化物、および、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、LiFePO4、LiMnPO等が挙げられる。リチウム含有層状酸化物の一例としては、LiCoO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiMn、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。
【0024】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ナトリウム含有層状酸化物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0025】
(負極活物質)
負極層200に含まれる負極活物質としては、例えば、Ti、Si、Sn、Cr、Fe、NbおよびMoから成る群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物、黒鉛-リチウム化合物、リチウム合金、ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ならびに、スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも一種が挙げられる。リチウム合金の一例としては、Li-Al等が挙げられる。ナシコン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、Li(PO、LiTi(PO等が挙げられる。オリビン型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、LiFe(PO、LiCuPO等が挙げられる。スピネル型構造を有するリチウム含有酸化物の一例としては、LiTi12等が挙げられる。
【0026】
また、ナトリウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質としては、ナシコン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、オリビン型構造を有するナトリウム含有リン酸化合物およびスピネル型構造を有するナトリウム含有酸化物等から成る群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0027】
正極層および/または負極層は、導電助剤を含んでいてもよい。正極層および負極層に含まれる導電助剤として、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅およびニッケル等の金属材料、ならびに炭素などから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。特に限定されるわけではないが、銅は、正極活物質、負極活物質および固体電解質材などと反応し難く、固体電池の内部抵抗の低減に効果を奏するのでその点で好ましい。
【0028】
さらに、正極層および/または負極層は、焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤としては、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマスおよび酸化リンから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0029】
(固体電解質層)
固体電解質層300は、リチウムイオンまたはナトリウムイオンが伝導可能な材質を含んで成る。特に固体電池で電池構成単位を成す固体電解質層は、正極層と負極層との間においてリチウムイオンが伝導可能な層を成している。具体的な固体電解質層の材質としては、例えば、ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物としては、Li(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。ナシコン構造を有するリチウム含有リン酸化合物の一例としては、例えば、Li1.2Al0.2Ti1.8(PO等が挙げられる。ペロブスカイト構造を有する酸化物の一例としては、La0.55Li0.35TiO等が挙げられる。ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物の一例としては、LiLaZr12等が挙げられる。
【0030】
なお、ナトリウムイオンが伝導可能な固体電解質層の材質としては、例えば、ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物、ペロブスカイト構造を有する酸化物、ガーネット型またはガーネット型類似構造を有する酸化物等が挙げられる。ナシコン構造を有するナトリウム含有リン酸化合物としては、Na(PO(1≦x≦2、1≦y≦2、Mは、Ti、Ge、Al、GaおよびZrから成る群より選ばれた少なくとも一種)が挙げられる。
【0031】
固体電解質層は、焼結助剤を含んでいてもよい。固体電解質層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。
【0032】
(正極集電層および負極集電層)
必須ではないものの、正極層100および負極層200は、それぞれ正極集電層および負極集電層を備えていてもよい。正極集電層および負極集電層はそれぞれ箔の形態を有していてもよいが、一体焼成による固体電池の製造コスト低減および固体電池の内部抵抗低減などの観点を重視すると、焼結体の形態(即ち、焼結層の形態)を有していることが好ましい。なお、正極集電層および負極集電層が焼結体の形態を有する場合、導電材および焼結助剤を含む焼結体により構成されてもよい。正極集電層および負極集電層に含まれる導電材は、例えば、正極層および負極層に含まれ得る導電助剤と同様の材料から選択されてよい。正極集電層および負極集電層に含まれる焼結助剤は、例えば、正極層および/または負極層に含まれ得る焼結助剤と同様の材料から選択されてよい。なお、固体電池において、正極集電層および負極集電層が必須というわけではなく、そのような正極集電層および/または負極集電層が設けられていない固体電池も考えられる。つまり、本発明における固体電池は、集電層レスの固体電池であってもよい。
【0033】
(外部端子)
固体電池には、一般に外部端子が設けられている。特に、固体電池の側面に外部端子400が設けられている。図18では、特に従前の構成でみられる互いに対向して配置された一対の外部端子(400A,400B)の配置態様を示している。より具体的には、正極層100と接続された正極外部端子400Aと、負極層200と接続された負極外部端子400Bとが設けられている(図18参照)。そのような外部端子は、導電率が大きい材料を含んで成ることが好ましい。外部端子の具体的な材質としては、特に制限されるわけではないが、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
【0034】
[本発明の固体電池の特徴]
本発明の固体電池は、外部端子の配置に関連した特徴を有している。特に、固体電池積層体が従前配置と異なる外部端子の配置を可能とする構成を有する点で本発明は特徴を有している。従前配置では、固体電池積層体を挟んで固体電池の正極外部端子と負極外部端子とが互いに向き合うように対向しているが、本発明の固体電池は、それに限らずに相対的に自由に外部端子を配置できる構成となっている。
【0035】
本発明の固体電池では、外部端子の設置自由度が高く、例えば図1に示されるように、正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとが固体電池積層体500のいずれの側面(すなわち、固体電池積層体において、その積層方向に直交する方向に存在する積層体面のいずれ)に対しても設けることができるようになっている。ここでいう「側面」とは、広義には、固体電池(より具体的には固体電池積層体)が成す複数の側面のことを指している。狭義には、「側面」は、固体電池(より具体的には固体電池積層体)における複数の平面状および/または曲面状の側面を指している。
【0036】
図2~4に示される形態をまず例にとって本発明を詳述していく。図2~4に示されている固体電池積層体500では、その同一側面に対して正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとが位置付けられている(特に図2参照)。つまり、ここで図示される正極外部端子と負極外部端子は、固体電池積層体を挟むように対向しておらず、固体電池積層体の1つの側面で互いに隣接するように配置されている。
【0037】
このような外部端子の配置構成を取ることができる本発明の固体電池では、固体電池積層体の輪郭(最外周縁)の点で正極層と負極層とが特徴的な関係を有している。具体的には、正極層および負極層の一方において「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」と、正極層および負極層の他方において「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」とが積層方向で互いに対向している。そのような一方の電極層の「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」と、他方の電極層の「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」とが固体電池積層体の積層方向に沿って整列しているともいえる。図4に示す形態では、負極層200における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部240」と正極層100における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部160」とが積層方向で互いに対向している。換言すれば、本発明では、正極層100と負極層200とを平面視として重ね合わせると、一方の活物質輪郭部と他方の非活物質輪郭部とが互いに少なくともオーバーラップするようになっている(図4参照)。
【0038】
本発明の固体電池では、上記の活物質輪郭部・非活物質輪郭部を第1の輪郭部と捉えると、第2の輪郭部も好ましくは積層方向で互いに対向している。より具体的には、「正極層および負極層の一方において固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」と「正極層および負極層の他方において平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」とが積層方向で互いに対向している場合、「正極層および負極層の前記他方において固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている第2の活物質輪郭部」と「正極層および負極層の前記一方において平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない第2の非活物質輪郭部」とが積層方向で互いに対向していることが好ましい。このような固体電池では、活物質輪郭部と非活物質輪郭部とが対向する面(すなわち、第1の輪郭部について対向する面)と、第2の活物質輪郭部と第2の非活物質輪郭部とが対向する面とが異なっていることが好ましい。例えば、図4に示す態様でいえば、負極層200における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部240(すなわち、第1の活物質輪郭部)」と正極層100における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部160(すなわち、第1の非活物質輪郭部)」とが積層方向で互いに対向していると共に、負極層200における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない第2の非活物質輪郭部260」と正極層100における「固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている第2の活物質輪郭部140」とが積層方向で互いに対向している。そして、かかる場合では、固体電池積層体は、そのような第1の輪郭部が対向する面(積層体面)と、第2の輪郭部が対向する面(積層体面)とが互いに異なっている態様を含んでいることが好ましく、即ち、固体電池積層体においてそのように互いに異なる面を含んでいることが好ましい。
【0039】
本発明では、このような輪郭部の積層方向の対向関係が、正極および負極の外部端子の比較的自由な配置に関係している。外部端子は、活物質輪郭部と接するように設けられる。具体的には、本発明に係る固体電池は、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部と接するように正極外部端子および負極外部端子の一方が設けられ、正極層および負極層の他方において電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部と接するように正極外部端子および負極外部端子の他方が設けられる。本発明では、輪郭部が上記積層方向の対向関係を維持していれば、一方の電極の外部端子は、その一方の電極の活物質輪郭部と接するように設けることができ、比較的自由に配置できる。同様にして、他方の電極の外部端子も、上記積層方向の対向関係を維持していれば、他方の電極の活物質輪郭部(好ましくは上記の非活物質輪郭部を除いた輪郭部に相当し得る部分)と接するように設けることができ、比較的自由に配置できる。本発明に従えば、あくまでも1つの好適例であるが、一度採用した固体電池の設計(特に固体電池積層体における正極層および負極層の形態に関する事項およびそれに関連した事項など)を大きく変えることなく、外部端子の設置位置を比較的容易に変更できる。
【0040】
例えば、本発明の固体電池では、正極外部端子が設けられる固体電池積層体の面と、負極外部端子が設けられる固体電池積層体の面とが互いに異なっていてよい。例えば、正極層および負極層の前記一方における前記活物質輪郭部(すなわち、第1の活物質輪郭部)と接する正極外部端子および負極外部端子の一方の外部端子が固体電池積層体の側面に設けられており、第2の活物質輪郭部と接する正極外部端子および負極外部端子の他方の外部端子が固体電池積層体の当該側面と異なる側面に設けられていてよい。なお、正極外部端子と負極外部端子とは、固体電池積層体の互いに異なる側面において固体電池積層体の積層方向に沿った向きに延在していてよい。本発明の固体電池では、図1(b)、図1(d)および図1(e)に示されるように、正極外部端子および負極外部端子の一方と他方とが互いに隣接する側面(すなわち、互いに対向していない非対向の側面)にそれぞれ設けることもできる。固体電池積層体の複数の面のうち互いに異なる非対向の側面であって、互いに連続している隣接の側面に対して正極外部端子と負極外部端子とが別個に設けられ得るともいえる。このように、本発明の活物質輪郭部・非活物質輪郭部というものは、外部端子のユニークな配置構成に寄与し、より汎用性の高い固体電池がもたらされ得る。
【0041】
図4で示される平面視でいえば、正極外部端子は、参照番号140の正極側の活物質輪郭部に設けるのに対して、負極外部端子は、参照番号240で示される負極側の活物質輪郭部であればいずれの箇所に対しても設けることができる。つまり、平面視輪郭を成す辺でいえば、参照番号240Iの辺における活物質輪郭部に限らず、他の平面視輪郭を成す3つ辺における活物質輪郭部(参照番号240II,240III、240IVのいずれか)に設けることができる。
【0042】
図2の上側図に示す形態から分かるように、本発明の固体電池では、固体電池積層体500が直方体の全体形状を有していてよい。ここでいう「直方体」とは、完全な直方体に限らず、それに基づき変更されたとみなせる略直方体の立体的形状も含め広く解釈され得る。例えば、「直方体」は、その幾何学形状として完全な直方体に限らず、立方体も含んでおり、更にはそのような直方体形状または立方体形状が部分的に欠けていたり変形していたりする場合でも大きく捉えると直方体または立方体の概念に依然含めることができる形状も含んでいる。説明の便宜上、以下では「直方体」を「略直方体」とも称して説明する。
【0043】
固体電池積層体がそのような略直方体の全体形状を有する場合、本発明の固体電池は、正極外部端子および負極外部端子を“直方体”のいずれの側面に対しても設けることができる構成を有している。つまり、外部端子の配置の点で設計自由度が高い構成となっている。図2および図3の例示形態では、そのような比較的自由な外部端子の設計における一態様として外部端子がある側面に対して纏めて配置されている。具体的には、略直方体の1つの側面に相当する“同一側面”510に正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとの双方が横並びで互いに近位に設けられている。例えば、固体電池積層体において最も面積が大きい主面(図1に示す固体電池積層体でいえば、その上面および/または下面を成す面)よりも小さい面積を有する側面に対して正極側と負極側の双方の外部端子が位置付けられてよい。
【0044】
ある好適な態様では、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられており、正極層および負極層の他方の非活物質輪郭領域が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられている。つまり、例えば、正極層において、その活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられる一方、負極層において、その非活物質輪郭領域が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられている。あるいは、負極層において、その活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられる一方、正極層において、その非活物質輪郭領域が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも2つの辺に設けられている。図面を用いて説明すると、本態様は、正極層および負極層における電池積層体の平面視が例えば図5~10に示すような形態を有し得る。
【0045】
図5では、負極層200について活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺(550I~550IV)のうち、550I、550IIおよび550IIIの辺に対して設けられており、正極層100について非活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺(550I~550IV)のうち550I、550IIおよび550IIIの辺に対して設けられている。かかる場合、負極外部端子は、上記辺550I、550IIおよび550IIIのいずれの活物質輪郭部に設けることができ、正極外部端子は、非活物質輪郭部以外に相当する輪郭部に対して設けることができる。同様にして、図6では、負極層200について活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち550Iおよび550IVの辺に対して設けられており、正極層100について非活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち550Iおよび550IVの辺に対して設けられている。かかる場合、負極外部端子は、上記辺550Iおよび550IVのいずれの活物質輪郭部に設けることができ、正極外部端子は、非活物質輪郭部以外に相当する輪郭部に対して設けることができる。図7では、負極層200について活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち550I、550IIIおよび550IVの辺に対して設けられており、正極層100について非活物質輪郭部が電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうち550I、550IIIおよび550IVに対して設けられている。かかる場合、負極外部端子は、上記辺550I、550IIIおよび550IVのいずれの活物質輪郭部に設けることができ、正極外部端子は、非活物質輪郭部以外に相当する輪郭部に対して設けることができる。その他の図8~10の形態も同様となる。
【0046】
本発明では、図11に示す例示形態も考えられる。図示される形態では、負極層200について電池積層体の平面視輪郭を成す辺のうちの1つの辺(550I)に活物質輪郭部240が設けられている。よって、このような形態も考慮すると、本発明では、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも1つの辺に設けられていてよく、正極層および負極層の他方の非活物質輪郭領域が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺から選択される少なくとも1つの辺に設けられていてよいといえる。このような事項も含め、本発明では正極および負極の外部端子が比較的自由な配置構成を取ることができる。
【0047】
さらにいえば、本発明では、図12に示す例示形態も考えらる。図示される形態では、負極層200について電池積層体の平面視輪郭を成す4つの辺550I、550II、550IIIおよび550IVに活物質輪郭部240が設けられており、正極層100について電池積層体の平面視輪郭を成す4つの辺550I、550II、550IIIおよび550IVに非活物質輪郭部160が設けられている。よって、かかる形態も考慮すると、本発明では、正極層および負極層の一方の活物質輪郭部が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺について全ての辺に設けられていてよく、正極層および負極層の他方の非活物質輪郭領域が、電池積層体の平面視輪郭を成す辺について全ての辺に設けられていてよいといえる。このような事項も含め、本発明では正極および負極の外部端子の比較的自由な配置構成を取ることができる。
【0048】
なお、上記で参照した図5図12から分かるように、“活物質輪郭部”は、電池積層体の平面視輪郭を成す辺に設けられているところ、その辺の全ての部分を満たすように活物質輪郭部が設けられていよく、あるいは、それに限らず対象となる辺の少なくとも一部を満たすように活物質輪郭部が設けられていてよい。同様にして、“非活物質輪郭部”は、電池積層体の平面視輪郭を成す辺に設けられているが、その辺の全ての部分を満たすように非活物質輪郭部が設けられていてよく、あるいは、それに限らず対象となる辺の少なくとも一部を満たすように非活物質輪郭部が設けられていてよい。また、“活物質輪郭部”は、電池積層体の平面視輪郭を成す辺において隣接する辺同士で連続していてもよい。同様に、“非活物質輪郭部”も、電池積層体の平面視輪郭を成す辺において隣接する辺同士で連続していてもよい。
【0049】
また、本発明の固体電池では、上述したように、正極層と負極層との間で第1の輪郭部が対向する面と、第2の輪郭部が対向する面とは互いに異なっていてよい。例えば、図12を1つ例として取ると、負極層200の第1の活物質輪郭部240と正極層100の第1の非活物質輪郭部160とが対向している面は“辺550II~IVのいずれかの面”になるところ、負極層200の第2の非活物質輪郭部260と正極層100の第2の活物質輪郭部140とが対向している面は“辺550Iの面”となっている。
【0050】
ある好適な態様では、電極層は活物質領域に狭窄部を有している。より具体的には、正極層100は平面視輪郭を成す辺に向かって狭窄する狭窄形状を有していてよく、同様に負極層200も負極活物質領域が平面視輪郭を成す辺に向かって狭窄する狭窄形状を有していてよい(図2~4参照)。換言すれば、正極層100は、平面視輪郭を成す辺に向かって正極活物質領域110が狭窄している正極狭窄部115を好ましくは有しており、同様にして負極層200も、平面視輪郭を成す辺に向かって負極活物質領域220が狭窄している負極狭窄部225を好ましくは有している(図4の上側図参照)。
【0051】
このような電極狭窄部が設けられると、正極側と負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一側面に位置付けられることを可能とする構成を取り易くなる。なぜなら、正極狭窄部および負極狭窄部は、電池積層体では積層方向に互いに非対向となるので、“同一側面の配置”であっても正極外部端子と負極外部端子とのショートが好適に防止され得るからである。例えば、図2および図3に示される形態では、正極外部端子400Aと負極外部端子400Bとが互いに横並びとなるように固体電池積層体の同一側面に位置付けられている。正極引き出し部400A’と負極引き出し部400B’とが互いに横並び又は近位に配置されているともいえる(図3参照)。
【0052】
同一側面に正極外部端子と負極該端子を設ける場合、特に表面実装の用途において有利な効果が奏され得る。具体的には、正極側および負極側の双方の外部端子が固体電池積層体の同一側面に位置付けられた本発明の固体電池は、プリント配線板またはマザーボードなどの基板への実装により適した電池となる。特に、双方の外部端子が設けられた“同一側面”を実装側の面として電池を表面実装すると、固体電池の膨張による不都合な影響が回避され得る。基板に実装された固体電池は、充放電および/または熱膨張などに起因した膨張があると、基板と接触又は衝突して故障を引き起こし得るところ、本発明では、そのような不都合な接触又は衝突が回避されている。双方の外部端子が設けられた“同一側面”が実装側の面となって実装される場合、すなわち、当該側面が全体的に最も基板に近づく面として最近位な面となる場合、固体電池(特に固体電池積層体500)と基板600との対向方向に直交する方向に膨張が生じることになるからである(図13参照)。
【0053】
なお、図13に示すように、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々は、当該外部端子が設けられている面に連続する他の面にまで及ぶように設けられていなくてよい。図13に示す態様でいえば、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、それが設けられている側面と当該側面に連続する主面(例えば、固体電池積層体の対向する両主面の各々)との間の境界エッジにおいて終端している。このような場合、連続する他の面にまで外部端子が長く延びていないので、全体として固体電池の低背化または小型化などを図り易くなる。
【0054】
ここで、非活物質輪郭部について詳述しておく。非活物質輪郭部は、電池積層体の平面視において、その輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない領域である。つまり、かかる非活物質輪郭部によって、電池積層体の周縁部には非活物質領域がもたらされている。非活物質領域は、典型的には絶縁性を有する領域である。より具体的には、非活物質領域は、少なくとも電子絶縁性を有していることが好ましい。非活物質領域の材料としては、固体電池の“非活物質”として常套的に用いられている材料を用いてよく、例えば樹脂材、ガラス材および/またはセラミック材などを含んで成るものであってよい。所望の電子絶縁性が担保されていれば、非活物質領域は、その材質として固体電解質材を付加的に含んでいてもよい。電極狭窄部が設けられる場合、図14に示すように、正極層において正極狭窄部115の周囲の部分170は、正極活物質が設けられていない非活物質領域に相当する。同様にして、負極層において負極狭窄部225の周囲の部分270は、負極活物質が設けられていない非活物質領域に相当する。焼成によって製造する観点でいえば、非活物質領域は、焼結体の形態を有していてよい。あくまでも例示にすぎないが、非活物質領域部に含まれる材質としては、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、ホウケイ酸バリウム系ガラス、ホウ酸ビスマス亜鉛系ガラス、ビスマスケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、アルミノリン酸塩系ガラス、および、リン酸亜鉛系ガラスから成る群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。また、非活物質領域部に含まれるセラミック材としては、特に限定されるものではないが、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、炭化ケイ素およびチタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。なお、図14から分かるように、非活物質領域(170,270)は、その形態ゆえ“余白部”または“ネガ部”などと称すこともできる。例えば、平面視において非活物質領域(余白部/ネガ部)の幅寸法は、0.2mm~0.8mm程度であってよく、好ましくは0.3mm~0.6mm程度である。
【0055】
図示されるような平面視において、本発明の固体電池は、負極活物質領域と正極活物質領域との面積が互いに異なっていてよい。例えば、負極活物質領域の平面視面積は、正極活物質領域の平面視面積よりも大きくてよく、それによって、いわゆるデンドライト発生等の不都合な事象をより抑制できる。例えば図11を参照して説明すると、負極層200において負極狭窄部225の周囲のネガ部に相当する非活物質領域270の幅寸法は、正極層100において正極狭窄部115の周囲のネガ部に相当する非活物質領域170の幅寸法よりも小さくてよい。負極活物質領域110の相対的に大きな平面視面積に効果的に寄与するからである。
【0056】
図12に示す例示形態は、そのように負極活物質領域220の平面視面積が正極活物質領域110の平面視面積よりも大きくなっているが、この形態は、負極層200につき負極狭窄部225が設けられている辺550I以外の辺(すなわち、550II、550IIIおよび550IVの3つの辺)の全ての部分が活物質輪郭部となっているので、電池容量の点で好ましい。したがって、図12に示される構成を有する固体電池では、デンドライト発生等の不都合な事象を抑制しつつも、電池容量の増加が図り易くなっている。そして、この図12に示される構成を有する固体電池は、外部端子の配置の点につき、正極外部端子は、正極狭窄部115に接して設けるものの、負極外部端子は、4つの辺(550I、550II、550IIIおよび550IV)のいずれの活物質輪郭部にも設けることができる。つまり、負極外部端子は、図示される240I、240II、240IIIおよび240IVのいずれの活物質輪郭部に対しても設けることができる。このような観点に依拠すると、本発明に係る固体電池は、特に負極外部端子の設置自由度が高い、すなわち、負極引き出し自由度が高い構成を有しているともいえる。
【0057】
本発明は種々の態様で具現化できる。以下それについて説明する。
【0058】
(短延在の外部端子の態様)
本態様は、外部端子が相対的に短く設けられた態様である。上述の固体電池で参照した図1および図2では、外部端子400が“同一側面”から部分的にはみ出すように設けられている。例えば図2を参照すると分かるように、上述の固体電池では、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、“同一側面”510を介して固体電池積層体500の対向する主面にまで延在している。これに対して、本態様に従った固体電池は、図13に示すように、正極外部端子400Aおよび負極外部端子400Bの各々が、“同一側面”510にのみ位置付けられており、固体電池積層体500の主面にまでは延在していない。
【0059】
本態様の固体電池は、主面にまで外部端子が長く延びていないので、全体として固体電池の低背化または小型化などを図ることができる(図13の上側図参照)。また、本発明の固体電池が図13の下側図に示す如く表面実装されるSMD(Surface Mount Device)タイプの固体電池となる場合、基板と固体電池との間にのみ外部端子が位置付けられることになる。よって、主面にまで外部端子が延びていない場合、実装された固体電池は他の電子部品との間で非所望な相互作用を引き起こしにくくなり、より信頼性の高い固体電池がもたらされ得る。表面実装される固体電池の場合、固体電池は基板に実装できるサイズを有していてよい。例えば、基板に実装される他の電子部品(例えば、能動素子および/または受動素子)と同等のサイズを有していてよい。あくまでも1つの例示にすぎないが、直方体状の固体電池積層体の少なくとも1つの辺寸法が1cm未満となっていてもよい。
【0060】
(電極狭窄部の幅寸法関係に関する態様)
本態様は、電極狭窄部の幅寸法関係に特徴を有する態様である。特に正極狭窄部および負極狭窄部の相対的な幅寸法関係に特徴を有する態様である。具体的には図15に示すように、正極狭窄部115の幅寸法が負極狭窄部225の幅寸法よりも大きくなっている。つまり、図示する電極の平面視において、正極狭窄部115の幅寸法を「Wa」とし、負極狭窄部225の幅寸法を「Wb」とすると、Wa>Wbとなっている。
【0061】
このような電極狭窄部の幅寸法関係の態様は、電極の電子伝導性の点でより好適になり得る。具体的には、材質的な点で正極層が負極層よりも電子伝導性が低い場合があるが、そのような場合には正極狭窄部の幅寸法が負極狭窄部の幅寸法よりも大きくなることで、正極層の電子導電性を向上させ易くなる。
【0062】
[固体電池の製造方法]
本発明の固体電池は、正極層、負極層、およびそれらの電極間に固体電解質層を有する固体電池積層体を作製するプロセスを通じて得ることができる。
【0063】
固体電池積層体は、スクリーン印刷法等の印刷法、グリーンシートを用いるグリーンシート法、またはそれらの複合法により製造することができる。つまり、固体電池積層体は、常套的な固体電池の製法に準じて作製することができる。よって、下記で説明する固体電解質、有機バインダー、溶剤、任意の添加剤、正極活物質、負極活物質などの原料物質は、既知の固体電池の製造で用いられるものを採用してよい。
【0064】
以下では、本発明のより良い理解のために、ある1つの製法を例示説明するが、本発明は当該方法に限定されない。また、以下の記載順序など経時的な事項は、あくまでも説明のための便宜上のものにすぎず、必ずしもそれに拘束されるわけではない。
【0065】
(積層体ブロック形成)
・固体電解質、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合してスラリーを調製する。次いで、調製されたスラリーからシート成形によって、焼成後の厚みが例えば5μm~50μm程度のシートを得る。当該シートは、最終的には固体電池積層体において固体電解質層を成すことになる。
・正極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して正極用ペーストを作成する。同様にして、負極活物質、固体電解質、導電助剤、有機バインダー、溶剤および任意の添加剤を混合して負極用ペーストを作成する。ここで用いる有機バインダー、溶剤および添加剤などは、固体電池の製造に常套的に用いられるものを利用してよい。
・シート上に正極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層を印刷する。正極用ペーストから得られる正極活物質領域の前駆体は、それが狭窄形状を有するように印刷形成されることが好ましい。また、正極層の周囲の“余白部”については、絶縁性ペーストの印刷により、その前駆体を得ることが好ましい。このような形態については例えば図14の下側図を参照されたい。
・同様にして、シート上に負極用ペーストを印刷し、また、必要に応じて集電層を印刷する。負極用ペーストから得られる負極活物質領域の前駆体は、それが狭窄形状を有するように印刷形成されることが好ましい。また、負極層の周囲の“余白部”については、絶縁性ペーストの印刷により、その前駆体を得ることが好ましい。このような形態については例えば図14の下側図を参照されたい。
・正極用ペーストを印刷したシート(即ち、正極層の前駆体)と、負極用ペーストを印刷したシート(即ち、負極層の前駆体)とを交互に積層して積層体を得る。なお、積層体の最外層(最上層および/または最下層)についていえば、それが固体電解質層となる若しくは絶縁層となるものでよく、あるいは、電極層となるものでもよい。
【0066】
なお、正極層の前駆体では、その平面視輪郭に至るまで正極用ペーストが設けられている輪郭部と、平面視輪郭に至るまで正極用ペーストが設けられていない輪郭部とを形成しておくことが好ましい。例えば印刷法でそのような正極前駆体の形成を行うことができる。平面視輪郭に至るまで正極用ペーストが設けられている輪郭部は、最終的に固体電池積層体にて「平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」となり、平面視輪郭に至るまで正極用ペーストが設けられていない輪郭部は、最終的に固体電池積層体にて「平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」となる。同様にして、負極層の前駆体でも、その平面視輪郭に至るまで負極用ペーストが設けられている輪郭部と、平面視輪郭に至るまで負極用ペーストが設けられていない輪郭部とを形成しておくことが好ましい。例えば印刷法でそのような負極前駆体の形成を行うことができる。平面視輪郭に至るまで負極用ペーストが設けられている輪郭部は、最終的に固体電池積層体にて「平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部」となり、平面視輪郭に至るまで負極用ペーストが設けられていない輪郭部は、最終的に固体電池積層体にて「平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部」となる。正極層の前駆体は複数用いてよいが、その複数の正極層の前駆体においては、互いに平面視輪郭の同じ箇所に活物質輪郭部および非活物質輪郭部が位置するように形成しておくことが好ましい。同様に、負極層の前駆体は複数用いてよいが、その複数の負極層の前駆体においては、互いに平面視輪郭の同じ箇所に活物質輪郭部および非活物質輪郭部が位置するように形成しておくことが好ましい。つまり、それらを積層させて最終的に固体電池積層体を得るに際しては、複数の正極層の活物質輪郭部と複数の負極層の活物質輪郭部とが互いに積層方法で対向しないような位置関係を有するように、正極層および負極層のそれぞれの前駆体を形成することが好ましい。これは、固体電池積層体とした際に正極層の活物質輪郭部と負極層の非活物質輪郭部とが互いに積層方向で対向する位置関係となるように、および/または、正極層の非活物質輪郭部と負極層の活物質輪郭部とが互いに積層方向で対向する位置関係となるように、正極層および負極層のそれぞれの前駆体を形成しておくことが好ましいことを意味する。
【0067】
(電池焼結体形成)
得られた積層体は圧着一体化させた後、積層体を脱脂および焼成に付す。これにより、焼結された固体電池積層体を得る。なお、必要に応じてカット処理に付してよい(かかるカット処理は、脱脂および/または焼成の前に行ってよく、あるいは、脱脂および/または焼成の後に行ってもよい)。
【0068】
(外部端子の形成)
正極側の外部端子は、例えば、焼結積層体における正極露出側面(特に、正極側の“活物質輪郭部”)に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成できる。同様にして、負極側の外部端子は、例えば、焼結積層体における負極露出側面(特に、負極側の“活物質輪郭部”)に対して導電性ペーストを塗布することを通じて形成してよい。かかる塗布自体は、常套的な手法を利用してよい。別法にて、所定の金属部材を貼り付けるように配置することで外部端子を設けてもよい。このような外部端子の主材質としては、銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズおよびニッケルから選択される少なくとも一種から選択され得る。
【0069】
なお、正極側および負極側の外部端子は、積層体の焼結後に形成することに限らず、焼成前に形成し、同時焼結に付してもよい。
【0070】
以上の如くの工程を経ることによって、最終的に所望の固体電池積層体を得ることができる。本発明の固体電池は、固体電池積層体そのものであってよいものの、必要に応じて固体電池積層体の表面に付加的な保護被膜などを形成したり、あるいは、適当な外装体に封入することなどの付加的な処理により得られ得る。このような付加的な保護被膜または付加的な処理自体は、常套的なものであってよい。
【0071】
このような本発明の製造方法は、以下の態様を有し得ることを確認的に述べておく。

第1態様:固体電池の製造方法であって、
正極活物質を有する正極層、負極活物質を有する負極層、および該正極層と該負極層との間に介在する固体電解質層を有する固体電池積層体を形成すること
を含み、
固体電池積層体では、前記正極層および前記負極層の一方において前記固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている活物質輪郭部と、該正極層および該負極層の他方において前記平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない非活物質輪郭部とを積層方向で互いに対向させており、
正極外部端子および負極外部端子の一方が、前記平面視輪郭のうちで、前記互いに対向させている箇所に対して位置付けられるように選択的に配置される。

第2態様:前記正極層および前記負極層の前記他方において前記固体電池積層体の平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられている第2の活物質輪郭部と、該正極層および該負極層の前記一方において前記平面視輪郭に至るまで電極活物質が設けられていない第2の非活物質輪郭部とが積層方向で互いに対向しており、
正極外部端子および負極外部端子の他方が、前記平面視輪郭のうちで、前記第2に関して前記互いに対向させている箇所に対して位置付けられるように選択的に配置される。
このような態様ゆえ、本発明の製造方法においては正極および負極の外部端子の配置の点で比較的制約が少なく、それらを比較的自由に配置できる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0073】
例えば、上記説明で参照した図においては、電極層に集電層が含まれる形態となっていないが、本発明はそれに限定されない。電池反応に起因して活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する層として集電層を付加的に設けてもよい。つまり、正極層に対して正極集電層を設けたり、および/または、負極層に対して負極集電層を設けたりしてよい。例えば、負極層には集電層を設けない一方、正極層にのみ集電層(すなわち、正極集電層)を設けてよい。このように集電層を設ける場合、集電層が狭窄部を成すようになっていてよい。例えば、正極層に正極集電層が設けられる場合、図16に示すように正極集電層の部分115’が固体電池積層体の平面視輪郭へと突出するような平面視形態となることで正極狭窄部がもたらされてよい。
【0074】
例えば、上記説明で参照した図において、電極狭窄部は、その輪郭が角張った形態を有しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、狭窄部の輪郭は、直線状であることに限らず、曲線状であってよく、あるいは、そのような曲線状の部分を一部に含むものであってもよい。図17に示すように、平面視において、狭窄部の輪郭コーナー(118,228)に部にRが付けられているかRが付けられていてもよい。かかる場合、その輪郭コーナーでの不都合な応力集中を減じることができるといった効果が奏され得る。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る固体電池は、電池使用または蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の固体電池は、エレクトロニクス実装分野で用いることができる。また、モバイル機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイスなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などにも本発明の固体電池を利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
100 正極層
110 正極活物質領域
115 正極狭窄部
118 狭窄部の輪郭コーナー
140 活物質輪郭部(第2の活物質輪郭部)
160 非活物質輪郭部
170 非活物質領域(正極側)
200 負極層
220 負極活物質領域
225 負極狭窄部
228 狭窄部の輪郭コーナー
240 活物質輪郭部
240I 活物質輪郭部
240II 活物質輪郭部
240III 活物質輪郭部
240IV 活物質輪郭部
260 非活物質輪郭部(第2の非活物質輪郭部)
270 非活物質領域(負極側)
300 固体電解質層
400 外部端子
400A 正極外部端子
400A’正極引き出し部
400B 負極外部端子
400B’負極引き出し部
500 固体電池積層体
510 同一側面
550I~IV 固体電池積層体の平面視輪郭
600 基板
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