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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/02 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
B66B31/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022195416
(22)【出願日】2022-12-07
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富永 保介
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-193319(JP,A)
【文献】特開2021-147151(JP,A)
【文献】特開2017-100816(JP,A)
【文献】特開2022-103628(JP,A)
【文献】特開2022-118778(JP,A)
【文献】特開2022-129084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028228(US,A1)
【文献】国際公開第2022/064638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する手摺ベルトと、
走行中の前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、
前記光源を、第1位置と、前記第1位置よりも前記手摺ベルトから離れた第2位置との間で移動させる移動機構と、
前記手摺ベルトの走行、前記光源の点灯、及び前記移動機構の駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記手摺ベルトを停止させたときに前記光源が前記第2位置に位置するように、前記移動機構の駆動を制御する、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記移動機構は、通電時に前記光源を前記第1位置に保持し、非通電時に前記光源を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる駆動手段を備える、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記光源が前記第1位置から前記第2位置へ移動したとき、前記光源と前記手摺ベルトとの間に挿入される断熱部材をさらに備える、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記光源を前記第1位置から前記第2位置へ向かって付勢する弾性部材をさらに備える、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記光源を消灯し、前記光源の表面温度が所定温度以下に低下するまで前記手摺ベルトを走行させた後に、前記手摺ベルトを停止させる、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項6】
走行する手摺ベルトと、
走行中の前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、
前記手摺ベルトの走行及び前記光源の点灯を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記光源を消灯し、前記光源の表面温度が所定温度以下に低下するまで前記手摺ベルトを走行させた後に、前記手摺ベルトを停止させる、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、走行する手摺ベルトと、手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源とを備えている(例えば、特許文献1)。ところで、光源は、紫外線を照射することによって、発熱する。例えば、光源として高出力の深紫外線LEDや水銀ランプを使用する場合、光源の表面温度が100℃程度まで上昇することもある。そのため、光源が高温であるときに、マンコンベヤが停止し、手摺ベルトが走行しない場合、例えば、手摺ベルトが高温に晒され、劣化したり溶け出したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-193319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、手摺ベルトに向けて紫外線を照射する光源の熱によって手摺ベルトが損傷することを低減できるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マンコンベヤは、走行する手摺ベルトと、
走行中の前記手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、
前記光源を、第1位置と、前記第1位置よりも前記手摺ベルトから離れた第2位置との間で移動させる移動機構と、
前記手摺ベルトの走行、前記光源の点灯、及び前記移動機構の駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記手摺ベルトを停止させたときに前記光源が前記第2位置に位置するように、前記移動機構の駆動を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るマンコンベヤの概要図
図2】同実施形態に係るマンコンベヤの要部図
図3】同実施形態に係る光源が第1位置にある状態を示す要部図
図4】同実施形態に係る光源が第2位置にある状態を示す要部図
図5】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
図6】別実施形態に係る光源が第1位置にある状態を示す要部図
図7】別実施形態に係る光源が第2位置にある状態を示す要部図
図8】別実施形態に係る光源が第1位置にある状態を示す要部図
図9】別実施形態に係る光源が第1位置にある状態を示す要部図
図10】別実施形態に係る光源が第2位置にある状態を示す要部図
図11】別実施形態に係る光源が第1位置にある状態を示す要部図
図12】別実施形態に係る光源が第2位置にある状態を示す要部図
【発明を実施するための形態】
【0007】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0008】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0009】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対の欄干部4(各図において、一つのみを図示している)と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、制御装置6とを備えていてもよい。
【0011】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0012】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0013】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとすることができる。
【0014】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0015】
欄干部4は、例えば、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bとを備えていてもよい。そして、欄干本体部4bは、例えば、下部に、パネルに覆われることによって内部空間を有するガード部4cを備えていてもよい。
【0016】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源(例えば、モータ)5aと、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられ、第1横方向D1を軸にして回転する一対の第1回転部5b,5bと、手摺ベルト4aが巻き掛けられ、第1横方向D1を軸にして回転する第2回転部5cと、駆動源5aの駆動を第1回転部5b及び第2回転部5cに伝達する伝達部5dとを備えていてもよい。
【0017】
これにより、走行部3a及び手摺ベルト4aは、共通の駆動源5aからの駆動を受けることによって、走行している。したがって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期している。そして、手摺ベルト4aの走行速度は、ステップ3bの走行速度に比例している(具体的には、ステップ3bの走行速度と同じである)。
【0018】
マンコンベヤ1は、人を検出する人検出部7を備えていてもよい。人検出部7の設置場所は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、人検出部7は、欄干部4の内部、具体的には、ガード部4cの内部に配置されていてもよい。
【0019】
人検出部7は、マンコンベヤ1に乗る人を検出するために、例えば、人が乗る乗り口1aに人が存在するか否かを検出してもよい。なお、人検出部7の構成は、特に限定されないが、人検出部7は、例えば、本実施形態のように、光電センサとしてもよく、また、例えば、上方及び側方から撮像するカメラとしてもよく、また、例えば、下方から人の荷重を検出するロードセルとしてもよい。
【0020】
図2に示すように、マンコンベヤ1は、手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する光源8を備えている。光源8の設置場所は、特に限定されない。例えば、本実施形態のように、光源8は、欄干部4の内部、具体的には、ガード部4cの内部に配置されていてもよい。
【0021】
また、光源8は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2に対して傾斜する部分の手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射してもよい。そして、紫外線が手摺ベルト4aを照射することによって、手摺ベルト4aを除菌することができる。なお、光源8の構成は、特に限定されないが、例えば、LEDとしてもよく、また、例えば、冷陰極管や水銀ランプとしてもよい。特に限定されないが、光源8から照射される紫外線は、例えば、波長が100nm~280nmの紫外線である。
【0022】
図3及び図4に示すように、マンコンベヤ1は、光源8を手摺ベルト4aに対して進退させる移動機構80を備えている。移動機構80は、光源8を、第1位置P1(図3に示す位置)と、第1位置P1よりも手摺ベルト4aから離れた第2位置P2(図4に示す位置)との間で移動させる。第1位置P1において、光源8と手摺ベルト4aとの間の距離は、例えば、5~15mmであり、第2位置P2において、光源8と手摺ベルト4aとの間の距離は、例えば、20~30mmである。
【0023】
移動機構80によって光源8を第1位置P1に移動させることで、光源8が手摺ベルト4aに近付くため、光源8の紫外線によって手摺ベルト4aを効果的に除菌することができる。一方、移動機構80によって光源8を第2位置P2に移動させることで、光源8が手摺ベルト4aから遠ざかるため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを低減することができる。なお、本明細書において、手摺ベルト4aが損傷するとは、高熱により溶け出すような形状が変化する場合のみならず、形状は変化せずに劣化するような場合も含む。
【0024】
移動機構80は、通電時に光源8を第1位置P1に保持し、非通電時に光源8を第1位置P1から第2位置P2へ移動させる駆動手段81を備えている。駆動手段81は、例えば、構造体2に固定される。なお、駆動手段81の構成は、特に限定されないが、駆動手段81は、例えば、本実施形態のように、通電時にプランジャが前進し、非通電時にプランジャが後退するプッシュ式のソレノイドアクチュエータとしてもよい。
【0025】
移動機構80は、駆動手段81と光源8との間にリンク機構82を備えていてもよい。リンク機構82は、駆動手段81によって駆動されることによって、光源8を第1位置P1と第2位置P2との間で移動させる。リンク機構82の構成は、特に限定されないが、リンク機構82は、例えば、本実施形態のように、光源8を昇降させるX状のリンクとしてもよい。
【0026】
図5に示すように、マンコンベヤ1は、各種情報が入力される入力部9と、各種情報が出力される出力部10とを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、入力部9に入力される情報として、運転モード情報(手動運転選択、自動運転選択)、運転指示情報(運転開始指示、運転停止指示)、ステップ走行方向情報(上側搬送選択、下側搬送選択)、ステップ走行速度(定格速度運転選択、低速度運転選択)等としてもよい。
【0027】
また、特に限定されないが、入力部9は、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等とすることができる。また、特に限定されないが、出力部10は、例えば、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)、表示部(例えば、表示板、表示灯)等とすることができる。
【0028】
制御装置6は、例えば、本実施形態のように、各情報(データ)を取得する取得部11と、各情報を記憶する記憶部12と、各情報を判定する判定部13と、各部5,8,10,80を制御する制御部14とを備えていてもよい。
【0029】
制御装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、制御装置6の各部11,12,13,14は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0030】
なお、制御装置6は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、判定部13、制御部14)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部11、記憶部12)、各種インターフェイス(例えば、取得部11)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、制御装置6の各部11,12,13,14が実現されている。
【0031】
判定部13は、例えば、本実施形態のように、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定する有人判定部13aと、光源8の表面温度が所定温度以下となっているか否かを判定する温度判定部13bとを備えていてもよい。
【0032】
制御部14は、例えば、本実施形態のように、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行を制御するために、駆動部5を制御する駆動制御部14aと、光源8の点灯を制御する光源制御部14bと、移動機構80の駆動を制御する移動制御部14cと、出力部10を制御する出力制御部14dとを備えていてもよい。
【0033】
有人判定部13aは、例えば、人検出部7の検出に基づいて、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定してもよい。特に限定されないが、例えば、人検出部7が人を検出した場合に、有人判定部13aは、乗る人が存在する(有人)と判定し、人検出部7が最後に人を検出した後に、所定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、有人判定部13aは、乗る人が存在しない(無人)と判定する、という構成でもよい。
【0034】
温度判定部13bは、例えば、光源8を消灯した後、設定時間が経過した場合に、光源8の表面温度が所定温度以下であると判定してもよい。この所定温度とは、手摺ベルト4aが損傷を受けない(受けにくい)温度である。光源8を消灯した後に表面温度が所定温度以下となるまでの設定時間は、例えば、記憶部12に記憶されている。また、この設定時間の長さは、光源8の点灯時間やマンコンベヤ1の稼働時間の長さに基づいて、不図示の演算部によって適宜演算されてもよい。
【0035】
また、温度判定部13bは、例えば、光源8を消灯した後、不図示の温度センサで測定された光源8の表面温度に基づいて、光源8の表面温度が所定温度以下であると判定する、という構成でもよい。
【0036】
駆動制御部14aは、例えば、自動運転制御中において省エネルギーを図る等を目的として、有人判定部13aの判定に基づいて、駆動部5を制御してもよい。これにより、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度は、有人判定部13aの判定に基づいて、制御される。
【0037】
例えば、本実施形態においては、有人判定部13aが有人と判定した場合に、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度が第1速度(例えば、定格速度)である第1速度状態となり、有人判定部13aが無人と判定した場合に、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度が第1速度よりも遅い第2速度(例えば、低速度)である第2速度状態となる。
【0038】
なお、第1速度は、一つの速度に限られない。例えば、第1速度は、複数の速度を有し、マンコンベヤ1に乗る人の多さ等に基づいて、変更されてもよい。また、第2速度は、一つの速度に限られない。例えば、第2速度は、複数の速度を有し、時間等に基づいて、変更されてもよい。なお、第2速度は、0m/s以上の速度である。即ち、第2速度状態は、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止した状態を含む。
【0039】
移動制御部14cは、例えば、手摺ベルト4aの走行状態に合わせて、移動機構80の駆動を制御する。移動制御部14cは、手摺ベルト4aが走行している場合、光源8が第1位置P1となるように移動機構80の駆動を制御する。移動制御部14cは、手摺ベルト4aが走行している場合、例えば、駆動手段81に通電する。一方、移動制御部14cは、手摺ベルト4aが停止している場合、光源8が第2位置P2となるように移動機構80の駆動を制御する。移動制御部14cは、手摺ベルト4aが停止している場合、例えば、駆動手段81への通電を遮断する。
【0040】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の制御について説明する。
【0041】
ステップ3b及び手摺ベルト4aが走行しているとき、光源8は、第1位置P1に位置し、手摺ベルト4aに向けて紫外線を照射している。そして、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止したときに、光源8は、第1位置P1から第2位置P2へ移動する。手摺ベルト4aが停止したときに、光源8が第1位置P1から第2位置P2へ移動することで、光源8が手摺ベルト4aから遠ざかるため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを低減できる。
ここで、ステップ3b及び手摺ベルト4aの停止には、入力部9への運転停止指示の入力による手動停止、不図示の安全装置作動時の緊急停止、自動運転制御による自動停止等が含まれる。
【0042】
なお、光源8は、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止するのと同時に、消灯するようにしてもよいが、これに限定されない。例えば、光源8は、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止した後、しばらくして消灯するようにしてもよい。
【0043】
また、例えば、光源8は、ステップ3b及び手摺ベルト4aが停止するより前に、消灯するようにしてもよい。例えば、制御装置6が停止指令を受けたとき、まず初めに光源8が消灯し、光源8の表面温度が所定温度以下に低下してから、ステップ3b及び手摺ベルト4aは、停止するようにしてもよい。これにより、手摺ベルト4aが、同じ箇所に光源8の高熱を受け続けることがないため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを効果的に低減できる。
【0044】
[1]
以上より、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、走行する手摺ベルト4aと、走行中の前記手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する光源8と、前記光源8を、第1位置P1と、前記第1位置P1よりも前記手摺ベルト4aから離れた第2位置P2との間で移動させる移動機構80と、前記手摺ベルト4aの走行、前記光源8の点灯、及び前記移動機構80の駆動を制御する制御装置6と、を備え、前記制御装置6は、前記手摺ベルト4aを停止させたときに前記光源8が前記第2位置P2に位置するように、前記移動機構80の駆動を制御する、という構成が好ましい。
【0045】
斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが停止したときに、光源8が手摺ベルト4aから遠い第2位置P2へ移動するため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを低減できる。
【0046】
なお、本明細書において、「手摺ベルト4aを停止させたとき」とは、以下(1)~(5)のタイミングをすべて含む。
(1)手摺ベルト4aの走行停止を開始する所定時間(例えば、1~2秒)前から、走行停止を開始するまで
(2)手摺ベルト4aの走行停止を開始した瞬間
(3)手摺ベルト4aの走行停止が開始した後で、手摺ベルト4aの走行が完全に停止する前の間
(4)手摺ベルト4aの走行が完全に停止した瞬間
(5)手摺ベルト4aの走行が完全に停止した後、所定時間(例えば、1~2秒)経過するまで
【0047】
[2]
また、上記[1]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記移動機構80は、通電時に前記光源8を前記第1位置P1に保持し、非通電時に前記光源8を前記第1位置P1から前記第2位置P2へ移動させる駆動手段(本実施形態においては、ソレノイド)81を備える、という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、例えば停電時であっても、駆動手段81への通電が遮断されることで光源8は第1位置P1から第2位置P2へ移動することができるため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを確実に低減できる。
【0049】
[3]
また、上記[1]又は[2]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記制御装置6は、前記光源8を消灯し、前記光源8の表面温度が所定温度以下に低下するまで前記手摺ベルト4aを走行させた後に、前記手摺ベルト4aを停止させる、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを効果的に低減できる。
【0051】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0052】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、移動機構80は、通電時に光源8を第1位置P1に保持し、非通電時に光源8を第1位置P1から第2位置P2へ移動させる駆動手段(本実施形態においては、ソレノイド)81を備える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、駆動手段81は、制御装置6によって制御されるシリンダやモータであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、移動機構80は、駆動手段81によって駆動されるリンク機構82を備える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、移動機構80は、図6及び図7に示すように、駆動手段81によって光源8を直接移動させるようにしてもよい。
【0054】
また、マンコンベヤ1は、図8に示すように、光源8を第1位置P1から第2位置P2へ向かって付勢する弾性部材83をさらに備える、という構成でもよい。斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが停止したときに、光源8を第1位置P1から第2位置P2へ確実に移動させることができる。特に限定されないが、弾性部材83は、例えば、バネとすることができる。なお、図8においては、弾性部材83は、一つ設けられているが、複数設けられてもよい。
【0055】
(B)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、光源8を消灯し、光源8の表面温度が所定温度以下に低下するまで手摺ベルト4aを走行させた後に、手摺ベルト4aを停止させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、制御装置6は、手摺ベルト4aを停止させると同時に、光源8を消灯する、という構成でもよい。
【0056】
(C)マンコンベヤ1においては、光源8が第1位置P1から第2位置P2へ移動したとき、光源8と手摺ベルト4aとの間に挿入される断熱部材84をさらに備える、という構成でもよい。
【0057】
断熱部材84は、例えば、図9及び図10に示すように、手摺ベルト4aの走行方向に沿って形成された長尺な板状部材である。断熱部材84は、2つのシーブ85a,85bに巻き掛けられたロープ85cに固定されている。ロープ85cの一端は、復帰バネ85dを介して構造体2等に固定され、ロープ85cの他端は、シーブ85aに接続されており、ロープ85cは、シーブ85aに巻取り、巻き出しされる。また、シーブ85aと一体に回転し、シーブ85aよりも小径のシーブ85fには、光源8に固定されたロープ85eの一端が接続されており、ロープ85eは、シーブ85fに巻取り、巻き出しされる。これらの構成により、断熱部材84は、光源8の第1位置P1から第2位置P2への移動と連動して、図9に示す退避位置から図10に示す遮熱位置へスライドする。この実施形態において、断熱部材84は、手摺ベルト4aの走行方向に沿ってスライドするため、第1横方向D1のスペースを確保する必要がない。
【0058】
(D)断熱部材84は、例えば、図11及び図12のように、カバー86の一部として形成されている。なお、図11及び図12は、手摺ベルト4aを走行方向に見た図である。光源8が第1位置P1にあるとき、図11に示すように、一対のカバー86は、光源8に取り付けられたローラ87によって開状態に保持される。一方、光源8が第2位置P2にあるとき、図12に示すように、一対のカバー86は、トーションバネ88によって閉状態となるようにそれぞれ付勢されている。これらの構成により、断熱部材84は、光源8の第1位置P1から第2位置P2への移動と連動して、図11に示す退避位置から図12に示す遮熱位置へ回動する。
【0059】
(E)マンコンベヤ1は、走行する手摺ベルト4aと、走行中の前記手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する光源8と、前記手摺ベルト4aの走行及び前記光源8の点灯を制御する制御装置6と、を備え、前記制御装置6は、前記光源8を消灯し、前記光源8の表面温度が所定温度以下に低下するまで前記手摺ベルト4aを走行させた後に、前記手摺ベルト4aを停止させる、という構成でもよい。斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが、同じ箇所に光源8の高熱を受け続けることがないため、光源8の熱によって手摺ベルト4aが損傷することを低減できる。
【0060】
このマンコンベヤ1においては、前記制御装置6は、前記光源8を消灯した後、設定時間が経過した場合に、前記光源8の表面温度が所定温度以下であると判定する、という構成が好ましい。斯かる構成によれば、手摺ベルト4aを停止させるタイミングを容易に設定することができる。
【0061】
このマンコンベヤ1においては、前記設定時間の長さは、前記光源8の点灯時間の長さに基づいて、演算される、という構成が好ましい。斯かる構成によれば、例えば、光源8の点灯時間が長く、光源8の表面温度が非常に高くなっている場合にも、光源8の表面温度が十分に低下した後に、手摺ベルト4aを停止させることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…マンコンベヤ、1a…乗り口、2…構造体、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…ガード部、5…駆動部、5a…駆動源、5b…第1回転部、5c…第2回転部、5d…伝達部、6…制御装置、7…人検出部、8…光源、9…入力部、10…出力部、11…取得部、12…記憶部、13…判定部、13a…有人判定部、13b…温度判定部、14…制御部、14a…駆動制御部、14b…光源制御部、14c…移動制御部、14d…出力制御部、80…移動機構、81…駆動手段、82…リンク機構、83…弾性部材、84…断熱部材、85a…シーブ、85b…シーブ、85c…ロープ、85d…復帰バネ、85e…ロープ、86…カバー、87…ローラ、88…トーションバネ、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、P1…第1位置、P2…第2位置
【要約】
【課題】 手摺ベルトに向けて紫外線を照射する光源の熱によって手摺ベルトが損傷することを低減できるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、走行する手摺ベルトと、走行中の手摺ベルトへ向けて紫外線を照射する光源と、光源を、第1位置と、第1位置よりも手摺ベルトから離れた第2位置との間で移動させる移動機構と、手摺ベルトの走行、光源の点灯、及び移動機構の駆動を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、手摺ベルトを停止させたときに光源が第2位置に位置するように、移動機構の駆動を制御する。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12