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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】半導体装置及びモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231121BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231121BHJP
   H01G 4/33 20060101ALI20231121BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01G4/33 102
H01G4/30 541
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022501894
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005626
(87)【国際公開番号】W WO2021166880
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2020024563
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】松原 弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 真臣
(72)【発明者】
【氏名】香川 武史
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/021529(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057422(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
H01G 4/33
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1主面上に設けられた回路層と、
前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面上に設けられた第1樹脂体と、を備え、
前記回路層は、前記半導体基板側に設けられた第1電極層と、前記第1電極層に対向して設けられた第2電極層と、前記厚み方向において前記第1電極層と前記第2電極層との間に設けられた誘電体層と、前記第1電極層に電気的に接続され、前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第1外部電極と、前記第2電極層に電気的に接続され、前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第2外部電極と、を有し、
前記第1樹脂体は、平面視において前記第1外部電極と前記第2外部電極との間に設けられ、かつ、平面視において前記半導体基板の中心を囲む少なくとも3箇所に設けられ、
断面視において、前記第1樹脂体の前記半導体基板とは反対側の先端は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の前記半導体基板とは反対側の先端よりも高い位置にある、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1樹脂体は、前記厚み方向に直交する方向であって、前記第2外部電極から前記第1外部電極に向かう方向に対して交差する方向に延在する壁部を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記壁部は、前記第1外部電極側に設けられた第1壁部と、前記第2外部電極側に設けられ、前記第1壁部と離隔された第2壁部と、を含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1壁部と前記第1外部電極との距離L1は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極間の中心位置と前記第1壁部との距離L2よりも短く、
前記第2壁部と前記第2外部電極との距離L3は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極間の中心位置と前記第2壁部との距離L4よりも短い、請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1壁部と前記第1外部電極とは離隔され、
前記第2壁部と前記第2外部電極とは離隔されている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1樹脂体の押し込み弾性率は、前記誘電体層の押し込み弾性率よりも低い、請求項1~のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1樹脂体のヤング率は、20GPa以下である、請求項1~のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1樹脂体は、ソルダーレジスト中の樹脂、ポリイミド、ポリイミドアミド、及び、エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項1~のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1樹脂体は、感光性樹脂の硬化物である、請求項1~のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記誘電体層は、窒化ケイ素及び酸化ケイ素の少なくとも一方を含む、請求項1~のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記厚み方向において、前記第2電極層と前記第1樹脂体との間には、樹脂保護層が設けられている、請求項1~10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、
前記第2樹脂体は、平面視において前記半導体基板の端部と前記第1外部電極との間で前記半導体基板の端部に沿って設けられた第1外周部と、平面視において前記半導体基板の端部と前記第2外部電極との間で前記半導体基板の端部に沿って設けられた第2外周部と、を有する、請求項1~11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
断面視において、前記壁部の前記第1外部電極側の側面と前記壁部の前記第2外部電極側の側面とは、前記半導体基板側から前記半導体基板とは反対側に向かって互いに近づく、請求項のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、
前記第2樹脂体は、平面視において前記半導体基板の端部と前記第1外部電極との間に設けられた第1外周部と、平面視において前記半導体基板の端部と前記第2外部電極との間に設けられた第2外周部と、を有し、
前記第1壁部と前記第1外周部とは連接され、
前記第2壁部と前記第2外周部とは連接され、
前記第1壁部には、前記第1壁部と前記第2壁部とを離隔する空間に連通する第1開口が設けられ、
前記第2壁部には、前記第1壁部と前記第2壁部とを離隔する空間に連通する第2開口が設けられている、請求項のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
平面視において、前記壁部は、前記第1外部電極及び前記第2外部電極の互いに対向する端部同士を結ぶ領域に延在する、請求項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記壁部は、前記第1外部電極側に設けられた第1壁部と、前記第2外部電極側に設けられ、前記第1壁部と離隔された第2壁部と、を含み、
前記回路層の前記半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、
前記第2樹脂体は、平面視において前記半導体基板の端部と前記第1外部電極との間に設けられた第1外周部と、平面視において前記半導体基板の端部と前記第2外部電極との間に設けられた第2外周部と、を有し、
前記第1壁部と前記第1外周部とは連接され、
前記第2壁部と前記第2外周部とは連接され、
前記第1壁部には、前記第1壁部と前記第2壁部とを離隔する空間に連通する第1開口が設けられ、
前記第2壁部には、前記第1壁部と前記第2壁部とを離隔する空間に連通する第2開口が設けられ、
前記第2外部電極から前記第1外部電極に向かう方向において、前記第1開口は前記第2壁部に対向し、かつ、前記第2開口は前記第1壁部に対向する、請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1電極層は、前記半導体基板の端部と離隔された位置までに設けられ、
断面視において、前記第2樹脂体の前記半導体基板とは反対側の先端は、前記第1樹脂体の前記半導体基板とは反対側の先端よりも低い位置にある、請求項1214、及び、16のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかに記載の半導体装置と、
前記第1外部電極に電気的に接続された第1ランドと、前記第2外部電極に電気的に接続された第2ランドと、を有する配線基板と、を備える、ことを特徴とするモジュール。
【請求項19】
前記配線基板と前記第1外部電極と前記第2外部電極との各間には、モールド樹脂が設けられている、請求項18に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に用いられる代表的なコンデンサ素子として、例えば、MIM(Metal Insulator Metal)コンデンサ(キャパシタ)が知られている。MIMコンデンサは、誘電体層が下部電極と上部電極とで挟まれた平行平板型の構造を有するコンデンサである。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板上に形成された回路素子と、回路素子と接続する電極層と、電極層を覆う保護層と、保護層を貫通するビア導体を介して電極層と接続され、かつ、保護層の上部に設けられた端子電極と、を備え、端子電極の一方端は保護層の側壁面上に位置している、電子部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-44613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電子部品では端子電極が最も突出しているが、例えば、このような電子部品を配線基板に実装する際、最も突出した端子電極に荷重が加わることになる。そのため、この荷重が端子電極を介して電子部品の厚み方向に伝わることにより、回路素子が破損してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、荷重が加わってもコンデンサ素子の破損が抑制される半導体装置を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記半導体装置を有するモジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、上記半導体基板の上記第1主面上に設けられた回路層と、上記回路層の上記半導体基板とは反対側の表面上に設けられた第1樹脂体と、を備え、上記回路層は、上記半導体基板側に設けられた第1電極層と、上記第1電極層に対向して設けられた第2電極層と、上記厚み方向において上記第1電極層と上記第2電極層との間に設けられた誘電体層と、上記第1電極層に電気的に接続され、上記回路層の上記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第1外部電極と、上記第2電極層に電気的に接続され、上記回路層の上記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第2外部電極と、を有し、上記第1樹脂体は、平面視において上記第1外部電極と上記第2外部電極との間に設けられ、断面視において、上記第1樹脂体の上記半導体基板とは反対側の先端は、上記第1外部電極及び上記第2外部電極の上記半導体基板とは反対側の先端よりも高い位置にある、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のモジュールは、本発明の半導体装置と、上記第1外部電極に電気的に接続された第1ランドと、上記第2外部電極に電気的に接続された第2ランドと、を有する配線基板と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷重が加わってもコンデンサ素子の破損が抑制される半導体装置を提供できる。また、本発明によれば、上記半導体装置を有するモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1の半導体装置を示す平面模式図である。
図2図1中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。
図3】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図4】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図5】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図6】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図7】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図8】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図9】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図10】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図11】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図12】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図13】本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
図14】本発明の実施形態1のモジュールを示す断面模式図である。
図15】本発明の実施形態1のモジュールにおいて、モールド樹脂が設けられた状態を示す断面模式図である。
図16】本発明の実施形態2の半導体装置を示す平面模式図である。
図17図16中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。
図18】本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置を示す平面模式図である。
図19図18中の線分C1-C2に対応する部分を示す断面模式図である。
図20】本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置を示す平面模式図である。
図21図20中の線分D1-D2に対応する部分を示す断面模式図である。
図22】本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置を示す断面模式図である。
図23】本発明の実施形態2の変形例4の半導体装置を示す平面模式図である。
図24】本発明の実施形態2の変形例5の半導体装置を示す平面模式図である。
図25】本発明の実施形態2の変形例5のモジュールを示す断面模式図である。
図26】本発明の実施形態2の変形例6の半導体装置を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の半導体装置と本発明のモジュールとについて説明する。なお、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更されてもよい。また、以下において記載する個々の好ましい構成を複数組み合わせたものもまた本発明である。
【0012】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示す構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では、実施形態1と共通の事項についての記載は省略し、異なる点を主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の半導体装置」及び「本発明のモジュール」と言う。
【0013】
[実施形態1]
本発明の半導体装置は、厚み方向に相対する第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、半導体基板の第1主面上に設けられた回路層と、回路層の半導体基板とは反対側の表面上に設けられた第1樹脂体と、を備え、回路層は、半導体基板側に設けられた第1電極層と、第1電極層に対向して設けられた第2電極層と、厚み方向において第1電極層と第2電極層との間に設けられた誘電体層と、第1電極層に電気的に接続され、上記回路層の上記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第1外部電極と、第2電極層に電気的に接続され、上記回路層の上記半導体基板とは反対側の表面に引き出された第2外部電極と、を有し、第1樹脂体は、平面視において第1外部電極と第2外部電極との間に設けられ、断面視において、第1樹脂体の半導体基板とは反対側の先端は、第1外部電極及び第2外部電極の半導体基板とは反対側の先端よりも高い位置にある、ことを特徴とする。また、本発明の半導体装置では、平面視において、第1樹脂体は、半導体基板の中心を囲む少なくとも3箇所に設けられていてもよい。このような例を、本発明の実施形態1の半導体装置として以下に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態1の半導体装置を示す平面模式図である。図2は、図1中の線分A1-A2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0015】
本明細書中、半導体装置の長さ方向、幅方向、及び、厚み方向を、図1図2等に示すように、各々、矢印L、矢印W、及び、矢印Tで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと幅方向Wと厚み方向Tとは、互いに直交している。
【0016】
図1及び図2に示すように、半導体装置1は、半導体基板10と、回路層20と、第1樹脂体30と、を有している。
【0017】
半導体基板10は、厚み方向Tに相対する第1主面10a及び第2主面10bを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、厚み方向Tにおいて互いに対向している。
【0018】
半導体基板10の構成材料としては、例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)等の半導体が挙げられる。
【0019】
半導体基板10の電気抵抗率は、好ましくは10-5Ω・cm以上、10Ω・cm以下である。
【0020】
半導体基板10の長さ方向Lにおける寸法は、好ましくは200μm以上、600μm以下である。
【0021】
半導体基板10の幅方向Wにおける寸法は、好ましくは100μm以上、300μm以下である。
【0022】
半導体基板10の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは100μm以上、250μm以下である。
【0023】
回路層20は、半導体基板10の第1主面10a上に設けられている。回路層20は、絶縁層21と、第1電極層22と、誘電体層23と、第2電極層24と、耐湿保護層25と、樹脂保護層26と、第1外部電極27と、第2外部電極28と、を有している。なお、実施形態1においては、回路層20は、半導体基板10の第1主面10aの全面上に設けられているが、半導体基板10の第1主面10aの一部上に設けられていてもよい。その場合、回路層20は、半導体基板10の第1主面10a上の中央位置に設けられていることが好ましく、また、半導体基板10の中心軸と回路層20の中心軸とが略一致する位置に設けられていることが好ましい。
【0024】
回路層20の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは5μm以上、70μm以下である。回路層20の厚み方向Tにおける寸法は、絶縁層21の半導体基板10側の表面から、第1外部電極27及び第2外部電極28の最表面のうちで最も半導体基板10とは反対側に位置する表面までの寸法で定められる。
【0025】
絶縁層21は、半導体基板10の第1主面10aの全面上に設けられている。なお、絶縁層21は、半導体基板10の第1主面10aの一部上に設けられていてもよいが、第1電極層22よりも大きく、かつ、第1電極層22に重なる領域に設けられる必要がある。例えば、熱酸化法により半導体基板10の第1主面10aを酸化させたり、スパッタリング法又は化学蒸着(CVD)法により成膜したりすることで絶縁層を半導体基板10の第1主面10aの全面上に一旦形成した後、エッチング法によりその絶縁層の一部を除去すると、絶縁層21を半導体基板10の第1主面10aの一部上に設けることができる。
【0026】
絶縁層21の構成材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO、SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が挙げられる。
【0027】
絶縁層21は、単層構造であってもよいし、上述した材料からなる複数の層を含む多層構造であってもよい。
【0028】
絶縁層21の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは0.5μm以上、3μm以下である。
【0029】
第1電極層22は、回路層20の半導体基板10側、ここでは、絶縁層21の半導体基板10とは反対側の表面上に設けられている。また、第1電極層22は、半導体基板10の端部と離隔された位置までに設けられている。より具体的には、第1電極層22の端部は、半導体基板10の端部よりも内側に位置している。図1に示すような平面視において、第1電極層22の端部と半導体基板10の端部との距離は、好ましくは5μm以上、30μm以下である。なお、第1電極層22の端部は、半導体基板10の端部までの絶縁層21の表面上に設けられていてもよい。
【0030】
第1電極層22の構成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の金属が挙げられる。第1電極層22の構成材料は、上述した金属を少なくとも1種含む合金であってもよく、その具体例としては、アルミニウム-シリコン合金(AlSi)、アルミニウム-銅合金(AlCu)、アルミニウム-シリコン-銅合金(AlSiCu)等が挙げられる。
【0031】
第1電極層22は、単層構造であってもよいし、上述した材料からなる複数の導電体層を含む多層構造であってもよい。
【0032】
第1電極層22の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは0.3μm以上、10μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上、5μm以下である。
【0033】
誘電体層23は、厚み方向T、ここでは、半導体基板10の第1主面10aに直交する方向において、第1電極層22と第2電極層24との間に設けられている。また、誘電体層23は、開口を除く部分で第1電極層22を覆うように設けられ、誘電体層23の端部は、第1電極層22の端部から半導体基板10の端部までの絶縁層21の表面上にも設けられている。
【0034】
誘電体層23の構成材料としては、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO、SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が挙げられる。中でも、誘電体層23は、窒化ケイ素及び酸化ケイ素の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0035】
誘電体層23の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは0.02μm以上、2μm以下である。
【0036】
第2電極層24は、第1電極層22に対向して設けられている。より具体的には、第2電極層24は、誘電体層23の半導体基板10とは反対側の表面上に設けられ、誘電体層23を挟んで第1電極層22に対向している。
【0037】
第2電極層24の構成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の金属が挙げられる。第2電極層24の構成材料は、上述した金属を少なくとも1種含む合金であってもよく、その具体例としては、アルミニウム-シリコン合金(AlSi)、アルミニウム-銅合金(AlCu)、アルミニウム-シリコン-銅合金(AlSiCu)等が挙げられる。
【0038】
第2電極層24は、単層構造であってもよいし、上述した材料からなる複数の導電体層を含む多層構造であってもよい。
【0039】
第2電極層24の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは0.3μm以上、10μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上、5μm以下である。
【0040】
半導体装置1では、第1電極層22と誘電体層23と第2電極層24とでコンデンサ素子が構成される。より具体的には、第1電極層22と誘電体層23と第2電極層24とが重なる領域でコンデンサ素子の容量が形成される。
【0041】
耐湿保護層25は、開口を除く部分で誘電体層23及び第2電極層24を覆うように設けられている。耐湿保護層25が設けられていることにより、コンデンサ素子、特に、誘電体層23の耐湿性が高まる。
【0042】
耐湿保護層25の構成材料としては、例えば、窒化ケイ素(SiN)、SiO(酸化ケイ素)等が挙げられる。
【0043】
耐湿保護層25の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは0.5μm以上、3μm以下である。
【0044】
樹脂保護層26は、厚み方向Tにおいて、第2電極層24と第1樹脂体30との間、ここでは、耐湿保護層25の半導体基板10とは反対側の表面上に設けられている。また、樹脂保護層26の端部は、第1樹脂体30から半導体基板10の端部まで広がって設けられており、樹脂保護層26には、誘電体層23及び耐湿保護層25の開口(第1電極層22に重なる開口)に重なる位置と、耐湿保護層25の開口(第2電極層24に重なる開口)に重なる位置との各々に開口が設けられている。樹脂保護層26が設けられていることにより、コンデンサ素子、特に、誘電体層23が水分から充分に保護される。
【0045】
樹脂保護層26の構成材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ソルダーレジスト中の樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0046】
樹脂保護層26の厚み方向Tにおける寸法は、好ましくは1μm以上、20μm以下である。
【0047】
第1外部電極27は、第1電極層22に電気的に接続されている。より具体的には、誘電体層23、耐湿保護層25、及び、樹脂保護層26に各々設けられた開口が厚み方向Tに沿って連通することで伸びており、第1外部電極27は、その開口を介して第1電極層22に電気的に接続されている。また、第1外部電極27は、長さ方向L及び幅方向Wに沿う面において、第2電極層24と離隔されることにより、第2電極層24に電気的に接続されていない。また、第1外部電極27は、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面に引き出され、第2外部電極28と離隔されている。つまり、第1外部電極27は、第1電極層22の半導体基板10とは反対側に位置している。
【0048】
第1外部電極27は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0049】
第1外部電極27が単層構造である場合、その構成材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、これらの金属を少なくとも1種含む合金等が挙げられる。
【0050】
第1外部電極27が多層構造である場合、第1外部電極27は、図2に示すように、半導体基板10側から順に、シード層29aと、第1めっき層29bと、第2めっき層29cと、を有していてもよい。
【0051】
第1外部電極27のシード層29aとしては、例えば、チタン(Ti)からなる導電体層と銅(Cu)からなる導電体層との積層体(Ti/Cu)等が挙げられる。
【0052】
第1外部電極27の第1めっき層29bの構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0053】
第1外部電極27の第2めっき層29cの構成材料としては、例えば、金(Au)、スズ(Sn)等が挙げられる。
【0054】
第2外部電極28は、第2電極層24に電気的に接続されている。より具体的には、耐湿保護層25及び樹脂保護層26に各々設けられた開口が厚み方向Tに沿って連通することで伸びており、第2外部電極28は、その開口を介して第2電極層24に電気的に接続されている。また、第2外部電極28は、長さ方向L及び厚み方向Tに沿う面において、第1電極層22と離隔されることにより、第1電極層22に電気的に接続されていない。また、第2外部電極28は、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面に引き出され、第1外部電極27と離隔されている。つまり、第2外部電極28は、第2電極層24の半導体基板10とは反対側に位置している。
【0055】
第2外部電極28は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0056】
第2外部電極28が単層構造である場合、その構成材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、これらの金属を少なくとも1種含む合金等が挙げられる。
【0057】
第2外部電極28が多層構造である場合、第2外部電極28は、図2に示すように、半導体基板10側から順に、シード層29aと、第1めっき層29bと、第2めっき層29cと、を有していてもよい。
【0058】
第2外部電極28のシード層29aとしては、例えば、チタン(Ti)からなる導電体層と銅(Cu)からなる導電体層との積層体(Ti/Cu)等が挙げられる。
【0059】
第2外部電極28の第1めっき層29bの構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0060】
第2外部電極28の第2めっき層29cの構成材料としては、例えば、金(Au)、スズ(Sn)等が挙げられる。
【0061】
第1外部電極27の構成材料と第2外部電極28の構成材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0062】
第1樹脂体30は、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上に設けられている。また、第1樹脂体30は、図1に示すような平面視において、第1外部電極27と第2外部電極28との間に設けられている。より具体的には、長さ方向Lにおいて、第1樹脂体30は、第1外部電極27における第2外部電極28側の端部から幅方向Wに沿って伸びる法線と、第2外部電極28における第1外部電極27側の端部から幅方向Wに沿って伸びる法線との間に設けられている。
【0063】
図2に示すような断面視において、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端は、第1外部電極27及び第2外部電極28の半導体基板10とは反対側の先端よりも高い位置にある。より具体的には、図2に示すような断面視において、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端は、第1外部電極27及び第2外部電極28の半導体基板10とは反対側の先端同士を結ぶ線分(図2中の点線)よりも半導体基板10とは反対側にある。
【0064】
図2では、第1外部電極27の最表面が凹凸状であるが、この場合、厚み方向Tにおいて、第1外部電極27の最表面のうちで最も半導体基板10とは反対側に位置する部分を、第1外部電極27の半導体基板10とは反対側の先端と定める。第2外部電極28についても同様である。
【0065】
ここで、上述したように、第1電極層22は半導体基板10の端部と離隔された位置までに設けられているため、回路層20の端部(周縁部)が中心部よりも半導体基板10側に下がりやすい。なお、図2に示すような断面視において、半導体基板10の端部上には、樹脂保護層26が設けられているものの、その下層に第1電極層22及び第2電極層24が存在していないため、実際は樹脂保護層26の厚みが大きくなりにくい。このことからも、回路層20の端部(周縁部)が中心部よりも半導体基板10側に下がりやすくなる。そのため、第1外部電極27及び第2外部電極28においては、回路層20の中心部側が端部側よりも高い位置になりやすい。これに対して、第1樹脂体30は、図1に示すような平面視において、第1外部電極27と第2外部電極28との間、すなわち、回路層20の端部ではなく中心部近傍に設けられている。また、上述したように、図2に示すような断面視において、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端は、第1外部電極27及び第2外部電極28の半導体基板10とは反対側の先端よりも高い位置にある。よって、回路層20の端部が中心部よりも半導体基板10側に下がっている状態であっても、第1樹脂体30が回路層20よりも突出することになる。
【0066】
第1樹脂体30が回路層20よりも突出することにより、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30が第1外部電極27及び第2外部電極28よりも先に配線基板側(例えば、配線基板の上面、ランド、はんだ等)に接触することになる。そのため、第1樹脂体30に荷重が加わることになり、第1外部電極27及び第2外部電極28に加わる荷重が抑制される。その結果、荷重が第1外部電極27及び第2外部電極28を介してコンデンサ素子に伝わることが抑制されるため、コンデンサ素子の破損、特に、誘電体層23の破損が抑制される。このような効果は、半導体装置1を回路層20側から平板上に載置する際にも同様に得られる。
【0067】
厚み方向Tにおいて、回路層20に対する第1樹脂体30の突出寸法は、好ましくは50μm以下である。
【0068】
また、図1に示すような平面視において、第1樹脂体30は、半導体基板10の中心を囲む少なくとも3箇所(図1では、3箇所)に設けられている。このように第1樹脂体30が設けられていることにより、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30で荷重を受け止めつつ、半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持できる。このような効果は、半導体装置1を回路層20側から平板上に載置する際にも同様に得られる。
【0069】
第1樹脂体30の押し込み弾性率は、誘電体層23の押し込み弾性率よりも低いことが好ましい。この場合、第1樹脂体30の柔軟性が誘電体層23の柔軟性よりも高くなるため、第1樹脂体30で荷重を受け止めやすくなり、コンデンサ素子、特に、誘電体層23に加わる荷重が充分に抑制される。第1樹脂体30の押し込み弾性率は、好ましくは20GPa以下である。
【0070】
押し込み弾性率は、例えば、ナノインデンテーション法により測定される。
【0071】
第1樹脂体30のヤング率は、好ましくは20GPa以下である。この場合、第1樹脂体30の柔軟性が充分に高くなるため、第1樹脂体30で荷重を受け止めやすくなり、コンデンサ素子に加わる荷重が充分に抑制される。また、第1樹脂体30のヤング率は、より好ましくは0.5GPa以上、20GPa以下である。
【0072】
ヤング率は、例えば、引張試験法により測定される。
【0073】
第1樹脂体30は、ソルダーレジスト中の樹脂、ポリイミド、ポリイミドアミド、及び、エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。
【0074】
第1樹脂体30は、感光性樹脂の硬化物であることが好ましい。
【0075】
図1及び図2に示した半導体装置1は、例えば、以下の方法で製造される。図3図4図5図6図7図8図9図10図11図12、及び、図13は、本発明の実施形態1の半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面模式図である。
【0076】
<絶縁層の形成>
図3に示すように、絶縁層21を、例えば、熱酸化法、スパッタリング法、又は、化学蒸着法により、半導体基板10の第1主面10a上に形成する。
【0077】
<第1電極層の形成>
第1電極層22の構成材料からなる導電体層を、例えば、スパッタリング法により、絶縁層21の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。その後、導電体層のパターニングを、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を組み合わせて行うことにより、図4に示すような第1電極層22を形成する。より具体的には、第1電極層22を、半導体基板10の端部と離隔された位置までに形成する。
【0078】
<誘電体層の形成>
誘電体層23の構成材料からなる層を、例えば、スパッタリング法又は化学蒸着法により、第1電極層22を覆うように形成する。その後、この層のパターニングを、例えば、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を組み合わせて行うことにより、図5に示すような誘電体層23を形成する。より具体的には、第1電極層22の一部を露出させる開口が設けられるように、誘電体層23を形成する。
【0079】
<第2電極層の形成>
第2電極層24の構成材料からなる導電体層を、例えば、スパッタリング法により、図5に示した構造体の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。その後、導電体層のパターニングを、例えば、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を組み合わせて行うことにより、図6に示すような第2電極層24を形成する。より具体的には、誘電体層23を挟んで第1電極層22に対向するように、第2電極層24を形成する。
【0080】
<耐湿保護層の形成>
耐湿保護層25の構成材料からなる層を、例えば、化学蒸着法により、図6に示した構造体の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。その後、この層のパターニングを、例えば、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を組み合わせて行うことにより、図7に示すような耐湿保護層25を形成する。より具体的には、第1電極層22の一部を露出させるための誘電体層23の開口に重なる位置と、第2電極層24の一部を露出させる位置との各々に開口が設けられるように、耐湿保護層25を形成する。
【0081】
<樹脂保護層の形成>
樹脂保護層26の構成材料からなる層を、例えば、スピンコート法により、図7に示した構造体の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。その後、この層のパターニングを、例えば、樹脂保護層26の構成材料が感光性である場合はフォトリソグラフィー法のみを用い、また、樹脂保護層26の構成材料が非感光性である場合はフォトリソグラフィー法及びエッチング法を組み合わせて行うことにより、図8に示すような樹脂保護層26を形成する。より具体的には、第1電極層22の一部を露出させるための誘電体層23及び耐湿保護層25の開口に重なる位置と、第2電極層24の一部を露出させるための耐湿保護層25の開口に重なる位置との各々に開口が設けられるように、樹脂保護層26を形成する。
【0082】
<外部電極の形成>
図9に示すように、シード層29aを、図8に示した構造体の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。そして、めっき処理及びフォトリソグラフィー法を組み合わせることにより、図10に示すような第1めっき層29b及び第2めっき層29cを順次形成する。その後、図11に示すように、シード層29aの一部を、例えば、エッチング法により除去する。以上により、図11に示すような第1外部電極27及び第2外部電極28を形成する。より具体的には、誘電体層23、耐湿保護層25、及び、樹脂保護層26に各々設けられた開口を介して、第1電極層22に電気的に接続されるように、第1外部電極27を形成する。また、耐湿保護層25及び樹脂保護層26に各々設けられた開口を介して、第2電極層24に電気的に接続されるように、第2外部電極28を形成する。
【0083】
以上により、図11に示すような回路層20を、半導体基板10の第1主面10a上に形成する。第1外部電極27は、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面に引き出され、第2外部電極28と離隔されている。また、第2外部電極28は、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面に引き出され、第1外部電極27と離隔されている。
【0084】
<第1樹脂体の形成>
図12に示すように、感光性樹脂膜35を、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。そして、感光性樹脂膜35のパターニングをフォトリソグラフィー法で行うことにより、図13に示すような第1樹脂体30を、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上に形成する。より具体的には、平面視において第1外部電極27と第2外部電極28との間に設けられ、かつ、断面視において、半導体基板10とは反対側の先端が、第1外部電極27及び第2外部電極28の半導体基板10とは反対側の先端よりも高い位置にあるように、第1樹脂体30を形成する。また、平面視において、半導体基板10の中心を囲む少なくとも3箇所に設けられるように、第1樹脂体30を形成する。
【0085】
以上により、図13に示すような半導体装置1が製造される。
【0086】
以上では、1つの半導体装置1を製造する場合について説明したが、同一の半導体基板10の第1主面10a上に複数の回路層20を形成した後、ダイシング等で半導体基板10を切断して個片化することにより、複数の半導体装置1を同時に製造してもよい。
【0087】
本発明のモジュールは、本発明の半導体装置と、第1外部電極に電気的に接続された第1ランドと、第2外部電極に電気的に接続された第2ランドと、を有する配線基板と、を備える、ことを特徴とする。以下では、本発明の実施形態1の半導体装置を有するモジュールを、本発明の実施形態1のモジュールとして説明する。
【0088】
図14は、本発明の実施形態1のモジュールを示す断面模式図である。
【0089】
図14に示すように、モジュール100は、半導体装置1と、配線基板50と、を有している。より具体的には、モジュール100は、半導体装置1が配線基板50に実装されたものである。
【0090】
配線基板50は、基板51と、第1ランド52と、第2ランド53と、を有している。
【0091】
基板51には、各種配線が設けられている。基板51の各種配線は、第1ランド52及び第2ランド53に独立して接続されている。
【0092】
第1ランド52は、基板51の表面上に設けられており、第1外部電極27に電気的に接続されている。より具体的には、第1ランド52は、はんだ60を介して第1外部電極27に電気的に接続されている。
【0093】
第1ランド52の構成材料としては、例えば、銅(Cu)等の金属が挙げられる。
【0094】
第2ランド53は、基板51の表面上で第1ランド52と離隔された位置に設けられており、第2外部電極28に電気的に接続されている。より具体的には、第2ランド53は、はんだ60を介して第2外部電極28に電気的に接続されている。
【0095】
第2ランド53の構成材料としては、例えば、銅(Cu)等の金属が挙げられる。
【0096】
モジュール100では、第1樹脂体30が配線基板50側(例えば、第1ランド52、第2ランド53、はんだ60等)に接触していないが、これは、例えば、下記のメカニズムによるものと考えられる。
【0097】
1つ目のメカニズムとして、半導体装置1が配線基板50に位置ずれしていない状態で実装される場合について説明する。半導体装置1をはんだ60を介して配線基板50に実装する際には、まず、第1樹脂体30がはんだ60に接触する。その後、リフロー処理を行うと、はんだ60が第1ランド52及び第2ランド53の各々において全体的に濡れ広がるものの、はんだ60が第1樹脂体30を避けるようになり、結果的に、第1樹脂体30がはんだ60に接触しないようになる。
【0098】
2つ目のメカニズムとして、半導体装置1が配線基板50に位置ずれした状態で実装される場合について説明する。この場合は、リフロー処理時のセルフアライメント効果により、結果的に、第1樹脂体30がはんだ60に接触しないようになる。
【0099】
モジュール100では、図15に示すように、配線基板50と第1外部電極27と第2外部電極28との各間には、モールド樹脂70が設けられていてもよい。図15は、本発明の実施形態1のモジュールにおいて、モールド樹脂が設けられた状態を示す断面模式図である。
【0100】
[実施形態2]
本発明の半導体装置では、第1樹脂体は、厚み方向に直交する方向であって、第2外部電極から第1外部電極に向かう方向に対して交差する方向に延在する壁部を含んでいてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の半導体装置として以下に説明する。本発明の実施形態2の半導体装置は、第1樹脂体の構成が変更されていること以外、本発明の実施形態1の半導体装置と同様である。
【0101】
図16は、本発明の実施形態2の半導体装置を示す平面模式図である。図17は、図16中の線分B1-B2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0102】
図16及び図17に示すように、第1樹脂体30は、厚み方向Tに直交する方向であって、第2外部電極28から第1外部電極27に向かう方向、ここでは、長さ方向Lに対して交差する方向に延在する壁部を含んでいる。より具体的には、第1樹脂体30は、長さ方向Lと厚み方向Tとの両方に直交する方向、すなわち、幅方向Wに延在する壁部を含んでいる。
【0103】
第1樹脂体30がこのような壁部を含むことにより、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30で荷重をより広く分散できるため、コンデンサ素子、特に、誘電体層23に加わる荷重が充分に抑制される。
【0104】
図16に示すような平面視において、第1樹脂体30の長さ方向Lにおける寸法と幅方向Wにおける寸法とは、ともに、好ましくは3μm以上である。第1樹脂体30の長さ方向Lにおける寸法と幅方向Wにおける寸法とがともに3μmよりも短い場合、半導体装置1を配線基板に実装する際に、第1樹脂体30で荷重を受け止めつつ、半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持できないおそれがある。
【0105】
第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持する観点から、図16に示すような平面視において、第1樹脂体30の幅方向Wにおける寸法は、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々の幅方向Wにおける寸法よりも長いことが好ましい。
【0106】
図16に示すような平面視において、第1樹脂体30は矩形状であるが、その形状は特に限定されず、例えば、楕円形状であってもよい。
【0107】
本発明の実施形態2のモジュールは、本発明の実施形態2の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【0108】
図16に示すような平面視において、壁部としての第1樹脂体30は、第1外部電極27及び第2外部電極28の互いに対向する端部同士を結ぶ領域80に延在している。これにより、図16及び図17に示した半導体装置1を配線基板に実装してモジュールを構成する際に、はんだの広がり、いわゆるはんだスプラッシュが発生しても、図17中の矢印で示すように、はんだの濡れ広がる経路が第1樹脂体30の分だけ長くなる。そのため、はんだスプラッシュによる、第1外部電極27と第2外部電極28との短絡を抑制できる。
【0109】
[実施形態2の変形例1]
本発明の実施形態2の半導体装置では、壁部は、第1外部電極側に設けられた第1壁部と、第2外部電極側に設けられ、第1壁部と離隔された第2壁部と、を含んでいてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置として以下に説明する。
【0110】
図18は、本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置を示す平面模式図である。図19は、図18中の線分C1-C2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0111】
図18及び図19に示すように、壁部としての第1樹脂体30は、第1外部電極27側に設けられた第1壁部30aと、第2外部電極28側に設けられ、第1壁部30aと離隔された第2壁部30bと、を含んでいる。
【0112】
第1壁部30a及び第2壁部30bを壁部として含む第1樹脂体30が設けられていることにより、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持できる。また、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30で荷重をより広く分散できるため、コンデンサ素子、特に、誘電体層23に加わる荷重が充分に抑制される。
【0113】
図18に示すように平面視したとき、幅方向Wにおいて、第1壁部30a及び第2壁部30bの一端は、各々、第1外部電極27及び第2外部電極28の互いに対向する端部同士を結ぶ領域80の一端と、半導体基板10の一端との間に位置していることが好ましい。また、幅方向Wにおいて、第1壁部30a及び第2壁部30bの他端は、各々、第1外部電極27及び第2外部電極28の互いに対向する端部同士を結ぶ領域80の他端と、半導体基板10の他端との間に位置していることが好ましい。このように第1壁部30a及び第2壁部30bが設けられていることにより、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で充分安定して保持できる。
【0114】
第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持する観点から、第1壁部30a及び第2壁部30bの長さ方向Lにおける寸法は、各々、好ましくは3μm以上である。また、第1壁部30a及び第2壁部30bの長さ方向Lにおける寸法は、各々、好ましくは、第1外部電極27と第2外部電極28との長さ方向Lにおける距離の半分未満である。
【0115】
第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持する観点から、第1壁部30a及び第2壁部30bの幅方向Wにおける寸法は、各々、好ましくは10μm以上である。また、第1壁部30a及び第2壁部30bの幅方向Wにおける寸法は、各々、好ましくは、半導体基板10の幅方向Wにおける寸法以下である。
【0116】
図18に示すような平面視において、第1壁部30a及び第2壁部30bは、並行して設けられていることが好ましい。この場合、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で充分安定して保持できる。特に、半導体基板10の長さ方向Lにおいて、その中心に対して一方側に第1壁部30aが設けられ、かつ、他方側に第2壁部30bが設けられていることにより、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上でより安定して保持できる。
【0117】
第1壁部30aと第1外部電極27との距離L1は、第1外部電極27及び第2外部電極28間の中心位置Zと第1壁部30aとの距離L2よりも短く、第2壁部30bと第2外部電極28との距離L3は、第1外部電極27及び第2外部電極28間の中心位置Zと第2壁部30bとの距離L4よりも短い、ことが好ましい。この場合、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で充分安定して保持できる。また、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、半導体装置1が3点曲げされることが防止される。
【0118】
距離L1、距離L2、距離L3、距離L4、及び、中心位置Zは、各々、下記のようにして定められる。まず、長さ方向Lに伸びる5本の各直線上で、第1外部電極27及び第2外部電極28の互いに対向する端部間の中点を定め、これらの中点を結んだ直線を中心位置Zと定める。ここで、上記の5本の直線については、第1壁部30aと第1外部電極27との距離が最大となる位置を通る直線と、第1壁部30aと第1外部電極27との距離が最小となる位置を通る直線と、第2壁部30bと第2外部電極28との距離が最大となる位置を通る直線と、第2壁部30bと第2外部電極28との距離が最小となる位置を通る直線と、を含むように選択する。次に、上記と同じ5本の各直線上で、第1壁部30aと第1外部電極27との距離、中心位置Zと第1壁部30aとの距離、第2壁部30bと第2外部電極28との距離、及び、中心位置Zと第2壁部30bとの距離を測定する。そして、第1壁部30aと第1外部電極27との距離、中心位置Zと第1壁部30aとの距離、第2壁部30bと第2外部電極28との距離、及び、中心位置Zと第2壁部30bとの距離について、得られた5つの測定値の平均値を、各々、距離L1、距離L2、距離L3、及び、距離L4と定める。
【0119】
一方、第1壁部30a及び第2壁部30bが、例えば、ソルダーレジスト等のはんだを弾く材料で構成されている場合、第1壁部30a及び第2壁部30bが第1外部電極27及び第2外部電極28に各々接触している、すなわち、距離L1及び距離L3がともに0であると、半導体装置1、より具体的には、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々を配線基板のランドにはんだを介して接続する際に、はんだが第1壁部30a及び第2壁部30bを避けるように、第1外部電極27及び第2外部電極28の各電極上で大きくくびれてしまうことがある。その結果、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々に対するはんだの接合強度が低下することがある。また、はんだが大きくくびれてしまうことで、はんだでの断線が発生しやすくなる。更に、半導体装置1を高周波領域で使用する場合、表皮効果により電流経路がはんだの外周部となるが、はんだが大きくくびれると電流経路が長くなるため、結果的に、等価直列抵抗(ESR)が上昇し、Q値が悪化する。このような不具合を抑制する観点から、第1壁部30aと第1外部電極27とは離隔され、第2壁部30bと第2外部電極28とは離隔されている、ことが好ましい。
【0120】
本発明の実施形態2の変形例1のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【0121】
[実施形態2の変形例2]
本発明の実施形態2の半導体装置では、回路層の半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、第2樹脂体は、平面視において半導体基板の端部と第1外部電極との間で半導体基板の端部に沿って設けられた第1外周部と、平面視において半導体基板の端部と第2外部電極との間で半導体基板の端部に沿って設けられた第2外周部と、を有していてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置として以下に説明する。なお、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置においては、第1樹脂体が第1壁部及び第2壁部を壁部として含んでいる場合を例示する。つまり、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置は、第2樹脂体が設けられていること以外、本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置と同様である。
【0122】
図20は、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置を示す平面模式図である。図21は、図20中の線分D1-D2に対応する部分を示す断面模式図である。
【0123】
図20及び図21に示すように、回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上には、第2樹脂体40が設けられている。
【0124】
第2樹脂体40は、図20に示すような平面視において半導体基板10の端部と第1外部電極27との間で半導体基板10の端部に沿って設けられた第1外周部40aと、図20に示すような平面視において半導体基板10の端部と第2外部電極28との間で半導体基板10の端部に沿って設けられた第2外周部40bと、を有している。より具体的には、第1外周部40aは、第1外部電極27の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する一端と、に沿って設けられている。第2外周部40bは、第2外部電極28の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する他端と、に沿って設けられている。
【0125】
第1外周部40a及び第2外周部40bを有する第2樹脂体40が設けられていることにより、例えば、同一の半導体基板10の第1主面10a上に複数の回路層20を形成した後、ダイシング等で半導体基板10を切断して個片化する際に、第2樹脂体40を含んで切断するため、半導体装置1にチッピングが発生することを抑制できる。
【0126】
図21に示すような断面視において、第2樹脂体40の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1外周部40a及び第2外周部40bの半導体基板10とは反対側の先端は、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1壁部30a及び第2壁部30bの半導体基板10とは反対側の先端よりも低い位置にあることが好ましい。この場合、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第1樹脂体30によって半導体基板10及び回路層20を配線基板上で安定して保持できる。上述したように、第1電極層22が半導体基板10の端部と離隔された位置までに設けられていることで、回路層20の端部が中心部よりも半導体基板10側に下がりやすくなっているため、第2樹脂体40の半導体基板10とは反対側の先端は、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端よりも低い位置になりやすい。
【0127】
図21に示すような断面視において、第2樹脂体40の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1外周部40a及び第2外周部40bの半導体基板10とは反対側の先端は、第1外部電極27及び第2外部電極28の半導体基板10とは反対側の先端よりも高い位置にあることが好ましい。この場合、例えば、半導体装置1を配線基板に実装する際、第2樹脂体40で荷重をより広く分散できるため、コンデンサ素子、特に、誘電体層23に加わる荷重が充分に抑制される。
【0128】
なお、第1外周部及び第2外周部を有する第2樹脂体は、本発明の実施形態1の半導体装置に設けられていてもよい。
【0129】
本発明の実施形態2の変形例2のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【0130】
[実施形態2の変形例3]
本発明の実施形態2の半導体装置では、断面視において、壁部の第1外部電極側の側面と壁部の第2外部電極側の側面とは、半導体基板側から半導体基板とは反対側に向かって互いに近づいていてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置として以下に説明する。なお、本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置においては、第1樹脂体が第1壁部及び第2壁部を壁部として含んでいる場合を例示する。つまり、本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置は、第1樹脂体の形状が変更されていること以外、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置と同様である。
【0131】
図22は、本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置を示す断面模式図である。
【0132】
図22に示すような断面視において、第1壁部30aの第1外部電極27側の側面と第1壁部30aの第2外部電極28側の側面とは、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって互いに近づいている。また、図22に示すような断面視において、第2壁部30bの第1外部電極27側の側面と第2壁部30bの第2外部電極28側の側面とは、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって互いに近づいている。つまり、第1壁部30a及び第2壁部30bの断面形状は、各々、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって幅が小さくなる、いわゆるテーパー形状である。第1壁部30a及び第2壁部30bの各々について、第1外部電極27側の側面と第2外部電極28側の側面とは、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって互いに近づくものであれば、曲面状であってもよい。
【0133】
第1壁部30a及び第2壁部30bが上述した形状であることにより、図21に示すような状態と比較して、第1壁部30aと第1外部電極27上の領域とが遠くなり、第2壁部30bと第2外部電極28上の領域とが遠くなる。そのため、半導体装置1、より具体的には、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々を配線基板のランドにはんだを介して接続する際に、第1壁部30a及び第2壁部30bが、例えば、ソルダーレジスト等のはんだを弾く材料で構成されている場合でも、はんだが第1外部電極27及び第2外部電極28の各電極上で大きくくびれることがない。すなわち、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々と配線基板のランドとを接続するはんだの電流経路が途中で狭くなることがない。その結果、第1外部電極27及び第2外部電極28の各々に対するはんだの接合強度の低下が充分に抑制される。また、はんだが大きくくびれることがないため、はんだでの断線が発生しにくくなる。更に、半導体装置1を高周波領域で使用する場合、表皮効果により電流経路がはんだの外周部となるが、はんだが大きくくびれることがないために電流経路が長くならず、結果的に、等価直列抵抗の上昇とQ値の悪化とが抑制される。このような観点から、第1壁部30a及び第2壁部30bにおいて、第1外部電極27及び第2外部電極28よりも突出している部分(第1外部電極27及び第2外部電極28上の領域と対向する部分)が上述した形状であることが好ましい。
【0134】
第1外部電極27上ではんだを大きくくびれさせないようにするには、第1壁部30aと第1外部電極27上の領域とが遠くなるようにすることが重要であるため、図22に示すように、第1壁部30aの第1外部電極27側の側面と第1外部電極27との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。つまり、第1樹脂体30が複数の壁部を含む場合、複数の壁部のうちで最も第1外部電極27側に設けられた壁部、ここでは、第1壁部30aの第1外部電極27側の側面と第1外部電極27との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。なお、第1壁部30aについて、第1外部電極27側の側面と第2外部電極28側の側面とが半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって互いに近づくものであれば、第1壁部30aの第2外部電極28側の側面と第1外部電極27との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって小さくなっていてもよいし、一定であってもよい。言い換えれば、第1壁部30aの第2外部電極28側の側面と第2外部電極28との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなっていてもよいし、一定であってもよい。
【0135】
また、第2外部電極28上ではんだを大きくくびれさせないようにするには、第2壁部30bと第2外部電極28上の領域とが遠くなるようにすることが重要であるため、図22に示すように、第2壁部30bの第2外部電極28側の側面と第2外部電極28との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。つまり、第1樹脂体30が複数の壁部を含む場合、複数の壁部のうちで最も第2外部電極28側に設けられた壁部、ここでは、第2壁部30bの第2外部電極28側の側面と第2外部電極28との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。なお、第2壁部30bについて、第1外部電極27側の側面と第2外部電極28側の側面とが半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって互いに近づくものであれば、第2壁部30bの第1外部電極27側の側面と第2外部電極28との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって小さくなっていてもよいし、一定であってもよい。言い換えれば、第2壁部30bの第1外部電極27側の側面と第1外部電極27との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなっていてもよいし、一定であってもよい。
【0136】
一方、図16に示すように、第1樹脂体30として1つの壁部が設けられている場合、第1樹脂体30の第1外部電極27側の側面と第1外部電極27との距離、及び、第1樹脂体30の第2外部電極28側の側面と第2外部電極28との距離は、ともに、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。
【0137】
本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置においては、本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置と同様に、図22に示すような第1外周部40a及び第2外周部40bを有する第2樹脂体40が設けられていてもよい。第2樹脂体40についても、第1樹脂体30と同様に、図22に示すような断面視において、第1外周部40a及び第2外周部40bの断面形状は、各々、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって幅が小さくなっていることが好ましい。より具体的には、第1外周部40aの第1外部電極27側の側面と第1外部電極27との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。また、第2外周部40bの第2外部電極28側の側面と第2外部電極28との距離は、半導体基板10側から半導体基板10とは反対側に向かって大きくなることが好ましい。
【0138】
本発明の実施形態2の変形例3のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例3の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【0139】
[実施形態2の変形例4]
本発明の実施形態2の変形例1の半導体装置では、回路層の半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、第2樹脂体は、平面視において半導体基板の端部と第1外部電極との間に設けられた第1外周部と、平面視において半導体基板の端部と第2外部電極との間に設けられた第2外周部と、を有し、第1壁部と第1外周部とは連接され、第2壁部と第2外周部とは連接され、第1壁部には、第1壁部と第2壁部とを離隔する空間に連通する第1開口が設けられ、第2壁部には、第1壁部と第2壁部とを離隔する空間に連通する第2開口が設けられていてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例4の半導体装置として以下に説明する。
【0140】
図23は、本発明の実施形態2の変形例4の半導体装置を示す平面模式図である。
【0141】
回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上には、第2樹脂体40が設けられている。
【0142】
第2樹脂体40は、図23に示すような平面視において半導体基板10の端部と第1外部電極27との間に設けられた第1外周部40aと、図23に示すような平面視において半導体基板10の端部と第2外部電極28との間に設けられた第2外周部40bと、を有している。
【0143】
第1外周部40aは、半導体基板10の端部に沿って、より具体的には、第1外部電極27の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する一端と、に沿って設けられていてもよい。
【0144】
第2外周部40bは、半導体基板10の端部に沿って、より具体的には、第2外部電極28の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する他端と、に沿って設けられていてもよい。
【0145】
第1壁部30aと第1外周部40aとは、連接されている。また、第2壁部30bと第2外周部40bとは、連接されている。
【0146】
第1壁部30aには、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に連通する第1開口31aが設けられている。また、第2壁部30bには、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に連通する第2開口31bが設けられている。
【0147】
第1壁部30a及び第2壁部30bに第1開口31a及び第2開口31bが各々設けられていることにより、半導体装置1を配線基板に実装してモジュールを構成する際に、半導体装置1を配線基板に実装した後で、モールド樹脂を、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に充填すると、その空間に連通する第1開口31aを通して第1外部電極27の周辺に、また、第2開口31bを通して第2外部電極28の周辺に、各々充填しやすくなる。
【0148】
本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置と同様に、断面視において、第2樹脂体40の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1外周部40a及び第2外周部40bの半導体基板10とは反対側の先端は、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1壁部30a及び第2壁部30bの半導体基板10とは反対側の先端よりも低い位置にあることが好ましい。
【0149】
本発明の実施形態2の変形例4のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例4の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【0150】
[実施形態2の変形例5]
本発明の実施形態2の半導体装置では、平面視において、壁部は、第1外部電極及び第2外部電極の互いに対向する端部同士を結ぶ領域に延在していてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例5の半導体装置として以下に説明する。
【0151】
図24は、本発明の実施形態2の変形例5の半導体装置を示す平面模式図である。
【0152】
図24に示すような平面視において、壁部としての第1樹脂体30は、第1外部電極27及び第2外部電極28の互いに対向する端部同士を結ぶ領域80に延在している。
【0153】
図25は、本発明の実施形態2の変形例5のモジュールを示す断面模式図である。本発明の実施形態2の変形例5のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例5の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。図24に示すような平面視において第1樹脂体30が領域80に延在していることにより、図25に示すように半導体装置1を配線基板50に実装してモジュール100を構成する際に、はんだ60の濡れ広がり、いわゆるはんだスプラッシュが発生しても、図25中の矢印で示すように、はんだ60の濡れ広がる経路が第1樹脂体30の分だけ長くなる。そのため、はんだスプラッシュによる、第1外部電極27と第2外部電極28との短絡を抑制できる。
【0154】
このような作用効果は、図16図18、及び、図20に示した半導体装置1を配線基板に各々実装してモジュールを構成する際にも同様に得られる。
【0155】
[実施形態2の変形例6]
本発明の実施形態2の変形例5の半導体装置では、壁部は、第1外部電極側に設けられた第1壁部と、第2外部電極側に設けられ、第1壁部と離隔された第2壁部と、を含み、回路層の半導体基板とは反対側の表面上には第2樹脂体が設けられ、第2樹脂体は、平面視において半導体基板の端部と第1外部電極との間に設けられた第1外周部と、平面視において半導体基板の端部と第2外部電極との間に設けられた第2外周部と、を有し、第1壁部と第1外周部とは連接され、第2壁部と第2外周部とは連接され、第1壁部には、第1壁部と第2壁部とを離隔する空間に連通する第1開口が設けられ、第2壁部には、第1壁部と第2壁部とを離隔する空間に連通する第2開口が設けられ、第2外部電極から第1外部電極に向かう方向において、第1開口は第2壁部に対向し、かつ、第2開口は第1壁部に対向していてもよい。このような例を、本発明の実施形態2の変形例6の半導体装置として以下に説明する。
【0156】
図26は、本発明の実施形態2の変形例6の半導体装置を示す平面模式図である。
【0157】
図26に示すように、壁部としての第1樹脂体30は、第1外部電極27側に設けられた第1壁部30aと、第2外部電極28側に設けられ、第1壁部30aと離隔された第2壁部30bと、を含んでいる。
【0158】
回路層20の半導体基板10とは反対側の表面上には、第2樹脂体40が設けられている。
【0159】
第2樹脂体40は、図26に示すような平面視において半導体基板10の端部と第1外部電極27との間に設けられた第1外周部40aと、図26に示すような平面視において半導体基板10の端部と第2外部電極28との間に設けられた第2外周部40bと、を有している。
【0160】
第1外周部40aは、半導体基板10の端部に沿って、より具体的には、第1外部電極27の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する一端と、に沿って設けられていてもよい。
【0161】
第2外周部40bは、半導体基板10の端部に沿って、より具体的には、第2外部電極28の周囲で、半導体基板10の長さ方向Lに沿って延在する両端と幅方向Wに沿って延在する他端と、に沿って設けられていてもよい。
【0162】
第1壁部30aと第1外周部40aとは、連接されている。また、第2壁部30bと第2外周部40bとは、連接されている。
【0163】
第1壁部30aには、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に連通する第1開口31aが設けられている。また、第2壁部30bには、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に連通する第2開口31bが設けられている。
【0164】
第2外部電極28から第1外部電極27に向かう方向、すなわち、長さ方向Lにおいて、第1開口31aは第2壁部30bに対向し、かつ、第2開口31bは第1壁部30aに対向している。
【0165】
第1壁部30a及び第2壁部30bに第1開口31a及び第2開口31bが各々設けられていることにより、半導体装置1を配線基板に実装してモジュールを構成する際に、半導体装置1を配線基板に実装した後で、モールド樹脂を、第1壁部30aと第2壁部30bとを離隔する空間に充填すると、その空間に連通する第1開口31aを通して第1外部電極27の周辺に、また、第2開口31bを通して第2外部電極28の周辺に、各々充填しやすくなる。また、長さ方向Lにおいて、第1開口31aが第2壁部30bに対向し、かつ、第2開口31bが第1壁部30aに対向している、すなわち、第1開口31a及び第2開口31bが対向していないことにより、半導体装置1を配線基板に実装してモジュールを構成する際にはんだスプラッシュが発生しても、第1壁部30a及び第2壁部30bが障壁となるため、第1外部電極27と第2外部電極28との短絡を抑制できる。
【0166】
本発明の実施形態2の変形例2の半導体装置と同様に、断面視において、第2樹脂体40の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1外周部40a及び第2外周部40bの半導体基板10とは反対側の先端は、第1樹脂体30の半導体基板10とは反対側の先端、ここでは、第1壁部30a及び第2壁部30bの半導体基板10とは反対側の先端よりも低い位置にあることが好ましい。
【0167】
本発明の実施形態2の変形例6のモジュールは、本発明の実施形態2の変形例6の半導体装置を有すること以外、本発明の実施形態1のモジュールと同様である。
【符号の説明】
【0168】
1 半導体装置
10 半導体基板
10a 半導体基板の第1主面
10b 半導体基板の第2主面
20 回路層
21 絶縁層
22 第1電極層
23 誘電体層
24 第2電極層
25 耐湿保護層
26 樹脂保護層
27 第1外部電極
28 第2外部電極
29a シード層
29b 第1めっき層
29c 第2めっき層
30 第1樹脂体
30a 第1壁部
30b 第2壁部
31a 第1開口
31b 第2開口
35 感光性樹脂膜
40 第2樹脂体
40a 第1外周部
40b 第2外周部
50 配線基板
51 基板
52 第1ランド
53 第2ランド
60 はんだ
70 モールド樹脂
80 領域
100 モジュール
L 長さ方向
L1 第1壁部と第1外部電極との距離
L2 第1外部電極及び第2外部電極間の中心位置と第1壁部との距離
L3 第2壁部と第2外部電極との距離
L4 第1外部電極及び第2外部電極間の中心位置と第2壁部との距離
T 厚み方向
W 幅方向
Z 第1外部電極及び第2外部電極間の中心位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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