(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信設定プログラム及び無線通信設定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/00 20060101AFI20231121BHJP
H04B 1/38 20150101ALI20231121BHJP
【FI】
H04B7/00
H04B1/38
(21)【出願番号】P 2022504378
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021007830
(87)【国際公開番号】W WO2021177269
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020037094
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相場 雅彰
(72)【発明者】
【氏名】親里 知樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 雄大
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204177(WO,A1)
【文献】特開2008-60950(JP,A)
【文献】特開平06-334578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/00
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備し、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする
無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
画像形成ユニットをさらに具備し、
前記エンジン位置情報を記憶する前記エンジン記憶装置は、前記画像形成ユニットを制御する前記エンジンコントローラー回路が搭載された前記エンジンコントローラーボードに、搭載される
無線通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから前記メイン位置情報を読み出さず、前記エンジンデータベースから前記エンジン位置情報を読み出した場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースに前記エンジン位置情報を記憶する
無線通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから前記メイン位置情報を読み出し、前記エンジンデータベースから前記エンジン位置情報を読み出さない場合、前記メイン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記エンジンデータベースに前記メイン位置情報を記憶する
無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが共通である場合、前記エンジン位置情報と共通である前記メイン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定する
無線通信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから前記メイン位置情報を読み出さず、前記エンジンデータベースから前記エンジン位置情報を読み出さない場合、ワールドローミングにより使用可能な周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定する
無線通信装置。
【請求項7】
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備する無線通信装置の前記メインコントローラー回路を、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする
よう動作させる
無線通信設定プログラムを記憶したコンピューター読取可能な非一時的な記録媒体。
【請求項8】
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備する無線通信装置の前記メインコントローラー回路が、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする
無線通信設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物理的に独立した複数のコントローラーボードを有する無線通信装置に関する。本開示は、さらに、無線通信装置が実行する無線通信設定プログラム及び無線通信設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置が設置される国に対応する周波数を無線ネットワーク通信モジュールに設定する必要がある。何故なら、各国の電波法により、無線ネットワーク通信モジュールが使用する周波数帯域が異なるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線通信装置が故障等によりパーツ交換した後、無線ネットワーク通信モジュールに、周波数を適切に設定することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態に係る無線通信装置は、
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備し、
前記メインコントローラー回路は、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする。
【0006】
本開示の一形態に係る無線通信設定プログラムを記憶したコンピューター読取可能な非一時的な記録媒体は、
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備する無線通信装置の前記メインコントローラー回路を、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする
よう動作させる。
【0007】
本開示の一形態に係る無線通信設定方法は、
無線ネットワーク通信モジュールと、
メインコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのメイン位置情報を記憶可能なメインデータベースを有する不揮発性のメイン記憶装置とを有するメインコントローラーボードと、
前記メインコントローラーボードと物理的に独立し、エンジンコントローラー回路と、前記無線ネットワーク通信モジュールに設定すべき周波数を特定するためのエンジン位置情報を記憶可能なエンジンデータベースを有する不揮発性のエンジン記憶装置とを有するエンジンコントローラーボードと
を具備する無線通信装置の前記メインコントローラー回路が、
前記メインデータベースから読み出した前記メイン位置情報と、前記エンジンデータベースから読み出した前記エンジン位置情報とが異なる場合、前記エンジン位置情報により特定される周波数を前記無線ネットワーク通信モジュールに設定し、前記メインデータベースの前記メイン位置情報を、前記エンジン位置情報で上書きする。
【発明の効果】
【0008】
無線通信装置が故障等によりパーツ交換した後、無線ネットワーク通信モジュールに、周波数を適切に設定することを図れる。
【0009】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す。
【
図5】メインコントローラー回路の動作フローを示す。
【
図6】メインコントローラー回路の動作を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。無線通信装置の一例として画像形成装置(MFP、Multifunction Peripheral)を説明する。
【0012】
1.画像形成装置の構成
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す。
【0014】
画像形成装置10は、メインコントローラーボード100、エンジンコントローラーボード200、無線ネットワーク通信モジュール130及び画像形成ユニット230を有する。
【0015】
メインコントローラーボード100と、エンジンコントローラーボード200とは、物理的に独立する。言い換えれば、メインコントローラーボード100は、エンジンコントローラーボード200とは無関係に、新しいメインコントローラーボード100と交換可能である。エンジンコントローラーボード200は、メインコントローラーボード100とは無関係に、新しいエンジンコントローラーボード200と交換可能である。
【0016】
無線ネットワーク通信モジュール130は、インターネット等のネットワークNに無線接続するためのモジュールである。
【0017】
メインコントローラーボード100は、メインコントローラー回路110と、メイン記憶装置120とを有する。
【0018】
メインコントローラー回路110は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成装置10の全体的な動作制御を司る。メインコントローラー回路110は、無線ネットワーク通信モジュール130を制御する。
【0019】
メイン記憶装置120は、メインコントローラーボード100に搭載された不揮発性のオンチップメモリーである。メイン記憶装置120は、メインデータベース121と、周波数データベース122とを有する。
【0020】
画像形成ユニット230は、給紙ユニット、トナーコンテナー、ドラムを含む現像ユニット、光学ユニット及び定着ユニット等を含む。
【0021】
エンジンコントローラーボード200は、エンジンコントローラー回路210と、エンジン記憶装置220とを有する。
【0022】
エンジンコントローラー回路210は、CPU、RAM、ROM及び専用のハードウェア回路等から構成され、画像形成ユニット230を制御する。
【0023】
エンジン記憶装置220は、エンジンコントローラーボード200に搭載された不揮発性のオンチップメモリーである。エンジン記憶装置220は、エンジンデータベース221を有する。
【0024】
2.メインデータベースの構造
【0025】
【0026】
メインデータベース121は、画像形成装置10の型番121A、画像形成装置10のシリアル番号121B、メインコントローラー回路110のファームウェアバージョン121C、メイン位置情報121Dを記憶可能である。
【0027】
メイン位置情報121Dは、無線ネットワーク通信モジュール130に設定すべき周波数を特定するための位置情報である。例えば、メイン位置情報121Dは、画像形成装置10が設置される国を含む地域を示す地域情報(例えば、Regulatory Domain)又は、画像形成装置10が設置される国の国コードである。
【0028】
メイン位置情報121Dは、画像形成装置10の出荷時に記述される。ただし、画像形成装置10の出荷後に、メインコントローラーボード100が故障等により交換される場合、交換後の新しいメインコントローラーボード100のメイン記憶装置120のメインデータベース121は、メイン位置情報121Dを記憶しない(ブランクである)ことがある。
【0029】
3.エンジンデータベースの構造
【0030】
【0031】
エンジンデータベース221は、画像形成装置10の型番221A、画像形成装置10のシリアル番号221B、エンジンコントローラー回路210のファームウェアバージョン221C、エンジン位置情報221Dを記憶可能である。
【0032】
エンジン位置情報221Dは、無線ネットワーク通信モジュール130に設定すべき周波数を特定するための位置情報である。例えば、エンジン位置情報221Dは、画像形成装置10が設置される国を含む地域を示す地域情報(例えば、Regulatory Domain)又は、画像形成装置10が設置される国の国コードである。
【0033】
エンジン位置情報221Dは、画像形成装置10の出荷時に記述される。ただし、画像形成装置10の出荷後に、エンジンコントローラーボード200が故障等により交換される場合、交換後の新しいエンジンコントローラーボード200のエンジン記憶装置220のエンジンデータベース221は、エンジン位置情報221Dを記憶しない(ブランクである)ことがある。
【0034】
出荷時は、メインデータベース121のメイン位置情報121Dと、エンジンデータベース221のエンジン位置情報221Dとは、共通である。
【0035】
4.周波数データベースの構造
【0036】
【0037】
周波数データベース122は、地域情報122Aと、地域情報122Aにより特定される地域(又は国)により特定される(即ち、この地域又は国で使用が許可される)周波数122B及びチャネル122Cとを対応付ける。例えば、地域情報122Aは、地域を示す地域情報(例えば、Regulatory Domain)又は国コードである。
【0038】
5.メインコントローラー回路の動作フロー
【0039】
図5は、メインコントローラー回路の動作フローを示す。
図6は、メインコントローラー回路の動作を模式的に示す。
【0040】
画像形成装置10が起動したことをトリガとして(ステップS101)、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dの読み出しを試み、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dの読み出しを試みる。
【0041】
メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出し(ステップS102、YES)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出す(ステップS103、YES)。メインコントローラー回路110は、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとを比較する(ステップS104)。
【0042】
メインコントローラー回路110は、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが共通である場合(ステップS104、NO)、周波数データベース122に基づき、メイン位置情報121D(エンジン位置情報221Dと共通である)により特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS105)。上述のように、出荷時はメイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとは共通であるため、故障やパーツ交換等が無ければ、このフローとなる。
【0043】
一方、メインコントローラー回路110は、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが異なる場合(ステップS104、YES)、周波数データベース122に基づき、エンジン位置情報221Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS106)。メインコントローラー回路110は、メインデータベース121のメイン位置情報121Dを、エンジンデータベース221から読み出したエンジン位置情報221Dで上書きすることにより、メインデータベース121に記憶されるメイン位置情報121Dを復旧(リカバー)する(ステップS107)。
【0044】
メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが異なる場合に(ステップS104、YES)、エンジン位置情報221Dを優先する(ステップS106、ステップS107)のは、エンジンコントローラーボード200よりもメインコントローラーボード100が故障したり交換されたりする可能性が高い(逆に言えば、エンジンコントローラーボード200の方が出荷時の可能性が高い)と考えられるためである。言い換えれば、エンジンコントローラーボード200が有するエンジン位置情報221Dが出荷時の値である可能性が高いと考えられるためである。
【0045】
一方、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出し(ステップS102、YES)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出さない(ステップS103、NO)。「エンジン位置情報221Dを読み出さない」とは、例えば、エンジンコントローラーボード200が交換後であるため、エンジンコントローラーボード200に搭載されたエンジン記憶装置220のエンジン位置情報221Dがブランクである場合である。あるいは、エンジンコントローラーボード200(又は少なくともエンジン記憶装置220)が故障中であるためエンジン位置情報221Dを読み出せない場合である。
【0046】
この場合(ステップS103、NO)、メインコントローラー回路110は、周波数データベース122に基づき、読み出したメイン位置情報121Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS108)。メインコントローラー回路110は、エンジンデータベース221にメイン位置情報121Dを記憶することにより、エンジンデータベース221に記憶されるエンジン位置情報221Dを復旧(リカバー)する(ステップS109)。
【0047】
一方、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出さず(ステップS102、NO)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出す(ステップS110、YES)。「メイン位置情報121Dを読み出さない」とは、例えば、メインコントローラーボード100が交換後であるため、メインコントローラーボード100に搭載されたメイン記憶装置120のメイン位置情報121Dがブランクである場合である。あるいは、メイン記憶装置120が故障中であるためメイン位置情報121Dを読み出せない場合である。
【0048】
この場合(ステップS110、YES)、メインコントローラー回路110は、周波数データベース122に基づき、読み出したエンジン位置情報221Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS106)。メインコントローラー回路110は、メインデータベース121にエンジン位置情報221Dを記憶することにより、メインデータベース121に記憶されるメイン位置情報121Dを復旧(リカバー)する(ステップS107)。
【0049】
一方、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出さず(ステップS102、NO)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出さない(ステップS110、NO)。この場合、メインコントローラー回路110は、ワールドローミングにより使用可能な周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS111)。
【0050】
ワールドローミングは使用可能な周波数(チャネル)が制限される、アクティブスキャンが禁止される、等の制限がある。このため、メイン位置情報121D及びエンジン位置情報221Dを復旧(リカバー)し、復旧(リカバー)した値に基づき、周波数データベース122を用いて周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することが望ましい。例えば、メインコントローラー回路110は、GPS装置(図示せず)を用いて受信したGPS位置情報に基づき、メイン位置情報121D及びエンジン位置情報221Dを復旧(リカバー)してもよい。あるいは、メインコントローラー回路110は、画像形成装置10を管理するためのサーバー装置(図示せず)にネットワークNを介して通知し、通知に基づきサービスマンがマニュアルで又はリモートで、メイン位置情報121D及びエンジン位置情報221Dを復旧(リカバー)してもよい。
【0051】
6.結語
【0052】
無線通信装置が設置される国の位置情報により特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュールに設定する必要がある。何故なら、各国の電波法により、無線ネットワーク通信モジュールが使用する周波数帯域が異なるためである。無線通信装置が故障等によりパーツ交換した後、無線通信装置が位置情報を記憶しなくなる(ブランクである)おそれがある。この様な場合、無線ネットワーク通信モジュールに、周波数を適切に設定することができず、結果として、無線通信できなくなるおそれがある。このため、無線通信装置が故障等によりパーツ交換した後、無線ネットワーク通信モジュールに、周波数を適切に設定することが望ましい。
【0053】
(1)そこで、本実施形態によれば、メインコントローラー回路110は、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが異なる場合(ステップS104、YES)、エンジン位置情報221Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定し(ステップS106)、メインデータベース121のメイン位置情報121Dを、エンジン位置情報221Dで上書きする(ステップS107)。メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが異なる場合に(ステップS104、YES)、エンジン位置情報221Dを優先する(ステップS106、ステップS107)のは、エンジンコントローラーボード200よりもメインコントローラーボード100が故障したり交換されたりする可能性が高い(逆に言えば、エンジンコントローラーボード200の方が出荷時の可能性が高い)と考えられるためである。言い換えれば、エンジンコントローラーボード200が有するエンジン位置情報221Dが出荷時の値である可能性が高いと考えられるためである。これにより、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが異なる場合に(ステップS104、YES)、正しい値である可能性の高いエンジン位置情報221Dを用いて、適切に周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することを図れる。また、メインデータベース121のメイン位置情報121Dを、エンジン位置情報221D(正しい値である可能性が高い)で上書きすることで、次回以降の起動時には、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが共通の値となる。このため、次回以降の起動時にも、適切に周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することを図れる。
【0054】
(2)本実施形態によれば、エンジン位置情報221Dを記憶するエンジン記憶装置220は、画像形成ユニット230を制御するエンジンコントローラー回路210が搭載されたエンジンコントローラーボード200に、搭載される。典型的には、メインコントローラーボード100に搭載されたメイン記憶装置120が、無線ネットワーク通信モジュール130に設定すべき周波数を特定するための位置情報を記憶する。これに対して、本実施形態では、メインコントローラーボード100よりも故障したり交換されたりする可能性が低いエンジンコントローラーボード200のエンジン記憶装置220が、エンジン位置情報221Dを予備的に記憶する。これにより、メインコントローラーボード100よりも故障したり交換されたりした場合に、エンジンコントローラーボード200のエンジン記憶装置220が記憶するエンジン位置情報221Dに基づき、無線ネットワーク通信モジュール130に適切に周波数を設定することを図れる。
【0055】
(3)本実施形態によれば、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出さず(ステップS102、NO)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出した場合(ステップS110、YES)、エンジン位置情報221Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定し(ステップS106)、メインデータベース121にエンジン位置情報221Dを記憶する(ステップS107)。これにより、メインコントローラーボード100が交換後であるため、メインコントローラーボード100に搭載されたメイン記憶装置120のメイン位置情報121Dがブランクである場合、あるいは、メイン記憶装置120が故障中であるためメイン位置情報121Dを読み出せない場合に、エンジン位置情報221Dに基づき、無線ネットワーク通信モジュール130に適切に周波数を設定することを図れる。また、メインデータベース121にエンジン位置情報221Dをきおくすることで、次回以降の起動時には、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが共通の値となる。このため、次回以降の起動時にも、適切に周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することを図れる。
【0056】
(4)本実施形態によれば、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出し(ステップS102、YES)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出さない場合(ステップS103、NO)、メイン位置情報121Dにより特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定し(ステップS108)、エンジンデータベース221にメイン位置情報121Dを記憶する(ステップS109)。これにより、エンジンコントローラーボード200が交換後であるため、エンジンコントローラーボード200に搭載されたエンジン記憶装置220のエンジン位置情報221Dがブランクである場合、あるいは、エンジンコントローラーボード200(又は少なくともエンジン記憶装置220)が故障中であるためエンジン位置情報221Dを読み出せない場合に、メイン位置情報121Dに基づき、無線ネットワーク通信モジュール130に適切に周波数を設定することを図れる。また、エンジンデータベース221にメイン位置情報121Dをきおくすることで、次回以降の起動時には、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが共通の値となる。このため、次回以降の起動時にも、適切に周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することを図れる。
【0057】
(5)本実施形態によれば、メインコントローラー回路110は、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとが共通である場合(ステップS104、NO)、メイン位置情報121D(エンジン位置情報221Dと共通である)により特定される周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS105)。故障やパーツ交換等が無ければ、出荷時通り、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとは共通であるはずである。しかしながら、メイン位置情報121Dとエンジン位置情報221Dとに基づき(謂わば、ダブルチェックすることにより)、周波数を特定するため、適切に周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定することを図れる。
【0058】
(6)本実施形態によれば、メインコントローラー回路110は、メインデータベース121からメイン位置情報121Dを読み出さず(ステップS102、NO)、エンジンデータベース221からエンジン位置情報221Dを読み出さない場合(ステップS110、NO)、メインコントローラー回路110は、ワールドローミングにより使用可能な周波数を無線ネットワーク通信モジュール130に設定する(ステップS111)。これにより、メイン位置情報121及びエンジン位置情報221Dを読み出さない場合でも、無線ネットワーク通信を実現できる。また、ワールドローミングは使用可能な周波数(チャネル)が制限される、アクティブスキャンが禁止される、等の制限がある。制限のあるワールドローミングを、常時ではなく、メイン位置情報121及びエンジン位置情報221Dを読み出さない場合に限り例外的に使用することで、原則的には、制限の少ない無線ネットワーク通信を実現できる。
【0059】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。