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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20231121BHJP
   G01N 27/80 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01N17/00
G01N27/80
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022505846
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004653
(87)【国際公開番号】W WO2021181978
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2020041607
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020087042
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクリー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラダハ チータン
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-351563(JP,A)
【文献】特開2017-003574(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0073460(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0315872(US,A1)
【文献】特開2007-192803(JP,A)
【文献】特開平06-194342(JP,A)
【文献】特開昭52-108863(JP,A)
【文献】特開2001-349873(JP,A)
【文献】特開2019-144037(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100715(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0076951(US,A1)
【文献】中国実用新案第204188567(CN,U)
【文献】特開2017-053655(JP,A)
【文献】特開2018-004565(JP,A)
【文献】特開平05-196517(JP,A)
【文献】特開2008-249620(JP,A)
【文献】米国特許第5600238(US,A)
【文献】中国実用新案第201508411(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
G01N 27/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の内部の磁場強度を測定および/またはモニタリングするための装置であって、
非磁性材料からできている固定手段、
センサを有する磁場強度測定デバイス、ならびに、
第1の長尺部材および第2の長尺部材
を備え、
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材は、高相対透磁率を有する材料からできており、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の各々は、第1の端部および第2の端部を有し、
前記固定手段は、前記第1の長尺部材の前記第1の端部および前記第2の長尺部材の前記第1の端部が互いに対向して位置することで間隙を形成するように、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材を固定姿勢で支持しており、
記磁場強度測定デバイスは、前記間隙の内部に篏合される
装置。
【請求項2】
前記固定手段は、機械的な固定具を介して前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材と結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記試料から離間して設けられ、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材のそれぞれと結合される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の各々は、前記試料の表面上に存在するよう、または前記試料の表面に隣接するよう配置され、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の各々は縦軸を有し、前記縦軸の中心は他方の長尺部材の縦軸の中心と実質的に揃えられている、
請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の前記第1の端部は、テーパ部を含むことで、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の断面のエリアを、前記磁場強度測定デバイス上の前記センサの断面のエリアと実質的に同じに低減している、請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材はそれぞれ、前記試料に面接触する接触面を前記第1の端部よりも前記第2の端部の側に有する、請求項1からの何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材はそれぞれ、前記第1の端部および前記第2の端部の間で前記試料から離間して延伸する延伸部を有する、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記延伸部は、前記第1の端部に近いほど、前記試料から離間する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材は、前記延伸部よりも前記接触面において幅広である、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記接触面は、当該接触面を有する前記第1の長尺部材または前記第2の長尺部材の幅方向に湾曲する、請求項6から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記接触面は、当該接触面を有する前記第1の長尺部材または前記第2の長尺部材の長さ方向に湾曲する、請求項6から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置における前記第1の長尺部材の前記接触面と、前記第2の長尺部材の前記接触面との間の磁気抵抗は、
前記試料における前記第1の長尺部材の前記接触面と、前記第2の長尺部材の前記接触面との間の磁気抵抗よりも小さい、請求項6から11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記試料は、金属導管である、請求項1から1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記固定手段はハウジングである、請求項1から1の何れか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、ケーブルを接続するのに適した少なくとも1つの接続部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ハウジングならびに前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材は、前記試料に取り付けられている、請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
前記磁場強度測定デバイスの測定データを送信する送信部をさらに備える
請求項1から1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記磁場強度測定デバイスは、ホール効果センサを有する、請求項1から1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材は、100マイクロテスラ未満の低相対残留磁気も有する材料からできている、請求項1から1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記磁場強度測定デバイスは、0~+/-15000ガウス程度の磁場強度を測定する、請求項1から1のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の透磁率は、前記試料の透磁率よりも高い、請求項1から20の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
試料の内部の磁場強度を測定および/またはモニタリングするための方法であって、
請求項1から21のいずれか一項に記載の装置を前記試料に取り付けるかまたは配置する段階と、
前記磁場強度測定デバイスを用いて、前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材を通る前記磁場強度を測定する段階と、
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材を通る前記磁場強度の値をモニタリングすることにより、前記試料を通る前記磁場強度の値をモニタリングする段階と
を備える方法。
【請求項23】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材における前記磁場強度と前記試料における前記磁場強度との間の関係を確立するさらなる段階を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記試料内部の前記磁場強度を測定およびモニタリングする段階は、前記試料の断面のエリアをモニタリングすべく行われる請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の長尺部材および前記第2の長尺部材の縦軸が前記試料の第1の軸と揃った状態で前記装置が前記試料に取り付けられることにより、前記第1の軸と同じ方向において前記試料を通る前記磁場強度を測定およびモニタリングする、請求項22から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性材料の試料の内部の磁場強度を測定するための装置に関する。本発明はさらに、試料の内部の磁場強度を非破壊的な態様で測定する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
海底機器をモニタリングすることは、石油会社およびガス会社の重要な役割である。なぜなら、機器の故障の結果が壊滅的になり得るからである。そのような例の1つが、海底パイプラインの腐食のモニタリングである。海底パイプラインは、海溝内で、海底に存在するか、または、海底の内部に埋設され、石油、ガスまたは水などの物質を輸送する。
【0003】
パイプラインのサイズおよび材料は、用いられるべき用途に応じて異なる。パイプラインの直径は、50mmから2mであり、壁の厚さは10mmから75mmである。パイプは、常に目的を果たしながら最大で20年も海底に存在し得るので、強固で耐久性がある材料からできていなければならない。このためパイプラインは通常、本質的にフェライトである高耐力強度鋼からできているので、磁化され得る。
【0004】
パイプラインの寿命に対する脅威の1つが腐食、特に、内部腐食である。腐食がパイプの外部で発生した場合、パイプを容易に検査し得る。しかしながら、内部腐食は、モニタリングするのがはるかに難しい。具体的には、局所的な腐食が特有の脅威である。なぜなら、局所的な腐食は、一般的な腐食よりも腐食が速く、不均一な成長特性があるので、予測が難しいからである。
【0005】
パイプを検査する場合、破壊試験技術よりも非破壊試験技術が好ましい。なぜなら、非破壊試験技術は、パイプの中の流れに対していかなる乱れも生じさせないからである。既存技術は、渦電流および磁束漏れを含む。しかしながら、これらでは、動作に大量の電力が必要となる。さらに、既存技術では、大量のデータが生成され、長期間にわたって、そのまま放置するには不適切になるので、常時モニタリングの用途で海底において用いることがほぼ不可能になってしまう。常時モニタリングへの超音波センサの使用は、長年にわたって発展してきた。しかしながら、パイプ表面の大きな面積を覆う超音波のスケーラビリティは困難であり、超音波センサグリッドでは局所的な劣化のモニタリングには有効ではない。超音波ベースの海底モニタリング技術についての別の課題は、ユニット構成要素コストが機器のコスト全体を押し上げ、高リスクの場所を十分にカバーすべく複数のセンサ機器を配置することができなくなるということである。
【0006】
上記に加えてさらに、腐食を測定するための既存の技術は、多くの理由で、長期間、すなわち、20年にわたる設置には適さない。多くの理由とは、多量の電力が絶えず必要であること、ダイバーまたはロボットとのやり取りが周期的に必要であること、既存の構成要素はそのような長期間にわたって動作できないこと、既存の構成要素は高圧下で動作できないこと、既存の構成要素は容易に入手可能ではない消耗品を必要とすること、既存の構成要素は広い温度範囲(摂氏0~80度)で動作できないことである。
【0007】
海底パイプラインは、パイプラインの内部に沿って通るピグを用いて内部を検査され得る(管内検査)。これらのデバイスは、磁束漏れ法および/または超音波法を実行する。しかしながら、これらの技術の主な欠点は、パイプが「ピグ可能」でなければならい、すなわち、パイプ内にはいかなる障害物も存在してはならず、パイプの幾何学的形状が適切な形状であるべきということ等である。
【0008】
従って海底パイプラインその他そのような構造の状態に応じて、それらの状態をモニタリングするために必要な機器のコストおよび複雑性が高いことに起因して、利用可能なデータは非常に限定されている。なぜなら、機器は、海底における困難な環境に耐える必要があるからである。
【0009】
現在のところ、パイプ壁内の磁場の連続的な測定を提供する方法は存在しない。さらに、磁化した材料の内部の磁場を測定する方法も一般的に存在しない。
【0010】
従って、フェライト材料の壁の厚さの状態を非破壊的な方式により、そのままモニタリングし得るシステムが必要とされている。当該システムは、主たる介入なく、また、多量のエネルギーを必要とすることなく、無制限に機能することが可能であるべきである。
【0011】
従って、本発明の目的は、フェライト材料の内部の磁場強度をモニタリング/測定し得る、フェライト材料用の新しい測定デバイスを提供することである。
【0012】
上記の課題は海底パイプラインに関連していたが、本発明は、そのような用途に限定されない。本発明は、試料の内部の磁束密度の測定値を取得する任意のデバイス/構造に適用し得る。
【一般的開示】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、試料の内部の磁場強度を測定するための装置が提供される。装置は、非磁性材料からできている固定手段を備えてよい。装置は、センサを有する磁場強度測定デバイスを備えてよい。装置は、第1の長尺部材および第2の長尺部材を備えてよい。長尺部材は、高相対透磁率を有する材料からできてよい。長尺部材の各々は、第1の端部および第2の端部を有してよい。固定手段は、第1の長尺部材の第1の端部および第2の長尺部材の第1の端部が互いに対向して位置することで間隙を形成するように、長尺部材を固定姿勢で支持してよい。ハウジングは、測定デバイスのセンサを間隙の内部または間隙の実質的に内部で支持してよい。試料は、強磁性材料からできていてよい。長尺部材の各々は、試料の表面上に存在するよう、または試料の表面に隣接するよう配置されてよい。
【0014】
固定手段は、ハウジングであり得る。固定手段は、一時的または永久的なものであり得る。固定手段は、非磁性のボルトまたはクランプであり得る。固定手段は、溶接部または接着剤であり得る。
【0015】
長尺部材の各々は、縦軸を有し得る。縦軸の中心は、他方の長尺部材の縦軸の中心と実質的に揃えられている。これは、測定される磁場が1つの方向のみであることを保証する。縦軸は、長尺部材の各々の第1の端部から第2の端部まで延び得る。
【0016】
長尺部材の縦軸は、試料の縦軸と揃えられ得る。
【0017】
長尺部材は、約100マイクロテスラ未満などの低相対残留磁気も有する材料、例えばHiperco50およびHiperco50Aなどからできていてもよい。
【0018】
長尺部材の第1の端部は、長尺部材の断面のエリアを測定デバイス上のセンサの断面のエリアと同じか、または実質的に同じに低減するテーパ部を含み得る。これは、小さい断面のエリアを通る磁場を集中させるためであり、センサがより高い読み取り値を拾うようになる。これにより、より正確な読み取りが可能になる。なお、本発明では、パイプ壁における磁場の実際の値を測定しないが、当該値に比例する値を測定する。これは、試料の内部の磁場強度が長尺部材の内部の磁場強度に比例するという驚くべき技術的効果に起因する。比例関係が一定であるかどうかは、長尺構成要素の形状によって決まる。それゆえに、測定される表面との接触面積を増やすことにより、および/または断面のエリアを小さくすることにより、比例関係の一定性がより大きくなる。
【0019】
磁場強度測定デバイスは、ホール効果センサを有し得る。あるいは、磁場強度測定デバイスは、磁気抵抗センサまたは任意の他の形態の磁力計を有し得る。
【0020】
ハウジングは、ケーブルを接続するのに適した少なくとも1つの接続部を有し得る。ハウジングは、ケーブルを接続するための複数の接続部を有し得る。ハウジングの接続部は、水の侵入を防止するために密閉され得る。長尺部材および磁場強度測定デバイスが固定位置に保持されている限り、ハウジングは、必要になり得ない。
【0021】
試料は、パイプなどの金属導管であり得る。試料は、任意のフェライト材料であり得る。試料は、任意の形状およびサイズであり得る。試料は、正確な読み取りのために、理想的には本装置よりも少なくとも2~3倍大きいものであるべきである。
【0022】
ハウジングおよび長尺部材は、試料に取り付けられ得る。あるいは、装置が試料上に配置され得る。装置は、試料に永久的に固定され得る。装置は、ねじ、接着剤または任意の種類の締結機構を介して固定され得る。試料全体にわたって異なる磁場強度を測定するために試料に固定された装置のアレイが存在し得る。装置は、試料の磁場強度を異なる方向において測定するために、異なる方向に配置され得る。アレイは、試料の状態の詳細なデータセットを与え得る。本発明装置の近くに配置された追加のモニタリングデバイスが存在し得る。そのような追加のデバイスは、試料の表面から発する磁場の大きさおよび方向を測定するために用いられ得る。これらの追加のモニタリングデバイスは、本発明により示される試料の内部の磁場の値を参照することにより較正され得る。
【0023】
測定デバイスは、0~+/-15000ガウス程度の磁場強度または最大で試料の磁気飽和レベルまで測定し得る。また、測定デバイスは、試料の内部の磁束の方向を示す試料範囲にわたる正または負の値として磁場を測定し得る。
【0024】
第1の長尺部材および第2の長尺部材はそれぞれ、試料に面接触する接触面を第1の端部よりも第2の端部の側に有してよい。
【0025】
第1の長尺部材および第2の長尺部材はそれぞれ、第1の端部および第2の端部の間で試料から離間して延伸する延伸部を有してよい。延伸部は、第1の端部に近いほど、試料から離間してよい。
【0026】
第1の長尺部材および第2の長尺部材は、延伸部よりも接触面において幅広であってよい。
【0027】
接触面は、当該接触面を有する第1の長尺部材または第2の長尺部材の幅方向に湾曲してよい。
【0028】
接触面は、当該接触面を有する第1の長尺部材または第2の長尺部材の長さ方向に湾曲してよい。
装置における第1の長尺部材の接触面と、第2の長尺部材の接触面との間の磁気抵抗は、試料における第1の長尺部材の接触面と、第2の長尺部材の接触面との間の磁気抵抗よりも小さくてよい。
【0029】
装置は、磁場強度測定デバイスの測定データを送信する送信部をさらに備えてよい。
第1の長尺部材および第2の長尺部材の透磁率は、試料の透磁率よりも高くてよい。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、試料の内部の磁場強度を測定およびモニタリングするための方法が提供される。方法は、本発明の第1の態様による装置を試料に取り付けるかまたは配置する段階を備えてよい。方法は、磁場強度測定デバイスを用いて、長尺部材を通る磁場強度を測定する段階を備えてよい。方法は、長尺部材を通る磁場強度の値をモニタリングすることにより、試料を通る磁場強度の値をモニタリングする段階を備えてよい。
【0031】
上記方法は、試料の内部の磁場強度および方向を測定およびモニタリングするための非破壊的な態様を提供する。試料の内部の磁場強度と長尺部材の内部の磁場強度との間に比例関係が存在するという驚くべき事実を利用することにより、試料の内部の磁場強度は、長尺部材の内部の磁場強度を測定することにより計算され得る。当該関係における「定数係数」は、物理的に、またはコンピュータモデリングを介して決定され得る。
【0032】
上述の方法により、パイプラインの内部の腐食を決定するよう意図される他のデバイスの較正が可能になり得る。パイプの外部の磁場における大きな増加が検出された場合、これが、高内部磁化と組み合わされた浅い腐食または低内部磁化により生じる深い腐食によって生じたのかどうかを知る必要がある。
【0033】
方法は、長尺部材における磁場強度と試料における磁場強度との間の関係を確立するさらなる段階を備え得る。これは、コンピュータモデリングまたは実験を介して行われ得る。試料内部の磁場強度を測定およびモニタリングする段階は、試料の断面のエリアをモニタリングすべく行われてよい。
【0034】
装置は、長尺部材の縦軸が試料の第1の軸と揃った状態で装置が試料に取り付けられ得ることにより、第1の軸と同じ方向において試料を通る磁場強度を測定およびモニタリングする。装置により測定される試料における磁場の方向は、装置の縦軸により画定される。パイプ壁面内の磁場を測定する場合、パイプ内部における円周方向の磁場コンポーネントを測定すべく、装置がパイプの軸方向と交差する方向に取り付けられてもよい。パイプに沿って嵌合される場合、装置は、パイプに沿った磁場のコンポーネントを測定する。
【0035】
本発明の第3の態様において、本発明の第2の態様による試料の内部の磁場強度を測定およびモニタリングする方法であって、様々な方向および向きにおける磁場強度を測定するために複数の装置が用いられる、方法が提供される。
【0036】
本発明の第4の態様において、本発明の第1の態様による複数の装置を備える測定システムが提供される。これらの装置は、鋳型の内部に配置され得る。装置は、試料の内部の長手方向および長手方向と垂直の方向における磁場強度を測定するように配置され得る。試料の周囲の様々な場所に配置された複数の装置が存在し得る。例えば、この例がパイプラインであった場合、パイプラインの外周に等間隔で配置された4~6個の装置が存在し得る。
【0037】
本発明の各態様に関連して開示されるさらなる任意の特徴が、本発明の他の各態様のさらなる任意の特徴に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
例示的な実施形態を限定することなく、ここで、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1】本発明の実施形態による装置の斜視図を示す。
図2図1の装置の平面図を示す。
図3図1および図2における装置の側面図を示す。
図4】装置の2つの実施形態を備える、互いに垂直に位置する鋳型を示す。
図5】本発明による第1の長尺部材の第1の端部を示す。
図6】本発明の実施形態による例示的な磁場強度測定デバイスを示す。
図7】本発明による装置における磁場強度と測定中の試料における磁場強度との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の実施形態による装置100の斜視図を示す。装置100は、ハウジング104、磁場強度測定デバイス106および2つの長尺部材110a/bと共に示されている。装置100は、パイプライン(パイプとも称する)などの湾曲した試料102に適すように示されている。このことは、限定的なものとして解釈されるべきではない。なぜなら、装置100は、任意の形状/幾何学的形状の試料102上で用いられ得るからである。試料102は、直方体、平板、六角柱、三角柱または任意のそのような形状であり得る。また、試料102は、磁化され得ると共に測定され得る任意の材料からできていてよく、一例として金属材料からできていてよい。
【0040】
長尺部材110a/bの各々は、第1の端部112a/bおよび第2の端部114a/bを有する。長尺部材110a/bは、典型的には500(媒体の透過率と自由空間の透過率との比なので、単位は無次元である)よりも大きい高相対透磁率を有する材料からできている。高相対透磁率を有することにより、長尺部材110a/bは、試料から急速に磁化されることが可能になっている。長尺部材110a/bの透磁率は、パイプライン試料102の透磁率よりも高くてよい。これにより、長尺部材110aを試料102の表面に配置した場合に、パイプライン試料102の表面から長尺部材110a/bへ磁束が流れ込むことになる。
【0041】
これに加えてさらに、長尺部材110a/bは、典型的には100マイクロテスラ未満である低相対残留磁気を有する材料からできていてもよい。低相対残留磁気を有することにより、長尺部材110a/bは、脱磁することが可能となり、あらゆる大きな残留磁気の帯磁が防止される。このことは、磁場強度の正確な測定のために重要である。
【0042】
図1に示される長尺部材110a/bは、長さ約150mm、幅約25mmであり、幅が約3mmテーパ状になっている。間隙116は、幅約3mmである。試料102の上方の装置100の全高は、約10mmである。
【0043】
ハウジング104は、装置100の精度を妨げないように、非磁性の材料からできているべきである。ハウジング104の主たる目的は、長尺部材110a/bを固定姿勢に向けて間隙116を形成することである。間隙116のサイズは、本発明の重要な特徴であり、測定結果の精度を保証するために維持されなければならない。間隙116は、実質的に第1の長尺部材110aの第1の端部112aと第2の長尺部材110bの第1の端部112bとの間に形成される。間隙116は、磁場強度測定デバイス106が内部に嵌合するのに適している。ハウジング104は、磁場強度測定デバイス106のセンサ108を間隙116の内部または実質的に間隙116の内部に配置しながら、磁場強度測定デバイス106を間隙116に対して固定位置に固定する。典型的には、間隙は、2mmであるか、または、磁場センサの嵌合を可能にするのに十分なものである。
【0044】
ハウジング104は、長尺部材110a/bが試料102の表面上に存在するかまたは試料102の表面に隣接するように、長尺部材110a/bを配置し得る。図2に見られるように、長尺部材110a/bは各々、縦軸118a/bを有する。第1の長尺部材110aにおいて、縦軸118aは、第1の端部112aを通って第2の端部114aへと延在する。第2の長尺部材110bにおいて、縦軸118bは、第1の端部112bを通って第2の端部114bへと延在する。図2において、ハウジング104は、縦軸118aが互いに平行であり同じ点を通過するように、長尺部材110a/bを配置している。長尺部材110a/bは、正確に機能するよう、全体が装置に対して揃っていることが好ましい。なお、第1の端部112aの中心軸と第1の端部112bの中心軸とが互いに一致する限りにおいて、長尺部材110a/bの他の部分は必ずしも同一直線上に配置されなくてもよい。
【0045】
装置100が試料102上に配置されている場合、長尺部材110a/bは(自らの高相対透過率に起因して)、一般的に長尺部材110a/bよりも少なくとも2~3倍大きい試料102により磁化される。長尺部材110a/bの縦軸118a/bに沿った磁気の強度は、平行軸に沿った試料102の磁気の強度に比例する。このことに起因して、試料102を通る磁場強度は、長尺部材110a/bを通る磁場強度に比例する。長尺部材110a/bの間の間隙116は小さいので、磁場が間隙116を通過し、磁場強度測定デバイス106上のセンサ108により測定されることが可能になる。磁場強度測定デバイス106は、長尺部材110a/bを通る磁束を生じさせる間隙116を通る磁束を測定するために用いられる。この値を用いて、長尺部材110a/bを通る測定値を試料102と相関させることにより、試料102を通る磁束が計算され得る。本発明は、交番磁場ではなく静磁場を示すために用いられ得る。本発明により測定される磁場は、読み取りが行われている間、例えば1秒間一定である必要がある。
【0046】
上述の現象は、当技術分野において公知ではなく、試料102自体に干渉することなく試料102の内部の磁場強度を測定するための非破壊的な態様を提供する。本明細書において説明される装置100は、試料102上に配置され、容易な態様で磁場強度をモニタリングおよび測定するために用いられ得る。
【0047】
比例関係が一定であるかどうかは、第1の長尺部材および第2の長尺部材110a/bの寸法と、比較的程度は低いが試料102の厚さとに依存する。比例関係が一定であるかどうかは、物理実験により、または装置100を試料102に対してモデリングするコンピュータにより決定され得る。従って、装置100は、磁化された試料102の材料の内部の磁束密度を決定する方法を提供する。
【0048】
図3は、図1および図2における装置の側面図を示す。装置100は、パイプラインなどの半円形の試料102に適すように配置されている。長尺部材110a/bの各々の底面は、パイプライン試料102の横軸に沿って存在するように形作られている。この配置では、装置100は、パイプライン試料102を横方向に通る磁束を測定し得る。
【0049】
例えば、長尺部材110a/bはそれぞれ、パイプライン試料102に面接触する接触面1140を第2の端部114a/bに有してよい。これにより、パイプライン試料102の表面から長尺部材110a/bを介して磁場強度測定デバイス106へ確実に磁束を流すことができる。但し、接触面1140は、第1の端部112a/bよりも第2の端部114a/bの側に設けられる限りにおいて、必ずしも第2の端部114a/bに設けられなくてもよい。
【0050】
接触面1140は、当該接触面1140を有する長尺部材110aまたは長尺部材110bの幅方向(本実施形態では一例としてパイプライン試料の横方向)に湾曲してよい。これにより、長尺部材110a/bがパイプライン試料102の横軸方向においてパイプライン試料102の表面に沿って配置可能となる。
【0051】
なお、容易に想定され得るように、装置100がパイプライン試料102の縦軸に沿って向けられている場合には、長尺部材110a/bの底面を適切に曲面にする必要はないであろう。この場合には、接触面1140は、当該接触面1140を有する長尺部材110aまたは長尺部材110bの長さ方向、つまりパイプライン試料102の縦軸方向に湾曲してよい。
【0052】
長尺部材110a/bはそれぞれ、第1の端部112a/bおよび第2の端部114a/bの間でパイプライン試料102から離間して延伸する延伸部113を有してよい。これにより、接触面1140を介してパイプライン試料102から長尺部材110a/bに流入する磁束がパイプライン試料102に戻ってしまうのを防止することができるため、確実に磁束を磁場強度測定デバイス106に通して磁場強度を測定させることができる。
【0053】
本実施形態においては、延伸部113の底面(つまりパイプライン試料102の側の面)と、接触面1140との間には立ち上がり面1141が設けられており、これにより延伸部113をパイプライン試料102から確実に離間させている。但し、延伸部113の底面(つまりパイプライン試料102の側の面)と、接触面1140とは連続してもよく、立ち上がり面や切欠きなどを介在させずに直接的に隣接してよい。
【0054】
延伸部113は、延伸方向において形状が連続してよい。例えば、延伸方向に沿った延伸部113の断面において、延伸部113の底面と、その反対側の面(頂面とも称する)とはそれぞれ、隣接する各点において接線連続であってよい。これにより、接触面1140を介してパイプライン試料102から長尺部材110a/bに流入する磁束が延伸部113の表面から長尺部材110a/bの外部に漏れ出てしまうのが防止される。
【0055】
なお、延伸部113の底面は平面でもよいし、曲面でもよい。延伸部113の底面が曲面である場合には、底面は長尺部材110a/bの長さ方向に湾曲してもよいし、幅方向に湾曲してもよい。
【0056】
また、延伸部113の頂面は平面でもよいし、曲面でもよい。延伸部113の頂面が曲面である場合には、底面は長尺部材110a/bの長さ方向に湾曲してもよいし、幅方向に湾曲してもよい。
【0057】
延伸部113は、第1の端部112a/b(間隙116の側の端部)に近いほど、パイプライン試料102から離間してよい。これにより、接触面1140を介してパイプライン試料102から長尺部材110a/bに流入する磁束がパイプライン試料102に戻ってしまうのを、確実に防止することができる。
【0058】
ここで、長尺部材110a/bは、延伸部113よりも接触面1140において幅広であってよい。これにより、パイプライン試料102の表面から長尺部材110a/bへ確実に磁束を流すことができる。なお、長尺部材110a/bの幅とは、長尺部材110a/bの長さ方向(本実施形態においては一例としてパイプライン試料102の縦軸方向)の直交方向の寸法であってよい。接触面1140における長尺部材110a/bの幅とは、パイプライン試料102に対する接触面1140の接触エリアの幅であってよい。
【0059】
また、装置100における長尺部材110aの接触面1140と、長尺部材110bの接触面1140との間の磁気抵抗は、パイプライン試料102における長尺部材110aの接触面1140と、長尺部材110bの接触面1140との間の磁気抵抗よりも小さくてよい。この場合にも、パイプライン試料102の表面から長尺部材へ、より確実に磁束を流すことができる。
【0060】
ハウジング104は、長尺部材110aの延伸部113と、長尺部材110bの延伸部113とを連結してよい。例えば、ハウジング104は、長尺部材110a/bの長さ方向に延伸して、延伸部113a/bのそれぞれと結合されて長尺部材110a/bを互いに固定された状態としてよい。ハウジング104は、接着剤を介して、または、ストラップまたはねじなどの機械的な固定具を介して延伸部113a/bに結合されてよい。ハウジング104と延伸部113とを結合するねじは、装置100の精度を妨げないように非磁性の材料から形成されてよい。
【0061】
ハウジング104は長尺部材110a/bに対してパイプライン試料102の側に配置されてよい。本実施形態においては一例として、ハウジング104は、延伸部113とパイプライン試料102との間に配置されており、ハウジング104とパイプライン試料102との間には空隙が設けられている。但し、ハウジング104は長尺部材110a/bに対してパイプライン試料102とは反対の側に配置されてもよい。
【0062】
図1図2および図5において最もよくわかるように、長尺部材110a/bの第1の端部112a/bは、テーパ部120a/bを含む。テーパ部120a/bは、間隙116に近いほど細くなる先細りの形状であってよい。テーパ部により、長尺部材110a/bの断面のエリアが、磁場強度測定デバイス106上のセンサ108の断面のエリアと同じであるかまたは実質的に同じである面積へと低減している。一例として、間隙116の側の長尺部材110a/bの端面の面積は、磁場強度測定デバイス106上のセンサ108の面積と同じであってよい。これにより、磁場強度測定デバイス106上のセンサ108が受ける磁場強度を増幅するという追加の恩恵が提供される。磁場がより弱い可能性がある長尺部材のエッジ効果の影響をセンサが受けないように、長尺部材の狭い端部の断面のエリアが磁場センサよりもわずかに大きいことが望ましい。これにより、磁場がより小さい断面に集中し、センサ108を通るより高い読み取り値が得られることにより、測定の精度が増す。例えば、テーパ部120a/bにより、約2mm×2mmの正方形であるセンサ108では、当該面積が約3mm×3mmの正方形へと低減し得る。間隙116の深さは、1mm程度であるが、少なくともセンサ108を嵌合させるのに十分な幅であり得る。テーパ部120a/bは、センサ108のサイズに応じて、異なるサイズであり得る。長尺部材110a/bが小さい断面のエリアを有する場合、いかなるテーパ部も必要とされないことがある。これらの図におけるテーパ部120a/bの形状は、限定的なものと解釈されるべきではない。なぜなら、長尺部材110a/bにより、任意の方式で断面のエリアが低減され得るからである。
【0063】
図1から図3および図6に示される磁場強度測定デバイス106は、ホール効果センサを有し得る。図6に示される回路基板は、ホール効果センサをブリッジの2つの長尺部材の間の間隙に配置するよう設計されている。ホール効果センサは、磁場の存在下で、正比例の関係にある電圧勾配を生成する。故に、磁場が強ければ強いほど、電圧出力が大きい。図1から図3に示される磁場強度測定デバイス106には、ケーブルがプラグ接続され得る端子が取り付けられている。これらのケーブルは、ケーブル用の接続部122を介して、磁場強度測定デバイス106から制御ユニット(不図示)まで延び得る。制御ユニットは、ホール効果センサから電圧データを受け取り、これらを磁場強度データに変換する。また、磁場強度測定デバイス106へ至るケーブルは、磁場強度測定デバイス106に電力を供給し得る。電力は、バッテリなどの任意の電源、または熱発電器デバイスから供給され得る。
【0064】
また、装置100は、試料102へ永久的に固定され得る。装置100は、接着剤を介して、または、ストラップまたはねじなどの機械的な固定具を介して固定され得る。装置100が試料102へねじで固定される場合には、ねじの透磁率は試料102の透磁率以上でもよいし、試料102の透磁率より低くてもよい。一例として、ねじは試料102と同じ材料で形成されていてもよいし、長尺部材110a/bと同じ材料で形成されていてもよい。また、装置100は、いかなる取り付け具もなしに、試料102上に単純に配置され得る。
【0065】
例えば、装置100が海底のパイプの鋼壁を通る磁束をモニタリングする場合、複数の装置100が当該パイプの様々な場所で当該パイプに固定され得る。複数の装置100は、異なる向きでもパイプに固定され得る。パイプを配置する前に、装置100は、パイプに固定され、適切なコントローラおよび電源に接続されるであろう。磁束の読み取り値が全ての場所で取得され、磁場強度測定デバイス106の全てがゼロ設定/較正されるであろう。それゆえ、パイプは、海底に配置されるであろう。経時的に、パイプの内部が腐食し浸食され、故に、パイプの断面のエリアまたはパイプの壁の厚さが低減する。この低減により、パイプを通る磁場強度が変わるので、長尺部材110a/bを通る磁場強度が変わる。装置100上の電子機器は、パイプの状態をモニタリングするために、一定の間隔で定期的に切り替えられ得る。それゆえ、磁場強度におけるこの差は、パイプの新たな壁の厚さを示すために、コンピュータシミュレーションモデルまたは実験モデルと相関され得る。この壁の厚さにより、パイプの状態およびパイプが交換される必要があり得る時が良好に示される。
【0066】
なお、装置100上の電子機器を切り替える代わりに、磁場強度測定デバイス106の測定データを送信する送信部(図示せず)が装置100に設けられてもよい。送信部は、上述の制御ユニットにより制御されてよい。送信部は、有線通信でデータを送信してもよいし、無線通信でデータを送信してもよい。送信部が有線通信でデータを送信する場合には、パイプライン試料102に設けられた各装置100が通信ケーブルで中継装置や、パイプ状態のモニタリング装置に接続されてよい。送信部が無線通信でデータを送信する場合には、無人潜水艦が各装置100の近傍を巡回してデータを回収してよい。
【0067】
上記の例は、海底パイプに適用される。しかしながら、容易に想定されるはずであるように、説明された装置100および方法は、容易に分析できない任意の幾何学的形状または試料、例えば、水面上のパイプおよび地下に埋め込まれたパイプなどに適用され得る。また、装置100は、例えば試料にレトロフィットされ得る。
【0068】
図4は、鋳型105の内部に固定されている、本発明による2つの装置100を示す。鋳型105は、データのネットワークを提供するために、装置100との組み合わせで用いられ得る。図4に示される鋳型105は、2つの装置を互いに垂直になるように配置している。この配置により、材料内での磁場強度の縦の読み取り値および横の読み取り値が提供される。装置100は、それらの方向における磁場強度のデータを取得するために、様々な方向に配置され得る。示されている例は、限定的なものと解釈されるべきではなく、他の配置が容易に想定されるべきである。
【0069】
図7は、本発明による装置における磁場強度と測定中の試料における磁場強度との間の関係を示すグラフである。磁場強度測定デバイス106(ブリッジ)を通る磁場強度がX軸に、試料102(パイプ壁)を通る磁場強度がY軸に、両方ともガウスで示される。試料の内部の磁場強度は、異なる方向に沿って変動する。例えば、試料の長手方向には横方向よりも高い磁場強度が存在し得る。複数の装置を用いることにより、磁場強度は、全ての向きおよび方向で測定され得る。試料の内部の磁場強度と長尺部材の内部の磁場強度との間の関係は常に比例している。これにより、装置が試料の内部の磁場強度を非破壊的な方式で測定することが可能になる。
【0070】
示されるように、磁場強度測定デバイス106(ブリッジ)における磁場強度と試料102(パイプ壁)の間には正比例関係が存在する。グラフにおける線の勾配は、装置100のサイズおよび形状ならびに試料102のサイズおよび形状によって決まる。これは、本発明が利用され得るこの関係に起因する。この関係は線形比例なので、装置100は、正確な測定値を無制限に出し続け得る。この関係は、線形比例ではないことがあるが、任意の他の種類の比例関係であり得る。磁場の正の値が示されている。しかしながら、パイプ壁における磁場が正反対に対向する方向にある場合には、測定される磁場は負であろう。
【0071】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明された実施形態から逸脱するものも依然として本発明の範囲に含まれ得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0072】
100 装置
102 試料
104 ハウジング
105 鋳型
106 磁場強度測定デバイス
108 センサ
110 長尺部材
112 端部
113 延伸部
114 端部
116 間隙
118 縦軸
120 テーパ部
122 接続部
1140 接触面
1141 立ち上がり面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7