(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20231121BHJP
F02B 29/04 20060101ALI20231121BHJP
F02F 7/00 20060101ALI20231121BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20231121BHJP
F02M 35/104 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
F02M55/02 350H
F02B29/04 K
F02F7/00 N
F02M35/10 101M
F02M35/104 H
(21)【出願番号】P 2022535320
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2021025322
(87)【国際公開番号】W WO2022009840
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】P 2020116399
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】黒木 友和
(72)【発明者】
【氏名】松永 礼俊
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-012323(JP,A)
【文献】実開平02-147865(JP,U)
【文献】特開平10-213027(JP,A)
【文献】特開2001-303961(JP,A)
【文献】特開平11-210579(JP,A)
【文献】実開昭62-169234(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 55/02
F02B 29/04
F02M 35/10~35/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドの吸気ポートに接続される吸気マニホールドと、
前記シリンダヘッドに対してシリンダブロックとは反対側に配置され、前記シリンダヘッドに固定されるインタークーラと、
前記吸気マニホールドと前記インタークーラとの間に挟持され、前記吸気マニホールドと前記インタークーラとに接続されるスロットルボデーと、
前記シリンダヘッドと前記吸気マニホールドと前記スロットルボデーとに囲まれた空間内に配置され、前記シリンダヘッドに固定される、燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプと、
を備える内燃機関であって、
前記スロットルボデーの前記シリンダブロックとは反対側の面は、前記吸気マニホールドに面接触するように固定され、前記スロットルボデーの前記シリンダブロック側の面は、前記インタークーラに面接触するように固定され、
前記内燃機関を前記シリンダヘッド側から眺めた状態において、
前記スロットルボデーと前記吸気マニホールドとの固定箇所が、前記シリンダヘッドよりも外側に配置されるとともに、
前記デリバリパイプが、前記スロットルボデーと重なる位置に配置されるとともに、
前記スロットルボデーの前記吸気マニホールド側の端部は、前記デリバリパイプよりも前記吸気マニホールド側に位置
し、
前記シリンダヘッドが前記シリンダブロックの上方に配置されており、
前記インタークーラと前記スロットルボデーと前記吸気マニホールドとを繋ぐ吸気通路が、前記吸気マニホールドに向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り傾斜形状に形成されるとともに、前記吸気マニホールド内の吸気通路が、前記内燃機関のシリンダに向かうにつれて鉛直方向下方に傾斜する下り傾斜形状に形成される、
ことを特徴とする、内燃機関。
【請求項2】
前記吸気マニホールドと前記スロットルボデーと前記インタークーラとを共締めして一体に固定するボルトを備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記吸気マニホールドよりも前記シリンダブロックの近くに設けられ、前記内燃機関を前記シリンダヘッド側から眺めた状態において、前記吸気マニホールドと重なる位置に配置される補機を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記補機が、前記内燃機関を前記吸気ポート側から眺めた状態において、前記スロットルボデーと重ならない位置に配置されることを特徴とする、請求項3に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気マニホールド及びデリバリパイプを備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の吸気ポートに接続される吸気マニホールドをJ字型に屈曲させ、その内側の空間に燃料配管用のデリバリパイプを配置した構造が知られている。この種の構造によれば、デリバリパイプの周囲が吸気マニホールドによって囲まれた状態になり、デリバリパイプの保護性能が向上する。例えば、内燃機関の周囲に補機が配置されたエンジンルームにおいて補機に外力が作用したとしても、補機とデリバリパイプとを接触しにくくすることができ、デリバリパイプの変形や移動を防止できる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過給機を搭載した内燃機関においては、吸気マニホールドよりも吸入空気の上流側にインタークーラ(過給空気を冷却する装置)が配置されることがある。インタークーラは、例えばエンジンルーム内で走行風が通過しやすい位置に配置される。また、インタークーラと吸気マニホールドとの間は吸気管で接続される。この吸気管の形状によっては、吸気マニホールドが外力を受けたときに移動しやすくなり、デリバリパイプの変形や移動を防止できなくなるおそれがある。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、簡素な構成でデリバリパイプの保護性能を改善できるようにした内燃機関を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の内燃機関は、シリンダヘッドの吸気ポートに接続される吸気マニホールドと、シリンダヘッドに対してシリンダブロックとは反対側に配置され、シリンダヘッドに固定されるインタークーラと、吸気マニホールドとインタークーラとの間に挟持され、吸気マニホールドとインタークーラとに接続されるスロットルボデーと、シリンダヘッドと吸気マニホールドとスロットルボデーとに囲まれた空間内に配置され、シリンダヘッドに固定される、燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の内燃機関によれば、簡素な構成でデリバリパイプの保護性能を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例としての内燃機関の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すスロットルボデーの模式的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すスロットルボデーの模式的な斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すインタークーラの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.構成]
図1,
図2に示す内燃機関1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエンジンであり、車両のエンジンルーム内に搭載される。内燃機関1は、筒状のシリンダ14が穿孔されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2に固定されるシリンダヘッド3とを備える。シリンダブロック2には少なくとも一つのシリンダ14が形成され、複数のシリンダ14が列設されてもよい。シリンダ14の内部には、コネクティングロッドを介してクランクシャフトに連結されたピストンが摺動可能に挿入される。ピストンは、シリンダ14の一端部(
図1ではシリンダ14の下端部)を閉塞している。燃料の燃焼反応を利用してピストンをシリンダ14の内部で往復摺動させることでクランクシャフトが回転し、車両の駆動力が生成される。
【0010】
シリンダヘッド3は、例えばシリンダブロック2の上方に隣接して配置され、シリンダ14の他端部側(
図1ではシリンダブロック2の上端部側)に配置される。シリンダヘッド3には、シリンダ14に吸入空気を導入するための吸気ポート15や、排気を排出するための排気ポート16が穿孔される。吸気ポート15及び排気ポート16は、シリンダ14と連通するように設けられる。シリンダ14と吸気ポート15との境界部分には、図示しない吸気弁が設けられ、シリンダ14と排気ポート16との境界部分には、図示しない排気弁が設けられる。これらの吸気弁および排気弁の動作(バルブリフト量や開閉タイミング)を制御するための動弁機構11は、シリンダヘッド3に取り付けられる。また、シリンダヘッド3には、シリンダ14や吸気ポート15の内部に燃料(ガソリン,軽油など)を噴射するための燃料噴射弁8(インジェクタ)が固定される。
【0011】
吸気ポート15には吸気マニホールド4が接続され、排気ポート16には排気マニホールド12または過給機10が直接接続される。これらの吸気マニホールド4及び排気マニホールド12または過給機10は、ともにシリンダヘッド3に固定される。吸気マニホールド4は、シリンダヘッド3に対してシリンダブロック2とは反対側(上方向)にシリンダヘッド3から延びた形状であって、水平方向から見てシリンダブロック2から離隔する方向に延びた形状に形成される。また、排気マニホールド12は、シリンダヘッド3に対してシリンダブロック2とは反対側(上方向)にシリンダヘッド3から延びた形状であって、水平方向から見て吸気マニホールド4から離隔する方向に延びた形状に形成される。
図1に示す吸気マニホールド4は、シリンダヘッド3から左上方向へと斜めに延びた後、右上に向かってほぼ直角に屈曲した形状である。また、
図1に示す排気マニホールド12は、シリンダヘッド3から右上方向へと湾曲した形状である。
【0012】
排気マニホールド12の下流側には過給機10が接続される。過給機10は、シリンダ14から排出される排気ガスの圧力を利用して吸入空気を過給する装置である。排気ガスの圧力で排気通路上に介装されたタービンを回転させ、その回転を利用して吸気通路上に介装されるコンプレッサを回転させることで、シリンダ14への過給が実施される。なお、
図1では過給機10よりも下流側の排気通路の詳細と、過給機10よりも上流側の吸気通路との詳細とが省略されている。
【0013】
過給機10のタービン及びコンプレッサの回転軸は、例えば同軸に配置される。コンプレッサの下流側には吸気管13が接続される。吸気管13の下流側にはインタークーラ6が介装される。インタークーラ6は、過給空気を冷却するための熱交換器である。インタークーラ6は、シリンダヘッド3に対してシリンダブロック2とは反対側(上方向)に配置される。インタークーラ6で過給空気を冷却することで充填効率が上昇し、内燃機関1の出力が増加する。
図1に示すインタークーラ6は、図示しないブラケットを介してシリンダヘッド3に固定される。
【0014】
図1,
図2に示すように、吸気マニホールド4とインタークーラ6との間には、スロットルバルブを内蔵したスロットルボデー5が配置される。スロットルボデー5は、吸気マニホールド4とインタークーラ6とに挟持された状態で、吸気マニホールド4とインタークーラ6との双方に連結される。吸気マニホールド4,スロットルボデー5,インタークーラ6の三部材は、一体的に固定される。吸気マニホールド4は、スロットルボデー5の一側面に面接触するように固定され、インタークーラ6は、スロットルボデー5の他側面(一側面とは反対側の面)に面接触するように固定される。スロットルボデー5と吸気マニホールド4との固定箇所は、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態において、シリンダヘッド3よりも外側に配置される。
【0015】
図3に示すように、本実施例の内燃機関1は、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とインタークーラ6とを共締めして一体に固定するボルト21を備えるとともに、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とを仮止めするための仮止めボルト22を備える。仮止めボルト22は、インタークーラ6が取り付けられる前の内燃機関1において、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とを一体化しておくために用いられる締結具である。事前に吸気マニホールド4とスロットルボデー5とを一体化しておく必要がない場合には、仮止めボルト22に関係する構造を省略してもよい。
【0016】
スロットルボデー5には、ボルト21が挿通される挿通孔23と、仮止めボルト22が挿通される仮止め孔25とが設けられる。挿通孔23は、
図4に示すように吸気通路の周囲の三箇所に設けられる。仮止め孔25は、吸気通路の周囲の二箇所に設けられる。また、吸気マニホールド4には、ボルト21が挿通される挿通孔28と、仮止めボルト22が挿通される仮止め孔29とが設けられる。挿通孔23,28及び仮止め孔25の内周面は、ボルト21及び仮止めボルト22よりも大径の円筒状に形成される。また、仮止め孔29の内周面には、仮止めボルト22と螺合する溝が形成される。
【0017】
図4に示すように、インタークーラ6と接触するスロットルボデー5の端面には、ピン穴24が形成される。また、
図5に示すように、スロットルボデー5と接触するインタークーラ6の端面には、ピン26と挿通孔27とが形成される。スロットルボデー5のピン穴24は、インタークーラ6のピン26に係合する凹部であり、吸気通路の周囲の二箇所に設けられる。また、挿通孔27は、内周面にボルト21と螺合する溝が形成された円筒状の孔であり、吸気通路の周囲の三箇所に設けられる。
【0018】
図1に示すように、シリンダヘッド3と吸気マニホールド4とスロットルボデー5とに囲まれた空間内には、燃料噴射弁8に燃料を供給するデリバリパイプ7が配置される。デリバリパイプ7は、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態(
図1の上面視)において、スロットルボデー5と重なる位置に配置される。本実施形態では、デリバリパイプ7は内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態において、スロットルボデー5のインタークーラ6側の端部と重なっており、スロットルボデー5の吸気マニホールド4側の端部は、デリバリパイプ7よりも吸気マニホールド4側に位置している。また、インタークーラ6とスロットルボデー5と吸気マニホールド4とを繋ぐ吸気通路は、吸気マニホールド4に向かう下り傾斜形状に形成される。一方、吸気マニホールド4内の吸気通路は、内燃機関1のシリンダ14に向かう下り傾斜形状に形成される。
【0019】
吸気マニホールド4よりも下方にシリンダブロック2が配置され、吸気マニホールド4よりもシリンダブロック2の近くに、補機9が設けられる。補機9は、例えばオイルポンプやウォーターポンプ,電動機,発電機,噴射ポンプなどである。本実施形態では、補機9は、エンジンスタータとジェネレータとを兼ねたBSG(Belt-driven Starter Generator)である。補機9は、シリンダブロック2の一側面に取り付けられるとともに、一側面の法線方向(水平方向)でシリンダブロック2から離隔する方向に吸気マニホールド4よりも突出している。
図1に示すように、この補機9は、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態(上面視)において、吸気マニホールド4と重なる位置に配置される。また、この補機9は、内燃機関1を吸気ポート15側から眺めた状態(側面視)において、スロットルボデー5と重ならない位置に配置される。
図6に示す補機9の位置は、スロットルボデー5に対し、縦方向(上下方向)にも横方向(左右方向)にも離隔した位置に配置されている。
【0020】
[2.作用,効果]
(1)上記の内燃機関1では、シリンダヘッド3と吸気マニホールド4とスロットルボデー5とに囲まれた空間内にデリバリパイプ7を配置することで、デリバリパイプ7の保護性能を向上させることができる。また、上記の内燃機関1では、スロットルボデー5が吸気マニホールド4及びインタークーラ6の間に配置されるとともに、吸気マニホールド4及びインタークーラ6の双方に直接連結される。このような構造により、内燃機関1のコンパクト化が容易となるだけでなく、吸気マニホールド4の剛性や強度を向上させることができる。例えば、吸気マニホールド4が外力を受けた場合であっても、吸気マニホールド4を移動しにくくすることができる。なお、スロットルボデー5の移動は、インタークーラ6によって阻止される。これにより、吸気マニホールド4やスロットルボデー5とデリバリパイプ7との接触,干渉を効率的に防止することができ、デリバリパイプ7の変形や移動を阻止することができる。したがって、簡素な構成でデリバリパイプ7の保護性能を改善できる。
【0021】
(2)上記の実施例では、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態(
図1の上面視)において、デリバリパイプ7がスロットルボデー5と重なる位置に配置される。このような構造により、デリバリパイプ7の上方をスロットルボデー5で覆って保護することができ、デリバリパイプ7の保護性能をさらに改善できる。また、スロットルボデー5と吸気マニホールド4との固定箇所は、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態において、シリンダヘッド3よりも外側に配置される。このような構造により、例えば吸気マニホールド4が外力を受けた場合であっても、吸気マニホールド4の移動をシリンダヘッド3より外側に留めやすくすることができる。したがって、デリバリパイプ7の周辺の空間を確保することができ、デリバリパイプ7の保護性能をさらに改善できる。
【0022】
(3)上記の実施例では、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とインタークーラ6とがボルト21によって一体に共締めされる。このような構造により、吸気マニホールド4からインタークーラ6に至る吸気系の剛性,強度を高めることができ、デリバリパイプ7の保護性能をさらに向上させることができる。また、内燃機関1の組み立て作業の工数を削減できるとともに、吸気通路の芯合わせの精度を高めることができる。なお、仮止めボルト22と仮止め孔25とを設けることで、吸気マニホールド4とスロットルボデー5との接合精度を向上させることができるとともに、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とをあらかじめ接合しておくことで組付け作業性を向上させることができる。同様に、ピン穴24とピン26とを設けることで、スロットルボデー5とインタークーラ6との接合精度を向上させることができる。したがって、吸気マニホールド4とスロットルボデー5とインタークーラ6との三部材をボルト21で固定する際の位置ズレが生じにくく、内燃機関1の組み立ての作業性を向上させることができる。
【0023】
(4)上記の実施例では、内燃機関1を吸気ポート15側から眺めた状態(
図6)において、吸気マニホールド4よりもシリンダブロック2の近くに補機9が設けられる。この補機9は、内燃機関1をシリンダヘッド3側から眺めた状態(
図1の上面視)において、吸気マニホールド4と重なる位置に配置される。このような構造により、例えば補機9がデリバリパイプ7に接近する方向へ移動したときに、吸気マニホールド4を緩衝材として機能させることができる。したがって、補機9とデリバリパイプ7との干渉を防止することができ、デリバリパイプ7の保護性能をさらに向上させることができる。また、吸気マニホールド4の下方への移動を補機9で防止することができ、デリバリパイプ7の保護性能をさらに向上させることができる。
【0024】
(5)上記の実施例では、内燃機関1を吸気ポート15側から眺めた状態(
図6)において、スロットルボデー5と重ならない位置に補機9が配置される。このような構造により、例えば補機9がシリンダブロック2に向かって水平に移動したときに、補機9とスロットルボデー5との干渉を防止することができる。これにより、吸気マニホールド4がデリバリパイプ7に向かって移動することを、スロットルボデー5によって吸気マニホールド4を支えることで防ぐという機能を維持することができる。また、スロットルボデー5が補機9によって押されることがないため、スロットルボデー5に隣接するインタークーラ6の変形や移動を防止できる。
【0025】
(6)上記の内燃機関1では、
図1に示すように、シリンダヘッド3がシリンダブロック2の上方に配置される。また、インタークーラ6とスロットルボデー5と吸気マニホールド4とを繋ぐ吸気通路は、吸気マニホールド4に向かう下り傾斜形状に形成される。一方、吸気マニホールド4内の吸気通路は、内燃機関1のシリンダ14に向かう下り傾斜形状に形成される。このような構造により、インタークーラ6で発生した凝縮水を吸気側へ排出することができ、腐食の発生を防止することができる。また、インタークーラ6とスロットルボデー5と吸気マニホールド4とを繋ぐ吸気通路が傾斜しているため、水平方向に入力された外力を垂直方向に分散させることができる。例えば、吸気マニホールド4が外力を受けて水平方向へ移動しようとしたときに、外力の一部が吸気マニホールド4を鉛直上方へ移動させるように作用する。したがって、スロットルボデー5やインタークーラ6への入力荷重を小さくすることができる。
【0026】
[3.変形例]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせることができる。例えば、上述の実施例では、
図1に示すように、排気ポート16がやや下方を向いた姿勢になるように内燃機関1が傾斜するように配置された構造を例示したが、内燃機関1の搭載姿勢はこれに限定されない。例えば、シリンダ14の筒軸が鉛直になるように内燃機関1の向きを設定してもよいし、シリンダ14の筒軸が水平向きになるように内燃機関1の向きを設定してもよい。少なくとも、吸気マニホールド4及びインタークーラ6の間にスロットルボデー5を配置してこれらを一体に連結するとともに、シリンダヘッド3と吸気マニホールド4とスロットルボデー5とに囲まれた空間内にデリバリパイプ7を配置することで、上述の実施例と同様の作用効果を獲得できる。
【0027】
本出願は、2020年7月6日出願の日本出願(特願2020-116399)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本開示の内燃機関によれば、簡素な構成でデリバリパイプの保護性能を改善できる。
【符号の説明】
【0029】
1 内燃機関
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 吸気マニホールド
5 スロットルボデー
6 インタークーラ
7 デリバリパイプ
8 燃料噴射弁
9 補機
10 過給機
11 動弁機構
12 排気マニホールド
13 吸気管
14 シリンダ
15 吸気ポート
16 排気ポート
21 ボルト