(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】姿勢確認部材、姿勢確認システムおよびエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 7/12 20060101AFI20231121BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20231121BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B66B7/12 Z
B66B5/00 G
B66B5/02 C
(21)【出願番号】P 2023536236
(86)(22)【出願日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 JP2021027006
(87)【国際公開番号】W WO2023002535
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 哲朗
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-104477(JP,A)
【文献】特開2008-1494(JP,A)
【文献】特開2020-83612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0016117(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1447771(CN,A)
【文献】国際公開第2005/082763(WO,A1)
【文献】特開2019-119555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する第1反射体と、
エレベーターのかごと制御盤とを接続する制御ケーブルの表面において、前記制御ケーブルが基準姿勢である場合に前記かごの下部に設けられたカメラに撮影される位置であって、前記制御ケーブルの姿勢が前記基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合に前記カメラに撮影されない位置に前記第1反射体を取り付けている第1取付体と、
を備える姿勢確認部材。
【請求項2】
前記第1反射体は、反射する角度によって反射光の色を変化させる請求項1に記載の姿勢確認部材。
【請求項3】
光を反射する第2反射体と、
前記制御ケーブルの表面において、前記制御ケーブルが基準姿勢である場合に前記カメラに撮影されない位置であって、前記制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる前記第1姿勢である場合に前記カメラに撮影される位置に前記第2反射体を取り付けている第2取付体と、
を備える請求項1または請求項2に記載の姿勢確認部材。
【請求項4】
前記基準姿勢は、前記制御ケーブルの第1面が前記カメラの側を向く前記制御ケーブルの姿勢であり、
前記第1姿勢は、前記制御ケーブルがねじれた状態の姿勢であって、前記制御ケーブルの前記第1面とは反対側の第2面が前記カメラの側を向く前記制御ケーブルの姿勢である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の姿勢確認部材。
【請求項5】
エレベーターのかごの下部に設けられたカメラと、
光を反射する第1反射体と、
前記エレベーターの制御盤と前記かごとを接続する制御ケーブルの表面において、前記制御ケーブルが基準姿勢である場合に前記カメラに撮影される位置であって、前記制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合に前記カメラに撮影されない位置に前記第1反射体を取り付ける第1取付体と、
前記カメラが前記第1反射体を撮影した情報に基づいて、前記制御ケーブルが基準姿勢であるか否かを判定する解析装置と、
を備えた姿勢確認システム。
【請求項6】
エレベーターの昇降路の内部に設けられたかごと、
前記エレベーターのかごの運転を制御する制御盤と、
一端が前記制御盤に接続され、他端が前記かごに接続され、前記一端と前記他端との間の中間部が前記昇降路の内部で垂れ下がるよう配置され、前記かごと前記制御盤との間で信号を伝達する制御ケーブルと、
前記かごの下部に設けられたカメラと、
光を反射する複数の第1反射体と、
前記制御ケーブルの表面において、前記制御ケーブルが基準姿勢である場合に前記カメラに撮影される位置であって、前記制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合に前記カメラに撮影されない位置に前記複数の第1反射体をそれぞれ取り付けている複数の第1取付体と、
を備えたエレベーターシステム。
【請求項7】
前記複数の第1取付体は、前記制御ケーブルの前記中間部のうち、前記かごが最も低い位置に存在するときの折り返し部分から前記かごが最も高い位置に存在するときの前記かごの下端と同じ高さに存在する部分までの範囲に前記複数の第1反射体をそれぞれ取り付けている請求項6に記載のエレベーターシステム。
【請求項8】
前記基準姿勢は、前記制御ケーブルの第1面が前記カメラの側を向く前記制御ケーブルの姿勢であり、
前記第1姿勢は、前記制御ケーブルがねじれた状態の姿勢であって、前記制御ケーブルの前記第1面とは反対側の第2面が前記カメラの側を向く前記制御ケーブルの姿勢である請求項6または請求項7に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、姿勢確認部材、姿勢確認システムおよびエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの昇降路の監視装置を開示する。当該監視装置によれば、カメラは、かごの外側に設けられる。カメラは、昇降路の内部を撮影する。監視装置は、カメラが撮影した画像を画面に表示する。エレベーターの保守員は、監視装置が表示する画像に基づいて、昇降路内部の機器に異常が無いことを確認し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の監視装置において、昇降路内部が暗いため、制御ケーブルの姿勢に異常が無いことを画像から判断することが難しい。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、制御ケーブルの姿勢を容易に確認できる姿勢確認部材、姿勢確認システムおよびエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る姿勢確認部材は、光を反射する第1反射体と、エレベーターのかごと制御盤とを接続する制御ケーブルの表面において、制御ケーブルが基準姿勢である場合にかごの下部に設けられたカメラに撮影される位置であって、制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合にカメラに撮影されない位置に第1反射体を取り付けている第1取付体と、を備えた。
【0007】
本開示に係る姿勢確認システムは、エレベーターのかごの下部に設けられたカメラと、光を反射する第1反射体と、エレベーターの制御盤とかごとを接続する制御ケーブルの表面において、制御ケーブルが基準姿勢である場合にカメラに撮影される位置であって、制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合にカメラに撮影されない位置に第1反射体を取り付ける第1取付体と、カメラが第1反射体を撮影した情報に基づいて、制御ケーブルが基準姿勢であるか否かを判定する解析装置と、を備えた。
【0008】
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターの昇降路の内部に設けられたかごと、エレベーターのかごの運転を制御する制御盤と、一端が制御盤に接続され、他端がかごに接続され、一端と他端との間の中間部が昇降路の内部で垂れ下がるよう配置され、かごと制御盤との間で信号を伝達する制御ケーブルと、かごの下部に設けられたカメラと、光を反射する複数の第1反射体と、制御ケーブルの表面において、制御ケーブルが基準姿勢である場合にカメラに撮影される位置であって、制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合にカメラに撮影されない位置に複数の第1反射体をそれぞれ取り付けている複数の第1取付体と、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、制御ケーブルの姿勢が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合に、第1反射体は、カメラに撮影されない。このため、制御ケーブルの姿勢を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1における姿勢確認部材が適用されるエレベーターシステムの概要図である。
【
図2】実施の形態1における姿勢確認システムが適用されるエレベーターのかごを下側からみた図である。
【
図3】実施の形態1における姿勢確認システムの照明とカメラとを示す図である。
【
図4】実施の形態1における姿勢確認部材と制御ケーブルとが写る画像を示す図である。
【
図5】実施の形態2における姿勢確認システムの概要を示す図である。
【
図6】実施の形態2における姿勢確認システムの解析装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1における姿勢確認部材が適用されるエレベーターシステムの概要図である。
【0013】
図1のエレベーターシステム1は、建築物2に設けられる。昇降路3は、建築物2の各階を貫く。機械室4は、昇降路3の上方に設けられる。巻上機5は、機械室4の内部に設けられる。主ロープ6は、巻上機5に巻き掛けられる。
【0014】
かご7は、昇降路3の内部に設けられる。かご7は、主ロープ6の一側に吊るされる。釣合おもり8は、昇降路3の内部に設けられる。釣合おもり8は、主ロープ6の他側に吊るされる。
【0015】
制御盤9は、機械室4に設けられる。制御盤9は、エレベーターシステム1を全体的に制御し得るように設けられる。
【0016】
制御ケーブル10は、信号を伝達するケーブルである。制御ケーブル10は、第1面10aと第2面10bとを有する。第1面10aと第2面10bとは、平坦な面である。第2面10bは、第1面10aとは反対を向く。
【0017】
制御ケーブル10の一端は、制御盤9に接続される。制御ケーブル10の他端は、かご7に接続される。制御ケーブル10において、一端と他端との間の中間部は、昇降路3の内部に垂れ下がる。具体的には、制御ケーブル10の一端部は、制御盤9から下方に伸びる。制御ケーブル10の他端部は、かご7から下方に伸びる。制御ケーブル10の他端部から伸びた中間部は、かご7の下方において長手方向が上を向くよう折り返す。制御ケーブル10の中間部は、折り返し部分から一端部へ向かって上方へ伸びる。この状態において、制御ケーブル10の第1面10aは、制御ケーブル10の折り返し部分の内周側に位置する。制御ケーブル10が基準姿勢である場合、第1面10aのうち折り返し部分よりも制御盤9の側の部分は、昇降路3の中心を向く。制御ケーブル10の第2面10bは、制御ケーブル10の折り返し部分の外周側に位置する。
【0018】
姿勢確認システム20は、昇降路3の内部に存在する物体の姿勢を監視する。姿勢確認システム20は、照明ユニット21とカメラ22と電源線23と携帯端末24と遠隔監視装置25と複数の姿勢確認部材26とを備える。
【0019】
照明ユニット21は、かご7の下部に設けられる。カメラ22は、かご7の下部に設けられる。電源線23の一端は、カメラ22に機械的かつ電気的に接続される。電源線23の他端は照明ユニット21に機械的かつ電気的に接続される。
【0020】
例えば、携帯端末24は、専用のソフトウェアを実行可能なスマートフォンである。例えば、携帯端末24は、エレベーターシステム1の保守員に所持される。携帯端末24は、カメラ22と通信し得るよう設けられる。
【0021】
遠隔監視装置25は、機械室4に設けられる。遠隔監視装置25は、制御盤9からエレベーターシステム1の制御情報を取得し得るよう設けられる。遠隔監視装置25は、制御ケーブル10の内部に束ねられた信号線を介して照明ユニット21と電気的に接続される。遠隔監視装置25は、携帯端末24と通信し得るよう設けられる。
【0022】
複数の姿勢確認部材26の各々は、制御ケーブル10に取り付けられる。複数の姿勢確認部材26は、制御ケーブル10の一部の姿勢が正常な状態からねじれた状態になったことを外観から確認可能にする部材である。例えば、複数の姿勢確認部材26は、複数の第1反射材27と複数の第2反射材28とからなる。
【0023】
第1反射材27は、第1反射体27aと第1取付体27bとからなる。第1反射体27aは、光を反射する性質を有する。例えば、第1反射体27aは、光を再帰反射するプリズムレンズである。第1取付体27bは、第1反射体27aを制御ケーブル10の表面に取り付ける。具体的には、例えば、第1取付体27bは、接着剤である。
【0024】
複数の第1反射材27の各々は、制御ケーブル10の第1面10aに取り付けられる。複数の第1反射材27は、制御ケーブル10の長手方向に規定の間隔で並ぶ。複数の第1反射材27は、第1面10aにおいて、かご7が最も低い位置に存在する時の制御ケーブル10の折り返し部分から制御盤9へ向かう部分に設けられる。複数の第1反射材27は、第1面10aにおいて、かご7が最も高い位置に存在する時のかご7の下端と同じ高さまで設けられる。
【0025】
第2反射材28は、第2反射体28aと第2取付体28bとからなる。第2反射体28aは、光を反射する性質を有する。例えば、第2反射体28aは、光を再帰反射するプリズムレンズである。第2反射体28aは、第1反射体27aと識別し得るよう設けられる。例えば、第2反射体28aの色は、第1反射体27aの色と異なる。第2取付体28bは、第2反射体28aを制御ケーブル10の表面に取り付ける。具体的には、例えば、第2取付体28bは、接着剤である。
【0026】
複数の第2反射材28の各々は、制御ケーブル10の第2面10bに取り付けられる。複数の第2反射材28は、制御ケーブル10の長手方向に規定の間隔で並ぶ。複数の第2反射材28は、第2面10bにおいて、かご7が最も低い位置に存在する時の制御ケーブル10の折り返し部分から制御盤9へ向かう部分に設けられる。複数の第2反射材28は、第2面10bにおいて、かご7が最も高い位置に存在する時のかご7の下端と同じ高さまで設けられる。
【0027】
例えば、エレベーターシステム1において、制御盤9は、制御ケーブル10を介してかご7からかご呼び登録の情報を受信する。制御盤9は、巻上機5を回転させる。主ロープ6は、巻上機5の回転に追従して移動する。かご7と釣合おもり8とは、主ロープ6の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。制御ケーブル10の他端は、かご7の昇降に追従して上下方向に移動する。制御ケーブル10の中間部における折り返し部分の位置は、制御ケーブル10の他端の移動に追従して上下に変化する。
【0028】
エレベーターシステム1の保守員は、携帯端末24に対して点検操作を行う。この場合、携帯端末24は、遠隔監視装置25に起動信号を送信する。遠隔監視装置25は、携帯端末24からの起動信号に基づいて、照明ユニット21に電力を供給する。照明ユニット21は、当該電力の一部を利用して点灯する。照明ユニット21は、電源線23を介して当該電力の他部をカメラ22に供給する。
【0029】
照明ユニット21は、電力の供給を受けることで点灯する。カメラ22は、電力の供給を受けることでかご7よりも下方に存在する制御ケーブル10の画像を撮影する。例えば、カメラ22は、通常運転の状態でかご7が最下部から最上部まで移動する際に、制御ケーブル10が写る複数の画像を撮影する。また、カメラ22は、通常運転の状態でかご7が最上部から最下部まで移動する際に、制御ケーブル10が写る複数の画像を撮影する。
【0030】
制御ケーブル10が正常な状態である基準姿勢である場合、制御ケーブル10の第1面10aのうち折り返し部分よりも制御盤9の側の部分は、カメラ22の側を向く。この状態において、制御ケーブル10の折り返し部分よりも制御盤9の側に取り付けられ、かつかご7よりも下方に位置する第1反射材27は、カメラ22が撮影する画像における規定の範囲に写る。制御ケーブル10が基準姿勢である場合、複数の第2反射材28のうち制御ケーブル10の折り返し部分よりも制御盤9の側に取り付けられた第2反射材28は、当該画像における規定の範囲に写らない。
【0031】
制御ケーブル10がねじれた状態などの基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合、第1面10aのうち折り返し部分よりも制御盤9の側の部分は、カメラ22とは反対側を向く。第2面10bのうち折り返し部分よりも制御盤9の側の部分は、カメラ22の側を向く。この場合、制御ケーブル10の折り返し部分よりも制御盤9の側に取り付けられ、かつかご7よりも下方に位置する複数の第1反射材27のうち1以上の第1反射材27は、当該画像に写らない。また、制御ケーブル10が第1姿勢である場合、制御ケーブル10の折り返し部分よりも制御盤9の側に取り付けられた複数の第2反射材28のうち1以上の第2反射材28は、当該画像に写る。
【0032】
カメラ22は、無線電波によって撮影した画像の情報を送信する。携帯端末24は、画像の情報を示す無線電波を受信する。携帯端末24の画面には、受信した画像が表示される。保守員は、携帯端末24に表示された画像を肉眼で確認することで制御ケーブル10が基準姿勢であるか否かを判断する。例えば、当該画像において第1反射材27が規定の範囲に写っている場合、保守員は、制御ケーブル10が基準姿勢であると判断する。例えば、当該画像において折り返し部分よりも制御盤9の側に取り付けられた第2反射材28が写っている場合、保守員は、制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢であると判断する。この場合、保守員は、制御ケーブル10の姿勢を点検する作業を行う。
【0033】
次に、
図2と
図3とを用いて、照明ユニット21とカメラ22とを説明する。
図2は実施の形態1における姿勢確認システムが適用されるエレベーターのかごを下側からみた図である。
図3は実施の形態1における姿勢確認システムの照明とカメラとを示す図である。
【0034】
図2に示されるように、照明ユニット21は、かご7の下部において、かご7の下方を照らし得る向きに設けられる。カメラ22は、かご7の下部において、制御ケーブル10を含むかご7の下方を撮影し得る向きに設けられる。
【0035】
図3に示されるように照明ユニット21は、ソケット29とアダプタ30と電球31とを備える。
【0036】
ソケット29は、かご7の下部において梁に固定される。ソケット29は、
図3には図示されない遠隔監視装置25と電気的に接続される。アダプタ30は、ソケット29に機械的かつ電気的に接続される。電球31は、アダプタ30に機械的かつ電気的に接続される。
【0037】
電源線23の他端は、プラグ23aを有する。電源線23は、プラグ23aを介してアダプタ30に機械的かつ電気的に接続される。
【0038】
アダプタ30は、ソケット29に供給された電力を電球31とカメラ22とに分配する。
【0039】
カメラ22は、アンテナ32を備える。アンテナ32は、カメラ22が撮影した画像の情報を示す電波を発信し得るよう設けられる。
【0040】
次に、
図4を用いて、カメラ22が撮影する画像の例を説明する。
図4は実施の形態1における姿勢確認部材と制御ケーブルとが写る画像を示す図である。
【0041】
図4において、破線で囲われた範囲Aは、
図4には図示されないカメラ22が撮影した画像に設定される規定の範囲である。例えば、規定の範囲として、制御ケーブル10のうち折り返し部分よりも
図4には図示されない制御盤9の側に位置する部分が存在する範囲が設定される。
【0042】
また、一点鎖線で囲われた範囲Bには、第2反射材28の像が存在する。範囲Bが破線で囲われた範囲Aではないため、保守員は、当該制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢であるとは判断しない。
【0043】
以上で説明した実施の形態1によれば、姿勢確認部材26は、第1反射体27aと第1取付体27bとを備える。第1反射体27aは、光を反射する。このため、第1反射体27aは、カメラ22が撮影する画像において容易に視認され得る。また、第1取付体27bは、制御ケーブル10が基準姿勢である場合にカメラ22に撮影され、制御ケーブル10が基準姿勢とは異なる第1姿勢である場合にカメラ22に撮影されない位置に第1反射体27aを取り付ける。このため、カメラ22に撮影された画像において、制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢となっていることを容易に確認できる。なお、基準姿勢は、第1面10aがカメラ22を向く制御ケーブル10の姿勢である。第1姿勢は、第2面10bがカメラ22を向く制御ケーブル10の姿勢である。
【0044】
なお、第1反射体27aは、光を反射する角度によって反射光の色を変化させる性質を有していてもよい。カメラ22が撮影した画像における第1反射体27aの像の色は、制御ケーブル10の中間部の姿勢に応じて変化する。この場合、保守員は、制御ケーブル10が基準姿勢である状態の第1反射体27aの像の色に基づいて制御ケーブル10の姿勢を判断してもよい。このため、制御ケーブル10の姿勢をより容易に確認できる。
【0045】
また、姿勢確認部材26は、第2反射体28aと第2取付体28bとを備える。第2反射体28aは、光を反射する。このため、制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢である場合に、作業員は、カメラ22が撮影した画像において第2反射体28aの像を容易に視認できる。また、第2取付体28bは、第2反射体28aを制御ケーブル10が基準姿勢である場合にカメラ22に撮影されず、制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢である場合にカメラ22に撮影される。このため、制御ケーブル10の姿勢を容易に確認できる。
【0046】
また、複数の第1取付体27bは、制御ケーブル10の第1面10aのうちかご7が最も低い位置に存在する状態からかご7が最も高い位置に存在する状態までの間、カメラ22が撮影可能な位置に複数の第1反射体27aを取り付ける。このため、昇降路3の内部のほぼ全体にわたって制御ケーブル10の姿勢を確認できる。
【0047】
なお、実施の形態1の姿勢確認システム20によれば、カメラ22は、エレベーターシステム1が通常運転をしている時に制御ケーブル10を撮影する。この際、制御ケーブル10は、通常の自動運転と同じ速度で移動する。このため、姿勢確認システム20は、通常の自動運転における制御ケーブル10の動きの動特性を確認できる。また、制御ケーブル10の動特性は、昇降路3の下部にいる保守員が目視で確認をすることがある。この場合、かご7は、自動運転よりも遅い手動運転で移動する。制御ケーブル10の動特性は、かご7が手動運転で上方へ移動する条件でのみ確認される。実施の形態1の姿勢確認システム20によれば、かご7が自動運転の速度で昇降する条件における制御ケーブル13の動特性を確認することができる。
【0048】
なお、カメラ22は、連続した画像である動画の情報を携帯端末24に送信してもよい。
【0049】
なお、カメラ22は、制御ケーブル10に限らない昇降路3の内部の機器を撮影する用途で設置されたカメラであってもよい。このため、姿勢確認システム20を安価に構成することができる。
【0050】
なお、第2反射体28aは、形状によって第1反射体27aと区別し得るよう設けられてもよい。
【0051】
なお、第1取付体27bおよび第2取付体28bは、接着剤ではなく、ベルト、金具、等の第1反射体27aまたは第2反射体28aを制御ケーブル10に取り付けることができる部品であってもよい。
【0052】
実施の形態2.
図5は実施の形態2における姿勢確認システムの概要を示す図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0053】
図5に示されるように、実施の形態2において、姿勢確認システム20は、解析装置40を更に備える。
【0054】
解析装置40は、建築物2とは別の建築物に設けられる。例えば、解析装置40は、エレベーターシステム1を保守管理する会社の情報センターに設けられる。解析装置40は、監視回線を通じて遠隔監視装置25と通信し得るよう設けられる。
【0055】
解析装置40は、カメラ22が制御ケーブル10と複数の姿勢確認部材26とを撮影した比較画像に基づいて、制御ケーブル10が基準姿勢であるか否かを判定する。具体的には、解析装置40は、基準姿勢の状態の制御ケーブル10と複数の姿勢確認部材26とが写る基準画像と比較画像との差異を検出することで、制御ケーブル10が基準姿勢であるか否かを判定する。例えば、解析装置40は、第2反射材28の像の位置が基準画像と比較画像とで異なることを検出した場合、制御ケーブル10が基準姿勢でないと判定する。
【0056】
実施の形態2において、遠隔監視装置25は、カメラ22から画像の情報を受信し得るよう設けられる。
【0057】
遠隔監視装置25は、規定の周期でカメラ22に制御ケーブル10の画像を撮影させる。例えば、エレベーターシステム1が通常運転している状態で、遠隔監視装置25は、照明ユニット21とカメラ22とに電力を供給する。かご7が昇降路3の下部から上部へ移動する間に、カメラ22は、制御ケーブル10を撮影する。カメラ22は、撮影した複数の画像の情報を遠隔監視装置25に送信する。
【0058】
遠隔監視装置25は、カメラ22から受信した画像の情報を記憶する。遠隔監視装置25は、カメラ22から受信した画像の情報を解析装置40へ定期的に送信する。解析装置40は、受信した画像の情報に基づいて制御ケーブル10が基準姿勢であるか否かを判定する。例えば、制御ケーブル10が基準姿勢でないと判定された場合、保守管理する会社の作業員は、保守員を建築物2に派遣する。
【0059】
以上で説明した実施の形態2によれば、姿勢確認システム20は、カメラ22と第1反射体27aと第1取付体27bと解析装置40とを備える。解析装置40は、カメラ22が撮影した画像の情報に基づいて制御ケーブル10が基準姿勢とは別の姿勢であるか否かを判定する。第1反射体27aと第1取付体27bとが制御ケーブル10に設けられるため、解析装置40は、制御ケーブル10の姿勢を容易に確認できる。その結果、制御ケーブル10の姿勢を監視することができる。
【0060】
なお、解析装置40は、比較画像における規定の範囲に第2反射材28の像が存在することを検出した場合、制御ケーブル10が基準姿勢でないと判定してもよい。
【0061】
なお、解析装置40は、制御ケーブル10が基準姿勢とは異なる第1姿勢であるか否かを判定してもよい。
【0062】
なお、遠隔監視装置25は、カメラ22が撮影した複数の画像を繋ぎ合わせ、昇降路3の下部から上部が写るパノラマ画像の情報を記憶してもよい。この場合、解析装置40は、当該パノラマ画像の情報に基づいて、制御ケーブル10が基準姿勢でないと判定してもよい。
【0063】
次に、
図6を用いて、解析装置40を構成するハードウェアの例を説明する。
図6は実施の形態2における姿勢確認システムの解析装置のハードウェア構成図である。
【0064】
解析装置40の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0065】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、解析装置40の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、解析装置40の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0066】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、解析装置40の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、解析装置40の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0067】
解析装置40の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、遠隔監視装置25から情報を受信する機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、遠隔監視装置25から情報を受信する機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0068】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで解析装置40の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本開示に係る姿勢確認部材および姿勢確認システムは、エレベーターシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 エレベーターシステム、 2 建築物、 3 昇降路、 4 機械室、 5 巻上機、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合おもり、 9 制御盤、 10 制御ケーブル、 10a 第1面、 10b 第2面、 20 姿勢確認システム、 21 照明ユニット、 22 カメラ、 23 電源線、 23a プラグ、 24 携帯端末、 25 遠隔監視装置、 26 姿勢確認部材、 27 第1反射材、 27a 第1反射体、 27b 第1取付体、 28 第2反射材、 28a 第2反射体、 28b 第2取付体、 29 ソケット、 30 アダプタ、 31 電球、 32 アンテナ、 40 解析装置、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア