(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ルテインおよび/またはゼアキサンチンの新規の錠剤化可能な製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/07 20060101AFI20231121BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20231121BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231121BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20231121BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231121BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231121BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231121BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61K31/07
A23L33/10
A23L33/105
A61K9/16
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/36
A61P3/02 102
(21)【出願番号】P 2018549228
(86)(22)【出願日】2017-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2017057812
(87)【国際公開番号】W WO2017168005
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-01-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-29
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】エストレリャ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
(72)【発明者】
【氏名】ミジック, ズドラブカ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ベック, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュレーゲル, バーンド
(72)【発明者】
【氏名】アーバン, カイ
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】田中 耕一郎
【審判官】渕野 留香
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-512657(JP,A)
【文献】特表2010-533667(JP,A)
【文献】特開2001-058945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/327
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
A61P1/00-43/00
A23L33/10,33/105
CAplus/REGISTRY/WPIDS(STN)
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕カロテノイド、少なくとも1つの親水コロイド、グルコースシロップ、スクロースおよび水溶性酸化防止剤を含む固体製剤であって、
前記カロテノイドが、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択され、
前記親水コロイドが、食品用加工デンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択され、
前記粉砕カロテノイドが、以下の粒径分布:
0.6~1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1~3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、固体製剤。
【請求項2】
前記固体製剤が顆粒の形態である、請求項1に記載の固体製剤。
【請求項3】
前記顆粒が、以下の粒径分布:
200~300μmの範囲のD[3,2]、および220~320μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値が、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折により測定したときの値である、請求項2に記載の固体製剤。
【請求項4】
前記スクロースの量が、前記製剤の全重量に基づいて、0.1~40重量%の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項5】
前記カロテノイドの量が、前記製剤の全重量に基づいて、1~30重量%の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項6】
前記カロテノイドがルテインおよびゼアキサンチンの混合物であり、ルテイン対ゼアキサンチンのモル比が20:1~2:1の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項7】
前記食品用加工デンプンの量が、前記製剤の全重量に基づいて、10~50重量%の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項8】
前記グルコースシロップの量が、前記製剤の全重量に基づいて、0.1~40重量%の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項9】
前記水溶性酸化防止剤の量が、前記製剤の全重量に基づいて、0.1~10重量%の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項10】
前記粉砕カロテノイドの量、前記少なくとも1つの食品用加工デンプンの量、前記グルコースシロップの量、前記スクロースの量および前記水溶性酸化防止剤の量が合計して、前記製剤の全重量に基づいて、少なくとも90重量%の量である、請求項1~9のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項11】
前記製剤が油を全く含有しない、請求項1~10のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項12】
前記製剤が、以下の化合物:加水分解レシチン産物、アラビアガム、脂溶性酸化防止剤、イソマルト、α-ゼアカロテンおよびβ-ゼアカロテンをいずれも含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の固体製剤。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の固体製剤を含む、ダイエットサプリメント。
【請求項14】
ビタミン、ミネラル塩および/または微量の元素を更に含む、請求項13に記載のダイエットサプリメント。
【請求項15】
前記ダイエットサプリメントが錠剤の形態である、請求項13または14に記載のダイエットサプリメント。
【請求項16】
前記錠剤が、カロテノイドの総量に基づいて、前記カロテノイドの12%未満の圧縮損失を有する、請求項15に記載のダイエットサプリメント。
【請求項17】
前記錠剤が、20~25kNの圧縮力を加えたときに少なくとも160Nの破砕力としての硬度を有する、請求項15または16に記載のダイエットサプリメント。
【請求項18】
ダイエットサプリメント用の添加剤としての、請求項1~12のいずれか一項に記載の固体製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、粉砕カロテノイド、少なくとも1つの親水コロイド、グルコースシロップ、スクロースおよび少なくとも1つの水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)を含む固体製剤に関し、ここで、カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択され、親水コロイドは、食品用加工デンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択され、粉砕カロテノイドは、以下の粒径分布:
0.6~1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1~3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である。
【0002】
好ましくは、本発明に従う固体製剤中に、食品用加工デンプン以外の親水コロイドは全く存在しない。
【0003】
好ましくは、粒径分布は、再分散された製剤を超音波で処理し、遠心分離した後に測定される。
【0004】
好ましくは、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときに、D[3,2]は0.8~1.2μmの範囲であり、より好ましくは、D[3,2]は0.8~1.1μmの範囲である。
【0005】
フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときに、D[v,0.5]は、好ましくは1.1~2.6μmの範囲であり、より好ましくは、D[v,0.5]は1.1~2.1μmの範囲である。
【0006】
この固体製剤は、ダイエットサプリメントおよび医薬品のために使用される顆粒の形態である。これらのダイエットサプリメントおよび医薬品はそれぞれ、好ましくは、例えば、マルチビタミンおよび/またはマルチミネラル錠剤などの錠剤の形態である。
【0007】
顆粒の粒径分布は、好ましくは、以下の通りである:
200~300μmの範囲(好ましくは、230~270μmの範囲)のD[3,2]、および220~320μmの範囲(好ましくは、240~290μmの範囲)のD[v,0.5]。全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である。
【0008】
好ましくは、カロテノイドはルテインである。ルテインは、目の健康において重要な役割を果たす。従って、ルテインを含むダイエットサプリメント(特に、錠剤の形態)に対する大きな需要がある。錠剤は、通常、ルテインをそのままでは含有せず、製剤の形態で含有し、ここで、ルテインは、ルテインを分解および酸化から保護する親水コロイドのマトリックス内に埋め込まれている。これまで、市場に出ているこのようなルテイン錠剤は、高い圧縮損失を示すという不都合を有する。
【0009】
圧縮損失は、画定された条件下で錠剤化された後、有機溶媒によって製剤から抽出可能なカロテノイド(特に、ルテイン)の割合として定義される。
【0010】
圧縮損失は、(医薬品)錠剤の貯蔵期間に関連するパラメータ、すなわち(医薬品)錠剤中でのカロテノイド(特に、ルテイン)の安定性のパラメータである。圧縮損失がより小さければ、錠剤の貯蔵期間は長くなる。
【0011】
圧縮損失は、
・ 乳鉢の使用により、製剤自体が破壊されないように錠剤を慎重に粉砕して混合物にし、
・ 圧搾されたカロテノイド(特に、ルテイン)だけが溶解されるように、前記混合物を適切な溶媒(例えば、塩化メチレンまたは石油エーテル)で処理し、
・ 溶液(溶媒+カロテノイド、特にルテイン)を別の溶媒(シクロヘキサンまたはイソプロパノール)で希釈し、
・ 溶液の吸収を測定することにより、溶媒中のカロテノイド(特に、ルテイン)を分析的に決定し、
・ 圧搾されたカロテノイド(特に、ルテイン)の総量の割合を計算する
ことによって決定される。
【0012】
重要:製剤のマトリックスは、有機溶媒に可溶であってはならない。
【0013】
本発明の製剤は、安定したルテインの錠剤/ダイエットサプリメントの調製に特に適している。
【0014】
好ましくは、このような錠剤は、12%以下、好ましくは10%以下のカロテノイド(特に、ルテイン)の圧縮損失(すなわち、0~10%の範囲の圧縮損失)を示す。すなわち、本発明に従う製剤を含む錠剤の表面に存在するカロテノイド(特に、ルテイン)の量は、錠剤中のカロテノイド(特に、ルテイン)の全重量に基づいて、12重量%以下、好ましくは10重量%以下である。このような錠剤の表面に存在するカロテノイド(特に、ルテイン)は、親水コロイドによってカロテノイド(特に、ルテイン)がもはや酸化に対して保護されないので、著しく不利である。5~12.5重量%の範囲の圧縮損失は、ほとんどの目的のために事実上受け入れられる。
【0015】
[本発明に従うダイエットサプリメント/錠剤]
本発明に従う製剤は、上記のような優先度を有するダイエットサプリメント(特に、錠剤の形態)の調製に特に適している。
【0016】
従って、本発明は、本発明に従う製剤を含む錠剤にも関する。
【0017】
それらの錠剤は、ビタミン、ミネラル塩および/または微量の元素を更に含んでいてもよい。
【0018】
ビタミンの例は、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビオチン、葉酸、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸および/またはパントテネートである。これらの化合物の代わりに、例えば、そのエステルおよび塩などの対応する誘導体も使用され得る。
【0019】
ミネラル塩の例は、カルシウム、リン、マグネシウム、カリウム、および塩化物の塩である。
【0020】
微量の元素の例は、クロム、コバルト、鉄、フッ素(フッ化物塩として摂取)、ヨウ素(ヨウ化物塩として摂取)、銅、マンガン、モリブデン、セレン、ケイ素および亜鉛である。
【0021】
本発明に従う固体製剤は、より詳細にこれから説明される。
【0022】
[本発明に従う製剤]
[ルテイン]
出発材料として、最も好ましくは、50~80重量%のルテイン含量を有する、Kemin Foods(US)から入手可能ないわゆる「ルテインケーキ」が使用される。このルテインケーキは、マリーゴールドの花を抽出することによって得られる。ルテインケーキはゼアキサンチンも含有し、ルテイン対ゼアキサンチンのモル比は約9:1である。任意の他の天然源から、または発酵によって、または化学合成によって得られるルテインも使用され得る。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、ルテインおよび/またはゼアキサンチンを除いて他のカロテノイドは全く存在しない。出発材料、例えば「ルテインケーキ」中に既に微量で存在し得るカロテノイドは、この除外に含まれない。
【0024】
[カロテノイドの量]
カロテノイドの量は、顆粒の全重量に基づいて、好ましくは1~30重量%の範囲、より好ましくは5~25重量%の範囲、更により好ましくは5~17重量%の範囲、最も好ましくは10~17重量%の範囲である。
【0025】
カロテノイドがルテインおよびゼアキサンチンの混合物である場合、そのモル比は好ましくは20:1~2:1の範囲であり、より好ましくは、そのモル比は10:1~4:1の範囲である。
【0026】
[親水コロイド]
親水コロイドは、食品用加工デンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択される。好ましいのは、いわゆるOSAデンプンである。
【0027】
[「食品用加工デンプン」]
食品用加工デンプンは、親水性部分および親油性部分を提供する化学構造を有するように既知の方法によって化学的に加工された食品用デンプンである。好ましくは、食品用加工デンプンは、その構造の一部として長い炭化水素鎖(好ましくは、C5~C18)を有する。
【0028】
本発明の固体製剤を作るために、好ましくは、少なくとも1つの食品用加工デンプンが使用されるが、1つの固体製剤において2つ以上の異なる食品用加工デンプンの混合物を使用することも可能である。
【0029】
デンプンは親水性であり、従って、乳化力を有さない。しかしながら、食品用加工デンプンは、既知の化学的方法によって疎水性部分で置換されたデンプンから作られる。例えば、デンプンは、炭化水素鎖で置換された無水コハク酸などの環状ジカルボン酸無水物によって処理され得る(O.B.Wurzburg(編),“Modified Starches:Properties and Uses,CRC Press,Inc.Boca Raton,Florida,1986、および続版を参照)。本発明の特に好ましい食品用加工デンプンは、以下の式(I)
【化1】
を有し、式中、Stはデンプンであり、Rはアルキレンラジカルであり、R’は疎水性基である。好ましくは、Rは、ジメチレンまたはトリメチレンなどの低級アルキレンラジカルである。R’は、好ましくは5~18個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり得る。式(I)の好ましい化合物は、「OSA-デンプン」(オクテニルコハク酸デンプンナトリウム)である。置換度、すなわち、非エステル化遊離ヒドロキシル基の数に対するエステル化ヒドロキシル基の数は、通常、0.1%~10%の範囲、好ましくは0.5%~4%の範囲、より好ましくは3%~4%の範囲で異なる。
【0030】
「OSA-デンプン」という用語は、オクテニルコハク酸無水物(OSA)で処理された任意のデンプン(コーン、ワクシーメイズ、ワクシーコーン、小麦、タピオカおよびジャガイモなどの任意の天然源からのもの、あるいは合成されたもの)を示す。置換度、すなわち、非エステル化遊離ヒドロキシル基の数に対するOSAでエステル化されたヒドロキシル基の数は、通常、0.1%~10%の範囲、好ましくは0.5%~4%の範囲、より好ましくは3%~4%の範囲で異なる。OSA-デンプンは、「食品用加工デンプン」という語句でも知られている。
【0031】
「OSA-デンプン」という用語は、例えば、商品名HiCap 100、Capsul(オクテニルブタン二酸アミロデキストリン)、Capsul HS、Purity Gum 2000、Clear Gum Co03、UNI-PURE、HYLON VIIでNational Starch/lngredionから;それぞれ、National StarchおよびRoquette Freresから;商品名C*EmCapでCereStar/Cargillから、またはTate&Lyleから市販されているようなデンプンも包含する。
【0032】
[少なくとも1つの親水コロイド(加工デンプン/OSAデンプン)の量]
食品用加工デンプン(好ましくは、OSAデンプン)の量は、製剤の全重量に基づいて、好ましくは、10~50重量%の範囲、より好ましくは25~45重量%の範囲である。
【0033】
[グルコースシロップ]
グルコースシロップは、そのままで使用することもできるし、あるいは乾燥形態で使用することもできる。いずれも、市販のデンプン加水分解物、すなわち、単糖、オリゴ糖および多糖の混合物である。本発明によると、好ましくは、乾燥グルコースシロップが使用される。乾燥グルコースシロップについて示される優先度は、非乾燥グルコースシロップにも当てはまる。
【0034】
「デキストロース当量」(DE)という用語は加水分解度を示し、乾燥重量に基づいてD-グルコースとして計算される還元糖の量の尺度であり、スケールは、DEが0に近い天然デンプンと、DEが100であるグルコースとを基準とする。
【0035】
乾燥グルコースシロップは、非乾燥グルコースシロップと同様に、通常、20よりも高いそのDE価によって分類される。本発明によると、好ましくは、20~95の範囲、より好ましくは20~30の範囲、最も好ましくは20~23の範囲のDEを有する乾燥グルコースシロップが使用される。
【0036】
本発明の別の実施形態では、2つのグルコースシロップの混合物が使用され、一方は、低いDE、好ましくは25以下のDE、より好ましくは20~25の範囲のDEを有し、他方は、高いDE、好ましくは90以上のDE、より好ましくは90~100の範囲のDEを有する。
【0037】
[乾燥グルコースシロップの量]
乾燥グルコースシロップの量は、製剤の全重量に基づいて、0.1~40重量%の範囲、好ましくは5~40重量%の範囲、より好ましくは10~30重量%の範囲、最も好ましくは15~25重量%の範囲である。
【0038】
非乾燥グルコースシロップが使用される場合、同じ量で使用される。
【0039】
[スクロース(=サッカロース)]
本発明の好ましい実施形態では、食品用加工デンプン対乾燥グルコースシロップ対スクロースの重量比は、(1.5~2.5)対(0.5~1.5)対(0.5~1.5)であり、より好ましくは、(1.8~2.2)対(0.8~1.2)対(0.8~1.2)であり、最も好ましくは、2対1対1である。
【0040】
[スクロースの量]
スクロースの量は、製剤の全重量に基づいて、0.1~40重量%の範囲、好ましくは5~40重量%の範囲であり、より好ましくは、10~30重量%の範囲であり、最も好ましくは、15~25重量%の範囲である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、乾燥グルコースシロップの量およびスクロースの量は、キログラム単位で同一である。本発明の更に好ましい実施形態では、キログラム単位の食品用加工デンプンの量は、キログラム単位の乾燥グルコースシロップおよびスクロースの総量と同じ量である。
【0042】
[水溶性酸化防止剤]
好ましくは、水溶性酸化防止剤はアスコルビン酸ナトリウムであるが、食品グレードであり、従って人が消費するのに適している他の水溶性酸化防止剤も使用され得る。
【0043】
[水溶性酸化防止剤の量]
水溶性酸化防止剤(特に、アスコルビン酸ナトリウム)の量は、製剤の全重量に基づいて、好ましくは0.1~10重量%の範囲、より好ましくは2~7重量%の範囲、最も好ましくは4~6重量%の範囲である。
【0044】
また本発明の製剤は、製剤の全重量に基づいて、最大で7重量%までの水を含有していてもよく、好ましくは、最大で5重量%までの水を含有する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、粉砕カロテノイドの量、少なくとも1つの食品用加工デンプンの量、乾燥グルコースシロップの量、スクロースの量および水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)の量は合計して、好ましくは、製剤の全重量に基づいて、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%の量である。
【0046】
本発明の更により好ましい実施形態では、製剤は、粉砕カロテノイド、少なくとも1つの食品用加工デンプン、乾燥グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)および水からなる。
【0047】
本発明の更に好ましい実施形態では、50~80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対マトリックス(食品用加工デンプン+乾燥グルコースシロップ+スクロースの量からなる)の重量比は、1:(4~6)、好ましくは1:(4.8~5.5)、より好ましくは1対(5~5.3)である。
【0048】
本発明の別の好ましい実施形態では、50~80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対食品用加工デンプンの重量比は、1対(1.5~4)、好ましくは1対(2~3)、より好ましくは1対(2.5~2.7)である。
【0049】
本発明の更に好ましい実施形態では、50~80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対乾燥グルコースシロップの重量比は、1対(0.5~2)、好ましくは1対(1.0~1.5)、より好ましくは1対(1.25~1.35)である。
【0050】
本発明の更に好ましい実施形態では、50~80重量%のルテイン含量を有するルテインケーキが使用され、ルテインケーキ対スクロースの重量比は、1対(0.5~2)、好ましくは1対(1.0~1.5)、より好ましくは1対(1.25~1.35)である。
【0051】
好ましくは、他の化合物は全く存在しない。好ましくは、更なる親水コロイド(食品用加工デンプンの他に)および更なる乳化剤は全く存在しない。
【0052】
存在しないのが好ましい化合物は以下のものである:
- 加水分解レシチン産物、特に、国際公開第2009/071295号パンフレットの5頁、5~19行目において開示されるもの;
- アカシアガム;例えば、国際公開第2007/009601号パンフレットに開示されるようなアラビアガム;また国際公開第2008/110225号パンフレットに開示されるように修飾される;
- 例えば、国際公開第2009/147158号パンフレットに開示されるようなガティガム;
- ゼラチン(魚、ブタ、ウシのゼラチン)などのタンパク質;
- 例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;
- 植物タンパク質;
- 乳タンパク質;
- リグニンスルホナート;
- 植物ガムおよび食品用加工デンプンの結合体、特に、国際公開第2011/039336号パンフレットに開示されるもの;
- ラウリル硫酸ナトリウムおよび他のアルキル硫酸ナトリウム;
- 例えば、dl-α-トコフェロールなどの脂溶性酸化防止剤;
- 例えば、米国特許出願公開第2008/0026124号明細書のプロセスで使用されるようなイソマルト;
- α-ゼアカロテン;
- β-ゼアカロテン。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態では、以下の化合物はどれも製剤中に存在しない:
- 加水分解レシチン産物、特に、国際公開第2009/071295号パンフレットの5頁、5~19行目において開示されるもの;
- 例えば、国際公開第2007/009601号パンフレットに開示されるようなアラビアガム;
- 例えば、dl-α-トコフェロールなどの脂溶性酸化防止剤;
- 例えば、米国特許出願公開第2008/0026124号明細書のプロセスで使用されるようなイソマルト;
- α-ゼアカロテン;
- β-ゼアカロテン。
【0054】
好ましい実施形態では、本発明の固体製剤は油を含有しない。製剤中に存在し得る任意の親油性物質は、ルテインの供給源として使用されるルテインケーキの一部であるため、「油」という用語はこれらを包含しない。
【0055】
本発明との関連での「油」という用語は、グリセロールおよび任意のトリグリセリド、例えば、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、ベニバナ油、菜種油、ピーナッツ油、パーム油、パーム核油、綿実油、オリーブ油もしくはココナッツ油のような植物油または脂肪、またはMCT(中鎖トリグリセリド)、およびこれらの任意の混合物を包含する。
【0056】
油は、任意の起源に由来し得る。油は、天然油、変性油または合成油であり得る。本発明との関連での「油」という用語は、従って、キャノーラ油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アーモンド油、カシュー油、マカダミア油、モンゴンゴナッツ油、プラカキシ(pracaxi)油、ピーカン油、松の実油、ピスタチオ油、サチャインチ(sacha Inchi)(プルケネティア・ボルビリス(Plukenetia volubilis))油またはクルミ油も包含する。
【0057】
また本発明には、本特許出願において言及される粉砕カロテノイドの任意の好ましい特徴と、食品用加工デンプン、乾燥グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤の任意の好ましい特徴との任意の組み合わせも包含され、そしてまたこれらの好ましい重量比、および本明細書において言及される製剤の任意選択的な他の成分も、明確に言及されていなくても包含される。
【0058】
従って、本発明の好ましい実施形態の任意の組み合わせは、明確に言及されていなくても本発明によって包含される。
【0059】
本発明の好ましい製剤は、1~30重量%(好ましくは、5~25重量%)の範囲の量の粉砕カロテノイドと、10~50重量%(好ましくは、25~45重量%)の範囲の量の少なくとも1つの親水コロイドと、0.1~40重量%(好ましくは、10~30重量%)の範囲の量の乾燥グルコースシロップと、0.1~40重量%(好ましくは、10~30重量%)の範囲の量のスクロースと、0.1~10重量%(好ましくは、2~7重量%)の範囲の量の少なくとも1つの水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)と、0~7重量%の量の水とを含む固体製剤であり、全ての量は、製剤の重量に基づいており、ここで、カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンならびにこれらの任意の混合物からなる群から選択され、親水コロイドは、食品用加工デンプンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択され、粉砕カロテノイドは、以下の粒径分布:
0.6~1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1~3.5μmの範囲のD[v,0.5]
を有し、全てのD値は、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である。
【0060】
本発明の製剤の化合物(粉砕カロテノイド、食品用加工デンプン、グルコースシロップ、スクロース、水溶性酸化防止剤および水)の更なる優先度は、既に上記に示されている。
【0061】
[本発明に従う固体製剤の製造プロセス]
本発明に従う製剤は、以下のプロセス:
a)少なくとも1つの食品用加工デンプン、グルコースシロップおよびスクロースの水溶液を提供するステップと、
b)ステップa)の溶液にカロテノイドを添加し、それにより懸濁液を得るステップと、
c)粉砕カロテノイドの以下の粒径分布:
0.6~1.5μmの範囲のD[3,2]、および1.1~3.5μmの範囲のD[v,0.5](D値はいずれも、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である)
が達成されるまで、ステップb)の懸濁液を粉砕するステップと、
d)ステップc)の懸濁液を噴霧顆粒化して、本発明に従う固体製剤を得るステップと
に従って得られ、このプロセスの間に、水溶性酸化防止剤(好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム)が添加される。
【0062】
任意選択的に、ステップc)の後に、2.5~4.0の範囲(好ましくは、2.9~3.5の範囲)のpHへのpH調整が実行されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、このpH調整ステップが実行される。
【0063】
このプロセスにより、顆粒の形態の固体製剤が得られる。これらの顆粒は、好ましくは以下の粒径分布:
200~300μmの範囲(好ましくは、230~270μmの範囲)のD[3,2]、220~320μmの範囲(好ましくは、240~290μmの範囲)のD[v,0.5](D値はいずれも、フラウンホーファー散乱モデルに従ってレーザー回折(Malvern Instruments Ltd,Malvern,UK,Mastersizer 3000)により測定したときの値である)
を有する。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、ステップd)は、流動床顆粒化によりステップc)で得られた懸濁液を乾燥させることによって実行される。
【0065】
[本発明の製剤および錠剤の利点]
本発明の固体製剤は優れた流動性を有し、従って、錠剤の製造プロセスにおいて容易に添加することができる。
【0066】
本発明の製剤は、特に、直径5mmのオリフィスを通る少なくとも100g/分の流動性、および/または直径7mmのオリフィスを通る少なくとも250g/分の流動性、および/または直径9mmのオリフィスを通る少なくとも500g/分の流動性、および/または直径10mmのオリフィスを通る少なくとも700g/分の流動性、および/または直径15mmのオリフィスを通る少なくとも2000g/分の流動性を示す。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明の製剤は、直径5mmのオリフィスを通る100g/分~150g/分の範囲の流動性、および/または直径7mmのオリフィスを通る250g/分~350g/分の範囲の流動性、および/または直径9mmのオリフィスを通る500g/分~750g/分の範囲の流動性、および/または直径10mmのオリフィスを通る700g/分~850g/分の範囲の流動性、および/または直径15mmのオリフィスを通る2000g/分~3000g/分の範囲の流動性を示す。
【0068】
本発明の製剤を含むマルチビタミン-マルチミネラル錠剤は、好ましくは、10kNの圧縮力を加えたときに少なくとも70Nの破砕力としての硬度、および/または15kNの圧縮力を加えたときに少なくとも120Nの破砕力としての硬度、および/または17.5kNの圧縮力を加えたときに少なくとも140Nの破砕力としての硬度、および/または20kNの圧縮力を加えたときに少なくとも170Nの破砕力としての硬度、および/または25kNの圧縮力を加えたときに少なくとも200Nの破砕力としての硬度、および/または30kNの圧縮力を加えたときに少なくとも230Nの破砕力としての硬度、および/または35kNの圧縮力を加えたときに少なくとも255Nの破砕力としての硬度、および/または40kNの圧縮力を加えたときに少なくとも285Nの破砕力としての硬度を示す。
【0069】
更に、本発明の製剤を含むマルチビタミン-マルチミネラル錠剤は、摩損度および崩壊性に関する良好な錠剤特性、ならびにカロテノイドの良好な化学安定性およびカロテノイドの低圧縮損失も示す。
【0070】
本発明はこれから、以下の非限定的な実施例において更に説明される。
【0071】
[実施例]
以下の略語が使用される:RH=室内湿度。
【0072】
[粒径の測定]
本発明の固体粒子の全ての粒径は、Malvern Instruments Ltd.,UKの「Mastersizer 3000」を用いるレーザー回折技術によって決定される。この粒径キャラクタリゼーション方法についての更なる情報は、例えば、“Basic principles of particle size analytics”,Dr.Alan Rawle,Malvern Instruments Limited,Enigma Business Part,Grovewood Road,Malvern,Worcestershire,WR14 1XZ,UK、および“Manual of Malvern particle size analyzer”において見出すことができる。ユーザーマニュアルナンバーMAN 0096,Issue 1.0,Nov.1994が特に参照される。
【0073】
[粉末および錠剤のキャラクタリゼーションのために使用した分析装置]
粉末のキャラクタリゼーションには、粉末密度(バルク密度およびタップ密度)および流動性の分析が含まれた。かさ密度(ρbulk)およびタップ密度(ρtapped)は、メスシリンダーにおける測定により、EP<2.9.34>およびUSP<616>に従い、Engelsmann JEL粉末タップ密度テスター(J.Engelsmann AG、ルートヴィヒスハーフェン(Ludwigshafen)、ドイツ)を用いて決定される。粉末流動性は、Pharmatest PTG-S4自動粉末キャラクタリゼーション機器(Pharma Test Apparatebau AG、ハインブルク(Hainburg)、ドイツ)を用いて決定される。質量流速(g/分)は、オリフィスを通る流量の方法により決定される。流速は、特定の量の粉末(100g)が、異なる直径を有するオリフィスを通って流れるのに必要とされる時間として解釈される。自由流動粉末は、直径5、7、9、10、および15mmの全部を通って流れることができなければならない。流速対オリフィス直径のプロットは、流動曲線と呼ばれる。流速を決定するために3つの平行測定が実施される。
【0074】
錠剤化に続いて、錠剤硬度、摩損度、崩壊性、および含量均一性を含む圧縮錠剤のキャラクタリゼーションが行われる。錠剤の破壊強度(硬度)は、Kraemer UTS4 1テスター(Kraemer Elektronik GmbH、ダルムシュタット(Darmstadt)、ドイツ)を用いて、USP<1217>およびEP<2.9.8.>に記載されるように測定される。錠剤を軸方向に破壊するのに必要な力が測定される。常に10回の測定の平均値が示される。
【0075】
錠剤硬度と密接に関係する摩損度は、機械的摩耗の間の重量損失の程度を指す。初期錠剤重量の1%以下の最大損失は許容できると考えられる(USP<1216>、EP<2.9.7.>)。AE-1 Friabilator(Charles Ischi AG Pharma Prueftechnik、ツヒウィル(Zuchwill)、スイス)において、25rpmの回転速度で4分間、10個の錠剤が試験される。錠剤の重量損失が記録される。
【0076】
錠剤崩壊性は、37℃の900mLのミネラル除去水中で、DISI-1崩壊性テスター(Charles Ischi PG Pharma Prueftechnik、ツヒウィル(Zuchwill)、スイス)を用いて、USP<701,2040>に従って特徴付けられる。6つの平行測定が実行される。崩壊時間の上限は、無コートの錠剤では30分である(USP<2040>)。
【0077】
含量均一性は、シリーズごとに10個の個々の決定から算出された標準偏差RSD(%)により評価される。
【0078】
錠剤用途におけるプロトタイプの安定性は、25℃/60%RH(長期研究、最長36か月まで)、30℃/65%RH(中間の安定性、12か月)、および40℃/75%RH(加速/ストレス試験、6か月)でモニターされた。錠剤は密封ポリエチレン(PE)ボックス内で貯蔵され、所定の時点で分析される。
【0079】
[粒径分布の測定]
粒径分布は、実施例1、2および3の再分散させた製剤をそれぞれ超音波で処理し、遠心分離した後に測定した。
【0080】
[実施例1:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの固体製剤の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した440lの水中に、150kgのOSA-デンプン、75kgの乾燥グルコースシロップおよび75kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、36℃~20℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を3.5のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に18kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。275kgの固体製剤が得られる。
【0081】
[実施例2:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの固体製剤の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した480lの水中に、160kgのOSA-デンプン、80kgの乾燥グルコースシロップおよび80kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、36℃~29℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を2.9のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に20kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。305kgの固体製剤が得られる。
【0082】
[実施例3:本発明に従うルテインおよびゼアキサンチンの固体製剤の製造]
72℃で少なくとも30分間予熱した480lの水中に、160kgのOSA-デンプン、80kgの乾燥グルコースシロップおよび80kgのスクロースを溶解させる(マトリックス)。次に、39℃~21℃の間の温度において、60kgのFloraGloルテイン結晶(Kemin Foods,Des Moines,USから入手可能)を攪拌下でマトリックスに添加する。得られた懸濁液を3.03のpHにpH調整した後、得られたpH調整懸濁液を粉砕ビーズ(直径0.3mm)に添加し、数回の通過で粉砕を行う。得られた懸濁液に18kgのアスコルビン酸ナトリウムを添加する。次に、水を添加し、噴霧乾燥顆粒化を開始する。330kgの固体製剤が得られる。
【0083】
[実施例4:比較例]
比較例として、市販のLutemax2020TM(ルテイン&ゼアキサンチンのベジタリアン(Vegetarian)多機能性小ビーズ5%)(OmniActive Health Technologies,India)が使用される。これは、親水性担体、セルロース誘導体および天然酸化防止剤のマトリックス中に封入された精製遊離ルテイン濃縮物の形態である、乾燥したマリーゴールド(Tagetes種)の花の標準化された抽出物である。
【0084】
[流動性]
実施例1~3に従って製造された3つの製剤は全て優れた流動性を示した(以下の表1を参照)。
【0085】
【0086】
[密度]
以下の表2から分かるように、3つの実施例は全てかさ密度およびタップ密度が高い。
【0087】
【0088】
[実施例5:錠剤化プロセスおよび装置]
表3および表4にそれぞれ示される成分を、Turbulaミキサー(Willy A.Bachofen Maschinenfabrik)において23rpmで15分間混合し、ふるいにかけた(直径1mmのふるい)後、ドラム(7.5l)において20rpm(回転/分)で15分間混合することにより錠剤混合物を調製する。
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
Korsch XL 100ロータリータブレットプレス(Korsch AG、ベルリン、ドイツ)を用いて錠剤を圧縮する。錠剤化の間、錠剤混合物を異なる圧縮力(10~40kN)で圧縮し、錠剤の破壊力を測定する。錠剤硬度対圧縮力をプロットして、圧縮プロファイルを構築する。得られた圧縮プロファイルに基づいて、最適な圧縮力(20kN)を決定した。以下の表5に示される組成を有する錠剤が製造される。
【0094】
【0095】
【0096】
[圧縮プロファイル(表6を参照)]
3つの錠剤1~3の全ての圧縮プロファイルは互いに類似している。比較例はより低い圧縮性を示し、これは錠剤化に必要とされるより高い圧縮力に反映される-本発明に従う錠剤1~3では20kNであるのに対し、比較錠剤4では少なくとも25kNである。
【0097】
【0098】
[錠剤の特徴]
本発明に従う3つの錠剤1~3は全て、硬度、摩損度および崩壊性に関して満足できる錠剤特性を示す(表7を参照)。これは、本発明に従う製剤を含むマルチビタミン-マルチミネラル錠剤が、20kN~25kNの圧縮力を加えたときに少なくとも160Nの破砕力としての硬度を示すことを意味する。
【0099】
比較錠剤4は、本発明に従う錠剤1~3と比べてより長い崩壊時間を示す。製造された全ての本発明に従う錠剤内の含量均一性は、満足できるものである(RSD<5%)。
【0100】
【0101】
[実施例1、2および3に従ってそれぞれ製造された製剤を含む錠剤による安定性試験]
実施例1~3に従う製剤を含む3つの錠剤のルテインおよびゼアキサンチン含量、ならびに比較例4の形態を含む錠剤のルテインおよびゼアキサンチン含量は、以下の条件で測定された:
60%RHで25℃、65%RHで30℃、および75%RHで40℃。
【0102】
結果は、以下の表8~10に示される。
【0103】
【0104】
【0105】