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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】幹細胞を含む体液抽出用バイオキット
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20231121BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
A61M1/02 123
B04B5/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022053582
(22)【出願日】2022-03-29
(65)【公開番号】P2022155555
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0041242
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519413690
【氏名又は名称】レブ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン ボン グン
(72)【発明者】
【氏名】イ チョン セオ
(72)【発明者】
【氏名】キム デ クワン
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1646751(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1930290(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0201888(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0058032(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0205514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0371048(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0171485(US,A1)
【文献】特開2020-081881(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0059019(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/02
B04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を遠心分離機で遠心分離して赤血球層、バフィーコート層および血漿層に層分離し、層分離されたバフィーコートを抽出するキットにおいて、
前記血液が注入される注入口を開閉する開閉部材を有する上部キャップと、
前記上部キャップと開放された上端の外面が組み立てられ、前記開放された上端の内径より小さい内径を有する所定長さのネック部を長手方向中間部に具備し、前記血液が一定量満たされる内部空間を有する本体ハウジングと、
前記本体ハウジングと結合されて前記本体ハウジングの開放された下端を密閉し、前記バフィーコート層が前記ネック部に位置するように前記本体ハウジングに対して上下動可能に組み立てられる調節ハウジングと、
前記ネック部に貫通形成された取出孔を封止する封止部材に対応する領域に取出用注射針の端部が挿脱される針孔を貫通形成して前記ネック部に固定設置される側方キャップと、を含み、
前記開閉部材は、前記上部キャップから一定高さ延出する注入口に形成された雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を内面に形成する外部管体と、前記注入口の内部孔に対応挿入される内部管体とを具備する第1開閉部材を含み、前記内部管体の内部孔と連通するように貫通形成された中央孔を覆うメンブレン部材を備えていて、前記第1開閉部材に凹設される配置部に挿入配置される第2開閉部材を含み、
前記メンブレン部材は、前記本体ハウジング内部の気体を透過させ、前記本体ハウジング内部の血液は透過させない板状のフィルター部材からなり、
前記本体ハウジングは、前記ネック部の上端から前記上部キャップと結合する開放された上端に行くほど内径が徐々に大きくなる断面を備えていて、傾斜した内面を形成する上部中空管と、前記ネック部の下端から下部に所定長さ延出して、前記調節ハウジングとねじ結合するように、外面に調節用雄ねじ部を形成した下部中空管を含み、
前記側方キャップは、前記取出孔を貫通形成するネック部から延出して、封止部材が内部圧入される中空延長管の上端と内面が超音波融着方式で固定結合されることを特徴とする幹細胞を含む体液抽出用バイオキット。
【請求項2】
前記調節ハウジングの下端の外面に長手方向に形成される案内溝に対応結合する被案内溝を内面に長手方向に形成して、前記調節ハウジングと結合するバケットハウジングを含むことを特徴とする請求項1に記載の幹細胞を含む体液抽出用バイオキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液の遠心分離により層分離されたバフィーコートを外部に抽出するキットに関し、より詳細には、遠心分離機により遠心分離されて中間層に層分離されたバフィーコートを側方から挿入される取出用注射針により精密かつ簡便に抽出分離できる幹細胞を含む体液抽出用バイオキットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、血液は、肺で吸入した酸素を組織細胞に運搬し、組織から二酸化炭素を肺へ運搬して外に放出させ、消化管で吸収された栄養素を臓器や組織細胞に運搬し、組織の分解産物として生体に不要な物質を腎臓に運搬して体外へ排出させる機能を行う。
【0003】
このような血液は、赤血球、白血球および血小板からなるところ、このうち、血小板は、主に血漿に存在し、血漿は、PRP(Platelet rich plasma)とPPP(Platelet poor plasma)に区分される。
【0004】
このような血漿のうち、特にPRPは、痛みの部位、特に膝、靭帯、筋肉などに移植されて、幹細胞の刺激を通した細胞の生成を助ける役割を行うので、治療目的で使用される。
【0005】
最近、自己血細胞再生施術(Platelet Rich Plasma、多血小板血漿術ともいう、以下、これを「PRP施術」という)が脚光を浴びているが、この施術は、自分の血液からPRPを抽出して、細胞組織が損傷した部位に注射し、細胞組織を再生させることによって、傷を治癒する施術を意味する。
【0006】
血液の血小板には成長因子に富むことが知られているが、この血小板には、人体内で細胞を増殖し、コラーゲンを生成し、新生血管を再生し、傷を治癒する作用をすることが知られている。
【0007】
すなわち、人体の血液には、1マイクロリットル当たり10万~20万個程度の血小板が含まれているが、PRP施術が効果的に行われるには、1マイクロリットル当たり100万個以上の血小板が含まれるほどに血小板を濃縮しなければならない。
【0008】
このような血小板を濃縮する方法としては、採血した血液を、遠心分離機を用いて層状に分離する方法を使用するが、通常の血液を遠心分離機により層状分離を行う場合、比重によって重い順に最下層に赤色の赤血球層が形成され、赤血球層の上に白血球と血小板からなる濃い黄色のバフィーコート層が形成され、バフィーコート層上の最上層に血漿からなる浅い黄色の血漿層が形成されて、成分別に層状分離される。
【0009】
このように分離された血液各層の体積比率は、平均的に赤血球層が45%、バフィーコート層が1%、血漿層が54%である。
【0010】
これによって、PRP施術は、上記のように分離された血液から血小板に富むバフィーコート層を抽出して使用するが、その比率が1%に過ぎない。
【0011】
特許文献1、特許文献2および特許文献3には、上部側ハウジングを通じてバフィーコートを抽出するための遠心分離対象物としての血液を一定量投入し、赤血球層、バフィーコート層および血漿層に遠心分離された血液分離層において中間層であるバフィーコート層が内径の小さいネック部に位置するように、上部中空管に対して下部ハウジングを相対移動させた後、上部中空管を通じて挿入される取出用注射針を用いてバフィーコート層を外部に取り出した。
【0012】
しかしながら、血液の遠心分離後、層分離された血液のバフィーコート層を内径の小さいネック部に位置させた状態で、上部ハウジングの一部開放された領域を通じて長さが長い取出用注射針を挿入させて、薄い層厚さを有するバフィーコート層を外部に取り出す過程で、作業者の熟練度によって取出量が変わるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】KR10-1489461B1
【文献】KR10-1563512B1
【文献】KR10-1588754B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、血液の遠心分離後、中間層に層分離されたバフィーコートを、作業者の熟練度に関係なく、より簡便かつ精密に外部に分離して抽出できる、幹細胞を含む体液抽出用バイオキットを提供することにある。
【0015】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から本発明の属する技術分野における通常の技術者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、血液を遠心分離機で遠心分離して、赤血球層、バフィーコート層および血漿層に層分離し、層分離されたバフィーコートを抽出するキットにおいて、前記血液が注入される注入口を開閉する開閉部材を有する上部キャップと、前記上部キャップと開放された上端の外面が組み立てられ、前記開放された上端の内径より小さい内径を有する所定長さのネック部を長手方向中間部に具備し、前記血液が一定量満たされる内部空間を有する本体ハウジングと、前記本体ハウジングと結合されて前記本体ハウジングの開放された下端を密閉し、前記バフィーコート層が前記ネック部に位置するように前記本体ハウジングに対して上下動可能に組み立てられる調節ハウジングと、前記ネック部に貫通形成された取出孔を封止する封止部材に対応する領域に取出用注射針の端部が挿脱される針孔を貫通形成して前記ネック部に固定設置される側方キャップと、を含む、遠心分離バフィーコート抽出キットが提供される。
【0017】
この際、前記開閉部材は、前記上部キャップから一定高さ延出する注入口に形成された雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を内面に形成する外部管体と、前記注入口の内部孔に対応挿入される内部管体とを具備する第1開閉部材を含み、前記内部管体の内部孔と連通するように貫通形成された中央孔を覆うメンブレン部材を備えていて、前記第1開閉部材に凹設される配置部に挿入配置される第2開閉部材を含んでもよい。
【0018】
この際、前記メンブレン部材は、前記本体ハウジング内部の気体を透過させ、前記本体ハウジング内部の血液は透過させない板状のフィルター部材からなり得る。
【0019】
この際、前記側方キャップは、前記取出孔を貫通形成するネック部から延出して、封止部材が内部圧入される中空延長管の上端と内面が超音波融着方式で固定結合されてもよい。
【0020】
この際、前記調節ハウジングの下端の外面に長手方向に形成される案内溝に対応結合する被案内溝を内面に長手方向に形成して、前記調節ハウジングと結合するバケットハウジングを含んでもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記の構成によって、本発明による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットは、遠心分離工程により層分離されたバフィーコート層をネック部の側方キャップに対応する領域に調節して位置させる作業を、調節ハウジングの精密かつ繊細な回転操作によって簡便に行うことによって、遠心分離されて層分離されたバフィーコート層を簡便かつ精密に分離して抽出できるので、少量を層分離されるバフィーコートに対する分離抽出量および純度を高めることができる。
【0022】
また、本発明による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットは、遠心分離機で遠心分離される血液のバフィーコート層のみを分離して抽出する過程を、作業者の熟練度に関係なく、簡便かつ精密に行うことができるので、使用上の便利性を高め、需要者の満足度を高めることができる。
【0023】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいてバケットを結合した状態を示す全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいてバケットを分離した状態を示す全体斜視図である。
図3】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットを示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットを示す縦断面図である。
図5】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットを示す断面斜視図である。
図6a】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて開閉部材と上部キャップの結合状態を示す断面詳細図である。
図6b】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて側方キャップとネック部との結合状態を示す断面詳細図である。
図7a】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて血液を注入し、血液を遠心分離した後、層分離されたバフィーコートを分離する工程を示す使用状態図である。
図7b】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて血液を注入し、血液を遠心分離した後、層分離されたバフィーコートを分離する工程を示す使用状態図である。
図7c】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて血液を注入し、血液を遠心分離した後、層分離されたバフィーコートを分離する工程を示す使用状態図である。
図7d】本発明の実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットにおいて血液を注入し、血液を遠心分離した後、層分離されたバフィーコートを分離する工程を示す使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、明細書全般にわたって同一または 同様の構成要素については同じ参照符号を付けた。
【0026】
本明細書および特許請求範囲に使用される単語と用語は、通常的または辞書的な意味に限定解釈されず、自分の発明を最善の方法で説明するために発明者が用語と概念を定義できる原則に基づいて本発明の技術的思想に符合する意味や概念と解すべきである。
【0027】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の好ましい一実施形態に該当し、本発明の技術的思想を全部代弁するものではないので、当該構成は、本発明の出願時点においてこれを代替する多様な均等物と変形例がありえる。
【0028】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを説明しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0029】
任意の構成要素が他の構成要素の「前方」、「後方」、「上部」または「下部」にあるというのは、特別な事情がない限り、他の構成要素にすぐ当接し「前方」、「後方」、「上部」または「下部」に配置されることだけでなく、その中間にさらに他の構成要素が配置される場合も含む。また、任意の構成要素が他の構成要素と「連結」されているということは、特別な事情がない限り、互い直接連結されることだけでなく、間接的に互いに連結される場合も含む。
【0030】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキットを説明する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態による幹細胞を含む体液抽出用バイオキット100は、図1図2図3および図4に示されるように、人体から抽出した血液が収容される空間を備えていて、遠心分離機で赤血球層S1、バフィーコート層S2および血漿層S3に遠心分離処理された血液から中間層に層分離されたバフィーコートのみを選択的に分離して抽出することができるように、上部キャップ10、本体ハウジング20、調節ハウジング30および側方キャップ40を含んでもよい。
【0032】
前記上部キャップ10は、図3図4および図5に示されるように、遠心分離機で遠心分離しようとする血液が注入される注入口11を胴体の中央に貫通形成し、前記注入口11を選択的に開閉する開閉部材15を含み、前記本体ハウジング20の開放された上端に着脱可能に結合するキャップ部材である。
【0033】
このような上部キャップ10の外周縁には、前記本体ハウジング20の開放された上端の外面に形成された雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を内面に形成する外側延長部13を具備し、前記外側延長部の内側には、前記本体ハウジング20の開放された上端の内面に圧入される内側延長部13aを具備してもよい。
【0034】
前記外側延長部13と内側延長部13aとの間には、前記上部キャップ10と本体ハウジング20との結合時にこれら間の結合部位をシールして、遠心分離時に血液の外部流出を防止する円環状シール部材13bを具備してもよい。
【0035】
また、前記上部キャップ10は、図6aに示されるように、前記注入口11を選択的に開放したり閉鎖して、遠心分離対象物としての血液を注入する注入通路を開閉する開閉部材15を含んでもよい。
【0036】
このような開閉部材15は、前記上部キャップ10の上面から一定高さ延出する注入口11の外面に形成された雄ねじ部とねじ結合する雌ねじ部を内面に形成する外部管体16aを具備し、前記注入口11の内部孔に対応挿入されて、前記内部孔に外面が密着する内部管体16bを具備する第1開閉部材16を含み、前記内部管体の内部孔と連通するように貫通形成された中央孔17aを覆って閉鎖するメンブレン部材17bを備えていて、前記第1開閉部材の上面に凹設される配置部16cに挿入配置されて固定される第2開閉部材17を含んでもよい。
【0037】
この際、前記メンブレン部材17bは、空気のような気体を透過させ、血液のような液体は透過させない板状のフィルター部材からなることによって、血液の遠心分離時に本体ハウジングの内部空間に注入された血液の外部流出を遮断する一方で、本体ハウジングの内部に残留する空気を外部に排出して、本体ハウジングの内部圧が必要以上に上昇するのを防止することができる。
【0038】
これによって、前記上部キャップ10の注入口11は、図7aに示されるように、ねじ方式で結合する開閉部材15の分離解除により開放されることによって、注入用注射針N1により人体から抽出した一定量の血液は、開放された注入口11を通じて本体ハウジング20の内部空間に注入されて満たされ、血液注入の完了後、前記開閉部材15により開放された注入口11は、遠心分離機による遠心分離工程前に遮断されて密閉される。
【0039】
前記本体ハウジング20は、図3図4および図5に示されるように、前記上部キャップ10と開放された上端の外面が着脱可能に組み立てられ、前記赤血球層S1、バフィーコート層S2および血漿層S3に層分離しようとする一定量の血液が満たされる一定サイズの内部空間を有する中空部材である。
【0040】
このような本体ハウジング20は、前記上部キャップ10と結合する開放された上端の内径より小さい内径を有するネック部21を長手方向中間部に具備し、前記ネック部21には、層分離されたバフィーコート層S2を選択的に分離して抽出することができるように、側方キャップ40を結合して具備してもよい。
【0041】
前記本体ハウジング20は、内径が一定である中空円筒形ネック部21の上端から前記上部キャップ10と結合する開放された上端に行くほど内径が徐々に大きくなる断面を備えていて、傾斜した内面を形成する上部中空管22を含み、前記ネック部21の下端から下部に所定長さ延出して、前記調節ハウジング30とねじ結合するように、外面に調節用雄ねじ部24を形成した下部中空管23を含んでもよい。
【0042】
前記下部中空管23は、前記調節ハウジングの内面に対応する下端の外面に前記調節ハウジング30の内面に当接して滑走移動しながら密閉するように、少なくとも一つのOリング部材26が配置されるOリング溝25を具備することが好ましい。
【0043】
これによって、前記本体ハウジング20を構成する上部中空管22の開放された上端と下部中空管23の開放された下端は、図7aと図7bに示されるように、前記上部キャップ10と調節ハウジング30によりそれぞれ密閉され、上・下端が密閉された本体ハウジング20の内部空間には、注入用注射針により注入された遠心分離対象物としての血液が一定量満たされ、開放された注入口11は、開閉部材により密閉される。
【0044】
前記調節ハウジング30は、図3図4および図5に示されるように、前記本体ハウジングの開放された下端と結合されて密閉するように、上部が開放され、底面が密閉された中空円筒形からなり得る。
【0045】
このような調節ハウジング30は、血液の遠心分離後、層分離されたバフィーコート層S2が前記側方キャップ40に対応するネック部21に定位置するように前記本体ハウジング20の下部中空管23に形成された調節用雄ねじ部24とねじ結合するように、上端の外面に調節用雌ねじ部34を備えていて、上下動可能に組み立てられる。
【0046】
これによって、図7cに示されるように、前記調節ハウジング30が本体ハウジング20に対してねじ方式で正方向または逆方向回転すると、前記調節ハウジング30は、回転量に比べて本体ハウジングの長手方向に上下方向に相対移動しつつ、前記上部キャップ10、本体ハウジング20および調節ハウジング30により形成される遠心分離空間の体積を減らしたり拡張できるので、中間層に層分離されたバフィーコート層S2を、内径が一定であるネック部21に備えられる側方キャップ40に対応するように調節して定位置させることができる。
【0047】
前記側方キャップ40は、図3図4および図5に示されるように、前記本体ハウジングのネック部の外面に貫通形成された取出孔45aを封止するように圧入された封止部材44に対応する領域に取出用注射針N2の端部が挿脱され得るように、一定サイズの針孔42を胴体の中央に貫通形成して、前記ネック部21に固定設置されるキャップ部材である。
【0048】
このような側方キャップ40は、図6bに示されるように、前記取出孔を貫通形成するネック部21の外面から外側に所定長さ延出して、前記封止部材44が内部圧入される中空延長管45の上端と内面が当接して超音波融着方式で固定結合されてもよい。
【0049】
この際、前記封止部材44は、前記側方キャップの針孔42を通じて挿入される取出用注射針がネック部21の内部に貫通して、弾力的に圧入されて、血液の外部流出を防止するように、ゴム素材からなることが好ましい。
【0050】
これによって、遠心分離機での遠心分離後、前記本体ハウジング20の内部空間に注入された赤血球層S1、バフィーコート層S2および血漿層S3に層分離された血液は、前記調節ハウジングの回転操作によって上下位置が調節されることによって、中間層であるバフィーコート層S2は、前記ネック部21の側方キャップ40と互いに一対一で対応することになる。
【0051】
このような状態で、図7cに示されるように、作業者が前記側方キャップ40の針孔42と取出用注射針N2の端部を対応させて挿入させると、前記針孔42を通じて外部に露出する封止部材44を貫通する取出用注射針の端部がネック部で位置調節されたバフィーコート層に位置するので、上層と下層に層分離された赤血球層と血漿層に比べてきわめて小さい体積量を有するバフィーコート層のみを精密に分離して外部に抽出することができる。
【0052】
また、前記取出用注射針N2を用いたバフィーコート層S2の分離抽出が完了した後、前記取出用注射針が封止部材44から取り出されて分離されても、ゴム素材からなる封止部材44の自体的な弾性復元力により取出用注射針が貫通した領域が元の状態に復元されて再封止されるので、バフィーコート層S2の分離抽出後、本体ハウジング20に残留する赤血球層S1や血漿層S3が外部に流出することを遮断することができる。
【0053】
一方、図1図2図3図4および図5に示されるように、前記調節ハウジング30の下端の外面に長手方向に形成される案内溝32に対応結合する被案内溝52を内面に長手方向に形成して、前記調節ハウジング30と結合するバケットハウジング50を含んでもよい。
【0054】
このようなバケットハウジング50は、前記調節ハウジングと結合されて、本体ハウジングの内部収容時に前記バケットハウジングの開口された上端の内周縁が前記本体ハウジングの上部ハウジングの外面に当接してもよい。
【0055】
前記バケットハウジング50は、遠心分離機でモーター部材の回転駆動力により高速回転する回転体の係止溝に係止連結されるように突設される円環状の係止鍔54を具備してもよい。
【0056】
これによって、前記バケットハウジングには、遠心分離対象物としての血液が、本体ハウジングに注入されたキット100が対応挿入された後、遠心分離工程で遠心分離機の回転体が高速回転しつつ、血液に対する遠心分離が行われるように、キットを内部収容した状態で高速回転する。
【0057】
また、図7dに示されるように、前記調節ハウジングと結合したバケットハウジングを用いて遠心分離後、層分離されたバフィーコート層をネック部の側方キャップに定位置させることができるように調節することができる。
【0058】
すなわち、作業者が前記バケットハウジングを把持した状態で前記本体ハウジング20をバケットハウジングに対してねじ方式で正方向または逆方向に回転すると、前記バケットハウジング50の被案内溝52と案内溝32が組み立てられて、前記バケットハウジングの内部に配置された調節ハウジング30は、回転量に比べて長手方向に相対移動しつつ、前記上部キャップ10、本体ハウジング20および調節ハウジング30により形成される遠心分離空間の体積を減らしたり拡張できるので、中間層に層分離されたバフィーコート層S2を、内径が一定であるネック部21に備えられる側方キャップ40に対応するように調節して定位置させることができる。
【0059】
本発明の実施形態について説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施形態により制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などにより他の実施形態を容易に提案できるが、これも、本発明の思想範囲内に入るといえる。
【符号の説明】
【0060】
10 上部キャップ
11 注入口
15 開閉部材
16 第1開閉部材
17 第2開閉部材
20 本体ハウジング
21 ネック部
22 上部中空管
23 下部中空管
24 調節用雄ねじ部
30 調節ハウジング
32 案内溝
34 調節用雌ねじ部
40 側方キャップ
42 針孔
44 封止部材
50 バケットハウジング
S1 赤血球層
S2 バフィーコート層
S3 血漿層
N1 注入用注射針
N2 取出用注射針
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d