(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】硬貨包装機および硬貨包装機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20231121BHJP
B65B 11/56 20060101ALI20231121BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B65B57/00 E
B65B11/56 A
G07D9/00 A
(21)【出願番号】P 2020046618
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】宇田 松一
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 良
(72)【発明者】
【氏名】中川 烈恭
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-289705(JP,A)
【文献】特開平07-069481(JP,A)
【文献】特開平10-230905(JP,A)
【文献】特開2004-075074(JP,A)
【文献】特開2001-151203(JP,A)
【文献】特開2002-019717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65B 11/00
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積硬貨が配置される集積硬貨配置空間を囲むように設けられ、前記集積硬貨配置空間の長手方向に伸びる回転軸を有する複数のローラと、
前記複数のローラを前記回転軸回りに回転させるローラアクチュエータと、
前記複数のローラと前記集積硬貨配置空間との間に包装媒体を供給する媒体供給部と、
前記集積硬貨配置空間の長手方向の両側から互いに近接可能に設けられる加締爪対と、 前記加締爪対を、互いに近接するように移動させる加締アクチュエータと
前記ローラアクチュエータおよび前記加締アクチュエータを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ローラアクチュエータの回転速度と前記加締アクチュエータの移動速度との関係を規定する動作モードを決定する動作モード決定部と、
前記ローラアクチュエータおよび前記加締アクチュエータの少なくとも一方に、前記決定した動作モードに基づく制御信号を出力する信号出力部と
を備え
、
前記動作モード決定部は、前記包装媒体が紙製であるときには、前記加締アクチュエータによって前記加締爪対を第一の移動速度で移動させるとともに前記ローラアクチュエータによって前記複数のローラを第一の回転速度で移動させ、前記包装媒体が樹脂製であるときには、前記加締アクチュエータによって前記加締爪対を前記第一の移動速度よりも遅い第二の移動速度で移動させるか、前記ローラアクチュエータによって前記複数のローラを前記第一の回転速度よりも速い第二の回転速度で移動させるかの少なくともいずれか一方を行う
硬貨包装機。
【請求項2】
前記包装媒体の物理量を計測するセンサを備え、
前記制御装置は前記センサの計測結果に基づいて前記包装媒体の材質を特定する材質特定部を備える
請求項1に記載の硬貨包装機。
【請求項3】
前記包装媒体を回転可能に支持する支持台を備え、
前記センサは、前記支持台に設けられた静電容量センサである
請求項2に記載の硬貨包装機。
【請求項4】
集積硬貨が配置される集積硬貨配置空間を囲むように設けられ、前記集積硬貨配置空間の長手方向に伸びる回転軸を有する複数のローラと、
前記複数のローラを前記回転軸回りに回転させるローラアクチュエータと、
前記複数のローラと前記集積硬貨配置空間との間に包装媒体を供給する媒体供給部と、 前記集積硬貨配置空間の長手方向の両側から互いに近接可能に設けられる加締爪対と、 前記加締爪対を、互いに近接するように移動させる加締アクチュエータと
を備える硬貨包装機の制御方法であって、
前記ローラアクチュエータの回転速度と前記加締アクチュエータの移動速度との関係を規定する動作モードを決定し、
前記ローラアクチュエータおよび前記加締アクチュエータの少なくとも一方に、前記決定した動作モードに基づく制御信号を出力
し、
前記動作モードを決定する場合、前記包装媒体が紙製であるときには、前記加締アクチュエータによって前記加締爪対を第一の移動速度で移動させるとともに前記ローラアクチュエータによって前記複数のローラを第一の回転速度で移動させ、前記包装媒体が樹脂製であるときには、前記加締アクチュエータによって前記加締爪対を前記第一の移動速度よりも遅い第二の移動速度で移動させるか、前記ローラアクチュエータによって前記複数のローラを前記第一の回転速度よりも速い第二の回転速度で移動させるかの少なくともいずれか一方を行う
硬貨包装機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬貨包装機および硬貨包装機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定枚数のバラ硬貨を厚み方向に重ねて集積した集積硬貨の外周を包装媒体で巻回して包装する硬貨包装機に係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬貨包装機は、集積硬貨の外周に包装媒体を巻回した後、当該包装媒体のうち集積硬貨の上下端からはみ出した部分を、包装媒体の内側に巻き込ませることで、集積硬貨を加締める。硬貨包装機は、包装媒体が巻回された集積硬貨を回転させながら、加締爪を互いに近接する方向へ付勢することで、集積硬貨を加締める。
【0005】
ところで、集積硬貨を包装する包装媒体は、紙や樹脂など、様々な材質のものが存在する。包装媒体の材質によって、剛性などの特性が異なるため、硬貨包装機に紙媒体による包装と同様の設定を適用して、樹脂媒体による集積硬貨の包装を実行すると、樹脂媒体の座屈などの包装不良が生じる可能性がある。
本開示の目的は、包装媒体の材質に応じて集積硬貨の加締め条件を設定することができる硬貨包装機および硬貨包装機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の態様によれば、硬貨包装機は、円柱状の集積硬貨配置空間を囲むように設けられ、前記集積硬貨配置空間の長手方向に伸びる回転軸を有する複数のローラと、前記複数のローラを前記回転軸回りに回転させるローラアクチュエータと、前記複数のローラと前記集積硬貨配置空間との間に前記包装媒体を供給するフィーダと、前記集積硬貨配置空間の長手方向の両側から互いに近接可能に設けられる加締爪対と、前記加締爪対を、互いに近接するように移動させる加締アクチュエータと前記ローラアクチュエータおよび前記加締アクチュエータを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ローラアクチュエータの回転速度と前記加締アクチュエータの移動速度との関係を規定する動作モード決定する動作モード決定部と、前記ローラアクチュエータおよび前記加締アクチュエータの少なくとも一方に、前記決定した動作モードに基づく制御信号を出力する信号出力部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、硬貨包装機は、動作モードを異ならせることで、包装媒体の材質に応じて集積硬貨の加締め条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る硬貨包装機の外観図である。
【
図2】第1の実施形態に係る硬貨包装機の内部構造を示す概略図である。
【
図3】第1の実施形態に係る加締部の構成を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係る媒体供給部の構成を示す上面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る静電容量センサの計測値と包装媒体ロールの量および材質との関係を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係る硬貨包装機による包装媒体ロールの監視処理を示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理を示すフローチャートである。
【
図9】第1の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理時の動作を示すタイムチャートである。
【
図10】第2の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理を示すフローチャートである。
【
図11】第2の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理時の動作を示すタイムチャートである。
【
図12】第3の実施形態に係る媒体供給部の構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈第1の実施形態〉
《硬貨包装機の構成》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る硬貨包装機の外観図である。
硬貨包装機1は、バラ硬貨を所定枚数集積させるとともにこのように形成された集積硬貨Cを包装媒体Sで包装して棒状にするものである。
【0010】
硬貨包装機1は、投入口2およびタッチセンサパネル4を備える。投入口2は、硬貨包装機1の上部位置に設けられる。投入口2は、オペレータによる包装処理対象のバラ硬貨の投入を受け入れる。投入口2には投入口2を開閉させるカバー3が設けられている。カバー3は手動で開閉可能に構成される。
タッチセンサパネル4は、包装動作における金種指定情報などの各種設定の入力、および包装処理の開始・停止の操作入力を受け付ける。また、タッチセンサパネル4は、硬貨包装機1内で硬貨を計数した結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内および設定内容等を表示する。タッチセンサパネル4は、投入口2の近傍に設けられる。
【0011】
図2は、第1の実施形態に係る硬貨包装機の内部構造を示す概略図である。
硬貨包装機1は、集積部10、媒体供給部30、および包装部50を備える。
集積部10は、開状態の投入口2を介して一括投入されたバラ硬貨を集積させる。以下、集積部10において集積された硬貨を集積硬貨Cという。媒体供給部30は、包装媒体Sを包装部50に供給する。包装部50は、集積部10において集積された集積硬貨Cを、媒体供給部30から供給された包装媒体Sで包装する。
【0012】
《集積部の構成》
集積部10は、回転ホッパ11と、硬貨通路12と、一対の集積ドラム13と、水平シャッタ14とを備える。
【0013】
回転ホッパ11は、投入口2を介して一括投入されたバラ硬貨を受け入れる。回転ホッパ11は、回転することにより生じる遠心力で一枚ずつ硬貨を繰り出す。硬貨通路12は、回転ホッパ11から繰り出された硬貨を一対の集積ドラム13の間へ搬送する通路である。
硬貨通路12には、硬貨を一枚ずつ移送させる送りベルト121が設けられる。硬貨通路12の途中位置には、図示しない鑑別部が設けられており、硬貨通路12で搬送される硬貨の真偽および金種等が必要に応じて判別されるようになっている。ここで、硬貨通路12には図示しない排除孔が設けられており、鑑別部で正貨であると判別されなかった硬貨は、排除孔から落下するようになっている。すなわち、硬貨通路12は、正貨のみを一対の集積ドラム13の間に搬送する。
【0014】
一対の集積ドラム13は、硬貨通路12を経由した硬貨を集積させる。各集積ドラム13は、螺旋状の突起部131をそれぞれ有しており、相互の突起部131の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路12からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられる。これにより、硬貨通路12を通じて供給された硬貨が一対の集積ドラム13の突起部131に乗せられて一段下降させられ、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム13間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、集積硬貨Cが形成される。
【0015】
水平シャッタ14は、一対の集積ドラム13の下方位置に設けられる。水平シャッタ14は、一対の集積ドラム13において所定枚数集積された集積硬貨Cをその上面に載置させる。すなわち、水平シャッタ14は、集積硬貨Cが載置される底壁を兼ねている。水平シャッタ14は、開閉可能に構成される。水平シャッタ14が開くことで、水平シャッタ14の上面に載置させていた集積硬貨Cを、下方の包装部50へ受け渡す。
【0016】
《包装部の構成》
包装部50は、支持棒51と、3本の包装ローラ52と、包装モータ53と、加締部54とを備える。
支持棒51は、水平シャッタ14から受け渡された集積硬貨Cを下方から支持する。すなわち、支持棒51の上方には、集積硬貨Cが配置される略円筒形の集積硬貨配置空間が設けられる。3本の包装ローラ52は、それぞれ集積硬貨配置空間を囲うように鉛直方向に沿って配置される。3本の包装ローラ52は、互いに近接離間可能に構成される。包装モータ53は、包装ローラ52をその軸心回りに回転駆動させる。
加締部54は、集積硬貨に巻回された包装媒体Sを集積硬貨Cの上下端において加締める。
【0017】
支持棒51は、昇降可能に設けられる支持棒アーム511の先端に固定されており、図示しない支持棒アームカムおよび支持棒アーム逃がしカムの作動により、水平シャッタ14の解放時に、水平シャッタ14の直下に配される。これにより、支持棒51は、落下してくる集積硬貨Cをその上端に受け、その後に鉛直方向に下降させられることによって、集積硬貨Cを3本の包装ローラ52の間に配置する。
【0018】
包装部50は、包装ローラ52の間に配置された集積硬貨Cに対して、各包装ローラ52を相互に近接させることにより、包装ローラ52によって集積硬貨Cを挟持する。媒体供給部30によって集積硬貨Cと包装ローラ52との間に包装媒体Sが供給されると、包装部50は、包装モータ53の作動により包装ローラ52を回転させることによって、包装媒体Sが集積硬貨Cの円筒面に巻回される。ここで、包装媒体Sは、集積硬貨Cの高さよりも大きな幅寸法を有する。包装モータ53は、複数の包装ローラ52を回転軸回りに回転させるローラアクチュエータの一例である。
【0019】
図3は、第1の実施形態に係る加締部の構成を示す斜視図である。
加締部54は、上加締爪541、下加締爪542、上アーム543、下アーム544、ガイドロッド545、スプリング546、カム機構547、カムモータ548を備える。
【0020】
上加締爪541は、集積硬貨Cに巻回された包装媒体Sの上端に掛けられ、下方に付勢されることで、包装媒体Sの上端を加締める。上加締爪541は、上アーム543に固定される。
下加締爪542は、集積硬貨Cに巻回された包装媒体Sの下端に掛けられ、上方に付勢されることで、包装媒体Sの下端を加締める。下加締爪542は、下アーム544に固定される。
【0021】
上アーム543および下アーム544は、ガイドロッド545によって上下方向に摺動可能に支持される。これによって上アーム543および下アーム544は、互いに近接し、または離間することができる。すなわち、上アーム543および下アーム544が互いに近接し、または離間することで、上加締爪541および下加締爪542が互いに近接し、または離間する。
スプリング546は、上アーム543と下アーム544とを連結するように取り付けられる。スプリング546は、上アーム543と下アーム544とを互いに近接する方向に常時付勢する。
【0022】
カム機構547は、上アーム543と下アーム544に、互いに近接させ、または離間させるための動力を伝達する。カム機構547は、第1カム61、第1カムフォロワ62、第1揺動アーム63、第2カム64、第2カムフォロワ65、第2揺動アーム66を備える。
第1カム61および第2カム64は、カムモータ548によって、鉛直面に沿って回転駆動する。第1カム61および第2カム64はそれぞれ同じ形状を有しており、回転軸を中心に点対称となるように、回転軸に固定される。
第1カムフォロワ62は、第1カム61のカム面に沿って転動する。第1カムフォロワ62は、第1揺動アーム63に取り付けられる。第1揺動アーム63の第1端部は、鉛直面に沿って回転可能となるように図示しない固定軸に支持される。第1揺動アーム63の第2端部には、上アーム543の下面に沿って転動する図示しないローラが設けられる。
第2カムフォロワ65は、第2カム64のカム面に沿って転動する。第2カムフォロワ65は、第2揺動アーム66の第1端部に取り付けられる。第2揺動アーム66の第1端部は、鉛直面に沿って回転可能となるように図示しない固定軸に支持される。第2揺動アーム66の第2端部には、下アーム544の上面に沿って転動する図示しないローラが設けられる。
【0023】
したがって、集積硬貨Cが集積硬貨配置空間に配置された状態で、カムモータ548が作動すると、第1カム61および第2カム64が回転駆動される。これにより、第1カムフォロワ62および第2カムフォロワ65は、第1カム61および第2カム64のカム面に沿って変位する。これにより、第1揺動アーム63および第2揺動アーム66は、それぞれの固定軸を中心に鉛直面内で揺動運動させられる。そして、当該揺動運動によって第1揺動アーム63が上アーム543の下面を押圧し、第2揺動アーム66が下アーム544の上面を押圧することで、上アーム543と下アーム544とが、互いに近接し、または離間するように上下方向に移動する。
上アーム543および下アーム544が離間した状態から互いに近接することで、上加締爪541および下加締爪542が、集積硬貨Cに巻回された包装媒体Sを加締める。
つまり、カムモータ548は、加締爪対である上加締爪541および下加締爪542を、互いに近接するように移動させる加締アクチュエータの一例である。なお、他の実施形態においては、油圧シリンダやリニアモータによって加締アクチュエータが実現されてもよい。
【0024】
《媒体供給部の構成》
図4は、第1の実施形態に係る媒体供給部の構成を示す上面図である。
媒体供給部30は、ロール支持部31と、給紙ローラ32、補助ローラ33と、1対の挿入ガイド板34とを備える。
【0025】
ロール支持部31は、包装媒体ロールS1を回転可能に支持する。包装媒体ロールS1は、紙または樹脂フィルムからなる長尺シート状の包装媒体Sが巻かれることでロール状に形成されている。ロール支持部31は、水平に配置される台部311と、台部311の中央から鉛直上方に延出する支持軸312とを有する。包装媒体ロールS1は、支持軸312を内周側に挿入させて台部311上に載置される。包装媒体ロールS1は、台部311と一体に回転する。ロール支持部31は、台部311に回転抵抗を負荷する図示しない回転抵抗部を有する。そのため、台部311は所定以上の外力が加わると回転し、外力が加わらなくなると回転抵抗部の抵抗によって停止する。台部311の上面には、包装媒体ロールS1の径方向に伸びる静電容量センサ313が設けられる。静電容量センサ313は、台部311の上部における静電容量を計測する。静電容量センサ313が計測する静電容量は、台部311に設置された包装媒体ロールS1の材質および量に応じて変化する。
なお、静電容量センサ313は、台部311に直接貼り付けられてもよいが、台部311の底面に配置した回路基板に実装されてもよい。静電容量センサ313を回路基板に実装することで、台部311にセットした包装媒体Sによって静電容量センサ313に傷がつくことを防止し、静電容量センサ313の耐久性を高めることができる。
【0026】
図5は、第1の実施形態に係る静電容量センサの計測値と包装媒体ロールの量および材質との関係を示す図である。
図5に示すように、包装媒体ロールS1の厚みが同じ場合、その材質が樹脂である場合と紙である場合とで、静電容量センサ313が検出する静電容量の値が異なる。具体的には、樹脂の包装媒体ロールS1が台部311に載置されているときの静電容量の値は、樹脂の包装媒体ロールS1が台部311に載置されているときの静電容量の値より小さくなることが分かる。
ここで、新品状態の包装媒体ロールS1の厚みが材質に依らず同じであるならば、新品状態の包装媒体ロールS1が媒体供給部30にセットされたときの静電容量の値を確認することで、包装媒体Sの材質を特定できることが分かる。例えば、新品状態の包装媒体ロールS1の厚みが45.0mmである場合、静電容量の値が第1閾値以上であれば、包装媒体Sの材質が紙であることが分かる。静電容量の値が第2閾値未満であれば、包装媒体Sの材質が樹脂であることが分かる。
【0027】
図4に戻って、給紙ローラ32および補助ローラ33は、ロール支持部31と包装部50との間における包装部50の近傍に設けられる。給紙ローラ32は、回転することにより、ロール支持部31に支持された包装媒体ロールS1から包装媒体Sを巻き取り、包装部50へ供給する。補助ローラ33は、給紙ローラ32と対向して設けられることで、給紙ローラ32と補助ローラ33とによって包装媒体Sを挟持する。
挿入ガイド板34は、ロール支持部31から給紙ローラ32および補助ローラ33までの包装媒体Sの経路に設けられる壁板である。
【0028】
《制御装置の構成》
図6は、第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
硬貨包装機1は、内部に硬貨包装機1を制御するための制御装置70を備える。
制御装置70は、プロセッサ71、メインメモリ73、ストレージ75、インタフェース77を備える。
硬貨包装機1を制御するための処理は、プログラムの形式でストレージ75に記憶されている。プロセッサ71は、プログラムをストレージ75から読み出してメインメモリ73に展開し、当該プログラムに従って処理を実行する。また、プロセッサ71は、プログラムに従って所定の記憶領域をメインメモリ73に確保する。プロセッサ71の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0029】
プログラムは、制御装置70に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0030】
ストレージ75の例としては、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ75は、制御装置70のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース77または通信回線を介して制御装置70に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によって制御装置70に配信される場合、配信を受けた制御装置70が当該プログラムをメインメモリ73に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ75は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0031】
なお、他の実施形態においては、制御装置70は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ71によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0032】
プロセッサ71は、プログラムを実行することで、計測値取得部711、設置検出部712、材質特定部713、動作モード決定部714、信号出力部715、残量特定部716、表示制御部717を備える。また、プロセッサ71は、プログラム実行時に、メインメモリ73に計測値記憶部731および材質記憶部732の記憶領域を確保する。計測値記憶部731は、静電容量センサ313による静電容量の計測値を記憶する。材質記憶部732は、媒体供給部30にセットされている包装媒体ロールS1の材質を記憶する。
またストレージ75には、
図5に示すような、包装媒体Sの材質が樹脂である場合における包装媒体ロールS1の残量と静電容量との関係を示す第1残量関数751と、包装媒体Sの材質が紙である場合における包装媒体ロールS1の残量と静電容量との関係を示す第2残量関数752とを記憶する。なお、「関数」は、関係を数式として表すものに限られず、関係をテーブルとして表すものなどを含む。
【0033】
計測値取得部711は、静電容量センサ313から計測値を取得する。計測値取得部711は、取得した計測値を計測値記憶部731に記録する。
【0034】
設置検出部712は、計測値取得部711が取得した計測値に基づいて、媒体供給部30に新たな包装媒体ロールS1が設置されたことを検出する。具体的には、設置検出部712は、静電容量の計測値が包装媒体ロールS1の残量がゼロである状態に相当する第3閾値未満から、包装媒体ロールS1が存在することを示す第4閾値以上になった場合に、媒体供給部30に新たな包装媒体ロールS1が設置されたと判定する。包装媒体ロールS1の交換の際に、媒体供給部30から古い包装媒体ロールS1が取り外されるが、このとき静電容量の計測値は必ず第3閾値を下回ることになる。したがって、設置検出部712は、静電容量の計測値が第3閾値未満から第4閾値以上になったことを検出することで、媒体供給部30に新たな包装媒体ロールS1が設置されたことを検出することができる。
【0035】
材質特定部713は、設置検出部712によって包装媒体ロールS1の設置が検出されたときに、計測値取得部711が取得した計測値に基づいて包装媒体ロールS1の材質を特定する。具体的には、材質特定部713は、計測値取得部711が取得した計測値が
図5に示す第1閾値以上である場合に、包装媒体ロールS1の材質が紙であると特定する。他方、材質特定部713は、計測値取得部711が取得した計測値が
図5に示す第2閾値未満である場合に、包装媒体ロールS1の材質が樹脂であると特定する。材質特定部713は、特定した材質を材質記憶部732に記録する。
【0036】
動作モード決定部714は、材質記憶部732が記憶する材質に基づいて、カムモータ548の回転速度を規定する動作モードを決定する。硬貨包装機1の動作モードは、紙製の包装媒体Sを加締めるための第1モードと、樹脂製の包装媒体Sを加締めるための第2モードとを含む。第1モードは、カムモータ548の回転速度を第1速度で駆動させるモードである。第2モードは、カムモータ548の回転速度を第2速度で駆動させるモードである。例えば、第1速度は第2速度の2倍の速度に設定されてよい。
【0037】
信号出力部715は、包装モータ53を一定速度で回転させる包装指示信号を、包装モータ53に出力する。また信号出力部715は、カムモータ548を動作モード決定部714が決定した動作モードに係る速度で回転させる加締指示信号をカムモータ548に出力する。
【0038】
残量特定部716は、材質記憶部732が記憶する材質および計測値取得部711が取得した計測値に基づいて、包装媒体ロールS1の残量を特定する。具体的には、残量特定部716は、材質記憶部732が記憶する材質に基づいて、残量を計算するための関数を決定する。すなわち、材質記憶部732が記憶する材質が紙である場合、残量特定部716は、第1残量関数751をストレージ75から読み出す。他方、材質記憶部732が記憶する材質が樹脂である場合、残量特定部716は、第2残量関数752をストレージ75から読み出す。残量特定部716は、計測値取得部711が取得した計測値を読み出した関数に代入することで、包装媒体ロールS1の残量を特定する。
表示制御部717は、残量特定部716が特定した包装媒体ロールS1の残量を表示するための表示信号を、タッチセンサパネル4に出力する。
【0039】
《硬貨包装機の制御方法》
硬貨包装機は、一定の制御時間ごとに、以下に示す包装媒体ロールS1の監視処理を実行する。包装媒体ロールS1の監視処理では、包装媒体ロールS1の交換の有無、包装媒体Sの材質の特定、および包装媒体Sの残量の特定を行う。
図7は、第1の実施形態に係る硬貨包装機による包装媒体ロールの監視処理を示すフローチャートである。
まず、計測値取得部711は、静電容量センサ313から計測値を取得する(ステップS1)。設置検出部712は、計測値記憶部731に記憶された静電容量の計測値が第3閾値未満であるか否かを判定する(ステップS2)。すなわち、設置検出部712は、前回の計測時に包装媒体ロールS1の残量がゼロになっていたか否かを判定する。計測値記憶部731に記憶された静電容量の計測値が第3閾値未満である場合(ステップS2:YES)、設置検出部712は、ステップS1で取得した計測値が第4閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、設置検出部712は、今回の計測時に台部311の上に包装媒体ロールS1が存在するか否かを判定する。ステップS1で取得した計測値が第4閾値以上である場合(ステップS3:YES)、設置検出部712は、包装媒体ロールS1の交換がなされたと判定する。他方、計測値記憶部731に記憶された静電容量の計測値が第3閾値以上である場合(ステップS2:NO)、または、ステップS1で取得した計測値が第4閾値未満である場合(ステップS3:NO)、設置検出部712は、包装媒体ロールS1の交換がなされていないと判定する。
【0040】
設置検出部712によって包装媒体ロールS1の交換がなされたと判定された場合、材質特定部713は、ステップS1で取得した計測値が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。計測値が第1閾値以上である場合、材質特定部713は、包装媒体Sの材質が紙であると特定し、材質記憶部732に特定した材質を記録する(ステップS5)。
【0041】
他方、計測値が第1閾値未満である場合(ステップS4:NO)、材質特定部713は、ステップS1で取得した計測値が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS6)。計測値が第2閾値未満である場合、材質特定部713は、包装媒体Sの材質が樹脂であると特定し、材質記憶部732に特定した材質を記録する(ステップS7)。
【0042】
他方、計測値が第2閾値以上かつ第1閾値未満である場合(ステップS6:NO)、表示制御部717は、エラーを表す画面を表示させるための表示信号を、タッチセンサパネル4に出力し(ステップS8)、処理を終了する。なお、材質特定部713は、包装媒体ロールS1の交換が確認された後、包装媒体Sの材質が紙でも樹脂でもないと判断した場合、計測値と材質記憶部732に記憶された他の静電容量とを比較し、所定の誤差範囲内において一致した静電容量から特定した材質の包装媒体Sであることを報知してもよい。また、材質特定部713は、外部のサーバに記憶された静電容量と比較して材質を特定してもよい。
【0043】
ステップS2またはステップS3において包装媒体ロールS1の交換がなされていないと判定された場合、残量特定部716は、材質記憶部732が記憶する材質が、紙であるか樹脂であるかを判定する(ステップS9)。
【0044】
材質記憶部732が記憶する材質が、紙である場合(ステップS9:紙)、またはステップS5において材質が紙であると特定された場合、残量特定部716は、ストレージ75に記憶される第1残量関数751に、ステップS1で取得した計測値を代入することで、包装媒体ロールS1の残量を特定する(ステップS10)。
他方、材質記憶部732が記憶する材質が、樹脂である場合(ステップS9:樹脂)、またはステップS7において材質が樹脂であると特定された場合、残量特定部716は、ストレージ75に記憶される第2残量関数752に、ステップS1で取得した計測値を代入することで、包装媒体ロールS1の残量を特定する(ステップS11)。
【0045】
表示制御部717は、ステップS10またはステップS11で特定した包装媒体ロールS1の残量を表示するための表示信号を、タッチセンサパネル4に出力する(ステップS12)。包装媒体ロールS1の残量の表示の例としては、包装媒体ロールS1の厚みの表示、残り使用可能回数の表示、ニアエンプティ表示、エンプティ表示などが挙げられる。
そして、計測値取得部711は、ステップS1で取得した計測値を計測値記憶部731に記録し(ステップS13)、処理を終了する。
【0046】
図8は、第1の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理を示すフローチャートである。
図9は、第1の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理時の動作を示すタイムチャートである。
図9には、それぞれ図示しない給紙モータ、包装モータ53、およびカムモータ548の速度の時間変化を示すタイムチャートが記載される。
硬貨包装機1に一定量のバラ硬貨が投入され、水平シャッタ14の開放によって集積硬貨Cが集積硬貨配置空間に配置されると、動作モード決定部714は、材質記憶部732が記憶する材質が、紙であるか樹脂であるかを判定する(ステップS31)。
【0047】
材質記憶部732が記憶する材質が、紙である場合(ステップS31:紙)、動作モード決定部714は、動作モードを第1モードに決定する(ステップS32)。他方、材質記憶部732が記憶する材質が、樹脂である場合(ステップS31:樹脂)、動作モード決定部714は、動作モードを第2モードに決定する(ステップS33)。
【0048】
信号出力部715は、カムモータ548に、決定した動作モードに応じた速度でカムモータを回転させる回転指示信号を出力する(ステップS34)。これにより、
図9のカムモータ548のタイムチャートに示すように、実線で示す第2モードでのカムモータ548の速度と、破線で示す第1モードでのカムモータ548の速度とが互いに異なる。
その後、信号出力部715は、給紙ローラ32を回転させる図示しない給紙モータに一定速度で回転させる回転指示信号を出力する(ステップS35)。給紙モータを一定時間回転させると、信号出力部715は、給紙モータに停止指示信号を出力する(ステップS36)。次に、信号出力部715は、包装モータ53に一定速度で回転させる回転指示信号を出力する(ステップS37)。その後、信号出力部715は、カムモータ548および包装モータ53に停止指示信号を出力する(ステップS38)。例えば、実施の形態では、カムモータ548が1回転するときに、第1カム61と第2カム64とが各々1回転する場合、信号出力部715は、カムモータ548(第1カム61と第2カム64)が1回転した後に、カムモータ548に停止指示信号を出力する。これにより、
図9のカムモータ548のタイムチャートに示すように、実線で示す第2モードでのカムモータ548の停止タイミングと、破線で示す第1モードでのカムモータ548の停止タイミングとが互いに異なる。
また、信号出力部715は、包装モータ53が所定の停止位置まで回転したときに、包装モータ53に停止指示信号を出力する。すなわち、
図9に示す例においては、包装モータ53とカムモータ548とが異なるタイミングで停止しているが、包装モータ53とカムモータ548とは、略同じタイミングで停止してもよい。
【0049】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、制御装置70は、カムモータ548の回転速度を規定する動作モードを決定し、決定した動作モードに基づく制御信号をカムモータ548に出力する。これにより、硬貨包装機1は、包装ローラ52の1回転あたりの上加締爪541と下加締爪542との接近速度を、包装媒体の材質に応じて予め設定された動作モードを切替えることで変更することができる。したがって、動作モードが包装媒体に応じて適切に決定されることで、硬貨包装機1は、集積硬貨Cを包装した包装媒体Sの両端側を適切な速度で加締めることができる。
【0050】
また、第1の実施形態によれば、制御装置70は、静電容量センサ313の計測値に基づいて包装媒体Sの材質を特定し、特定した材質に基づいて動作モードを決定する。これにより、硬貨包装機1は、静電容量センサ313の測定値に基づいて台部311にセットされた包装媒体Sの材質を自動的に決定することができ、包装媒体Sの材質に応じて決定した動作モードで集積硬貨Cを包装する包装媒体の両端側の加締を適切な速度で行うことができる。
なお、第1の実施形態に係る静電容量センサ313は、台部311における包装媒体ロールS1の径方向に沿って設けられるが、他の実施形態ではこれに限られない。例えば、他の実施形態においては、静電容量センサ313が支持軸312に沿って設けられても良い。静電容量センサ313が支持軸312に沿って設けられていても、包装媒体ロールS1の材質及び残量に応じて静電容量センサ313の出力値が変化するため、包装媒体Sの材質及び残量を適切に特定することができる。
【0051】
〈第2の実施形態〉
第1の実施形態に係る硬貨包装機1は、包装モータ53の回転数を一定にし、包装媒体Sの材質に応じてカムモータ548の回転数を変化させる。これに対し、第2の実施形態に係る硬貨包装機1は、カムモータ548の回転数を一定にし、包装媒体Sの材質に応じて包装モータ53の回転数を変化させる。
【0052】
図10は、第2の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理を示すフローチャートである。
図11は、第2の実施形態に係る硬貨包装機による集積硬貨の包装処理時の動作を示すタイムチャートである。
図11には、それぞれ図示しない給紙モータ、包装モータ53、およびカムモータ548の速度の時間変化を示すタイムチャートが記載される。
硬貨包装機1に一定量のバラ硬貨が投入され、水平シャッタ14の開放によって集積硬貨Cが集積硬貨配置空間に配置されると、動作モード決定部714は、材質記憶部732が記憶する材質が、紙であるか樹脂であるかを判定する(ステップS131)。材質記憶部732が記憶する材質が、紙である場合(ステップS131:紙)、動作モード決定部714は、動作モードを第1モードに決定する(ステップS132)。他方、材質記憶部732が記憶する材質が、樹脂である場合(ステップS131:樹脂)、動作モード決定部714は、動作モード決定部714は、動作モードを第2モードに決定する(ステップS133)。
【0053】
次に、信号出力部715は、カムモータに一定速度で回転させる回転指示信号を出力する(ステップS134)。
【0054】
第2の実施形態では、カムモータの回転速度は、第1の実施形態で説明した包装媒体が樹脂の場合(第2モード)のカムモータの回転速度に設定されている。この場合、包装モータの回転速度は、第2モードに対して第1モードは約2倍の速度に設定されている。なお、カムモータの回転速度は、第1実施形態で説明した包装媒体が紙の場合(第1モード)のカムモータの回転速度に設定されていてもよく、この場合、包装モータの回転速度は、第2モードに対して第1モードは約1/2倍の速度となる。
【0055】
次に、信号出力部715は、給紙ローラ32を回転させる図示しない給紙モータに一定速度で回転させる回転指示信号を出力する(ステップS135)。給紙モータを一定時間回転させると、信号出力部715は、給紙モータに停止指示信号を出力する(ステップS136)。次に、信号出力部715は、包装モータ53に、ステップS132またはステップS133で決定した動作モードに応じた速度で包装モータ53を回転させる回転指示信号を出力する(ステップS137)。例えば、動作モードが第1モードである場合の包装モータ53の回転数は、動作モードが第2モードである場合の包装モータ53の回転数の1/2に設定されてよい。これにより、
図11の包装モータ53のタイムチャートに示すように、破線で示す第2モードでの包装モータ53の速度と、実線で示す第1モードでの包装モータ53の速度とが互いに異なる。
【0056】
その後、信号出力部715は、包装モータ53およびカムモータ548に停止指示信号を出力する(ステップS138)。
【0057】
《作用・効果》
このように、第2の実施形態によれば、制御装置70は、包装モータ53の回転速度を規定する動作モードを決定し、決定した動作モードに基づく制御信号を包装モータ53に出力する。これにより、硬貨包装機1は、上加締爪541と下加締爪542との移動速度あたりの包装ローラ52の回転数を、動作モードに応じて変更することができる。これにより、包装媒体の材質に応じた適切な動作モードを決定することで、適切に集積硬貨Cを包装できる。
【0058】
なお、第1の実施形態に係る制御装置は、包装モータ53を一定速度として、カムモータ548の回転速度を動作モードに応じて変更し、第2の実施形態に係る制御装置は、カムモータ548を一定速度として、包装モータ53の回転速度を動作モードに応じて変更する。他方、他の実施形態においては、制御装置70は、動作モードに応じて包装モータ53およびカムモータ548の両方の回転速度を変更してもよい。いずれの実施形態においても、動作モードは、包装モータ53の回転速度とカムモータ548の回転速度の相対的な関係を規定するものである。
【0059】
〈第3の実施形態〉
第1の実施形態および第2の実施形態に係る制御装置70は、静電容量センサ313の計測値に基づいて包装媒体Sの材質を特定する。これに対し、第3の実施形態に係る制御装置70は、光学センサを用いて包装媒体Sの材質を特定する。
【0060】
図12は、第3の実施形態に係る媒体供給部の構成を示す上面図である。
図12に示す通り、静電容量センサ313に代えて、第1発光素子341、第1受光素子342、第2発光素子343、第2受光素子344を備える。
第1発光素子341および第2発光素子343は、1対の挿入ガイド板34の一方に設けられる。第1受光素子342および第2受光素子344は、1対の挿入ガイド板34の他方に設けられる。第1受光素子342は、第1発光素子341に対向するように設けられる。第2受光素子344は、第2発光素子343に対向するように設けられる。
【0061】
第1発光素子341は、樹脂を透過し、紙によって吸収されまたは反射される波長の光を発する。これにより、第1発光素子341が発する光を第1受光素子342で受光できなければ、紙製の包装媒体Sが1対の挿入ガイド板34の間を通っていることがわかる。すなわち、第1発光素子341および第1受光素子342は、紙検出センサとして機能する。
第2発光素子343は、樹脂および紙によって吸収されまたは反射される波長の光を発する。これにより、第2発光素子343が発する光を第2受光素子344で受光できなければ、紙製または樹脂製の包装媒体Sが1対の挿入ガイド板34の間を通っていることがわかる。すなわち、第2発光素子343および第2受光素子344は、媒体検出センサとして機能する。
【0062】
第3の実施形態に係る計測値取得部711は、第1受光素子342および第2受光素子344の光量の計測値を取得する。そして、材質特定部713は、第1受光素子342の受光量および第2受光素子の受光量がともに閾値以上である場合に、包装媒体ロールS1がセットされていないと判定する。材質特定部713は、第1受光素子342の受光量が閾値以上であって、第2受光素子344の受光量が閾値未満である場合に、包装媒体Sの材質が樹脂であると判定する。材質特定部713は、第1受光素子342の受光量および第2受光素子344の受光量が閾値未満である場合に、包装媒体Sの材質が紙であると判定する。
【0063】
このように、第3の実施形態に係る制御装置70は、静電容量センサ313以外のセンサの計測値を用いても、包装媒体Sの材質を特定することができる。なお、第3の実施形態においては、2種類の発光素子を用いて包装媒体Sの材質を特定するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態においては、発光素子が、樹脂と紙とで吸収率が異なる波長の光を発することで、制御装置70が受光素子における受光レベルに基づいて包装媒体Sの材質を特定してもよい。
【0064】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0065】
また、他の実施形態においては、包装媒体Sの物理量を計測するセンサを備えずに、利用者によるスイッチ操作等によって材質または動作モードの入力を受け付けるものであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…硬貨包装機 30…媒体供給部 313…静電容量センサ 50…包装部 52…包装ローラ 53…包装モータ 54…加締部 547…カム機構 548…カムモータ 70…制御装置 71…プロセッサ 711…計測値取得部 712…設置検出部 713…材質特定部 714…動作モード決定部 715…信号出力部 716…残量特定部 717…表示制御部 73…メインメモリ 731…計測値記憶部 732…材質記憶部 S…包装媒体 S1…包装媒体ロール C…集積硬貨