(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】粉末金属の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 9/08 20060101AFI20231121BHJP
C22C 14/00 20060101ALI20231121BHJP
C22C 1/02 20060101ALI20231121BHJP
C22B 34/12 20060101ALI20231121BHJP
C22B 9/16 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B22F9/08 C
C22C14/00 Z
C22C1/02 503E
C22C1/02 503F
C22C1/02 503D
C22B34/12 102
C22B9/16
(21)【出願番号】P 2019198550
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 論文の発行 公益社団法人 日本金属学会 Materials Transactions, Vol.60,No.3(2019)pp.405~410 平成31年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000035
【氏名又は名称】株式会社 東北テクノアーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 鴻民
(72)【発明者】
【氏名】竹田 修
(72)【発明者】
【氏名】▲ルー▼ ▲シン▼
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-192711(JP,A)
【文献】特開昭62-240704(JP,A)
【文献】QIUYU WANG et al.,The Equilibrium Between Titanium Ions and Titanium Metal in NaCl-KCl Equimolar Molten Salt,METALLURGICAL AND MATERIALS TRANSACTIONS B,44B,AUGUST,2013年,906-913,DOI:10.1007/s11663-013-9853-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄、クロム、チタン、アルミニウム、
及びバナジウ
ムよりなる群から選ばれる1以上を95質量%以上含むバルク金属、溶融塩、及び金属イオン源を含有する混合物を準備する準備工程と、
前記準備工程後、
前記バルク金属を前記溶融塩の上層または下層に配置し、前記混合物を加熱保持しながら撹拌翼で撹拌することにより粉末金属を生成する生成工程とを含み、
前記生成工程においては、前記混合物中における前記粉末金属を生成するための平衡定数Kが10
-2~10
2であ
り、
前記バルク金属は、以下の(1-1)または(1-2)のいずれか一つを満たし、
(1-1)少なくともチタンを含み、チタンが95質量%以上である、
(1-2)少なくともチタンを含み、更に鉄、クロム、アルミニウム、及びバナジウムよりなる群から選ばれる1以上を含み、これらの合計が95質量%以上である、
前記金属イオン源は、以下の(2-1)または(2-2)のいずれか一つを満たし、
(2-1)少なくともチタンイオン源を含み、
(2-2)少なくともチタンイオン源を含み、更に鉄イオン源、クロムイオン源、アルミニウムイオン源、及びバナジウムイオン源よりなる群から選ばれる1以上を含み、
前記粉末金属は粉末チタンまたは粉末チタン合金である、粉末金属の製造方法。
【請求項2】
前記バルク金属の体積
Aに対する前記溶融塩の体積
Bの割合
B/Aが10以上である、請求項1に記載の粉末金属の製造方法。
【請求項3】
前記生成工程後に、前記粉末金属を回収し、前記粉末金属を加熱して該粉末金属の粒径を調整する粒径制御工程を更に含む、請求項1又は2に記載の粉末金属の製造方法。
【請求項4】
前記バルク金属がチタンを95質量%以上含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末金属の製造方法。
【請求項5】
下記式(3)に基づく質量濃度比は、0.01~10である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉末金属の製造方法。
質量濃度比=(金属イオン源の質量/(溶融塩の質量+金属イオン源の質量))×100・・・式(3)
【請求項6】
前記
チタンイオン源は、少なくともTiCl
x(X=2~3)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉末金属の製造方法。
【請求項7】
前記金属イオン源は、AlCl
3又はVCl
3を更に含
み、
前記粉末金属は粉末チタン合金である、請求項6に記載の粉末金属の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末金属の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンは、密度が低く、機械的強度が高く、耐食性に優れるといった特性を有している。一方、チタンは活性かつ難加工材としても知られており、製造コスト及び加工コストが高い傾向となる。そのため、チタンは有望な金属材料でありながら、製造等コスト面から広範な適用に未だ至っていない。
【0003】
従来から、チタン或いはチタン合金粉末の製造においては、アトマイズ法、プラズマ処理法、又は水素化脱水素法等が利用されている(例えば、特許文献1~3)。しかしながら、上記いずれの方法も製造コストが高い傾向にある。そこで、製造コストを低減するという観点から、多工程を経ることなく簡便に製造する手法として、不均化反応でチタン粉末を製造することが知られている。
【0004】
例えば、非特許文献1には、スポンジチタン、塩化チタン、及び等モル比のNaCl-KCl溶融塩を投入して溶融塩を適切な温度に加熱保持しながら、溶融塩にアルゴンガスによるバブリングを行い、溶融塩内で下記化学式(1)に示す不均化反応が生じ、チタン粉末を製造することが記載されている。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平08-199207号公報
【文献】特開平03-173704号公報
【文献】特開平05-163508号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】QIUYU WANG et al., “The Equilibrium Between Titanium Ions Titanium Matel in NaCl-KCl Equimolar Molten Salt”, 44B, 2013, 906-913.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、非特許文献1に記載された公知技術に基づいてチタン粉末を製造したところ、微細なチタン粉末を生成することができた。しかしながら、非特許文献1に記載された公知技術は、チタン粉末が生成されるまでに非常に長い時間を要するため、その間も坩堝内の温度を制御しなければならず、チタン粉末の製造効率が高いものと言い難かった。そのため、非特許文献1の技術については、未だ改善の余地があると考えられる。
【0009】
そこで、本発明の一実施形態においては、製造効率を向上することが可能な粉末金属の製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は一側面において、鉄、クロム、チタン、アルミニウム、バナジウム及び希土類金属よりなる群から選ばれる1以上を95質量%以上含むバルク金属、溶融塩、及び金属イオン源を含有する混合物を準備する準備工程と、前記準備工程後、前記混合物を加熱保持しながら撹拌翼で撹拌することにより粉末金属を生成する生成工程とを含み、前記生成工程においては、前記混合物中における前記粉末金属を生成するための平衡定数Kが10-2~102である、粉末金属の製造方法である。
【0011】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、前記バルク金属の体積に対する前記溶融塩の体積の割合が10以上である。
【0012】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、前記生成工程後に、前記粉末金属を回収し、前記粉末金属を加熱して該粉末金属の粒径を調整する粒径制御工程を更に含む。
【0013】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、前記バルク金属がチタンを95質量%以上含む。
【0014】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、下記式(3)に基づく質量濃度比は、0.01~10である。
質量濃度比=(金属イオン源の質量/(溶融塩の質量+金属イオン源の質量))×100・・・式(3)
【0015】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、前記金属イオン源は、少なくともTiClx(X=2~3)を含む。
【0016】
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、前記金属イオン源は、AlCl3又はVCl3を更に含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、不均化反応を利用し、粉末金属の製造効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態を説明するためのフロー図である。
【
図2】本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態に使用される坩堝の内部構造を模式的に示す正面図である。
【
図3】(A)は、本発明に係る粉末金属の製造方法の別の実施形態において、坩堝の内部構造を模式的に示す正面図であり、(B)は、
図3(A)のIII-III線矢視部分断面図である。
【
図4】(A)は、本発明に係る粉末金属の製造方法の別の実施形態において、坩堝の内部構造を模式的に示す正面図であり、(B)は、
図4(A)のIV-IV線矢視部分断面図である。
【
図5】(A)は、本発明に係る粉末金属の製造方法の別の実施形態において、坩堝の内部構造を模式的に示す正面図であり、(B)は、
図5(A)のV-V線矢視部分断面図である。
【
図6】本発明に係る粉末金属の製造方法の別の実施形態に使用される坩堝の内部構造を模式的に示す正面図である。
【
図7】比較例1及び参考例1~2で使用される坩堝の内部構造を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除して発明を形成してもよい。更に、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせて発明を形成してもよい。なお、本明細書において、粉末金属は、金属単体又は合金の粉末を意味する。
【0020】
[1.経緯などの概要]
まず、本発明者らは、坩堝200(
図7参照。)に、底部に載置するスポンジチタン(図示省略)とLiCl-KCl溶融塩とTiCl
2を投入してこれら原料の混合物を用意した後、加熱保持しながら前記混合物に管210を通してアルゴンガスによるバブリングを行うことで坩堝200内の溶融塩を撹拌して、微細なチタン粉末を生成した。しかしながら、所定量のチタン粉末を生成するまでの反応時間が非常に長く、製造効率が高いものではなかった。この理由としては、前記バブリングでは溶融塩に供給されたアルゴンガスが上昇するのみであり、溶融塩の撹拌力が不足したと考えられる。
【0021】
例えば、溶融塩中にバルクチタン(スポンジチタンやチタンスクラップ等)が存在すれば、その近傍では下記化学式(2)で示す均化反応が優先的に進行し、Ti2+が生成されることが知られている。そこで、本発明者らは、粉末金属の製造効率を向上させるために、溶融塩を上層と下層の2つに概念的に分けて把握し、例えば、上層では上記化学式(1)で示す不均化反応が行われ、バルクチタンが載置された下層では下記化学式(2)で示す均化反応が行われることに着目した。
【0022】
【0023】
本発明者らは、溶融塩に旋回流と上下循環流をそれぞれ発生させ、混合物において均化反応と不均化反応との反応場を切り分けることを考え、そのために撹拌手段として撹拌翼を用いた。そのような場合に、例えば、
図2に示すように、溶融塩Mの下層にバルクチタンBTが存在していれば、その下層において上記化学式(2)に示す均化反応が行われる。その下層においてバルクチタンBTから均化反応で生成したTi
2+は、撹拌翼130の撹拌で発生した上下循環流ULFにより、上層に輸送される。その上層では、Ti
2+により上記化学式(1)に示す不均化反応が行われる。そのときに、不均化反応で生成されたチタンが微細な粉末として生成される。不均化反応で生成されたTi
3+は、撹拌翼130の撹拌で発生した上下循環流ULFにより、下層に輸送される。そして、下層においてTi
3+とバルクチタンBTは、均化反応により溶融塩にTi
2+を生成する。このような均化反応と不均化反応を繰り返す(以下、「シャトル反応」とも称する。)ことで、微細な粉末金属が得られると考えられる。
更に、不均化反応の平衡定数は粉末金属の分散速度や粉末金属の粒径等に影響するので、平衡定数が適切な範囲になるように溶融塩の温度や原料組成を制御することも必要である。
【0024】
このように、本発明者らは、鋭意検討した結果、微細な粉末金属を製造する際に製造効率を向上させることが可能との知見を得るに至った。
以下、好ましい態様について説明する。
【0025】
[2.粉末金属の製造方法]
本発明に係る粉末金属の製造方法の一実施形態においては、
図1に示すように、準備工程S11と、生成工程S21と、粒径制御工程S31とを含む。以下、各工程の好ましい態様をそれぞれ説明する。
【0026】
<準備工程>
準備工程S11では、例えば坩堝等溶融塩を収容する器体内に、金属、溶融塩、及び金属イオン源を含有する混合物を準備する。
【0027】
(坩堝)
図2に示すように、器体である坩堝100は、溶融塩Mを貯留することができる。坩堝100は、撹拌機110を備えている。器体は、その材質は特に限定されず、例えば金属、アルミナ、グラファイト等により構成してよい。生成工程S21において溶融塩Mに坩堝100の金属成分の溶出を抑制するという観点から、坩堝100等の器体はアルミナ製又はグラファイト製であってよい。以下では、器体として坩堝100を使用する例により説明する。
【0028】
坩堝100の内径Dに対する溶融塩Mの浴面Sの高さHの割合H/Dは、生成工程S21において不均化反応で生成した粉末金属を分散できる領域を設けるという観点から、1.0以上であればよい。なお、上記割合H/Dは、坩堝100を設置するスペースを考慮し、典型的に5.0以下であってよく、2.0以下であってもよい。また、溶融塩Mの浴面Sの高さHは、坩堝100の内径Dに対する鉛直方向Vに沿って坩堝100の下端側の内面105から溶融塩Mの浴面Sまでの距離を意味する。
【0029】
(撹拌機)
撹拌機110は、坩堝100の下端側の内面105と接触しないように設置されており、回転軸120と、回転軸120の下端125側に取り付けられる撹拌翼130とを備える。回転軸120及び撹拌翼130の材質は特に限定されないが、500~800℃で十分な強度をもち、浴成分と反応せず不活性であるという観点から、例えばステンレス鋼製、炭素鋼製、ニッケル基合金製等が挙げられる。なお、撹拌翼130は、回転軸120の下端125に切欠きを設け、その切欠きに嵌め込み溶接して取り付ければよい。
【0030】
(撹拌翼)
撹拌翼130の形状は特に限定されないが、撹拌時に溶融塩Mに旋回流と上下循環流ULFを発生させるという観点から、例えばパドル型、傾斜パドル型、プロペラ型、エッジドタービン翼等が挙げられる。
【0031】
坩堝100の下端側の内面105に平行に配置した撹拌翼130の長さdと坩堝100の内径Dの割合d/Dは、溶融塩Mの下層側で起こる均化反応で生じたTi2+が溶融塩Mの上層側に輸送されることで粉末金属の製造効率を向上させるという観点から、0.6以上であることが好ましい。なお、上記割合d/Dは、撹拌翼130が坩堝100の内面105と接触しないように、典型的に0.9以下である。
【0032】
また、撹拌翼130は、溶融塩Mにおいてシャトル反応が行われる反応場を有効に活用することで粉末金属の製造効率を向上させるという観点から、坩堝100の内面105と接触しないように坩堝100の下部側に設置される。更に、撹拌翼130は、バルク金属とも接触しないように、バルク金属の直上に設置されることが好ましい。
【0033】
撹拌翼130は、例えば、溶融塩Mの下層側で起こる均化反応で生じたTi
2+が溶融塩Mの上層側に効率的に輸送されることで粉末金属の製造効率を向上させるという観点から、回転軸120に複数取り付けてよい。例えば、
図3(A)に示すように、2枚の撹拌翼140、142は、回転軸120の下端125側にそれぞれ取り付けられる。このとき、
図3(B)に示すように、各撹拌翼140、142が回転方向において等間隔で回転軸120に取り付けられている。また例えば、
図4(A)に示すように、2枚の撹拌翼150、152のうち、1枚の撹拌翼150が回転軸120の下端125側に取り付けられ、残りの1枚の撹拌翼152が撹拌翼150と離間して回転軸120に取り付けられている。このとき、
図4(B)に示すように、各撹拌翼150、152が回転方向において重なって回転軸120に取り付けられている。更に、
図5(A)に示すように、4枚の撹拌翼160、162、164、166のうち、1枚の撹拌翼160が回転軸120の下端125側に取り付けられ、他の1枚の撹拌翼162が撹拌翼160と離間して回転軸120に取り付けられ、更に他の1枚の撹拌翼164が撹拌翼160、162と離間して回転軸120に取り付けられ、残りの1枚の撹拌翼166が撹拌翼160、162、164と離間して回転軸120に取り付けられている。このとき、
図5(B)に示すように、各撹拌翼160、162、164、166が回転方向において等間隔で回転軸120に取り付けられている。
なお、
図3(A)~
図5(B)に示された各撹拌翼140、142、150、152、160、162、164、166は同一形状に限定されるものではなく、それぞれ異なる形状であってよい。また各撹拌翼の回転方向における間隔は適宜決定すればよい。
【0034】
(バルク金属)
バルク金属は製造される粉末金属の組成を考慮して、鉄、クロム、チタン、アルミニウム、バナジウム及び希土類金属よりなる群から選択される1以上を95質量%以上含むものとする。バルク金属は、少なくともチタンを含むこととしてよい。また、バルク金属はチタンを95質量%以上含むものを使用してよい。粉末金属としてチタン粉末を製造する場合、バルク金属はスポンジチタンやチタンスクラップであってよい。また、粉末金属としてTi-Al合金粉を製造する場合は、バルク金属はチタン及びアルミニウムを含み、これらはチタンスクラップ及びアルミニウムスクラップから選ばれる1以上を含んでよい。粉末金属としてTi-V合金粉を製造する場合は、バルク金属はチタン及びバナジウムを含み、これらはチタンスクラップ及びバナジウムスクラップから選ばれる1以上を含んでよい。
【0035】
(溶融塩)
溶融塩Mは、固体塩を加熱し融解状態としたものである。溶融塩Mは特に限定されないが、化学的安定性が高く、取り扱いしやすいという観点から、例えばアルカリハライドの単塩或いは混合塩が挙げられる。溶融塩Mは、例えば、LiCl、NaCl、KCl、およびMgCl2から選ばれる1以上を含んで構成されてよい。前記混合塩の具体例としてLiCl-KCl、NaCl-KCl等が挙げられる。
【0036】
(金属イオン源)
金属イオン源は、その粉末金属の源となる金属イオンを供給する。また、粉末金属の製造開始時に金属イオン源が原料の混合物に含まれることでシャトル反応を早期に開始でき粉末金属の製造効率が向上する。シャトル反応における粉末金属生成の精密制御という観点から、溶融塩Mに対する金属イオン源の割合として質量濃度比は、0.01~10であることが好ましい。上記割合が、下限側としては0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。また、上記割合が、上限側としては10以下であることが好ましく、0.5以下であることが更に好ましい。
なお、上記質量濃度比は下記式(3)に基づき求める。
質量濃度比=(金属イオン源の質量/(溶融塩の質量+金属イオン源の質量))×100・・・式(3)
【0037】
金属イオン源は、生成工程S21にてチタン粉末を生成するため、少なくともTiClx(X=2~3)を含むことが好ましい。なお、TiClx(X=2~3)は、TiCl2が主成分であることが好ましく、TiCl3をTiCl2と等モル量以下含有してよい。
【0038】
上記金属イオン源は、Ti-Al合金粉末を生成する場合には、不均化反応においてTi2+と効率的に反応させるために、AlCl3を更に含むことが好ましい。
なお、Ti-Al合金粉末を生成するために上記金属イオン源としてAlCl3を使用する場合には、バルク金属としてのAlを溶融塩Mの上層に設置しても良く、スポンジチタン等とともに下層に設置してもよい。ここで、バルク金属としてのAlの形状としては例えば、板状、小片、切片、粉末等が挙げられる。
【0039】
また、Ti-V合金粉末を生成する場合には、上記金属イオン源は不均化反応においてTi2+と効率的に反応させるために、VCl3を更に含むことがより好ましい。
なお、Ti-V合金粉末を生成するために上記金属イオン源としてVCl3を使用する場合には、バルク金属としてのVを溶融塩Mの上層に設置しても良く、スポンジチタン等とともに下層に設置してもよい。ここで、バルク金属としてのVの形状としては例えば、板状、小片、切片、粉末等が挙げられる。
【0040】
準備工程S11では、生成工程S21において均化反応によりバルク金属から金属イオンを発生させて、不均化反応により該金属イオンから粉末金属を発生させるための反応場を設けるという観点から、バルク金属の体積Aに対する溶融塩Mの体積Bの割合B/Aが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。なお、上記割合B/Aは、製造コストの低減という観点から、典型的に50以下である。
【0041】
更に、準備工程S11では、混合物を準備する一例として、溶融塩と金属イオン源を坩堝で予め調整した後、バルク金属を坩堝に投入してよい。また、固体塩を坩堝に投入した後、熱により固体塩を融解して溶融塩に調整した後、バルク金属と金属イオン源をそれぞれ投入してよい。
【0042】
<生成工程>
生成工程S21では、準備工程S11後、混合物を加熱保持しながら撹拌翼で撹拌することにより粉末金属を生成する。そして、生成工程S21においては、溶融塩M中における粉末金属を生成するための平衡定数Kが10-2~102である。なお、本明細書において、平衡定数Kは濃度平衡定数を意味するものであり、原料の温度によって変化するパラメータである。平衡定数の測定方法については、例えばLiCl-KCl溶融塩M中で平衡実験を行い、溶融塩M中の金属チタンと平衡するチタンイオンの濃度分析を行ったときに、上記化学式(1)のような不均化反応が生じていると仮定して下記式(4)により算出される。また、生成対象がチタン合金粉末である場合は、チタン粉末と同様に、平衡定数Kを考慮すればよい。
K=[Ti3+]2/[Ti2+]3・・・式(4)
K:平衡定数
[Ti3+]:溶融塩中のTi3+濃度
[Ti2+]:溶融塩中のTi2+濃度
一般に、平衡定数Kは高温になる程高い値となる。上記チタンの反応について、LiCl-KCl混合溶融塩における平衡定数は0.011(773K)、0.034(873K)、0.070(973K)であることが知られており、NaCl-KCl混合溶融塩における平衡定数は0.24(973K)、1.55(1023K)、2.48(1073K)であることが知られている。
【0043】
上記平衡定数Kは、バルク金属の反応率を向上させるという観点から、下限側としては、10-2以上であり、10-1以上であることが好ましい。また、上記平衡定数Kは、TiCl3とTiCl2の安定性があまり大きく変わらないという観点から、上限側としては、102以下であり、101以下としてもよい。
【0044】
撹拌翼130、140、142、150、152、160、162、164、166による撹拌中、溶融塩Mの加熱温度は、平衡定数Kを所望の範囲となるように調整するという観点から、400℃以上であればよく、450℃以上であればよりよい。なお、上記加熱温度は、製造コストを低減するという観点から、典型的に1000℃以下である。
【0045】
上記撹拌については、シャトル反応を連続的に進行させて、金属酸化物の生成を抑制して製造効率を向上させるという観点から、非酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。本明細書において、非酸化性雰囲気とは、酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ちヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることを意味する。
【0046】
また、別の実施形態では、
図6に示すように、Ni製の籠170を坩堝100の上部側に更に備え、その籠170内にバルク金属BMを載置した後、溶融塩Mを例えば400~1000℃に加熱保持しながら撹拌翼130で撹拌する。これにより、シャトル反応が進行し、微細な粉末金属が坩堝100の底側に生成する。なお、籠170は、複数の孔171を有する。よって、溶融塩Mは籠170中を通過できる。
更に、溶融塩Mの加熱温度は、先述した実施形態と同様でよい。
【0047】
<粒径制御工程>
粒径制御工程S31では、生成工程S21後に、粉末金属を回収し、粉末金属を加熱して該粉末金属の粒径を調整する。ここで、粉末金属を回収する方法としては、坩堝100内の溶融塩Mを加熱保持しつつ、抜き出し用パイプ(不図示)により液相状態のまま抜き出す操作を行う。次に、坩堝100内を真空引きし非酸化性雰囲気にして、例えば900~1000℃、2時間以上で粉末金属を焼結する。そうすることで、粉末金属に含まれる不純物量が低減され、更に粉末金属の粒子が成長し粒径を制御することができる。このような操作方法においては、粉末金属に含まれる不純物量を低減するために粉末金属を水洗する工程を省略可能である。
【0048】
また、別の実施形態では、生成工程S21で得られた粉末金属を含有する溶融塩Mを、坩堝100からパイプを通して別の坩堝に加圧ポンプなどで圧送する。このとき、溶融塩Mの圧送前に、坩堝内の温度が例えば400~1000℃となるように予め加熱保持してもよく、溶融塩Mの圧送後に、坩堝内の温度が例えば400~1000℃となるように加熱してもよい。その後、溶融塩Mを坩堝に取り付けられたフィルターで濾過し、粉末金属と溶融塩を分離する。分離後に、得られた溶融塩を、坩堝からパイプを通して生成工程で使用される坩堝100に加圧ポンプなどで圧送することで、その溶融塩を再利用する。更に、回収用容器を真空にし、フィルター上にある粉末金属に付着している溶融塩を気化させてそのガスを別の坩堝に移送し、分離除去する。
その後、先述したように、粉末金属を真空焼結することで、その粒径を制御することができる。
【0049】
(粒径)
焼結処理後の粉末金属に残存する一次粒子は、平均粒径が1μm以下でよい。また、焼結処理後の粉末金属の二次粒子は、平均粒径が10~50μmでよい。本明細書において、二次粒子は、複数の一次粒子の凝集物から構成されている。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100~500倍の範囲で観察し、粒子の輪郭が確認できる粒子を100個選択し、選択された粒子について画像処理ソフトウエアを用いて球換算径を算出し、得られた球換算径の算術平均値として求める。
【実施例】
【0050】
本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明する。以下の実施例及び比較例の記載は、あくまで本発明の技術的内容の理解を容易とするための具体例であり、本発明の技術的範囲はこれらの具体例によって制限されるものではない。なお、実施例1、比較例1、及び参考例1~2の製造条件と反応率をそれぞれ表1に示す。また、下記表1に示す平衡定数Kは、チタン粉末とチタン合金粉末の製造のいずれにおいても、上記式(4)に基づいて算出されたものとする。
【0051】
[TiCl2含有塩の準備]
スポンジチタンとTiCl4ガスを以下の手順で反応させてTiCl2を合成した。まず、LiCl(純度99.5質量%超)とKCl(純度99.5質量%超)を共晶組成であるLiCl:KCl=59.5:40.5のモル比でアルミナ製坩堝に投入した。次いで、坩堝内のLiCl及びKClを200℃のオーブンで24時間乾燥させた後、混合して、LiCl-KCl混合塩を得た。次いで、LiCl-KCl混合塩とスポンジチタン(純度99.0質量%超)を、石英フィルター付き石英管に装入し、次いでアルゴン雰囲気下750℃にて上記混合塩を加熱・溶融することで、スポンジチタンを含有するLiCl-KCl溶融塩を得た。この750℃の溶融塩中にフィルターを通してTiCl4ガスを3時間通気しスポンジチタンと接触させた。反応後、冷却し、スポンジチタンを除去することで得られたLiCl-KCl混合塩中のTiCl2濃度は9.8質量%であった。
【0052】
[実施例1]
図2に示した、アルミナ製坩堝(外径φ50mm、内径φ40mm、高さ100mm)100を用意した。30gのLiCl-KCl混合塩(TiCl
2含有塩を含む。)と、0.5gのスポンジチタンとを坩堝100に投入した(スポンジチタン体積に対する混合塩体積は10以上であった)。LiCl-KCl混合塩中のTi
2+濃度は0.43質量%に調整した。アルゴン雰囲気下で、スポンジチタンを含有した上記原料混合物を500℃まで加熱・溶融することで、溶融状態の溶融塩Mを得た。撹拌機110に備わる撹拌翼130を溶融塩Mに浸漬し、該撹拌翼130がスポンジチタンと接触しないようにスポンジチタン直上まで撹拌翼130を降下させ、回転させた。回転速度は100rpmに設定した。撹拌翼130を回転させながら溶融状態の溶融塩Mを500℃に加熱保持し、360分反応させた後、撹拌を停止した。次いで、撹拌機110を溶融塩Mから引き抜き、溶融塩Mを自然冷却させた。溶融塩Mが凝固した後、坩堝100から凝固体を回収し、凝固体を脱イオン水で溶解・除去した。凝固体の解け残り部分である残渣を濾別して50℃のオーブンで乾燥し、粉末を回収した。その粉末については、X線回折法で測定したところ、2θ=35、38、40°に現れる回折ピークより、X線回折の標準ピークを集めているデータベースJCPDSに基づき、チタン粉末であることを確認した。
<測定条件>
XRD回折装置:ULTIMA(RIGAKU製)
管球の種類:Cu
X線の種類:K
α
管電圧:40kV
管電流:40mA
測定範囲:2θ=10°~100°
スキャン軸:2θ/θ、
スキャン速度:3°/min
ステップ幅:0.02°
【0053】
そして、チタン粉末の回収量は、0.45gであった。更に、反応率は、表1に示すように、90%であった。この反応率は、下記方法により求めた。
<反応率>
スポンジチタン量と、回収したチタン量とを下記式(5)に基づいて、反応率αを算出した。
α(%)=(STW/TW)×100・・・(5)
α:反応率(%)
TW:スポンジチタン量
STW:回収したチタン量
【0054】
得られたチタン粉末をアルミナ製坩堝に投入し、アルゴン雰囲気下で、900℃で1時間焼結することにより、該チタンの粒径を調整した。そして、チタンの一次粒子の平均粒径と、チタンの二次粒子の平均粒径とを下記測定条件によりそれぞれ測定した。その結果、チタンの一次粒子の平均粒径は1μm以下であり、チタンの二次粒子の平均粒径は10~50μmであった。
<粒径の測定方法>
平均二次粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、加速電圧15kV、拡大倍率100倍で観察し、粒子の輪郭が確認できる粒子を100個選択し、選択された粒子について画像処理ソフトウエアを用いて球換算径を算出し、得られた球換算径の算術平均値として求めた。
【0055】
[比較例1]
図7に示した、アルミナ製坩堝(外径φ50mm、内径φ40mm、高さ100mm)200を用意した。30gのLiCl-KCl混合塩(TiCl
2含有塩を含む。)と、0.5gのスポンジチタンを坩堝200に投入した。LiCl-KCl混合塩中のTi
2+濃度は0.43質量%に設定した。アルゴン雰囲気下で、スポンジチタンを含む上記原料混合物を500℃まで加熱・溶融することで、スポンジチタンを含有するLiCl-KCl溶融塩Mを得た。次いで、溶融塩Mにアルミナ製管210をスポンジチタン直上まで通して、その管210の上方から供給したアルゴンガスによるバブリングを行うことにより、溶融塩Mを撹拌した。アルゴンガスの流量は20mL/分(CCM)に設定した。アルゴンガスによるバブリングをさせながら、溶融塩Mを500℃に加熱保持し、360分反応させた後、バブリングをやめ溶融塩Mを自然冷却させた。溶融塩Mが凝固した後、坩堝200から凝固体を回収し、凝固体を脱イオン水で溶解・除去した。凝固体の解け残り部分である残渣を濾別して50℃のオーブンで乾燥し、粉末を回収した。その粉末については、実施例1と同様に、X線回折法で測定したところ、2θ=35、38、40°に現れる回折ピークより、X線回折の標準ピークを集めているデータベースJCPDSに基づき、チタン粉末であることを確認した。
【0056】
そして、チタン粉末の回収量は、0.2gであった。その結果、表1に示すように、反応率は、40%であった。更に、得られたチタン合金を実施例1と同様に焼結させた。その結果、チタン合金の一次粒径は、5μm以下であり、チタン合金の二次粒径は、100μmであった。
【0057】
[参考例1]
図7に示した、グラファイト製坩堝(外径φ50mm、内径φ40mm、高さ50mm)200を用意した。35gのLiCl-KCl混合塩(TiCl
2含有塩を含む。)と、1gのスポンジチタン及び1.4gのアルミニウム粒を坩堝200に投入した。LiCl-KCl混合塩中のTi
2+濃度は0.43質量%に設定した。アルゴン雰囲気下で、スポンジチタンとLiCl-KCl混合塩の原料混合物を550℃まで加熱・溶融することで、スポンジチタンを含有するLiCl-KCl溶融塩Mを得た。次いで、溶融塩Mにアルミナ製管210をスポンジチタン直上まで通して、その管210の上方から供給したアルゴンガスによるバブリングを行うことにより、溶融塩Mを撹拌した。アルゴンガスの流量は20mL/分(CCM)に設定した。アルゴンガスによるバブリングをさせながら、溶融塩Mを550℃に加熱保持し、300分反応させた後、バブリングをやめ、溶融塩Mを自然冷却させた。溶融塩Mが凝固した後、坩堝200から凝固体を回収し、凝固体を脱イオン水で溶解・除去した。凝固体の解け残り部分である残渣を濾別して50℃のオーブンで乾燥し、粉末を回収した。その粉末については、実施例1と同様に、粉末X線回折法で測定したところ、2θ=39、44、46°に現れる回折ピークより、X線回折の標準ピークを集めているデータベースJCPDSに基づき、Ti
2Al
5金属間化合物相のみで構成されていることを確認した。
【0058】
そして、Ti-Al合金粉末の回収量は、1g(チタン分0.4g)であった。その結果、表1に示すように、反応率は、40%(チタン換算)であった。更に、得られたTi-Al合金を実施例1と同様に焼結させた。その結果、Ti-Al合金の一次粒径は、1μm以下であり、Ti-Al合金の二次粒径は、10~50μmであった。
【0059】
[参考例2]
図7に示した、グラファイト製坩堝(外径φ50mm、内径φ40mm、高さ50mm)200を用意した。50gのLiCl-KCl混合塩(TiCl
2含有塩を含む。)と、1gのスポンジチタン及び2.4gのNaCl-30mol%VCl
3を坩堝200に投入した。LiCl-KCl混合塩中のTi
2+濃度は0.43質量%に設定した。アルゴン雰囲気下で、スポンジチタンとLiCl-KCl混合塩を500℃まで加熱・溶融することで、スポンジチタンを含有するLiCl-KCl溶融塩Mを得た。次いで、溶融塩Mにアルミナ製管210をスポンジチタン直上まで通して、その管210の上方から供給したアルゴンガスによるバブリングを行うことにより、溶融塩Mを撹拌した。アルゴンガスの流量は20mL/分(CCM)に設定した。アルゴンガスによるバブリングをさせながら、溶融塩Mを500℃に加熱保持し、60分反応させた後、バブリングをやめ、自然冷却した。溶融塩Mが凝固した後、坩堝200から凝固体を回収し、凝固体を脱イオン水で溶解・除去した。凝固体の解け残り部分である残渣を濾別して50℃のオーブンで乾燥し、粉末を回収した。その粉末については、実施例1と同様に、X線回折測定法により測定したところ、2θ=40°(チタン)、42°(バナジウム)に現れる回折ピークより、X線回折の標準ピークを集めているデータベースJCPDSに基づき、Ti-56質量%Vの固溶体合金であることを確認した。すなわち、TiとVの金属が互いに溶け合い、全体が均一の固相となっていた。
【0060】
そして、Ti-V合金粉末の回収量は、0.2g(チタン分0.088g)であった。その結果、表1に示すように、反応率は、8.8%(チタン換算)であった。更に、得られたTi-V合金を実施例1と同様に焼結させた。その結果、Ti-V合金の一次粒径は、1μm以下であり、Ti-V合金の二次粒径は、10~50μmであった。
【0061】
【0062】
実施例1では、比較例1と比べて、スポンジチタンからチタン粉末への反応率を向上させることができた。この理由は、撹拌手段としてバブリングよりも撹拌翼の方が、溶融塩の下層においてスポンジチタン近傍で均化反応により生成したTi2+が溶融塩の上層に輸送され、不均化反応の進行が助長されると考えられる。したがって、実施例1では、平衡定数を調整し、撹拌翼で溶融塩を撹拌することが有用であることを確認した。
【0063】
参考例1では、Ti-Al合金粉末を生成することができた。実施例1と比較例1とを考慮すれば、撹拌手段をバブリングから撹拌翼に変更した場合には、Ti-Al合金の製造効率を更に向上されると考えられる。
【0064】
参考例2では、Ti-Vの固溶体合金を生成することができた。実施例1と比較例1とを考慮すれば、撹拌手段をバブリングから撹拌翼に変更した場合には、Ti-V合金の製造効率を更に向上されると考えられる。
【符号の説明】
【0065】
100、200 坩堝
105 内面
110 撹拌機
120 回転軸
125 下端
130、140、142、150、152、160、162、164、166 撹拌翼
170 籠
171 孔
210 管
BM バルク金属
BT バルクチタン
D 坩堝の内径
d 撹拌翼の長さ
H 溶融塩の浴面の高さ
M 溶融塩
S 浴面
S11 準備工程
S21 生成工程
S31 粒径制御工程
ULF 上下循環流
V 鉛直方向