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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】移動体の非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20231121BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231121BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20231121BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20231121BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20231121BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H01F38/14
B60M7/00 X
B60L53/122
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020072006
(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公開番号】P2021170854
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-12-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300044894
【氏名又は名称】北伸電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594057842
【氏名又は名称】株式会社アイオイ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100110814
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】細川 亮
(72)【発明者】
【氏名】手塚 大介
(72)【発明者】
【氏名】高科 弘行
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126908(JP,A)
【文献】特開2006-121791(JP,A)
【文献】特開2015-023667(JP,A)
【文献】特開2017-131008(JP,A)
【文献】特開2018-074856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J50/00-50/90
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
B60L1/00-3/12
B60L5/00-5/42
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M1/00-7/00
H01F38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に設けられ移動方向に沿って互いに離間して配置された複数の給電コイル(1A,1B・・・)と、
各前記給電コイルに交流電力を供給する交流電源(4a)と、
前記移動方向に沿って移動する移動体(3)に設けられ、対向配置される前記給電コイル(1A,1B・・・)から非接触で交流電力を受け取る受電コイル(2A,2B)と、
前記受電コイルの出力電圧から駆動に必要な電圧を生成する駆動電圧生成部(32)と、
を備えた非接触給電装置において、
隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)間での干渉を小さくするために、隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)の周波数を異ならせ、
前記受電コイル(2A,2B)は、前記移動体(3)の前記移動方向に沿って相互に離間して2個配置されており、
前記給電コイルの相互間の離間距離をDTとしたときに、前記受電コイルの相互間の離間距離DRが、DT>DRとなるように離間距離DRを設定するとともに、二つの受電コイルの出力電圧の少なくとも一方からの出力電圧によって、駆動に必要な駆動電圧以上の電圧が常に前記駆動電圧生成部(32)で生成されるように、前記離間距離DR及び隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)の周波数を設定したこと、
を特徴とする移動体の非接触給電装置。
【請求項2】
前記受電コイル(2A,2B)のうち、移動上流側の前記受電コイル(2B)の出力電圧が最大となるときに、移動下流側の前記受電コイル(2A)が移動下流側の前記給電コイル(1A)から受電を開始するように、前記離間距離DRを設定したことを特徴とする請求項1に記載の移動体の非接触給電装置。
【請求項3】
前記移動体の移動経路の一部にカーブがあり、このカーブで隣り合う前記給電コイルが屈曲して配置されている場合に、二つの前記受電コイルの出力電圧が前記駆動電圧以上となるように、前記離間距離DRを設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部に設置した給電コイルから移動体に設けた受電コイルに非接触で給電することができる非接触給電装置に関し、特に二つの受電コイルから常に駆動に必要な電圧を駆動部に対して安定的に供給することが可能で、バッテリを必要としない移動体の非接触給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体の走行路に沿って設置された複数の一次側給電トランス(給電コイル)と、移動体に設けられた二次側給電トランス(受電コイル)とを備え、固定側の給電コイルから移動側の受電コイルに非接触で給電する非接触給電装置が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
特許文献1には、複数の一次コイル(給電コイル)12を道路10に備え、複数の二次コイル(受電コイル)16を車両14に備え、二つの一次コイル12が二つの二次コイル16に対してそれぞれ正対することで、一次コイル12から二次コイル16に電力を供給する移動体給電装置が開示されている。そして、二つの一次コイル12の間隔よりも二つの二次コイル16の間隔を大きくすることで、一次コイルと、一次コイルにより送電される二次コイルとが対向してから、次に、一次コイルと二次コイルとが対向するまでの時間を短くして、電力が送電されない時間を短縮するようにしている。
【0003】
しかし、この特許文献1に記載の移動体給電装置では、電力が送電されない時間を短縮することはできるものの、一方の一次コイル12と二次コイル16の正対から次の一次コイル12と二次コイルとが正対するまで移動する間に受電状態が低下することからバッテリは必須になり、装置重量が大きくなるという問題がある。
そこで特許文献2に記載の非接触給電装置では、受電コイルおよび給電コイルの
長さおよび離間距離に関する二つの不等式が成り立つように構成するとともに、移動体の移動に伴って所定の第1の位置関係から第4位置関係までが順番に発生するようにすることで、常に二つの受電コイルから安定的に駆動に必要な電力を得るようにしてバッテリを不要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-167031号公報
【文献】国際公開WO2017/046946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に記載の非接触給電装置では、受電コイルの間隔を給電コイルの間隔よりも大きくしているが、給電コイル間の間隔が小さいと隣接する給電コイル間で干渉が生じて電圧・電流波形に乱れが生じることから、給電コイルの間隔を干渉が生じない距離に保つか、二つの受電コイルの位置を検出して給電コイルのON/OFFを切り替えるように構成する必要がある。
【0006】
しかし、給電コイルの間隔を大きくすると、受電コイルの間隔も給電コイルの間隔以上に確保しなければならないことから装置が大型化するという問題がある。また、二つの受電コイルの位置を検出して給電コイルのON/OFFを切り替えるように構成すると、装置が複雑化して価格が高くなるという問題があるうえ、複数の移動体を移動させる際に、移動体の間隔に制限が必要となり、複数の移動体を密に配置して移動させることが困難になるという問題がある。
【0007】
さらに、受電コイルの間隔が大きくなると、移動経路がカーブを含む場合に、当該カーブで受電状態が低下して必要な駆動電圧を得ることが困難になることから、移動経路にカーブを含まないか、極めて大きな曲率のカーブしか含ませることができず、移動経路を設計する際の制限が大きいという問題がある
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、干渉が生じない間隔で給電コイルを配置しても装置を大型化することなく低価格で、移動経路上に複数の移動体を密に配置して移動させることが可能な移動体の非接触給電装置を提供すること、また、移動経路にカーブが含まれていても、駆動に必要な最低電力を得ることが可能な移動体の非接触給電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の非接触給電装置は、 固定部に設けられ移動方向に沿って互いに離間して配置された複数の給電コイル(1A,1B・・・)と、各前記給電コイルに交流電力を供給する交流電源(4a)と、前記移動方向に沿って移動する移動体(3)に設けられ、対向配置される前記給電コイル(1A,1B・・・)から非接触で交流電力を受け取る受電コイル(2A,2B)と、前記受電コイルの出力電圧から駆動に必要な電圧を生成する駆動電圧生成部(32)と、を備えた非接触給電装置において、隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)間での干渉を小さくするために、隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)の周波数を異ならせ、前記受電コイル(2A,2B)は、前記移動体(3)の前記移動方向に沿って相互に離間して2個配置されており、前記給電コイルの相互間の離間距離をDTとしたときに、前記受電コイルの相互間の離間距離DRが、DT>DRとなるように離間距離DRを設定するとともに、二つの受電コイルの出力電圧の少なくとも一方からの出力電圧によって、駆動に必要な駆動電圧以上の電圧が常に前記駆動電圧生成部(32)で生成されるように、前記離間距離DR及び隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)の周波数を設定した構成としてある。
【0010】
本発明においては、上記した離間距離DRの条件に加え、前記受電コイル(2A,2B)のうち、移動上流側の前記受電コイル(2B)の出力電圧が最大となるときに、移動下流側の前記受電コイル(2A)が移動下流側の前記給電コイル(1A)から受電を開始するように、前記離間距離DRを設定してもよい。
【0011】
本発明では、二つの受電コイルは隣接する給電コイルの間隔より小さい間隔で配置されているので、干渉が生じない間隔で給電コイルが配置されていても、装置を大型化する必要が無い。また、隣接する給電コイルのON/OFFを切り替える必要もないことから、装置価格を低廉なものとすることができ、かつ、複数の移動体を密に配置して移動させることが可能になる。
【0012】
また、前記移動体の移動経路の一部にカーブがあり、このカーブで隣り合う前記給電コイルが屈曲して配置されている場合に、二つの前記受電コイルの出力電圧が前記駆動電圧以上となるように、前記離間距離DRを設定するとよい。
このように構成することで、移動体の移動経路上にカーブが含まれていても、受電コイルの間隔を小さくすることで、出力電圧の低下を抑制でき、駆動に必要な出力電圧を得ることが容易になる。
【0013】
なお、隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)間での干渉を小さくするためには、隣接する前記給電コイル(1A,1B・・・)の周波数を異ならせるとよい。このようにすることで、受電コイルの(2A,2B)の間隔をさらに小さくして非接触給電装置をさらに小型化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の非接触給電装置の好適な実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の非接触給電装置の構成を説明する概略図である。
非接触給電装置は、各々が電源回路4に接続された複数の給電コイル1A,1B,・・・と、一列に配列された複数の給電コイル1A,1B,・・・に沿って矢印I方向に移動する移動体3に設けられた2個の受電コイル2A,2Bとを有している。
給電コイル1A,1B,・・・の各々に電力を供給する電源回路4は、交流電源4aとコンデンサ4bとから構成された公知のもので、同一周波数・同一位相の交流電力を、給電コイル1A,1B,・・・から受電コイル2A,2Bに非接触で供給する。また、隣接する給電コイル1A,1B,・・・は、互いに干渉しない距離DTだけ離間して配置される。
【0015】
本発明の別の実施形態の非接触給電装置では、隣接する前記給電コイル1A,1B・・・間での干渉を抑制するために、電源回路4は、隣接する給電コイル1A,1B・・・に異なる周波数の電力を供給するように構成されている。
異ならせる周波数の大きさは、給電コイル1A,1B・・・の大きさや電源回路4から供給される電力の大きさなどに依って決定される。そして、例えば、給電コイル1Aの周波数を81.0kHzと設定し、隣接する他の給電コイル1Aの周波数を81.5kHzと設定した場合、隣接する給電コイル1A,1B・・・の並びに従って、周波数を81.0kHz、81.5kHz、81.0kHz・・・と設定する。
このようにすることで、隣接する前記給電コイル1A,1B・・・間の距離を小さくしても干渉を生じにくくすることができ、受電コイルの2A,2Bの間隔をさらに小さくして非接触給電装置をさらに小型化することが可能になる。
【0016】
移動体3には、受電コイル2A,2Bで受電した給電コイル1A,1B,・・・から受電した交流電力を整流する受電回路31と、二つの受電コイル2A,2Bの出力電圧から駆動に必要な電圧(駆動電圧)を生成する駆動回路32とが設けられている。駆動回路32は、例えば、受電コイル2A,2Bの出力電圧が近似している場合には、受電コイル2A,2Bの両方の出力電圧から駆動電圧を生成したり、両出力電圧に予め設定された値を超えて高低差がある場合には、高い方の出力電圧を選択するように設定することが可能である。
【0017】
二つの受電コイル2A,2B間の距離DRは、給電コイル1A,1B,・・・間の距離DTよりも小さくなるように設定され(DT>DR)、かつ、以下の条件を満たすように設定される。
図2及び図3は、給電コイル1A,1B,・・・と二つの受電コイル2A,2Bとの位置関係を説明する概略図、図4図2及び図3の各位置における受電コイル2A,2Bの出力電圧の変化を示すグラフで、(a)は受電コイル2Aのもの、(b)は受電コイル2Bのものである。
【0018】
図4において、sは移動体3の駆動に必要な駆動電圧(単に「電圧」と記載することがある)、pは受電コイル2A,2Bの出力電圧のうち最大のもの(ピーク電圧)である。
この実施形態において受電コイル2A,2Bは、受電コイル2A,2Bが図2(a)の位置にあるとき、受電コイル2A,2Bの両方から駆動電圧sより高い電圧が出力されるものとしてある。そのため、この状態のときには、受電コイル2A,2Bのうちのいずれか一方の出力電圧を選択するれば、駆動に必要な電圧sを確保することができる。そして、受電コイル2A又は受電コイル2Bのいずれか一方又は両方からの出力電圧を駆動回路32に供給することで、駆動に必要な電圧sを確保することができる。
【0019】
受電コイル2A,2Bが図2(b)の位置にくると、移動方向下流側の受電コイル2Aが給電コイル1Bの端部に達して給電コイル1Bの円弧部分と受電コイル2Aとが重なることで、その出力電圧が最大(ピーク電圧p)となる。
受電コイル2A,2Bが図2(c)の位置にくると、移動方向下流側の受電コイル2Aが給電コイル1Bから離れ、受電コイル2Aの出力電圧は0に向かう。このときも上流側の受電コイル2Bの出力電圧は駆動電圧sより高い電圧を維持しているため、この状態においても受電コイル2Bから駆動に必要な駆動電圧sを得ることができる。
【0020】
受電コイル2A,2Bが図3(d)の位置にくると、移動方向下流側の受電コイル2Aが次の給電コイル1Aからの受電を開始するとともに、上流側の受電コイル2Bの出力電圧がピーク電圧pとなる。そのため、この状態では、受電コイル2Bからの出力電圧によって、駆動に必要な駆動電圧sを得ることができる。
【0021】
そして、受電コイル2A,2Bが図3(e)の位置にくると、移動方向下流側の受電コイル2Aの出力電圧が駆動電圧sを越えて大きくなりつつ、上流側の受電コイル2Bの出力電圧が低下し0に向かう。そのため、この状態では、受電コイル2Aからの出力電圧によって、駆動に必要な駆動電圧sを得ることができる。
受電コイル2A,2Bが図3(f)の位置にくると、移動方向下流側の受電コイル2Aの出力電圧がピーク電圧pとなり、上流側の受電コイル2Bの出力電圧がほぼ0に向かう。
【0022】
以後、この繰り返しにより、駆動に必要な電圧sが受電コイル2A,2Bのいずれか一方又は両方から出力される。
このように本発明では、二つの受電コイル2A,2Bの出力電圧が移動体3の移動によって変動しても、常にいずれか一方の受電コイル2A,2Bの出力電圧が駆動電圧sを越えるように、給電コイル1A,1Bに対する二つの受電コイル2A,2Bの位置関係(距離DTに対する距離DRの関係)を設定しているので、バッテリが無くても常に駆動に必要な電圧sを二つの受電コイル2A,2Bから確保することができる。
【0023】
[別の条件]
図5は、移動体3の移動経路の一部にカーブがあり、隣接する給電コイル1A,1B,・・・が所定の交叉角で傾斜している場合の給電コイル1A,1B,・・・に対する受電コイル2A,2Bの位置関係を示す概略図で、(a)は交叉角αが大きい(α>β)場合、(b)は交叉角βが小さい(β<α)場合である。また、(a)(b)において(i)は本発明の非接触給電装置の場合、(ii)は従来の非接触給電装置の場合である。
なお(a)(b)の各々において、(i)における給電コイル1A,1Bに対する受電コイル2A,2Bの位置関係と、(ii)における給電コイル1A,1Bに対する受電コイル2A′,2B′の位置関係とは同じとしてある。
【0024】
図示するように、本発明の非接触給電装置の移動方向下流側の受電コイル2Aと移動方向下流側の給電コイル1Aとの距離をH1、従来の非接触給電装置の移動方向下流側の受電コイル2A′と給電コイル1Aとの間の距離をH2としている。
(a)のとき(交叉角αのとき)、距離H1とH12を比較すると、DT>DRの関係にある本発明の受電コイル2Aの距離H1の方が小さくなる(H1<H2)。この距離H1,H2の差は交叉角が小さくなるほど顕著になり、交叉角がβ(<α)になると、本発明の非接触給電装置及び従来の非接触給電装置のいずれにおいても距離H1,H2は大きくなるが、本発明の方がその増大の割合が小さい。
【0025】
このことから、DT≦DRの関係にある従来の非接触給電装置の受電コイル2A′,2B′よりも、DT>DRの関係にある本発明の非接触給電装置の受電コイル2A,2Bの方がカーブにおける受電効率が高いことがわかる。そのため本発明の非接触給電装置では、移動体がカーブを通過する工程においても二つの受電コイル2A,2Bから駆動電圧s以上の出力電圧を得られるように、距離DRを適切に選択する。このようにすることで、従来の非接触給電装置では給電が困難であった交叉角のカーブであっても、受電コイル2A,2Bから十分な駆動電圧sを得られるという利点がある。
【0026】
[実施例]
図6は、本発明の具体的な実施例における給電コイル1A,1B,・・・及び受電コイル2A,2Bの位置と、二つの受電コイル2A,2Bの電圧との関係を示すグラフである。左右のグラフのうち左は受電コイル2A,2Bの距離DRが5mmのもの、右は同15mmのものである。
【0027】
給電コイル1A,1B,・・・として、外側全長200mm×外側の最大幅50mm、内側全長200mm×内側の最大幅30mmのものを準備し、受電コイル2A,2Bとしては、外径49mm、内径34mmのものを準備した。
また、給電コイル1A,1B・・・の電源周波数は、互いに隣接する給電コイル1A,1Bのうち一方(例えば給電コイル1A)を81.0kHzとし、他方(同給電コイル1B)を81.5kHzとした。また、受電コイル2A,2Bの電源周波数は、共振周波数より30kHz程度離れているものを使用した。
【0028】
この実施例では、給電コイル1A,1B,・・・の距離DTを30mmに固定した。この実施例の給電コイル1A,1B,・・・において距離DTを30mmとした場合、隣接する給電コイル1A,1B・・・のうち、移動方向の上流側の受電コイル2Bが出力する出力電圧が最大となるときに、下流側の受電コイル2Aが下流側の給電コイル1Aから交流電力の受け取りを開始するような条件を満たす距離DRは、概ね5mm~15mmである。
この実施例の図6における各位置の受電コイル2A,2Bの出力電圧のピーク値は、以下のとおりである。
【0029】
I:距離DT=30mm 距離DR=5mmのもの
位置1:受電コイル2A 9.8V 受電コイル2B 9.6V
位置2:受電コイル2A 9.2V 受電コイル2B 9.2V
位置3:受電コイル2A 3.2V 受電コイル2B 13.8V
位置4:受電コイル2A 3.0V 受電コイル2B 14.2V
位置5:受電コイル2A 12.6V 受電コイル2B 14.2V
位置6:受電コイル2A 16.0V 受電コイル2B 14.6V
位置7:受電コイル2A 15.6V 受電コイル2B 10.0V
位置8:受電コイル2A 15.4V 受電コイル2B 4.8V
位置9:受電コイル2A 15.8V 受電コイル2B 12.4V
【0030】
II:距離DT=30mm 距離DR=15mmのもの
位置1:受電コイル2A 9.6V 受電コイル2B 9.2V
位置2:受電コイル2A 9.2V 受電コイル2B 9.2V
位置3:受電コイル2A 2.2V 受電コイル2B 10.8V
位置4:受電コイル2A 1.6V 受電コイル2B 11.0V
位置5:受電コイル2A 9.0V 受電コイル2B 9.6V
位置6:受電コイル2A 8.4V 受電コイル2B 8.6V
位置7:受電コイル2A 12.4V 受電コイル2B 5.8V
位置8:受電コイル2A 13.0V 受電コイル2B 2.0V
位置9:受電コイル2A 12.4V 受電コイル2B 2.2V
【0031】
このようにこの実施例では受電コイル2A,2B間の距離DRを5mmと15mmに変化させて実験を行ったが、いずれの場合でも受電コイル2A,2Bのいずれか一方から得られる出力電圧又は受電コイル2A,2Bの両方又はいずれか一方からの出力電圧は、駆動に必要な電圧s=7Vを越えていた。
【0032】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明により限定されるものではない。
また、上記の実施形態では、隣接する受電コイル2A,2Bのうち、移動上流側の受電コイル2Bの出力電圧が「最大」となるときに、移動下流側の受電コイル2Aが移動下流側の給電コイル1Aから受電を開始するように、離間距離DRを設定しているが、本発明の前提条件として、常にいずれか一方の受電コイル2A,2Bから駆動電圧s以上の電圧が出力されていればよいことから、用語「最大」は、ピーク電圧pを頂点(中心)としたその前後の一定範囲を含む意味である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の非接触給電装置の構成を説明する概略図である。
図2】給電コイル1A,1B,・・・と二つの受電コイル2A,2Bとの位置関係を説明する概略図である。
図3】給電コイル1A,1B,・・・と二つの受電コイル2A,2Bとの位置関係を説明する概略図である。
図4図2及び図3の各位置における受電コイル2A,2Bの出力電圧を示すグラフで、(a)は受電コイル2Aのもの、(b)は受電コイル2Bのものである。
図5図5は、移動体3の移動経路の一部にカーブがあり、隣接する給電コイル1A,1B,・・・が所定の交叉角で傾斜している場合の給電コイル1A,1B,・・・に対する受電コイル2A,2Bの位置関係を示す概略図で、(a)は交叉角αが大きい(α>β)場合、(b)は交叉角βが小さい(β<α)の場合である。
図6】本発明の実施例にかかり、本発明の具体的な実施例における給電コイル1A,1B,・・・及び受電コイル2A,2Bの位置と、二つの受電コイル2A,2Bの電圧との関係を示すグラフである。左右のグラフのうち左は受電コイル2A,2Bの距離DRが5mmのもの、右は同15mmのものである。
【符号の説明】
【0034】
1A,1B 給電コイル
2A,2B 受電コイル
3 移動体
31 受電回路
32 駆動回路
4 電源回路
4a 交流電源
4b コンデンサ
DT 給電コイル間の距離
DR 受電コイル間の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6