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特許7388667面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/33 20060101AFI20231121BHJP
   H01H 59/00 20060101ALI20231121BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20231121BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01H59/00
B81B3/00
H01G4/30 541
H01G4/30 544
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022559673
(86)(22)【出願日】2020-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 CN2020098479
(87)【国際公開番号】W WO2022000122
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518215231
【氏名又は名称】深▲せん▼清華大学研究院
【氏名又は名称原語表記】Research Institute of Tsinghua University in Shenzhen
【住所又は居所原語表記】Research Institute of Tsinghua University In Shenzhen, Gaoxin South 7th Blvd. Nanshan District Shenzhen, Guangdong 518057, China
(73)【特許権者】
【識別番号】514326214
【氏名又は名称】清▲華▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】鄭 泉水
(72)【発明者】
【氏名】向 小健
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1601902(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0372141(US,A1)
【文献】特開2008-098609(JP,A)
【文献】特開平06-202009(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059391(WO,A1)
【文献】特開平05-191984(JP,A)
【文献】米国特許第5554434(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01H 59/00
B81B 3/00
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、駆動部材、絶縁層及び摺動部材を含む面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチであって、
前記駆動部材は前記基板内に配置され、前記絶縁層は前記基板の表面に配置され、前記摺動部材は絶縁層の上に配置され、前記摺動部材は超潤滑面を有して前記超潤滑面を介して前記絶縁層と接触し、前記駆動部材は少なくとも第1の駆動部材、第2の駆動部材、第3の駆動部材を含み、前記摺動部材は、前記駆動部材によって、前記駆動部材に対する前記摺動部材の位置を変更するように駆動可能である、ことを特徴とする面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項2】
前記摺動部材は、面内で水平方向に沿って摺動するように駆動可能であり、駆動部材と摺動部材の垂直面内での重なりと分離を調整することにより、オン・オフを実現する、ことを特徴とする請求項1に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項3】
前記駆動部材は駆動電極である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項4】
前記摺動部材は超潤滑面を有する超潤滑シートであり、好ましくはHOPG超潤滑シートである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項5】
前記基板は絶縁材料又は半導体材料から選ばれる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項6】
前記半導体材料は、高抵抗シリコンであり、前記絶縁材料は、SiO、SiC、サファイア、マイカから選ばれる、ことを特徴とする請求項5に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項7】
前記絶縁層は酸化ケイ素層である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項8】
前記絶縁層は原子レベル平滑で厚さが1~100ナノメートル、好ましくは2~50ナノメートルである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【請求項9】
前記摺動部材の駆動方式は静電駆動である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線周波数微小電気機械システムスイッチ(RF MEMS Switch)の技術分野に属し、具体的には、浮遊(floating)電位に基づいた面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー及び無線通信技術の発展に伴い、小体積、低消費電力、高性能、多機能の無線周波数機器は無線電分野の発展傾向となり、無線周波数デバイスは小型化、集積化の方向に進み、必要に応じてMEMSスイッチが開発され、MEMSスイッチが徐々に従来のGaAs FETスイッチに取って代わりつつあり、無線周波数スイッチ(RF Switch)の発展傾向になっている。RF MEMSスイッチは、従来のスイッチと比べて、より低い挿入損失、より高いアイソレーション(isolation)、よりよい直線性、より低い消費電力、より小さい体積などの利点を有し、且つIC回路と簡単に集積可能であり、幅広い使用の見通しを有する。現在、従来のRF MEMSスイッチは、駆動方式の面で、主に静電駆動メカニズム、熱駆動メカニズム、電磁気駆動メカニズム、圧電駆動メカニズムなどのいくつかのタイプがある。
【0003】
基本的な電子部品として、RF MEMS静電スイッチは、従来のP-I-NダイオードスイッチとFET電界効果サイリスタスイッチと比べて、低い消費電力、低い挿入損失、低いクロストーク、高いアイソレーション、高い線形性などの特性を有し、最も重要なMEMSデバイスの1つと見なされている。特に、近年の5G通信システム、レーダーシステム、衛星通信システム、高性能無線周波数チップシステムの急速な発展に伴い、産業界では下地層のRF無線周波数スイッチデバイスの消費電力、信頼性、アイソレーション、線形性、電力処理能力などの要求が高まっており、例えば、5Gシステムにおけるキャリアアグリゲーション機能を有するLTE-Aアンテナスイッチは必ずIIP3=90dBmの要求を満たす必要があり、RF-MEMS無線周波数スイッチはIIP3>90dBmを達成できる唯一のスイッチである。従来のソリッドステート半導体スイッチ(P-I-N及びFET)は、ドープされたキャリアの伝導と接触バリアの存在に依存しているため、スイッチは品質係数(Ron×Coff)が悪く、且つオフ状態でリーク電流が存在し、これは、スイッチの挿入損失、アイソレーション、線形性に深刻な影響を与え、このタイプのスイッチは高周波無線周波数信号のスイッチングに適していない。RF MEMS静電スイッチは、機械的接触に依存して無線周波数信号を伝送し、信号ライン間に物理的な隔離があるため、低い消費電力(nj)、低い挿入損失、高いアイソレーションと線形性を有し、これにより、無線通信システム、レーダー検出システム、衛星システムのエネルギー消費とコストを大幅に削減し、無線周波数信号伝送の忠実度を向上させ、システムの全体的な性能を著しく向上させることができる。その研究製造と使用は、無線通信(5G)システム、レーダーシステム、衛星システムなどの進歩的な電子機器の重要な技術になっている。
【0004】
広く使用されている半導体無線周波数スイッチに比べて、RF MEMS静電スイッチには多くの利点があるが、機械的接触のオン・オフ方式は信頼性に深刻な問題をもたらす。RF MEMS静電スイッチの接点又は絶縁層は、高速衝突で損傷しやすく、その結果、オン抵抗が増加し、さらに強い熱効果を引き起こし、デバイスの故障につながる。また絶縁層の損傷は表面電荷の蓄積の進行につながり、電荷の蓄積量が臨界値を超えると、スイッチは自己静電吸着に障害を起こす。接触接点のせん断時に発生したアーク放電により、接点材料が溶融し、接触抵抗が著しく増加し、さらに接点が導線に直接付着することにつながる可能性がある。高エネルギー電力がスイッチを通過すると、上、下の接点又は電極板間に十分な静電力を結合して発生することにより、スイッチはセルフロックして吸着する。一般的に、RF MEMS静電スイッチの処理電力は1W以下であるが、半導体スイッチは1~10Wに達することがある。上記は、RF MEMSの信頼性及び使用分野に影響を与える主な原因の1つであり、従来の半導体スイッチと比較して、RF MEMS静電スイッチの使用寿命は2桁以上短い。また、現在、IC集積回路システムに使用されている標準電圧はいずれも5V未満であるが、RF MEMS静電スイッチの駆動電圧は一般に10V~80Vであり、これは、RF-MEMSスイッチが携帯電話の無線通信システムにめったに使用されない原因の1つである。上記のように、電力処理能力を向上させ、駆動電圧を低減させ、信頼性を改善することは、RF-MEMS静電スイッチのさらなる開発のために緊急に解決されるべき重要な問題である。
【0005】
超潤滑構造技術の研究は、2種類又は同一の種類の材料間の無摩擦、無摩耗の摺動現象を研究することであり、最初の研究はナノスケールの超潤滑現象、例えば、マルチアーム同軸カーボンナノチューブ間の超潤滑、ナノチューブと二次元材料間の超潤滑などに限定される。2013年、鄭泉水教授は、HOPG(Highly Oriented Pyrolytic Graphite)シート層材料間の超潤滑現象をミクロンスケールで初めて発見し、これは、超潤滑が基礎研究から適用可能な技術研究過程に移行したことを示している。本発明は超潤滑構造の原理に基づいて、駆動電圧を低減させ、且つスイッチの使用寿命及び電力処理能力を大幅に向上させることができる面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチを提案する。
【発明の概要】
【0006】
従来の技術の欠点について、本発明の目的は、超潤滑構造と平坦な異種基板間の低摩擦、無摩耗の面内摺動運動に応じて、超潤滑構造に基づいた面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチを提供することである。
【0007】
本発明に係る技術案は、上記の発明目的を実現するために、超潤滑構造に基づいた面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチである。該面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチは基板、駆動部材、絶縁層及び摺動部材を含み、駆動部材間に駆動電圧を印加すると、摺動部材は水平方向の作用力で駆動部材の上方に摺動し、この時、駆動部材と摺動部材の間に大きな容量が形成され、無線周波数信号はほぼ完全に反射され、伝送が停止し、他の駆動部材間に駆動電圧を印加すると、摺動部材は水平方向の作用力で他の駆動部材の上方に摺動し、この時、前の駆動電極と摺動部材は垂直方向に対向面積がなく、容量が非常に小さく、無線周波数信号を基本的に損失なく伝送することを実現可能である。
【0008】
具体的には、本発明に係る面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチは以下の形態で実現される。
【0009】
基板、駆動部材、絶縁層及び摺動部材を含む超潤滑構造に基づいた面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチであって、前記駆動部材は前記基板内に配置され、前記絶縁層は前記基板の表面に配置され、前記摺動部材は絶縁層の上方に配置され、前記摺動部材は超潤滑面を有して前記超潤滑面を介して絶縁層と接触し、前記駆動部材は少なくとも第1の駆動部材、第2の駆動部材、第3の駆動部材を含み、前記摺動部材は、前記駆動部材によって、前記駆動部材に対する前記摺動部材の位置を変更するように駆動可能であることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記摺動部材は、面内で水平方向に沿って摺動するように駆動可能であり、駆動部材と摺動部材の垂直面内での重なりと分離を調整することにより、オン・オフを実現する。
【0011】
さらに、前記駆動部材は少なくとも3つの駆動電極を含む。
【0012】
さらに、前記摺動部材は超潤滑シートであり、好ましくはグラファイト、好ましくはHOPGである。
【0013】
さらに、前記基板は絶縁材料又は半導体材料から選ばれる。
【0014】
さらに、前記半導体材料は、好ましくは高抵抗シリコンであり、前記絶縁材料は、好ましくはSiO、SiC、サファイア、マイカなどから選ばれる。
【0015】
さらに、前記絶縁層は、好ましくは酸化ケイ素層である。
【0016】
さらに、前記絶縁層の厚さはナノスケールである。
【0017】
さらに、前記絶縁層厚度好ましくは2~50ナノメートルである。
【0018】
さらに、前記駆動部材が摺動部材を面内で水平方向に沿って摺動するように駆動する駆動方式は静電駆動である。
【0019】
本発明は、下から上に順に駆動部材、絶縁層、摺動部材であるサンドイッチ構造を利用することで、摺動部材が平坦な絶縁層表面の面内での非常に低い摩擦力と無摩耗の摺動を実現し、オフ状態の時に、摺動部材と駆動部材の間の容量が非常に小さく、これにより無線周波数信号はほぼ損失なく、オフ状態の時に、摺動部材と駆動部材はナノスケール厚さの絶縁層により、大きな容量を構成し、無線周波数信号が完全に反射される。電圧制御シーケンスを設置することにより無線周波数スイッチのオン・オフを制御する。
【0020】
本発明は、摩擦力が非常に低く、且つ摩耗がないため、より低い駆動電圧、非常に高い使用寿命及び電力処理能力を実現可能であり、RF MEMS静電スイッチの寿命を制限する主要な障害を突破し、その実用化プロセスを促進し、無線通信システム(5G)、高性能フェーズドアレイレーダ及び衛星通信システムなどの関連する電子機器に関する研究の飛躍的な発展を促進することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の並列コンデンサ無線周波数スイッチのオン状態模式図である。
【0022】
図2】本発明の並列コンデンサ無線周波数スイッチのオン状態平面図である。
【0023】
図3】本発明の並列コンデンサ無線周波数スイッチのオフ状態模式図である。
【0024】
図4】本発明の並列コンデンサ無線周波数スイッチのオフ状態平面図である。
【0025】
図5】本発明の並列コンデンサ無線周波数スイッチの駆動電極に埋め込まれた基板の断面図である。
【0026】
符号の説明
1.HOPG超潤滑シート、2.絶縁層、3.基板、4.第1の駆動電極、5.第2の駆動電極、6.第3の駆動電極。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る超潤滑シートは従来の技術における超潤滑ペアの一部であり、従来の超潤滑ペアの2つの接触する表面の間で相対的に摺動するときの摩擦力はほぼゼロであり、摩擦係数は1000分の1未満であり、摩耗はゼロである。
【0028】
例えば、従来のHOPGグラファイトに基づいた超潤滑シートの製造方法は、具体的には、次のとおりである。
【0029】
ステップ1では、HOPG上にフォトレジストを順に被覆し、前記フォトレジストはスピンコート法で被覆可能である。
【0030】
ステップ2では、前記フォトレジストをパターニングし、複数のフォトレジストのアイランドを保留する。フォトレジストのパターニングステップは、後続のステップで形成される島状構造のレイアウトを決定し、例えば、電子ビームエッチング法を用いて前記フォトレジストをパターニング可能であり、形成されるフォトレジストのアイランドは、例えば、平均直径は1μm~30μm、フォトレジストのアイランド間の平均間隔が1μm~100μmであってもよく、これによりエッチングされた島状構造も対応する平均直径と平均間隔を有する。
【0031】
ステップ3では、前記基板をエッチングし、フォトレジストで保護されていない一部の基板を除去することにより、複数の島状構造を形成する。前記エッチングは、例えば、反応性イオンエッチングであってもよい。
【0032】
ステップ4では、メカニカルアームを用いて前記島状構造を1つずつ押し退けて、超潤滑せん断面を有するか否かを検出し、自己回復性能を有する島状構造では、下面に超潤滑せん断面を有するHOPGシート状構造は超潤滑シートである。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例をさらに説明する。
【0034】
図1に示すように、前記面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチは、高抵抗シリコンの基板3、第1の駆動電極4、第2の駆動電極5、第3の駆動電極6、絶縁層2、HOPG超潤滑シート1から構成される。前記第1の駆動電極4、第2の駆動電極5及び第3の駆動電極6が基板3に埋め込まれ、前記基板3と第1の駆動電極4、第2の駆動電極5と第3の駆動電極6の表面は面一で原子レベルで平坦に保持され、前記絶縁層2は、HOPG超潤滑シートと第1の駆動電極4、第2の駆動電極5及び第3の駆動電極6の間を絶縁するために、第1の駆動電極4、第2の駆動電極5及び第3の駆動電極6の上方に被覆され、絶縁層2の厚さを2nm~50nmに制御することにより、第1の駆動電極4、第2の駆動電極5及び第3の駆動電極6と超潤滑シート1の間の間隙を十分に小さくし、小さな励起電圧を確保する。あるいは、前記絶縁層2の厚さを2nm~200nmの間に制御することもできる。前記HOPG超潤滑シート1を絶縁層の上方に配置し、絶縁層2と超潤滑接触ペアを構成する。その初期位置は第1の駆動電極4に対向し、前記HOPG超潤滑シート1は原子レベルで平坦な超潤滑面を有するため、絶縁層2の表面で非常に低い摩擦力と摩耗なしに摺動可能であり、同時に電極上の電荷の蓄積による粘着不良がなく、超長寿命を実現可能である。
【0035】
前記面内摺動式並列コンデンサ無線周波数スイッチの動作フローは次のとおりである。図1図2は無線周波数スイッチがオン状態にあり、第1の駆動電極4、第2の駆動電極5の間に駆動電圧Vを印加し、この時、HOPG超潤滑シート1の左右両端は電荷を誘導して浮遊電位が生じ、HOPG超潤滑シート1は電位エネルギーが最も小さい位置、即ち、第1の駆動電極4、第2の駆動電極5に対する中心対称位置に移動し、この時、HOPG超潤滑シート1と第3の駆動電極6の間は垂直方向に重なり面積がないため、容量がゼロに近く、無線周波数信号はすべて反射損失なしで通過可能である。
【0036】
第2の駆動電極5、第3の駆動電極6の間に駆動電圧Vを印加するときに、図3図4に示すように、HOPG超潤滑シート1は左向きの作用力を受けて第2の駆動電極5、第3の駆動電極6の中心対称位置に引っ張られ、絶縁層2の厚さがナノスケールであるため、HOPG超潤滑シート1と第3の駆動電極6の間に大きな容量を構成し、無線周波数信号が完全に反射され、伝送が停止する。
【0037】
駆動電極の数、配置、シーケンス制御、及びHOPG超潤滑シートのサイズを調整することにより、HOPG超潤滑シートの面内での連続摺動を実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の特許請求の範囲に従って行われる同等の変更及び修正は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる範囲に属するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5