(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/00 20060101AFI20231121BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20231121BHJP
B65D 6/08 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B65D25/00
B65D25/02 Z
B65D6/08 C
(21)【出願番号】P 2019039384
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-298428(JP,A)
【文献】実開平03-127535(JP,U)
【文献】実開平04-084150(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/00
B65D 25/02
B65D 6/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備える容器において、
第1構成部と、前記第1構成部に対して相対変位可能な第2構成部とを備え、
前記第1構成部に対してスライド変位可能に取付けられるとともに、第1相対位置とされた前記第1構成部、及び、前記第2構成部の相対変位を規制する規制状態と、前記規制状態が解除され、前記第1相対位置にある前記第1構成部、及び、前記第2構成部の第2相対位置側への相対変位が許容される解除状態とに状態変化可能なロック部材を備え、
前記ロック部材は、前記第1構成部、及び、前記第2構成部が前記第1相対位置にある場合に前記第2構成部に設けられた被係合部と係合可能な係合部を備え、
前記係合部が前記被係合部と係合されることで、前記ロック部材が前記規制状態とされ、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されることで、前記ロック部材が前記解除状態とされる構成であって、
前記ロック部材、及び、前記第1構成部のうち一方は、前記ロック部材が前記規制状態にある場合に、前記ロック部材、及び、前記第1構成部のうち他方に設けられた第1被係止部と係止され、かつ、前記ロック部材が前記解除状態にある場合に、前記他方に設けられた第2被係止部と係止される係止部を備え、
前記ロック部材は、当該ロック部材のスライド変位方向に対して交差する方向に弾性変形可能な弾性片と、該弾性片を弾性変形させるべく押圧又は引き操作可能な押圧又は引き操作部とを有する操作部を備え、
前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち一方は、前記押圧又は引き操作部において設けられ、
前記押圧又は引き操作部を押圧又は引き操作することで、前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部との係止状態が解除され、
前記第1構成部、及び、前記第2構成部が前記第1相対位置にある状態において、前記解除状態にある前記ロック部材を前記規制状態とさせる側にスライド変位させた場合に、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち前記操作部において設けられた一方を他方との係止状態が解除される位置にまで案内する案内手段を備え、
前記第1構成部は、前記操作部の規定量以上の変形を規制する変形規制部を備え、
前記変形規制部は、前記ロック部材が前記規制状態にある場合に操作された前記操作部と当接し得る部位と、前記ロック部材が前記解除状態にある場合に操作された前記操作部と当接し得る部位との間にかけて設けられており、
前記
変形規制部は、突条部を備え、
前記操作部は、前記押圧又は引き操作部を押圧又は引き操作した状態で、前記突条部が挿入されるガイド凹部を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記第1構成部と摺接可能なベース部を備え、
前記操作部は、一端部側が前記ベース部に連結されて弾性変形可能に構成され、
前記ベース部は、前記操作部を操作する作業者の指が触れる位置に設けられた補助操作部を備え、
前記補助操作部は、前記操作部よりも前記第1構成部から離間する側に大きく突出していることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1構成部は、前記ロック部材をスライド可能に取付ける取付部を備え、
前記取付部は、前記ロック部材と摺接可能な摺接部と、前記ロック部材の脱落を防止する脱落防止部とを備え、
前記摺接部は、前記第1構成部の内面、又は、外面を構成するベース壁部から前記ロック部材側に離間した位置に設けられ、前記ロック部材の前記第1構成部に対するスライド変位方向に沿って延在する当接リブを備え、
前記当接リブのうち前記ロック部材の前記ベース部と摺接する被摺接面とは反対側の裏面において、前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち、前記操作部において設けられている一方と係止可能な他方が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の運搬等に使用される箱型の容器は、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部から上方に延びる側壁部とを備えており、上方の開口部から物品を出し入れする構成となっている。また、各側壁部が底壁構成部に対して回動変位可能に設けられている折畳み式の容器や、側壁部において扉部を備える容器等に関しては、容器を構成する構成部材のうち相対変位可能な構成部材間の相対変位を規制する規制状態と、前記規制状態が解除される解除状態とに状態変化可能なロック部材を備えるものが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の容器は、ロック部材を規制状態で保持する規制状態保持手段(ロック部材の位置決め突起、及び、当該ロック部材が取付けられている構成部材に設けられ、ロック部材が規制状態とされた場合に前記位置決め突起と係合する位置決め段部)を備えており、規制状態にあるロック部材が不用意に解除状態とされることを抑制することとしている。
【0005】
しかしながら、容器に物品を収容して運搬する際の容器に対する振動や衝撃等に起因して、ロック部材の規制状態が解除されてしまうことが懸念される。これに対し、例えば、前記位置決め突起の突出長をより大きくする等して、位置決め段部との係合状態をより強固にすることが考えられる。しかしながら、その場合、規制状態にあるロック部材を解除状態とする操作が比較的困難なものとなり、作業性の低下等を招いてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、ロック部材を規制状態から解除状態にする際の操作性の低下を抑止しつつ、規制状態の安定化を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部とを備える容器において、
第1構成部と、前記第1構成部に対して相対変位可能な第2構成部とを備え、
前記第1構成部に対してスライド変位可能に取付けられるとともに、第1相対位置とされた前記第1構成部、及び、前記第2構成部の相対変位を規制する規制状態と、前記規制状態が解除され、前記第1相対位置にある前記第1構成部、及び、前記第2構成部の第2相対位置側への相対変位が許容される解除状態とに状態変化可能なロック部材を備え、
前記ロック部材は、前記第1構成部、及び、前記第2構成部が前記第1相対位置にある場合に前記第2構成部に設けられた被係合部と係合可能な係合部を備え、
前記係合部が前記被係合部と係合されることで、前記ロック部材が前記規制状態とされ、前記係合部と前記被係合部との係合が解除されることで、前記ロック部材が前記解除状態とされる構成であって、
前記ロック部材、及び、前記第1構成部のうち一方は、前記ロック部材が前記規制状態にある場合に、前記ロック部材、及び、前記第1構成部のうち他方に設けられた第1被係止部と係止され、かつ、前記ロック部材が前記解除状態にある場合に、前記他方に設けられた第2被係止部と係止される係止部を備え、
前記ロック部材は、当該ロック部材のスライド変位方向に対して交差する方向に弾性変形可能な弾性片と、該弾性片を弾性変形させるべく押圧又は引き操作可能な押圧又は引き操作部とを有する操作部を備え、
前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち一方は、前記押圧又は引き操作部において設けられ、
前記押圧又は引き操作部を押圧又は引き操作することで、前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部との係止状態が解除され、
前記第1構成部、及び、前記第2構成部が前記第1相対位置にある状態において、前記解除状態にある前記ロック部材を前記規制状態とさせる側にスライド変位させた場合に、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち前記操作部において設けられた一方を他方との係止状態が解除される位置にまで案内する案内手段を備え、
前記第1構成部は、前記操作部の規定量以上の変形を規制する変形規制部を備え、
前記変形規制部は、前記ロック部材が前記規制状態にある場合に操作された前記操作部と当接し得る部位と、前記ロック部材が前記解除状態にある場合に操作された前記操作部と当接し得る部位との間にかけて設けられており、
前記変形規制部は、突条部を備え、
前記操作部は、前記押圧又は引き操作部を押圧又は引き操作した状態で、前記突条部が挿入されるガイド凹部を備えていることを特徴とする容器。
【0009】
手段1によれば、ロック部材、及び、第1構成部のうち一方は、ロック部材が規制状態にある場合に、ロック部材、及び、第1構成部のうち他方に設けられた第1被係止部と係止される係止部を備えており、操作部をロック部材のスライド変位方向に対して交差する方向に弾性変形させるようにして操作することで、係止部と、第1被係止部との係止状態が解除されるようになっている。このため、ロック部材が規制状態にある場合には、係止部と、第1被係止部との係止状態がより強固なものとなるように、係止部と、第1被係止部とのかかり代(ロック部材のスライド変位方向に対して交差する方向における係止部と、第1被係止部との重なり合う幅)を十分に確保しつつ、規制状態にあるロック部材を解除状態とする際には、操作部を操作して、係止部と、第1被係止部との係止状態を比較的容易に解除することができる。従って、容器に物品を収容して運搬する際の容器に対する振動や衝撃等に起因してロック部材の規制状態が解除される等の事態を防止するとともに、規制状態にあるロック部材を解除状態とする操作を比較的容易なものとすることができ、第1構成部、及び、第2構成部を第1相対位置から第2相対位置とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0010】
さらに、ロック部材が解除状態にある場合には、係止部と、第2被係止部とが係止状態とされる。このため、第1構成部と、第2構成部とを相対変位させる作業中に、ロック部材が不用意に規制状態となってしまうといった事態を防止することができる。従って、容器を組立てたり展開させたりする際の作業の向上等を図ることができる。
【0012】
また、解除状態にあるロック部材を規制状態とする場合には、ロック部材の操作部の操作を行わずとも、ロック部材を規制状態とされる側にスライド変位させる操作を行うだけで、係止部と、第2被係止部との係止状態を解除させることができる。従って、解除状態にあるロック部材を規制状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。尚、案内手段は、係止部、及び、第2被係止部のうち少なくとも一方に設けられていることとしてもよい。
【0014】
また、操作部を操作して必要以上に変形させてしまうといった事態を防止することができ、操作部が塑性変形して元の形状に戻らなくなったり、破損してしまったりするといった事態を回避することができる。また、例えば、規制状態にあるロック部材を解除状態とする際に、操作部を操作して係止部と第1係止部との係止状態を解除し、当該操作部を操作した状態のまま、ロック部材を解除状態とする側にスライド変位させることで、ロック部材が解除状態に至るまで、操作部を変形規制部と摺接させることができる。従って、例えば、操作部を(比較的強く)操作したまま規制状態にあるロック部材を解除状態とされる側にスライド変位させると、変形規制部が途切れた部位に操作部が相対的に落ち込んでしまい、ロック部材のスライド変位が阻害されたり、操作部が必要以上に変形したりする等といった事態を回避することができる。結果として、規制状態にあるロック部材を解除状態とする操作をよりスムースなものとすることができる。
【0015】
尚、「前記変形規制部は、前記ロック部材の前記第1構成部に対するスライド変位方向に沿って延在する複数本の突条部により構成されていること」としてもよい。この場合、比較的簡素な構成を採用しつつ、変形規制部によって操作部の変形を確実かつ安定的に制限し、変形規制部と操作部との摺接を比較的スムースなものとすることができる。
【0016】
手段2.前記ロック部材は、前記第1構成部と摺接可能なベース部を備え、
前記操作部は、一端部側が前記ベース部に連結されて弾性変形可能に構成され、
前記ベース部は、前記操作部を操作する作業者の指が触れる位置に設けられた補助操作部を備え、
前記補助操作部は、前記操作部よりも前記第1構成部から離間する側に大きく突出していることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0017】
手段2によれば、規制状態にあるロック部材を解除状態とする際に、操作部を操作しつつ、当該操作部を操作した指を補助操作部に掛けてロック部材をスライド変位させるといった操作を行い易くすることができる。尚、少なくとも操作部を操作した状態(手段1に対応して、操作部と変形規制部とが当接した状態)において、補助操作部が操作部よりも大きく突出していることとしてもよい。この場合、手段2の作用効果がより確実に奏される。
【0018】
手段3.前記第1構成部は、前記ロック部材をスライド可能に取付ける取付部を備え、
前記取付部は、前記ロック部材と摺接可能な摺接部と、前記ロック部材の脱落を防止する脱落防止部とを備え、
前記摺接部は、前記第1構成部の内面、又は、外面を構成するベース壁部から前記ロック部材側に離間した位置に設けられ、前記ロック部材の前記第1構成部に対するスライド変位方向に沿って延在する当接リブを備え、
前記当接リブのうち前記ロック部材の前記ベース部と摺接する被摺接面とは反対側の裏面において、前記第1被係止部、及び、前記第2被係止部と、前記係止部とのうち、前記操作部において設けられている一方と係止可能な他方が設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0019】
手段3によれば、ロック部材の操作部に対し第1被係止部、及び、第2被係止部と、係止部とのうち一方が設けられる構成において、当接リブの裏面に対して第1被係止部、及び、第2被係止部と、係止部とのうち他方が設けられることで、操作部をベース壁部側に押すという操作によって、第1被係止部、及び、第2被係止部と、係止部との係止状態を解除することができる。従って、例えば、規制状態にあるロック部材を解除状態とする際に、操作部をベース壁部から離間する側に引く操作を要する場合に比べ、作業性の向上等を図ることができる。特に、前記他方が当接リブの裏面に設けられることで、ロック部材のベース部のうち当接リブに当接する部位と、前記一方との間の距離を極力短くすることができる(距離を短くしても、その間に前記他方を介在させることができる)。従って、ロック部材や取付部の大型化を抑制しつつ、第1被係止部、及び、第2被係止部と、係止部との係止状態を解除するために必要な操作部の操作量(係止状態が解除されるまでの第1被係止部、及び、第2被係止部と、係止部との相対変位量)を極力少なくすることができ、作業性の向上、操作部の劣化の抑制等を図ることができる。
【0020】
また、当接リブは、ベース壁部から離間して設けられていることから、操作部を操作した状態においても、操作部がベース壁部を通り越してベース壁部の向こう側に突出してしまう(例えば、内容物と干渉してしまう)といった事態を回避することができる。さらに、例えば、操作部をベース壁部から離間する側に引く操作を要する場合に比べ、脱落防止部への負担を軽減させることができ、ロック部材の脱落を防止しつつ、脱落防止部の構成の簡素化、ロック部材の取付部への取付け作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図5】扉部を閉状態とした容器本体の部分拡大断面図である。
【
図6】扉部を開状態とした容器本体の部分拡大断面図である。
【
図12】ロック部材が解除状態にある場合のロック部材の周辺部を示す部分拡大側面図である。
【
図13】ロック部材が解除状態にある場合のロック部材の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【
図14】ロック部材が規制状態にある場合のロック部材の周辺部を示す部分拡大側面図である。
【
図15】ロック部材が規制状態にある場合のロック部材の周辺部を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、容器1は、上方に開口する略箱状をなし、内側の収容空間3に対して物品を収容可能な容器本体2と、収容空間3を仕切るようにして、容器本体2に対して着脱自在に取付けられた仕切り板4とを備えている。容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部5と、底壁構成部5の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部6と、底壁構成部5の相対する一対の短側辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部7とを備えている。本実施形態の容器1は、ポリプロピレンにより構成されている。
【0023】
図1~
図5に示すように、底壁構成部5は、略矩形平板状の底壁部9と、底壁部9の各短側辺部に沿って底壁部9の下面から下方に突出する一対の脚部10と、一対の脚部10の間の範囲において底壁部9から下方に突出して格子状に設けられた下面リブ11とを備えている。下面リブ11の下縁部は、脚部10の下縁部よりも上方に位置しており、本実施形態の容器1は、一対の脚部10により支持されるようになっている。また、各脚部10には、フォークリフトのフォークを差込み可能なフォーク差込み部12が設けられており、フォーク差込み部12の上縁部は、下面リブ11の下縁部と同じ高さとなっている。
【0024】
図1、
図5、
図6等に示すように、長辺側側壁部6は、厚み方向に貫通する開口部15が設けられた側壁本体14と、開口部15を開放する開状態と、開口部15を閉鎖する閉状態とに状態変化可能な扉部16とを具備している。長辺側側壁部6の側壁本体14は、底壁部9から上方に延びる略平板状の長辺側ベース壁部18と、長辺側ベース壁部18の外面から外方に突出する長辺側補強リブ19とを備えている。本実施形態では、底壁構成部5と、短辺側側壁部7と、長辺側側壁部6の側壁本体14とが一体的に形成されている。
【0025】
さらに、本実施形態では、長辺側側壁部6の高さ方向の丁度中間位置よりも若干上方の位置から上側の大部分(短辺側側壁部7と連接している部位以外)が開口部15となっており、開口部15は上方にも開口している。また、扉部16は、長辺側側壁部6の側壁本体14の開口部15の下縁部に対して、平行2軸ヒンジよりなるヒンジ部材21を介して回動可能に連結されており、容器本体2の外方側に開放可能に構成されている。さらに、長辺側補強リブ19は、開口部15に沿って設けられた開口補強リブ22を備えている。以下、開口補強リブ22のうち、開口部15の下縁部に沿って設けられている部位を「開口下部補強リブ22a」とも称し、開口部15の側縁部に沿って設けられている部位を「開口側部補強リブ22b」とも称する(
図4、
図12等参照)。
【0026】
加えて、
図4~
図9に示すように、扉部16は、略平板状の扉側ベース壁部23と、扉側ベース壁部23の外面から外方に突出する扉側補強リブ24とを備えている。
図5に示すように、扉部16が閉状態とされた場合には、扉部16の下辺部(扉側ベース壁部23の下辺部に沿って設けられた扉側補強リブ24)が開口下部補強リブ22aの上面に当接して支持されるとともに、扉部16(扉側ベース壁部23)の内面と、側壁本体14(長辺側ベース壁部18)の内面とがほぼ面一とされ、扉部16の外面(扉側補強リブ24の外縁部)と、側壁本体14の外面(長辺側補強リブ19の外縁部)とがほぼ面一とされるようになっている。その一方で、
図6に示すように、閉状態にある扉部16が開状態とされる場合には、扉部16が容器本体2の外方側に回動するとともに、ヒンジ部材21が容器本体2の外方側に傾動することに伴って、ヒンジ部材21と連結されている扉部16の下縁部が側壁本体14の厚み程度の距離を容器本体2の外方側に変位し、扉部16が180度程度回動したところで、扉部16がヒンジ部材21から垂下するような格好となる。これにより、扉部16が開状態とされた場合には、扉部16の外面側と、側壁本体14の外面側とが対向して当接(又は近接)配置されるようになっている。
【0027】
尚、本実施形態では、扉部16が第1構成部に相当し、長辺側側壁部6の側壁本体14が第2構成部に相当する。また、扉部16が閉状態とされている場合の扉部16と、長辺側側壁部6の側壁本体14との位置関係が第1相対位置に相当し、扉部16が開状態とされている場合の扉部16と、長辺側側壁部6の側壁本体14との位置関係が第2相対位置に相当する。さらに、扉側ベース壁部23がベース壁部に相当する。
【0028】
また、
図1、
図6、
図13等に示すように、長辺側側壁部6の側壁本体14には、開口側部補強リブ22bのうち容器本体2の内方側の部位(長辺側ベース壁部18のうち開口側部補強リブ22bに対応する部位)から開口部15の内周側に突出する内倒れ防止部25が設けられており、閉状態とされた扉部16の内面側の両側部と当接、又は、近接するようになっている。さらに、開口側部補強リブ22bの上端部近傍部位から開口部15の内周側に突出する扉抜け防止部26が設けられており、閉状態とされた扉部16の上面の両側部と当接、又は、近接するようになっている。
【0029】
加えて、
図1等に示すように、長辺側側壁部6と、短辺側側壁部7とが連結された各コーナー部の上面側には、上方に突出する段積み用凸部27が設けられている。さらに、
図3に示すように、底壁構成部5の一対の脚部10の下面側には、容器1同士を同じ向きで積み重ねる(段積みする)場合に、下側の容器1の段積み用凸部27が挿入される段積み用凹部28が設けられている。尚、長辺側側壁部6、及び、短辺側側壁部7の上面において、各段積み用凸部27の周辺部の高さよりも、閉状態にある扉部16の上辺部の高さが低く構成されている。
【0030】
また、
図1に示すように、本実施形態では、容器本体2の収容空間3を容器本体2の長手幅方向において半分ずつに分けるようにして、仕切り板4が設置されるようになっている。さらに、底壁構成部5の底壁部9、長辺側側壁部6の側壁本体14、及び、扉部16には、凹状、又は、孔状をなし、仕切り板4を起立状態で保持するための係止挿入部29が設けられ、仕切り板4には、各係止挿入部29に挿入される係止突部4aが設けられている。
【0031】
さて、
図4、
図8、
図9等に示すように、扉部16の外面側の両側部近傍部位には、扉部16を閉状態で保持可能とするロック部材31を扉部16の横幅方向(左右方向)においてスライド可能に取付ける取付部51が設けられている。取付部51は、扉側補強リブ24によって四角枠状に区画されている。以下、扉側補強リブ24のうち、扉部16の横幅方向に沿って延び、取付部51の上下幅を画定する上下一対の扉側補強リブ24を「横リブ52」と称し、扉部16の高さ方向に沿って延び、取付部51の横幅を画定する左右一対の扉側補強リブ24を「縦リブ53」と称する。
【0032】
図10、
図11に示すように、ロック部材31は、左右一対の縦辺部33と、左右一対の縦辺部33の上端部間、及び、下端部間を連結する上下一対の横辺部34とを具備して略四角枠状をなし、扉部16と摺接可能なベース部32と、ベース部32の一方の縦辺部33の外面から側方に突出する係合部35と、各横辺部34からロック部材31の外方側(上方、又は、下方)に突出する取付片36とを備えている。
【0033】
図8、
図9、
図12等に示すように、取付部51には、上下一対の横リブ52からそれぞれ取付部51の内側に突出する脱落防止部54が設けられている。脱落防止部54は、扉側ベース壁部23から容器本体2の外方側に離間した位置において、扉側ベース壁部23の外面と平行に延在するようにして設けられている。そして、ロック部材31の取付片36を脱落防止部54の扉側ベース壁部23側の面に係止させることで、ロック部材31が扉部16に取付けられている。
【0034】
図12、
図14に示すように、取付部51の左右一対の縦リブ53間の距離は、ロック部材31のベース部32の横幅よりも広く構成され、ロック部材31は、左右一対の縦リブ53のそれぞれと、ベース部32とが当接するまでの範囲で左右方向にスライド変位可能に構成されている。また、
図8、
図13等に示すように、取付部51の左右一対の縦リブ53のうち扉部16の側辺部側の縦リブ53から、扉部16の側辺部に沿って設けられた扉側補強リブ24にかけて、ロック部材31の係合部35を挿通させるとともに、当該係合部35を扉部16の側方に露出させるための挿通開口部55が設けられている。そして、ロック部材31を左右にスライド変位させることにより、係合部35が扉部16の側辺部から側方に突出する状態(
図15参照)と、係合部35が扉部16の横幅の範囲内に収まる状態(
図13参照)とに状態変化するようになっている。
【0035】
これに対し、
図6、
図13、
図15に示すように、長辺側側壁部6の側壁本体14には、閉状態にある扉部16の取付部51に隣接する位置において、ロック部材31の係合部35を挿入可能とする被係合部71が設けられている。ロック部材31の係合部35が、長辺側側壁部6の被係合部71に挿入される(係合される)ことで、閉状態にある扉部16の長辺側側壁部6に対する相対変位が規制されることとなる。以下、ロック部材31(係合部35)が長辺側側壁部6の被係合部71に挿入された状態を「ロック部材31の規制状態」とも称する。
【0036】
一方、ロック部材31の係合部35が長辺側側壁部6の被係合部71から抜け出した状態とされることで、ロック部材31の規制状態が解除され、扉部16の開状態とされる側(容器本体2の外方側)への変位が許容されることとなる。以下、扉部16が閉状態にあっても、ロック部材31(係合部35)が長辺側側壁部6の被係合部71に挿入されない位置にある状態を「ロック部材31の解除状態」とも称する。
【0037】
尚、
図12、
図14等に示すように、被係合部71には、被係合部71に挿入された係合部35の一部を扉部16の外面側から視認可能とする窓部72が設けられている。加えて、ロック部材31(係合部35)は、長辺側側壁部6とは異なる着色とされている。
【0038】
また、
図10~
図12に示すように、ロック部材31は、左右一対の縦辺部33のうち外面側において係合部35が突設されている縦辺部33の内面と連結された操作部37を備えている。操作部37は、縦辺部33の内面から扉側ベース壁部23の外面と略平行するようにして延出し、ロック部材31のスライド変位方向(扉部16の横幅方向)に対して交差する方向(扉部16の厚み方向)に弾性変形可能な弾性片38と、弾性片38の先端部から扉側ベース壁部23とは反対側(容器本体2の外方側)に突出する押圧部39とを備えている。押圧部39は、弾性片38の先端縁から容器本体2の外方側に延出する第1壁部39aと、第1壁部39aの先端縁から扉部16の横幅方向中央部側に延びる押圧壁部39bと、押圧壁部39bの先端縁から扉側ベース壁部23側(容器本体2の内方側)に延びる第2壁部39cと、第1壁部39a、第2壁部39c、及び、押圧壁部39bの上辺部間、及び、下辺部間をそれぞれ連結する上壁部39d、及び、下壁部39eとを備えている。
【0039】
図11に示すように、ベース部32のうち扉側ベース壁部23側の面(以下、「摺接面」とも称する)には、上下一対の横辺部34にそれぞれ沿うようにして扉側ベース壁部23側に突出する摺動脚部40が設けられている。摺動脚部40は左右に長い略筒状とされ、ロック部材31の取付部51への取付状態において、取付部51を構成する扉側ベース壁部23の外面と当接、又は、近接して、摺接可能に配置される。また、各摺動脚部40は、当該摺動脚部40のうちベース部32の内側の面から突出し、扉部16(ロック部材31)の厚み方向に延在する摺動補助突部41を備えている。さらに、
図10、
図11に示すように、ベース部32は、扉部16(ロック部材31)の厚み方向において、操作部37の弾性片38と同じ位置において、上下一対の横辺部34からそれぞれベース部32の内側に突出するとともに、左右両端部がそれぞれ縦辺部33と連結される摺動壁部42を備えている。
【0040】
図9、
図14、
図15等に示すように、取付部51は、扉側ベース壁部23から突出し、扉部16の横幅方向に沿って延びる上下一対の脚部摺動リブ56を備えている。当該上下一対の脚部摺動リブ56は、ロック部材31の取付部51への取付状態において、ロック部材31の上下一対の摺動脚部40のうちベース部32の内側の面(摺動補助突部41)と当接、又は、近接して、摺接可能に配置される。
【0041】
さらに、取付部51は、上下一対の脚部摺動リブ56の各先端部からそれぞれ取付部51の上下幅方向の中央部側に突出し、脚部摺動リブ56の延在方向であり、ロック部材31のスライド変位方向でもある扉部16の横幅方向に延在する当接リブ57を備えている。当該当接リブ57は、ロック部材31の取付部51への取付状態において、ロック部材31の摺動壁部42のうち扉側ベース壁部23側の面と当接、又は、近接して、摺接可能に配置される。尚、本実施形態では、摺動脚部40と摺接可能な扉側ベース壁部23、及び、脚部摺動リブ56、並びに、摺動壁部42と摺接可能な当接リブ57が摺接部を構成する。
【0042】
また、
図11に示すように、ロック部材31の操作部37の押圧部39は、第2壁部39c、上壁部39d、及び、下壁部39eが、弾性片38よりも扉側ベース壁部23側にまで延長形成されている。加えて、第2壁部39c、上壁部39d、及び、下壁部39eの扉側ベース壁部23側の端部は、摺動脚部40の扉側ベース壁部23側の端部よりも弾性片38側に位置している。さらに、上壁部39dの上面、及び、下壁部39eの下面において、それぞれ扉側ベース壁部23側の端部から上方、又は、下方(対向する摺動脚部40側)に突出する係止部43が設けられている。
【0043】
これに対し、
図9、
図13、
図15に示すように、取付部51の上下一対の当接リブ57のうち、ロック部材31のベース部32(摺動壁部42)と摺接する面(被摺接面)とは反対側の裏面(扉側ベース壁部23側の面)には、ロック部材31が規制状態にある場合にロック部材31の係止部43と係止される第1被係止部58と、ロック部材31が解除状態にある場合に係止部43と係止される第2被係止部59とが設けられている。本実施形態では、当接リブ57の扉側ベース壁部23側の面から突出し、扉部16の横幅方向に沿って延びるリブのうち、扉部16の側辺部側の辺部により第1被係止部58が構成されるとともに、扉部16の中央部側の辺部により第2被係止部59が構成されている。
【0044】
図15に示すように、係止部43と、第1被係止部58とが係止された状態では、第1被係止部58により係止部43の扉部16の中央部側への変位が規制され、規制状態にあるロック部材31が不用意に解除状態とされないようになっている。また、ロック部材31の操作部37の押圧部39を操作することで、係止部43の全体を第1被係止部58よりも扉側ベース壁部23側に位置させることが可能となっている。このため、操作部37を操作しつつロック部材31を扉部16の中央部側(解除状態とされる側)に変位させることで、係止部43と、第1被係止部58との干渉を回避させつつ、ロック部材31を解除状態とすることができる。
【0045】
加えて、
図13に示すように、係止部43と、第2被係止部59とが係止された状態では、第2被係止部59により係止部43の扉部16の側方側への変位が規制され、解除状態にあるロック部材31が不用意に規制状態とされないようになっている。
【0046】
また、第2被係止部59は、扉側ベース壁部23側に向けて第1被係止部58側に傾斜している。さらに、係止部43のうち第2被係止部59と当接し得る部位は平面取り形状とされている。このため、扉部16の横幅方向において係止部43と、第2被係止部59とが圧接した場合、係止部43は、係止部43と、第2被係止部59との当接面の形状によって、第2被係止部59との係止状態が解除される位置にまで案内される(相対変位させられる)ようになっている。従って、本実施形態では、解除状態にあるロック部材31を規制状態とする際には、操作部37を押圧操作せずとも、ロック部材31を扉部16の側辺部側(規制状態とされる側)にスライド変位させるだけで、係止部43と、第2被係止部59との係止状態を解除させることが可能となっている。本実施形態では、第2被係止部59が傾斜している形状、及び、係止部43のうち第2被係止部59と当接し得る部位の平面取り形状により案内手段が構成されている。
【0047】
尚、第1被係止部58の当接リブ57からの突出長は、第2被係止部59の当接リブ57からの突出量よりも大きくなっている。また、第1被係止部58、及び、第2被係止部59を構成するリブの当接リブ57からの突出長が、扉部16の横幅方向において徐変するように構成されている。本実施形態では、第1被係止部58についても、扉側ベース壁部23側に向けて第2被係止部59側に傾斜し、係止部43のうち第1被係止部58と当接し得る部位についても、面取り形状とされているが、第1被係止部58の当接リブ57からの突出長が比較的大きく構成されているため、ロック部材31を規制状態から解除状態とする場合には、操作部37を操作することが望まれる。これにより、係止部43と、第1被係止部58との係止状態の解除をスムースに行うことができる。
【0048】
また、
図9、
図14、
図15に示すように、取付部51は、上下一対の脚部摺動リブ56の間において扉側ベース壁部23からロック部材31側に突出し、ロック部材31の操作部37の規定量以上の変形を規制する変形規制部60を備えている。変形規制部60は、ロック部材31の操作部37の押圧部39の第2壁部39cの扉側ベース壁部23側の辺部と当接可能な位置において、扉部16の横幅方向に延在する上下一対の突条部61により構成されている。当該一対の突条部61は、ロック部材31が規制状態にある場合に操作された操作部37と当接し得る部位と、ロック部材31が解除状態にある場合に操作された操作部37と当接し得る部位との間にかけて連続して設けられている。操作部37が押圧操作されていない状態では、操作部37と、突条部61とが離間している。さらに、一対の突条部61の扉側ベース壁部23からの突出長は一定である。
【0049】
本実施形態では、ロック部材31の操作部37(押圧部39の押圧壁部39b)を操作して、操作部37(第2壁部39cの扉側ベース壁部23側の辺部)を変形規制部60に当接させた状態では、ロック部材31の係止部43の全体が、第1被係止部58よりも扉側ベース壁部23側に位置する。このため、操作部37を変形規制部60に当接させた状態でロック部材31を左右にスライド変位させることで、操作部37と、第1被係止部58、及び、第2被係止部59との接触が回避される。
【0050】
加えて、
図11に示すように、ロック部材31の操作部37の押圧部39の第2壁部39cの扉側ベース壁部23側の辺部には、変形規制部60(各突条部61)と当接し得る部位において、ガイド凹部44が設けられている。操作部37を押圧操作して、操作部37(第2壁部39cの扉側ベース壁部23側の辺部)を変形規制部60に当接させた状態では、一対の突条部61がそれぞれガイド凹部44に相対的に挿入されるようになっている。これにより、変形規制部60(突条部61)に対する操作部37の上下方向における位置ずれが防止されるようになっている。
【0051】
また、
図10、
図14等に示すように、ベース部32のうち摺接面とは反対側の面(以下、「操作面」とも称する)において、作業者が操作部37の押圧部39を指で押圧操作した場合に、押圧部39を操作した指が、左右一対の縦辺部33のうち係合部35が連結されていない方の縦辺部33(以下、「解除時補助操作部45」とも称する)に当接するような位置関係となっている。つまり、扉部16(ロック部材31)の横幅方向において、操作部37の押圧部39は、解除時補助操作部45の近くに配置されている。但し、操作部37の押圧部39の第2壁部39cの扉側ベース壁部23側の辺部(ガイド凹部44)と、変形規制部60(突条部61)とが当接した状態において、操作部37(押圧部39)と、解除時補助操作部45とが当接しないようになっている。さらに、扉部16(ロック部材31)の厚み方向において、解除時補助操作部45は、操作部37の押圧部39よりも扉側ベース壁部23から離間する側(容器本体2の外方側)に大きく突出している。
【0052】
規制状態にあるロック部材31を解除状態とする場合には、操作部37の押圧部39を押圧操作して、操作部37と、変形規制部60(突条部61)とを当接させる。さらに、操作部37を押圧操作した状態のまま、操作部37を操作している指を解除時補助操作部45にも掛けて、ロック部材31を扉部16の横幅方向中央部側に(解除時補助操作部45と、取付部51の縦リブ53とが当接するまで)変位させることで、ロック部材31が解除状態とされるようになっている。尚、本実施形態では、解除時補助操作部45が補助操作部に相当する。
【0053】
その一方で、解除状態にあるロック部材31を規制状態とする場合には、ベース部32の一対の縦辺部33のうち係合部35が連結されている方の縦辺部33(以下、「ロック時補助操作部46」とも称する)に指を掛けて、ロック部材31を扉部16の側方側に押して変位させることで、比較的スムースにロック部材31を規制状態とすることができる。尚、
図10等に示すように、左右一対の縦辺部33(解除時補助操作部45、及び、ロック時補助操作部46)は、それぞれ左右一対のリブ形状部47と、当該リブ形状部47の容器本体2の外方側の辺部間を連結する操作面部48とを備えており、解除時補助操作部45、及び、ロック時補助操作部46に指を掛けての作業が行い易くなっている。また、左右一対の縦辺部33、及び、上下一対の横辺部34のうち容器本体2の外方側の面は、扉部16(ロック部材31)の厚み方向において同じ位置であって、略面一とされている。
【0054】
以上詳述したように、本実施形態によれば、ロック部材31は、該ロック部材31が規制状態にある場合に、扉部16に設けられた第1被係止部58と係止される係止部43を備えており、該係止部43は、ロック部材31のスライド変位方向に対して交差する方向に弾性変形可能な操作部37に設けられている。これにより、操作部37を操作することで、係止部43と、第1被係止部58との係止状態が解除されるようになっている。このため、ロック部材31が規制状態にある場合には、係止部43と、第1被係止部58との係止状態がより強固なものとなるように、係止部43と、第1被係止部58とのかかり代(ロック部材31のスライド変位方向に対して交差する方向における係止部43と、第1被係止部58との重なり合う幅)を十分に確保しつつ、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする際には、操作部37を操作して、係止部43と、第1被係止部58との係止状態を比較的容易に解除することができる。従って、容器1に物品を収容して運搬する際の容器1に対する振動や衝撃等に起因してロック部材31の規制状態が解除される等の事態を防止するとともに、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする操作を比較的容易なものとすることができ、扉部16を閉状態から開状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0055】
さらに、ロック部材31が解除状態にある場合には、係止部43と、第2被係止部59とが(軽微ではあるが)係止状態とされる。このため、扉部16を開閉させる作業中に、ロック部材31が不用意に規制状態となってしまうといった事態を防止することができる。従って、扉部16を開閉させる際の作業の向上等を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、ロック部材31が解除状態にある場合に、ロック部材31の係止部43と係止状態とされる容器本体2の第2被係止部59(当接リブ57の扉側ベース壁部23側の面から突出し、扉部16の横幅方向に沿って延びるリブのうち扉部16の中央部側の辺部)は、扉側ベース壁部23側に向けて第1被係止部58側に傾斜している。さらに、係止部43のうち第2被係止部59と当接し得る部位が平面取り形状とされている。当該構成により、解除状態にあるロック部材31を規制状態とする際に、操作部37を押圧操作しなくとも、ロック部材31を扉部16の側辺部側(規制状態とされる側)に変位させるだけで、係止部43と、第2被係止部59との係止状態を解除させることが可能である。従って、解除状態にあるロック部材31を規制状態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0057】
また、扉部16の取付部51は、操作部37の規定量以上の変形を規制する変形規制部60を備えている。このため、操作部37を操作して必要以上に変形させてしまうといった事態を防止することができ、操作部37が塑性変形して元の形状に戻らなくなったり、破損してしまったりするといった事態を回避することができる。
【0058】
さらに、変形規制部60は、ロック部材31が規制状態にある場合に操作された操作部37と当接し得る部位と、ロック部材31が解除状態にある場合に操作された操作部37と当接し得る部位との間にかけて設けられている。このため、例えば、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする際に、操作部37を操作して係止部43と第1係止部43との係止状態を解除し、当該操作部37を操作した状態のまま、ロック部材31を解除状態とする側にスライド変位させることで、ロック部材31が解除状態に至るまで、操作部37を変形規制部60と摺接させることができる。従って、例えば、操作部37を(比較的強く)操作したまま規制状態にあるロック部材31を解除状態とされる側にスライド変位させると、変形規制部60が途切れた部位に操作部37が相対的に落ち込んでしまい、ロック部材31のスライド変位が阻害されたり、操作部37が必要以上に変形したりする等といった事態を回避することができる。結果として、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする操作をよりスムースなものとすることができる。
【0059】
加えて、変形規制部60は、ロック部材31の扉部16に対するスライド変位方向に沿って延在する2本の突条部61により構成されている。このため、比較的簡素な構成を採用しつつ、変形規制部60によって操作部37の変形を確実かつ安定的に制限し、変形規制部60と操作部37との摺接を比較的スムースなものとすることができる。
【0060】
また、ロック部材31は、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする場合に操作部37を操作する作業者の指が触れる位置に設けられた解除時補助操作部45を備えている。さらに、解除時補助操作部45は、操作部37(押圧部39)よりも容器本体2の外方側(扉側ベース壁部23側とは反対側、作業者側)に大きく突出している。このため、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする際に、操作部37を操作しつつ、当該操作部37を操作した指を解除時補助操作部45に掛けてロック部材31をスライド変位させるといった操作を行い易くすることができる。
【0061】
さらに、ロック部材31の係止部43と係止される第1被係止部58、及び、第2被係止部59は、扉側ベース壁部23からロック部材31側(容器本体2の外方側)に離間した位置に設けられ、ロック部材31のスライド変位方向に沿って延在する当接リブ57のうちロック部材31のベース部32(摺動壁部42)と摺接する被摺接面とは反対側の裏面において設けられている。このため、操作部37を扉側ベース壁部23側に押すという操作によって、第1被係止部58、及び、第2被係止部59と、係止部43との係止状態を解除することができる。従って、例えば、規制状態にあるロック部材31を解除状態とする際に、操作部37を扉側ベース壁部23から離間する側に引く操作を要する場合に比べ、作業性の向上等を図ることができる。特に、第1被係止部58、及び、第2被係止部59が当接リブ57の裏面に設けられることで、ロック部材31のベース部32のうち当接リブ57に当接する部位(摺動壁部42)と、係止部43との間の距離を極力短くすることができる(距離を短くしても、その間に第1被係止部58、及び、第2被係止部59を介在させることができる)。従って、ロック部材31や取付部51の大型化を抑制しつつ、第1被係止部58、及び、第2被係止部59と、係止部43との係止状態を解除するために必要な操作部の操作量(係止状態が解除されるまでの第1被係止部58、及び、第2被係止部59と、係止部43との相対変位量)を極力少なくすることができ、作業性の向上、操作部37の劣化の抑制等を図ることができる。
【0062】
また、当接リブ57は、扉側ベース壁部23から離間して設けられていることから、操作部37を操作した状態においても、操作部37が扉側ベース壁部23を通り越して容器本体2の収容空間3に突出してしまう(例えば、内容物と干渉してしまう)といった事態を回避することができる。さらに、例えば、操作部37を扉側ベース壁部23から離間する側に引く操作を要する場合に比べ、脱落防止部54への負担を軽減させることができ、ロック部材31の脱落を防止しつつ、脱落防止部54の構成の簡素化、ロック部材31の取付部51への取付け作業性の向上等を図ることができる。
【0063】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0064】
(a)上記実施形態では、扉部16にロック部材31を設けて閉状態にある扉部16のロックを行うように構成されているが、例えば、ロック部材31を長辺側側壁部6の側壁本体14に取付けて閉状態にある扉部16のロックを行うように構成してもよい。さらに、例えば、底壁構成部に対して各側壁部が回動変位可能に連結された折畳み式の容器に対応して、当該容器が箱状に組立てられた状態とされた場合に、側壁部と、当該側壁部の側辺部と連接する側壁部との間をロック部材でロックするように構成してもよいし、側壁部の上辺部に対応して蓋部材が回動変位可能に設けられた容器に対応して、蓋部材が閉状態とされた場合に、側壁部と、蓋部材との間をロック部材でロックするように構成してもよい。加えて、上記実施形態では、扉部16の外面側にロック部材31が取付けられているが、扉部16の内面側にロック部材31が取付けられる構成(取付部を構成する扉側補強リブが扉側ベース壁部から容器の内方側に突出する構成)としてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、長辺側側壁部6の側壁本体14と、扉部16とが回動可能に連結されているが、例えば、扉部16が側壁本体14に対して着脱自在となるように構成してもよい。さらに、上記実施形態では、一対の長辺側側壁部6においてそれぞれ扉部16が設けられる構成となっているが、かかる構成に代えて、又は、加えて、短辺側側壁部7に扉部が設けられる構成としてもよいし、一方の長辺側側壁部6にのみ扉部16が設けられる構成としてもよい。加えて、上記実施形態では、側壁本体14に設けられた開口部15が側壁本体14の厚み方向に貫通するだけでなく、上方に開口するように構成されているが、側壁本体14において開口部15の上方を閉塞する部位が設けられるように構成してもよい。尚、上記のように、折畳み式の容器や、蓋付きの容器に具体化される場合には、扉部16を省略することも可能である。また、仕切り板4が設けられない容器に適用することも可能である。
【0066】
(b)上記実施形態では、ロック部材31の操作部37に係止部43が設けられ、扉部16の取付部51に第1被係止部58、及び、第2被係止部59が設けられているが、ロック部材31の操作部37に第1被係止部58、及び、第2被係止部59を設け、扉部16の取付部51に係止部43を設けることとしてもよい。また、上記実施形態の第1被係止部58、及び、第2被係止部59は、ロック部材31のスライド変位方向に沿って延びるリブのうち扉部16の側辺部側の辺部、及び、扉部16の横幅方向中央部側の辺部により構成されているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、例えば、第1被係止部と、第2被係止部とが別々の突部により構成されることとしてもよい。さらに、操作部37(弾性片38)の弾性変形の方向は、ロック部材31のスライド変位方向に対して交差する方向となっていればよく、例えば、第1被係止部、及び、第2被係止部を扉側ベース壁部23から突出するようにして設け、係止部と、第1被係止部、及び、第2被係止部との係止状態を解除する場合には、操作部37を容器本体2の外方側に引く操作を行うような構成としてもよい。加えて、例えば、係止部と、第1被係止部、及び、第2被係止部との係止状態を解除する場合に、操作部37を上方、又は、下方に弾性変形させるような構成としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第2被係止部59が扉側ベース壁部23側に向けて第1被係止部58側に傾斜し、かつ、係止部43のうち第2被係止部59と当接し得る部位が平面取り形状とされているが、第2被係止部59、及び、係止部43の第2被係止部59と当接し得る部位のうち少なくとも一方が、前記のようにロック部材31のスライド方向に対して直交する方向に対して斜めに傾斜することで、解除状態にあるロック部材31を規制状態とする際に操作部37を操作しなくても、ロック部材31を扉部16の側辺部側にスライドさせることで、係止部43と第2係止部43との係止状態を解除可能とすることができる。加えて、第2被係止部59の一部又は全体を湾曲させたり、係止部43のうち第2被係止部59と当接し得る部位をR面取り形状としたりすることとしてもよい。尚、第1被係止部58、第2被係止部59と、係止部43との係止状態をより強固にするべく、第1被係止部58、第2被係止部59、及び、係止部43の係止面をロック部材31のスライド変位方向に対して直交する方向、或いは、それに近い方向に延在させることも可能である。
【0068】
(c)上記実施形態では、操作部37を操作していない状態においても、解除時補助操作部45が、操作部37(押圧部39)よりも容器本体2の外方側に突出するように構成されているが、例えば、少なくとも操作部37を操作した状態(操作部37と変形規制部60とが当接した状態)において、解除時補助操作部45が操作部37よりも容器本体2の外方側に大きく突出していることとしてもよい。また、上記実施形態では、変形規制部60が一対の突条部61により構成されているが、1本、又は、3本以上の突条部により構成してもよいし、一対の突条部61の先端部間を連結したような形状としてもよい。尚、変形規制部60を省略することも可能である。
【0069】
(d)上記実施形態では、容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、底壁構成部5においてフォーク差込み部12を有する脚部10が設けられ、フォークリフト等で運搬可能な容器1に具体化されているが、脚部、及び、フォーク差込み部のない容器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…容器、2…容器本体、3…収容空間、5…底壁構成部、6…長辺側側壁部、7…短辺側側壁部、14…側壁本体、16…扉部、23…扉側ベース壁部、24…扉側補強リブ、31…ロック部材、32…ベース部、33…縦辺部、35…係合部、37…操作部、38…弾性片、39…押圧部、42…摺動壁部、43…係止部、45…解除時補助操作部、51…取付部、54…脱落防止部、57…当接リブ、58…第1被係止部、59…第2被係止部、60…変形規制部、61…突条部、71…被係合部。