(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】印判受発注システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231121BHJP
【FI】
G06Q30/0601
(21)【出願番号】P 2019186007
(22)【出願日】2019-10-09
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】518351045
【氏名又は名称】一般社団法人未来ものづくり振興会
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100217191
【氏名又は名称】林 信吾
(72)【発明者】
【氏名】石川 和也
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139205(JP,A)
【文献】お好きな写真や手描きイラストなどからオリジナルゴム印が自軸に届く!人気アプリ「StampDesigner」iphone&android,2017年05月24日,1-7ページ,[検索日:2023年8月18日], インターネット<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000025668.html>
【文献】法人金運招福印鑑,2019年05月21日,1-5ページ,[検索日:2023年8月18日], インターネット<https://web.archive.org/web/20190521010002/https://hankoman.jp/h_kinin.php>
【文献】12th シャチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション 受賞作品集,2019年10月01日,[検索日:2023年8月18日], インターネット<https://sndc.design/sndc_result_12th.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/0601
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注側が備える発注側装置と受注側が備える受注側装置とを通信回線で接続し、該通信回線を介して印判の受発注を行う印判受発注システムであって、
前記発注側装置は、制御部と表示部と撮影部とを有し、
前記制御部は、
前記撮影部で撮影された撮影対象に含まれる
手書きサインを取得する取得手段と、
取得された
前記手書きサインの印面内容を示す印面内容画像を前記表示部に表示する印面内容表示手段と、
選択可能な印判仕様を前記表示部に表示してユーザーに所望の印判仕様を選択させる印判仕様選択手段と、
前記表示部に表示された印面内容画像と選択された印判仕様に基づく印判発注情報を前記受注側装置に送信する発注手段と、を備え
、
前記受注側装置は、
前記発注側装置から送信された前記印判発注情報に基づいて、発注者を特定可能な識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記発注側装置から送信された前記印判発注情報に基づいて、前記印面内容に対応する印影画像情報を生成する印影画像情報生成手段と、
生成した前記識別情報と前記印影画像情報とを関連付けて、該受注側装置と接続された外部の情報管理装置に送信する送信手段と、を備える
ことを特徴とする印判受発注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回線を介して印判の受発注を行う印判受発注システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発注コンピュータと受注コンピュータとをネットワークで接続し、当該ネットワークを介して印章等に係る版下の受発注を可能とした受発注システムが提案されている(例えば特許文献1を参照)。このシステムでは、発注コンピュータのディスプレイに表示される操作ウィンドウの編集領域上で版下の編集を行い、完成した版下を含む電子メール(版下ファイル)を受注コンピュータのメールアドレスに送信することで、版下(印判等)の発注が終了するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に係る受発注システムでは、版下(印章等)の発注にあたり、印面のデザインを構成する文字や図形等のオブジェクトの作成・移動・寸法変更等の編集作業を発注コンピュータで行う必要がある。こうした編集作業は、自由度の高い版下デザインの作成を可能にする反面、その分の時間や労力が必要となり、作業内容によってはある程度の専門性も要求されるため、一般ユーザーが印章等の発注を手軽に行えるとは言い難い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一般ユーザーが手軽に印判の発注を行うことができる印判の受発注システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0007】
すなわち、手段1の印判受発注システムは、
発注側が備える発注側装置と受注側が備える受注側装置とを通信回線で接続し、該通信回線を介して印判の受発注を行う印判受発注システムであって、
前記発注側装置は、制御部と表示部と撮影部とを有し、
前記制御部は、
前記撮影部で撮影された撮影対象に含まれる手書きサインを取得する取得手段と、
取得された前記手書きサインの印面内容を示す印面内容画像を前記表示部に表示する印面内容表示手段と、
選択可能な印判仕様を前記表示部に表示してユーザーに所望の印判仕様を選択させる印判仕様選択手段と、
前記表示部に表示された印面内容画像と選択された印判仕様に基づく印判発注情報を前記受注側装置に送信する発注手段と、を備え、
前記受注側装置は、
前記発注側装置から送信された前記印判発注情報に基づいて、発注者を特定可能な識別情報を生成する識別情報生成手段と、
前記発注側装置から送信された前記印判発注情報に基づいて、前記印面内容に対応する印影画像情報を生成する印影画像情報生成手段と、
生成した前記識別情報と前記印影画像情報とを関連付けて、該受注側装置と接続された外部の情報管理装置に送信する送信手段と、を備える
ことを要旨とする。
【0008】
これによれば、発注側装置において、撮影部で撮影した撮影対象に含まれる手書きサインが取得手段により取得されると、当該手書きサインの印面内容を示す印面内容画像が表示部に表示されるので、ユーザー(発注者)にとっては、印面にする対象(手書きサイン)を撮影することで、発注する印判の印面内容の作成及び確認が可能となる。また、表示部には選択可能な印判仕様が表示されるので、ユーザーにとっては、発注する印判の仕様の選択が容易となる。こうした印面内容の作成、確認及び印判仕様の選択を経て、その結果を反映した印判を発注することができるので、独自性の高い印判の発注を一般ユーザーが手軽に行えるようになる。さらに、発注側装置からの印判発注情報に基づいて受注側装置で生成される発注者(ユーザー)の識別情報と、手書きサインの印面内容に対応する印影画像情報とが関連付けられて、受注側装置と接続された外部の情報管理装置に送信されるので、印判の発注者個人(ユーザー個人)とその者が持つ印判とが一対一で繋がっていることをデータとして管理しておくことで、本人確認としての機能を果すことの証明となり得る情報の管理を外部で行うことが可能となる。
【0009】
手段2の印判受発注システムは、手段1の印判受発注システムにおいて、
前記制御部は、前記表示部に表示された印面内容画像と選択された印判仕様に基づく印判完成イメージを前記表示部に表示する完成イメージ表示手段を備える
ことを要旨とする。
【0010】
これによれば、発注する印判の完成イメージが表示部に表示されるので、発注する印判の全体像をユーザーに示すことが可能となる。
【0011】
手段3の印判受発注システムは、手段1又は2の印判受発注システムにおいて、
前記制御部は、予め定められた印面サイズに基づく印面枠を前記表示部に設定する印面枠設定手段を備え、
前記印面内容表示手段は、設定された印面枠内に前記印面内容画像を表示する
ことを要旨とする。
【0012】
これによれば、予め定められた印面サイズに基づく印面枠が表示部に設定され、その印面枠内に印面内容画像が表示されるので、発注する印判の印面イメージを分かりやすく示すことが可能となる。
【0013】
手段4の印判受発注システムは、手段3の印判受発注システムにおいて、
前記印面内容表示手段は、前記印面枠設定手段が設定する印面枠に応じて前記印面内容画像のサイズ又は位置の少なくとも一方を調整して当該画像を前記印面枠内に表示する
ことを要旨とする。
【0014】
これによれば、表示部に設定される印面枠に応じて印面内容画像のサイズ又は位置の少なくとも一方の調整が行われ、その上で印面枠内に印面内容画像が表示されるので、印面枠内に印面内容画像をバランスよく表示することが可能となる。
【0015】
手段5の印判受発注システムは、手段3の印判受発注システムにおいて、
前記制御部は、前記印面内容表示手段が表示する前記印面内容画像に応じて前記印面枠のサイズを調整可能な調整手段を備える
ことを要旨とする。
【0016】
これによれば、撮影部で撮影した撮影対象(印面内容情報)に基づく印面内容画像に応じて印面枠のサイズ調整が可能となるので、印面枠(印面サイズ)の最適化を図ることが可能となる。
【0017】
手段6の印判受発注システムは、手段1から5の何れか一つの印判受発注システムにおいて、
前記選択可能な印判仕様として印面形状、印面色及び印材があり、
前記印判仕様選択手段は、選択可能な印面形状と、選択可能な印面色と、選択可能な印材とを、前記表示部に表示するように構成されている
ことを要旨とする。
【0018】
これによれば、発注する印判の仕様として選択可能な印面形状、印面色及び印材が表示部に表示されるので、ユーザーは印面形状、印面色及び印材を自由に選択して、独自性の高い印判を発注することが可能となる。
【0019】
手段7の印判受発注システムは、手段1から5の何れか一つの印判受発注システムにおいて、
前記制御部は、前記取得手段が取得した前記印面内容情報に基づく印面内容画像を編集可能な編集手段を備え、
前記印面内容表示手段は、前記編集手段による編集が行われた場合、該編集後の印面内容画像を前記表示部に表示する
ことを要旨とする。
【0020】
これによれば、取得手段が取得した印面内容情報に基づく印面内容画像の編集が可能とされており、その編集が行われた場合には編集後の印面内容画像が表示部に表示されるので、ユーザーの好みに合った印面内容を容易に得ることが可能となる。
【0023】
また、手段8のプログラムは、コンピュータを、手段1から手段7の何れか一つの印判受発注システムにおける発注側装置の各手段として機能させるためのプログラムである
ことを要旨とする。
【0024】
これによれば、上記印判受発注システムにおける発注側装置の各手段として機能させるためのプログラムの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上の本発明によれば、一般ユーザーが手軽に印判の発注を行うことができる印判の受発注システム及びプログラムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例に係る印判受発注システムの全体構成図である。
【
図2】(A)は携帯端末(発注側装置)の構成例を示す図であり、(B)は携帯端末が備える制御部の機能ブロック図である。
【
図3】(A)はホストコンピュータ(受注側装置)の構成例を示す図であり、(B)はホストコンピュータが備える制御部の機能ブロック図である。
【
図6】(A)は撮影画面の一例を示す図であり、(B)はプレビュー画面の一例を示す図である。
【
図7】(A)及び(B)は仕様選択画面の一例を示す図である。
【
図8】(A)は完成イメージの一例を示す図であり、(B)は発注内容確認画面の一例を示す図である。
【
図9】(A)は印面枠サイズ調整前のプレビュー画面の一例を示す図であり、(B)は印面枠サイズ調整後のプレビュー画面の一例を示す図である。
【
図10】(A)は傾き調整が行われる場合の撮影画面の一例を示す図であり、(B)は傾き調整後のプレビュー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0028】
[印判受発注システムの全体構成]
図1は、本実施例に係る印判受発注システム1の全体構成を示している。本実施例の印判受発注システム1(以下「本システム1」ともいう。)は、印判の発注者側が備える発注側装置2と、印判の受注者側が備える受注側装置3とが、通信回線としてのインターネット4を介して接続され相互に通信可能となっている。
【0029】
発注側装置2は、印判の発注者(ユーザー)が使用する少なくとも1台の携帯型端末装置(以下「携帯端末」ともいう。)2Aである。携帯端末2Aは、例えば、スマートフォンやタブレット、モバイルPC等である。ここで、少なくとも1台の携帯端末2Aとしているのは、本システム1による印判発注を可能とする後述のプログラム(以下「印判発注プログラム」ともいう。)をインストールした携帯端末を持つ者であれば、インターネット接続が可能な環境下でいつでも本システム1を利用して印判を発注できるからであり、その発注者(利用者)は多数存在し得るからである。また、発注側装置2を携帯端末2Aとしているのは、近年、ネット通販など携帯端末を利用した商取引が普及してきており、こうした環境の下、ユーザーが手軽に印判を発注できるようにするためである。但し、発注側装置2には、スマートフォン等の携帯端末の他、据置型のパーソナルコンピュータ(PC)を用いることも可能であり、インターネット接続が可能な端末装置であれば、発注側装置2に用いる機器は特に問わない。
【0030】
受注側装置3は、印判の受注者となる印判製造販売事業者(以下「事業者」ともいう。)が管理するホストコンピュータ3Aである。ホストコンピュータ3Aは、印判の受発注や製造販売等に係る管理を行うワークステーション等のコンピュータである。
図1では受注側装置3としてのホストコンピュータ3Aが1台のコンピュータにより構成されている例を示しているが、ホストコンピュータは、事業者が管理する複数台のコンピュータに機能を分散して構成されるものであってもよい。
【0031】
ホストコンピュータ3Aには、データベース(DB)3Bが接続されており、印判の発注者に関する情報(発注者情報)、受発注履歴、完成済(発送済)の印判に関する情報(印判情報)等、印判の受発注に関連する種々の情報が管理される。なお、データベース3Bは、インターネットやイントラネット等のネットワーク(通信回線)を介して接続されてもよい。
【0032】
[携帯端末の構成]
図2(A)は、発注側装置2としての携帯端末2Aの構成例を示している。同図に示すように、携帯端末2Aは、記憶部10、表示部11、操作入力部12、カメラ(撮影部)13、制御部14、通信部15及びバッテリー(電源部)16等を備えている。
【0033】
記憶部10は、フラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリ等により構成される。記憶部10には、携帯端末2Aを作動させるOS(Operating System)や各種アプリケーションのプログラム等が記憶されており、その中には、本システム1に係る印判発注プログラムが含まれる。すなわち、記憶部10には、携帯端末2Aを本システム1に係る発注側装置として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0034】
本実施例に係る印判発注プログラム(印判発注アプリケーション)は、例えば、事業者や他のプログラム提供事業者が管理するプログラム提供サーバーからダウンロードすることにより、携帯端末2Aにインストールすることができる。なお、印判発注プログラムは、携帯端末2Aにプリインストールされていてもよい。あるいは、SDカード等の記録媒体に記録された印判発注プログラムを読み込んでインストールするものであってもよい。また、記憶部10には、印判を発注する際の印面内容(印影プレビュー)の表示や編集、印判仕様の選択・決定、印判の完成イメージの表示等に用いられる各種の画像データ等が記憶される。
【0035】
表示部11は、ユーザー(発注者)によるタッチ操作を検知可能なタッチパネル機能を備えた液晶ディスプレイ等により構成される。この表示部11は、携帯端末2Aの表面に設けられる。表示部11(ディスプレイ)には、記憶部10から読み込んだ画像(動画、静止画、写真、イラスト等)や撮影中の写真、動画等が表示される。また、操作指示を入力する入力画面や後述する印判発注処理の実行に伴う各種画面が表示される。
【0036】
操作入力部12は、携帯端末2Aのユーザーが各種の指示入力を行うために操作するボタンやスイッチ等により構成される。操作入力部12による指示入力には、タッチパネル機能を備えた表示部11(ディスプレイ)に表示されるボタン、アイコン、キーボード、入力領域等による入力が含まれる。操作入力部12による指示入力に基づく信号(操作信号、指示信号)は、後述の制御部14に入力される。
【0037】
カメラ(撮影部)13は、後述の制御部14による制御処理のもとカメラ機能が起動した場合に使用可能となるもので、携帯端末2Aのユーザーの操作(指示)に基づいて写真等を撮影する。このカメラ13は、携帯端末2Aの裏面に設けられる。携帯端末2Aを本システム1の発注側装置2として用いる場合、例えば、印面にしたい文字を表した用紙を予め用意しておき、その用紙を撮影対象としてカメラ13により撮影する。本システム1では、こうして撮影された用紙(撮影対象、撮影画像)に含まれる文字を略そのまま印面(印面内容)とすることが可能となっている。この用紙に含まれる文字は本発明の「印面内容情報」の一態様に相当する。なお、印面内容情報は、記号や図形(マーク)等、文字以外の情報であってもよい。
【0038】
ここで、印面にする文字は、漢字、仮名、ローマ字等で性や名を手書きしたもの(以下「手書きサイン」ともいう。)とすることができる。手書きサインを印面内容情報として撮影対象に含めることで、独自性の高い印面を有する印判の発注が可能となる。また、印面にする文字は、手書きの他、市販の文字入力ソフトを用いて入力した文字(テキストデータ)を所定のフォント(書体)で表したものや、撮影した画像(撮影画像)に含まれる手書きサイン等の文字情報を印判発注プログラムの編集処理により編集したものとすることもできる。
【0039】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される。この制御部14は、例えば、記憶部10に記憶された印判発注プログラムやその他プログラムにしたがって、印判発注に係る処理やその他処理を実行する。これらの処理を実行する制御部14は、
図2(B)に示すように、撮影手段20、取得手段21、印面枠設定手段22、印面内容生成手段23、印面内容表示手段24、印判仕様選択手段25、完成イメージ生成手段26、完成イメージ表示手段27及び発注手段28として機能する。これらの機能により、本システム1における後述の印判発注処理(印判発注システム)が実現される。
【0040】
通信部15は、インターネット4を介して無線によりデータ通信を実行するもので、例えば、IEEE802.11規格に準拠した無線通信を実行する。本システム1の印判発注プログラムが所定のプログラム提供サーバーから提供される場合、そのプログラムを通信部15によりダウンロードすることができる。また、通信部15は、本システム1におけるホストコンピュータ3Aとのデータ通信を実行する。
【0041】
バッテリー(電源部)16は、充電可能な電池等により構成されるもので、携帯端末2Aが備える記憶部10や表示部11、カメラ13、制御部14等の各構成要素に対して電力を供給する。
【0042】
[ホストコンピュータの構成]
図3(A)は、受注側装置3としてのホストコンピュータ3Aの構成例を示している。同図に示すように、ホストコンピュータ3Aは、記憶部30、制御部31及び通信部32等を備えている。
【0043】
記憶部30は、ハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性メモリ等により構成される。記憶部30には、ホストコンピュータ3Aを作動させるOSや各種アプリケーションのプログラム等が記憶されており、その中には、本システム1に係る印判受注プログラムが含まれる。すなわち、記憶部30には、ホストコンピュータ3Aを本システム1に係る受注側装置として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0044】
また、記憶部30には、本システム1を利用して印判を発注しようとするユーザーに対して提供される印判発注プログラム(印判発注アプリケーション)のデータ(プログラムファイル)が記憶されている。ホストコンピュータ3Aは、印判発注プログラムの提供(ダウンロード)を求めるユーザーの携帯端末等からの要求に応じてそのプログラムファイルを読み出し、これを要求元の携帯端末等に転送する。なお、印判発注プログラムのプログラムファイルは、ホストコンピュータ3Aに接続されたデータベース3Bに格納されていてもよい。
【0045】
制御部31は、CPU、ROM及びRAM等により構成される。この制御部31は、例えば、記憶部30に記憶された印判受注プログラムやその他プログラムにしたがって、印判受注やその他ホストコンピュータとしての処理を実行する。これらの処理を実行する制御部31は、
図3(B)に示すように、識別情報生成手段40、印影画像情報生成手段41、登録手段42及び送信手段43として機能する。これらの機能により、本システム1における後述の印判受注処理(印判受注システム)が実現される。
【0046】
通信部32は、インターネット4を介して外部とのデータ通信を実行するものである。この通信部32は、例えば、本システム1における携帯端末2Aとのデータ通信、受注した印判の製造を担う印判製造部門で使用される機器とのデータ通信、印判発注者及びその印影に関する情報を管理する外部のデータベースやサーバー等とのデータ通信等を実行する。
【0047】
[印判の受発注処理]
次に、本システム1における印判の受発注処理について説明する。この受発注処理は、印判発注者側の携帯端末2A(制御部14)による印判発注処理と、印判受注者側のホストコンピュータ3A(制御部31)による印判受注処理とに区別される。以下、携帯端末2Aによる印判発注処理(S100)及びホストコンピュータ3Aによる印判受注処理(S200)をこの順で説明する。また、以下では、本システム1で受発注される印判が、象牙、水牛、柘、チタン等からなる印鑑(硬質印)であって、手書きサインを印面にするものとして説明する。
【0048】
[印判発注処理]
本システム1に係る印判発注プログラムがインストールされた携帯端末2Aにおいて、操作入力部12による入力に基づいて印判発注プログラム(印判発注アプリ)が起動されると、制御部14は、
図4に示す印判発注処理(S100)を実行する。
【0049】
印判発注処理(S100)では、まず、携帯端末2Aのカメラ機能を起動して、撮影対象を撮影する撮影処理を実行する(S101)。このS101は、制御部14が前述の撮影手段20(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、撮影手段20(制御部14)は、撮影対象を撮影するための撮影画面100を表示部11に表示する。当該撮影画面100を通じて、手書きサイン(印面にしたい文字)が書かれた用紙(手書きサイン部分)の撮影が可能となる。撮影画面100の一例を
図6(A)に示す。
【0050】
同図に示すように、撮影画面100は、メッセージ表示領域101と、撮影対象表示領域102と、指示入力領域103とにより構成される。メッセージ表示領域101は、ユーザーに対して撮影に関するメッセージやコメント等を表示する領域である。撮影対象表示領域102は、カメラ13のレンズを通して撮影対象を視認可能に表示する領域である。指示入力領域103は、撮影の実行を指示する撮影アイコン104や発注する印鑑の印面サイズ(大きさ)の設定を指示する設定アイコン105等を表示する領域である。
【0051】
なお、
図6(A)に示す撮影画面100の構成はあくまでも一例であり、当該画面を構成する領域(表示領域、入力領域など)の種類や数、サイズ、配置、表示内容(メッセージ、ボタン、アイコンなど)等については種々の態様を採ることができる。このことは、以下で説明する他の画面についても同様である。
【0052】
また、撮影画面100の表示に際し、その撮影画面100における撮影対象表示領域102には印面サイズに応じた印面枠が設定され、その印面枠110が撮影対象表示領域102表示される。撮影処理(S101)では、その撮影対象表示領域102上の印面枠110内に手書きサインを収めて、その手書きサインを含んだ用紙を撮影するものとしている。
【0053】
ここで、本システム1で発注可能な印鑑の印面サイズは、丸型印面の直径を基準に定められており、発注する際の基本となる印面サイズとして、直径約18mmの「大サイズ」、直径約15mmの「中サイズ」及び直径約10mmの「小サイズ」の3種類が設けられている。この3種類の印面サイズ(基本印面サイズ)に応じた印面枠が撮影対象表示領域102に設定(表示)可能となっている。デフォルトでは「中サイズ」の印面枠110が設定(表示)される。
【0054】
なお、撮影対象表示領域102に設定(表示)される印面枠は、実際の印面サイズと一致するものであっても、実際の印面サイズを所定の比率で拡大又は縮小したものであってもよい。また、印面枠の形状は丸型に限られず、角型や楕円型等の他の形状であってもよい。
【0055】
設定アイコン105がタッチ操作(例えばタップ)されると、印面枠のサイズ(つまり、印面サイズ)の設定変更が可能となる。設定変更の際には、撮影画面100上に「大サイズ」、「中サイズ」、「小サイズ」の何れかがタッチ操作(例えばタップ)により選択できるように表示され(図示せず)、ユーザーはその中から所望の印面枠サイズを選択できるようになっている。こうした印面枠の設定(表示)に係る処理は、制御部14が前述の印面枠設定手段22(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。
【0056】
図6(A)に示すように、撮影対象表示領域102上の印面枠110内に手書きサインを収めた状態で撮影アイコン104がタッチ操作(例えばタップ)されると、撮影手段20(制御部14)は、その手書きサインを含めた用紙の撮影を実行する(S101)。
図6(A)では、用紙Yに崩し字のように手書きされた「石川」の文字(手書きサイン)が、印面枠110の上方寄りに若干小さく視認される状態で収められた様子を示している。ここでは、その状態で撮影が実行されたものとする。なお、
図6(A)では縦書きの手書きサインを示しているが、横書きの手書きサインであってもよい。
【0057】
次いでS102では、S101で撮影した用紙Yに含まれる手書きサイン(印面内容情報)を取得する(S102)。このS102は、制御部14が前述の取得手段21(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、取得手段21(制御部14)は、S101で撮影された用紙Yに含まれる手書きサインを認識し、これを取得する。この手書きサイン(文字部分)の認識(取得)は、例えば、撮影した画像から文字情報(テキスト)を抽出する文字認識(OCR)や、撮影した画像から色情報(例えば、用紙の色とサインの色との相違)を抽出する色認識等を適用して行うことができる。
【0058】
次いでS103では、S102で取得した手書きサイン(印面内容情報)に基づくプレビュー画像(印面内容画像)を表示するプレビュー表示処理を実行する(S103)。このS103は、制御部14が前述の印面内容生成手段23及び印面内容表示手段24(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、印面内容生成手段23(制御部14)は、前述のS102で手書きサインが取得されると、これを基に印面内容とされる手書きサインのプレビュー画像を生成する。そして、生成したプレビュー画像を表示するためのプレビュー画面120を表示部11に表示する。プレビュー画面120の一例を
図6(B)に示す。
【0059】
同図に示すように、プレビュー画面120は、メッセージ表示領域121と、プレビュー表示領域122と、指示入力領域123とにより構成される。メッセージ表示領域121は、ユーザー(発注者)に対してプレビュー画像の確認に関するメッセージやコメント等を表示する領域である。プレビュー表示領域122は、先の撮影対象表示領域102に設定(表示)された印面枠110をそのまま表示し、その印面枠110内にプレビュー画像を表示する領域である。指示入力領域123は、プレビュー画像の確認完了(撮影完了)を指示する完了ボタン124や撮影のやり直しを指示する戻るボタン125等を表示する領域である。
【0060】
印面内容表示手段24(制御部14)は、プレビュー表示処理(S103)において、前述のS102で生成されたプレビュー画像をプレビュー表示領域122の印面枠110内に表示する。このとき印面内容表示手段24は、その印面枠110に応じてプレビュー画像の調整を行い、その調整後のプレビュー画像を印面枠110内に表示する。
【0061】
例えば、
図6(A)に示すように、撮影時には「石川」の手書きサインが印面枠110内の上方寄りに位置していたとする。この場合、手書きサインのプレビュー画像を表示する際には、そのプレビュー画像(手書きサイン)が印面枠110内にバランスよく配置されるよう、印面枠110に対するプレビュー画像の表示位置を調整して、その調整後のプレビュー画像を印面枠110内に表示する。この表示位置の調整は、例えば、撮影対象表示領域102に設定(表示)された印面枠110の中心とプレビュー画像の中心が一致するように、印面枠110内の中央にプレビュー画像を配置する処理(センタリング処理)をプログラムで実行することにより行うことができる。プレビュー画像の中心は、例えば、当該プレビュー画像を縦方向に2等分する垂直線と、当該プレビュー画像を横方向に2等分する水平線との交点とすることができる。
【0062】
また、
図6(A)に示すように、撮影時には「石川」の手書きサインが印面枠110に対して若干小さく表示されていたとする。この場合、手書きサインのプレビュー画像を表示する際には、そのプレビュー画像(手書きサイン)が印面枠110内にバランスよく配置されるよう、プレビュー画像の表示サイズを印面枠110のサイズに応じて調整して、その調整後のプレビュー画像を印面枠110内に表示する。この表示サイズの調整は、例えば、撮影対象表示領域102に設定(表示)された印面枠110の内周縁と、プレビュー画像(手書きサイン)の外縁(例えば上端及び下端)との距離が所定量(例えば0.5~1.0mm)となるようにプレビュー画像のサイズを調整することにより行うことができる。
【0063】
図6(B)では、調整後のプレビュー画像が印面枠110内に表示されたときの様子を示している。同図に示すように、印面枠110内のプレビュー画像で示される手書きサインは、その大きさが
図6(A)と比較して大きくなっており、印面枠110内にバランスよく配置されたものとなっている。
【0064】
なお、本実施例ではプレビュー画像の表示位置と表示サイズの双方の調整を行う場合を例示しているが、表示位置の調整を行わずにサイズの調整を行ったり、サイズの調整を行わずに表示位置の調整を行ったりすることも可能である。この場合、例えば、撮影した画像(プレビュー画像)の状態(撮影結果)に応じて、サイズの調整を行わずに表示位置の調整だけを行ったり、その逆としたりすることができる。また、撮影の結果、プレビュー画像の表示位置や表示サイズの調整が不要である場合には、それらの調整は行われない。
【0065】
プレビュー画像の表示後、プレビュー画面120(指示入力領域123)の完了ボタン124がタッチ操作(例えばタップ)されると(S104でYES)、制御部14は仕様選択処理を実行する(S105)。このS105は、制御部14が前述の印判仕様選択手段25(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、印判仕様選択手段25(制御部14)は、発注する印鑑の仕様(印判仕様)をユーザー(発注者)に選択させるための仕様選択画面130を表示部11に表示し、当該仕様選択画面130を通じて仕様の選択を行う。仕様選択画面130の一例を
図7(A)及び(B)に示す。
【0066】
同図に示すように、仕様選択画面130は、形状選択領域131と、色選択領域132と、印材選択領域133と、指示入力領域134とにより構成される。本実施例では、形状選択領域131と色選択領域132を一画面で表示し、印材選択領域133を別の一画面で表示するものとしている。そして、仕様選択画面130の表示に際しては、形状選択領域131及び色選択領域132を先に表示し(
図7(A)を参照)、印材選択領域133を後に表示する(
図7(B)を参照)こととしている。なお、すべての選択領域を一画面で表示したり、選択領域(選択可能な仕様)ごとに画面を分けて表示したりすることも可能である。
【0067】
形状選択領域131は、選択可能な印面形状を表示する領域である。色選択領域132は、選択可能な印面の色を表示する領域である。なお、印面の色とは、先のプレビュー画像で確認した印面内容(本例では手書きサイン)が彫刻された印面の凸部端面に付される色のことである。印材選択領域133は、選択可能な印材(印鑑の素材、材質)を表示する領域である。各選択領域には、印面形状や色等の選択可能な項目毎にチェックボックスが設けられており、選択する項目に対応するチェックボックスをタッチ操作(例えばタップ)してチェックを入れることで、その項目の選択がなされるようになっている。
【0068】
指示入力領域134は、各選択領域131~133に表示された仕様(項目)の選択(チェックボックスのチェック)の完了を指示するOKボタン135を表示する領域である。この指示入力領域134は、形状選択領域131及び色選択領域132が表示されるときと、印材選択領域133が表示されるときとで、仕様選択画面130の下部に同様にして表示される(
図7(A)及び(B)を参照)。そして、表示中の選択領域における仕様の選択(チェックボックスのチェック)が漏れなく行われると、指示入力領域134のOKボタン135が操作可能となる。そして、仕様選択画面130のうち形状選択領域131及び色選択領域132が表示されているときにOKボタン135がタッチ操作(例えばタップ)されると、仕様選択画面130の表示内容が印材選択領域133に切り換わる。一方、印材選択領域133が表示されているときにOKボタン135がタッチ操作(例えばタップ)されると、発注する印鑑(印判)の仕様の選択が完了する。
【0069】
ここで、本システム1では、形状選択領域131で選択可能な印面形状として「丸型」(真円)、「縦楕円型」及び「横楕円型」の3種類の形状が定められている。このうち「丸型」の印面は、前述のプレビュー画面120の表示内容、すなわち、プレビュー表示領域122における印面枠110及び当該印面枠内のプレビュー画像で示される捺印イメージに対応するものとなる。一方、「縦楕円型」の印面と「横楕円型」の印面については、その印面枠110の形状を縦楕円や横楕円に置き換えた捺印イメージに対応するものとなる。
【0070】
また、本システム1では、色選択領域132で選択可能な印面の色として、金色や赤色など8種類の色が定められている。さらに、印材選択領域133で選択可能な印材として、黒水牛や白水牛など8種類の印材が定められている。なお、本実施例で示す選択可能な印判仕様はあくまでも一例であり、仕様の種類や数等は任意に定めることができる。
【0071】
仕様選択画面130での仕様の選択が行われ、OKボタン135がタッチ操作されると(S106でYES)、制御部14は完成イメージ表示処理を実行する(S107)。このS107は、制御部14が前述の完成イメージ生成手段26及び完成イメージ表示手段27(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、完成イメージ生成手段26(制御部14)は、前述のS103で表示されたプレビュー画像(手書きサイン)と、前述のS105で選択された印鑑の仕様とに基づいて、今回発注することとなる印鑑の完成予想に相当する完成イメージ(完成予想画像)を生成する。そして、生成した完成イメージを表示するための完成イメージ表示画面(図示せず)を表示部11に表示する。完成イメージ表示画面に表示する完成イメージは、例えば、
図8(A)に示すように、発注する印鑑の全体をあらわしたイメージと、その印鑑で捺印した印影のイメージとすることができる。
【0072】
完成イメージの表示後、完成イメージ表示画面上の確認完了ボタン(図示せず)がタッチ操作(例えばタップ)されると(S108でYES)、制御部14は発注処理を実行する(S109)。このS109は、制御部14が前述の発注手段28(
図2(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、発注手段28(制御部14)は、前述のS103で表示されたプレビュー画像(手書きサイン)と、前述のS105で選択された印鑑の仕様とに基づいて、今回発注する印鑑の内容(発注内容)を確認するための発注内容確認画面140を表示部11に表示する。発注内容確認画面140の一例を
図8(B)に示す。
【0073】
同図に示すように、発注内容確認画面140は、メッセージ表示領域141と、発注内容表示領域142と、指示入力領域143とにより構成される。メッセージ表示領域141は、ユーザー(発注者)に対して発注に関するメッセージやコメント等を表示する領域である。発注内容表示領域142は、これから発注する印鑑の内容(発注内容)を表示する領域である。指示入力領域143は、発注に進むことを指示するOKボタン144や発注の中止(取りやめ)を指示する中止ボタン145等を表示する領域である。
【0074】
発注内容表示領域142には、前述のS103で表示されたプレビュー画像(手書きサイン)及び前述のS105で選択された印鑑の仕様に基づく発注内容情報が表示される。発注内容情報のうち印面形状には、撮影の段階(
図6(A)を参照)で撮影対象表示領域102に設定(表示)されていた印面枠110のサイズ(つまり、印面サイズ)に関する情報が含まれる。
図8(B)では、印面枠110のサイズが「中サイズ」であった場合を示している。ユーザーは、発注内容表示領域142に表示された発注内容情報を確認し、その内容に間違いがないかどうかを確認する。そして、その内容で印鑑の発注を行う場合には、OKボタン144をタッチ操作(例えばタップ)して、印鑑の発注に進む。
【0075】
発注手段28(制御部14)は、OKボタン144がタッチ操作されると、発注内容表示領域142に表示された発注内容情報に基づく印鑑の発注を実行に移すための発注画面(図示せず)を表示部11に表示する。発注画面には、発注者の氏名や商品(印鑑)の届け先(受取人住所、氏名など)、代金支払い方法等の発注書情報を入力する領域が表示される。ユーザー(発注者)は、その内容にしたがって必要な発注書情報を入力する。
【0076】
そして、発注書情報の入力後、発注画面上の発注ボタン(図示せず)がタッチ操作(例えばタップ)されると、発注手段28(制御部14)は、前述の発注内容情報及び発注書情報を含む印鑑発注情報を生成し、これをホストコンピュータ3A(受注側装置3)に送信する(S109)。これにより、印鑑の発注が完了する。
【0077】
この後、携帯端末2Aからの印鑑発注情報をホストコンピュータ3Aが受信すると、ホストコンピュータ3A(制御部31)は、その携帯端末2Aに対して受注確認メールを配信するとともに、
図5に示す印判受注処理(S200)を実行する。
【0078】
[印判受注処理]
図5に示すように、印判受注処理(S200)では、まず、受発注の内容を識別可能にする識別ID(識別情報)を生成する(S201)。このS201は、制御部31が前述の識別情報生成手段40(
図3(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、識別情報生成手段40(制御部31)は、受信した印鑑発注情報を解析して今回の受発注内容を特定する。この特定した受発注内容に基づいて、受注した印鑑を特定可能な製品IDや印鑑の発注者を特定可能な発注者ID等を生成する(S201)。
【0079】
次いでS202では、受注した(発注のあった)印鑑の印影イメージデータ(印影画像情報)を生成する(S202)。このS202は、制御部31が前述の印影画像情報生成手段41(
図3(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、印影画像情報生成手段41(制御部31)は、受信した印鑑発注情報を解析して印鑑の印面内容を特定し、この印面内容に対応する印影イメージデータを生成する(S202)。S202で生成する印影イメージデータは、受注した印鑑を製造することで得られる実際の印影をあらわす印影画像である。この印影イメージデータは、印鑑の製造に際しての印面作成用の版下としても利用可能なデータである。
【0080】
次いでS203では、今回の受発注内容に対応する受発注情報をデータベース3Bに登録する(S203)。このS203は、制御部31が前述の登録手段42(
図3(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、登録手段42(制御部31)は、受信した印鑑発注情報を解析して特定された今回の受発注内容を示す受発注情報を、前述のS201で生成したID及び前述のS202で生成した印影イメージデータとともに、データベース3Bに登録する(S203)。このデータベース3Bは、受注者側の事業者における印判製造部門が使用する専用端末(図示せず)からのアクセスが可能となっている。印判製造部門では、専用端末を操作して受発注情報をデータベース3Bから取得し、その情報に基づいて印鑑の製造を行う。
【0081】
次いでS204では、発注者ID及び印影イメージデータをセットにして外部の情報管理サーバー(外部装置)に送信する(S204)。このS204は、制御部31が前述の送信手段43(
図3(B)を参照)として機能することによるものである。すなわち、送信手段43(制御部31)は、前述のS201で生成したIDのうち発注者IDと、前述のS202で生成した印影イメージデータとを関連付けて(紐付けて)、外部の情報管理サーバーに送信する(S204)。
【0082】
このように発注者IDと印影イメージデータとを一対一で関連付けて外部の情報管理サーバーに送信するのは、本システム1により受発注される印鑑は、前述のように手書きサインを印面内容とすることができ、世の中に一つだけの存在となり得るからである。そして、印鑑の発注者個人(ユーザー個人)とその者が持つ印鑑とが一対一で繋がっていることをデータとして管理しておくことで、本人確認としての機能を果すことの証明となり得るからである。
【0083】
[実施例の作用効果]
以上に説明した本実施例の印判受発注システム1では、発注側装置2としての携帯端末2Aが備えるカメラ13により、印面にしたい内容(印面内容情報)を含む撮影対象(例えば手書きサインが書かれた用紙)を撮影すると、携帯端末2Aの表示部11にはプレビュー画面120が表示される。そして、当該画面におけるプレビュー表示領域122の印面枠110内に、印面内容を示すプレビュー画像が撮影結果に基づいて表示される。このとき、印面枠110内におけるプレビュー画像の表示位置や表示サイズが調整された上で、プレビュー画像が表示される。このため、ユーザー(発注者)にとっては、実際に捺印したときのイメージが掴み易くなり、発注する印鑑の印面作成(編集)の手間を省けるようになる。また、撮影をやり直す手間も省けるようになる。このように印面にしたい内容を含む撮影対象を撮影するだけで、発注する印鑑の印面内容の作成及び確認が可能となる。
【0084】
また、プレビュー画像の表示後(確認後)、携帯端末2Aの表示部11には仕様選択画面130が表示され、そこには、発注する印鑑の仕様として種々の仕様(例えば印面形状、印面色、印材等)が選択可能に表示される。このため、ユーザーにとっては、発注する印鑑の仕様の選択が容易となる。また、選択する仕様の組み合わせにより独自性の高い印鑑とすることが可能となる。特に、印面にする内容(撮影対象)を手書きサインにすることと、複数の選択肢の中から印鑑の仕様を選択することとが相俟って、より独自性の高い印鑑の受発注が可能となる。
【0085】
こうした印面内容の作成・確認及び印鑑の仕様選択並びにその結果を反映した印鑑の発注を携帯端末2Aで一貫して行うことができるので、独自性の高い印鑑の発注を一般ユーザーが手軽に行うことのできる印判受発注システムの提供が可能となる。
【0086】
さらに、本実施例の印判受発注システム1では、印鑑の仕様の選択後、携帯端末2Aの表示部11には完成イメージ表示画面が表示され、そこには発注する印鑑の完成予想に相当する完成イメージ(完成予想画像)が表示される。このため、ユーザー(発注者)にとっては、発注する印鑑の全体像を視覚的に理解することが可能となる。また、想像と異なる印鑑が出来上がってしまう事態の抑制を図ることが可能となる。
【0087】
また、本実施例の印判受発注システム1では、携帯端末2A(発注側装置2)からホストコンピュータ3A(受注側装置3)へ印鑑発注情報が送信されると、ホストコンピュータ3Aでは、その送信されてきた(受信した)印鑑発注情報に基づいて識別ID及び印影イメージデータが生成される。そして、識別IDに含まれる発注者IDと印影イメージデータとが関連付けられて、外部の情報管理サーバーに送信される。このため、本人確認としての機能を果すことの証明となり得る情報(発注者情報及び印鑑情報)の管理を外部で行うことが可能となる。例えば、本システム1により受発注を行い製造された印鑑を実印として印鑑登録する場合、その発注者ID(個人ID)及び印影イメージデータを、市区町村の役所で管理される情報管理サーバーに送信するようにすることで、役所の印鑑登録業務に対する貢献が可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施形態として実施例を説明したが、本発明は実施例と異なる他の実施形態を採ることも可能である。
【0089】
例えば、印面内容を示すプレビュー画像を生成する機能(印面内容生成手段)を、携帯端末2A(発注者側装置2)ではなく、ホストコンピュータ3A(受注者側装置3)に設けてもよい。この場合、携帯端末2Aにおける撮影画面100を通じて撮影した内容に基づく印面内容情報をホストコンピュータ3Aに送信し、その印面内容情報に基づいてホストコンピュータ3A(制御部31)がプレビュー画像を生成する。つまり、ホストコンピュータ3Aの制御部31が印面内容生成手段として機能するように構成する。そして、生成したプレビュー画像を携帯端末2Aに送信し、携帯端末2A(制御部14)がそのプレビュー画像をプレビュー画面120におけるプレビュー表示領域122上の印面枠110内に表示するように構成する。この場合のプレビュー画像の表示に際しても、前述の実施例のように位置調整やサイズ調整を行う構成とすることができる。このような構成によれば、携帯端末2Aでプレビュー画像を生成しないので、携帯端末2A(発注者側装置2)の処理負担を軽減することが可能となる。このことは、発注する印鑑の完成イメージを生成する機能(完成イメージ生成手段)についても同様である。
【0090】
また、例えば、撮影結果に基づく印面内容を示すプレビュー画像の印面枠110内への表示にあたり、プレビュー画像のサイズの調整を行わずに表示位置の調整(センタリング)だけを行う構成としてもよい。この場合、印面枠内に表示されるプレビュー画像に合わせて印面枠のサイズを調整可能とする機能(調整手段)を印判発注プログラムに含め、当該プログラムをインストールした携帯端末2Aの制御部14が調整手段として機能するように構成する。
【0091】
例えば、
図9(A)に示すように、プレビュー画面120におけるプレビュー表示領域122上の印面枠110内の略中央にプレビュー画像(「石川」の文字)が小さめに表示されたとする。この状態で表示画面の印面枠110をタッチ操作(例えばピンチイン)して、
図9(B)に示すように印面枠110の径を小さくすることで、プレビュー画像のサイズに合わせた印面枠110のサイズ調整が可能となる。また、図示は省略するが、それとは逆に、印面枠110内にプレビュー画像が大きめに表示された場合、印面枠110をタッチ操作(例えばピンチアウト)して印面枠110の径を大きくすることで、プレビュー画像のサイズに合わせた印面枠110のサイズ調整が可能となる。
【0092】
このような構成によれば、プレビュー画面(プレビュー表示領域)に表示(設定)された印面枠のサイズを、その印面枠に対するタッチ操作により調整(変更)することができるので、プレビュー画像を印面枠内にバランスよく配置するための調整が容易となる。また、プレビュー画面(プレビュー表示領域)に表示される印面枠のサイズに基づいて発注する印鑑の印面サイズが設定(決定)される構成とすることで、印面サイズの細かな調整をユーザー自らが行えるようになる。これにより、発注可能な印面サイズの選択の幅が広がる。
【0093】
なお、このような印面枠のサイズ調整は、印面枠内に表示されているプレビュー画像のサイズに応じてプログラム(ソフト)で行う構成とすることも可能である。このような構成によれば、印面枠のサイズ調整に係る手間を省けるようになる。
【0094】
また、例えば、撮影結果に基づく印面内容を示すプレビュー画像の印面枠110内への表示にあたり、プレビュー画像(印面内容とされる文字等)の傾きを調整(補正)する機能を備える構成としてもよい。この場合、例えば、印面枠内に表示されるプレビュー画像(つまり、撮影した画像)の傾きを、印面枠に設定される基準線(水平線又は垂直線)に合わせて調整(補正)可能とする機能(傾き調整手段)を印判発注プログラムに含め、当該プログラムをインストールした携帯端末2Aの制御部14が傾き調整手段として機能するように構成する。
【0095】
例えば、
図10(A)に示すように、撮影時に「石川」の文字(手書きサイン)が、印面枠110の中心を通る基準垂直線Xに対して時計回り方向へ傾いていたとする。この状態で撮影アイコン104がタッチ操作(例えばタップ)されて撮影処理を行い(S101)、その撮影結果に基づくプレビュー画像を表示する場合(S103)、基準垂直線Xに対するプレビュー画像(撮影画像)の傾き角度(傾き量)を算出し、その傾き角度に基づいてプレビュー画像を所定の回転方向(ここでは反時計回り方向)へ回転させて、プレビュー画像の上下方向(縦方向)が基準垂直線Xに沿って略垂直(基準垂直線Xと略平行)となるように、プレビュー画像を印面枠110内に配置する処理(傾き調整処理)をプログラムで実行する構成とする。この傾き調整処理後の状態を
図10(B)に示す。このような構成によっても、印面枠内にプレビュー画像がバランスよく配置されるようになるため、ユーザー(発注者)にとっては、実際に捺印したときのイメージが掴み易くなる。こうしたプレビュー画像の傾き調整は、プレビュー画像(印面内容画像)の位置調整に概念上含まれるものである。プレビュー画像の傾きを調整することで、印面枠とプレビュー画像との相対的な位置関係が変化する(調整される)からである。
【0096】
なお、プレビュー画像の傾き調整は、印面枠内に表示されているプレビュー画像のタッチ操作(例えば回転)により行う構成とすることも可能である。このような構成によれば、プレビュー画像の傾きをユーザーが任意に調整することが可能となる。
【0097】
また、例えば、前述したプレビュー画像の表示位置や表示サイズ等の調整を行わない構成としてもよい。この場合、撮影画面(撮影対象表示領域)の印面枠内に収めて撮影した内容(撮影画像)そのままがプレビュー画像として印面枠内に表示され、そのプレビュー画像により示された内容がそのまま印面となる。このような構成によれば、例えば、印面にしたい内容を含む撮影対象を撮影する際、その印面内容を印面枠に対して小さくしたり傾けたりする等、ユーザーの意思で印面バランスを自由に調整することが可能となる。これにより、より独自性の高い印鑑の受発注が可能となる。
【0098】
また、前述したプレビュー画像の表示位置や表示サイズ等の調整を行うか否かを、ユーザーが選択(設定)できる構成としてもよい。この場合、例えば、
図6(A)に示した撮影画面100の指示入力領域103における設定アイコン105がタッチ操作(例えばタップ)されることで、プレビュー画像の位置調整(傾き調整を含む)及びサイズ調整の各機能について作用させるか否か(ON/OFF)を選択するための領域が、撮影画面100上に表示される構成とする。そして、ユーザーの選択操作に基づいて選択された(ONされた)調整機能が作用する構成とする。このような構成によれば、プレビュー画像の表示にあたっての調整処理の実行可否(実行有無)をユーザーが任意に選択(設定)することができるので、印鑑(印判)の発注を行う際の利便性が向上する。
【0099】
また、例えば、印鑑の仕様(印判仕様)としての印面形状の選択に関し、撮影画面100の撮影対象表示領域102に印面枠が設定(表示)される段階(撮影段階)で、その印面枠の形状を選択できる構成としてもよい。この場合、例えば、
図6(A)に示す撮影画面100が表示されているときに、指示入力領域103の設定アイコン105がタッチ操作(例えばタップ)されることで、
図7(A)に示した形状選択領域131のような印面枠形状(つまり印面形状)を選択するための領域が、撮影画面100上に表示される構成とする。そして、ユーザーの選択操作に基づいて選択された印面枠形状に応じた印面枠が、撮影対象表示領域102に設定(表示)される構成とする。つまり、印面枠設定手段22と印判仕様選択手段25との協働により、撮影画面100の撮影対象表示領域102に印面枠が設定(表示)される構成とする。このような構成によれば、印面にしたい内容を含む撮影対象を撮影するときに、選択済の印面形状が既に印面枠として撮影画面上に表れているため、ユーザーにとっては、これから発注しようとする印鑑(印判)の捺印イメージがより掴み易いものとなる。
【0100】
また、例えば、プレビュー画面120(プレビュー表示領域120)の印面枠110内に表示されるプレビュー画像に関し、プレビュー画像の内容(印面内容)を編集可能とし、編集が行われた場合には、その編集後のプレビュー画像が表示される構成としてもよい。この場合、印面枠内に表示されるプレビュー画像を編集可能とする機能(編集手段)を印判発注プログラムに含め、当該プログラムをインストールした携帯端末2Aの制御部14が編集手段として機能するように構成する。この場合の編集は、例えば、印面内容とする文字の書体(フォント)の選択・変更等である。
【0101】
例えば、
図6(B)に示すように印面枠110内にプレビュー画像(「石川」の文字)が表示された状態で、そのプレビュー画像がタッチ操作(例えば長押し)された場合に、システム側(プログラム)で予め用意されている選択可能なフォントを表示するフォント選択領域が、プレビュー画面120上に表示される構成とする。そして、ユーザーの選択操作に基づいて何れかのフォントが選択されると、その選択されたフォントでプレビュー画像(印面文字)が印面枠110内に表示される構成とする。このような構成によれば、例えば、前述の実施例のように手書きサインを撮影してこれを印面とする場合、その手書きサインを既定フォントに変更することができるため、印面内容の編集の自由度を高めることが可能となる。また、所定の文字入力ソフトを用いて入力した文字(テキスト)を撮影してこれを印面とする場合においても、システム側の既定フォントに変更することができるため、文字入力ソフトでは表現できないユーザーの好みに合った書体の印面を得ることが可能となる。
【0102】
また、このようなフォントの選択(変更)は、撮影結果から得られた印面内容を構成する文字情報に基づいてプログラム(ソフト)で実行することも可能である。例えば、前述の実施例のように手書きサインを撮影してこれを印面とする場合、その撮影した手書きサインに最も近い既定フォントをプログラムにより選択し、その選択したフォントでプレビュー画像(印面文字)が印面枠110内に表示される構成とする。このような構成によれば、手書きサインが近似の既定フォントで表示されるようになるので、ユーザーにとっては、発注する印鑑(印判)の仕様に関する選択の幅が広がり、フォント選択の手間も省けるようになる。なお、このようなフォントの選択は、例えば、印面枠110内に表示されたプレビュー画像のタッチ操作(例えばダブルタップ)を契機に実行されるようにすることができる。
【0103】
また、本発明の印判受発注システムは、前述の実施例のような印鑑の受発注に限られず、連続気泡を有する多孔質ゴムからなる浸透印や非多孔質ゴムからなるゴム印等、様々なタイプの印判の受発注に適用可能である。また、印鑑や浸透印、ゴム印等の印判のタイプを、発注する印判の仕様(印判仕様)として選択可能としてもよい。
【0104】
また、受注側装置と発注側装置との接続はインターネットに限られず、あらゆるネットワーク(通信回線)を介して接続することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 印判受発注システム、2 発注側装置、2A 携帯端末、3 受注側装置、3A ホストコンピュータ、3B データベース、4 インターネット、10 記憶部、11 表示部、12 操作入力部、13 カメラ、14 制御部、15 通信部、16 バッテリー、20 撮影手段、21 取得手段、22 印面枠設定手段、23 印面内容生成手段、24 印面内容表示手段、25 印判仕様選択手段、26 完成イメージ生成手段、27 完成イメージ表示手段、28 発注手段、30 記憶部、31 制御部、32 通信部、40 識別情報生成手段、41 印影画像情報生成手段、42 登録手段、43 送信手段、100 撮影画面、110 印面枠、120 プレビュー画面、130 仕様選択画面、140 発注内容確認画面。