(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ロール保管容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/66 20060101AFI20231121BHJP
B65D 19/18 20060101ALI20231121BHJP
B65D 19/44 20060101ALI20231121BHJP
B65D 21/02 20060101ALN20231121BHJP
【FI】
B65D85/66
B65D19/18
B65D19/44 A
B65D21/02 410
(21)【出願番号】P 2019208597
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】小田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松原 宏明
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-313913(JP,A)
【文献】実開平02-097236(JP,U)
【文献】特開2005-225501(JP,A)
【文献】特開2002-255275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0070905(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/66
B65D 19/00-19/44
B65D 21/00-21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する開口部を有する箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられ、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、軸部と、該軸部に巻き付けられたロールとを具備するロール状物品を収容可能なロール保管容器において、
前記容器本体には、当該容器本体の上辺部から外方側に延出する本体側フランジ部が設けられ、
前記本体側フランジ部には、ロール状物品の軸部の両端部をそれぞれ支持可能な軸受部が設けられ、
前記軸受部は、上方、前記容器本体の内方側、及び、前記容器本体の外方側に開口するようにして凹状に設けられ、
前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記軸受部を前記容器本体の外方側から塞ぐ被覆部を備え
、
前記容器本体は、前記軸受部から上方に突出し、前記軸受部に支持された軸部の前記容器本体外方側への変位を規制可能なストッパー部を備えていることを特徴とするロール保管容器。
【請求項2】
上方に開口する開口部を有する箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられ、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、軸部と、該軸部に巻き付けられたロールとを具備するロール状物品を収容可能なロール保管容器において、
前記容器本体には、当該容器本体の上辺部から外方側に延出する本体側フランジ部が設けられ、
前記本体側フランジ部には、ロール状物品の軸部の両端部をそれぞれ支持可能な軸受部が設けられ、
前記軸受部は、上方、前記容器本体の内方側、及び、前記容器本体の外方側に開口するようにして凹状に設けられ、
前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記軸受部を前記容器本体の外方側から塞ぐ被覆部を備え
、
前記容器本体には、前記軸受部に連結される軸受補強リブが設けられ、
前記蓋部材には、前記被覆部に連結される被覆補強リブが設けられていることを特徴とす
るロール保管容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記軸受部から上方に突出し、前記軸受部に支持された軸部の前記容器本体外方側への変位を規制可能なストッパー部を備えていることを特徴とする請求
項2に記載のロール保管容器。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記容器本体の上辺部の全周を前記容器本体の外方側から覆う外周縁部を備え、
前記外周縁部は、前記被覆部と、前記被覆部に連結される一般部とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のロール保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロール等のロール状物品の保管等に使用されるロール保管容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部と、フィルム等を軸部に巻き付けることで構成されたロールとを具備するロール状物品を保管等する場合に、ロールを浮かせた状態で収容するロール保管容器が使用されることがある。ロール保管容器としては、例えば、上方に開口する箱状をなし、上辺部においてロール状物品の軸部の両端部をそれぞれ支持する軸受部が設けられた容器本体と、容器本体に被せられる蓋部材とを備えている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、比較的重量のあるロール状物品の容器本体への設置に際しては、ロール状物品の筒状の軸部に対しロボットアームを挿通させてロール状物品を持ち上げるような格好で行われる。そして、ロールを下部側から容器本体に挿入させ、ロール状物品の軸部を容器本体の軸受部に支持させた状態としてから、ロボットアームを軸部から抜き取る。このため、特許文献1に記載されているように、容器本体の軸受部は、容器本体の外方側に開口しているような形状とされる。さらに、特許文献1の蓋部材の下辺部には、容器本体の軸受部に支持された軸部との干渉を避けるべく、蓋部材の厚み方向に貫通し、軸部の上側部分の挿通を許容する凹部が設けられている。
【0005】
しかしながら、軸受部が容器本体の外方側に開口したり、蓋部材の下辺部に凹部が設けられたりしていることで、かかる開口部分を介して埃等の異物がロール保管容器の内部に進入してしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、異物等の進入を防止することのできるロール保管容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.上方に開口する開口部を有する箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられ、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、軸部と、該軸部に巻き付けられたロールとを具備するロール状物品を収容可能なロール保管容器において、
前記容器本体には、当該容器本体の上辺部から外方側に延出する本体側フランジ部が設けられ、
前記本体側フランジ部には、ロール状物品の軸部の両端部をそれぞれ支持可能な軸受部が設けられ、
前記軸受部は、上方、前記容器本体の内方側、及び、前記容器本体の外方側に開口するようにして凹状に設けられ、
前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記軸受部を前記容器本体の外方側から塞ぐ被覆部を備え、
前記容器本体は、前記軸受部から上方に突出し、前記軸受部に支持された軸部の前記容器本体外方側への変位を規制可能なストッパー部を備えていることを特徴とするロール保管容器。
【0009】
手段1によれば、容器本体が本体側フランジ部を備えることで、ロール状物品の軸部を本体側フランジ部の外側縁部よりもロール保管容器の内方側に収めることができる。さらに、ロール状物品を収容した容器本体に対し蓋部材を被せることで、軸受部の外方側への開口が被覆部によって覆われる。このため、ロール保管容器の内側空間が軸受部を介してロール保管容器の外方に開口してしまうといった事態を回避することができる。従って、容器本体に蓋部材を被せることで、軸受部(軸部の端部)の周辺部におけるロール保管容器の隙間を塞ぐことができ、軸受部の周辺部を介してロール保管容器の内側に異物等が進入することを防止することができる。
【0010】
尚、容器本体の軸受部が容器本体の外方側に開口していることから、ロール状物品の軸部が筒状をなし、容器本体に対するロール状物品の出し入れに際して軸部にロボットアームが挿通される場合に、軸部を軸受部に支持させた状態としてからロボットアームを軸部から抜き出したり、ロール状物品を容器本体に設置した状態のまま、軸受部に支持された状態の軸部にロボットアームを挿通させたりすることができる。
また、ロール保管容器を運搬等する場合においてロール保管容器の内側でロール状物品が位置ずれしようとした場合に、ストッパー部によってロール状物品のそれ以上の変位を防止することができる。従って、位置ずれしたロール状物品が蓋部材(被覆部)に直接衝突してしまうことを防止することができる。これにより、蓋部材における耐衝撃性に関する不安を払拭することができる。結果として、蓋部材の形状の複雑化及び大型化を抑制しつつ、蓋部材の軽量化、ひいては、蓋部材の着脱作業性の向上等を図ることができる。また、前記ロール状物品の位置ずれを軸部に対応する部分で規制することにより、ロール状物品のロール自体が容器本体の内側面に接触して損傷等してしまうといった事態を防止することができる。
尚、ロール状物品の軸部が筒状をなし、容器本体に対するロール状物品の出し入れに際して軸部にロボットアームを挿通させる場合には、ストッパー部としては、軸部の端部開口部を塞がないように構成されていることとしてもよい。この場合、容器本体に対しロボットアームを用いてロール状物品を出し入れする場合に、ロボットアームの軸部への抜き差しの作業がストッパー部によって阻害されたり、ストッパー部がロボットアームによって損傷させられたりするといった事態を抑止することができる。
【0011】
手段2.上方に開口する開口部を有する箱状の容器本体と、前記容器本体に被せられ、前記開口部を閉塞する蓋部材とを備え、軸部と、該軸部に巻き付けられたロールとを具備するロール状物品を収容可能なロール保管容器において、
前記容器本体には、当該容器本体の上辺部から外方側に延出する本体側フランジ部が設けられ、
前記本体側フランジ部には、ロール状物品の軸部の両端部をそれぞれ支持可能な軸受部が設けられ、
前記軸受部は、上方、前記容器本体の内方側、及び、前記容器本体の外方側に開口するようにして凹状に設けられ、
前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記軸受部を前記容器本体の外方側から塞ぐ被覆部を備え、
前記容器本体には、前記軸受部に連結される軸受補強リブが設けられ、
前記蓋部材には、前記被覆部に連結される被覆補強リブが設けられていることを特徴とするロール保管容器。
【0012】
手段2によれば、容器本体が本体側フランジ部を備えることで、ロール状物品の軸部を本体側フランジ部の外側縁部よりもロール保管容器の内方側に収めることができる。さらに、ロール状物品を収容した容器本体に対し蓋部材を被せることで、軸受部の外方側への開口が被覆部によって覆われる。このため、ロール保管容器の内側空間が軸受部を介してロール保管容器の外方に開口してしまうといった事態を回避することができる。従って、容器本体に蓋部材を被せることで、軸受部(軸部の端部)の周辺部におけるロール保管容器の隙間を塞ぐことができ、軸受部の周辺部を介してロール保管容器の内側に異物等が進入することを防止することができる。
尚、容器本体の軸受部が容器本体の外方側に開口していることから、ロール状物品の軸部が筒状をなし、容器本体に対するロール状物品の出し入れに際して軸部にロボットアームが挿通される場合に、軸部を軸受部に支持させた状態としてからロボットアームを軸部から抜き出したり、ロール状物品を容器本体に設置した状態のまま、軸受部に支持された状態の軸部にロボットアームを挿通させたりすることができる。
また、容器本体の軸受部の剛性、及び、強度を高めることができ、軸受部の変形や損傷等を防止することができる。さらに、蓋部材の被覆部の剛性、及び、強度を高めることができ、被覆部の変形や損傷等を防止することができる。
【0013】
手段3.前記容器本体は、前記軸受部から上方に突出し、前記軸受部に支持された軸部の前記容器本体外方側への変位を規制可能なストッパー部を備えていることを特徴とする手段2に記載のロール保管容器。
【0014】
手段3によれば、ロール保管容器を運搬等する場合においてロール保管容器の内側でロール状物品が位置ずれしようとした場合に、ストッパー部によってロール状物品のそれ以上の変位を防止することができる。従って、位置ずれしたロール状物品が蓋部材(被覆部)に直接衝突してしまうことを防止することができる。これにより、蓋部材における耐衝撃性に関する不安を払拭することができる。結果として、蓋部材の形状の複雑化及び大型化を抑制しつつ、蓋部材の軽量化、ひいては、蓋部材の着脱作業性の向上等を図ることができる。また、前記ロール状物品の位置ずれを軸部に対応する部分で規制することにより、ロール状物品のロール自体が容器本体の内側面に接触して損傷等してしまうといった事態を防止することができる。
【0015】
尚、ロール状物品の軸部が筒状をなし、容器本体に対するロール状物品の出し入れに際して軸部にロボットアームを挿通させる場合には、ストッパー部としては、軸部の端部開口部を塞がないように構成されていることとしてもよい。この場合、容器本体に対しロボットアームを用いてロール状物品を出し入れする場合に、ロボットアームの軸部への抜き差しの作業がストッパー部によって阻害されたり、ストッパー部がロボットアームによって損傷させられたりするといった事態を抑止することができる。
【0016】
手段4.前記蓋部材は、前記容器本体に被せられた場合に前記容器本体の上辺部の全周を前記容器本体の外方側から覆う外周縁部を備え、
前記外周縁部は、前記被覆部と、前記被覆部に連結される一般部とを備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のロール保管容器。
【0017】
手段4によれば、容器本体に蓋部材を被せることで、容器本体の上辺部の全周が容器本体の外周側から蓋部材によって覆われることとなる。従って、ロール保管容器の内側に異物等が進入することをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】容器本体にロール状物品を設置した状態を示す斜視図である。
【
図8】ロール保管容器の一部断面を含む斜視図である。
【
図12】ロール状物品と、キャップ部材とを示す斜視図である。
【
図13】ネスティングされた容器本体を示す斜視図である。
【
図14】ネスティングされた蓋部材を示す斜視図である。
【
図15】別の実施形態における蓋部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図4、
図8、
図12等に示すように、略円筒状の軸部8と、プラスチックフィルムを軸部8に巻き付けることで構成されたロール9とを具備するロール状物品7を収容可能なロール保管容器1は、上方に開口する開口部3を有する箱状の容器本体2と、容器本体2に被せられ、開口部3を閉塞する蓋部材4と、ロール状物品7の軸部8の両端部に装着される一対のキャップ部材5とを備えている。本実施形態の容器本体2、蓋部材4、及び、キャップ部材5は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。尚、軸部8はロール9の横幅よりも長く、軸部8の両端部がロール9の各側端面よりも側方に突出している。
【0020】
図5、
図6に示すように、容器本体2は、平面視略矩形状の底壁部11と、底壁部11の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部12と、底壁部11の相対する一対の短側辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部13とを備えている。さらに、容器本体2は、長辺側側壁部12、及び、短辺側側壁部13の上縁部から容器本体2の外方側に延出する本体側フランジ部14を備えている。
【0021】
本体側フランジ部14には、各長辺側側壁部12の横幅方向中央部に対応して、ロール状物品7の軸部8の両端部を、該軸部8に装着されたキャップ部材5を介してそれぞれ支持可能な軸受部15が設けられている。軸受部15は、上方、容器本体2の内方側、及び、容器本体2の外方側に開口するようにして凹状に設けられており、本実施形態では、断面略円弧状に構成されている。また、
図4、
図8に示すように、本実施形態では、容器本体2に対してロール状物品7の下側半分が収容されるように構成されており、軸受部15においても、キャップ部材5のうち軸受部15に支持される部位の下側半分が収容される格好となっている。
【0022】
さらに、
図5、
図6に示すように、容器本体2は、軸受部15から上方に突出し、軸受部15に支持されたキャップ部材5の容器本体2外方側への変位を規制可能なストッパー部16を備えている。ストッパー部16は、本体側フランジ部14の長辺側側壁部12からの延出幅方向の中央部よりも外方側に位置するとともに、本体側フランジ部14の外縁部よりも内方側に所定距離を隔てた位置に設けられている。また、詳しくは後述するが、ストッパー部16には、上部中央に切欠き部17が形成されており、当該切欠き部17において、軸受部15が容器本体2の外方側に開口している。
【0023】
加えて、容器本体2は、本体側フランジ部14の外側端縁から下方に延びる折返し部18と、折返し部18の下縁部から外方に突出する下受部19とを備えている。本実施形態の軸受部15の上面の最下部は、下受部19の上面よりも若干下方に位置している(
図8参照)。また、軸受部15、及び、ストッパー部16の周辺部においては、折返し部18が省略されている。その一方で、下受部19については、折返し部18が省略された部位にも連続して設けられるとともに、当該下受部19が長辺側側壁部12、又は、ストッパー部16に連結されるまで延在している(
図2参照)。さらに、
図5に示すように、折返し部18が省略された部位には、前記長辺側側壁部12に連結されるまで延在している下受部19の上面と、本体側フランジ部14の下面との間を連結する本体フランジ補強リブ21が設けられている。
【0024】
また、容器本体2には、長辺側側壁部12の外面側において、軸受部15(軸受部15を構成する軸受構成壁部)、及び、ストッパー部16のうち少なくとも一方に連結される軸受補強リブ22が設けられている。軸受補強リブ22としては、ストッパー部16の上縁部から外方に延出し、両側部が本体側フランジ部14と連結されるものと、当該ストッパー部16の上縁部に沿って設けられた軸受補強リブ22の最下部と、下受部19とにかけて略鉛直方向に延在し、ストッパー部16の外側面とも連結されるものと、ストッパー部16の上縁部に沿って設けられた軸受補強リブ22の最上部かつ軸受部15の横幅方向中央部側の部位と、本体フランジ補強リブ21と下受部19との連結部とにかけて斜めに延在し、ストッパー部16の外側面、軸受部15の外周面(軸受部15を構成する壁部のうち軸受面とは反対側の面)、及び、長辺側側壁部12の外面とも連結されるものとが設けられている。
【0025】
加えて、本体フランジ補強リブ21は、下受部19を挟んで下受部19の下方にも延在するようにして設けられている。さらに、ストッパー部16の中央部に対応して設けられた軸受補強リブ22についても、下受部19を挟んで下受部19の下方にも延在するとともに、当該軸受補強リブ22については、軸受部15の外周面(下面)にも連結されるようにして設けられている。尚、下受部19よりも上方の本体フランジ補強リブ21、及び、軸受補強リブ22に関しては、容器本体2の内外方向において外縁部が折返し部18の外面と同じ位置とされているのに対し、下受部19よりも下方の本体フランジ補強リブ21、及び、軸受補強リブ22に関しては、外縁部が下受部19の外縁部と同じ位置とされている。
【0026】
また、下受部19よりも下方に設けられた本体フランジ補強リブ21、及び、軸受補強リブ22の下縁部は、容器本体2全体の高さの略半分の位置に設けられているとともに、当該本体フランジ補強リブ21、及び、軸受補強リブ22の下縁部間を連結し、略水平方向に延在する本体補強連結リブ23が設けられている。
【0027】
加えて、
図2に示すように、折返し部18と、本体側フランジ部14と、長辺側側壁部12、又は、短辺側側壁部13との間を連結する上枠補強リブ24が複数箇所に設けられている。また、上枠補強リブ24のうち短辺側側壁部13の両側部近傍部位に設けられた上枠補強リブ24である補助リブ25は、折返し部18の下縁部よりも下方にまで延長され、下縁部が本体補強連結リブ23の下面と同じ高さ位置(或いは、当該補助リブ25の下縁部の方が若干上方位置)とされている。
【0028】
図13に示すように、本実施形態では、容器本体2同士を上下に積み重ねる(ネスティングする)ことができ、該ネスティング状態では、上側の容器本体2の本体補強連結リブ23の下面(及び、補助リブ25)が、下側の容器本体2の本体側フランジ部14の上面に当接して支持されるようになっている。
【0029】
また、ロール状物品7を収容したロール保管容器1やネスティング状態の容器本体2を運搬等する場合には、本体補強連結リブ23の下面をフォークリフトの爪部や、ロボットアームで支持して持ち上げることも可能である。さらに、本体補強連結リブ23の両端部は、本体補強連結リブ23の端部側(長辺側側壁部12の横幅方向側辺部側)に向けて上方に傾斜する傾斜面となっている。このため、容器本体2がネスティングされた状態であっても、下側の容器本体2の本体側フランジ部14と、上側の容器本体2の本体補強連結リブ23の両端部の傾斜面との間には隙間が形成される。そして、容器本体2のネスティング状態から所定数の容器本体2をフォークリフト等で持ち上げる場合に、前記隙間に対して、フォークリフトの爪部を挿入させるようにして爪部の先で本体補強連結リブ23の傾斜面を略水平方向に押圧することで、上側の容器本体2を上方に変位させて、下側の容器本体2の本体側フランジ部14と、上側の容器本体2の本体補強連結リブ23との間に爪部を挿通させることができる。従って、段積み状態にある容器本体2から所定数の容器本体2を取出す(段バラシする)際の作業性の向上が図られる。
【0030】
図1、
図7に示すように、蓋部材4は、蓋部材4の上面を構成し、断面が上方に凸となる略円弧状(アーチ状)をなす天板部31と、天板部31の一対の下縁部からそれぞれ下方に延びる延長板部32と、一対の延長板部32の側辺部、及び、天板部31の側辺部の間を連結する側板部33とを備えている。本実施形態では、延長板部32の横幅が容器本体2の短辺側側壁部13の横幅と対応し、側板部33の横幅が長辺側側壁部12の横幅に対応している。さらに、蓋部材4は、容器本体2よりも薄肉に構成されている。本実施形態では、容器本体2の肉厚が5mmであるのに対し、蓋部材4の肉厚が3.5mmとなっている。
【0031】
また、蓋部材4は、当該蓋部材4の上面に手の一部を当てて指を掛けられる範囲において持ち手部34を備えている。より具体的に説明すると、
図1、
図3に示すように、一対の側板部33の間において、互いに所定距離を隔てて4箇所に天板部31から上方に突出する蓋突部35が設けられている。
図8に示すように、蓋突部35は、天板部31の対象部位を上方に膨出させるようにして形成され、下方に開口する断面略逆U字状をなし、
図1、
図7に示すように、天板部31の一方の下縁部から他方の下縁部にかけて連続して設けられている。本実施形態では、前記4つの蓋突部35のうち、天板部31の両側部に沿って設けられ、側板部33と連続する一対の蓋突部35(特に、天板部31の上端部側の部位)により持ち手部34が構成されている。
【0032】
さらに、蓋部材4は、延長板部32、及び、側板部33の下縁部から外方側に延出する蓋側フランジ部36と、蓋側フランジ部36の先端縁から下方に延出する外周縁部37とを備えている。蓋部材4を容器本体2に被せることで、蓋側フランジ部36が本体側フランジ部14の上面に当接して支持されるようになっている。
【0033】
また、蓋部材4を容器本体2に被せることで、容器本体2の本体側フランジ部14の全周が外周縁部37によって容器本体2の外方側から覆われるようになっている(
図1、
図4、
図8参照)。特に、
図8に示すように、本実施形態の外周縁部37は、蓋部材4が容器本体2に被せられた場合に軸受部15を容器本体2の外方側から塞ぐ被覆部38を備えており、外周縁部37のその他の部位である一般部39(
図1参照)は、下縁部の位置が被覆部38の下縁部の位置と揃えられている上、被覆部38と連結されている。
【0034】
加えて、
図1、
図8に示すように、外周縁部37の下縁部から外方側に若干量突出する下縁突部41が設けられている。蓋部材4を容器本体2に被せることで、蓋部材4の外周縁部37の下縁部、及び、下縁突部41が、容器本体2の下受部19の上面に当接、又は、近接するようになっている。これにより、外周縁部37の下縁部と、折返し部18との間の隙間が、下受部19によって下方から覆われるような格好となる。さらに、蓋部材4を容器本体2に被せた状態においては、下縁突部41によっても下受部19の上方が覆われ、下受部19のうち上方に露出する部位(埃等が載り易い部位)が極力少なくなるようになっている(完全になくす設計としてもよい)。
【0035】
また、本実施形態では、上記のように、容器本体2には、ロール状物品7の下側半分が収容されるようになっており、ロール状物品7の上側半分については、蓋部材4に収容されるようになっている。このため、
図8等に示すように、容器本体2、及び、蓋部材4は同じような上下幅(本例では、外周縁部37の上下幅程度だけ蓋部材4の方が、上下幅が長い)となっている。
【0036】
また、
図7、
図8に示すように、蓋部材4には、キャップ部材5のうち容器本体2の軸受部15に支持される部位の上側半分を収容する軸許容部42が設けられている。つまり、軸許容部42は、蓋側フランジ部36のうち各側板部33の横幅方向中央部に対応する位置において、下方、及び、蓋部材4の内方側に開口するようにして凹状に設けられており、本実施形態では、断面略円弧状に構成されている。
【0037】
さらに、軸許容部42は、被覆部38と連続する閉塞部43により蓋部材4の外方側が閉塞されている。
図8に示すように、閉塞部43は、被覆部38と同じ厚み、かつ、側板部33の厚み方向において被覆部38と同じ位置にあり(被覆部38を上方に延長したような構成であり)、蓋部材4を容器本体2に被せた状態において、閉塞部43は、ストッパー部16よりも容器本体2の外方側に位置する。
【0038】
また、
図1に示すように、蓋部材4には、側板部33の外面側において、容器本体2の本体フランジ補強リブ21と対応する位置において、外周縁部37の外面から外方に突出し、上下方向に延在する蓋フランジ補強リブ44が設けられている。当該蓋フランジ補強リブ44は、蓋部材4を容器本体2に被せた場合に、下端部の位置が、下受部19よりも下方に位置する本体フランジ補強リブ21の上端部の位置とほぼ一致するようにして設けられている。さらに、本実施形態では、蓋フランジ補強リブ44として、蓋側フランジ部36に沿って外周縁部37よりも外方に突出するものも設けられており、当該左右方向に延びる蓋フランジ補強リブ44は、上下方向に延びる蓋フランジ補強リブ44と連結されている。加えて、蓋フランジ補強リブ44の外周縁部37の外面からの突出長は、下縁突部41の突出長と同じとなっている。
【0039】
さらに、蓋フランジ補強リブ44のうち側板部33の両側部側に位置する蓋フランジ補強リブ44については、蓋側フランジ部36よりも上方にまで延長されるとともに、側板部33の外面と連結されている。加えて、蓋側フランジ部36よりも上方にまで延長された一対の蓋フランジ補強リブ44の上縁部は、軸許容部42の外周面の上端部と同じ高さとなっている。また、一対の蓋フランジ補強リブ44の上縁部と、軸許容部42の外周面の上端部との間を連結する蓋補強連結リブ45が設けられている。
【0040】
図14に示すように、本実施形態では、蓋部材4同士を上下に積み重ねる(ネスティングする)ことができ、該ネスティング状態では、上側の蓋部材4の外周縁部37の下縁部、及び、下縁突部41の下面が、下側の蓋部材4の蓋補強連結リブ45の上面に当接して支持されるようになっている。尚、延長板部32と、側板部33との境界部には、延長板部32、及び、側板部33の下端部を含む範囲において、蓋部材4の外方側に膨出するコーナー突部46が設けられている。蓋部材4のネスティング状態では、下側の蓋部材4のコーナー突部46の上部が、上側の蓋部材4のコーナー突部46の内側空間に挿入されるようになっており、蓋部材4のネスティング状態の安定化を図りつつ、コーナー突部46が設けられない構成(下側の蓋部材4の延長板部32、及び、側板部33と、上側の蓋部材4の延長板部32、及び、側板部33の内側面との間に隙間がほとんど形成されない構成)に比べ、ネスティング状態とする際、及び、解消する際の作業性の向上が図られる。
【0041】
また、
図1に示すように、蓋部材4には、側板部33の外面側において、被覆部38(被覆部38を構成する被覆構成壁部)、及び、閉塞部43のうち少なくとも一方に連結される被覆補強リブ47が設けられている。被覆補強リブ47としては、被覆部38の外周縁、及び、閉塞部43の外周縁に沿って蓋部材4の外方側に突出するものと、被覆部38及び閉塞部43の横幅方向中央部を通り、蓋部材4を容器本体2に被せた場合に、下端部の位置が、下受部19よりも下方に位置する軸受補強リブ22の上端部の位置とほぼ一致するようにして設けられているものと、蓋側フランジ部36に沿って左右方向に延びるものとがある。加えて、被覆補強リブ47の外周縁部37の外面からの突出長は、下縁突部41の突出長と同じとなっている。
【0042】
図9、
図11、
図12に示すように、キャップ部材5は、機能的観点においては、軸受部15に支持される支持部51と、軸部8に挿入される挿入部52とを備えている。また、キャップ部材5は、その構成上、略円筒状のキャップ本体53と、支持部51に対応する範囲おいてキャップ本体53の外周を囲むようにして設けられる外周壁部54と、外周壁部54とキャップ本体53との間を連結する支持連結リブ55とを備えている。
【0043】
本実施形態の外周壁部54は略円筒状をなし、基本的に、どの位置においてもキャップ本体53との間の距離が一定となっている。また、本実施形態の支持連結リブ55としては、キャップ本体53の長手方向に沿って延び、キャップ本体53の周方向において所定間隔毎に複数設けられるもの(
図9参照)と、外周壁部54の挿入部52側の端縁と、キャップ本体53との間を連結するもの(
図11参照)とがある。
【0044】
図8に示すように、キャップ部材5を装着したロール状物品7を容器本体2に設置した場合、ロール状物品7のロール9は、容器本体2の底面(底壁部11の上面)よりも上方に離間して配置される。つまり、ロール9は、軸部8、及び、キャップ部材5を介して軸受部15により宙吊り状態とされる。
【0045】
また、
図5に示すように、本実施形態の容器本体2の軸受部15は、外周壁部54の外周形状に合わせた断面円弧状をなしている。さらに、ストッパー部16には、上部中央においてキャップ本体53の内径に対応した半円状(或いはそれよりも若干大きい半円状)の切欠き部17が設けられており、ストッパー部16としては、正面視で上方に開口する略円弧状をなしている。そして、
図4に示すように、キャップ部材5を軸受部15に設置した場合には、支持部51におけるキャップ本体53の端部開口の下側半分がストッパー部16の切欠き部17と一致し、キャップ本体53の端部開口がストッパー部16によって塞がれないようになっている。
【0046】
尚、容器本体2に対しロール状物品7を設置する場合には、キャップ部材5が装着されたロール状物品7の軸部8に対し、キャップ部材5を介して、ロボットアームを挿通させ、ロール状物品7を持ち上げる。ロボットアームの軸部8への挿通部位の外形状は略円柱状となっている。続いて、一対のキャップ部材5をそれぞれ軸受部15に支持させるようにして、ロール状物品7を容器本体2に設置する。このとき、ロボットアームは、ストッパー部16において形成され、軸受部15を容器本体2の外方側に開口させる切欠き部17に挿入されることで、キャップ部材5の支持部51を軸受部15に当接させるまでロール状物品7を変位させることが許容される。その後、ロボットアームを軸部8の長手方向に沿って容器本体2の外方側に変位させることで、ロボットアームが軸部8、及び、キャップ部材5から抜き取られることとなる。
【0047】
また、キャップ部材5を装着したロール状物品7を容器本体2に設置した状態において、ロール9が一方の長辺側側壁部12に近付く方向に相対変位した場合、ロール9と長辺側側壁部12とが当接する前に、キャップ部材5がストッパー部16と当接し、それ以上の変位が規制されるようになっている。さらに、一方のキャップ部材5がストッパー部16と当接した状態とされても、他方のキャップ部材5が軸受部15に安定的に支持される(脱落等しない)ようになっている。
【0048】
また、キャップ部材5を装着したロール状物品7を容器本体2に設置した場合、一方のキャップ部材5が最大限軸部8に挿入されるとともにストッパー部16に当接し、かつ、他方のキャップ部材5が軸部8から抜け出す方向に最大限変位したとしても、他方のキャップ部材5の挿入部52は、軸部8に対してロール9の側端面よりもロール9の横幅方向中央部側にまで挿入された状態が維持されるようになっている。
【0049】
さらに、
図11等に示すように、キャップ部材5の支持部51側の端面と、支持部51(外周壁部54)の外周面との境界部が面取り形状とされている。尚、
図6等に示すように、容器本体2のストッパー部16の上縁部(ストッパー部16と、ストッパー部16の上縁部に沿って設けられた軸受補強リブ22との境界部)についても面取り形状(R形状)となっている。
【0050】
加えて、
図11に示すように、外周壁部54の挿入部52側の端縁と、キャップ本体53との間を連結する支持連結リブ55のうち挿入部52側の面のキャップ本体53との連結部位が断面略円弧状に切り欠いたような形状とされている。これにより、該支持連結リブ55と、キャップ本体53との境界部がR形状となり、該境界部における破損が抑止され、また、R形状部分が支持連結リブ55の挿入部52側の面よりも挿入部52側に突出することが回避され、支持部51(支持連結リブ55)が軸部8に当接した状態となるまで挿入部52を軸部8に挿入させることができる。尚、R形状部分が設けられた支持連結リブ55のキャップ本体53との連結部位は、挿入部52側が切欠かれている分、支持部51側に肉厚を増すように構成されている。
【0051】
また、
図9、
図10に示すように、キャップ本体53のうち挿入部52に対応する部位の外周側の形状は、キャップ本体53の周方向において断面略円弧状の突形状部56を8つ連続させたような形状(略花弁形状)とされており、さらに、突形状部56は、第1突形状部56aと、第1突形状部56aよりも外周側への突出長が短い第2突形状部56bとが交互に配置されている。本実施形態では、4つの第1突形状部56aの突出方向先端部を通る仮想円の直径と、軸部8の内径とが同じとなるように構成されている。
【0052】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器本体2が本体側フランジ部14を備えることで、ロール状物品7の軸部8を本体側フランジ部14の外側縁部よりもロール保管容器1の内方側に収めることができる。さらに、ロール状物品7を収容した容器本体2に対し蓋部材4を被せることで、軸受部15の容器本体2の外方側への開口が被覆部38によって覆われる。このため、ロール保管容器1の内側空間が軸受部15を介してロール保管容器1の外方に開口してしまうといった事態を回避することができる。従って、容器本体2に蓋部材4を被せることで、軸受部15(軸部8の端部)の周辺部におけるロール保管容器1の隙間を塞ぐことができ、軸受部15の周辺部を介してロール保管容器1の内側に異物等が進入することを防止することができる。
【0053】
また、容器本体2は、軸受部15から上方に突出し、軸受部15に支持されたキャップ部材5、及び、軸部8の容器本体2外方側への変位を規制可能なストッパー部16を備えている。このため、ロール保管容器1を運搬等する場合においてロール保管容器1の内側でロール状物品7が位置ずれしようとした場合に、ストッパー部16によってロール状物品7のそれ以上の変位を防止することができる。従って、位置ずれしたロール状物品7が蓋部材4(被覆部38)に直接衝突してしまうことを防止することができる。これにより、蓋部材4における耐衝撃性に関する不安を払拭することができる。結果として、蓋部材4の形状の複雑化及び大型化を抑制しつつ、蓋部材4の軽量化、ひいては、蓋部材4の着脱作業性の向上等を図ることができる。また、ロール状物品7の位置ずれをストッパー部16、及び、軸部8に対応する部分で規制することにより、ロール状物品7のロール9自体が容器本体2(長辺側側壁部12)の内側面に接触して損傷等してしまうといった事態を防止することができる。
【0054】
尚、ストッパー部16には切欠き部17が設けられており、軸受部15に設置(支持)されたキャップ部材5のキャップ本体53の端部開口は、該切欠き部17を介して、容器本体2の外方側に露出するようになっている。このため、ロボットアームを用いて容器本体2に対するロール状物品7の出し入れを行う場合に、軸部8に装着されたキャップ部材5を軸受部15に支持させた状態としてからロボットアームを軸部8から抜き出したり、ロール状物品7を容器本体2に設置した状態のまま、軸受部15に支持された状態のキャップ部材5、及び、軸部8にロボットアームを挿通させたりすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態の蓋部材4は、容器本体2に被せられた場合に容器本体2の上辺部の全周に設けられた本体側フランジ部14、及び、折返し部18を容器本体2の外方側から覆う外周縁部37を備えている。また、被覆部38は外周縁部37の一部であって、外周縁部37のその他の部位である一般部39は、被覆部38と連結されている。当該構成により、容器本体2に蓋部材4を被せることで、容器本体2の上辺部の全周が容器本体2の外周側から蓋部材4によって覆われることとなる。従って、ロール保管容器1の内側に異物等が進入することをより確実に防止することができる。
【0056】
加えて、容器本体2には、軸受部15、及び、ストッパー部16のうち少なくとも一方に連結される軸受補強リブ22が設けられている。このため、容器本体2の軸受部15、及び、ストッパー部16の剛性、及び、強度を高めることができ、軸受部15、及び、ストッパー部16の変形や損傷等を防止することができる。また、軸受補強リブ22の両側方位置には、本体フランジ補強リブ21が設けられ、さらに、本実施形態では、軸受補強リブ22、及び、本体フランジ補強リブ21が容器本体2の高さ方向において下受部19の上方の範囲だけでなく、下受部19の下方の範囲にも設けられている(軸受部15の下端部よりも下方にも延在して設けられている)。これにより、軸受部15が設けられた長辺側側壁部12の剛性等が高められ、長辺側側壁部12の変形を抑止することができる。従って、例えば、ロール状物品7がストッパー部16に衝突した際に容器本体2の長辺側側壁部12が外方側に変形し、相対する一対の長辺側側壁部12間の距離が広がることで、ロール状物品7の軸部8(キャップ部材5)が軸受部15から脱落してしまうといった事態を防止することができる。結果として、ロール状物品7をより安定して保管することができる。
【0057】
さらに、蓋部材4には、被覆部38、及び、閉塞部43のうち少なくとも一方に連結される被覆補強リブ47が設けられている。このため、蓋部材4の被覆部38、及び、閉塞部43の剛性、及び、強度を高めることができ、被覆部38、及び、閉塞部43の変形や損傷等を防止することができる。
【0058】
また、本実施形態の蓋部材4は、当該蓋部材4の上面に手の一部を当てて指を掛けられる範囲において持ち手部34を備えている。このように、蓋部材4の上部に持ち手部34が設けられることで、容器本体2に対して蓋部材4を着脱する作業に際し、蓋部材4の下部にまで手を伸ばして手を掛けなくても済み、作業性の向上等を図ることができる。特に、蓋部材4によってロール状物品7の上側半分程度を収容する場合等、蓋部材4の上下の幅(高さ)が比較的長くなる場合には、蓋部材4の着脱作業性の向上を図るといった作用効果がより顕著に奏される。本実施形態では、蓋部材4を取外す際に、蓋部材4の上部に手を掛ける場合には、蓋部材4の下部に手を掛ける場合に比べ、腰を屈めたり膝を曲げたりする等の作業者の姿勢変化が緩和される。従って、蓋部材4の着脱作業を無理なく比較的スムースに行うことが可能となる。
【0059】
さらに、蓋部材4は、容器本体2よりも薄肉に構成されている。このため、蓋部材4の軽量化を図ることができ、結果として、蓋部材4の着脱作業性の向上等を図ることができる。
【0060】
加えて、蓋部材4の上面を構成する天板部31はアーチ状に構成されている。このため、ロール状物品7を確実に収容しつつ、例えば、蓋部材4を四角箱形に構成する場合に比べ、蓋部材4の軽量化等を図ることができる。また、蓋部材4に別の物品を載せ難くすることができ、別の物品が載せられることで蓋部材4が変形したり、破損したりすることを抑止することができる。結果として、蓋部材4において別の物品が載せられることを想定した強度を確保しなくても済み、蓋部材4のより一層の軽量化等を図ることができる。
【0061】
また、持ち手部34は天板部31の両端部を上方に突出させることで構成されている。このため、比較的簡単な構造で持ち手部34を形成することができる。さらに、持ち手部34が天板部31の両端部に設けられることから、持ち手部34を掴む手の指先を蓋部材4の上面よりも下方に逃がしたり、該指先を蓋部材4の側面に圧接させたりすることができる。従って、持ち手部34の上方への突出長を抑制しつつ、蓋部材4を持ち易くすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、ロール状物品7の軸部8の両端部に樹脂製のキャップ部材5が装着され、ロール状物品7がキャップ部材5を介して容器本体2(軸受部15)に支持されることとなる。これにより、軸部8のうちキャップ部材5の挿入部52が挿入された部位の補強を図ることができ、該部位の変形等を抑止することができる。さらに、キャップ部材5(挿入部52)は、軸部8のうちロール9が巻き付けられて変形が抑止されているとも言える部位(ロール9の側端面よりもロールの横幅方向中央部側の部位)にまで挿入されている。このため、例えば、軸部8のうちロール9の側端面よりも外方に突出した部位にのみキャップ部材5が挿入される場合のように、キャップ部材5を装着したロール状物品7を容器本体2に設置した場合に、軸部8のうちロール9の側端面よりも外方に突出した部位が湾曲等してしまうといった事態を抑止することができる。従って、キャップ部材5を用いてロール状物品7を安定して支持する(宙吊りにする)ことができ、結果として、ロール状物品7の収容状態の安定化を図ることができる。
【0063】
加えて、キャップ部材5は、ロール9に直接当接するのではなく、軸部8を介してロール9を支持する構成であり、キャップ部材5が直接ロール9に圧接してロール9が変形等してしまうといった事態をも防止することができる。
【0064】
また、キャップ部材5の支持部51は、キャップ本体53と、キャップ本体53の外周を囲むようにして設けられる外周壁部54とを具備する2層構造とされ、さらに、外周壁部54とキャップ本体53との間が支持連結リブ55で連結されている。これにより、支持部51の強度及び剛性を高めることができる。また、外周壁部54が設けられることにより、例えば、キャップ本体53が軸受部15に支持される場合に比べ、軸受部15に支持されるキャップ部材5の面積を増やすことができる。結果として、キャップ部材5を用いてロール状物品7をより安定して支持することができる。加えて、キャップ本体53の外周側に外周壁部54が設けられることで、キャップ部材5の全体が軸部8に挿入されてしまうといった事態を防止することができる。
【0065】
また、キャップ部材5の支持部51側の端面と、支持部51の外周面との境界部が面取り形状とされている。さらに、容器本体2のストッパー部16の上縁部(ストッパー部16と、ストッパー部16の上縁部に沿って設けられた軸受補強リブ22との境界部)は、容器本体2が面取り形状となっている。
【0066】
このため、キャップ部材5を装着したロール状物品7を容器本体2に設置する際に、容器本体2に対するロール状物品7の位置が少しずれる等して、支持部51の外周面と、キャップ部材5の端面との境界部が、容器本体2のストッパー部16の上辺部に当接したとしても、当該境界部の面取り形状によって、キャップ部材5が円滑に軸受部15側に案内され、比較的スムースにキャップ部材5を軸受部15に設置することができる。また、前記境界部において、比較的削れたり損傷したりし易い角部が省略されることにより、削れることで形成される異物がロール9に付着することを防止しつつ、キャップ部材5の耐久性を向上させることができる。
【0067】
さらに、ストッパー部16が設けられていることにより、キャップ部材5が軸受部15から外方に脱落してしまうといった事態を防止することができる。特に、キャップ部材5が装着されたロール状物品7を、ロボットアームを用いて容器本体2に設置した後、ロボットアームを軸部8から抜き取る際に、ロボットアームがキャップ部材5に引っ掛かってキャップ部材5が脱落するといった事態を確実に回避することができる。また、例えば、容器本体2に設置されているロール状物品7を取出す際に、比較的長尺状のロボットアームを軸部の一端部側から他端部側にかけて挿通させる場合には、他端部側に装着されているキャップ部材5がロボットアームに押し出されて脱落するといった事態を確実に回避することができる。
【0068】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0069】
(a)上記実施形態では、軸受部15が断面略円弧状をなしているが、例えば、断面上方に開口するコ字状(軸受面が平坦面)、略V字状等としてもよい。但し、軸受部15と、キャップ部材5(支持部51)との接触面積を極力広く確保するべく、軸受部15の断面形状と、キャップ部材5の支持部51の外周面の断面形状とが同様の形状をなしていることが望ましい。
【0070】
また、上記実施形態では、軸受部15に対してキャップ部材5の支持部51の下側半分が収容されるように構成されているが、軸受部15の深さについても特に限定されるものではなく、例えば、軸受部15に設置されたキャップ部材5の支持部51の高さ方向の全体が本体側フランジ部14よりも下方に位置するように構成してもよい。但し、蓋部材4の外周縁部37(被覆部38)の上下幅が長くなり過ぎて蓋部材4を着脱し難くなったり、外周縁部37の強度低下を招いたりすることを回避するべく、蓋部材4側でもキャップ部材5の上側を収容可能に構成することが望ましい。
【0071】
さらに、ストッパー部16の切欠き部17の形状についても特に限定されるものではないが、切欠き部17を形成することによって、軸受部15に支持された軸部8に対してロボットアームの挿入が許容されること、さらには、ストッパー部16がロボットアームの挿入を阻害しない形状とされることが望ましい。尚、ストッパー部16を省略することも可能である。
【0072】
(b)上記実施形態では、軸受補強リブ22は、容器本体2の高さ方向において下受部19の上方の範囲だけでなく、下受部19の下方の範囲にも設けられているが、軸受補強リブ22の位置や数等は特に限定されるものではなく、例えば、軸受部15(軸受部15を構成する軸受構成壁部の軸受面とは反対側の面)に連結される軸受補強リブ22を1つ設けるだけでもよい。但し、ストッパー部16が設けられる場合には、ストッパー部16に連結される軸受補強リブ22についても設けられることが望ましい。
【0073】
また、上記実施形態において、蓋部材4の被覆補強リブ47の位置や数等についても特に限定されるものではなく、例えば、被覆部38(被覆部38を構成する被覆構成壁部)に連結される被覆補強リブ47を1つ設けるだけでもよい。
【0074】
(c)
図15に示すように、上記実施形態の蓋突部35により構成される持ち手部34に加えて、又は、代えて、蓋部材4の側面に持ち手部34を構成する凹部61を設けることとしてもよい。この場合、蓋部材4の持ち易さの向上を図ることができる。また、蓋部材4の側面から突出する部位を設ける場合のように、該突出部位が損傷し易くなったり、該突出部位が蓋部材4のネスティングを阻害したりしてしまうといった事態を回避することができる。尚、蓋突部35を省略して凹部61を設ける場合においても、凹部61に人差し指、中指、薬指等を掛けるとともに、蓋部材4の上面に親指の付け根の辺りを当てることで、蓋部材4をしっかりと握ることができる。また、凹部61の断面形状は特に限定されるものではなく、断面コ字状、断面フ字状、断面円弧状等適宜変更可能である。
【0075】
(d)上記実施形態では、蓋部材4において、容器本体2の上辺部の全周を容器本体2の外周側から覆う外周縁部37が設けられているが、外周縁部37の形成範囲等は特に限定されるものではなく、例えば、容器本体2の上辺部の周方向において外周縁部37の一部を省略してもよい。
【0076】
また、蓋突部35の幅や数や形状は適宜変更可能である。但し、蓋部材4の上面側に埃等が堆積しないような形状とされることが望ましい。さらに、蓋部材4を四角箱状に構成することも可能であるが、ロール状物品7の形状に応じて断面円弧状とすることで、軽量化等を図ることができる。加えて、蓋突部35の形成範囲を持ち手部34に対応する範囲のみとすることも可能であるが、天板部31の強度を高め、持ち手部34に手を掛けて持ち上げられた場合の天板部31の変形等を抑止するべく、持ち手部34を構成する蓋突部35以外の蓋突部35を設けたり、蓋突部35を天板部31の下縁部、或いは、その近傍にまで延在させたりすることが望ましい。尚、持ち手部34を省略することも可能である。
【0077】
また、上記実施形態では、蓋部材4の肉厚が容器本体2の肉厚よりも薄く構成されているが、一部、又は、全部が容器本体2の肉厚と同じとなるように構成してもよい。さらに、持ち手部34の表面(該当の蓋突部35の上端部付近)に対して摩擦力を高めるような加工(凹凸加工がテープの貼着等)を行うこととしてもよい。加えて、蓋突部35の裏面側に蓋突部35の構成壁部間を連結する補強リブを設けることとしてもよい。
【0078】
(e)上記実施形態では、キャップ部材5の外周壁部54は、キャップ本体53の長手方向におけるどの位置でも同じ径となるように構成されているが、外周壁部54のうち挿入部52側の部位から支持部51の端部側に向けて次第に径が大きくなるテーパ状に構成してもよい。但し、キャップ部材5の支持部51と、軸受部15とが面で当接可能とするべく、外周壁部54が傾斜していれば、軸受部15も同様に傾斜していることが望ましい。
【0079】
また、外周壁部54及び支持連結リブ55に代えて、キャップ本体53の外周面から外方に突出する突部(例えば、キャップ本体53の長手方向中間位置の外周面から外方に突出する円環状の突部)を設けることで、キャップ部材5の全体が軸部8に挿入されてしまうといった事態を防止することとしてもよい。さらに、支持部51において(外周壁部54に対向する)キャップ本体53及び支持連結リブ55を省略することも可能である。但し、支持部51の強度の確保、及び、支持部51を軸受部15に設置した場合の安定感等を鑑みると、上記実施形態のように、支持部51は、キャップ本体53と外周壁部54とを具備する2層構造とすることが望ましい。
【0080】
(f)上記実施形態では、容器本体2、蓋部材4、及び、キャップ部材5はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、プラスチックフィルムにより構成されたロール9を具備するロール状物品7がロール保管容器1に収容されているが、ロール保管容器1に収容されるロール状物品のロールの種類等については特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。さらに、上記実施形態では、ロール状物品7の軸部8は紙製となっているが、別の素材(例えば、樹脂、金属等)で構成されてもよい。ここで、軸部8にキャップ部材5を装着する構成とし、キャップ部材5の素材(硬さ)を容器本体2の素材(硬さ)と合わせることで、容器本体2とは異素材の軸部を直接容器本体2の軸受部15に設置する場合に比べ、ロール状物品7の出し入れ作業等に際し、軸部8と容器本体2とが接触して硬くない方が損傷する(削れる)といった事態を防止することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、ロール状物品7がキャップ部材5を介して容器本体2(軸受部15)に支持される構成とされているが、キャップ部材5を省略し、軸部8を直接軸受部15に設置するように構成してもよい。加えて、上記実施形態のロール状物品7の軸部8は円筒状をなしているが、円柱状や四角筒状等の別の形状としてもよい。但し、軽量化等により軸部8は筒状とされることが考えられ、その場合には、上記実施形態のようなキャップ部材5を使用することができる。ここで、キャップ部材5の挿入部52は、軸部8に対応した形状とされることが望ましい。つまり、キャップ部材を用いることで、軸部の形状と、軸受部の形状とが対応していなくても、軸部を軸受部に対し好適に支持させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1…ロール保管容器、2…容器本体、4…蓋部材、5…キャップ部材、7…ロール状物品、8…軸部、9…ロール、12…長辺側側壁部、14…本体側フランジ部、15…軸受部、16…ストッパー部、17…切欠き部、22…軸受補強リブ、31…天板部、34…持ち手部、35…蓋突部、37…外周縁部、38…被覆部、47…被覆補強リブ、51…支持部、52…挿入部、53…キャップ本体、54…外周壁部、55…支持連結リブ。