(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】収納容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20231121BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/86 400
(21)【出願番号】P 2020125290
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】半井 誠也
(72)【発明者】
【氏名】小川 統
(72)【発明者】
【氏名】冨永 公徳
(72)【発明者】
【氏名】大堀 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石澤 忠彦
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/031142(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/097832(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0144974(KR,A)
【文献】特開2010-027861(JP,A)
【文献】特開2006-324327(JP,A)
【文献】特開2020-017649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体成形用の金型に機能樹脂部材をインサートし、金型に樹脂含有の成形材料を充填して機能樹脂部材と成形材料とを一体化することにより、複数枚の基板を複数の支持片を用いて整列収納可能なフロントオープンボックスの容器本体を成形する収納容器の製造方法であって、
機能樹脂部材は、容器本体の壁の肉厚と同等以上の肉厚を有する厚肉部と、この厚肉部の全周縁から突出して容器本体の壁に挟んで接合される細い板形のリブと、このリブに形成されてリブの突出方向に交わる方向に突出する膨出部分
と、リブに形成される複数の成形材料流通孔とを含み、基板の周縁部側方を支持可能な複数の支持片を並べ備えた側壁板と、容器本体の後部を形成して収納された基板を視認可能とする窓板の少なくともいずれかとされることを特徴とする収納容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の基板等を収納、搬送、保管する場合に使用される収納容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における収納容器は、図示しないが、複数枚の半導体ウェーハを収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面に弾性のシールガスケットを介して嵌合される着脱自在の蓋体とを備え、複数枚の半導体ウェーハを安全に収納、搬送、保管するFOUPとして機能する(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
半導体ウェーハは、φ300mmのシリコンウェーハからなり、必要に応じ、高温に加熱される。また、容器本体は、所定の樹脂を含有した成形材料によりフロントオープンボックスに成形され、両側壁の内面に、半導体ウェーハを水平に支持する左右一対の支持片が対設されるとともに、この左右一対の支持片が上下方向に所定の間隔をおいて配列されており、各支持片が半導体ウェーハの周縁部側方を支持する。さらに、蓋体は、正面略矩形に形成され、容器本体の背面壁に対向する裏面に、半導体ウェーハの周縁部前方を弾性片で保持するフロントリテーナが装着されている。
【0004】
ところで、容器本体の側壁や支持片の表面は、半導体ウェーハの周縁部に摺接されて損傷することがあるので、損傷の発生を防止するため、耐摩耗性や摺動性に優れることが望ましい。この要求に鑑み、耐摩耗性や摺動性に優れる成形材料により容器本体の支持片付きの両側壁をそれぞれ一次側のインサート部品として成形し、この一次側のインサート部品である両側壁を容器本体成形用の金型にそれぞれインサートした後、金型に容器本体用の樹脂を充填して両側壁と樹脂とを一体化することで二次側の容器本体をインサート成形する方法が開発され、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開W02009/107254号公報
【文献】国際公開W02019/031142号公報
【文献】国際公開W02006/120866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、容器本体をインサート成形する方法の場合、容器本体の側壁や支持片に優れた耐摩耗性や摺動性を付与することができるものの、インサート部品である支持片付きの側壁の形状によっては、インサート成形された容器本体の強度やリーク性が低下するおそれがある。例えば、支持片付きの側壁の周縁部が単なる平坦面のときには、この周縁部の平坦面と溶融した容器本体用の樹脂とが充分に一体化せずに分離し、インサート成形された容器本体の側壁の強度やリーク性が低下するという問題が生じる。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、成形される容器本体の強度や気密性を向上させることのできる収納容器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、容器本体成形用の金型に機能樹脂部材をインサートし、金型に樹脂含有の成形材料を充填して機能樹脂部材と成形材料とを一体化することにより、複数枚の基板を複数の支持片を用いて整列収納可能なフロントオープンボックスの容器本体を成形する収納容器の製造方法であって、
機能樹脂部材は、容器本体の壁の肉厚と同等以上の肉厚を有する厚肉部と、この厚肉部の全周縁から突出して容器本体の壁に挟んで接合される細い板形のリブと、このリブに形成されてリブの突出方向に交わる方向に突出する膨出部分と、リブに形成される複数の成形材料流通孔とを含み、基板の周縁部側方を支持可能な複数の支持片を並べ備えた側壁板と、容器本体の後部を形成して収納された基板を視認可能とする窓板の少なくともいずれかとされることを特徴としている。
【0009】
なお、成形材料の樹脂を熱可塑性樹脂とし、機能樹脂部材を、耐熱性に優れる樹脂により成形することができる。
機能樹脂部材の耐熱性に優れる樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びシクロオレフィンポリマー樹脂の少なくともいずれかとすることができる。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における成形材料には、樹脂の他、各種のフィラーが必要に応じて含有される。この成形材料の樹脂と機能樹脂部材の樹脂とは、相溶性が良くても良いし、悪くても良い。また、機能樹脂部材をインサートするインサート成形には、二色成形(多色成形、異材質成形ともいう)が含まれる。容器本体は、FOUPやFOSB等のフロントオープンボックスが良い。この中空の容器本体の壁は、容器本体の周壁、例えば容器本体の背面壁、側壁等があげられる。
【0015】
機能樹脂部材の樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びシクロオレフィンポリマー樹脂が主ではあるが、特に限定されるものではなく、容器本体の構造や用途等に応じて様々な樹脂を選択し、容器本体の強度や気密性を向上させるようにしても良い。
【0016】
側壁板の複数の支持片は、溝を挟んで配列することができる。また、機能樹脂部材のリブは、例えば断面略I字形、略L字形、略T字形、略茸形、略十字形、略矢印形等に形成することができる。このリブは、容器本体の壁に挟まれるが、この挟まれる状態には、容器本体の壁に噛み合う状態、差し込まれる状態、嵌め込まれる状態が含まれる。さらに、基板には、少なくともφ300mmやφ450mmの半導体ウェーハ、ガラス基板、マスク基板、液晶ガラス、レチクル等が含まれる。
【0017】
本発明によれば、容器本体のインサート成形時に容器本体の壁の平坦面と機能樹脂部材の平坦面とを単に突き合わせて接合するのではなく、容器本体の壁と機能樹脂部材のリブ及び膨出部分とを機械的に挟んだ結合状態に接合するので、容器本体の壁と機能樹脂部材のリブ及び膨出部分との接触面積が拡大する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、機能樹脂部材のリブ及び膨出部分を容器本体の壁に挟んで接合するので、成形される容器本体の強度や気密性を向上させることができるという効果がある。また、収納容器が複数枚の基板を整列収納可能なフロントオープンボックスの容器本体なので、複数枚の基板を並べて安全に収納したり、保管することができる。また、機能樹脂部材の厚肉部の周縁からリブが突出するので、容器本体の壁がリブを挟んで接合するのが容易となる。このリブは、厚肉部の全周縁から細い板形に突出するので、容器本体の壁との挟持や嵌挿が容易になる。また、リブに、リブの突出方向に交わる方向に突出する膨出部分を形成するので、容器本体の壁に挟まれた機能樹脂部材のリブが容器本体の壁から外れにくくなる。
【0019】
また、容器本体をインサート成形するので、例え異なる成形材料同士でも容易に一体化し、容器本体と機能樹脂部材との接合強度や容器本体の耐久性を向上させることができる。また、容器本体の壁と機能樹脂部材とを締結具で締結する作業を省略することができるので、容器本体の製造工程を削減したり、機能樹脂部材の位置精度を向上させることができる。また、機能樹脂部材を、基板の周縁部側方を支持可能な複数の支持片を並べ備えた側壁板とした場合、容器本体の側壁における側壁板周縁部付近の機械的強度や気密性の低下を防ぐことが可能となる。さらに、機能樹脂部材を、容器本体の後部を形成して収納された基板を視認可能とする窓板とした場合、容器本体の背面壁における窓板周縁部付近の機械的強度や気密性の低下を防ぐことが可能となる。
【0020】
さらにまた、複数の成形材料流通孔に容器本体の成形材料が流通した状態で固化するので、容器本体の壁と機能樹脂部材とが強固に接合し、機能樹脂部材周縁付近の機械的強度や気密性の低下防止を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す表面側面図である。
【
図2】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す背面図である。
【
図4】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す正面図である。
【
図5】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す平面図である。
【
図6】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す底面図である。
【
図7】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における側壁板を模式的に示す裏面側面図である。
【
図8】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における容器本体を模式的に示す断面平面図である。
【
図10】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における容器本体を模式的に示す斜視説明図である。
【
図11】本発明に係る
収納容器の製造方法の実施形態における容器本体を模式的に示す側面説明図である。
【
図12】本発明に係る
収納容器の製造方法の第2の実施形態における側壁板を模式的に示す表面側面図である。
【
図13】本発明に係る
収納容器の製造方法の第2の実施形態における側壁板を模式的に示す斜視図である。
【
図14】本発明に係る
収納容器の製造方法の第2の実施形態における容器本体を模式的に示す断面平面図である。
【
図16】本発明に係る
収納容器の製造方法の第3の実施形態における側壁板を模式的に示す斜視図である。
【
図17】本発明に係る
収納容器の製造方法の第3の実施形態における容器本体を模式的に示す断面平面図である。
【
図19】本発明に係る
収納容器の製造方法の第4の実施形態における側壁板の薄肉接合部を模式的に示す部分斜視説明図である。
【
図20】本発明に係る
収納容器の製造方法の第5の実施形態における側壁板の薄肉接合部を模式的に示す部分斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における収納容器は、
図1ないし
図11に示すように、所定の樹脂含有の成形材料によりインサート成形された容器本体1のインサート部品を機能樹脂部材としたFOUPであり、この機能樹脂部材を、容器本体1の周壁2の一部、具体的には側壁11の一部を形成して半導体ウェーハの支持機能を発揮する側壁板20とし、この側壁板20の薄肉接合部22を機械的に接合するようにしている。
【0025】
容器本体1は、
図8、
図10、
図11に示すように、所定の樹脂含有の成形材料により複数枚の半導体ウェーハを整列収納可能なフロントオープンボックスにインサート成形され、開口した正面8に施錠機構内蔵の蓋体が枠形のシールガスケットを介し着脱自在に嵌合される。この容器本体1の成形材料における所定の樹脂としては、例えばポリカーボネート(PC)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂、シクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等があげられる。
【0026】
係る容器本体1の成形材料には、上記樹脂の他、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー等からなる導電物質やアニオン、カチオン、非イオン系等の各種帯電防止剤が必要に応じて添加される。また、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキザリックアシッドアニリド系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が添加されたり、剛性を向上させるガラス繊維等も選択的に添加される。
【0027】
半導体ウェーハは、図示しないが、例えばφ300mmの薄く脆い高品質のシリコンウェーハからなり、容器本体1の内部に収納され、かつ上下方向に25枚が所定の間隔で整列する。この半導体ウェーハの周縁部は、周面が角張った直線に形成されることもあるが、周面が面取りされた丸いR形やC形、ラウンド形等に形成されるのが一般的である。また、半導体ウェーハは、製造工程の必要性に応じ、高温に加熱される。
【0028】
蓋体は、図示しないが、複数の部品の組み合わせにより施錠機構を内蔵した正面略矩形に形成され、容器本体1の背面壁10に対向する裏面の中央部に、半導体ウェーハの周縁部前方を横長の弾性片で保持する縦長のフロントリテーナが装着される。この蓋体や施錠機構は、容器本体1の成形材料と略同様の成形材料により成形される。
【0029】
容器本体1の底板3の前部両側には
図8や
図10に示すように、濾過用のフィルタ4がそれぞれ装着され、この左右一対のフィルタ4が容器本体1の内外圧力を均一化するよう機能する。また、容器本体1の底板3の下面には、樹脂製のボトムプレート5が複数の締結具により水平に装着され、このボトムプレート5の前部両側と後部中央とには、加工装置等に対する位置決め用の位置決め具が配列形成されており、ボトムプレート5の後端部には、容器本体1の背面壁10下部に対向するRFタグ等が選択的に立設される。
【0030】
容器本体1の天井板6の略中央部には
図10や
図11に示すように、平面矩形のロボティックフランジ7がオプションとして着脱自在に装着され、このロボティックフランジ7が図示しない工場の天井搬送機構に把持される。また、容器本体1の正面8は、
図8、
図10、
図11に示すように、容器本体1の周壁2から段差部を介し幅方向外側に屈曲して張り出し形成され、段差部の平坦な肩面が蓋体のシールガスケット用のシール形成面を区画する。容器本体1の正面内周部の上下両側には、蓋体の施錠機構の施錠爪に係止される施錠穴9がそれぞれ凹み形成され、各施錠穴9が平面矩形に形成される。
【0031】
容器本体1のやや湾曲した背面壁10の中央部付近には、収納された複数枚の半導体ウェーハを外部から視認可能とする透明縦長の視認窓が選択的に形成される。また、背面壁10の内面には、非常時に半導体ウェーハの周縁部後方に干渉可能な複数のリアリテーナが選択的に配列形成される。
【0032】
容器本体1の両側壁11の大部分は機能樹脂部材である側壁板20により形成され、両側壁11の残部は固化した容器本体1の成形材料により形成される。この容器本体1の両側壁11の内面には
図8、
図10、
図11に示すように、半導体ウェーハを水平に支持する左右一対の支持片12が対設され、この左右一対の支持片12が容器本体1の上下方向に所定の間隔をおいて配列されており、上下に隣接する支持片12と支持片12との間には、断面略U字形のU字溝13が形成される。各支持片12は、前後方向に伸びる細長い略水平の板に形成され、半導体ウェーハの周縁部側方を支持する。
【0033】
容器本体1の両側壁11の外面には同図に示すように、握持用の操作ハンドル板14がオプションとしてそれぞれ着脱自在に装着される。両側壁11の外面下部には、操作ハンドル板14の下方に位置する搬送用のサイドレールがそれぞれ必要に応じ、着脱自在に装着され、各サイドレールが容器本体1の前後方向に水平に指向する。
【0034】
各側壁板20は、
図1ないし
図11に示すように、容器本体1の側壁11残部の肉厚と同等以上の肉厚を有する厚肉部21と、この厚肉部21の周縁に形成されて容器本体1の周壁2に挟持して接合される薄肉接合部22とを備え、容器本体1の側壁11の前後以外の大部分を形成する。この側壁板20は、容器本体1の成形材料の熱可塑性樹脂よりも耐摩耗性、摺動性、耐熱性等に優れる樹脂が求められる場合には、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等により屈曲板に成形される。
【0035】
また、側壁板20は、耐熱性、耐衝撃性、耐候性、寸法安定性、透明性等に優れる樹脂が求められる場合には、例えばポリカーボネート樹脂等により屈曲板に成形される。また、耐熱性、透明性、精密成形性等に優れる樹脂が求められる場合には、例えばシクロオレフィンポリマー(COP)樹脂等により屈曲板に成形される。
【0036】
側壁板20の厚肉部21は、容器本体1の側壁11の内外面に凹凸が生じないよう、容器本体1の側壁11残部の肉厚と同等の肉厚、又は側壁11残部の肉厚よりも厚い肉厚を有する縦長の板に形成されて後部が容器本体1の内方向に屈曲し、内面(表面)の上下方向に複数の支持片12が所定の間隔をおいて配列されており、上下に隣接する支持片12と支持片12との間に、前後方向に伸びるU字溝13が挟んだ状態に形成される。
【0037】
厚肉部21の厚さは、容器本体1の側壁11残部の肉厚と同等でも良いが、樹脂の冷却後の収縮を考慮すると、容器本体1の側壁11残部の肉厚よりも0.05mm以上、好ましくは0.1mm程度厚く形成されると良い。厚肉部21の内外面のうち、少なくとも内面は、半導体ウェーハの適切な位置決めや収納の観点から、容器本体1のインサート成形時に容器本体1の側壁11残部の内面と面一に揃えて整合される。
【0038】
薄肉接合部22は、
図9に示すように、側壁板20の厚肉部21の周縁から外方向に突出するリブ23と、このリブ23の先端に形成されて少なくともリブ23の突出方向に直交する方向(
図9の左右方向)に突出する膨出部分24とを備えた断面略茸形に形成され、厚肉部21と容器本体1の周壁2、具体的には容器本体1の底板3、天井板6、側壁11残部との境界を形成する。
【0039】
リブ23は、
図9に示すように、容器本体1の周壁2との挟持や嵌挿が容易、かつ確実になるよう、厚肉部21の全周縁から細い板形に突出し、厚肉部21をエンドレスに包囲する。また、膨出部分24は、断面略V字形等でも良いが、容器本体1の底板3側部、天井板6側部、側壁11残部から外れにくくしたり、良好な成形性や締結力を確保する観点からすると、エンドレスのアンダー形状に形成されることが好ましい。具体的には、丸みを帯びた断面略菱形や略円形に形成される。このような薄肉接合部22は、相対向する側壁板20の厚肉部21と容器本体1の周壁2とを板はぎ法(建築分野の接合法)、具体的には、板はぎ法の蟻継ぎ法を利用して接合するよう機能する。
【0040】
上記構成において、収納容器の容器本体1を製造する場合には、先ず、機能樹脂部材である一次側の側壁板20を射出成形し、型開きした容器本体1成形用の金型に一対の側壁板20をそれぞれインサートして型締めし、この型締めした金型に可塑化した成形材料を射出充填して一対の側壁板20と溶融した成形材料とを一体化することにより二次側の容器本体1をインサート成形する。
【0041】
この際、金型に射出充填された成形材料は、射出充填の完了により流動を停止し、金型に熱を奪われることで冷却固化して容器本体1の大部分の周壁2を形成し、この容器本体1の周壁2の各側壁板20に対向する対向部(底板3側部、天井板6側部、側壁11残部)が断面略U字形に変形して各側壁板20の薄肉接合部22を収縮して挟持することにより、容器本体1の大部分の周壁2と側壁板20とが強固に接合されて一体化する(
図9参照)。この接合により、容器本体1の両側壁11がそれぞれ完全に形成され、容器本体1の周壁2が完全な形態となる。
【0042】
二次側の容器本体1をインサート成形したら、成形材料の樹脂が充分な剛性を有するまで容器本体1を放置・冷却し、その後、金型を型開きして容器本体1を突き出し機構により脱型すれば、収納容器の容器本体1をインサート成形により製造することができる。
【0043】
上記構成によれば、容器本体1をインサート成形する場合に、容器本体1の大部分の周壁2と支持片12付きの側壁板20との平坦面同士を単に突き合わせて接合するのではなく、容器本体1の大部分の周壁2と側壁板20の薄肉接合部22とを噛み合わせて接合し、これらの接触面積を拡大する。したがって、容器本体1の側壁11における側壁板20周縁部付近の機械的強度やリーク性の低下を排除し、容器本体1の周壁2と側壁板20との分離を防ぐことができる。
【0044】
また、容器本体1の両側壁11や支持片12に優れた耐摩耗性、摺動性を付与することができるので、半導体ウェーハのラウンド形の周縁部との摺接に伴う容器本体1の両側壁11や支持片12表面の損傷防止を図ることができ、加えて、パーティクルの発生防止も期待できる。さらに、側壁板20の樹脂を選別すれば、容器本体1の両側壁11や支持片12に優れた耐熱性を付与することができるので、例え半導体ウェーハが高温に加熱されていたとしても、半導体ウェーハに接触する支持片12の変形や溶解の防止が期待できる。例えば、側壁板20の樹脂として、ポリカーボネート樹脂を選択すれば、容器本体1の両側壁11や支持片12に優れた耐熱性、耐衝撃性、耐候性、寸法安定性、透明性等を付与することができる。
【0045】
次に、
図12ないし
図15は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、側壁板20の薄肉接合部22を変更し、容器本体1の成形材料との接触面積を拡大するようにしている。
本実施形態における薄肉接合部22は、
図15に示すように、側壁板20の厚肉部21の周縁から外方向に突出するリブ23と、このリブ23の中間部の両面に形成されてリブ23の突出方向に直交する方向に突出する複数の膨出リブ24Aとを備えた断面略十字形に形成され、厚肉部21と容器本体1の周壁2、具体的には容器本体1の底板3、天井板6、側壁11残部との境界を形成する。
【0046】
リブ23は、厚肉部21の全周縁から細い板形に突出し、厚肉部21をエンドレスに包囲する。また、複数の膨出リブ24Aは、リブ23の長手方向に所定の間隔で配列され、各膨出リブ24Aが丸みを帯びた断面略リブ形に形成されており、容器本体1の周壁2の各側壁板20に対向する対向部に被包されながら挟持される。この膨出リブ24Aの肉厚は、リブ23の肉厚よりも厚く、厚肉部21の肉厚と略同程度とされる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0047】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、膨出リブ24Aが厚肉で容器本体1の周壁2に複雑に挟持されて抜けにくいので、薄肉接合部22の強度を向上させたり、側壁板20周縁部付近の機械的強度を向上させることができるのは明らかである。
【0048】
次に、
図16ないし
図18は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合にも、側壁板20の薄肉接合部22を変更するようにしている。
本実施形態における薄肉接合部22は、
図18に示すように、側壁板20の厚肉部21の周縁から外方向に突出するリブ23と、このリブ23に穿孔されて容器本体1の成形材料を流通させる複数の成形材料流通孔25とを備え、厚肉部21と容器本体1の周壁2、具体的には容器本体1の底板3、天井板6、側壁11残部との境界を形成する。
【0049】
リブ23は、厚肉部21の全周縁から細い板形に突出し、厚肉部21をエンドレスに包囲する。また、複数の成形材料流通孔25は、リブ23の長手方向に所定の間隔で穿孔され、各成形材料流通孔25が円形又は矩形に形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、複数の成形材料流通孔25に容器本体1の成形材料がそれぞれ流通した状態で固化するので、容器本体1と側壁板20との一体度が向上し、側壁板20周縁部付近の機械的強度やリーク性の低下防止が大いに期待できるのは明らかである。
【0050】
次に、
図19は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、上記実施形態を組み合わせて側壁板20の薄肉接合部22を形成するようにしている。
本実施形態における薄肉接合部22は、側壁板20の厚肉部21の周縁から外方向に突出するエンドレスのリブ23Aと、このリブ23Aの中間部両面に形成されてリブ23Aの突出方向に直交する方向に突出する複数の膨出リブ24Aと、リブ23Aに穿孔されて容器本体1の成形材料を流通させる複数の成形材料流通孔25とを備え、厚肉部21と容器本体1の周壁2、具体的には容器本体1の底板3、天井板6、側壁11残部との境界を形成する。
【0051】
リブ23Aは、厚肉部21の全周縁から細い板形に突出するが、上記実施形態のリブ23よりも拡張されて長く突出する。また、複数の膨出リブ24Aと成形材料流通孔25とは、リブ23Aの長手方向に交互に配列される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0052】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、膨出リブ24Aが厚肉で容器本体1の周壁2に複雑に挟持されて抜けにくく、しかも、成形材料流通孔25に容器本体1の成形材料が流通した状態で固化するので、容器本体1と側壁板20との一体度がさらに向上し、側壁板20周縁部付近の機械的強度やリーク性の低下防止を図ることができる。
【0053】
次に、
図20は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、薄肉接合部22の膨出リブ24Aの構造と配列を変更するようにしている。
本実施形態における薄肉接合部22は、側壁板20の厚肉部21の周縁から外方向に突出するエンドレスのリブ23Aと、このリブ23Aの中間部両面に形成されてリブ23Aの突出方向に直交する方向に突出する多数の膨出リブ24Aと、リブ23Aに穿孔されて容器本体1の成形材料を流通させる多数の成形材料流通孔25とを備え、厚肉部21と容器本体1の周壁2、具体的には容器本体1の底板3、天井板6、側壁11残部との境界を形成する。
【0054】
リブ23Aは、厚肉部21の全周縁から細い板形に突出するが、上記実施形態のリブ23よりも拡張されて長く突出する。また、多数の膨出リブ24Aは、リブ23Aの中間部両面に別々に形成され、千鳥形に配列される。具体的には、リブ23Aの中間部における一方の面に所定のピッチで配列形成される複数の膨出リブ24Aと、リブ23Aの中間部における他方の面に所定のピッチで配列形成される複数の膨出リブ24Aとがリブ23Aの長手方向にずれて配列され、各膨出リブ24Aが上記実施形態の膨出リブ24Aよりも小型に形成される。
【0055】
多数の成形材料流通孔25は、多数の膨出リブ24Aと交互に配列される。各成形材料流通孔25は、必要に応じ、上記実施形態の成形材料流通孔25よりも小径の丸孔に穿孔される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0056】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、多数の膨出リブ24Aが千鳥配列なので、容器本体1と側壁板20の薄肉接合部22との接触面積の拡大により、一体度がさらに向上し、側壁板20周縁部付近の機械的強度やリーク性の低下防止が大いに期待できる。
【0057】
なお、上記実施形態における容器本体1の底板3の後部に、外部から内部に窒素ガス等のパージガスを供給する複数の給気バルブを装着し、底板3の前部両側には、パージガスの供給に伴い、内部から外部にエアを排気する複数の排気バルブを装着しても良い。また、上記実施形態では機能樹脂部材を側壁板20としたが、何らこれに限定されるものではない。
【0058】
例えば、機能樹脂部材を、容器本体1の背面壁10の大部分を形成する透明縦長の窓板とし、この窓板により視認窓を形成し、容器本体1に収納された複数枚の半導体ウェーハを視認するようにしても良い。この場合、容器本体1を製造するときには、機能樹脂部材である略長方形の窓板を射出成形し、型開きした容器本体1成形用の金型に一次側の窓板をインサートして型締めし、この型締めした金型に可塑化した成形材料を射出充填して窓板周縁の薄肉接合部22と溶融した成形材料とを一体化すれば、二次側の容器本体1をインサート成形により製造して上記効果とおおよそ同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、側壁板20の成形用樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリカーボネート樹脂の組み合わせでも良いし、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とシクロオレフィンポリマー樹脂の組み合わせでも良い。また、上記実施形態では側壁板20の上下に隣接する支持片12と支持片12との間にU字溝13を挟んで形成したが、U字溝13の代わりにV溝を挟んで形成しても良い。
【0060】
また、各支持片12は、断面略I字形でも良いし、断面略楔形等でも良い。また、必要に応じ、側壁板20の厚肉部21の一部の周縁に薄肉接合部22を形成することができる。また、薄肉接合部22のリブ23Aと膨出リブ24Aの少なくともいずれかに必要数の成形材料流通孔25を穿孔することが可能である。さらに、薄肉接合部22の膨出部分24は、断面略楕円形、略半楕円形、略半円形等とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る収納容器の製造方法は、半導体ウェーハ等の基板を収納する収納容器の製造分野で使用される。
【符号の説明】
【0062】
1 容器本体
2 周壁(壁)
3 底板
6 天井板
8 正面
10 背面壁(壁)
11 側壁(壁)
12 支持片
13 U字溝
20 側壁板(機能樹脂部材)
21 厚肉部
22 薄肉接合部
23 リブ
23A リブ
24 膨出部分
24A 膨出リブ(膨出部分)
25 成形材料流通孔