(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/04 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
B65D21/04
(21)【出願番号】P 2020135051
(22)【出願日】2020-08-07
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】中井 英嗣
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-137479(JP,A)
【文献】実公昭42-015649(JP,Y1)
【文献】特開2001-278276(JP,A)
【文献】特開平09-048437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0083638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部のうち相対する一対の側辺部からそれぞれ上方に延出する第1側壁部と、前記一対の第1側壁部の一側部間を連結するようにして、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出する第2側壁部と、前記一対の第1側壁部の他側部間を連結するようにして、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出し、前記第2側壁部と対向する第3側壁部とを備える容器において、
前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する上フランジ部と、
前記各第1側壁部、及び、前記第3側壁部からそれぞれ前記容器の外方側に突出する支持部と、
前記各第1側壁部の所定部位を前記容器の外方側に膨出させることでその内面側に設けられ、前記容器の内方側に開口するとともに、前記上フランジ部を切り欠くようにして上方にも開口する受容部とを備え、
前記第2側壁部に対応しては前記支持部が設けられず、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の一方には前記受容部が設けられる構成であって、
前記容器同士が積み重ねられる形態として、上側の前記容器と、下側の前記容器との相対的な向きを変えることで、上側の前記容器の前記支持部の下面側が、下側の前記容器の前記上フランジ部の上面に当接して支持されるスタッキング形態と、上側の前記容器の前記支持部が、下側の前記容器の前記受容部に収容されるネスティング形態とに形態変化可能に構成され、
前記上フランジ部のうち前記第2側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第2対応部と、前記上フランジ部のうち前記第3側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第3対応部とのうち、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない一方の突出長が、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持する他方の突出長よりも短く構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記容器同士を同じ向きで積み重ねることで前記ネスティング形態とされ、下側の前記容器に対して上側の前記容器を180度旋回させて積み重ねることで前記スタッキング形態とされる構成であり、
前記各第1側壁部に対応する前記支持部として、第1支持部、及び、第2支持部が設けられ、前記第2支持部は前記第2側壁部寄りの位置に設けられ、前記第1支持部は前記第2支持部よりも前記第1側壁部の横幅方向中央部に近い位置に設けられ、
前記各第1側壁部に対応する前記受容部として、第1受容部、及び、第2受容部が設けられ、
前記第1受容部は、前記容器の周方向における前記第1支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第1支持部を収容し、
前記第2受容部は、前記容器の周方向における前記第2支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第2支持部を収容し、
前記一対の第1側壁部のうち、一方に設けられた前記第1支持部、及び、前記第2支持部と、他方に設けられた前記第1支持部、及び、前記第2支持部とは、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の横幅方向中央部を通る仮想直線を中心として互いに線対称位置に設けられ、
前記第2支持部の下部の横幅は、前記第1支持部の下部の横幅よりも広く構成され、
前記支持部のうち前記第3側壁部に対応して設けられる第3支持部は、前記各第1側壁部寄りの位置に少なくとも一対で設けられ、
前記第3側壁部に対応して前記受容部としての第3受容部が設けられ、
前記第3受容部は、前記容器の周方向における前記第3支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第3支持部を収容し、
前記第2側壁部には前記受容部が設けられない構成であって、
前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない前記第3対応部の突出長が、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記第3支持部を支持する前記第2対応部の突出長よりも短く構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記上フランジ部から上方に突出し、前記スタッキング形態とされた場合に上側の前記容器の前記支持部の側面と当接、又は、近接し、上側の前記容器が、下側の前記容器に対して、下側の前記容器の前記第2対応部、及び、前記第3対応部のうち、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない一方側に相対変位することを規制するストッパが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器を前記スタッキング形態とする際に、前記第1側壁部の横幅方向において上側の前記容器を下側の前記容器に対して下側の前記容器の前記第2側壁部側に位置をずらして載置した状態から上側の前記容器を前記第1側壁部の横幅方向に沿って下側の前記容器の前記第3側壁部側にスライドさせて前記スタッキング形態とするスライドスタッキングが可能な構成であり、
前記上フランジ部のうち前記各第1側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第1対応部には、前記第1側壁部の横幅方向に沿って延在し、前記スライドスタッキングに際して上側の前記容器の前記支持部を案内する凹状の案内部が設けられ、
前記ストッパは、前記案内部のうち前記第3側壁部側に位置する端面から連続して上方に延び、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部の側面に当接、又は、近接する規制面と、前記第1側壁部の横幅方向において前記規制面とは反対側の面であって、上方に向けて前記規制面側に傾斜して延びる傾斜面とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記上フランジ部から下方に所定距離を隔てた位置において前記上フランジ部と平行に延在する補助フランジ部を備え、
前記ネスティング形態とされた場合に、下側の前記容器の前記ストッパと、上側の前記容器の前記補助フランジ部との間に隙間を形成する浮かせ部を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用される容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延びる側壁部とを備える容器として、物品を収容した状態で容器同士を積み重ねる(スタッキング形態とする)ことが可能な上、上側の容器を下側の容器の内側に対してスタッキング時よりも深く挿入させるようにして積み重ねる(ネスティング形態とする)ことが可能に構成されたものが知られている。つまり、容器は、側壁部から容器の外方側に突出する支持部と、容器をネスティング形態とする場合に、上側の容器の支持部を収容する受容部とを備え、容器同士を上下に配置し、上側の容器の支持部と、下側の容器の受容部との位置を合わせるようにして、容器同士を積み重ねることで、容器がネスティングされる。その一方で、容器同士を上下に配置し、上側の容器の支持部と、下側の容器の受容部との位置が合わない相対配置として、容器同士を積み重ねることで、上側の容器の支持部が、下側の容器の上辺部(側壁部の上縁部から容器の外方側に突出する上フランジ部)に当接して支持され、容器がスタッキング形態とされるようになっている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スタッキング形態とすることが可能な容器は、スタッキング形態において上側の容器の支持部を安定して支持するために、上フランジ部の突出長を比較的長く構成している。しかしながら、上フランジ部の突出長を長くすることで、容器の外寸(容器を平面視した場合に最も外方側に位置する上フランジ部の外端縁で測る寸法)と、容器の内寸(側壁部の内面で測る寸法)との差が大きくなってしまう。これにより、例えば、容器の外寸が予め定められている(外寸を所定の規格に適合させる)場合には、内寸(容器の外寸に対する内寸の比率、有効内寸)が小さくなってしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、スタッキング形態の安定化を図りつつ、有効内寸の拡張を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.平面視略矩形状の底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部のうち相対する一対の側辺部からそれぞれ上方に延出する第1側壁部と、前記一対の第1側壁部の一側部間を連結するようにして、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出する第2側壁部と、前記一対の第1側壁部の他側部間を連結するようにして、前記底壁構成部の側辺部から上方に延出し、前記第2側壁部と対向する第3側壁部とを備える容器において、
前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する上フランジ部と、
前記各第1側壁部、及び、前記第3側壁部からそれぞれ前記容器の外方側に突出する支持部と、
前記各第1側壁部の所定部位を前記容器の外方側に膨出させることでその内面側に設けられ、前記容器の内方側に開口するとともに、前記上フランジ部を切り欠くようにして上方にも開口する受容部とを備え、
前記第2側壁部に対応しては前記支持部が設けられず、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の一方には前記受容部が設けられる構成であって、
前記容器同士が積み重ねられる形態として、上側の前記容器と、下側の前記容器との相対的な向きを変えることで、上側の前記容器の前記支持部の下面側が、下側の前記容器の前記上フランジ部の上面に当接して支持されるスタッキング形態と、上側の前記容器の前記支持部が、下側の前記容器の前記受容部に収容されるネスティング形態とに形態変化可能に構成され、
前記上フランジ部のうち前記第2側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第2対応部と、前記上フランジ部のうち前記第3側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第3対応部とのうち、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない一方の突出長が、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持する他方の突出長よりも短く構成されていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、第2側壁部に支持部を設けないことで、スタッキング形態において下側の容器に上側の容器の支持部を支持しない壁部(第2側壁部、又は、第3側壁部)を設けることができる。当該壁部に対応しては、上側の容器の支持部を直接的に安定して支持する機能を具備する必要がなく、当該壁部の上縁部から突出する上フランジ部の突出長を比較的短くすることができる。このように、スタッキング形態において上側の容器の支持部を支持しない壁部(第2側壁部、又は、第3側壁部)の上縁部から突出する上フランジ部(第2対応部、又は、第3対応部)の突出長を短くすることで、容器の外寸(容器を平面視した場合に最も外方側に位置する上フランジ部の外端縁で測る寸法、最大外寸)を小さくすることができ、容器の外寸と、容器の内寸(側壁部の内面で測る寸法、開口寸法)との差についても小さくすることができる。これにより、容器の外寸が予め定められている(容器を自由に大きくするわけにはいかない)場合に、内寸(容器の外寸に対する内寸の比率、有効内寸)を極力大きくすることができる。その一方で、第2対応部、及び、第3対応部のうち、スタッキング形態において上側の容器の支持部を支持する方に関しては、突出長が確保されることで、上側の容器の支持部を比較的安定して支持することができる。従って、容器のスタッキング形態の安定化を図りつつ、容器の有効内寸の拡張、ひいては、容器の容量の拡張を図ることができる。
【0009】
尚、「前記第2対応部と、前記第3対応部とのうち、前記一方の突出長が、前記他方、及び、前記上フランジ部のうち前記第1側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第1対応部の突出長よりも短く構成されていること」としてもよい。この場合、容器のスタッキング形態の安定化を図るといった作用効果がより確実に奏される。
【0010】
手段2.前記容器同士を同じ向きで積み重ねることで前記ネスティング形態とされ、下側の前記容器に対して上側の前記容器を180度旋回させて積み重ねることで前記スタッキング形態とされる構成であり、
前記各第1側壁部に対応する前記支持部として、第1支持部、及び、第2支持部が設けられ、前記第2支持部は前記第2側壁部寄りの位置に設けられ、前記第1支持部は前記第2支持部よりも前記第1側壁部の横幅方向中央部に近い位置に設けられ、
前記各第1側壁部に対応する前記受容部として、第1受容部、及び、第2受容部が設けられ、
前記第1受容部は、前記容器の周方向における前記第1支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第1支持部を収容し、
前記第2受容部は、前記容器の周方向における前記第2支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第2支持部を収容し、
前記一対の第1側壁部のうち、一方に設けられた前記第1支持部、及び、前記第2支持部と、他方に設けられた前記第1支持部、及び、前記第2支持部とは、前記第2側壁部、及び、前記第3側壁部の横幅方向中央部を通る仮想直線を中心として互いに線対称位置に設けられ、
前記第2支持部の下部の横幅は、前記第1支持部の下部の横幅よりも広く構成され、
前記支持部のうち前記第3側壁部に対応して設けられる第3支持部は、前記各第1側壁部寄りの位置に少なくとも一対で設けられ、
前記第3側壁部に対応して前記受容部としての第3受容部が設けられ、
前記第3受容部は、前記容器の周方向における前記第3支持部と同じ位置の前記容器の内面側に設けられ、前記ネスティング形態において上側の前記容器の前記第3支持部を収容し、
前記第2側壁部には前記受容部が設けられない構成であって、
前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない前記第3対応部の突出長が、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記第3支持部を支持する前記第2対応部の突出長よりも短く構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0011】
手段2によれば、支持部と、受容部とが、容器の周方向において同じ位置に設けられていることから、受容部を設けるために側壁部を容器の外方側に膨出させた膨出部についても、ネスティング形態において受容部に収容することが可能となる。これにより、例えば、受容部を底壁構成部の上面又はその近傍にまで形成し、膨出部の下面側の部位を含む膨出部の外側部位により支持部を構成しても、ネスティング形態において受容部に対し、支持部のみならず、膨出部を収容させることが可能となる。従って、支持部と、受容部とが、容器の周方向において異なる位置に設けられる構成(容器同士を同じ向きで積み重ねることでスタッキング形態とされ、下側の容器に対して上側の容器を180度旋回させて積み重ねることでネスティング形態とされる構成;側壁部において膨出部を底壁構成部の近傍にまで形成してしまうと、当該膨出部によりネスティングが阻害される)に比べ、ネスティングされた容器の高さを極力低くする(ネスティング効率を高める)ことができ、運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。
【0012】
また、第1側壁部に対応して第1支持部、及び、第2支持部が設けられ、第2支持部は、第2側壁部寄りの位置に設けられ、かつ、比較的幅広に構成されている。つまり、第2側壁部に対応する支持部は存在せず、容器をスタッキング形態とした場合に、上側の容器のうち第2側壁部の下方部位は、下側の容器に支持されない(宙に浮く)構成であり、上側の容器の第2側壁部側が不安定になることが懸念されるが、第2支持部を設けることによって、上側の容器の第2側壁部側の安定化を図ることができる。さらに、スタッキング形態において、第3側壁部に対応する第3支持部は、下側の容器の上フランジ部のうち第3対応部よりも突出長の長い第2対応部に支持されることとなる。加えて、第3支持部は、第3側壁部において、第3側壁部の横幅方向中央部に比べて比較的剛性が高い(変形し難い)各第1側壁部との連接部寄りの位置(コーナー部側)に設けられており、また、スタッキング形態においては、第3支持部は、第2側壁部(第2対応部)において、第2側壁部の横幅方向中央部に比べて比較的剛性の高い(変形し難い)各第1側壁部との連接部寄りの位置(コーナー部側)にて支持される。これらの構成により、容器のスタッキング形態の安定化等を図ることができる。
【0013】
手段3.前記上フランジ部から上方に突出し、前記スタッキング形態とされた場合に上側の前記容器の前記支持部の側面と当接、又は、近接し、上側の前記容器が、下側の前記容器に対して、下側の前記容器の前記第2対応部、及び、前記第3対応部のうち、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部を支持しない一方側に相対変位することを規制するストッパが設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0014】
手段3によれば、スタッキング形態において、上側の容器の支持部のうち第3側壁部に対応する支持部が、下側の容器の第2対応部又は第3対応部(手段2に対応しては第2対応部)から脱落してしまうといった事態を防止することができる。
【0015】
手段4.前記容器を前記スタッキング形態とする際に、前記第1側壁部の横幅方向において上側の前記容器を下側の前記容器に対して下側の前記容器の前記第2側壁部側に位置をずらして載置した状態から上側の前記容器を前記第1側壁部の横幅方向に沿って下側の前記容器の前記第3側壁部側にスライドさせて前記スタッキング形態とするスライドスタッキングが可能な構成であり、
前記上フランジ部のうち前記各第1側壁部の上縁部から前記容器の外方側に突出する部位である第1対応部には、前記第1側壁部の横幅方向に沿って延在し、前記スライドスタッキングに際して上側の前記容器の前記支持部を案内する凹状の案内部が設けられ、
前記ストッパは、前記案内部のうち前記第3側壁部側に位置する端面から連続して上方に延び、前記スタッキング形態において上側の前記容器の前記支持部の側面に当接、又は、近接する規制面と、前記第1側壁部の横幅方向において前記規制面とは反対側の面であって、上方に向けて前記規制面側に傾斜して延びる傾斜面とを備えていることを特徴とする手段3に記載の容器。
【0016】
手段4によれば、容器をスタッキング形態とする際にスライドスタッキングさせることができるため、作業性の向上等を図ることができる。また、一対の第1側壁部の第1対応部にそれぞれ案内部が設けられることにより、スライドスタッキングに際して第2側壁部及び第3側壁部の横幅方向における上側の容器の下側の容器に対する位置ずれを抑止することができ、スライドスタッキングに際して上側の容器の支持部が下側の容器の第1対応部から脱落するといった事態を抑止することができる。従って、容器をスタッキング形態とする際の作業性の向上等をより一層図ることができる。
【0017】
さらに、ストッパの規制面を、凹状の案内部の端面と連続させて設けることにより、スタッキング形態において上側の容器の位置ずれを防止するストッパの高さを、事実上、案内部の端面の高さと、規制面の高さとを合わせた高さとすることができる。従って、ストッパ自体の上フランジ部からの突出長を極力高くすることなく、ストッパの機能の向上を図ることができる。
【0018】
加えて、容器同士が積み重ねられる形態をスタッキング形態とネスティング形態とに形態変化可能であって、スライドスタッキングが可能な構成においては、前記容器を前記ネスティング形態とする際に、前記第1側壁部の横幅方向において上側の前記容器を下側の前記容器に対して下側の前記容器の前記第3側壁部側に位置をずらして載置した状態から上側の前記容器を前記第1側壁部の横幅方向に沿って下側の前記容器の前記第2側壁部側にスライドさせて前記ネスティング形態とするスライドネスティングも可能となる。ここで、第1対応部から上方に突出するストッパが設けられている場合には、スライドネスティングに際して、上側の容器の支持部がストッパに当接すると、上側の容器のスライド変位が阻害されてしまうことが懸念されるが、ストッパに傾斜面を設けることにより、かかる懸念を払拭することができる。従って、容器をネスティング形態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0019】
また、ストッパ(第2側壁部側に向いている規制面)を目印として、上側の容器の第2支持部を下側の容器のストッパに合わせることでスタッキング形態とすることができ、スライドスタッキングに際しては、ストッパの規制面に次第に近付けるようにしてスライドさせるというスライドスタッキングの方向性を把握し易くすることができる。従って、スタッキングに際しての作業性の向上等を図ることができる。
【0020】
尚、上記手段2に対応して、「前記第2支持部の下部の横幅は、前記第1受容部の上部の横幅よりも広く構成される」場合には、「前記案内部は、前記第2受容部に対して前記第1側壁部の横幅方向中央部側に近接する位置から前記第1受容部を越えた位置にまで形成されていること」としてもよい。この場合、スライドスタッキングやスライドネスティングに際して、上側の容器の第1支持部及び第2支持部のうちスライドの先頭側とする第2支持部が、下側の容器の第1受容部に嵌まり込むことを防止することができる。
【0021】
尚、「前記案内部は、当該案内部の延在方向に沿って、前記容器の内方側の部位から上方に突出する案内リブを備え、
前記スライドスタッキングに際して下側の前記容器の前記案内部に案内される前記支持部は、前記案内リブのうち前記容器の外方側の面に係合可能とされる突片を備えていること」としてもよい。この場合、スライドスタッキングに際して下側の容器の案内部から上側の容器の支持部が脱落することをより確実に防止することができる。
【0022】
手段5.前記上フランジ部から下方に所定距離を隔てた位置において前記上フランジ部と平行に延在する補助フランジ部を備え、
前記ネスティング形態とされた場合に、下側の前記容器の前記ストッパと、上側の前記容器の前記補助フランジ部との間に隙間を形成する浮かせ部を備えていることを特徴とする手段3又は4に記載の容器。
【0023】
手段5によれば、容器をネスティング形態とした場合に、下側の容器のストッパ、及び、上側の容器の補助フランジ部が損傷等してしまうといった事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図6】スタッキング形態の容器を示す斜視図である。
【
図7】スタッキング形態の容器を示す断面図である。
【
図8】スタッキング形態の容器を示す断面図である。
【
図9】スタッキング形態とネスティング形態とを組み合わせて積み重ねた容器を示す斜視図である。
【
図10】スタッキング形態とネスティング形態とを組み合わせて積み重ねた容器を示す斜視図である。
【
図11】スライドスタッキングを示す斜視図である。
【
図12】スライドネスティングを示す斜視図である。
【
図13】ネスティング形態の容器を示す部分拡大側面図である。
【
図14】ネスティング形態の容器を示す部分拡大側面図である。
【
図15】ネスティング形態の容器を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2等に示すように、容器1は、平面視略矩形状の底壁構成部2と、底壁構成部2の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延出する第1側壁部3(長辺側側壁部)と、一対の第1側壁部3の一側部間を連結するようにして、底壁構成部2の一方の短側辺部から上方に延出する第2側壁部4(短辺側側壁部)と、一対の第1側壁部3の他側部間を連結するようにして、底壁構成部2の他方の短側辺部から上方に延出し、第2側壁部4と対向する第3側壁部5(短辺側側壁部)とを備えている。本実施形態の各第1側壁部3、第2側壁部4、及び、第3側壁部5は、上方に向けて容器1の外方側に傾斜して延在している。また、容器1は、ポリプロピレンによって一体的に形成されている。
【0026】
図3、
図4等に示すように、底壁構成部2は、略矩形板状の底壁部7と、底壁部7の下面から下方に突出し、格子状に延在する底壁リブ8とを備えている。底壁部7の上面により、容器1に収容された物品が支持され、底壁リブ8の下縁部において、容器1が床面等と接地するようになっている。
【0027】
また、
図1等に示すように、容器1は、第1側壁部3、第2側壁部4、及び、第3側壁部5の上縁部から容器1の外方側に向けて略水平方向に突出する上フランジ部10と、上フランジ部10から下方に所定距離を隔てた位置において、第1側壁部3、第2側壁部4、及び、第3側壁部5から容器1の外方側に突出し、上フランジ部10と平行して延びる補助フランジ部11と、上フランジ部10の下面と、補助フランジ部11の上面との間を連結する補強リブ12とを備えている。補強リブ12は、略鉛直方向に延び、容器1の周方向において、互いに所定距離を隔てて複数個所に設けられている。さらに、
図5等に示すように、容器1の内外方向において、上フランジ部10、補助フランジ部11、及び、補強リブ12のうち容器1の外方側の縁部(外縁部)が同じ位置となっている(面一で鉛直に延在している)。
【0028】
また、
図1等に示すように、第2側壁部4、及び、第3側壁部5の横幅方向中央部の上部に対応して、作業者が容器1を持ち運ぶ際に指先を掛ける手掛け部13が設けられている。手掛け部13は、対象部位の補助フランジ部11を省略するとともに、対象部位の上フランジ部10の外縁部側の部位から下方に突出し、対象部位の両側方に位置する補強リブ12の間を連結する壁部を設けることにより構成されている。当該手掛け部13を構成する壁部の下縁部は、補助フランジ部11の上面よりも上方に位置している。
【0029】
加えて、本実施形態の容器1は、各手掛け部13の両側方位置において、補助フランジ部11を一段下方に変位させるようにして形成された浮かせ部14を備えている。浮かせ部14は、上フランジ部10、及び、補助フランジ部11と同様に、略水平方向に延びている。
【0030】
また、
図1、
図2等に示すように、容器1は、各第1側壁部3の所定部位を容器1の外方側に膨出させることで設けられた第1膨出部16、及び、第2膨出部17と、第3側壁部5の所定部位を容器1の外方側に膨出させることで設けられた第3膨出部18とを備えている。第1膨出部16、第2膨出部17、及び、第3膨出部18の内面側は、容器1の内方側に開口するとともに、上フランジ部10を切り欠くようにして上方にも開口している。尚、補助フランジ部11、及び、補強リブ12についても、第1膨出部16、第2膨出部17、及び、第3膨出部18の内方側には延設されず、適宜、第1膨出部16、第2膨出部17、及び、第3膨出部18の外面側と連結されるようになっている。
【0031】
第2膨出部17は、第2側壁部4寄りの位置(近傍位置)に設けられ、第1膨出部16は、第1側壁部3の横幅方向中央部よりも第3側壁部5側であって、第2膨出部17よりも第1側壁部3の横幅方向中央部に近い位置に設けられている。第3膨出部18は、各第1側壁部3寄りの位置(近傍位置)に一対で設けられている。
【0032】
また、一対の第1側壁部3のうち、一方に設けられた第1膨出部16、及び、第2膨出部17と、他方に設けられた第1膨出部16、及び、第2膨出部17とは、容器1を平面視した場合に、第2側壁部4、及び、第3側壁部5の横幅方向中央部を通る仮想直線を中心として互いに線対称位置に設けられている。さらに、第3側壁部5に一対で設けられた第3膨出部18についても、容器1を平面視した場合に、第2側壁部4、及び、第3側壁部5の横幅方向中央部を通る仮想直線を中心として互いに線対称位置に設けられている。
【0033】
加えて、第1膨出部16、第2膨出部17、及び、第3膨出部18は、第1側壁部3、又は、第3側壁部5から容器1の外方側に突出して上下方向に延在する左右一対の側板部19と、一対の側板部19の外縁部間を連結する外板部20と、一対の側板部19、及び、外板部20で囲まれる空間の下側を閉塞する下板部21とを備えている。側板部19、及び、外板部20の上縁部は、上フランジ部10と連結され、上フランジ部10の外縁部よりも容器1の内方側に位置している。
【0034】
また、
図5、
図7等に示すように、各膨出部16、17、18の外板部20は、膨出部16、17、18自身が設けられた第1側壁部3、及び、第3側壁部5の外面と略平行して延びている。さらに、各膨出部16、17、18の一対の側板部19は、一対の側板部19同士が下方に向けて互いに近付く方向に傾斜して延びており(膨出部16、17、18の横幅が下方に向けて次第に狭くなっている)、膨出部16、17、18自身が設けられた第1側壁部3、及び、第3側壁部5の両側部と連結されている第1側壁部3、第2側壁部4、及び、第3側壁部5と略平行して延びている。
【0035】
また、
図3、
図13等に示すように、第1膨出部16、第2膨出部17、及び、第3膨出部18の下板部21は、いずれも同じ高さ位置であり、
図8等に示すように、底壁構成部2の上面よりも若干上方に位置して、略水平方向に延在している。さらに、
図3等に示すように、本実施形態の第1膨出部16、及び、第2膨出部17には、下板部21の外縁部から下方に突出する突片22と、下板部21の下面のうち突片22から容器1の内方側に所定距離を隔てた位置から下方に突出する下突部23とが設けられている。尚、下突部23は、下板部21の第1側壁部3側の部位を一段低く形成するとともに、当該低く形成した部分の外縁部、及び、両側縁部から下方に突出するリブを形成することで構成され、当該リブの下縁部(下突部23の下縁部)は、底壁構成部2(底壁リブ8)の下縁部と同じ高さとなっている。加えて、突片22の下縁部は、下突部23の下縁部よりも上方に位置している。
【0036】
以下、第1膨出部16の内面側に形成される凹状部位を第1受容部25と称し、第1膨出部16の下面部位を含む外側部位を第1支持部26と称する。また、第2膨出部17の内面側に形成される凹状部位を第2受容部27と称し、第2膨出部17の下面部位を含む外側部位を第2支持部28と称する。さらに、第3膨出部18の内面側に形成される凹状部位を第3受容部29と称し、第3膨出部18の下面部位を含む外側部位を第3支持部30と称する。尚、第2側壁部4に対応しては膨出部がなく、支持部、及び、受容部が設けられない構成となっている。(但し、後述するように容器1をネスティング形態とした場合には、対応する側壁部(第2側壁部4)は、下側の容器1の第2側壁部4の内側に収容される。)
また、
図1、
図7等に示すように、第2支持部28の下部(下板部21)の横幅(第1側壁部3の横幅方向に沿った長さ)は、第1支持部26の下部(下板部21)の横幅よりも広く構成されている。さらに、第2支持部28の下部(下板部21)の横幅は、第1受容部25の上部(上部開口部)の横幅よりも広く構成されている。
【0037】
さて、本実施形態では、容器1同士を積み重ねることが可能に構成されている。特に、容器1同士が積み重ねられる形態として、
図9、及び、
図10に示す3つの容器1のうち、最上段の容器1と、その一段下の容器1との関係のように、容器1同士を同じ向きで積み重ねることで、上側の容器1の支持部26、28、30が、下側の容器1の受容部25、27、29に収容されるネスティング形態(
図15参照)と、
図9、及び、
図10に示す3つの容器1のうち、最下段の容器1と、その一段上の容器1との関係のように、下側の容器1に対して上側の容器1を180度旋回させて積み重ねることで、上側の容器1の支持部26、28、30の下面側が、下側の容器1の上フランジ部10の上面に当接して支持されるスタッキング形態(
図6参照)とに形態変化可能に構成されている。
【0038】
本実施形態では、容器1をスタッキング形態とすることで、
図7、
図9等に示すように、上側の容器1の第1支持部26(第1膨出部16の下板部21)、及び、第2支持部28(第2膨出部17の下板部21)が、下側の容器1の上フランジ部10のうち第1側壁部3の上縁部から容器1の外方側に突出する部位である第1対応部32の上面に当接して支持され、
図8、
図9等に示すように、上側の容器1の第3支持部30(第3膨出部18の下板部21)が、下側の容器1の上フランジ部10のうち第2側壁部4の上縁部から容器1の外方側に突出する部位である第2対応部33の上面に当接して支持される。
【0039】
上記のように、本実施形態では、第2側壁部4に対応して支持部が設けられていないことにより、
図8、
図10等に示すように、スタッキング形態において、上フランジ部10のうち第3側壁部5の上縁部から容器1の外方側に突出する部位である第3対応部34については、上側の容器1を直接的には支持しない(上側の容器1の第1支持部26、第2支持部28、及び、第3支持部30のいずれも当接しない)構成となっている。また、本実施形態では、第3対応部34の第3側壁部5からの突出長が、第1対応部32の第1側壁部3からの突出長、及び、第2対応部33の第2側壁部4からの突出長よりも短く構成されている。さらに、スタッキング形態とされた容器1を平面視した場合に、上側の容器1の外縁部と、下側の容器1の外縁部とが同じ位置とされるように構成されている。尚、本実施形態では、第1対応部32の突出長と、第2対応部33の突出長とが同じ長さとされているが、異なる長さとすることも可能である。
【0040】
また、
図9、
図15等に示すように、容器1をネスティング形態とすることで、上側の容器1の第1支持部26(第1膨出部16)が、下側の容器1の第1受容部25(第1膨出部16)の内側に収容され、上側の容器1の第2支持部28(第2膨出部17)が、下側の容器1の第2受容部27(第2膨出部17)の内側に収容され、上側の容器1の第3支持部30(第3膨出部18)が、下側の容器1の第3受容部29(第3膨出部18)の内側に収容される。
【0041】
図13、
図14に示すように、本実施形態では、容器1がネスティング形態とされた場合には、上側の容器1の各浮かせ部14の下面が、下側の容器1の第2対応部33、及び、第3対応部34の上面に当接して支持される。これにより、下側の容器1の上フランジ部10と、上側の容器1の補助フランジ部11との間に隙間が形成されるようになっている(
図15参照)。さらに、ネスティング形態とされた容器1を平面視した場合に、上側の容器1の外縁部と、下側の容器1の外縁部とが同じ位置とされるように構成されている。
【0042】
また、
図11に示すように、本実施形態では、容器1をスタッキング形態とする際に、第1側壁部3の横幅方向において上側の容器1を下側の容器1に対して下側の容器1の第2側壁部4側に位置をずらして、上側の容器1の第2支持部28を下側の容器1の第1対応部32に載置した状態から、上側の容器1を第1側壁部3の横幅方向に沿って下側の容器1の第3側壁部5側にスライドさせてスタッキング形態とするスライドスタッキングが可能な構成となっている。
【0043】
特に、
図1等に示すように、上フランジ部10の各第1対応部32には、第1側壁部3の横幅方向に沿って延在し、スライドスタッキングに際して上側の容器1の第1支持部26、及び、第2支持部28(基本的には、スライド方向先方側に位置する第2支持部28)を案内する凹状の案内部35が設けられている。案内部35は、第2受容部27に対して第1側壁部3の横幅方向中央部側に近接する位置から第1受容部25を越えた位置にまで形成されている。
【0044】
また、案内部35は、当該案内部35の延在方向に沿って、容器1の内方側の縁部から上方に突出する案内リブ36を備えている。案内リブ36の上縁部は、上フランジ部10の上面と面一とされている。容器1のスライドスタッキングに際しては、下側の容器1の案内部35に案内される第2支持部28の突片22が、案内リブ36のうち容器1の外方側の面に略係合状態とされる(略摺接する)ようになっている。これにより、上側の容器1の第2支持部28が、下側の容器1の第1対応部32から容器1の内側に脱落することが規制されることとなる。尚、容器1のスタッキング形態では、上側の容器1の第1支持部26、第2支持部28の突片22が、下側の容器1の案内リブ36のうち容器1の外方側の面に略係止状態(当接、又は、近接した状態)とされる。
【0045】
さらに、各案内部35の第3側壁部5側に隣接して、各第1対応部32(上フランジ部10)の上面から上方に突出するストッパ37が設けられている。ストッパ37は、案内部35のうち第3側壁部5側に位置して略鉛直方向に延在する端面から連続して(面一に)上方に延びる規制面38と、第1側壁部3の横幅方向において規制面38とは反対側の面であって、上方に向けて規制面38側に傾斜して延びる傾斜面39とを備えている。
【0046】
図7、
図9等に示すように、容器1のスタッキング形態においては、上側の容器1の第2支持部28の側面(上側の容器1の第2側壁部4側の側面)が、下側の容器1のストッパ37の規制面38、及び、当該規制面38に連続する案内部35の端面に当接、又は、近接する。これにより、上側の容器1が、下側の容器1に対して、下側の容器1の第3対応部34(第3側壁部5)側に相対変位することが規制される。
【0047】
また、
図7~
図9等に示すように、容器1のスタッキング形態においては、上側の容器1の底壁構成部2(並びに、第1側壁部3、第2側壁部4、及び、第3側壁部5のうち底壁構成部2との連接部位)と、第1支持部26の下突部23、及び、第2支持部28の下突部23とが、下側の容器1の内側に挿入されるようになっている。特に、上側の容器1の一対の第1側壁部3の第1支持部26、及び、第2支持部28の各下突部23のうち容器1の外方側の面が、下側の容器1の第1側壁部3の内面に当接、又は、近接することで、容器1の短手幅方向における上下の容器1の位置ずれが防止されるようになっている。さらに、
図8等に示すように、上側の容器1の底壁構成部2のうち第3側壁部5側の端面(並びに、第3側壁部5のうち底壁構成部2との連接部位)が、下側の容器1の第2側壁部4の内面に当接、又は、近接し、
図7等に示すように、上側の容器1の第2支持部28の側面が、下側の容器1の案内部35のストッパ37の規制面38、及び、当該規制面38に連続する案内部35の端面に当接、又は、近接することで、容器1の長手幅方向における上下の容器1の位置ずれが防止されるようになっている。尚、スタッキング形態では、下側の容器1の案内部35のうち第2側壁部4側に位置する端面と、上側の容器1の第1支持部26の側面とが近接、又は、当接するようになっている。
【0048】
加えて、
図12に示すように、本実施形態では、容器1をネスティング形態とする際に、第1側壁部3の横幅方向において上側の容器1を下側の容器1に対して下側の容器1の第3側壁部5側に位置をずらして、上側の容器1の第2支持部28を下側の容器1の第1対応部32(案内部35)に載置した状態から、上側の容器1を第1側壁部3の横幅方向に沿って下側の容器1の第2側壁部4側にスライドさせてネスティング形態とするスライドネスティングも可能となっている。ここで、スライドネスティングに際して、上側の容器1の第2支持部28が下側の容器1のストッパ37よりも第3側壁部5側に載置されることも考えられるが、ストッパ37に傾斜面39が設けられていることにより、上側の容器1の第2支持部28が比較的容易に下側の容器1のストッパ37を乗り越えられるようになっている。上側の容器1の第2支持部28が下側の容器1のストッパ37を乗り越えることで、上側の容器1の第2支持部28が下側の容器1の案内部35に案内される格好となる(上側の容器1の第2支持部28の突片22が、下側の容器1の案内部35の案内リブ36に略係合された状態とされる)。
【0049】
また、ストッパ37の上フランジ部10の上面からの突出長は、浮かせ部14の補助フランジ部11の下面からの突出長よりも短く、容器1のネスティング形態においては、下側の容器1のストッパ37が、上側の容器1の補助フランジ部11と、下側の容器1の上フランジ部10との間に形成される隙間に収まり、上側の容器1の補助フランジ部11と当接しない(下側の容器1のストッパ37と、上側の容器1の補助フランジ部11との間に隙間が形成される)ようになっている。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、第2側壁部4に支持部(膨出部)を設けないことで、スタッキング形態において下側の容器1に上側の容器1の支持部を支持しない壁部(第3側壁部5)を設けることができる。当該第3側壁部5に対応しては、上側の容器1の支持部を直接的に安定して支持する機能を具備する必要がなく、当該第3側壁部5の上縁部から突出する上フランジ部10(第3対応部34)の突出長を比較的短くすることができる。このように、第3対応部34の突出長を短くすることで、容器1の外寸(容器1を平面視した場合に最も外方側に位置する上フランジ部10の外端縁で測る寸法、最大外寸)を小さくすることができ、容器1の外寸と、容器1の内寸(側壁部3、4、5の内面で測る寸法、開口寸法)との差についても小さくすることができる。これにより、容器1の外寸が予め定められている(容器1を自由に大きくするわけにはいかない)場合に、内寸(容器1の外寸に対する内寸の比率、有効内寸)を極力大きくすることができる。その一方で、スタッキング形態において上側の容器1の第1支持部26、第2支持部28、及び、第3支持部30を支持する第1対応部32、及び、第2対応部33に関しては、突出長が確保されることで、上側の容器1の第1支持部26、第2支持部28、及び、第3支持部30を比較的安定して支持することができる。従って、容器1のスタッキング形態の安定化を図りつつ、容器1の有効内寸の拡張、ひいては、容器1の容量の拡張を図ることができる。
【0051】
また、支持部26、28、30と、受容部25、27、29とが、容器1の周方向において同じ位置に設けられている(膨出部16、17、18の外面側によって支持部26、28、30が構成され、膨出部16、17、18の内面側に受容部25、27、29が形成される)ことから、受容部25、27、29を設けるために第1側壁部3、及び、第3側壁部5を容器1の外方側に膨出させた膨出部16、17、18についても、ネスティング形態において受容部25、27、29に収容することが可能となる。これにより、受容部25、27、29を底壁構成部2の上面又はその近傍にまで形成しても、ネスティング形態において受容部25、27、29に対し、支持部26、28、30を構成する膨出部16、17、18の下部のみならず、膨出部16、17、18の上下方向中間位置よりも上側の部位をも収容させることが可能となる。従って、支持部26、28、30と、受容部25、27、29とが、容器1の周方向において異なる位置に設けられる構成(容器同士を同じ向きで積み重ねることでスタッキング形態とされ、下側の容器に対して上側の容器を180度旋回させて積み重ねることでネスティング形態とされる構成;側壁部において膨出部を底壁構成部の近傍にまで形成してしまうと、当該膨出部によりネスティングが阻害される)に比べ、ネスティングされた容器1の高さを極力低くする(ネスティング効率を高める)ことができ、運搬効率、及び、保管効率の向上等を図ることができる。
【0052】
また、第1側壁部3に対応して第1支持部26、及び、第2支持部28が設けられ、第2支持部28は、第2側壁部4寄りの位置に設けられ、かつ、比較的幅広に構成されている。つまり、第2側壁部4に対応する支持部は存在せず、容器1をスタッキング形態とした場合に、上側の容器1のうち第2側壁部4の下方部位は、下側の容器1に支持されない(宙に浮く)構成であり、上側の容器1の第2側壁部4側が不安定になることが懸念されるが、第2支持部28を設けることによって、上側の容器1の第2側壁部4側の安定化を図ることができる。
【0053】
加えて、第3支持部30は、第3側壁部5において、第3側壁部5の横幅方向中央部に比べて比較的剛性が高い(変形し難い)各第1側壁部3との連接部寄りの位置(コーナー部側)に設けられており、また、スタッキング形態においては、第3支持部30は、第2側壁部4(第2対応部33)において、第2側壁部4の横幅方向中央部に比べて比較的剛性の高い(変形し難い)各第1側壁部3との連接部寄りの位置(コーナー部側)にて支持される。これらの構成により、容器1のスタッキング形態の安定化等を図ることができる。
【0054】
さらに、上フランジ部10から上方に突出し、スタッキング形態とされた場合に上側の容器1の第2支持部28の側面と当接、又は、近接し、上側の容器1が、下側の容器1に対して、下側の容器1の第3対応部34側に相対変位することを規制するストッパ37が設けられている。このため、スタッキング形態において、上側の容器1の第3支持部30が、下側の容器1の第2対応部33から脱落してしまうといった事態を防止することができる。
【0055】
加えて、容器1をスタッキング形態とする際にスライドスタッキングさせることができるため、作業性の向上等を図ることができる。また、一対の第1側壁部3の第1対応部32にそれぞれ案内部35が設けられることにより、スライドスタッキングに際して第2側壁部4及び第3側壁部5の横幅方向における上側の容器1の下側の容器1に対する位置ずれを抑止することができ、スライドスタッキングに際して上側の容器1の第2支持部28が下側の容器1の第1対応部32から脱落するといった事態を抑止することができる。従って、容器1をスタッキング形態とする際の作業性の向上等をより一層図ることができる。
【0056】
さらに、ストッパ37の規制面38を、凹状の案内部35の端面と連続させて設けることにより、スタッキング形態において上側の容器1の位置ずれを防止するストッパ37の高さを、事実上、案内部35の端面の高さと、規制面38の高さとを合わせた高さとすることができる。従って、ストッパ37自体の上フランジ部10からの突出長を極力高くすることなく、ストッパ37の機能の向上を図ることができる。
【0057】
また、容器1をネスティング形態とする際に、スライドネスティングが可能となっている。ここで、第1対応部32から上方に突出するストッパ37が設けられている場合には、スライドネスティングに際して、上側の容器1の第2支持部28がストッパに当接すると、上側の容器1のスライド変位が阻害されてしまうことが懸念されるが、ストッパ37に傾斜面39を設けることにより、かかる懸念を払拭することができる。従って、容器1をネスティング形態とする際の作業性の向上等を図ることができる。
【0058】
また、ストッパ37(第2側壁部4側に向いている規制面38)を目印として、上側の容器1の第2支持部28を下側の容器1のストッパ37に合わせることでスタッキング形態とすることができ、スライドスタッキングに際しては、ストッパ37の規制面38に次第に近付けるようにしてスライドさせるというスライドスタッキングの方向性を把握し易くすることができる。従って、スタッキングに際しての作業性の向上等を図ることができる。
【0059】
加えて、第2支持部28の下部(下板部21)の横幅は、第1受容部25の上部(上部開口部)の横幅よりも広く構成されている。このため、スライドスタッキングやスライドネスティングに際して、上側の容器1の第2支持部28が、下側の容器1の第1受容部25を跨いで相対変位する際に当該第1受容部25に嵌まり込むことを防止することができる。
【0060】
さらに、案内部35は、当該案内部35の延在方向に沿って、容器1の内方側の部位から上方に突出する案内リブ36を備え、スライドスタッキングに際して下側の容器1の案内部35に案内される第2支持部28は、案内リブ36のうち容器1の外方側の面に係合可能とされる突片22を備えている。このため、スライドスタッキングに際して下側の容器1の案内部35から上側の容器1の第2支持部28が脱落することをより確実に防止することができる。
【0061】
また、容器1は、上フランジ部10から下方に所定距離を隔てた位置において上フランジ部10と平行に延在する補助フランジ部11から下方に突出し、ネスティング形態とされた場合に、下側の容器1のストッパ37と、上側の容器1の補助フランジ部11との間に隙間を形成する浮かせ部14を備えている。このため、容器1をネスティング形態とした場合に、下側の容器1のストッパ37、及び、上側の容器1の補助フランジ部11が損傷等してしまうといった事態を防止することができる。
【0062】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0063】
(a)上記実施形態では、容器1の周方向において、第1支持部26、第2支持部28、及び、第3支持部30と、第1受容部25、第2受容部27、及び、第3受容部29とが同じ位置に設けられているが、容器1を平面視した場合の中央部を中心として第1支持部26、第2支持部28、及び、第3支持部30の点対称位置に第1受容部25、第2受容部27、及び、第3受容部29が設けられることとしてもよい。つまり、容器同士を同じ向きで積み重ねることでスタッキング形態とされ、下側の容器に対して上側の容器を180度旋回させて積み重ねることでネスティング形態とされる構成としてもよい。当該構成を採用する場合には、スタッキング形態において、上側の容器のいずれの支持部も載置されない第2対応部の第2側壁部からの突出長を、上側の容器の第3支持部が載置される第3対応部の第3側壁部からの突出長(及び、第1対応部の第1側壁部からの突出長)よりも短く構成することとする。このように、第3対応部の突出長(及び、第1対応部の突出長)を確保しつつ、第2対応部の突出長を極力短くすることで、スタッキング形態の安定化を図りつつ、容器の有効内寸、ひいては、容器の容量の拡張を図ることができる。
【0064】
(b)上記実施形態において、受容部25、27、29の下端部の高さ位置は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。ここで、上記した主たる実施形態に記載のように、容器1同士を同じ向きで積み重ねることでネスティング形態とされる構成においては、容器1のネスティング形態において上側の容器1の底壁構成部2を、下側の容器1の高さ方向の中央部よりも下方に位置させる構成とすることができ、当該構成を採用することで、ネスティング効率の向上を図ることができる。また、容器1同士を同じ向きで積み重ねることでネスティング形態とされる構成であっても、例えば、受容部25、27、29の下端部が底壁構成部2よりも比較的上方に離間した高さ位置に設けられ、受容部25、27、29を構成する膨出部16、17、18の下方位置において、各第1側壁部3、及び、第3側壁部5から容器1の外方側に突出して上下に延在し、膨出部16、17、18の下面と連結されるリブ状の支持部を設けることとしてもよい。
【0065】
(c)第1側壁部3、及び、第3側壁部5に設けられる支持部の数や配置等についても特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。但し、スタッキング形態において上側の容器1の第2側壁部4側が不安定とならないように第1側壁部3に対応して極力第2側壁部4に近い位置に支持部(第2支持部28)を設けることが望ましく、さらに、当該第2支持部28の横幅を極力広く構成して、当該第2支持部28の支持状態の安定化等を図ることが望ましい。また、第3側壁部5について、例えば、第3側壁部5の横幅方向中央部を含む範囲に1つ設けることとしてよいが、第3側壁部5の横幅方向中央部よりも変形し難い各第1側壁部3との連接部の極力近傍位置に設けることが望ましい。
【0066】
(d)上記実施形態では、ストッパ37、及び、案内部35が設けられているが、ストッパ37、及び、案内部35の一方、又は、両方を省略することとしてもよい。但し、上記実施形態では、スタッキング形態において上側の容器1の第2側壁部4と、下側の容器1の第3側壁部5との間が離間しており、ストッパ37の規制面38、及び、当該規制面38に連続する案内部35の端面によって、スタッキング形態において上側の容器1が下側の容器1の第3側壁部5側(上側の容器1の第3支持部30の支持が外れる側)へ相対変位することを規制していることから、ストッパ37、及び、案内部35の少なくとも一方を設けることが望ましい。尚、ストッパ37を第1側壁部3の内面にまで延設してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、案内部35において案内リブ36が設けられ、第1支持部26、及び、第2支持部28において突片22が設けられているが、案内リブ36、及び、突片22を省略することとしてもよい。当該構成においても、スライドスタッキングに際して下側の容器1の案内部35に案内される上側の容器1の各第2支持部28(第1支持部26)の外板部20が、下側の容器1の案内部35のうち第1側壁部3の横幅方向に沿って延びる容器1の外方側の面に当接、又は、近接することで、下側の容器1に対する上側の容器1の第2側壁部4、及び、第3側壁部5の横幅方向における位置ずれを抑止することができる。尚、スタッキング形態において上下の容器1が第2側壁部4、及び、第3側壁部5の横幅方向に位置ずれすることを抑止する構成として、下突部23、及び、案内部35のうち一方を省略することも可能である。
【0068】
さらに、各案内部35の第2受容部27側に隣接して、各第1対応部32(上フランジ部10)の上面から上方に突出するストッパを設けてもよい。この場合、対応する案内部35を挟んでストッパの規制面同士が互いに向き合うように配置されるのが望ましい。
【0069】
(e)上記実施形態では、浮かせ部14が補助フランジ部11から下方に突出するようにして設けられているが、上フランジ部10から上方に突出するようにして設けられること(上方への突出長はストッパ37の上フランジ部10からの突出長以上とし、案内部35よりも容器1の外方側の位置)としてもよい。また、上記実施形態では、浮かせ部14は、第2側壁部4、及び、第3側壁部5に対応して設けられているが、かかる構成に代えて、又は、加えて、第1側壁部3に対応して浮かせ部14を設けることとしてもよい。但し、各手掛け部13の両側方に浮かせ部14を設けることによって、浮かせ部14の周辺部の剛性を高めることができ、ネスティング形態において手掛け部13の下方に確実に隙間を形成しておくことができる。
【0070】
(f)上記実施形態では、補助フランジ部11、及び、補強リブ12が設けられているが、省略することも可能である。但し、ネスティング形態において手掛け部13に指先を掛けられるようにするべく、補助フランジ部11を設けることが望ましく、上フランジ部10等の補強を図るべく、補助フランジ部11、及び、補強リブ12を設けることが望ましい。
【0071】
(g)上記実施形態では、容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、例えば、容器1の長手幅方向において一側方側の配色と、他側方側の配色とを異ならせることで、容器1のスタッキング形態、及び、ネスティング形態がより認識し易くなるように構成してもよい。尚、スタッキング形態、又は、ネスティング形態とされた容器1を平面視した場合に、上側の容器1の外縁部と、下側の容器1の外縁部とが異なる位置とされるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…容器、2…底壁構成部、3…第1側壁部、4…第2側側壁部、5…第3側壁部、10…上フランジ部、11…補助フランジ部、14…浮かせ部、16…第1膨出部、17…第2膨出部、18…第3膨出部、22…突片、25…第1受容部、26…第1支持部、27…第2受容部、28…第2支持部、29…第3受容部、30…第3支持部、32…第1対応部、33…第2対応部、34…第3対応部、35…案内部、36…案内リブ、37…ストッパ、38…規制面、39…傾斜面。