(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ノイズ適応ソリッドステートLIDARシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4861 20200101AFI20231121BHJP
G01S 7/484 20060101ALI20231121BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20231121BHJP
H01L 31/12 20060101ALI20231121BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01S7/4861
G01S7/484
G01S17/931
H01L31/12 E
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
(21)【出願番号】P 2020526502
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 US2018057026
(87)【国際公開番号】W WO2019221776
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518370091
【氏名又は名称】オプシス テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン, マーク ジェイ.
【審査官】東 治企
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053833(JP,A)
【文献】特開2016-188808(JP,A)
【文献】特開2014-077658(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0307736(US,A1)
【文献】国際公開第2017/112416(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0139041(US,A1)
【文献】特開2005-331273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48-7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00-3/32
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数のレーザを備える光学トランスミッタであって、前記複数のレーザの各々が視野を照射する、光学トランスミッタと、
b)複数の電気出力を有するトランスミッタコントローラであって、前記複数の電気出力のうちのそれぞれの電気出力は、前記複数のレーザの各々のそれぞれの電気入力へ接続され、前記トランスミッタコントローラは、前記複数のレーザが所望の照射領域における光を生成するように、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、トランスミッタコントローラと、
c)光学レシーバであって、前記光学レシーバは、所望の照射領域にわたって光を検出するように位置付けられる複数の検出器であって、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかは、電気検出信号を生成する共通出力を伴うサブアレイとして構成される、検出器と、前記複数のレーザから前記複数の検出器への光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路とを備え、前記光学レシーバは前記飛行時間測定から範囲情報を計算する、光学レシーバと、
d)前記トランスミッタコントローラへ電気的に接続され、且つ、複数の電気出力を有する光学レシーバコントローラであって、前記複数の電気出力のうちの少なくとも1つは、前記サブアレイとして構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかのうちの少なくとも1つの入力へ接続され、前記光学レシーバコントローラは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成するように、前記サブアレイとして構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかのうちの前記少なくとも1つの前記接続された1つのための電圧バイアスを低下させるように構成される、光学レシーバコントローラと
を備え、
前記サブアレイとして構成された前記複数の検出器のうちの
前記少なくとも
いくつか内の陽極が単一の入力へ接続され、
前記サブアレイ
として構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつか内の陰極が単一の出力へ接続され、これによって外部の回路へ接続され、
前記サブアレイ
として構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかが単一の要素のように作用することができることを特徴とする、光検出及び測距(LIDAR)システム。
【請求項2】
前記複数の検出器のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される重複視野内の光を検出するように位置付けられる、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項3】
前記飛行時間測定回路は、時間―デジタル回路を備える、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項4】
前記飛行時間測定回路は、アナログ―デジタル変換器回路を備える、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項5】
前記光学レシーバにおける前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、PIN検出器、線形アバランシェ光検出器(APD)、ガイガーモードAPD、シリコン光電子増倍管(SiPM)及びマルチピクセル光子計数器(MPPC)から成る集合から選択される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項6】
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、前記検出器の入力へのバックグラウンド日光の強度を低減する入力フィルタを備える、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項7】
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、制限された検出面積視野を有するように構成される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項8】
前記トランスミッタコントローラは、所望の信号対ノイズ比での検出された光信号を達成するパルス数毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項9】
前記トランスミッタコントローラは、4又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項10】
前記トランスミッタコントローラは、10又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項11】
前記トランスミッタコントローラは、25又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項8に記載のLIDARシステム。
【請求項12】
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは異なる波長を射出する、請求項1に記載のLIDARシステム。
【請求項13】
a)複数のレーザを備える光学トランスミッタであって、前記複数のレーザの各々が視野を照射する、光学トランスミッタと、
b)複数の電気出力を有するトランスミッタコントローラであって、前記複数の電気出力のうちのそれぞれの電気出力は、前記複数のレーザの各々のそれぞれの入力へ接続され、前記トランスミッタコントローラは、前記複数のレーザが所望の照射領域において光を生成するように、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成されている、トランスミッタコントローラと、
c)光学レシーバであって、
i)所望の照射領域にわたる光を検出するように位置付けられる複数の検出器であって、電気検出信号を生成する複数の検出器と、
ii)電気出力及び複数の電気入力を備えるRFスイッチであって、前記複数の電気入力の各々は、前記複数の検出器のうちの1つのそれぞれの電気出力へ接続されている、RFスイッチと、
iii)前記RFスイッチの前記電気出力へ接続される電気入力を有する飛行時間測定回路であって、前記飛行時間測定回路は、前記複数のレーザから前記複数の検出器への光の飛行時間を測定する、飛行時間測定回路と
を備え、前記光学レシーバは、前記飛行時間測定から範囲情報を計算する、光学レシーバと、
d)前記トランスミッタコントローラへ電気的に接続され、且つ、前記RFスイッチの電気入力へ接続される出力を有する光学レシーバコントローラであって、前記光学レシーバコントローラは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成するために、前記RFスイッチの前記電気入力のうちの少なくともいくつかを、前記飛行時間測定回路の前記電気入力へ向けるように構成されている、光学レシーバコントローラと
を備える、光検出及び測距(LIDAR)システム。
【請求項14】
前記複数の検出器のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される視野をオーバーラップさせる際に光を検出するように位置付けられる、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項15】
前記飛行時間測定回路は時間―デジタル回路を備える、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項16】
前記飛行時間測定回路はアナログ―デジタル変換器回路を備える、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項17】
前記光学レシーバにおける前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、PIN検出器、線形アバランシェ光検出器(APD)、ガイガーモードAPD、シリコン光電子増倍管(SiPM)及びマルチピクセル光子計数器(MPPC)から成る集合から選択される、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項18】
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、少なくともいくつかの共通の電気的接続を有する検出器のアレイを備える、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項19】
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、前記検出器の入力へのバックグラウンド日光の強度を低減する入力フィルタを備える、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項20】
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、制限された検出面積視野を有するように構成される、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項21】
前記トランスミッタコントローラは、所望の信号対ノイズ比でのレシーバ信号を達成するパルス数毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項22】
前記トランスミッタコントローラは、4又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項21に記載のLIDARシステム。
【請求項23】
前記トランスミッタコントローラは、10又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項21に記載のLIDARシステム。
【請求項24】
前記トランスミッタコントローラは、25又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、請求項21に記載のLIDARシステム。
【請求項25】
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは異なる波長を射出する、請求項13に記載のLIDARシステム。
【請求項26】
a)複数のレーザのうちの選択されたレーザにエネルギを加えることによって、所望の照射領域における光を生成することであって、前記複数のレーザの各々が所望の視野を照射する、ことと、
b)前記所望の照射領域にわたる光を検出するように位置付けられる複数の検出器のうちの少なくともいくつかで、前記所望の照射領域における前記光を検出することによって、電気検出信号を生成することであって、前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかは、前記電気検出信号を生成する共通出力を伴うサブアレイとして構成される、ことと、
c)前記サブアレイとして構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかのうちの少なくとも1つを制御して、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成することと、
d)前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の飛行時間を測定することと、
e)前記所望の照射領域における前記検出された光の前記飛行時間測定から範囲情報を計算することと
を備え、
前記サブアレイとして構成された前記複数の検出器のうちの
前記少なくとも
いくつか内の陽極が単一の入力へ接続され、
前記サブアレイ
として構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつか内の陰極が単一の出力へ接続され、これによって外部の回路へ接続され、
前記サブアレイ
として構成された前記複数の検出器のうちの前記少なくともいくつかが単一の要素のように作用することができることを特徴とする、光検出及び測距(LIDAR)の方法。
【請求項27】
前記複数のレーザのうちの選択されたレーザにエネルギを加えることは、所望のパルス数で複数のレーザのうちの選択されたレーザをパルス化することを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは、電気検出信号の所望の信号対ノイズ比を達成するように選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは4又はそれより多い、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは10又はそれより多い、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは25又はそれより多い、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記所望の照射領域における前記光を検出することによって、前記電気検出信号を生成することは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成するように、前記複数の検出器のうちの前記選択された検出器のための電圧バイアスを低下させることを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される重複視野内の光を検出するために、前記複数の検出器のうちの少なくとも2つを位置付けることをさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の前記飛行時間を測定することは、前記時間のデジタル表現を提供することを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の前記飛行時間を測定することは、アナログ信号をデジタル表現へ変換することを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
バックグラウンド日光の強度を低減するための検出の前に、前記所望の照射領域における前記生成された光をフィルタリングすることをさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
バックグラウンド日光の強度を低減するために検出範囲を制限することをさらに備える、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記所望の照射領域における光を生成することは、少なくとも2つの異なる中心波長で光を生成することを備える、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で用いられる節の見出しは、編成する目的のみのためであり、本願で説明される主題を限定しているとして解釈されるべきではない。
【0002】
関連出願への相互参照
本願は、2017年11月15日に出願された「Noise Adaptive Solid-State LIDAR System」と題された米国仮特許出願第62/586557号の非仮出願である。米国仮特許出願第62/586557号の全体の内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0003】
導入
自律的自動車、自走運転自動車、及び半自律的自動車は、周囲の物体の検出及び位置特定のために、レーダ、画像認識カメラ、及びソナー等の異なるセンサ及び技術の組み合わせを用いる。これらのセンサは、衝突警告、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告、車線維持支援、アダプティブクルーズコントロール、及びパイロットドライビングを含む、運転者の安全性における多くの改良を可能にする。これらのセンサ技術の中でも、光検出及び測距(LIDAR)システムは、リアルタイムで高解像度の周囲の環境の3Dマッピングを可能にする不可欠な役割を果たす。ますます複雑な多くの自動化用途の要求に取り組むために、LIDARシステムは、高速で移動する物体へ応答するための十分に高速な応答時間を有することが要求される。LIDARシステムはまた、離れた物体を検出するために受信される信号のために、十分な信号対ノイズを有しなければならない。LIDARシステムが、最小の可動部分とともに高い信頼性を有することがまた所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本教示は、光を反射させ、且つ/又は散乱させる種々の物体又は標的への距離を測定する、ソリッドステートLIDARシステムに関する。特に、本教示は、検出された電気信号におけるノイズを低減することによって、受信された測定信号におけるノイズの低減を可能とするノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムを説明する。このことは、改良されたSNR及び従ってより長い測定範囲へ帰着する。
【0005】
自動車用途は、高速で移動する物体への応答のための十分な時間を提供するために、100メートルを超える測定範囲を有するLIDARシステムを要求する。例えば、非分離高速道路上の反対車線における2つの車両は、250km/h(150mph)又はそれより大きい接近相対速度を有し得る。250km/hでは、2つの車両間の100メートルのギャップを埋めるのにたった1.44秒しか要さない。
【0006】
LIDARシステムで受信される信号の信号対ノイズ比(SNR)は、物体がいくらの距離で、いくらの誤差で検出され得るかを決定する。信号の強さは送信される光学パワーに依存し、より高い送信パワーは、範囲を増加させるより強い反射戻り信号を提供する。しかし、自動車LIDARシステムは、典型的には、クラス1のレーザの眼の安全基準を有するように制約され、それは、送信され得る最大許容光学パワーを限定する。クラス1の眼の安全基準内で動作することによって、レーザ光を射出する製品は、全て合理的に予期された使用条件下での眼の安全性が考慮される。一度クラス1の眼の安全送信光学パワーの限界に達すると、SNRにおけるさらなる改良が、光学レシーバ設計及び/又は信号処理ゲインを通して達成されなければならない。また、信頼性を最大化させるために、LIDARシステムが可動部のない完全なソリッドステートであることが自動車用途のために大いに望まれる。
【0007】
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
a)複数のレーザを備える光学トランスミッタであって、前記複数のレーザの各々が視野を照射する、光学トランスミッタと、
b)複数の電気出力を有するトランスミッタコントローラであって、前記複数の電気出力のうちのそれぞれ電気出力は、前記複数のレーザの各々のそれぞれの電気入力へ接続され、前記トランスミッタコントローラは、前記複数のレーザが所望の照射領域における光を生成するように、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、トランスミッタコントローラと、
c)光学レシーバであって、前記光学レシーバは、所望の照射領域にわたって光を検出するように位置付けられる複数の検出器であって、前記複数の検出器は、電気検出信号を生成する、前記検出器と、前記複数のレーザから前記複数の検出器への光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路とを備え、前記光学レシーバは前記飛行時間測定から範囲情報を計算する、光学レシーバと、
d)前記トランスミッタコントローラへ電気的に接続され、且つ、複数の電気出力を有する光学レシーバコントローラであって、前記複数の電気出力のそれぞれ電気出力は、前記複数の検出器の各々のそれぞれの入力へ接続され、前記光学レシーバコントローラは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成する付勢点で前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかを付勢するように構成される、トランスミッタコントローラと
を備える、光検出及び測距(LIDAR)システム。
(項目2)
前記複数の検出器のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される重複視野内の光を検出するように位置付けられる、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目3)
前記飛行時間測定回路は、時間―デジタル回路を備える、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目4)
前記飛行時間測定回路は、アナログ―デジタル変換器回路を備える、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目5)
前記光学レシーバにおける前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、PIN検出器、線形アバランシェ光検出器(APD)、ガイガーモードAPD、シリコン光電子増倍管(SiPM)及びマルチピクセル光子計数器(MPPC)から成る集合から選択される、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目6)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、少なくともいくつかの共通の電気的接続を有する検出器のアレイを備える、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目7)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、前記検出器の入力へのバックグラウンド日光の強度を低減する入力フィルタを備える、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目8)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、制限された検出面積視野を有するように構成される、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目9)
前記トランスミッタコントローラは、所望の信号対ノイズ比での検出された光信号を達成するパルス数毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目10)
前記トランスミッタコントローラは、4又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目9に記載のLIDARシステム。
(項目11)
前記トランスミッタコントローラは、10又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目9に記載のLIDARシステム。
(項目12)
前記トランスミッタコントローラは、25又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目9に記載のLIDARシステム。
(項目13)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは異なる波長を射出する、項目1に記載のLIDARシステム。
(項目14)
a)複数のレーザを備える光学トランスミッタであって、前記複数のレーザの各々が視野を照射する、光学トランスミッタと、
b)複数の電気出力を有するトランスミッタコントローラであって、前記複数の電気出力のうちのそれぞれの電気出力は、前記複数のレーザの各々のそれぞれの入力へ接続され、前記トランスミッタコントローラは、前記複数のレーザが所望の照射領域において光を生成するように、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成されている、トランスミッタコントローラと、
c)光学レシーバであって、
i.所望の照射領域にわたる光を検出するように位置付けられる複数の検出器であって、電気検出信号を生成する複数の検出器と、
ii.電気出力及び複数の電気入力を備えるRFスイッチであって、前記複数の電気入力の各々は、前記複数の検出器のうちの1つのそれぞれの電気出力へ接続されている、RFスイッチと、
iii.前記RFスイッチの前記電気出力へ接続される電気入力を有する飛行時間測定回路であって、前記飛行時間測定回路は、前記複数のレーザから前記複数の検出器への光の飛行時間を測定する、RFスイッチと
を備え、前記光学レシーバは、前記飛行時間測定から範囲情報を計算する、光学レシーバと、
d)前記トランスミッタコントローラへ電気的に接続され、且つ、前記RFスイッチの電気入力へ接続される出力を有する光学レシーバコントローラであって、前記光学レシーバコントローラは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成するために、前記RFスイッチの前記電気入力のうちの少なくともいくつかを、前記飛行時間測定回路の前記電気入力へ向けるように構成されている、光学レシーバコントローラと
を備える、光検出及び測距(LIDAR)システム。
(項目15)
前記複数の検出器のうちの少なくとも2つは、前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される視野をオーバーラップさせる際に光を検出するように位置付けられる、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目16)
前記飛行時間測定回路は時間―デジタル回路を備える、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目17)
前記飛行時間測定回路はアナログ―デジタル変換器回路を備える、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目18)
前記光学レシーバにおける前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、PIN検出器、線形アバランシェ光検出器(APD)、ガイガーモードAPD、シリコン光電子増倍管(SiPM)及びマルチピクセル光子計数器(MPPC)から成る集合から選択される、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目19)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、少なくともいくつかの共通の電気的接続を有する検出器のアレイを備える、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目20)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、前記検出器の入力へのバックグラウンド日光の強度を低減する入力フィルタを備える、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目21)
前記複数の検出器のうちの少なくとも1つは、制限された検出面積視野を有するように構成される、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目22)
前記トランスミッタコントローラは、所望の信号対ノイズ比でのレシーバ信号を達成するパルス数毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目23)
前記トランスミッタコントローラは、4又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目22に記載のLIDARシステム。
(項目24)
前記トランスミッタコントローラは、10又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目22に記載のLIDARシステム。
(項目25)
前記トランスミッタコントローラは、25又はそれより多いパルス毎デューティーサイクルで、前記複数のレーザのうちの所望のレーザをパルス化するように構成される、項目22に記載のLIDARシステム。
(項目26)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは異なる波長を射出する、項目14に記載のLIDARシステム。
(項目27)
a)複数のレーザのうちの選択されたレーザにエネルギを加えることによって、所望の照射領域における光を生成することであって、前記複数のレーザの各々が所望の視野を照射する、ことと、
b)前記所望の照射領域にわたる光を検出するように位置付けられる複数の検出器のうちの選択された検出器で、前記所望の照射領域における前記光を検出することによって、電気検出信号を生成することであって、前記複数の検出器のうちの前記選択された検出器は、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成するように選択される、ことと、
c)前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の飛行時間を測定することと、
d)前記所望の照射領域における前記検出された光の前記飛行時間測定から範囲情報を計算することと
を備える、光検出及び測距(LIDAR)の方法。
(項目28)
前記複数のレーザのうちの選択されたレーザにエネルギを加えることは、所望のパルス数で複数のレーザのうちの選択されたレーザをパルス化することを備える、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは、電気検出信号の所望の信号対ノイズ比を達成するように選択される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは4又はそれより多い、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは10又はそれより多い、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記所望のパルス数毎デューティーサイクルは25又はそれより多い、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記所望の照射領域における前記光を検出することによって、前記電気検出信号を生成することは、前記電気検出信号の所望のノイズレベルを達成する付勢点で、前記複数の検出器のうちの前記選択された検出器を付勢することを備える、項目27に記載の方法。
(項目34)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つによって照射される重複視野内の光を検出するために、前記複数の検出器のうちの少なくとも2つを位置づけることをさらに備える、項目27に記載の方法。
(項目35)
前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の前記飛行時間を測定することは、前記時間のデジタル表現を提供することを備える、項目27に記載の方法。
(項目36)
前記複数のレーザによって、前記複数の検出器へ射出される光の前記飛行時間を前記測定することは、アナログ信号をデジタル表現へ変換することを備える、項目27に記載の方法。
(項目37)
前記所望の照射領域における前記光を検出することによって、電気検出信号を生成することは、共通の電気的接続を有する検出器アレイで前記所望の照射を検出することを備える、項目27に記載の方法。
(項目38)
バックグラウンド日光の強度を低減するための検出の前に、前記所望の照射領域における前記生成された光をフィルタリングすることをさらに備える、項目27に記載の方法。
(項目39)
バックグラウンド日光の強度を低減するために検出範囲を制限することをさらに備える、項目27に記載の方法。
(項目40)
前記所望の照射領域における光を生成することは、少なくとも2つの異なる中心波長で光を生成することを備える、項目27に記載の方法。
本教示は、好ましい例示的な実施形態に応じて、そのさらなる利点とともに、添付の図面を伴って、以下の詳細な説明においてより詳しく説明される。当業者は、以下に説明される図面は、例示する目的だけのためであることを理解するであろう。図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、代わりに、概して、本教示の原理を例示することに重点を置く。図面は、出願人の教示の範囲をいかようにも制限することを意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、車両において実施される本教示に従ったLIDARシステムの実施形態を例示する。
【0009】
【
図2】
図2は、本教示に従った、自動車の周囲のためのLIDAR感知システムの実施形態の2次元の視野及び範囲要件を表す概略図を例示する。
【0010】
【
図3】
図3は、本教示のマルチモジュールLIDARセンサシステムの実施形態を例示する。
【0011】
【
図4A】
図4Aは、公知の3DフラッシュLIDARシステムの概略図を例示する。
【0012】
【
図4B】
図4Bは、
図4Aの公知の3DフラッシュLIDARシステムのシステム視野の2次元投影を例示する。
【0013】
【
図5A】
図5Aは、機械的走査手法を用いる公知のLIDARシステムを例示する。
【0014】
【0015】
【
図6A】
図6Aは、本教示に従った、ノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムの実施形態を例示する。
【0016】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aのノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのシステム視野の2次元投影を例示する。
【0017】
【
図6C】
図6Cは、個々のレーザ及び個々の検出器を強調する、
図6Aのノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのシステム視野の2次元投影を例示する。
【0018】
【
図7A】
図7Aは、本教示に従った、ノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムの実施形態のためのブロック図を例示する。
【0019】
【
図7B】
図7Bは、
図7Aのノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムの実施形態の受信及びTOF計算電子機器の詳細なブロック図を例示する。
【0020】
【
図8】
図8は、公知の焦平面アレイ(FPA)のブロック図を例示する。
【0021】
【
図9】
図9は、公知のシリコン光電子増倍管、マルチピクセル光子カウンタ(MPPC)検出器の概略を例示する。
【0022】
【
図10A】
図10Aは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を用いる、制御された検出器アレイの実施形態の概略を例示する。
【0023】
【
図10B】
図10Bは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、線形APDを用いる、制御された検出器アレイの実施形態の概略を例示する。
【0024】
【
図10C】
図10Cは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する4要素検出器サブアレイを用いる、制御された検出器アレイの実施形態の概略を例示する。
【0025】
【
図11A】
図11Aは、本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する、制御された検出器アレイの実施形態のための概略を例示する。
【0026】
【
図11B】
図11Bは、本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、線形APDを用いる制御された検出器アレイの実施形態のための概略を例示する。
【0027】
【
図11C】
図11Cは、本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する4要素検出器サブアレイを備える制御された検出器アレイの実施形態のための概略を例示する。
【0028】
【
図12】
図12は、本教示のLIDARシステムのフロントエンドスイッチを有する増幅器を有する制御された検出器アレイの実施形態を例示する。
【0029】
【
図13】
図13は、本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのアルゴリズムを実施するための方法の実施形態のフローチャートを例示する。
【0030】
【
図14】
図14は、スマート物体検出を統合する本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのアルゴリズムを実施するための方法の実施形態のフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
種々の実施形態の説明
本教示は、添付の図面に示されたようなその典型的な実施形態への参照とともに、より詳細に説明される。本教示は、種々の実施形態及び実施例に伴って説明される一方で、本教示がそのような実施形態に限定されることを意図されていない。それどころか、本教示は、当業者により認識されるような、種々の代替、変形及び均等物を包含する。本明細書における教示へのアクセスを有する当業者は、本明細書で説明されるような本開示の範囲内における追加の実施、変形、及び実施形態、同様に他の使用分野を認識するであろう。
【0032】
本明細書内での「一実施形態」又は「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本教示の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の種々の場所での「1の実施形態において」という語句の表出は、必ずしも全てが同一実施形態へ言及するものではない。
【0033】
本教示の方法の個々のステップは、本教示が動作可能のままである限り、任意の順序及び/又は同時に遂行され得ることを理解されたい。さらに、本教示の装置及び方法は、本教示が動作可能のままである限り、説明される実施形態の任意の数又はその全てを含み得ることを理解されたい。
【0034】
図1は、車両において実施される本教示のLIDARシステム100の動作を例示する。LIDARシステム100は、標的のシーンに向かう光源によって生成される光ビーム102を投影する、イルミネータとも称されるレーザプロジェクタと、その標的のシーンにおいて、人106として示される物体から反射する光104を受信するレシーバとを含む。LIDARシステムはまた、典型的に、反射光からの物体106についての距離情報を計算するシステムプロセッサ及び/又はコントローラと、所望の範囲及び視野(FOV)にわたる静的パターンであり得る光の特定のパターンを走査し得又は提供し得る要素とを含む。レシーバ、コントローラ及びシステムプロセッサは、受信した信号光を、LIDARシステムの範囲及びFOV内に属する周囲の環境の点別3Dマップを表す測定値へ変換するために用いられる。種々の実施形態において、コントローラは、特定の用途に依存する、簡単な電気回路又はより複雑なプロセッサであり得る。
【0035】
イルミネータ及びレシーバを形成するレーザ源及び光学ビーム投影システムは、車両108のフロントサイドに位置付けられ得る。レーザ源及び光学ビーム投影システムはまた、トランスミッタとも称され得る。人106、及び/又は、車又は電柱などの別の物体は、レーザ源からレシーバへ戻るように反射される光を提供する。それから、コントローラは、その物体への範囲及び距離を決定する。当業間で公知であるように、LIDARレシーバは光源から射出される光パルスの飛行時間測定値に基づいて、範囲情報を計算する。加えて、源及び投影システムの特定の設計に基づく、特定の範囲と関連付けられる標的平面におけるシーンを照射する光学ビームプロファイルについての既知の情報は、完全なx、y、z、又は、シーンの3次元写真を生成するために、反射面についての位置情報を決定するように用いられる。つまり、周囲の環境の点別3Dマップは、LIDARシステムの視野内で、照射を源からレシーバへ反射する全ての表面からの位置情報を指し示す測定データのコレクションを表す。このようにして、LIDARシステムの視野における物体の3D表現が得られる。点別3Dデータマップはまた、測定ポイントクラウドと称され得る。
【0036】
図2は、自動車202のための典型的な周囲感知LIDARシステム200の2次元の視野及び範囲要件を表す概略図を例示する。例えば、アダプティブクルーズコントロール機能は、狭い視野であるが、側視の「サラウンドビュー」視野及び範囲206に比べてより長い距離の範囲要件を有する視野及び範囲204を要求し得る。一般に、自動車におけるセンサ機能は、LIDAR、レーダ、カメラ、及び超音波センサの組み合わせによって可能とされ得る。周囲の環境についての情報を生成するためにこれらのセンサデータを組み合わせることは、しばしば「センサフュージョン」と称される。
【0037】
本教示は、LIDARが、自律的車両、又は自走運転車両、又はドライバアシスト車両のために幅広く用いられる、自動車両の文脈におけるLIDARシステムを説明するが、実施形態は任意の車両に適用可能であり得ることを理解されたい。他のタイプの車両は、ロボット、トラクタ、トラック、航空機、ドローン、ボート、船などを含み得る。本教示はまた、種々の静的な用途にも適用可能である。例えば、高密度の大都市地域において、LIDARは、車両及び歩行者の両方の交通を監視するために使用され得る。LIDARシステムのコストは時間とともに低下するように、多くの異なる用途にLIDARが展開されることが期待される。当業者は、本発明が、検出され且つ測距される物体のタイプを限定されないことを認識するであろう。
【0038】
図3は、本教示の自動車302のためのセンサシステム300を例示する。図中に2Dの楔形で例示される、種々の範囲及び視野とともに動作する6つの別個のLIDARモジュール304が存在する。LIDARモジュール304のうちの4つは、主に側視であり、それぞれが約120度の範囲及び視野306を有する。前方のモジュールは、最も狭い視野及び最も長い距離範囲を有する範囲及び視野308とともに示される。
【0039】
図4Aは、公知の3DフラッシュLIDARシステム400の概略図を例示する。フラッシュLIDARシステム400において、ハイパワーレーザ402は、標的の範囲406で物体を照射する単一の送信されるパルスで全体のトランスミッタ視野404を照射するために用いられる。標的の範囲での物体からの反射光は、焦点面アレイ(FPA)408によって受信され、アレイ408におけるそれぞれの個々の検出器は、3D測定ポイントに対応する。アレイ408が、
図4Aの側視において示される。
図4Aにおいて示されるように、トランスミッタは、ビームを拡大し、且つ、標的の範囲406での所望の視野404を照射するために作用するオプティクス410と組み合わされたハイパワーレーザ402から成る。
図4Bは、
図4Aの公知の焦点面アレイ408のシステム視野420の2次元投影を例示する。照射される領域は、アレイ408にわたる円形投影422として示される。
図4A及び
図4Bの両方へ参照すると、レシーバは、検出器アレイ408上に画像を形成するレシーバオプティクス412から成り、それぞれの個々の検出器は、正方形424として示され、且つ、個々の3D測定ポイントに対応する検出器視野を有する。検出器アレイ全体の視野は、
図6Bにおいて示される
図620における正方形424の全行列によって表される。
図620は、照射領域における円形投影422である検出器アレイ408の視野及びトランスミッタの視野は、必ずしも同一の形状及び/又はサイズではないことを示す。
【0040】
フラッシュLIDARは、典型的に、可動部を1つも有しないソリッドステートであるという利点を有する。フラッシュLIDARはまた、トランスミッタオプティクス及びレシーバオプティクスが別個に最適化され得るという利点を有する。しかし、フラッシュLIDARの1つの主な欠点は、ハイパワーレーザ402が要求されることである。100メートル以上の標的の範囲まで測定を可能とするシステムを達成し続けながら、フラッシュLIDARでクラス1の眼の安全性、特に波長を800nmから1000nmの波長の範囲に維持することは難しい。眼の安全性の理由により、フラッシュLIDARシステムは典型的に、人間の眼が比較的低い敏感性を有する1550nmの波長で作動する。しかし、1550nmの波長のトランスミッタ及びレシーバの構成要素は、比較的より高いコストを有する。
【0041】
フラッシュLIDARシステムの第2の欠点は、3Dポイントクラウドの分解能が検出器アレイ408によってのみ決定されることである。検出器の数(時々ピクセルと称される)及びアレイサイズが、測定分解能を決定する。自動車のLIDARのための角度分解能要件を満たすために、非常に高い密度の検出器アレイ(何千もの要素)が要求され得る。
【0042】
フラッシュLIDARの第3の欠点は、アレイ408における個々の検出器の全てが、並列で、カメラと同様に動作することである。単一のハイパワートランスミッタパルスのために、測定値は全ての検出器で同時に得られる。それ故に、それぞれの検出器は、TOF及び振幅データなどの信号情報を捕捉するための固有の回路構成を有しなければならない。全てのピクセルが並列で働かなければならないという要件は、ピクセル密度の増加に従って、システムのコストが非常に急速に高くなることに帰着する。リフレッシュレートはまた、典型的には、より遅いリフレッシュレートへ導くより多くのピクセル数の影響を受ける。
【0043】
図5Aは、機械的走査手法を用いる公知のLIDARシステム500を例示する。機械的走査LIDARシステムにおいて、レーザ502によって射出されるレーザビームは、可能な限り小さなビーム拡散を得るために、トランスミッタオプティクス504のセットによって高度にコリメートされる。高度にコリメートされたトランスミッタビームは、回転鏡506へ向けられ、回転鏡506は、トランスミッタビームを反射し、且つ、所望の視野にわたってレーザビームを走査するように動作する。
【0044】
示される機械的走査LIDARシステム500において、レシーバシステムは、鏡506からの反射光を受信するように構成される受信オプティクス508及び検出器510を含む。これによって、検出器510はまた、狭い視野を有する。
図5Aの概略において、ビームコンバイナ512は、送信光及び反射光を空間的に組み合わせるために用いられる。
図5Bは、
図5AのLIDARシステムのシステム視野520の2次元投影を例示する。理想的には、図において小さな正方形522として表される検出器視野は、コリメートされたレーザビームによって照射され且つ小さな円524として表される面積よりもほんの僅かだけ大きい。
【0045】
システム視野520の2D投影において、走査経路526の一例が示される。一般にMEMSデバイスとして実施される、鏡506を用いることと関連付けられる機械的制約が与えられるため、走査経路526は、まず1つの行を横切り、それから次の行を横切ってスイープする連続曲線である。鏡506の物理的動きが要求されるため、測定ポイント間を移動する際にいくらかの遅延が常に存在する。
【0046】
機械的走査LIDARシステム500は、回転鏡506によって課される特定の制限を有する。走査速度は、鏡のサイズの強い相関関係にあり、高いリフレッシュレートを有するために、その鏡のサイズはしばしば5mmより小さい径である。5mm以下の径の外側のいずれのパワーも失われ、従って標的へ送信されないため、レーザビームは恣意的にサイズが拡大されないので、鏡のサイズは、トランスミッタのコリメーション/拡散を制限する。受信側では、レシーバオプティクスは「鏡を通して見る」ため、レシーバの最大有効口径は、鏡506のサイズと再び等しい。5mmの径の有効口径内で受信される反射光の量は、標的が低い反射性を有するとき、及び/又は、雨、霧及び/又は雪などの不利な気象条件であるときなどのいくつかの条件において、単一の光子検出でさえも、要求される100メートル以上の範囲に到達するのに十分でない可能性がある。また、挑戦的な自動車環境において用いられる機械的基準の走査LIDARシステム500に対する、長期にわたる信頼性の懸念が存在する。
【0047】
図6Aは、可動部のないノイズ適応ソリッドステートLIDARシステム600の一実施形態の概略図を例示する。
図6Aにおいて、トランスミッタは、一挙にシステム視野全体を照射するフラッシュ光源ではない。その代わりに、トランスミッタは、レーザアレイ602を含み、アレイ602内のそれぞれのレーザは、独立に発射され得、光学ビームは、単一の3D測定ポイントに対応するアレイ602におけるそれぞれのレーザによって射出される。
図6Aのトランスミッタにおけるそれぞれのレーザビームは、
図5A、
図5Bと関連して説明された走査システムと同様に、単一の測定ポイントに対応するように高度にコリメートされ且つ焦点を合わせられる。いくつかの実施形態において、レーザアレイ602におけるレーザからの光ビームの全ては、トランスミッタオプティクス606を共有し、標的の範囲からの反射光もまた、レシーバオプティクス608を共有する。そのようなトランスミッタの一例は、本譲受人へ譲渡された米国特許公報第2017/0307736A1号に詳細に説明される。米国特許公報第2017/0307736A1号の全体の内容は、参照によって本明細書に援用される。
【0048】
本教示の1つの特徴は、トランスミッタにおけるレーザアレイが、個々に別個の波長を有する光学ビームを射出するレーザを含み得ることである。例えば、レーザの特定の行、列又は他の集団は、レーザの他の行、列又は他の集団と異なる波長で動作し得る。そのような多波長LIDARシステムは、低コストで、コンパクトな光学設計で、単波長LIDARシステムよりも細かい角度分解能及び性能を提供する。さらに、本教示の多波長LIDARシステムは、改良された安全性及び並列化への簡易な経路を提供し得る。例えば、2017年3月13日に出願され「Multi-Wavelength LIDAR System」と題された米国特許出願第15/456789、及び、2016年9月19日に出願され「WDM Lidar System」と題された米国仮特許出願第62/396295号に見られ、それら両方は参照によって本明細書に援用される。
【0049】
本教示の方法及び装置は、異なる周波数で光を射出するレーザ又はレーザのアレイを用いる多波長ノイズ適応LIDARシステムとともに用いられ得る。これらのシステムは、LIDARシステムの視野及び範囲にわたる種々の標的平面で、所望のビームプロファイルを形成するための、統合された又は分離されたコリメーションオプティクスと、検出器アレイでの波長の関数である、関連付けられた所望の照射領域とを含み得る。種々のシステムにおいて、レシーバは波長敏感である場合又はそうでない場合がある。レシーバが、異なる波長を射出するレーザ源によって射出される2つの波長から光を区別することが可能である実施形態において、それぞれの波長からの反射された照射は、別個に処理される。これらの実施形態において、時間の関数としての照射領域の形状及びサイズに加えて、コントローラは、いずれのレーザのパルス化がオン及びオフであるかに基づいて、照射領域の波長を決定することが可能である。このようにして、照射領域の波長は、所望の照射パターンの一部となる。
【0050】
図6Aにおいて例示されるレシーバは、可動部のないソリッドステートであり得る。レシーバは、トランスミッタアレイ602が有する個々のレーザよりも少ない数の個々の検出器要素を典型的に有する検出器アレイ604を用いる。
図6Bは、
図6AのLIDARシステムのシステム視野620の2次元投影を例示する。検出器アレイ604の個々の検出器視野が小さな正方形622として示される。トランスミッタアレイ602における個々のレーザに関連付けられる照射される測定ポイントが、円624により例示される。
図6Bは、それぞれのアレイにおける検出器の数とレーザの数との比がそれぞれ1対9であることを示す。この例において、検出器アレイは5×5のアレイである。同等の角度分解能を有するフラッシュシステムと比較すると、検出器の数がより少ないものであり得るため、
図6Aに示されるLIDARシステムの検出器アレイ604のコストは、より低いものであり得る。
図6Aにおけるシステムの測定分解能は、検出器要素のサイズによっては決定されないが、その代わりに、トランスミッタにおけるレーザの数及び個々のレーザビームのコリメーションにより決定される。
【0051】
検出器アレイ604及びそれぞれの検出器要素の要求されるサイズは、レシーバ視野全体、受信オプティクス608の焦点距離びそれぞれの検出器でのノイズを含むいくつかの要因により影響を受ける。屋外で動作する自動車システムのために、太陽によって生成されるバックグラウンドノイズが、高性能レシーバを設計するときに考慮されなければならない。波長遮断フィルタの適切な選択、及び個々の検出器視野を制限することによって、日射ノイズが制限されなければならない。日射ノイズが全くない屋内でのみLIDARシステムが動作させられる場合、検出器のサイズは、非常により大きく作製され得、検出器におけるRF要件(O/E帯域幅、立ち上がり時間、立ち下がり時間など)によってのみ制限される。
【0052】
図6Cは、個々のレーザ及び個々の検出器のための、
図6Aに関連して説明されるLIDARシステムのシステム視野650の2次元投影を例示する。
図6Cは、
図6Aの実施形態の不可欠重要な側面を例示する。
図6Cにおいて、
図6AのLIDARシステムのFOV全体における単一の3D測定ポイントが強調され、その測定ポイントが、黒い円652として示される。このポイントは、レーザアレイ602における特定の個々のレーザと1対1で対応する。この測定ポイントは個々の検出器内に属し、その個々の検出器のFOVは、それを特定するようにクロスハッチパターンの正方形654として示されてあることが、
図6Cにおいてさらに見られ得る。いくつかの実施形態において、LIDARシステムにおけるそれぞれの個々のレーザは、個々にパルス化され、本教示のLIDARシステムは、それぞれのレーザの角投影角度と、それぞれの個々の検出器の対応する視野との間の関係の知識を有する。そのようにして、本システムは、特定のレーザ発射パターンと、関連付けられる照射領域と、照射領域により照射される特定の検出器要素との間の対応を確立することが可能である。本教示のLIDARシステムは、TOF測定回路構成へのノイズ到来を適応的に低下させるためにこの対応情報を用いる。測定ノイズが最小化され得る本方法のさらなる説明が以下に説明される。
【0053】
本教示のいくつかの実施形態において、個々のレーザ測定ポイントは複数の検出器に重複し、その検出器の数は検出器の総計のうちの部分集合である。単一のレーザと単一の検出器との間の1対1の対応を有する必要はない。要求される全てのことは、いずれの検出器が特定のレーザから反射光を受信するかを識別することを可能とするために、LIDARシステムが個々のレーザと個々の検出器視野との間の対応を理解することである。
【0054】
検出器の集団又はアレイを用いる実施形態において、アレイ又はサブアレイ内の陽極は単一の入力へ接続され得、且つ、アレイ又はサブアレイ内の陰極は単一の出力へ接続され得、これによって外部の回路へ接続され、アレイ又はサブアレイデバイスは単一の要素のように作用する。検出器のアレイ又はサブアレイは、連続的である場合又はそうでない場合があり、単一の出力を生成するように並列に接続される場合又はそうでない場合がある。いくつかの実施形態において、個々の検出器、アレイ又はサブアレイの視野は、太陽のバックグラウンドノイズの影響を低減するように制限される。
【0055】
個々のレーザ又はレーザのアレイは、検出器での照射領域を生成するためにパルス化される。この照射領域は、特定の測定のために発射されるレーザのパターンに基づいて、各種の形状及びサイズを有し得る。例えば、単一のレーザは、検出器で単一のレーザ視野照射形状を生成するように発射され得る。上述のように、この照射領域は、LIDARシステムの設計に依存する各種のサイズを有し得る。複数のレーザが発射されるとき、照射領域の形状およびサイズは、発射されるレーザの位置及びそれぞれの個々のレーザ視野に依存する。
【0056】
検出器アレイは、種々の検出面積のサイズ及び形状、及びアレイ間隔を含む各種の構成を有し得る。そのようにして、照射領域は、アレイ内の複数の検出器又は単一の検出器をカバーし得る。照射領域及び検出器の構成は、より複雑な照射領域及び関連づけられる検出領域がある場合でさえも公知であるため、レーザ発射パターンと、照射領域内に属する検出器又は検出器の集団との間の1対1の対応が存在する。この対応情報は、検出器アレイからのTOF測定回路構成の入力によって見られるノイズを適応的に低下させるために、コントローラにより用いられる。
【0057】
図7Aは、本教示に従った実施形態のためのLIDARシステムブロック
図700を示す。LIDARシステムは、5つの主要な構成要素を有する。それは、コントローラ及びインタフェース電子機器702と、レーザドライバを含む送信電子機器704と、レーザアレイ706と、受信及びTOF計算電子機器708と、検出器アレイ710とである。コントローラ及びインタフェース電子機器702は、LIDARシステムの全体の機能を制御し、ホストシステムプロセッサ712へのデジタル通信を提供する。送信電子機器704は、動作及びレーザアレイ706を制御し、レーザ発射のパターンを設定する。受信及びTOF計算電子機器708は、検出器アレイ710から電気検出信号を受信し、飛行時間計算を通して範囲距離を計算するためにこれらの電気検出信号を処理する。
【0058】
図7Bは、
図7Aに関連して説明されるレシーバ及びTOF計算電子機器708の詳細なブロック
図750を例示する。検出器アレイから受信された電気検出信号752は、さらなる処理の前に検出器から受信された電気検出信号752を増幅する入力増幅器756を統合するレシーバフロントエンド754へ入力される。この増幅器からの信号出力は、いくつかの異なる回路へ分割され得る。3つのあり得る回路758、760、762は、一緒に又は任意の組み合わせで用いられ得ることが示される。時間―デジタル変換器(TDC)758は、入力信号がいくつかの振幅の閾値を過ぎるときを認識し、且つ、イベントの時間のデジタル表現を提供する専用回路である。TOF測定システムにおいて、イベントは典型的には反射される送信パルスの到達に対応し、この到達の時間は物体の距離に対応する。振幅信号ブロック760は、TDC758と同一のイベントによってトリガされる回路であるが、時間を記録する代わりに振幅を記録する。アナログーデジタル回路762は、アナログの受信された電気検出信号を、いくつかのサンプリングレートに対応するデジタル信号へ変換する。レシーバフロントエンド754から受信される処理された信号は、トリガ及び同期ロック回路766のインタフェースとなるデータ処理回路764へ入力される。データ監視及びデジタル通信インタフェース768はそれから、信号をコントローラ及びインタフェース電子機器702へ送る(
図7A)。
【0059】
当業者は、LIDARシステムの機能を例示する
図7A、
図7Bにおいて示されるブロック図は、本教示をいずれの特定のハードウェア構成へも限定していないことを認識するであろう。これらの回路のそれぞれは、別個の回路であり得、又は統合され得る。例えば、送信及び受信ブロックは、別個のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)及び/又は別個のモジュール上にあり得る。受信電子機器ブロックにおいて、フロントエンドの全て又は一部は、検出器アレイへ直接取り付けられる集積回路の一部であり得、又は、これらの回路は、他の回路を有するPCBA上にあり得る。いくつかの実施形態において、コントローラ機能は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は専用集積回路(ASIC)の内側の送信及び受信電子機器のいくつか又は全てと組み合わせられ得る。
【0060】
図8は、公知の焦点面アレイ(FPA)のためのブロック
図800を示す。FPAは、典型的には検出器アレイチップ及び読み出し集積回路(ROIC)の両方を有するアセンブリと称され、これらはハイブリッドアセンブリを形成するように共に取り付けられる。アレイ内のそれぞれの個々の検出器802、802’、802’’、802’’’が示され、その対応する個々のROIC804、804’、804’’、804’’’が「ユニットセル電子機器」としてブロック図に表示される。検出器802、802’、802’’、802’’’、及びそれぞれの検出器802、802’、802’’、802’’’のためのROIC804、804’、804’’、804’’’は、独立したデバイスとして共に作用し、時には「スマートピクセル」と称される。ROIC804、804’、804’’、804’’’は、固有のTOF回路構成を有するそれぞれの検出器802、802’、802’’、802’’’とともに、それぞれの検出器802、802’、802’’、802’’’から受信される電気検出信号のために、TOFの並列測定を可能とする回路構成を含有する。ROIC804、804’、804’’、804’’’は、入力増幅器806、TDC808、振幅信号ブロック810、アナログ―デジタル回路812、同期化814、サンプラ及び/又はメモリ816、及び出力バッファ818を含む。カメラのように、ROIC804、804’、804’’、804’’’は、それぞれのユニットセルのためのTOF情報を、TOF情報が外部回路へ読み出され得/移され得る順序でバッファ818に蓄積する。ROIC804、804’、804’’、804’’’はまた、戻りパルスのタイミングだけでなく、振幅情報も捕捉するための追加の回路構成を含み得る。しかし、典型的なFPAは、アレイ内の全ての検出器802、802’、802’’、802’’’によって共有される単一の電圧バイアス820を有することに留意されたい。
【0061】
それぞれの検出器802、802’、802’’、802’’’は固有の専用ユニットセル電子機器804、804’、804’’、804’’’を有するため、ROICチップ上の回路構成が検出器要素に線形的にスケーリングされることが理解され得る。数多くの検出器のために、この構成はシステムのコストへ有意に追加する。また、数多くの検出器を用いることは、フルフレームリフレッシュレートへ有意に追加する。それぞれのトランスミッタパルスの間で、本システムは、光が着目最大範囲から反射するために要求される時間を待たねばならず、それからそれぞれのスマートピクセルからの全てのデータは、ROIC出力バッファを通して移されなければならない。ピクセル数、データの量及びタイプ、出力バッファの速さ及び他の要因などの種々の要因に依存して、測定サイクル全体のために要求される時間が有意に変化し得る。FPAは典型的には、カメラと同様に60Hzのオーダーのフルフレームリフレッシュレートで動作する。複数のパルスを平均化するためには不十分な時間が存在するため、この比較的遅いリフレッシュレートを有するLIDARシステムは、典型的には、単一のパルス測定値のみに基づいて、距離を計算しなければならない。
【0062】
図9は、シリコン光電子増倍管(SiPM)又はマルチピクセル光子計数器(MPPC)900とも称される、公知のガイガーモードアバランシェ光検出器(APD)アレイの概略を示す。
図9に例示されるように、MPPC900は、ガイガーモードで動作させられるいくつかのAPD902、902’、902’’、902’’’から成り、それぞれのAPDは、固有のクエンチ抵抗904、904’、904’’、904’’’を有する。ガイガーモードAPD902、902’、902’’、902’’’は、全て並列に接続される。MPPC900からの出力は、それぞれの個々のガイガーモードAPD902、902’、902’’、902’’’の応答の合計である。このようにして、MPPC900は、光が複数のガイガーモードAPD要素902、902’、902’’、902’’’にわたって入射するとき、複数の光子イベントへの疑似線形応答を生成し得る。
【0063】
図10Aは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する、制御された検出器アレイ1000の実施形態の概略図を例示する。
図10Bは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、線形APDを有する制御された検出器アレイ1020の実施形態の概略を例示する。
図10Cは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムの、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する、4要素検出器サブアレイを用いる制御された検出器アレイ1050の実施形態の概略を例示する。
図10A-
図10Cへ参照すると、これらの実施形態のそれぞれにおいて、個々の検出器又は検出器のサブアレイへの電圧バイアスは、独立にLIDARシステムによって制御され得る。
図10Aにおいて、検出器要素のアレイ、ガイガーモードAPD1002、1002’、1002’’、1002’’’は、
図9のMPPC900と同様のものが示される。
図9に示されるような全ての要素のための単一の電圧バイアスの代わりに、それぞれのガイガーモードAPD1002、1002’、1002’’、1002’’’は、固有の電圧供給1004、1004’、1004’’、1004’’’を有する。制御入力1006により制御される個々の電圧供給1004、1004’、1004’’、1004’’’を用いるAPDバイアスの個々の制御を活用することによって、
図6Bに関連して説明されるように、LIDARシステムは、視野が現在パルス化されている特定のレーザの視野の外側にある検出器の電圧を適応的に低下し得る。つまり、コントローラは、コントローラによりパルス化され又は作動されるレーザ要素の特定の集団によって生成される照射領域の外側に視野がある検出器の電圧を低下させる。現在の単一のパルストランスミッタ視野の外側の検出器のために、それらの検出器の電圧バイアスは、電圧破壊点を下回るようにされ得、又は、実質的に又は完全に切られ得る。
【0064】
本教示に従ったLIDARシステムが最小化するように作動する電気検出信号におけるノイズの2つのカテゴリが存在する。第1のカテゴリは、ダイオードに入射するいずれの光からも独立した、検出器によって生み出される電気ノイズである。このノイズはしばしば、暗電流と称される。線形APD、ガイガーモードAPD、SPAD及びMPPCなどのLIDARシステムにおいて用いられる検出器にとって、これらの検出器ダイオードによって生み出される電気ノイズは、光が存在しないときでさえ有意である。電気ノイズは、適用される電圧バイアスの有意な関数であり、そのため、適用される電圧バイアスを低下することによって、検出器のための電気ノイズは有意に低減される。
【0065】
本教示に従ったLIDARシステムが最小化するように作用する電気検出信号におけるノイズの第2のカテゴリは、日射からシステムへのノイズ寄与である。太陽は、着目波長における強い放射を生み出し、日射に起因して、レシーバに絶えず入射する光子が存在する。送信されたレーザパルスからでないこれらの光子は、暗電流ノイズへの追加のランダムノイズ源とみなされる信号応答を生み出す。レシーバ設計において注意されない場合、日射からの光子入射からのノイズ信号レベルは、LIDARシステムの範囲を限定するのに十分に高いものであり得る。
【0066】
本教示のLIDARシステムにおいて、検出器暗電流及び日射ノイズの両方が抑圧される。
図10Aにおいて示される制御された検出器アレイ1000の実施形態において、電圧1004、1004’、1004’’、1004’’’は、現在の送信パルスからの反射光を受信していない全ての検出器1002、1002’、1002’’、1002’’’の制御入力1006に基づいて低減させられる。この方法において、低下された電圧バイアスを有するそれらの検出器での出力信号(ノイズ)は、有意に低減させられ、このことは、共通の合計出力における全体のノイズを低減する。従って、電圧1004、1004’、1004’’、1004’’’を低減する制御入力1006は、下流の受信回路構成へ接続される特定の検出器出力を効果的に選択する。また、
図7Bへ参照すると、いくつかの実施形態において、電圧1004、1004’、1004’’、1004’’’を低減する制御入力1006は、
図7Bの入力増幅器756へ接続される特定の検出器1002、1002’、1002’’、1002’’’出力を効果的に選択する。
【0067】
図10Bは、
図10Aに示されるような制御された検出器アレイと同様の実施形態を例示するが、ガイガーモードAPDの代わりに、この実施形態は、線形APD1022、1022’、1022’’、1022’’’を含む制御された検出器アレイ1020を用いる。
図10Aに示される制御された検出器アレイ1000と同様に、バイアス電圧はまた、共通の合計出力のノイズ全体を低減するために、低下された電圧バイアスを有するそれらの検出器での出力信号(ノイズ)を低減するように、線形APD1022、1022’、1022’’、1022’’’で低減され得る。
【0068】
図10Cは、ガイガーモードAPDのサブアレイ1052、1052’、1052’’、1052’’’が用いられる、制御された検出器アレイ1050の実施形態を例示する。
図10Aに示される実施形態と関連して説明されるような動作原則は、単一要素として作用するそれぞれのサブアレイを有する、
図10Cに示されるシステムへ同様に適用され得る。制御された検出器アレイ1050は、制御入力1056によって制御される制御可能な電圧バイアス1054、1054’、1054’’、1054’’’を用いる。この構成において、バイアス電圧1054、1054’、1054’’、1054’’’は、サブアレイ1052、1052’、1052’’、1052’’’内の検出器1056、1056’、1056’’、1056’’’を制御する。
【0069】
図11Aは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器を有する制御された検出器アレイ1100の実施形態の概略を例示する。
図11Bは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、線形APDを有する制御された検出器アレイ1120の実施形態の概略を例示する。
図11Cは、本教示に従ったノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのための、ガイガーモードAPD及びクエンチ抵抗器1050を有する4要素検出器サブアレイを備える制御された検出器アレイ1150の実施形態の概略を例示する。
【0070】
図11Aにおいては、共通の電圧バイアス1102が、MPPCアレイにおける全ての検出器1104、1104’、1104’’、1104’’’を付勢するために用いられる。しかし、それぞれのガイガーモードAPD1104、1104’、1104’’、1104’’’からの出力は、
図9に関連して説明されるような共通の出力へもはや直接接続されない。その代わりに、それぞれのAPD1104、1104’、1104’’、1104’’’からの出力は、入力増幅器1106、1106’、1106’’、1106’’’へ、それからRFスイッチ1108へ接続される。RFスイッチ1108は、活用されている検出器1104、1104’、1104’’、1104’’’からの出力のみを単一の受信信号出力へ向けるように用いられる。この構成において、検出器のうちの1つ以外の全てからのノイズ寄与は、実質的に取り除かれ、主要な潜在的ノイズ低減を提供する。また、このことは、日射ノイズが絶えず視野全体を照射し、全ての検出器においてノイズを生成する自動車用途において特に重要である。いくつかの実施形態においては、単一のレーザ及び検出器を制御することではなく、コントローラからの入力1110は、コントローラによりパルス化され又は作動されるレーザ要素の特定の集団によって生成される照射領域内の内側に視野がある検出器のサブセットからの出力を向けるようにRFスイッチ1108を設定する。
【0071】
図11Bは、
図11Aに関連して説明される制御された検出器アレイと同様の実施形態を例示するが、ガイガーモードAPDの代わりに、この実施形態は、線形APD1122、1122’、1122’’、1122’’’を用いる制御された検出器アレイ1120を含む。線形APD1122、1122’、1122’’、1122’’’は、入力増幅器1124、1124’、1124’’、1124’’’へ、及びそれから制御入力1128を介して制御されるRFスイッチ1126へ接続する。動作において、RFスイッチ1126は、制御入力1128の制御下で、制御されたトランスミッタアレイにより生成される照射領域内に属する検出器1122、1122’、1122’’、1122’’’からの出力のみを下流の電子機器へ向ける。
【0072】
図11Cは、ガイガーモードAPDのサブアレイ1152、1152’、1152’’、1152’’’が用いられる、制御された検出器アレイ1150の実施形態を例示する。
図11Cに示される実施形態は、それぞれのサブアレイ1152、1152’、1152’’、1152’’’が単一要素として作用する
図11Aに関連して説明される実施形態と同様である。制御された検出器アレイ1150は、制御入力1158により制御されるRFスイッチ1156へ接続される入力増幅器1154、1154’、1154’’、1154’’’を含む。RFスイッチ1156は、制御入力1158を介して構成される。動作において、RFスイッチ1156は、制御入力1158の制御下で、制御されたトランスミッタアレイによって生成される照射領域内に属するそれらの検出器サブアレイ1152、1152’、1152’’、1152’’’のみを下流の電子機器又は受信回路構成へ向ける。
【0073】
図10A-
図10C及び
図11A-
図11Cに例示される実施形態は、PIN、APD、ガイガーモードAPD、MPPC、又は、個々の検出器、又は検出器のアレイ又はサブアレイのいずれかを有する他のタイプの検出器を用い得る多くの可能な実施形態のほんの6つの例に過ぎないことは、当業者にとって明らかであろう。当業者はまた、本教示は、測定値出力におけるノイズをさらに最適化するために共に用いられる電圧制御(
図10A-
図10B)及びRFスイッチング(
図11A-
図11B)の両方を有する、
図10A-
図10B及び
図11A-
図11Bに関連して説明された実施形態の組み合わせを含むことも認識するだろう。
【0074】
例えば
図10A-
図10B及び
図11A-
図11Bに関連して説明された実施形態などの、いくつかの実施形態において、受信信号出力は、信号接続を通して、次のTOF計算回路へ向けられる。次の受信回路の機能性は、
図7A及び
図7Bからのブロック図において説明されるようなものである。本教示のLIDARシステムはFPAを用いず、それぞれの検出器が固有のTOF計算回路構成を有することに留意することが重要である。本教示のLIDARにおいて、TOF計算回路構成は、多くの検出器の間で共有される。そのような構成は、FPAを用いるLIDARシステムと比較して、システムアーキテクチャによっては、有意に複雑でなく、有意に低いコストを有する。加えて、本教示に従ったLIDARシステムは、要求される高速A/Dの数を最小化することによって、有意なコスト及びパワー低減を提供し得る。
【0075】
図12は、本教示に従ったLIDARシステムの実施形態の、増幅器フロントエンドスイッチ1202、1202’、1202’’、1202’’’を有する制御された検出器アレイ1200を例示する。光学リザーバにおいて、次の処理の前に信号を増加するように、第1の増幅器をフォトダイオードに直接隣接して配置することが非常に一般的である。しばしばこれらの増幅器は、検出器によって生成された電流を、シングルエンド又はデファレンシャルのいずれかの電圧信号に変換するトランスインピーダンス増幅器である。
図12に関連して説明される実施形態において、それぞれの検出器1204、1204’、1204’’、1204’’’は、増幅器1206、1206’、1206’’、1206’’’及びスイッチ1208、1208’、1208’’、1208’’’を統合する専用の増幅器フロントエンドスイッチ1202、1202’、1202’’、1202’’’を有する。それぞれの増幅器フロントエンドスイッチ1202、1202’、1202’’、1202’’’内のスイッチ1208、1208’、1208’’、1208’’’は、制御されたトランスミッタアレイによって生成される照射領域内に属する検出器1204、1204’、1204’’、1204’’’のみを下流の電子機器又は受信回路構成へ向けるために、制御入力1210によって制御される。単一のトランジスタでさえスイッチとして用いられ得、そのため、そのような機能性をそのような増幅器構造中へ統合するためのコスト及び複雑性は非常に小さいものであり得ることがよく知られている。当業者にとって、
図12の実施形態が、
図10B-
図10C及び
図11B-
図11Cにより説明されるような、他の検出器構造へ拡張され得ることは明らかであるはずである。
【0076】
図13は、本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのアルゴリズムを実施する方法1300のフローチャートを例示する。方法1300の第1ステップ1302において、コントローラが初期化される。コントローラ、例えばコントローラ702が
図7Aに示され得るが、コントローラはノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムの送信アレイ及び検出器アレイの両方へ接続される任意のコントローラであり得る。
【0077】
方法1300の第2ステップ1304において、3Dポイントクラウドを生成するための所望の照射パターンが、コントローラによって選択される。照射パターンは、時間の関数としても変化し得る特定の照射空間形状を含む。検出器アレイ上の標的の範囲及び関連付けられる照射領域での所望の照射パターンを提供するために、コントローラは、個々のレーザ又はレーザの集団のパルス化をオン及びオフにし得る。いくつかの実施形態において、パターンは、行におけるそれぞれのレーザ要素の単一の行ごとの走査であり、継続して、均一のリフレッシュレートを提供するように繰り返される。他の実施形態において、パターンは疑似ランダムであり、システムは、時間の経過とともにトランスミッタアレイ全体の視野全体を均一にカバーするように依然として作用する不連続な方法で、測定ポイントから測定ポイントへ移動する。
【0078】
方法1300の第3ステップ1306において、コントローラは、所望のパターンに基づいて発射するように、個々のレーザ又はレーザの集団を選択する。それから、コントローラは、方法1300の第4ステップ1308において測定ノイズを最小化するように、制御可能な検出器アレイ及びレシーバを構成する。
図10-
図12の説明と関連して上述されたように、ノイズ最小化の多くの手法が用いられ得る。
【0079】
方法1300の第5ステップ1310において、LIDARシステムは、第3ステップ1306において選択されたレーザ(単数又は複数)を発射する。方法1300の第6ステップ1312において、LIDARシステムは、制御された検出器アレイで、発射されたレーザから光学パルスを受信し、TOFを計算し、振幅/時間を所望にサンプリングする。本システムは、第7ステップ1314において、パルスの平均化が実施されるかどうかを決定する。パルス平均化が実施される場合、本方法は、方法1300の第5ステップ1310及び第6ステップ1312を通じたループを実行し、同一のレーザ又はレーザの集団を発射し、所望の平均化の量により要求されるだけ多くの回数、レーザ(単数又は複数)から受信した信号での測定値を採用する。例えば、1つの特定の方法において、SNRを改良するために、平均化は4個までのパルスを発射する。他の特定の方法において、平均化は25個までのパルスを発射し得、それは長時間を要するが、4つのパルス平均化よりもSNRにおけるさらなる改良を提供する。
【0080】
従って、いくつかの実施形態において、特定の視野における複数のレーザパルスを用いる複数の測定ポイントの組み合わせは、SNRを改良するために物体距離を決定するように平均化される。同一のレーザからの複数のパルスは、信号を増加するために検出器で平均化される。種々の実施形態は、異なる数のパルスを用いる。より多くのパルスがより良いSNRを導く一方で、本システムは、システムリフレッシュレートにより可能とされる時間に基づいて、いくつのパルスが平均化され得るかということにおいて制限される。いくつかの実施形態において、4又はそれより多いパルスが用いられる。他の実施形態においては、10又はそれより多いパルスが用いられ、さらに他の実施形態においては、25より多いパルスが用いられる。
【0081】
方法1300の第8ステップ1316において、個々のレーザ(単数又は複数)のために所望される数のパルスを得た後、本システムは、いくつかの手法でデータを操作するようにデジタル信号処理を適用し得る。処理後、第9ステップ1318において、コントローラはデータを蓄積し且つ/又は通信する。方法1300の第10ステップ1320において、停止するか又は継続するかの決定がなされる。それから、コントローラは、本方法の第3ステップでのパターンにおける次のレーザに進む。本システムは、方法1300の第11ステップ1322で停止されるまで、所望のパターンを通してスイープするように継続して動作する。
【0082】
図14は、スマート物体検出を統合する本教示のノイズ適応ソリッドステートLIDARシステムのアルゴリズムを実施するための方法1400のフローチャート1400を例示する。方法1400のいくつかのステップは、
図13に関連して説明された方法1300と同様又は同一である。同様のステップのいくつかの説明は繰り返されない。方法1400の第1のステップ1402において、本システムは初期化される。第2ステップ1404において、3Dポイントクラウドを生成するための所望の照射パターンが、コントローラによって選択される。方法1400の第3ステップ1406において、コントローラは、所望のパターンに基づいて発射するために、個々のレーザ又はレーザの集団を選択する。それから、コントローラは、方法1400の第4ステップ1408において、測定ノイズを最小化するように、制御可能な検出器アレイ及びレシーバを構成する。
【0083】
方法1400の第5ステップ1410において、LIDARシステムは、第3ステップ1406において選択されたレーザ又はレーザの集団を発射する。方法1400の第6ステップ1412において、LIDARシステムは、制御された検出器アレイで、発射されたレーザパルスを受信し、TOFを計算し、振幅/時間を所望にサンプリングする。本システムは、方法1400の第7ステップ1414においてパルス平均化が実施されるかどうかを決定し、所望の数のパルスが発射された場合に第5ステップ1410にループバックする。方法1400の第8ステップ1416において、個々のレーザ又はレーザの集団のための所望の数のパルスを得た後、本システムは、いくつかの手法でデータを操作するために、デジタル信号処理を適用し得る。処理後、方法1400の第9ステップ1418において、コントローラは、データを蓄積し且つ/又は通信する。
【0084】
方法1400の第10ステップ1420において、停止するか又は継続するかの決定がなされる。継続する決定がなされた場合、スマート物体検出及びパターン調節が遂行される、本方法の第11ステップ1422へシステムが進む。本方法のこの第11ステップ1422において、コントローラは、3Dポイントクラウドを分析するための能力を有し、特定の規則に対処し、且つ/又は性能全体を最適化するためにパルス平均化と同様に、レーザ発射のパターンを調節する決定をなす。例えば、自動車のLIDARシステムは、コントローラが、物体が車両に潜在的に衝突し得ると決定した場合に、リフレッシュレート及び/又はその物体の測定値の正確性を増加させるために、LIDARシステムがその物体に「ロックオン」して、発射のパターン及び/又は視野を変化させ得るような規則を有し得る。別の実施形態において、コントローラは、計算される検出の可能性、エラーレート、それぞれのレーザにおいて測定される物体の距離、及び/又は環境的条件などの種々の基準に基づいたそれぞれの個々のレーザのために、パルス平均化の量又は発射パターンを調節し得る。本システムは、停止する決定がなされた場合に本方法を終えるように、方法1400の第12ステップ1424に進む。
【0085】
均等物
本出願人の教示は、種々の実施形態を伴って説明されるが、本出願人の教示は、そのような実施形態へ限定されるという意図はない。それどころか、本出願人の教示は、当業者によって認識され得るように、本教示の意図及び範囲から出ない中で本明細書においてなされ得る、種々の代替物、変形物及び均等物を包含し得る。