IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 楊 朋▲い▼の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】二輪車駐輪機
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/06 20060101AFI20231121BHJP
   B62H 3/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
E04H6/06 X
B62H3/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021072356
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2022145361
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】202110288628.6
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521172893
【氏名又は名称】楊 朋▲い▼
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ミンイ
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-039493(JP,A)
【文献】特開2016-014311(JP,A)
【文献】米国特許第6095344(US,A)
【文献】特開平02-096059(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107042851(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
B62H 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、前記第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と前記第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機であって、
第二付勢部材は、前記支柱の内部に配置され、第二ピストンロッドが自然状態で第二シリンダの中に収縮し、内へ収縮すると牽引力を発揮する第二逆方向引張ガススプリングで構成され、前記第二ピストンロッドと前記第二シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に前記支柱に取り付けられる固定端であり、前記第二ピストンロッドと前記第二シリンダのうちの他端は、第二ワイヤー、第二動滑車及び第二定滑車を含む第二巻き掛け伝動機構を介して前記第二可動体に接続される可動端であり、
前記第二巻き掛け伝動機構の前記第二定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第二フロント定滑車であり、
前記第二ワイヤーは、可動端移動軌跡が前記第二フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が前記第二フロント定滑車と可動端に取り付けられた前記第二動滑車とに巻き掛けられ、他端が前記支柱の頂上部の前記第二定滑車を通して前記第二可動体に接続されることを特徴とする、二輪車駐輪機。
【請求項2】
前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、前記第二ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、前記第二ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、前記第二ピストンロッドの先端は固定端であり、
或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、前記第二ピストンロッドの先端は固定端であることを特徴とする、請求項1記載の二輪車駐輪機。
【請求項3】
ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、前記第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と前記第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機であって、
第一付勢部材は、前記支柱の内部に配置された、第一ピストンロッドが自然状態で第一シリンダの中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第一逆方向引張ガススプリングで構成され、前記第一ピストンロッドと前記第一シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に前記支柱に取り付けられる固定端であり、前記第一ピストンロッドと前記第一シリンダのうちの他端は、第一ワイヤー、第一動滑車及び第一定滑車を含む第一巻き掛け伝動機構を介して前記第一可動体に接続される可動端であり、
前記第一巻き掛け伝動機構の前記第一定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第一フロント定滑車であり、
前記第一ワイヤーは、可動端移動軌跡が前記第一フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が前記第一フロント定滑車と可動端に取り付けられた前記第一動滑車とに巻き掛けられ、他端が前記支柱の頂上部の前記第一定滑車を通して前記第一可動体に接続されることを特徴とする、二輪車駐輪機。
【請求項4】
前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、前記第一ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、前記第一ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、前記第一ピストンロッドの先端は固定端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、前記第一ピストンロッドの先端は固定端であることを特徴とする、請求項3記載の二輪車駐輪機。
【請求項5】
ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、前記第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と前記第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機であって、
第一付勢部材は、前記支柱の内部に配置された、第一ピストンロッドが自然状態で第一シリンダの中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第一逆方向引張ガススプリングで構成され、前記第一ピストンロッドと前記第一シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に前記支柱に取り付けられる固定端であり、前記第一ピストンロッドと前記第一シリンダのうちの他端は、第一ワイヤー、第一動滑車及び第一定滑車を含む第一巻き掛け伝動機構を介して前記第一可動体に接続される可動端であり、
前記第一巻き掛け伝動機構の前記第一定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第一フロント定滑車であり、
前記第一ワイヤーは、可動端移動軌跡が前記第一フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が前記第一フロント定滑車と可動端に取り付けられた前記第一動滑車とに巻き掛けされ、他端が前記支柱の頂上部の前記第一定滑車を通して前記第一可動体に接続され、
第二付勢部材は、支柱内部に配置された、第二ピストンロッドが、自然状態で第二シリンダの中に収縮し、内へ収縮すると牽引力を発揮する第二逆方向引張ガススプリングで構成され、前記第二ピストンロッドと前記第二シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に前記支柱に取り付けられる固定端であり、前記第二ピストンロッドと前記第二シリンダのうちの他端は、第二ワイヤー、第二動滑車及び第二定滑車を含む第二巻き掛け伝動機構を介して前記第二可動体に接続される可動端であり、
前記第二巻き掛け伝動機構の前記第二定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第二フロント定滑車であり、
前記第二ワイヤーは、可動端移動軌跡が前記第二フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が前記第二フロント定滑車と可動端に取り付けられた前記第二動滑車とに巻き掛けられ、他端が前記支柱の頂上部の前記第二定滑車を通して前記第二可動体に接続されることを特徴とする、二輪車駐輪機。
【請求項6】
前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、前記第一ピストンロッドの先端は可動端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、前記第二ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、前記第一ピストンロッドの先端は可動端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、前記第二ピストンロッドの先端は可動端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、前記第一ピストンロッドの先端は固定端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、前記第二ピストンロッドの先端は固定端であり、
或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの前記第一シリンダは、前記第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、前記第一ピストンロッドの先端は固定端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの前記第二シリンダは、前記第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、前記第二ピストンロッドの先端は固定端であることを特徴とする、請求項5記載の二輪車駐輪機。
【請求項7】
前記第一逆方向引張ガススプリングと前記第二逆方向引張ガススプリングとは、前記支柱の内部で左右に分かれ上下方向に並列して配置され、前記第一巻き掛け伝動機構と前記第二巻き掛け伝動機構も前記支柱の内部で左右に分かれ上下方向に並列して配置されることを特徴とする、請求項5記載の二輪車駐輪機。
【請求項8】
前記支柱を平面視する時に、
前記第一巻き掛け伝動機構における前記支柱の頂上部に取り付けられた前記第一定滑車の巻き掛け中心線は、前記ラックの長手方向の幅中心線と交差するように傾斜して配置されると共に、頂上部の前記第一定滑車に巻き掛けられた前記第一ワイヤーは頂上部の前記第一定滑車の巻き掛け中心線と幅中心線との交点から垂下して前記第一可動体に至り、
前記第二巻き掛け伝動機構における前記支柱の頂上部に取り付けられた前記第二定滑車の巻き掛け中心線は、幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の前記第二定滑車に巻き掛けられた前記第二ワイヤーは垂下して前記第二可動体に至ることを特徴とする、請求項7に記載の二輪車駐輪機。
【請求項9】
前記支柱を平面視する時に、
前記第一巻き掛け伝動機構における前記支柱の頂上部に取り付けられた前記第一定滑車の巻き掛け中心線は、前記ラックの長手方向の幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の前記第一定滑車に巻き掛けられた前記第一ワイヤーは垂下して前記第一可動体に至り、
前記第二巻き掛け伝動機構における前記支柱の頂上部に取り付けられた前記第二定滑車の巻き掛け中心線は、幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の前記第二定滑車に巻き掛けられた前記第二ワイヤーは垂下して前記第二可動体に至り、頂上部の前記第二定滑車は、頂上部の前記第一定滑車の下方に位置し、直径が頂上部の前記第一定滑車より小さくて、頂上部の前記第一定滑車の投影にあることを特徴とする、請求項7記載の二輪車駐輪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車駐輪機に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車を容易に駐輪するために、自転車駐輪専用の駐輪装置の開発設計がなされており、関連する特許も少なくない。例えば、下記特許文献1には、自転車駐輪機が開示されている。
【0003】
図1図7に示すように、特許文献1の自転車駐輪機は、自転車を搭載可能なラック11’と、前記ラック11’を上下方向に筒状形態で立設された支柱3’に沿って昇降可能な第一可動体12’とを有し、自転車を搭載しない空車状態のラック11’と第一可動体12’の合計荷重を牽引する機能を有する第一付勢部材81’によって常時上方に引き上げるように付勢される第一昇降部10’と、前記第一昇降部10’の下方に配置され、前記支柱3’に沿って前記第一昇降部10’と一体的に昇降可能な第二可動体21’を有し、前記ラック11’に実車状態で搭載された自転車と前記第二可動体21’との合計荷重を牽引する機能を有する第二付勢部材80’によって常時上方に引き上げるように付勢される前記第二昇降部20’と、前記第一昇降部10’と第二昇降部20’との間に設けられ、前記第一昇降部10’と第二昇降部20’を前記支柱3’に対して個別にロック可能にすると共に、前記空車状態では前記第一昇降部10’の単独状態での昇降を可能とし、前記実車状態では前記第一昇降部10’及び第二昇降部20’にそれぞれ設けられた当接部が圧接することにより両者が一体化した状態での昇降を可能とする係合部30U’、30L’と、を備える。
【0004】
上記構成は自転車駐輪機の一般の構成設計であり、特許文献1の自転車駐輪機の設計要点は、以下のとおりである。
第1に、前記第二付勢部材80’は、前記支柱3’の内部に配置されたガススプリングで構成され、このガススプリングのシリンダ80S’は、前記支柱3’に対し直接又は取付部材を介して間接的に取り付けられ、下向きに突出して牽引力を発揮するピストンロッド80R’の先端部は、動滑車8M’を含む巻き掛け伝動機構8’を介して前記第二可動体21’に接続される。
第2に、前記第一付勢部材81’は、前記第二付勢部材80’のガススプリングとは別個に前記支柱3’の内部に配置された補助ガススプリングで構成され、この補助ガススプリングの補助シリンダ81S’は、前記支柱3’に対し直接又は取付部材を介して間接的に取り付けられ、下向きに突出して牽引力を発揮する補助ピストンロッド81R’の先端部は、前記動滑車8M’とは別個に設けられた補助動滑車8N’を含む、前記巻き掛け伝動機構8’とは別個に設けられた他の巻き掛け伝動機構である補助巻き掛け伝動機構800’を介して前記第一可動体12’に接続される。
第3に、前記巻き掛け伝動機構8’は、一端を前記支柱3’に固定された連結部材(ワイヤー8w’)が、前記ピストンロッド80R’の先端部に取り付けられた前記動滑車8M’と前記支柱3’に取り付けられた定滑車8F’とに巻き掛けられ、他端を前記第二可動体21’に固定されて構成される。
第4に、前記補助巻き掛け伝動機構800’は、一端を前記支柱3’に固定され且つ前記連結部材(ワイヤー8w’)とは別個に設けられた他の連結部材である補助連結部材(ワイヤー8x’)が、前記補助ピストンロッド81R’の先端部に取り付けられた前記補助動滑車8N’と、前記支柱3’に取り付けられ且つ前記定滑車8F’とは別個に設けられた他の定滑車である補助定滑車8E’とに巻き掛けられ、他端を前記第一可動体12’に固定されて構成される。
第5に、前記巻き掛け伝動機構8’と前記補助巻き掛け伝動機構800’とは、前記ラック11’の長手方向に沿う幅中心線11y’に対して左右に分かれ且つ前記支柱3’の内部で上下方向に並列して配置される。
第6に、平面視において、前記定滑車8F’及び前記補助定滑車8E’の巻き掛け中心線8f’、8e’は、長手方向に所定距離離隔した位置で前記幅中心線11y’とそれぞれ交差するように傾斜して配置されると共に、前記定滑車8F’に巻き掛けられた前記連結部材(ワイヤー8w’)は、前記幅中心線11y’との交点から垂下して前記第二可動体21’に至り、前記補助定滑車8E’に巻き掛けられた前記補助連結部材(ワイヤー8x’)は、前記幅中心線11y’との交点から垂下して前記第一可動体12’に至る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国特許第107575061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の自転車駐輪機を分析すれば、欠点が存在することを分かるのは難事ではない。
【0007】
第1に、第一付勢部材81’(補助ガススプリング)の補助ピストンロッド81R’と第二付勢部材80’(ガススプリング)のピストンロッド80R’とは、共に下向きに突出して牽引力を発揮し、自然状態において、補助ピストンロッド81R’は、補助シリンダ81S’から伸び、ピストンロッド80R’はシリンダ80S’から伸び、即ち、補助ガススプリングとガススプリングとは、共に引張ガススプリングを用いる。取り付ける時に、補助シリンダ81S’とシリンダ80S’とを支柱3’の上方に固定するが、補助定滑車8E’と定滑車8F’とを支柱3’の頂上部に位置させる。
【0008】
このように、補助ピストンロッド81R’の先端が補助定滑車8E’の固定点と補助シリンダ81S’の固定点との外にあり、即ち、補助ピストンロッド81R’の先端が常時2つの固定点の外で移動し、補助ピストンロッド81R’が補助シリンダ81S’から伸びるか、補助シリンダ81S’に引き戻されるかを問わず、ワイヤー8x’の引張力又は自身の伸びによる押し力によって、ねじり力を生じやすく振れを引き起こし、補助ピストンロッド81R’の振れを防止するために、補助ピストンロッド81R’の先端の移動軌跡を保証することを要し、直線状案内機構(ガイドローラ822’とレール等を含む)を使用しなければならない。
【0009】
同様に、ピストンロッド80R’の先端は、定滑車8F’の固定点とシリンダ80S’の固定点との外にあり、即ち、ピストンロッド80R’の先端が常時2つの固定点の外で移動し、ピストンロッド80R’がシリンダ80S’から伸びるか、シリンダ80S’に引き戻されるかを問わず、ワイヤー8w’の引張力又は自身の伸びによる押し力によって、ねじり力を生じやすく振れを引き起こし、ピストンロッド80R’の振れを防止するために、ピストンロッド80R’の先端の移動軌跡を保証することを要し、直線状案内機構(ガイドローラ821’とレール等を含む)を使用しなければならない。そのため、特許文献1では、部材が多く、構成が複雑で、取り付けることが面倒である。
【0010】
第2に、巻き掛けられるワイヤー8x’、ワイヤー8w’は、共に対応する補助シリンダ81S’と補助ピストンロッド81R’、シリンダ80S’とピストンロッド80R’を通る必要がある。そのため、特許文献1では、ワイヤー8x’とワイヤー8w’に必要な長さが長く、消耗材料が多い。
【0011】
第3に、補助ピストンロッド81R’とピストンロッド80R’の先端には、動滑車8M’と補助動滑車8N’の移動軌跡位置が固定されることを保証するため、共に直線状案内機構を使用し、動滑車8M’と補助動滑車8N’の輪軸線は、共に幅中心線11y’に対して垂直であり、このように、ワイヤー8w’とワイヤー8x’による第二可動体21’と第一可動体12’の精確な牽引を保証すると共に、ワイヤー8w’とワイヤー8x’が絡むことを回避するために、定滑車8F’及び補助定滑車8E’の巻き掛け中心線8f’、8e’を必ず幅中心線11y’とそれぞれ交差させ、定滑車8F’及び補助定滑車8E’を傾斜して配置しなければならなく、取付位置が限定されることになる。
【0012】
以上に鑑みて、本発明者は、上記特許の自転車駐輪機の欠陥及び不便に対して、念入りに構想し、鋭意研究と改良を行い試作したところ、本願を開発設計した。
【0013】
本発明は、構成を簡単にし、取り付けを容易にし、消耗材料を低減した二輪車駐輪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の解決手段は、ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機において、第二付勢部材は、支柱内部に配置され、その第二ピストンロッドが、自然状態で第二シリンダの中に収縮し、内へ収縮すると牽引力を発揮する第二逆方向引張ガススプリングで構成され、第二ピストンロッドと第二シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に支柱に取り付けられる固定端であり、第二ピストンロッドと第二シリンダのうちの他端は、第二ワイヤー、第二動滑車及び第二定滑車を含む第二巻き掛け伝動機構を介して第二可動体に接続される可動端であり、第二巻き掛け伝動機構の第二定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第二フロント定滑車であり、第二ワイヤーは、可動端移動軌跡が第二フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が第二フロント定滑車と可動端に取り付けられた第二動滑車とに巻き掛けられ、他端が支柱の頂上部の第二定滑車を通して第二可動体に接続される、二輪車駐輪機。
【0015】
ここで、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、第二ピストンロッドの先端は可動端である。或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第二ピストンロッドの先端は、可動端である。或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、第二ピストンロッドの先端は固定端である。或いは、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第二ピストンロッドの先端は固定端である。
【0016】
本発明に係る第2の解決手段は、ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機において、第一付勢部材は、支柱内部に配置された、その第一ピストンロッドが自然状態で第一シリンダの中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第一逆方向引張ガススプリングで構成され、第一ピストンロッドと第一シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に支柱に取り付けられる固定端であり、第一ピストンロッドと第一シリンダのうちの他端は、第一ワイヤー、第一動滑車及び第一定滑車を含む第一巻き掛け伝動機構を介して第一可動体に接続される可動端であり、第一巻き掛け伝動機構の第一定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第一フロント定滑車であり、第一ワイヤーは、可動端移動軌跡が第一フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が第一フロント定滑車と可動端に取り付けられた第一動滑車とに巻き掛けられ、他端が支柱の頂上部の第一定滑車を通して第一可動体に接続される二輪車駐輪機。
【0017】
ここで、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、第一ピストンロッドの先端は可動端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第一ピストンロッドの先端は可動端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、第一ピストンロッドの先端は固定端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第一ピストンロッドの先端は固定端である。
【0018】
本発明に係る第3の解決手段は、ラック、第一可動体及び第一付勢部材を有する第一昇降部と、第一昇降部の下方に配置され、第二可動体と第二付勢部材を有する第二昇降部と、前記第一昇降部と第二昇降部との間に設けられる係合部と、支柱と、を備える二輪車駐輪機において、第一付勢部材は、支柱内部に配置された、その第一ピストンロッドが自然状態で第一シリンダの中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第一逆方向引張ガススプリングで構成され、第一ピストンロッドと第一シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に支柱に取り付けられる固定端であり、第一ピストンロッドと第一シリンダのうちの他端は、第一ワイヤー、第一動滑車及び第一定滑車を含む第一巻き掛け伝動機構を介して第一可動体に接続される可動端であり、第一巻き掛け伝動機構の第一定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第一フロント定滑車であり、第一ワイヤーは、可動端移動軌跡が第一フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が第一フロント定滑車と可動端に取り付けられた第一動滑車とに巻き掛けされ、他端が支柱の頂上部の第一定滑車を通して第一可動体に接続され、第二付勢部材は、支柱内部に配置された、その第二ピストンロッドが、自然状態で第二シリンダの中に収縮し、内へ収縮すると牽引力を発揮する第二逆方向引張ガススプリングで構成され、第二ピストンロッドと第二シリンダのうちの一端は、直接又は間接的に支柱に取り付けられる固定端であり、第二ピストンロッドと第二シリンダのうちの他端は、第二ワイヤー、第二動滑車及び第二定滑車を含む第二巻き掛け伝動機構を介して第二可動体に接続される可動端であり、第二巻き掛け伝動機構の第二定滑車のうちの少なくとも1つは、可動端移動軌跡の前方に位置する第二フロント定滑車であり、第二ワイヤーは、可動端移動軌跡が第二フロント定滑車と固定端との間にあるように、一端が第二フロント定滑車と可動端に取り付けられた第二動滑車とに巻き掛けられ、他端が支柱の頂上部の第二定滑車を通して第二可動体に接続される二輪車駐輪機。
【0019】
ここで、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、第一ピストンロッドの先端は可動端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が固定端であり、第二ピストンロッドの先端は可動端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第一ピストンロッドの先端は可動端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第二ピストンロッドの先端は可動端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、第一ピストンロッドの先端は固定端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが上向きに伸びることができるように、下にあり且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、第二ピストンロッドの先端は固定端である。或いは、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダは、第一ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第一ピストンロッドの先端は固定端であり、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダは、第二ピストンロッドが下向きに伸びることができるように、上にあり且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第二ピストンロッドの先端は固定端である。
【0020】
前記第一逆方向引張ガススプリングと第二逆方向引張ガススプリングとは、支柱の内部で左右に分かれ上下方向に並列して配置され、第一巻き掛け伝動機構と第二巻き掛け伝動機構も支柱の内部で左右に分かれ上下方向に並列して配置される。
【0021】
前記支柱を平面視する時に、第一巻き掛け伝動機構における支柱の頂上部に取り付けられた第一定滑車の巻き掛け中心線は、ラックの長手方向の幅中心線と交差するように傾斜して配置されると共に、頂上部の第一定滑車に巻き掛けられた第一ワイヤーは頂上部の第一定滑車の巻き掛け中心線と幅中心線との交点から垂下して第一可動体に至り、第二巻き掛け伝動機構における支柱の頂上部に取り付けられた第二定滑車の巻き掛け中心線は幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の第二定滑車に巻き掛けられた第二ワイヤーは垂下して第二可動体に至る。
【0022】
前記支柱を平面視する時に、第一巻き掛け伝動機構における支柱の頂上部に取り付けられた第一定滑車の巻き掛け中心線は、ラックの長手方向の幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の第一定滑車に巻き掛けられた第一ワイヤーは垂下して第一可動体に至り、第二巻き掛け伝動機構における支柱の頂上部に取り付けられた第二定滑車の巻き掛け中心線は、幅中心線と重なり合うように配置されると共に、頂上部の第二定滑車に巻き掛けられた第二ワイヤーは垂下して第二可動体に至り、頂上部の第二定滑車は、頂上部の第一定滑車の下方に位置し、直径が頂上部の第一定滑車より小さくて、頂上部の第一定滑車の投影にある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以下のメリットを有する。第1に、第一付勢部材と第二付勢部材は、共に逆方向引張ガススプリングを用い、且つ各可動端の移動軌跡がそれぞれ対応するフロント定滑車と固定端との間にあり、即ち、可動端が常時フロント定滑車の固定点と固定端との間で移動し、ワイヤーの引張力に案内されて可動端の移動軌跡が一定になるので、直線状案内機構を使用する必要がなく、ガイドローラと支柱中のレールが要らなく、部材が少なくなり、構造が簡単になり、消耗材料が少なくなり、取り付けやすくなる。
【0024】
第2に、逆方向引張ガススプリングは、シリンダが下にあり且つ底部が固定端であり、シリンダが上に向けて開口するように設けられた時に、ピストンロッドは上向きに伸び、先端が可動端であり、このように、ピストンロッドの先端とフロント定滑車及び支柱の頂上部に位置する定滑車との間の距離が短縮され、ワイヤーはピストンロッドの先端とフロント定滑車及び支柱の頂上部に位置する定滑車とに巻き掛けられ、シリンダとピストンロッドを通ることなく、ワイヤーに必要な長さが大幅に短くなり、消耗材料が一層少なくなる。或いは、逆方向引張ガススプリングは、シリンダが上にあり且つ頂上部が可動端であり、シリンダが下に向けて開口するように設けられた時に、ピストンロッドは下向きに伸び、先端が固定端であり、このように、シリンダの頂上部とフロント定滑車及び支柱の頂上部に位置する定滑車との間の距離が短縮され、ワイヤーはシリンダの頂上部とフロント定滑車及び支柱の頂上部に位置する定滑車とに巻き掛けられ、シリンダとピストンロッドを通ることなく、ワイヤーに必要な長さが同様に短くなり、消耗材料が少なくなる。
【0025】
第3に、可動端は、対応するフロント定滑車と固定端との間で移動し、移動軌跡が一定であり、直線状案内機構を使用する必要がないため、動滑車の位置は必要に応じて変更可能であり、それに対して、支柱の頂上部に位置する定滑車の位置も必要に応じて決定可能であり、巻き掛け伝動機構の定滑車の取付位置が限定されることがなく、より柔軟な取付設計が可能であり、ワイヤーによる第一可動体と第二可動体の精確な牽引を保証すると共に、ワイヤーが絡むことを回避することができればよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】特許文献1の図28であり、ラックが実車状態で上段位置にある全体背面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図1の右側面図である。
図4】特許文献1の図32であり、ラックが空車状態で下段位置にある場合の右側面図である。
図5】特許文献1の図33であり、ラックが空車状態で下段位置にある場合の右側面図を示す。
図6図1中の定滑車を平面視した時の支柱の断面図である。
図7図1中の動滑車を平面視した時の支柱の断面図である。
図8】本発明の実施例1であり、ラックが空車状態で下段位置にある支柱内部構造の背面図である。
図9図8の左側面図である。
図10図8の右側面図である。
図11】本発明の実施例1であり、ラックが実車状態で上段位置にある支柱内部構造の背面図である。
図12図11の左側面図である。
図13図11の右側面図である。
図14図8中の動滑車と頂上部定滑車を平面視した位置関係図である。
図15】本発明の実施例2であり、2つの頂上部定滑車が上下に一致した時にラックが空車状態で下段位置にある支柱内部構造図である。
図16図15中の動滑車と頂上部定滑車を平面視した位置関係図である。
図17】本発明の実施例3であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図18】本発明の実施例4であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図19】本発明の実施例5であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図20】本発明の実施例6であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図21】本発明の実施例7であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図22】本発明の実施例8であり、ラックが空車状態で下段位置にある支柱内部構造の背面図である。
図23図22の右側面図である。
図24図22の左側面図である。
図25】本発明の実施例8であり、ラックが実車状態で上段位置にある支柱内部構造の背面図である。
図26図25の左側面図である。
図27図25の右側面図である。
図28】本発明の実施例9であり、巻き掛け伝動機構の概略図である。
図29】本発明の実施例10であり、巻き掛け伝動機構の概略図図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図8図13には本発明の好ましい実施例1を示す。
【0028】
この好ましい実施例1は、第一昇降部1、第二昇降部2、係合部3及び支柱4を備える二輪車駐輪機を開示する。第一昇降部1は、ラック11、第一可動体12及び第一付勢部材13を有する。第二昇降部2は、第一昇降部1の下方に配置され、第二可動体21と第二付勢部材22を有する。係合部3は、第一昇降部1と第二昇降部2との間に設けられる。上記構造は二輪車駐輪機の基本的構造であり、上述した特許文献1又は他の従来技術の構造を参照してもよい。
【0029】
本発明の実施例1において、第一付勢部材13と第二付勢部材22は、特許文献1におけるガススプリングの自然状態と異なり、牽引力発揮形態が異なる逆方向引張ガススプリングを用いることを改良点とする。また、本発明では、フロント定滑車が増設され、逆方向引張ガススプリングのピストンロッドとシリンダのうちの一端が固定端であり、他端が可動端であり、逆方向引張ガススプリングの可動端がフロント定滑車の固定点と固定端との間に設けられ、ワイヤーの引張力に案内されて可動端移動軌跡が一定になり、特許文献1のように直線状案内機構を使用する必要がなく、ガイドローラと支柱中のレールが要らなく、部材が少なくなり、構造が簡単になり、消耗材料が少なくなり、取り付けやすくなる。
【0030】
具体的には、第一付勢部材13は、支柱4の内部に配置された、その第一ピストンロッド131が、自然状態で第一シリンダ132の中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第一逆方向引張ガススプリングで構成される。第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダ132は、直接又は間接的に支柱4に取り付けられ、実施例1において、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダ132は、下方にあり、上に向けて開口し、それによって第一ピストンロッド131は上向きに伸びることができ、第一シリンダ132の底部が固定端であり、第一ピストンロッド131の先端が可動端である。第一ピストンロッド131の先端は、第一ワイヤー51、第一動滑車52及び第一定滑車53を含む第一巻き掛け伝動機構5を介して第一可動体12に接続される。第一定滑車53のうちの少なくとも1つは、第一ピストンロッド131が外に伸びる前方に位置し、即ち上方に位置する第一フロント定滑車531であり、第一動滑車52は第一ピストンロッド131の先端に取り付けられ、第一ワイヤー51は、第一ピストンロッド131の先端移動軌跡が第一フロント定滑車531と第一シリンダ132との間にあるように、一端が第一フロント定滑車531と第一動滑車52とに巻き掛けられ、他端が支柱4の頂上部の第一定滑車53を通して第一可動体12に接続される。ここで、第一動滑車52と第一定滑車53の具体的な数や第一ワイヤー51の巻き掛け方式は、設計に応じて決定し、図に示すようにしてもよいが、図示構造に限定されることがない。図17に示すように、実施例3では、第一巻き掛け伝動機構5は支柱4の頂上部にある1つのみの第一定滑車53を有し、この実施例において第一定滑車53は同時に実施例1における第一フロント定滑車531の作用を果たす。実際に組み立てる時に、図9図12に示すように、支柱4の頂上部に取付部41が設けられ、頂上部に位置する第一定滑車53が輪軸によって取付部41に設けられる。内部構造の図示の便宜上、図8、10、11、13、15では取付部41を省略した。
【0031】
第二付勢部材22は、支柱4の内部に配置された、その第二ピストンロッド221が、自然状態で第二シリンダ222の中に収縮し、内に収縮すると牽引力を発揮する第二逆方向引張ガススプリングで構成される。第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダ222は、直接又は間接的に支柱4に取り付けられ、この実施例において、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダ222は下方にあり、上に向けて開口し、それによって第二ピストンロッド221は上向きに伸びることができ、第二シリンダ222の底部が固定端であり、第二ピストンロッド221の先端が可動端である。第二ピストンロッド221の先端部は、第二ワイヤー61、第二動滑車62及び第二定滑車63を含む第二巻き掛け伝動機構6を介して第二可動体21に接続される。第二定滑車63のうちの少なくとも1つは、第二ピストンロッド221が外に伸びる前方に位置し、即ち上方に位置する第二フロント定滑車631であり、第二動滑車62は第二ピストンロッド221の先端に取り付けられ、第二ワイヤー61は、第二ピストンロッド221の先端移動軌跡が第二フロント定滑車631と第二シリンダ222との間にあるように、一端が第二フロント定滑車631と第二動滑車62とに巻き掛けられ、他端が支柱4の頂上部の第二定滑車63を通して第二可動体21に接続される。ここで、第二動滑車62と第二定滑車63の具体的な数や第二ワイヤー61の巻き掛け方式は、設計に応じて決定し、図に示すようにしてもよいが、図示構造に限定されることがない。第二巻き掛け伝動機構6は、同様に図17に示す第一巻き掛け伝動機構5のように、支柱4の頂上部にある1つのみの第二定滑車63を有してもよく、このように、第二定滑車63は同時に第二フロント定滑車631の作用を果たす。
【0032】
この実施例では、シリンダが下にあり且つ固定され、ピストンロッドが上向きに伸び、第一ピストンロッド131の先端と第一フロント定滑車531及び支柱4の頂上部に位置する第一定滑車53との距離が短縮され、第一ワイヤー51は巻き掛けられる時に第一シリンダ132と第一ピストンロッド131とを通ることなく、第一ワイヤー51に必要な長さが大幅に短くなり、消耗材料が一層少なくなる。同様に、第二ワイヤー61に必要な長さも大幅に短くなり、消耗材料が少なくなる。
【0033】
この実施例1では、図8図11に示すように、前記第一付勢部材13の第一逆方向引張ガススプリングと第二付勢部材22の第二逆方向引張ガススプリングは、支柱4の内部で左右に分かれて上下方向に並列して配置され、第一巻き掛け伝動機構5と第二巻き掛け伝動機構6も、支柱4の内部で左右に分かれて上下方向に並列して配置される。これは本発明の好ましい取付方式である。
【0034】
本発明は、ピストンロッドの先端に直線状案内機構を使用する必要がないので、動滑車の位置が限定されることがなく、それに対して、支柱4の頂上部に位置する定滑車の取付位置も限定されることがなく、より柔軟な取付設計が可能であり、ワイヤーによる第一可動体12と第二可動体21の精確な牽引を保証すると共に、ワイヤーが絡むことを回避することができればよい。
【0035】
具体的には、図14に示すように、前記支柱4を平面視する時に、支柱4の頂上部に取り付けられた第一定滑車53の巻き掛け中心線L1は、ラック11の長手方向の幅中心線11yと交差するように傾斜して配置され、頂上部の第一定滑車53に巻き掛けられた第一ワイヤー51は、頂上部の第一定滑車53の巻き掛け中心線L1と、幅中心線11yとの交点から垂下して第一可動体12に接続され、支柱4の頂上部に取り付けられた第二定滑車63の巻き掛け中心線L2は、幅中心線11yと重なり合うように配置され、頂上部の第二定滑車63に巻き掛けられた第二ワイヤー61は、垂下して第二可動体21に接続される。勿論、第一定滑車53の巻き掛け中心線L1を幅中心線11yと重なり合うように配置し、第二定滑車63の巻き掛け中心線L2を幅中心線11yと交差するように傾斜して配置してもよく、その効果は図14に類似するので、本明細書では図示を省略する。更に、図15図16に示すように、前記支柱4を平面視する時に、支柱4の頂上部に取り付けられた第一定滑車53の巻き掛け中心線L1は、幅中心線11yと重なり合うように配置され、頂上部の第一定滑車53に巻き掛けられた第一ワイヤー51は、垂下して第一可動体12に接続され、支柱4の頂上部に取り付けられた第二定滑車63の巻き掛け中心線L2は、幅中心線11yと重なり合うように配置され、頂上部の第二定滑車63に巻き掛けられた第二ワイヤー61は垂下して第二可動体21に接続され、頂上部の第二定滑車63は、頂上部の第一定滑車53の下方に位置し、直径が頂上部の第一定滑車53の直径より小さくて、頂上部の第一定滑車53の投影にある。勿論、本発明の定滑車は、設計要求に応じて従来技術(例えば特許文献1)の取付方式を採用してもよい。
【0036】
本発明の二輪車駐輪機は、実施例1に示すように第一付勢部材13と第二付勢部材22としてともに逆方向引張ガススプリングを用いてもよいし、必要に応じて第一付勢部材13と第二付勢部材22との一方に逆方向引張ガススプリングを用いるが、他方に例えば特許文献1における定荷重ばね又はガススプリング等の他の付勢部材を用いてもよいことを説明されたい。なお、第一付勢部材13と第二付勢部材22としては、1本の逆方向引張ガススプリング又は複数本の逆方向引張ガススプリングの組み合わせを用いてもよい。
【0037】
前記逆方向引張ガススプリングの取付方式については、実施例1~3に示すようにシリンダを下方に設け且つ固定する形態に加えて、更に図18図19に示すように、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダ132は、第一ピストンロッド131が下向きに伸びることができるように、上方に設けられ且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第一ピストンロッド131の先端は可動端であり、第一フロント定滑車531は、第一ピストンロッド131が外に伸びる前方に位置し、即ち下方に位置し、第一ワイヤー51は、第一ピストンロッド131の先端移動軌跡が第一フロント定滑車531と第一シリンダ132との間にあるように、一端が第一フロント定滑車531と第一動滑車52とに巻き掛けられていてもよい。図20図21に示すように、前記第二逆方向引張ガススプリングについては、第一逆方向引張ガススプリングと同様に、第二シリンダ222は、第二ピストンロッド221が下向きに伸びることができるように、上に設けられ且つ下に向けて開口し、頂上部が固定端であり、第二ピストンロッド221の先端は、可動端であり、第二フロント定滑車631は、第二ピストンロッド221が外に伸びる前方に位置し、即ち下方に位置し、第二ワイヤー61は、第二ピストンロッド221の先端移動軌跡が第二フロント定滑車631と第二シリンダ222との間にあるように、一端が第二フロント定滑車631と第二動滑車62とに巻き掛けられていてもよい。このように、以上と同様に直線状案内機構を使用する必要がなく、ガイドローラと支柱中のレールを要らなく、構造が簡単になり、消耗材料が少なくなり、取り付けやすくなる。
【0038】
或いは、図22図27に示すように、前記第一逆方向引張ガススプリングの第一シリンダ132は、第一ピストンロッド131が下向きに伸びることができるように、上方に設けられ且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第一ピストンロッド131の先端は固定端であり、同様に、前記第二逆方向引張ガススプリングの第二シリンダ222は、第二ピストンロッド221が下向きに伸びることができるように、上方に設けられ且つ下に向けて開口し、頂上部が可動端であり、第二ピストンロッド221の先端は固定端である。この実施例は、同様に実施例1のメリットを有し、可動端であるシリンダの頂上部は常時フロント定滑車の固定点とピストンロッドの固定端との間で移動し、ワイヤーの引張力に案内されてシリンダの頂上部移動軌跡が一定になり、直線状案内機構を使用する必要がなく、ガイドローラと支柱中のレールを要らなく、部材が少なくなり、構造が簡単になり、消耗材料が少なくなり、取り付けやすくなる。また、シリンダの頂上部とフロント定滑車及び支柱の頂上部に位置する定滑車との間の距離が短くなり、ワイヤーの巻き掛けに必要な長さが大幅に短くなり、消耗材料が少なくなる。
【0039】
或いは、図28図29に示すように、図19図20の中の第一逆方向引張ガススプリングと第二逆方向引張ガススプリングが逆にされ、第一シリンダ132と第二シリンダ222は、第一ピストンロッド131と第二ピストンロッド221が上向きに伸びることができるように、下方に設けられ且つ上に向けて開口し、底部が可動端であり、第一ピストンロッド131と第二ピストンロッド221の先端は、固定端であり、それによって、以上と同様に可動端(第一シリンダ132又は第二シリンダ222の底部)は常時第一フロント定滑車531(又は第二フロント定滑車631)の固定点と第一ピストンロッド131(又は第二ピストンロッド221)の固定端との間で移動し、可動端移動軌跡が一定になり、直線状案内機構を使用する必要がなく、ガイドローラと支柱中のレールを要らなく、部材が少なくなり、構造が簡単になり、消耗材料が少なくなり、取り付けやすくなる。
【0040】
上述したのは本発明の好ましい実施例に過ぎなく、本発明の設計構想はそれによって限定されるものではなく、この構想に基づく本発明に対する非実質的変更は、全て本発明の保護範囲を侵害する行為となる。
【符号の説明】
【0041】
10’ 第一昇降部、
11’ ラック、
12’ 第一可動体、
3’ 支柱、
81’ 第一付勢部材、
81S’ 補助シリンダ、
81R’ 補助ピストンロッド、
800’ 補助巻き掛け伝動機構、
8N’ 補助動滑車、
8x’ ワイヤー、
8E’ 補助定滑車、
20’ 第二昇降部、
21’ 第二可動体、
80’ 第二付勢部材、
80S’ シリンダ、
80R’ ピストンロッド、
8M’ 動滑車、
8’ 巻き掛け伝動機構、
8w’ ワイヤー、
8F’ 定滑車、
30U’ 係合部、
30L’ 係合部、
11y’ 幅中心線、
8f’ 巻き掛け中心線、
8e’ 巻き掛け中心線、
821’ ガイドローラ、
822’ ガイドローラ、
1 第一昇降部、
11 ラック、
12 第一可動体、
13 第一付勢部材(第一逆方向引張ガススプリング)、
131 第一ピストンロッド、
132 第一シリンダ、
11y 幅中心線、
2 第二昇降部、
21 第二可動体、
22 第二付勢部材(第二逆方向引張ガススプリング)、
221 第二ピストンロッド、
222 第二シリンダ、
3 係合部、
4 支柱、
41 取付部、
5 第一巻き掛け伝動機構、
51 第一ワイヤー、
52 第一動滑車、
53 第一定滑車、
531 第一フロント定滑車、
L1 巻き掛け中心線、
6 第二巻き掛け伝動機構、
61 第二ワイヤー、
62 第二動滑車、
63 第二定滑車、
631 第二フロント定滑車、
L2 巻き掛け中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29