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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】半導体回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
H03K17/08 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021211385
(22)【出願日】2021-12-24
(65)【公開番号】P2023095468
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2022-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】301041553
【氏名又は名称】株式会社パウデック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】神山 祐輔
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100893(JP,A)
【文献】特開2020-109909(JP,A)
【文献】特開2021-190760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K17/00-H03K17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子および第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続されたノーマリーオフ型の第1トランジスタであって、前記第1トランジスタのドレインおよびソースの一方が前記第1端子に接続された第1トランジスタと、
前記第2端子と前記第1トランジスタとの間に接続されたノーマリーオン型またはノーマリーオフ型の第2トランジスタであって、前記第2トランジスタのドレインが前記第2端子に接続され、前記第2トランジスタのソースが前記第1トランジスタのドレインおよびソースの他方に接続された第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのドレインおよびソースの前記他方と、前記第2トランジスタのソースとの接続部分である中間点に接続され、基準電位が入力される基準電位入力部と、
前記第2トランジスタをオン状態にするための、前記第2トランジスタがオフ状態からオン状態に切り換わる電位よりも高いオン電位が入力されるオン電位入力部と、
前記第2トランジスタをオフ状態にするための、前記第2トランジスタがオン状態からオフ状態に切り換わる電位よりも低いオフ電位が入力されるオフ電位入力部と、
前記オン電位入力部と接続された第1接続部と、前記オフ電位入力部と接続された第2接続部と、前記第2トランジスタのゲートに出力する電位を指定するための電位指定信号が入力される電位指定信号入力部と、前記第2トランジスタのゲートに接続されているとともに、前記電位指定信号に応じて、前記第2トランジスタのオン状態とオフ状態とを切り換えるための、前記第2接続部の電位以上第1接続部の電位以下の電位を前記第2トランジスタのゲートに出力する第1ゲート出力部と、を有するゲートドライブ回路と、
前記基準電位入力部と前記オフ電位入力部との間に接続された第1コンデンサと、
前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1コンデンサが接続された部分と、前記オフ電位入力部との間に位置する部分に、前記オフ電位入力部側がカソード側となる向きで接続された第1ダイオードと、
前記オフ電位入力部と接続された第3接続部と、前記第1トランジスタのゲートと接続され、前記第3接続部に入力される前記オフ電位の大きさが正常であるときに前記第1トランジスタをオン状態にするためのオン信号を出力し、前記第3接続部に入力される前記オフ電位の大きさが小さくなる異常が発生しているときに前記第1トランジスタをオフ状態にするためのオフ信号を出力する第2ゲート出力部と、を有する異常検出回路と、
前記第1端子と前記第2トランジスタのゲートとの間に接続され、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも高電位のとき、および、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、前記第1端子と前記第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、前記第2トランジスタのゲートに、前記第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力せず、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、前記第1端子と前記第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、前記第2トランジスタのゲートに、前記第1端子の電位に応じた電位を、前記第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力する電圧制限回路と、
を備えていることを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、P型のMOS-FETであり、
前記第1トランジスタのドレインが前記第1端子に接続され、
前記第2トランジスタのソースが、前記第1トランジスタのソースと接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1ダイオードと前記第2接続部との間に位置する部分と、前記第1端子と、の間に、前記第1端子側がカソード側となる向きで接続された第2ダイオード、をさらに備え、
前記ゲートドライブ回路が、
前記異常検出回路の前記第2ゲート出力部と接続された第4接続部、を有し、
前記第4接続部において前記オフ信号を受信したときに、前記第1ゲート出力部から前記第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力する動作を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体回路。
【請求項4】
前記基準電位入力部と前記オフ電位入力部との間に接続された充電制御回路、を備え、
第1ダイオードが、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記充電制御回路が接続された部分と、前記オフ電位入力部との間に位置する部分に接続され、
前記充電制御回路が、
前記第1コンデンサと、
一端が前記基準電位入力部に接続され、他端が前記オフ電位入力部に接続され、前記第1コンデンサよりも容量の小さい第2コンデンサと、
前記第1コンデンサと、前記オフ電位入力部との間に接続された第3トランジスタであって、前記第3トランジスタのドレインが前記第1コンデンサに接続され、前記第3トランジスタのソースが前記オフ電位入力部と接続された第3トランジスタと、
前記第3トランジスタのドレインとソースとの間に、前記第3トランジスタのドレイン側がカソード側となる向きで接続された第3ダイオードと、
カソードが前記基準電位入力部に接続され、アノードが前記第3トランジスタのゲートに接続された第1ツェナダイオードと、
前記第1ツェナダイオードのアノードおよび前記第3トランジスタのゲートと前記オフ電位入力部との間に接続された第1抵抗と、を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項5】
前記電圧制限回路が、
前記第2トランジスタのゲートと前記第1端子との間に、前記第2トランジスタのゲート側がカソード側となる向きで接続された第2ツェナダイオードと、
前記第2ツェナダイオードのアノードと、前記第1端子との間に、前記第1端子側がカソード側となる向きで接続された第4ダイオードと、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項6】
前記ゲートドライブ回路において、
前記電位指定信号入力部に、前記第2トランジスタのゲートに出力する信号を、前記第1接続部の電位および前記第2接続部の電位のどちらにするかを指定する前記電位指定信号が入力され、
前記第1ゲート出力部が、前記電位指定信号に基づいて、前記第1接続部および前記第2接続部のいずれかと選択的に接続されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の半導体回路。
【請求項7】
前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の前記第1コンデンサが接続された部分と前記第2接続部との間に位置する部分と、前記第2トランジスタのゲートとの間に接続されたスイッチ素子と、
前記スイッチ素子と、前記第2トランジスタのゲートとの間に接続された第2抵抗と、を備え、
前記スイッチ素子は、
前記電位指定信号入力部に接続され、
前記第1接続部と前記第2トランジスタのゲートとを接続することを示す前記電位指定信号が前記電位指定信号入力部に入力されているときにオフ状態になり、
前記第2接続部と前記第2トランジスタのゲートとを接続することを示す前記電位指定信号が前記電位指定信号入力部に入力されているときにオン状態になる、ように構成され、
前記第2抵抗が、前記第2トランジスタのゲートに接続された配線の、前記ゲートドライブ回路の前記第1ゲート出力部が接続された部分と、前記第2トランジスタのゲートとの間に位置する部分に接続されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体回路。
【請求項8】
前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1コンデンサが接続された部分と、前記第2接続部との間に位置する部分と、前記基準電位入力部との間に接続された第3コンデンサ、をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の半導体回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーマリーオフ型の第1トランジスタと、ノーマリーオン型またはノーマリーオフ型の第2トランジスタとがカスコード接続された半導体回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノーマリーオフ型の第1トランジスタと、ノーマリーオン型またはノーマリーオフ型の第2トランジスタとがカスコード接続された半導体回路がある。例えば、特許文献1に記載の回路では、第1トランジスタとしての低電圧eモードNFETのドレインと、第2トランジスタとしての高電圧dモードトランジスタのソースとがカスコード接続されている。また、この回路では、eモードNFETのソースが接地ノードに接続されている。また、この回路では、eモードNFETおよびdモードトランジスタが駆動回路要素に接続されている。駆動回路要素において、PFETのドレインおよびNFETのドレインが、dモードトランジスタのゲートに接続されている。PFETのソースは、接地ノードに接続されている。NFETのソースは、-12Vのノードに接続されている。また、駆動回路要素において、PFETのドレインとソースとの間には、ソース側がカソード側となる向きでダイオードが接続されている。
【0003】
eモードトランジスタがオンの状態で、PFETをオフにし、NFETをオンにすると、dモードトランジスタのゲートが-12Vのノードと接続される。これにより、dモードトランジスタにおいて、ゲートの電位がソースの電位に対して十分に低くなって、dモードトランジスタがオフになる。eモードトランジスタがオンの状態で、PFETをオンにし、NFETをオフにすると、dモードトランジスタのゲートが接地ノードに接続される。これにより、dモードトランジスタにおいて、ゲートの電位がソースの電位とほぼ等しくなり、dモードトランジスタがオンになる。
【0004】
また、駆動回路要素に供給される電圧のレベルが適切なレベルにないときに、eモードトランジスタがオフになる。これにより、eモードトランジスタのドレイン(dモードトランジスタのソース)の電位が、eモードトランジスタのソースの電位であるグランド電位よりも高電位になる。また、このとき、dモードトランジスタのゲートは、ダイオードを介してグランドノードに接続される。これにより、dモードトランジスタにおいて、ゲートの電位がソースの電位に対して十分に低くなって、dモードトランジスタがオフになる。このように、特許文献1では、駆動回路要素に供給される電圧のレベルが適切なレベルにないときにもdモードトランジスタをオフの状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6470284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1の回路では、dモードトランジスタをオンにするときに、dモードトランジスタのゲート-ソース間に流れるゲート電流が、グランドノードからPFET、dモードトランジスタおよびeモードトランジスタを経てグランドノードに戻る経路を流れる。また、特許文献1の回路では、dモードトランジスタをオフにするときに、dモードトランジスタのゲート-ソース間に流れるゲート電流が、グランドノードからeモードトランジスタ、dモードトランジスタおよびNFETを経て-12Vのノードに至る経路を流れる。すなわち、特許文献1の回路では、dモードトランジスタをオンにするときおよびdモードトランジスタをオフにするときにdモードトランジスタのゲート-ソース間に流れるゲート電流が、eモードトランジスタを流れる。そのため、これらのゲート電流が流れる経路におけるインピーダンスがeモードトランジスタのインピーダンスの分大きくなり、スイッチング速度が遅くなってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、第1トランジスタと第2トランジスタとがカスコード接続された半導体回路において、電圧の供給が不十分となったときにも第2トランジスタをオフ状態とすることができ、かつ、第2トランジスタをオン状態およびオフ状態にするときに第2トランジスタのゲート-ソース間に流れるゲート電流が第1トランジスタを流れないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る半導体回路は、第1端子および第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間に接続されたノーマリーオフ型の第1トランジスタであって、前記第1トランジスタのドレインおよびソースの一方が前記第1端子に接続された第1トランジスタと、前記第2端子と前記第1トランジスタとの間に接続されたノーマリーオン型またはノーマリーオフ型の第2トランジスタであって、前記第2トランジスタのドレインが前記第2端子に接続され、前記第2トランジスタのソースが前記第1トランジスタのドレインおよびソースの他方に接続された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのドレインおよびソースの前記他方と、前記第2トランジスタのソースとの接続部分である中間点に接続され、基準電位が入力される基準電位入力部と、前記第2トランジスタをオン状態にするための、前記第2トランジスタがオフ状態からオン状態に切り換わる電位よりも高いオン電位が入力されるオン電位入力部と、前記第2トランジスタをオフ状態にするための、前記第2トランジスタがオン状態からオフ状態に切り換わる電位よりも低いオフ電位が入力されるオフ電位入力部と、前記オン電位入力部と接続された第1接続部と、前記オフ電位入力部と接続された第2接続部と、前記第2トランジスタのゲートに出力する電位を指定するための電位指定信号が入力される電位指定信号入力部と、前記第2トランジスタのゲートに接続されているとともに、前記電位指定信号に応じて、前記第2トランジスタのオン状態とオフ状態とを切り換えるための、前記第2接続部の電位以上第1接続部の電位以下の電位を前記第2トランジスタのゲートに出力する第1ゲート出力部と、を有するゲートドライブ回路と、前記基準電位入力部と前記オフ電位入力部との間に接続された第1コンデンサと、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1コンデンサが接続された部分と、前記オフ電位入力部との間に位置する部分に、前記オフ電位入力部側がカソード側となる向きで接続された第1ダイオードと、前記オフ電位入力部と接続された第3接続部と、前記第1トランジスタのゲートと接続され、前記第3接続部に入力される前記オフ電位の大きさが正常であるときに前記第1トランジスタをオン状態にするためのオン信号を出力し、前記第3接続部に入力される前記オフ電位の大きさが小さくなる異常が発生しているときに前記第1トランジスタをオフ状態にするためのオフ信号を出力する第2ゲート出力部と、を有する異常検出回路と、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも高電位のとき、および、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、前記第1端子と前記第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、前記第2トランジスタのゲートに、前記第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力せず、前記第1端子が前記第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、前記第1端子と前記第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、前記第2トランジスタのゲートに、前記第1端子の電位に応じた電位を、前記第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力する電圧制限回路と、を備えている。
【0009】
本発明によると、第2トランジスタをオン状態にするときに第2トランジスタのゲートソース間を流れるゲート電流(以下、オンゲート電流と称する)は、オン電位入力部、ゲートドライブ回路、第2トランジスタおよび基準電位入力部をこの順に流れる。第2トランジスタをオフ状態にするときに第2トランジスタのゲート-ソース間を流れるゲート電流(以下、オフゲート電流と称する)は、基準電位入力部、第2トランジスタ、ゲートドライブ回路、第1ダイオードおよびオフ電位入力部をこの順に流れる。すなわち、オンゲート電流およびオフゲート状態が第1トランジスタを流れない。これにより、オンゲート電流およびオフゲート電流が流れる経路のインピーダンスを小さくすることができる。その結果、オンゲート電流およびオフゲート電流が流れる経路のインピーダンスを、第1トランジスタを通らない分小さくでき、第2トランジスタのオン状態とオフ状態とを切り換えるときのスイッチング速度を速くすることができる。
【0010】
また、オフ電位入力部の電位の大きさが小さくなる異常が発生したときに、第1トランジスタがオフ状態になることにより、第1端子の電位が低下する(中間点の電位よりも低くなる)。そして、第1端子の電位が低下して、第1端子が第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、第1端子と第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差以上になると、電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに、第1端子の電位に応じた電位が、第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力される。これにより、第2トランジスタをオフ状態にすることができる。その結果、上記異常が発生したときにも、第2トランジスタをオフ状態にすることができる。
【0011】
ここで、上記異常が発生してから、電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに、第1端子の電位に応じた電位が第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力されるまでにはある程度の時間がかかる。これに対して、本発明では、基準電位入力部とオフ電位入力部との間に第1コンデンサが接続されている。これにより、オフ電位入力部の電位が正常なときに、第1コンデンサが充電される。そして、上記異常が発生してから、電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに、第1端子の電位に応じた電位が第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力されるまでは、第1コンデンサに充電された電荷が放電されることによって、第2接続部に入力される電位の大きさが小さくならないようにすることができる。これにより、第1ゲート出力部から第2トランジスタのゲートに出力される電位によって第2トランジスタをオフ状態にすることができる。
【0012】
第2の発明に係る半導体回路は、第1の発明に係る半導体回路であって前記第1トランジスタは、P型のMOS-FETであり、前記第1トランジスタのドレインが前記第1端子に接続され、前記第2トランジスタのソースが、前記第1トランジスタのソースと接続されている。
【0013】
本発明によると、第1トランジスタをP型のMOS-FETとして、第1トランジスタのソースと第2トランジスタのソースとを接続することにより、第1トランジスタのソースの電位と第2トランジスタのソースの電位を基準電位に共通化することができる。これにより、半導体回路に接続される電源の構成を簡単にすることができる。
【0014】
第3の発明に係る半導体回路は、第1または第2の発明に係る半導体回路であって、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1ダイオードと前記第2接続部との間に位置する部分と、前記第1端子と、の間に、前記第1端子側がカソード側となる向きで接続された第2ダイオード、をさらに備え、前記ゲートドライブ回路が、前記異常検出回路の前記第2ゲート出力部と接続された第4接続部、を有し、前記第4接続部において前記オフ信号を受信したときに、前記第1ゲート出力部から前記第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力する動作を行う。
【0015】
本発明では、ゲートドライブ回路が、異常検出回路の第2ゲート出力部からオフ信号を受信したときに、第1ゲート出力部から第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力する。さらに、上述したように、オフ電位入力部と第2接続部との間に第1ダイオードが接続されているのに加えて、本発明では、オフ電位入力部と第2接続部とを接続する配線の第1コンデンサが接続された部分と第2接続部との間に位置する部分と、第1端子との間に第2ダイオードが接続されている。これにより、第2接続部に、オフ電位入力部の電位におよび第1端子の電位のうちより低いほうの電位が入力される。その結果、オフ電位入力部の電位の大きさが小さくなる異常が発生し、第1トランジスタがオフ状態にされて第1端子の電位が下がったときに、第1端子の電位が第2ダイオード経由で第2接続部に入力されることになり、ゲートドライブ回路の第1ゲート出力部から第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態とするための電位を出力することができる。
【0016】
また、この場合には、上記のように第1端子の電位が第2ダイオード経由で第2接続部に入力されることによって第2トランジスタをオフ状態とすることができる状態となるまでの途中の期間にのみ、電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに第1端子の電位に応じた電位を出力することによって第2トランジスタをオフ状態にする。すなわち、最終的な状態では、下がった第1端子の電位が第2ダイオード経由で第2接続部に入力されることによって第2トランジスタがオフ状態にされる。これにより、最終的な状態で電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに第2端子の電位に応じた電位が出力することによって第2トランジスタをオフ状態にする場合と比較して、電圧制限回路の電力定格を小さくすることができ、電圧制限回路を小型化することができる。
【0017】
第4の発明に係る半導体回路は、第1~第3のいずれかの発明に係る半導体回路であって、前記基準電位入力部と前記オフ電位入力部との間に接続された充電制御回路、を備え、第1ダイオードが、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記充電制御回路が接続された部分と、前記オフ電位入力部との間に位置する部分に接続され、前記充電制御回路が、前記第1コンデンサと、一端が前記基準電位入力部に接続され、他端が前記オフ電位入力部に接続され、前記第1コンデンサよりも容量の小さい第2コンデンサと、前記第1コンデンサと、前記オフ電位入力部との間に接続された第3トランジスタであって、前記第3トランジスタのドレインが前記第1コンデンサに接続され、前記第3トランジスタのソースが前記オフ電位入力部と接続された第3トランジスタと、前記第3トランジスタのドレインとソースとの間に、前記第3トランジスタのドレイン側がカソード側となる向きで接続された第3ダイオードと、カソードが前記基準電位入力部に接続され、アノードが前記第3トランジスタのゲートに接続された第1ツェナダイオードと、前記第1ツェナダイオードのアノードおよび前記第3トランジスタのゲートと前記オフ電位入力部との間に接続された第1抵抗と、を備えている。
【0018】
本発明では、第1、第2コンデンサが充電されていない状態で、基準電位入力部、オン電位入力部およびオフ電位入力部への電位の入力が行われたときに、最初は第3トランジスタがオフ状態であるため、容量の大きい第1コンデンサは充電されず、容量の小さい第2コンデンサが充電される。容量の小さい第2コンデンサは、容量の大きい第1コンデンサよりも充電に必要な時間が短い。したがって、先に第2コンデンサを充電することにより、基準電位入力部とオフ電位入力部との間の電位差を素早く上昇させることができる。
【0019】
さらに、第2コンデンサが充電されることにより基準電位入力部とオフ電位入力部との間の電位差が十分に上昇したときに第3トランジスタがオンの状態になり第1コンデンサが充電され始める。
【0020】
また、第1、第2コンデンサが充電された状態で、オフ電位入力部の電位の大きさが小さくなる異常が発生したときに、第1、第2コンデンサから電荷が放電されることにより、第2接続部に入力される電位の大きさが小さくならないようにすることができる。これにより、第1ゲート出力部からトランジスタのゲートに出力される電位によって第2トランジスタをオフ状態にすることができる。ここで、第1コンデンサから電荷が放電されると、第1コンデンサの両端の電位が徐々に低下し、第3トランジスタがオフとなるが、第3ダイオードを介して第1コンデンサに電流を流すことができるため、第1コンデンサからの放電を継続することができる。
【0021】
このように、本発明では、第2コンデンサが充電されて、基準電位入力部とオフ電位入力部との電位差が十分に大きくなった後に第1コンデンサが充電される。これにより、第1コンデンサと第2コンデンサとが同時に充電される場合と比較して、第1、第2コンデンサの充電時に流れる電流を小さくすることができる。その結果、第1、第2コンデンサの充電時に流れる電流が回路の動作に悪影響を与えることを防止することができる。あるいは、第1、第2コンデンサの充電時に流れる電流が大きくなることによって、半導体回路を構成する第2トランジスタなどの素子において素子破壊が発生するのを防止することができる。
【0022】
また、本発明では、上記のように、第2コンデンサが充電されて、基準電位入力部とオフ電位入力部との電位差が十分に大きくなった後に第1コンデンサが充電されるため、第1コンデンサの容量が大きくても、第1、第2コンデンサの充電時に流れる電流を小さくすることができる。これにより、第1コンデンサの容量を大きくして、オフ電位入力部の電位の大きさが小さくなる異常が発生してから、電圧制限回路から第2トランジスタのゲートに、第1端子の電位に応じた電位が第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力されるまでの間、第1コンデンサから電荷を放電することによって確実に第2トランジスタをオフ状態にすることができる。
【0023】
第5の発明に係る半導体回路は、第1~第4のいずれかの発明に係る半導体回路であって、前記電圧制限回路が、前記第2トランジスタのゲートと前記第1端子との間に、前記第2トランジスタのゲート側がカソード側となる向きで接続された第2ツェナダイオードと、前記第2ツェナダイオードのアノードと、前記第1端子との間に、前記第1端子側がカソード側となる向きで接続された第4ダイオードと、を有する。
【0024】
本発明によると、第2ツェナダイオードと第4ダイオードとによって、第1端子が第2トランジスタのゲートよりも高電位のとき、および、第1端子が第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、第1端子と第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態にするための電位を出力せず、第1端子が第2トランジスタのゲートよりも低電位で、かつ、第1端子と第2トランジスタのゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、第2トランジスタのゲートに、第1端子の電位に応じた電位を、第2トランジスタをオフ状態にするための電位として出力する電圧制限回路を実現することができる。
【0025】
第6の発明に係る半導体回路は、第1~第5のいずれかの発明に係る半導体回路であって、前記ゲートドライブ回路において、前記電位指定信号入力部に、前記第2トランジスタのゲート出力する信号を、前記第1接続部の電位および前記第2接続部の電位のどちらにするかを指定する前記電位指定信号が入力され、前記第1ゲート出力部が、前記電位指定信号に基づいて、前記第1接続部および前記第2接続部のいずれかと選択的に接続される。
【0026】
本発明によると、ゲートドライブ回路を、第1ゲート出力部の接続先を第1接続部と第2接続部との間で切り換えることができるものとすればよく、ゲートドライブ回路の構成を簡単なものとすることができる。
【0027】
第7の発明に係る半導体回路は、第6の発明に係る半導体回路であって、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の前記第1コンデンサが接続された部分と前記第2接続部との間に位置する部分と、前記第2トランジスタのゲートとの間に接続されたスイッチ素子と、前記スイッチ素子と、前記第2トランジスタのゲートとの間に接続された第2抵抗と、を備え、前記スイッチ素子は、前記電位指定信号入力部に接続され、前記第1接続部と前記第2トランジスタのゲートとを接続することを示す前記電位指定信号が前記電位指定信号入力部に入力されているときにオフ状態になり、前記第2接続部と前記第2トランジスタのゲートとを接続することを示す前記電位指定信号が前記電位指定信号入力部に入力されているときにオン状態になる、ように構成され、前記第2抵抗が、前記第2トランジスタのゲートに接続された配線の、前記ゲートドライブ回路の前記第1ゲート出力部が接続された部分と、前記第2トランジスタのゲートとの間に位置する部分に接続されている。
【0028】
本発明によると、切換信号入力部に、第2接続部と第2トランジスタのゲートとを接続する(第2トランジスタをオフ状態にする)ことを示す電位指定信号が入力されたときに、スイッチ素子がオン状態になることにより、スイッチ素子および第2抵抗経由でも、第2トランジスタのゲートに、第2トランジスタをオフ状態にするための電位が付与される。また、第2抵抗が、第2トランジスタに接続された配線の、ゲート駆動回路の第1ゲート出力部が接続された部分よりも第2トランジスタのゲートに近い部分に接続されている。これにより、第2トランジスタをオフ状態にするときに、第2トランジスタのゲートに付与される電位の、第2トランジスタのゲートに接続される配線のインピーダンスの影響を低減することができる。
【0029】
第8の発明に係る半導体回路は、第7の発明に係る半導体回路であって、前記オフ電位入力部と前記第2接続部とを接続する配線の、前記第1コンデンサが接続された部分と、前記第2接続部との間に位置する部分と、前記基準電位入力部との間に接続された第3コンデンサ、をさらに備えている。
【0030】
本発明によると、スイッチ素子の近傍に第3コンデンサがバイパスコンデンサとして配置されることになり、スイッチ素子および第2抵抗を介して、第2トランジスタのゲートに出力される電位の、電源配線のインピーダンスによる変動を低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、オンゲート電流およびオフゲート電流が、第1トランジスタを流れないようにして、スイッチング速度を速くすることができる。また、オフ電位入力部に入力される電位の大きさが小さくなったときにも、第2トランジスタをオフ状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は第1、第2実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図2図2は第3実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図3図3は第4実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図4図4は第5実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図5図5は第6実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図6図6は第7実施形態の半導体回路を説明するための図である。
図7】(a)は変形例1の電圧制限回路を示す図であり、(b)は変形例2の電圧制限回路を示す図であり、(c)は変形例3の電圧制限回路を示す図であり、(d)は変形例4の電圧制限回路を示す図であり、(e)は変形例5の電圧制限回路を示す図であり、(f)は変形例6の電圧制限回路を示す図であり、(g)は変形例7の電圧制限回路を示す図であり、(h)は変形例8の電圧制限回路を示す図であり、(i)は変形例9の電圧制限回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0034】
図1に示すように、第1実施形態の半導体回路1は、第1端子11および第2端子12と、第1トランジスタ13と、第2トランジスタ14と、基準電位入力部15と、オン電位入力部16と、オフ電位入力部17と、ゲートドライブ回路18と、第1コンデンサ19と、第1ダイオード20と、異常検出回路21と、電圧制限回路22を有する。
【0035】
第1端子11および第2端子12は、外部の回路との接続を行うためのものである。第1トランジスタ13は、ノーマリーオフ型のトランジスタである。第1トランジスタ13のドレインおよびソースの一方が、第1端子11に接続されている。第1トランジスタ13は、第2実施形態において説明するMOS-FET(Metal Oxide Semiconductor - Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、バイポーラトランジスタ等である。
【0036】
第2トランジスタ14は、ノーマリーオン型またはノーマリーオフ型のトランジスタである。第2トランジスタ14のドレインが第2端子12接続されている。第1トランジスタ13のドレインおよびソースの他方と、第2トランジスタ14のソースとが接続されている。第2トランジスタ14は、ノーマリーオン型のトランジスタである場合、例えば、第2実施形態において説明するGaN(窒化ガリウム)-FET、ノーマリーオン型のMOS-FET、SiC(炭化ケイ素)-JFET(Junction Field Effect Transistor)等である。第2トランジスタ14は、ノーマリーオフ型のトランジスタである場合、例えば、ノーマリーオフ型のMOS-FET等である。
【0037】
なお、図1の第1トランジスタ13および第2トランジスタ14の「D」、「S」、「G」は、それぞれ、ドレイン、ソース、ゲートを示している。図2以降の図面についても同様である。また、図1の第1トランジスタ13の「DorS」は、ドレインおよびソースの一方のことを示している。また、図1の第1トランジスタ13の「SorD」は、ドレインおよびソースの他方のことを示している。
【0038】
基準電位入力部15は、図示しない電源により基準電位である0Vが入力される部分である。また、基準電位入力部15は、第1トランジスタ13のドレインおよびソースの他方と、第2トランジスタ14のソースとが接続される中間点23に接続されている。
【0039】
オン電位入力部16は、図示しない電源によりオン電位Vonが入力される部分である。オン電位Vonは、第2トランジスタ14がオフ状態からオン状態に切り換わる電位よりも高い電位(例えば3V程度)である。
【0040】
オフ電位入力部17は、図示しない電源によりオフ電位Voffが入力される部分である。オフ電位Voffは、第2トランジスタ14がオン状態からオフ状態に切り換わる電位よりも低い電位(例えば-10V程度)である。
【0041】
ゲートドライブ回路18は、第1接続部18aと第2接続部18bと電位指定信号入力部18cと、第1ゲート出力部18dとを有する。第1接続部18aは、オン電位入力部16に接続されている。第2接続部18bは、オフ電位入力部17と接続されている。
【0042】
電位指定信号入力部18cは、第2トランジスタ14のゲートに出力する電位を指定するための電位指定信号が入力される部分である。半導体回路1は、入力端子24を有し、電位指定信号入力部18cは、入力端子24と接続されている。入力端子24から入力された電位指定信号が、電位指定信号入力部18cからゲートドライブ回路18に入力される。第1ゲート出力部18dは、第2トランジスタ14のゲートに接続されており、電位指定信号に基づいて、第2トランジスタ14のオン状態とオフ状態とを切り換えるための電位を、第2トランジスタ14のゲートに出力する。
【0043】
第1ゲート出力部18dから出力される電位は、第2接続部18bに入力される電位(正常時にはVoff)以上で、第1接続部18aに入力される電位(正常時にはVon)以下の電位である。また、第2トランジスタ14をオン状態にするために第1ゲート出力部18dから出力される電位は、第2トランジスタ14の閾値電圧(0V)よりも高く、かつ、第2トランジスタ14のソースの電位と一定以上の差がある電位である。第2トランジスタ14をオフ状態にするために第1ゲート出力部18dから出力される電位は、第2トランジスタ14の閾値電圧(0V)よりも低く、かつ、第2トランジスタ14のソースの電位と一定以上の差がある電位である。
【0044】
第1コンデンサ19は、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との間に接続されている。第1ダイオード20は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとの配線の、第1コンデンサ19と接続される部分と、オフ電位入力部17との間に位置する部分に、オフ電位入力部17側がカソード側となる向きで接続されている。
【0045】
異常検出回路21は、第3接続部21aと、第2ゲート出力部21bとを有する。第3接続部21aは、オフ電位入力部17に接続されている。異常検出回路21は、第3接続部21aに入力された電位に基づいて、オフ電位入力部17に入力される電位の大きさが小さくなる異常(以下、この異常のことを「オフ電位異常」と称する)が発生しているか否かを検出する。第2ゲート出力部21bは、第1トランジスタ13のゲートと接続されている。異常検出回路21は、オフ電位異常が発生していることを検出していないときには、第2ゲート出力部21bから第1トランジスタ13のゲートに、第1トランジスタ13をオン状態にするためのオン信号を出力する。また、異常検出回路21は、オフ電位異常が発生していることを検出しているときには、第2ゲート出力部21bから第1トランジスタ13のゲートに、第1トランジスタ13をオフ状態にするためのオフ信号を出力する。
【0046】
電圧制限回路22は、第1端子11と、第2トランジスタ14のゲートとの間に接続されている。電圧制限回路22は、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも高電位のとき、および、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、第2トランジスタ14のゲートに第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力しない。また、電圧制限回路22は、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位を、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力する。
【0047】
<第2トランジスタのオンオフ>
次に、半導体回路1において第2トランジスタ14をオン状態およびオフ状態にするときの動作について説明する。半導体回路1において第2トランジスタ14をオン状態にするためには、異常検出回路21から第1トランジスタ13のゲートにオン信号が出力されることによって第1トランジスタ13がオン状態となっている状態で、ゲートドライブ回路18において、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14のゲートに、第2トランジスタ14をオン状態にするための電位を出力する。
【0048】
第2トランジスタ14をオン状態にしたときには、第2トランジスタ14のゲート-ソース間に流れるオンゲート電流が、オン電位入力部16、ゲートドライブ回路18、第2トランジスタ14、および、基準電位入力部15をこの順に流れる。すなわち、オンゲート電流は第1トランジスタ13を流れない。
【0049】
半導体回路1において、正常動作時に第2トランジスタ14をオフ状態にするためには、異常検出回路21により第1トランジスタ13のゲートにオン信号が出力されることによって第1トランジスタがオン状態となっている状態で、ゲートドライブ回路18において、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14のゲートに、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力する。
【0050】
第2トランジスタ14をオフ状態にしたときには、第2トランジスタ14のゲート-ソース間に流れるオフゲート電流が、基準電位入力部15、第2トランジスタ14、ゲートドライブ回路18、第1ダイオード20およびオフ電位入力部17をこの順に流れる。すなわち、オフゲート電流は第1トランジスタ13を流れない。
【0051】
このように、第1実施形態の半導体回路1において、オンゲート電流およびオフゲート電流のいずれもが、第1トランジスタ13を流れない。
【0052】
<オフ電圧異常時の動作>
次に、例えば、図示しない電源の故障等に要因で、上記オフ電位異常オフ電位入力部17に入力されるオフ電位Voffの大きさが低下するオフ電位異常が発生した場合の動作について説明する。ここで、オフ電位異常が発生しておらず、オフ電位入力部17に入力されるオフ電位Voffが正常であるときに、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差により、第1コンデンサ19に電荷が充電されている。
【0053】
オフ電位異常が発生すると、第1コンデンサ19に充電されていた電荷が放電されることにより、第1コンデンサ19に十分な電荷が充電されている間は、第1コンデンサ19から放電される電荷により、第2接続部18bに入力される電位の大きさが小さくならない。これにより、ゲートドライブ回路18から第2トランジスタ14のゲートに、第2トランジスタ14をオフにするための電位を出力して、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0054】
また、オフ電位異常が発生すると、異常検出回路21がオフ電位異常を検出し、第2ゲート出力部21bから第1トランジスタ13のゲートにオフ信号を出力する。これにより、第1トランジスタ13がオフ状態になり、第1端子11(第1トランジスタ13のドレインおよびソースの一方)の電位が低下する(中間点23の電位(0V)よりも低くなる)。そして、第1端子11の電位が低下して、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上になると、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。これにより、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0055】
ここで、第1トランジスタ13のゲートにオフ信号が入力されてから、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされるまでには、ある程度の時間がかかる。しかしながら、第1実施形態では、オフ電位異常が発生した直後には、上述したように第1コンデンサ19に充電されていた電荷が放電されることにより、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。そして、その後、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに第2トランジスタをオフ状態にするための電位が出力されることにより、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0056】
このように、第1実施形態では、オフ電位入力部17に入力されるオフ電位Voffの大きさが低下したときにも、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0057】
これにより、第2トランジスタ14がノーマリーオン型のトランジスタである場合において、オフ電位異常が発生したときに、第2トランジスタ14がオン状態に切り換わってしまうことがない。
【0058】
また、第2トランジスタ14がノーマリーオフ型のトランジスタである場合において、オフ電位異常が発生している状態で、ノイズの影響などによって、第2トランジスタ14が誤動作してオン状態に切り換わってしまうことが抑えられる。この効果は、第2トランジスタ14が、オフ状態に切り換わるときのゲートとソースとの電位差がそれほど大きくないノーマリーオフ型のトランジスタである場合に、特に有効である。すなわち、この効果は、第2トランジスタが、誤作動を防止するためにゲートに負の電位を入力することが望ましい特性を有するノーマリーオフ型のトランジスタである場合に特に有効である。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0060】
第2実施形態の半導体回路1は、第1実施形態で説明したものと同様のものである。第2実施形態では、ゲートドライブ回路18において、電位指定信号入力部18cに入力される電位指定信号が、第1接続部18aに入力された電位および第2接続部18bに入力された電位のうち、いずれの電位を第1ゲート出力部18dから出力するかを指定する信号である。そして、ゲートドライブ回路18は、電位指定信号に基づいて、第1ゲート出力部18dを、第1接続部18aおよび第2接続部18bのいずれかと選択的に接続させる。これにより、第1ゲート出力部18dから、第2トランジスタ14のゲートに、第1接続部18aの電位および第2接続部18bの電位のいずれかが選択的に出力される。
【0061】
第2実施形態では、ゲートドライブ回路18が、電位指定信号入力部18cに入力される電圧指定信号に基づいて、第1接続部18aおよび第2接続部18bのいずれかを選択的に第1ゲート出力部18dに接続するものである。これにより、ゲートドライブ回路18を、第1ゲート出力部18dの接続先を第1接続部18aと第2接続部18bとの間で切り換えることができるものとすればよく、ゲートドライブ回路18の構成を簡単にすることができる。
【0062】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0063】
図2に示すように、第3実施形態の半導体回路51は、第1実施形態の半導体回路1において、第1トランジスタ13がN型のMOS-FETであり、第2トランジスタ14がGaN-FETである。そして、第1トランジスタ13のソースが第1端子11に接続され、第1トランジスタ13のドレインと第2トランジスタ14のソースとが接続されている。
【0064】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0065】
図3に示すように、第4実施形態の半導体回路61は、第1実施形態の半導体回路1において、第1トランジスタ13がP型のMOS-FETであり、第2トランジスタ14がGaN-FETである。そして、第1トランジスタ13のドレインが第1端子11に接続され、第1トランジスタ13のソースと第2トランジスタ14のソースとが接続されている。
【0066】
第4実施形態では、第1トランジスタ13をP型のMOS-FETとして、第1トランジスタ13のソースと第2トランジスタ14のソースとを接続することにより、第1トランジスタ13のソースの電位と第2トランジスタ14のソースの電位を基準電位に共通化することができる。これにより、半導体回路61に接続される電源の構成を簡単にすることができる。
【0067】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0068】
図4に示すように、第5実施形態の半導体回路71は、第4実施形態の半導体回路61と同様の構成を有している。さらに、半導体回路71は、第2ダイオード72を有する。第2ダイオード72は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、第1ダイオード20と第2接続部18bとの間に位置する部分と、第1端子11との間に、第1端子11側がカソード側となるような向きで接続されている。そして、第5実施形態では、第1ダイオード20と第2ダイオード72とが設けられていることにより、第2接続部18bには、オフ電位入力部17の電位と、第1端子11の電位のうち、より低い方の電位が入力される。
【0069】
また、半導体回路71において、ゲートドライブ回路18は、第4接続部18eをさらに有する。第4接続部18eは、異常検出回路21の第2ゲート出力部21bに接続されている。これにより、第4接続部18eに、異常検出回路21から、オフ電位異常が発生したことを検出したか否かを示す信号が入力される。そして、第5実施形態において、ゲートドライブ回路18は、オフ電位異常が発生したことを検出していないことを示す信号が第4接続部18eに入力されているときには、第1実施形態で説明したのと同様に、電位指定信号入力部18cに入力された電位指定信号に基づいて、第1ゲート出力部18dから電位を出力する。一方、ゲートドライブ回路18は、オフ電位異常が発生したことを検出したことを示す信号が第4接続部18eに入力されているときには、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力するための動作を行う。ここで、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力する動作とは、例えば、第2実施形態のように、第1ゲート出力部18dが第1接続部18aと第2接続部18bのいずれかと選択的に接続される場合に、第1ゲート出力部18dを第2接続部18bに接続する動作のことである。
【0070】
第5実施形態の半導体回路71においても、第1実施形態で説明したのと同様、オフ電位異常が発生すると、第1コンデンサ19に充電されていた電荷が放電されることにより、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。その後、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される第1端子11の電位に応じた電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。
【0071】
第5実施形態では、この後、第1端子11の電位がオフ電位入力部17の電位よりも低くなったときに、第1端子11の電位が、第2ダイオード72を介して第2接続部18bに入力される。また、上述したように、第5実施形態では、オフ電位異常が発生したときに、ゲートドライブ回路18において、第4接続部18eに入力される信号に基づいて、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14をオフ状態にする電位を出力するための動作が行われる。これにより、第1ゲート出力部18dから出力される電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。
【0072】
このように、第5実施形態では、オフ電位異常が発生したときに、最終的に、第1端子11の電位が第2接続部18bに入力されるとともに、ゲートドライブ回路18において第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力する動作が行われることによって、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。
【0073】
ここで、第5実施形態と異なり、オフ電位異常が発生したときに、最終的に、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされる場合を考える。この場合には、第2トランジスタ14のオフ状態を確実に維持するために、電圧制限回路22の電力定格を大きくする必要があり、電圧制限回路22が大型化する。
【0074】
これに対して、第5実施形態では、上記の通り、オフ電位異常が発生したときに、最終的に、第1端子11の電位が第2接続部18bに入力されるとともに、ゲートドライブ回路18において第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位を出力する動作が行われることによって、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。したがって、この最終的な状態となるまでの途中の期間にのみ、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされる。これにより、第5実施形態では、最終的に、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される電位により、第2トランジスタ14がオフ状態にされる場合と比較して、電圧制限回路22の電力定格を小さくすることができ、電圧制限回路22を小型化することができる。
【0075】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0076】
図5に示すように、第6実施形態の半導体回路81は、第5実施形態の半導体回路71と同様の構成を有する。さらに、半導体回路81は、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との間に、第1コンデンサ19を含む充電制御回路82が接続されている。第1ダイオード20は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、充電制御回路82が接続された部分とオフ電位入力部17との間に位置する部分に接続されている。第2ダイオード72は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、充電制御回路82と接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分と、第1端子11と、の間に接続されている。
【0077】
充電制御回路82は、第1コンデンサ19のほかに、第2コンデンサ83と、第3トランジスタ84と、第3ダイオード85と、第1ツェナダイオード86と、第1抵抗87とを有する。
【0078】
第2コンデンサ83は、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との間に、第1コンデンサ19と並列に接続されている。第2コンデンサ83は、第1コンデンサ19よりも容量が小さい。
【0079】
第3トランジスタ84は、N型のMOS-FETであり、第1コンデンサ19と、オフ電位入力部17との間に接続されている。より詳細には、第3トランジスタ84のドレインが第1コンデンサ19と接続され、第3トランジスタ84のソースがオフ電位入力部17に接続されている。第3ダイオード85は、第3トランジスタ84のドレインとソースとの間に、第3トランジスタ84のドレイン側がカソード側となる向きで接続されている。
【0080】
第1ツェナダイオード86は、基準電位入力部15と、第1コンデンサ19のゲートとの間に、第1コンデンサ19と並列に、基準電位入力部15側がカソード側となる向きで接続されている。第1抵抗87は、第1ツェナダイオード86のアノードおよび第3トランジスタ84のゲートと、オフ電位入力部17との間に接続されている。
【0081】
ここで、上述の第4実施形態の半導体回路61において、上述したように、第1コンデンサ19に電荷が充電された状態で、オフ電位異常が発生したときには、第1コンデンサ19に充電された電荷が放電されることによって第2トランジスタ14がオフ状態にされ、その後、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される第1端子11の電位に応じた電位によって第2トランジスタ14がオフ状態にされる。このとき、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに出力される第1端子11の電位に応じた電位よって第2トランジスタ14がオフ状態にされるようになるまでの間、第1コンデンサ19に充電された電荷が放電されることによって第2トランジスタ14がオフ状態にされ続けるようにする必要がある。そのためには、第1コンデンサ19をある程度容量の大きいものとする必要がある。
【0082】
一方、上述の第4実施形態の半導体回路61において、第1コンデンサ19が充電されていない状態で、基準電位入力部15に基準電位が入力され、オン電位入力部16にオン電位Vonが入力され、オフ電位入力部17にオフ電位Voffが入力された場合には、第1コンデンサ19が充電され、第1コンデンサ19の充電が進むにつれて、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差が上昇する。このとき、上述の第4実施形態の半導体回路61において第1コンデンサ19の容量が大きいと、第1コンデンサ19が充電されるのに必要な時間が長くなる。その結果、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差が十分に上昇するまでの時間が長くなってしまう。
【0083】
また、第4実施形態の半導体回路61において第1コンデンサ19の容量が大きい場合、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流が大きくなる。例えば、第1コンデンサ19の充電時には、第2トランジスタ14がオン状態となっており、第2端子12、第2トランジスタ14、第1コンデンサ19をこの順に電流が流れる。さらにこの電流は、第2ダイオード72を経由して第1端子11に流れる。あるいは、ゲートドライブ回路18が、後述する第7実施形態の保護ダイオード106、107(図6参照)のような、第2接続部18bと第1ゲート出力部18dとの間に接続された保護ダイオードを有する場合、この電流は、ゲートドライブ回路18の保護ダイオードおよび電圧制限回路22を経て第1端子11に流れる。
【0084】
そして、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流が大きい場合には、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流が半導体回路61の動作に悪影響を与える虞がある。また、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流が大きい場合には、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流によって半導体回路61を構成する素子において素子破壊が発生する虞がある。例えば、第1コンデンサ19の充電時に流れる電流が第2トランジスタ14の短絡耐量を超える場合に、第2トランジスタ14の素子破壊が発生する虞がある。
【0085】
これに対して、第6実施形態の半導体回路81において、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83が充電されていない状態で、基準電位入力部15に基準電位が供給され、オン電位入力部16にオン電位Vonが供給されて、オフ電位入力部17にオフ電位Voffが入力されたときには、第3トランジスタ84がオフ状態となっているため、第2コンデンサ83が充電され、第2コンデンサ83が充電されるにつれて基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差が上昇する。第2コンデンサ83は第1コンデンサ19よりも容量が小さいため、第2コンデンサ83が充電されるのに必要な時間が短く、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差を素早く上昇させることができる。
【0086】
さらに、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差が上昇するにつれて、第3トランジスタ84のゲートに入力される電位が上昇する。そして、第3トランジスタ84のゲートに入力される電位がある程度上昇したときに、この電位によって第3トランジスタ84がオン状態にされる。このとき、基準電位入力部15と第3トランジスタ84のゲートとの間に第1ツェナダイオード86が接続されているため、第3トランジスタ84のゲートに入力される電位が必要以上に高くなることがない。そして、第3トランジスタ84がオン状態となることにより、第1コンデンサ19が充電される。
【0087】
また、半導体回路81において、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83に電荷が充電された状態で、オフ電位異常が発生したときには、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83に充電されていた電荷が放電されることによって、第2接続部18bに入力される電位の大きさが小さくならないようにすることができる。このとき、第1コンデンサ19からの放電が進行するにつれて、第3トランジスタ84のゲートに入力される電位が低下し、ある時点で第3トランジスタがオフ状態となる。しかしながら、第3トランジスタがオフ状態となった後も、第3ダイオード85を電流が流れることによって、第1コンデンサ19からの放電が継続される。
【0088】
このように、半導体回路81において、第2コンデンサ83、第1コンデンサ19の順に充電される。したがって、第1コンデンサ19と第2コンデンサ83とが同時に充電される場合と比較して、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83の充電時に流れる電流が小さくなる。その結果、第6実施形態の半導体回路81において、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83の充電時に流れる電流が、半導体回路81の動作に悪影響を与えることを防止することができる。また、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83の充電時に流れる電流によって半導体回路81を構成する第2トランジスタ14等の素子において素子破壊が発生するのを防止することができる。
【0089】
また、半導体回路81において、上記のように、第2コンデンサ83が充電されて、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差が十分に大きくなった後に第1コンデンサ19が充電されるため、第1コンデンサ19の容量が大きくても、第1コンデンサ19および第2コンデンサ83の充電時に流れる電流を小さくすることができる。これにより、第1コンデンサ19の容量を大きくして、オフ電位異常が発生してから、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに第1端子11の電位に応じた電位が出力されるまでの間、第1コンデンサ19から電荷を放電することによって確実に第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0090】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0091】
図6に示すように、第7実施形態の半導体回路91は、第3実施形態の半導体回路51と同様の構成を有する。また、半導体回路91は、半導体回路91は、第5実施形態と同様の第2ダイオード72を有している。
【0092】
また、半導体回路91において、ゲートドライブ回路18は、第5実施形態と同様の第4接続部18eを有する。また、半導体回路91において、ゲートドライブ回路18は、トランジスタ101,102と、抵抗103,104と、NAND回路105と、保護ダイオード106,107とを有する。
【0093】
トランジスタ101は、P型のMOS-FETである。トランジスタ101のドレインは、抵抗103を介して第1ゲート出力部18dに接続されている。トランジスタ101のソースは、第1接続部18aに接続されている。
【0094】
トランジスタ102は、N型のMOS-FETである。トランジスタ102のドレインは、抵抗104を介して第1ゲート出力部18dに接続されている。トランジスタ102のソースは、第2接続部18bに接続されている。
【0095】
NAND回路105には、電位指定信号入力部18cおよび第4接続部18eから信号が入力される。また、NAND回路105は、トランジスタ101,102のゲートに信号を出力する。
【0096】
第1接続部18aに入力された電位を第1ゲート出力部18dから出力することを示す信号が電位指定信号入力部18cに入力され、かつ、オフ電位異常が発生していないことを示す信号が第4接続部18eに入力されているときに、NAND回路105は、トランジスタ101をオン状態にさせ、トランジスタ102をオフ状態にさせるための信号をトランジスタ101,102のゲートに出力する。これにより、トランジスタ101を介して第1接続部18aと第1ゲート出力部18dとが接続される。
【0097】
第2接続部18bに入力された電位を第1ゲート出力部18dから出力することを示す信号が電位指定信号入力部18cに入力されたとき、および、オフ電位異常が発生していることを示す信号が第4接続部18eに入力されているときに、NAND回路105は、トランジスタ101をオフ状態にさせ、トランジスタ102をオン状態にさせるための信号をトランジスタ101,102のゲートに出力する。これにより、トランジスタ102を介して第2接続部18bと第1ゲート出力部18dとが接続される。
【0098】
すなわち、半導体回路91において、ゲートドライブ回路18は、第2実施形態と同様、第1ゲート出力部18dを、第1接続部18aおよび第2接続部18bのいずれかと選択的に接続する。
【0099】
保護ダイオード106は、トランジスタ101のソースと抵抗103とを接続する配線と、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の第1コンデンサ19と接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分と、の間に接続されている。保護ダイオード107は、トランジスタ102のソースと抵抗104とを接続する配線と、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の第1コンデンサ19と接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分と、の間に接続されている。保護ダイオード106,107は、ゲートドライブ回路18の第1接続部18a、第2接続部18b、電位指定信号入力部18c、第1ゲート出力部18dおよび第4接続部18eの間に、通常の動作時よりも大きな電圧が印加されたときにゲートドライブ回路18内の素子に過大な電流が流れて素子が破壊されてしまうのを防止するためのものである。
【0100】
また、半導体回路91において、電圧制限回路22は、第2ツェナダイオード111と、第4ダイオード112とを有する。第2ツェナダイオード111は、第2トランジスタ14のゲートと、第1端子11との間に、第2トランジスタ14のゲート側がカソード側となる向きで接続されている。第4ダイオード112は、第2ツェナダイオード111のアノードと第1端子11との間に、第1端子11側がカソード側となる向きで接続されている。
【0101】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも高電位のとき、および、および、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、電圧制限回路22が第4ダイオード112を有していることにより、電圧制限回路22を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間に電流が流れない。したがって、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が出力されることがない。ここで、所定電位差は、第4ダイオード112の順方向電圧と、第2ツェナダイオード111のツェナ電圧とに応じた電位差である。
【0102】
また、オフ電位異常が発生することによって、第1トランジスタ13がオフ状態にされて、第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となったときに、第4ダイオード112による第1端子11と第2トランジスタ14との間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0103】
半導体回路91は、第3コンデンサ92と、トランジスタ93(本発明の「スイッチ素子」)と、第2抵抗94と、NOT回路95と、コンデンサ96,97と、制御信号入力部98とをさらに備えている。
【0104】
第3コンデンサ92は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、第1コンデンサ19が接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分と、基準電位入力部15との間に接続されている。
【0105】
トランジスタ93は、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、第1コンデンサ19と接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分と、第2トランジスタ14のゲートと、の間に接続されている。トランジスタ93のドレインが、第2トランジスタ14のゲートに接続され、トランジスタ93のソースが、オフ電位入力部17と第2接続部18bとを接続する配線の、第1コンデンサ19が接続された部分と第2接続部18bとの間に位置する部分に接続されている。第2抵抗94は、トランジスタ93のドレインと、第2トランジスタ14のゲートとの間に接続されている。
【0106】
トランジスタ93のゲートは、NOT回路95を介して、入力端子24に接続されている。ゲートドライブ回路18から第1接続部18aに入力された電位を出力することを示す信号(第2トランジスタ14をオン状態にすることを示す信号)が入力端子24に入力されたときに、NOT回路95は、トランジスタ93のゲートに、トランジスタ93をオフ状態にすることを示す信号を出力する。これにより、トランジスタ93がオフ状態となり、オフ電位入力部17に入力されたオフ電位Voffが、トランジスタ93および第2抵抗94を介して第2トランジスタ14のゲートに出力されることはない。
【0107】
ゲートドライブ回路18から第2接続部18bに入力された電位を出力することを示す信号(第2トランジスタ14をオフ状態にすることを示す信号)が入力端子24に入力されたときに、NOT回路95は、トランジスタ93のゲートに、トランジスタ93をオン状態にすることを示す信号を出力する。これにより、トランジスタ93がオン状態となり、オフ電位入力部17に入力されたオフ電位Voffがトランジスタ93および第2抵抗94を介して、第2トランジスタ14のゲートに出力される。
【0108】
このとき、第1ゲート出力部18dから第2トランジスタ14のゲートに、第2接続部18bに入力された電位(オフ電位入力部17に入力されたオフ電位Voff)が出力されるのに加えて、オフ電位入力部17に入力されたオフ電位Voffが、トランジスタ93および第2抵抗94を介して、第2トランジスタ14のゲートに出力される。一方で、第7実施形態では、第2抵抗94が、第2トランジスタ14のゲートに接続された配線の、第1ゲート出力部18dが接続された部分よりも第2トランジスタ14のゲートに近い部分に接続されている。これにより、第2トランジスタ14をオフ状態にするときに、第2トランジスタ14のゲートに付与される電位の、第2トランジスタ14のゲートに接続される配線のインピーダンスの影響を低減することができる。
【0109】
また、トランジスタ93の近傍に第3コンデンサ92をバイパスコンデンサとして配置することにより、トランジスタ93および第2抵抗94を介して、第2トランジスタ14のゲートに出力される電位の、電源配線のインピーダンスによる変動を低減することができる。
【0110】
コンデンサ96は、基準電位入力部15とオン電位入力部16との間に接続されている。コンデンサ97は、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との間に接続されている。コンデンサ96は、半導体回路91と接続された外部回路の配線のインピーダンスによって外部回路から半導体回路91に電流が流れたときに、オン電位入力部16の電位が変動するのを抑えるためのものである。コンデンサ97は、半導体回路91と接続された外部回路の配線のインピーダンスによって外部回路から半導体回路91に電流が流れたときに、オフ電位入力部17の電位が変動するのを抑えるためのものである。
【0111】
制御信号入力部98は、第3接続部18eに接続されている。制御信号入力部98は、外部の制御装置などから、例えば、オフ電位異常が発生したときに異常検出回路21が第2ゲート出力部21bから出力する信号と同様の、異常が発生したことを示す信号を入力することができる。これにより、オフ電位異常以外の異常が発生したときに、外部回路により制御信号入力部に、異常が発生したことを示す信号を入力することによって、第2トランジスタ14をオフ状態にすることができる。
【0112】
[変形例]
以上、本発明の第1~第7実施形態について説明したが、本発明は、第1~第7実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて、様々な変更が可能である。
【0113】
第6実施形態において、第3トランジスタ84をN型のMOS-FETとしたが、これには限られない。第6実施形態で説明したのと同様に、基準電位入力部15とオフ電位入力部17との電位差に応じてオン状態とオフ状態とが切り換わるように構成されていれば、第3トランジスタ84をN型のMOS-FET以外の素子によって構成してもよい。
【0114】
第5、第6実施形態において、第1トランジスタ13を、P型のMOS-FET62としたが、これには限られない。第5、第6実施形態において、第1トランジスタ13を、N型のMOS-FETとしてもよい。第7実施形態において、第1トランジスタ13をN型MOS-FETとしたが、これには限られない。第7実施形態において、第1トランジスタ13をP型MOS-FETとしてもよい。
【0115】
第7実施形態において、半導体回路91が、第3コンデンサ92、トランジスタ93および第2抵抗94を有していなくてもよい。
【0116】
第6、第7実施形態において、半導体回路81、91が、第2ダイオード72を有していなくてもよい。
【0117】
第7実施形態のゲートドライブ回路18において、第1接続部18aに接続されたP型のトランジスタ101と、第2接続部18bに接続されたN型のトランジスタ102と、トランジスタ101、102のゲートに同じ信号出力するNAND回路105とによって、第1ゲート出力部18dを、第1接続部18aおよび第2接続部18bのいずれかと選択的に接続させることができるようにしたが、これには限られない。
【0118】
例えば、NAND回路105から出力される信号によって、トランジスタ101がオン状態となりトランジスタ102がオフ状態となる状態と、トランジスタ101がオフ状態となりトランジスタ102がオン状態となる状態とを切り換えることが可能であれば、トランジスタ101をP型のMOS-FET以外の素子としてもよいし、トランジスタ102をN型のMOS-FET以外の素子としてもよい。あるいは、トランジスタ101、102およびNAND回路105以外の構成によって、第1ゲート出力部18dを、第1接続部18aおよび第2接続部18bのいずれかと選択的に接続させることができるようにしてもよい。
【0119】
第7実施形態において、トランジスタ93の代わりに、第2トランジスタ14をオン状態にすることを示す信号が入力端子24に入力されたときにオフ状態となり、第2トランジスタ14をオフ状態にすることを示す信号が入力端子24に入力されたときにオン状態になるような、別のスイッチング素子が設けられていてもよい。
【0120】
また、第7実施形態において、第3コンデンサ93はなくてもよい。
【0121】
また、電圧制限回路22は、第7実施形態で説明したものには限られない。
【0122】
<変形例1>
例えば、変形例1では、図7(a)に示すように、電圧制限回路22が、第2トランジスタ14(図1等参照)のゲートと第1端子11(図1等参照)との間に直列に接続された複数のダイオード121を有する。複数のダイオード121は、いずれも第1端子11側がカソード側となる向きで接続されている。
【0123】
変形例1の電圧制限回路22は、複数のダイオード121を有しているため、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも高電位のとき、および、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、複数のダイオード121による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、電圧制限回路22を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間で電流が流れない。したがって、このときに、第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が出力されることはない。ここで、所定電位差は、複数のダイオード121の順方向電圧の合計に応じた電位差である。複数のダイオード121の順方向電圧の合計は、例えば、Nを2以上の整数として、電圧制限回路22において順方向電圧が同じN個のダイオード121が直列に接続されている場合、ダイオード121の順方向電圧をN倍した電圧である。
【0124】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11の電位と第2トランジスタ14のゲートの電位差が所定電位差以上となると、複数のダイオード121による第1端子11と第2トランジスタ14との間の抵抗が小さくなる。これにより、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0125】
<変形例2>
変形例2では、図7(b)に示すように、電圧制限回路22が、N型のMOS-FET131と、ダイオード132と、インピーダンス素子133、134とを有する。
【0126】
MOS-FET131は、第2トランジスタ14(図1等参照)のゲートと第1端子11(図1等参照)との間に接続されている。MOS-FET131のドレインが第2トランジスタ14のゲートと接続され、MOS-FET131のドレインが第1端子11と接続されている。
【0127】
ダイオード132は、第2トランジスタ14のゲートと、MOS-FET131のドレインとの間に、MOS-FET131のドレイン側がカソード側となる向きで接続されている。ダイオード132は、第1端子11が、第2トランジスタ14のゲートよりも高電位のときに、MOS-FET131を介して、第2トランジスタ14のゲートから第1端子11へ電流が流れないようにするためのものである。これにより、第1端子11が第2トランジスタ14よりも高電位のときには、第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位が出力されない。後述する変形例3~5についても同様である。
【0128】
インピーダンス素子133は、第2トランジスタ14のゲート(MOS-FET131のドレイン)と、MOS-FET131のゲートとの間に接続されている。インピーダンス素子134は、インピーダンス素子133およびMOS-FET131のゲートと、第1端子11との間に接続されている。インピーダンス素子133、134は、抵抗である。あるいは、インピーダンス素子133、134は、抵抗、コイルおよびコンデンサによって構成される交流抵抗であってもよい。
【0129】
変形例2の電圧制限回路22では、第1端子11の電位と、第2トランジスタ14のゲートの電位との電位差が、インピーダンス素子133のインピーダンスとインピーダンス素子134のインピーダンスとの比によって分圧される。そして、第1端子11の電位と第2トランジスタ14のゲートとの間の電位であって、インピーダンス素子133のインピーダンスとインピーダンス素子134のインピーダンスとの比に応じた電位が、MOS-FET131のゲートに入力される。
【0130】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET131のゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET131の閾値電圧よりも小さい。そのため、MOS-FET131がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。ここで、所定電位差は、MOS-FET131のゲートとソースとの電位差が閾値電圧となるときの電位差である。以下に説明する変形例3~5における所定電位差についても同様である。
【0131】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11の電位と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上となる。これにより、MOS-FET131がオン状態となって、MOS-FET131を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0132】
<変形例3>
変形例3では、図7(c)に示すように、電圧制限回路22が、変形例2と同様のN型のMOS-FET131およびダイオード132と、ツェナダイオード141と抵抗142とを有する。
【0133】
ツェナダイオード141は、第2トランジスタ14のゲート(MOS-FET131のドレイン)と、MOS-FET131のゲートとの間に、第2トランジスタ14のゲート側がカソード側となる向きで接続されている。抵抗142は、ツェナダイオード141のアノードおよびMOS-FET131のゲートと、第1端子11との間に接続されている。
【0134】
変形例3の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位のときに、ツェナダイオード141の両端にツェナ電圧が発生する。そのため、MOS-FET131のゲートとソース(第1端子11)との電位差が、第2トランジスタ14のゲートの電位と、第1端子11の電位との電位差からツェナ電圧を差し引いた電位差となる。
【0135】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET131の閾値電圧よりも小さい。そのため、MOS-FET131がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0136】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14よりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上になる。これにより、MOS-FET131がオン状態となって、MOS-FET131を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0137】
<変形例4>
変形例4では、図7(d)に示すように、電圧制限回路22が、変形例2と同様のN型のMOS-FET131およびダイオード132と、オペアンプ151とを有する。
【0138】
オペアンプ151の非反転入力部は、第2トランジスタ14のゲートに接続されている。これにより、オペアンプ151の非反転入力部には、第2トランジスタ14のゲートの電位が入力される。オペアンプ151の反転入力部は、図示しない外部回路に接続されている。また、第1端子11もこの外部回路に接続されている。そして、オペアンプ151の反転入力部には、上記外部回路から第1端子11の電位に応じた参照電位が入力される。オペアンプ151の出力部は、MOS-FET131のゲートに接続されている。オペアンプ151は、非反転入力部に入力された電位が、反転入力部に入力された参照電位未満のときに、出力部からMOS-FET131のゲートに、MOS-FET131をオフ状態にするための電位を出力する。また、オペアンプ151は、非反転入力部に入力された電位が、反転入力部に入力された参照電位以上のときに、出力部からMOS-FET131のゲートに、MOS-FET131をオン状態にするための電位を出力する。これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、オペアンプ151の出力部からMOS-FET131をオフ状態にするための電位が出力される。また、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、オペアンプ151の出力部からMOS-FET131をオン状態にするための電位が出力される。
【0139】
変形例4の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートより低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET131がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0140】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET131がオン状態となって、MOS-FET131を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。これにより、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0141】
<変形例5>
変形例5では、図7(e)に示すように、電圧制限回路22が、変形例2と同様のN型のMOS-FET131およびダイオード132と、複数のダイオード161と、抵抗162とを有する。
【0142】
複数のダイオード161は、第2トランジスタ14(図1等参照)のゲートと、MOS-FET131のゲートとの間に、直列に接続されている。複数のダイオード161は、いずれも第2トランジスタ14のゲート側がカソード側となるように接続されている。抵抗162は、複数のダイオード161のうち最もMOS-FET131のゲートに近いダイオード161のアノード、および、MOS-FET131のゲートと、第1端子11との間に接続されている。
【0143】
変形例5の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位であるときに、各ダイオード161の両端に順方向電圧が発生する。そのため、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が、第2トランジスタ14のゲートの電位と第1端子11の電位との電位差から、複数のダイオード161の順方向電圧の合計を差し引いた電位差となる。
【0144】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET131の閾値電圧よりも小さい。したがって、MOS-FET131がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0145】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET131において、ゲートがソースよりも高電位でかつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上となる。これにより、MOS-FET131がオン状態となって、MOS-FET131を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0146】
<変形例6>
変形例6では、図7(f)に示すように、電圧制限回路22が、P型のMOS-FET171と、ダイオード172と、インピーダンス素子173、174とを有する。
【0147】
MOS-FET171は、第2トランジスタ14(図1等参照)のゲートと第1端子11(図1等参照)との間に接続されている。MOS-FET171のドレインが第1端子11と接続され、MOS-FET171のドレインが第2トランジスタ14のゲートと接続されている。
【0148】
ダイオード172は、第2トランジスタ14のゲートと、MOS-FET171のソースとの間に、MOS-FET171のソース側がカソード側となる向きで接続されている。ダイオード172は、第1端子11の電位が、第2トランジスタ14のゲートの電位よりも高いときに、MOS-FET171を介して、第2トランジスタ14のゲートから第1端子11へ電流が流れないようにするためのものである。これにより、第1端子11が第2トランジスタ14よりも高電位のときには、第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位が出力されない。後述する変形例7~9についても同様である。
【0149】
インピーダンス素子173は、第2トランジスタ14のゲート(MOS-FET171のドレイン)と、MOS-FET171のゲートとの間に接続されている。インピーダンス素子174は、インピーダンス素子173およびMOS-FET171のゲートと、第1端子11との間に接続されている。インピーダンス素子173、174は、抵抗である。あるいは、インピーダンス素子173、174は、抵抗、コイルおよびコンデンサによって構成される交流抵抗であってもよい。
【0150】
変形例6の電圧制限回路22では、第1端子11と、第2トランジスタ14のゲートの電位との電位差が、インピーダンス素子173のインピーダンスとインピーダンス素子174のインピーダンスとの比によって分圧される。そして、第1端子11の電位と第2トランジスタ14のゲートとの間の電位であって、インピーダンス素子173のインピーダンスとインピーダンス素子174のインピーダンスとの比に応じた電位が、MOS-FET171のゲートに入力される。
【0151】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET171のゲートがソースよりも低電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET171の閾値電圧よりも小さい。そのため、MOS-FET171がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。ここで、所定電位差は、MOS-FET171のゲートとソースとの電位差が閾値電圧となるときの電位差である。以下に説明する変形例7~9における所定電位差についても同様である。
【0152】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11の電位と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも低電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上となる。これにより、MOS-FET171がオン状態となって、MOS-FET171を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0153】
<変形例7>
変形例7では、図7(g)に示すように、電圧制限回路22が、変形例6と同様のP型のMOS-FET171およびダイオード172と、抵抗181とツェナダイオード182とを有する。
【0154】
抵抗181は、第2トランジスタ14のゲート(MOS-FET171のソース)と、MOS-FET171のゲートとの間に接続されている。ツェナダイオード182は、抵抗181およびMOS-FET171のゲートと、第1端子11との間に、抵抗181およびMOS-FET171のゲート側がカソード側となる向きで接続されている。
【0155】
変形例7の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位のときに、ツェナダイオード182の両端にツェナ電圧が発生する。そのため、MOS-FET171のゲートとソース(第1端子11)との電位差が、第2トランジスタ14のゲートの電位と、第1端子11の電位との電位差からツェナ電圧を差し引いた電位差となる。
【0156】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも低電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET171の閾値電圧よりも小さい。そのため、MOS-FET171がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0157】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14よりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも低電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上になる。これにより、MOS-FET171がオン状態となって、MOS-FET171を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0158】
<変形例8>
変形例8では、図7(h)に示すように、電圧制限回路22が、変形例2と同様のP型のMOS-FET171およびダイオード172と、オペアンプ191とを有する。
【0159】
オペアンプ191の非反転入力部は、図示しない外部回路に接続されている。また、第1端子11もこの外部回路に接続されている。そして、オペアンプ191の非反転入力部には、上記外部回路から第1端子11の電位に応じた参照電位が入力される。オペアンプ191の反転入力部は、第2トランジスタ14のゲート(MOS-FET131のドレイン)に接続されている。これにより、オペアンプ191の反転入力部には、第2トランジスタ14のゲートの電位が入力される。オペアンプ191の出力部は、MOS-FET171のゲートに接続されている。オペアンプ191は、非反転入力部に入力された電位が、反転入力部に入力された参照電位未満のときに、出力部からMOS-FET171のゲートに、MOS-FET171をオフ状態にするための電位を出力する。また、オペアンプ191は、非反転入力部に入力された電位が、反転入力部に入力された参照電位以上のときに、出力部からMOS-FET171のゲートに、MOS-FET171をオン状態にするための電位を出力する。これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、オペアンプ191の出力部からMOS-FET171をオフ状態にするための電位が出力される。また、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上のときに、オペアンプ191の出力部からMOS-FET131をオン状態にするための電位が出力される。
【0160】
変形例8の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートより低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET171がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0161】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET171がオン状態となって、MOS-FET171を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。これにより、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【0162】
<変形例9>
変形例9では、図7(i)に示すように、電圧制限回路22が、変形例6と同様のP型のMOS-FET171およびダイオード172と、抵抗201と複数のダイオード202とを有する。
【0163】
抵抗201は、第2トランジスタ14(図1等参照)のゲートと、MOS-FET171のゲートとの間に接続されている。複数のダイオード202は、抵抗201、および、MOS-FET131のゲートと、第1端子11との間直列に接続されている。複数のダイオード202は、いずれも第1端子側がカソード側となるように接続されている。
【0164】
変形例9の電圧制限回路22では、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位であるときに、各ダイオード202の両端に順方向電圧が発生する。そのため、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも高電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差が、第2トランジスタ14のゲートの電位と第1端子11の電位との電位差から、複数のダイオード161の順方向電圧の合計を差し引いた電位差となる。
【0165】
これにより、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差未満のときには、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも低電位で、かつ、ゲートとソースとの電位差がMOS-FET171の閾値電圧よりも小さい。したがって、MOS-FET171がオフ状態となっている。この状態では、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が大きく、第1端子11の電位が第2トランジスタ14のゲートに出力されることがない。
【0166】
第1トランジスタ13(図1等参照)がオフ状態になって第1端子11の電位が低下し、第1端子11が第2トランジスタ14のゲートよりも低電位で、かつ、第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの電位差が所定電位差以上となると、MOS-FET171において、ゲートがソースよりも低電位でかつ、ゲートとソースとの電位差が閾値電圧以上となる。これにより、MOS-FET171がオン状態となって、MOS-FET171を介して第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとが導通し、電圧制限回路22による第1端子11と第2トランジスタ14のゲートとの間の抵抗が小さくなる。そして、電圧制限回路22から第2トランジスタ14のゲートに、第1端子11の電位に応じた電位が、第2トランジスタ14をオフ状態にするための電位として出力される。
【符号の説明】
【0167】
1:半導体回路、11:第1端子、12:第2端子、13:第1トランジスタ、14::第2トランジスタ、15:基準電位入力部、16:オン電位入力部、17:オフ電位入力部、18:ゲートドライブ回路、18a:第1接続部、18b:第2接続部、18c:電位指定信号入力部、18d:第1ゲート出力部、第4接続部18e:第3接続部、19:第1コンデンサ、20:第1ダイオード、21:異常検出回路、22:電圧制限回路、51,61,71,81,91:半導体回路、72:第2ダイオード、82:充電制御回路、83:第2コンデンサ、84:第3トランジスタ、85:第3ダイオード、86:第1ツェナダイオード、87:第1抵抗、92:第3コンデンサ、93:トランジスタ、94:第2抵抗、111:第2ツェナダイオード、112:第4ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7