(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】流体の分析装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/59 20060101AFI20231121BHJP
G01J 3/42 20060101ALI20231121BHJP
G01N 33/32 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01J3/42
G01N33/32
(21)【出願番号】P 2021525299
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 BR2019050381
(87)【国際公開番号】W WO2020093121
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】BR1020180730223
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】521199074
【氏名又は名称】アウアド ロジェリオ バプティスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】アウアド ロジェリオ バプティスタ
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06533449(US,B1)
【文献】米国特許第03740156(US,A)
【文献】特表2004-527744(JP,A)
【文献】国際公開第2008/044329(WO,A1)
【文献】特表2004-533318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0176484(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/61
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 33/00 - G01N 33/46
B01F 21/00 - B01F 25/90
G05D 9/00 - G05D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料・エナメル・染料
を含む流体の光学特性をコントロールユニット(Ucont)で自動的に検査が実行できるように
前記流体を調整し、照射固定膜厚を透過型分光法で色・不透明度・色相・彩度(着色力)・被覆率・明度
を含む前記光学特性について分析するよう下記の事項で構成されたことを特徴とする流体分析装置。
a)No.1セレクタバルブ(Vsel1)は
、回転フランジ(17)を備え、センサー付きの空気圧ロータリーアクチュエータ(12)によって作動し、この回転フランジ(17)には4つの停止位置(14a) (14b) (14c) (14d) があり、コントロールユニット(Ucont)によって位置決めが命令され、2つの補助空気圧アクチュエータ(11)でストッパーを制御する。
b)プランジャー(24)にリニアポジショナー(21)が付いているディスペンシングシリンジ(25)を備えたディスペンシングモジュール (Mdos)で、前記プランジャー(24)に付属されたリニアトランスデューサ(23)を介してコントロールユニット(Ucont)のプロセッサにインストールされたプログラムによって所定の分析流体の容量に達する迄、モータ(20)でプランジャー(24)を後退させる。これにより、ピストン(24)に付属しているリニアトランスデューサ(23)を用いて、分析流体の容量が間接的に測定される。
c)回転フランジ(17)を備えたNo.2セレクタバルブ(Vsel2)は、空気圧ロータリーアクチュエータ(12)によって作動し、この前記回転フランジ(17)には4つの停止位置 (14a) (14b) (14c) (14d) があり、コントロールユニット(Ucont)によって位置決めが制御され、2つの補助空気圧アクチュエータ(11)がストッパーを制御する。
d)混合モジュール(Mmist)には混合チャンバー(39)を備え、シャフト(35)の一方の端には円錐形螺旋型攪拌機(38)が接続され他方の端には空気圧モーター(30)が結合されている。混合室(39)には可動壁(37)が設けられ、
前記可動壁(37)には混合チャンバー(39)の内容物を出口継手(34)に移送させる空気圧可動アクチュエータ(32)が結合されている。
e)流体分析モジュール(Manflu)は「分析パッケージ」を入口継手(41)で受けて、特性測定セル(49)に移送する。分析チャンバー(49a)の静止光学窓(46)は位置決め用空気圧アクチュエータ(45)で駆動され所定の膜厚を形成する。光源(Flum)によって生成された100~6000 nm帯の電磁放射線が、光ファイバービーム(44)によって移動光学窓(47)を通り抜け、光学窓(46)(47)の間に置かれた流体分析試料と相互作用して照射の反対側に現れ、捕集光ファイバー束(43)によって収集され、ダブルビーム分光光度計(Esp)に伝播される。
f)制御ユニットによって作動する空気圧アクチュエータ(40)に結合された機械式クリーニングアーム(49)を有し、前記クリーニングアーム(49)は、光学窓(46)(47)の表面を擦るためのエラストマベーン(49b)を備えている。
【請求項2】
No.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポートへの流体分析試料の流入は、容器 (C1) (C2) 用ポンプ (B) の与圧から発生する吸引によって行われることを特徴とする請求項1記載の流体分析装置。
【請求項3】
No.1セレクタバルブ( Vsel1 )のNo 1停止位置(14A )の、吸入ポート( 18a )で容器C1 に貯蔵された流体分析試料を流入させる。No.1セレクタバルブ( Vsel1 )のNo 2停止位置によって吸入ポート ( 18b )から容器 C2の展色剤を流入させる。No.1セレクタバルブ( Vsel1 )のNo 3停止位置によって吸入ポート ( 18c )から容器 C3の洗浄溶剤を流入させる。No 4停止位置はすべての方向の流体の流れを遮断することを特徴とする請求項1記載の流体分析装置。
【請求項4】
紫外線領域から赤外線領域(100~6000 nm)までの分析が可能なデュアルビーム分光器(Esp)を搭載していることを特徴とする請求項1記載の流体分析装置。
【請求項5】
制御ユニット(Ucont)によって制御される光学較正モジュール(Mcal)を備えており、分光光度計(Esp)のサンプルチャネルに、減衰量が既知の一連のニュートラル光学フィルタ (56a) (56b) (56c) を導入することを特徴とする。これら光学フィルタは、位置センサー(53)を備えた位置決めブロック(55)で固定され「ニュートラルデンシティ(ND)フィルター」 (56a) (56b) (56c)の位置決めに位置決め用空気圧アクチュエータ (50)と機械的ストッパーを挿入し他の2つの補助用空気圧アクチュエータ (54)によって作動することを特徴とする請求項1記載の流体分析装置。
【請求項6】
以下の段階ステップを含むことを特徴とする流体分析方法。
a)既定の割合で異なる比率の顔料ペーストまたは顔料分散剤・ミネラルフィラー・染料溶液に透明・不透明度がコントロールされた希釈展色剤で補充し調製する。代替品としてワニス・混合溶剤・樹脂・不透明度がコントロールされた液状展色剤またはこれらを組み合わせた物が使える。これらを次の段階ステップである混合モジュール(Mmist)に移送される。
b)
上記の手順から移送される混合物の適切な均質化を行うめに、上記の手順で最初に正確な割合で投与された規定容量を混合モジュールに投入する。その後、混合チャンバー内で規定の収縮ステップの後、内容物を内部から排出して次の手順に進む。
c
)内部に電磁放射線を透過する封じ込め面(光学的読取窓)を持つ読取セル内で、前の段階ステップの物質を用いて固定膜厚の流体膜を形成し、透過分析による分光測定を可能にする。
d)前記流体膜に電磁放射線を照射して、流体膜と電磁放射線との間に相互作用を生じさせる。
e)照射面と反対側の面に形成された流体膜に透過した電磁放射線を、分光光度計の検出器で受光する。
f)透過法で受光した前記相互作用
が生じた前記電磁放射線を分光光度計で検出し、前記流体
膜を形成する前記物質の物理的特性に関連するデータを生成する。
g)前段階ステップのデータを読み取り後、自動的に作動するクリーニングアームを使用して付着または吸着した物質を表面から拭き取り、内部表面の電磁放射線(光学的読み取り窓)の透過抑止の為に洗浄・除染を行う。
h)前段階ステップで除染した後、分析試料の更新を可能にし、新しい試料を受け入れ、前の試料を自然に排出する事によって、
前記a)の段階ステップから前の試料を排出するまでの一連の動作が終了し、新しい周期を再開する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体・懸濁液・溶液・分散液・乳濁液等を分析する装置および方法を記載している。より具体的には、流体試料の特性を自動的に分析する装置で、塗料・エナメル・染料などの光学特性を検査が実行できるように流体の調製を行い、色・不透明度・色相・彩度など(着色力)・被覆率・明度を50~1000 μmの範囲で照射された固定膜厚照射薄膜の透過率を分光測定法で分析する。
【背景技術】
【0002】
塗料という用語は、液体・ペースト状・固体の色素組成物であると考えられ、これらを適切な表面に薄い層(薄膜)として形成されたときに供給された状態または希釈後、一定時間後に着色された半透明または不透明な固体薄膜に変換できる。
【0003】
塗料の主な構成要素は以下の通りである。(a)樹脂:通常は半透明または透明である。その主な機能は、塗膜の下地への付着を促進することである。また、顔料の濡れ性・光沢性・耐薬品性・物理的強度などを担っている。(b)顔料・フィラー:発色・薄膜の不透明度・照射光耐性・光学特性等の冗長化を促進する。(c) 添加剤:塗膜の物理的・化学的・レオロジー的特性等をもたらす。(d) 溶剤・希釈剤:基本的には塗料の粘度や下地への塗装性を調製するために使用され、上記の工程の終了時に蒸発し、形成された塗膜の硬化及び乾燥を可能にする。
【0004】
顔料は、染料とは異なり、微細に分割された固体物質で実質的に溶媒には溶解しない。これは塗料調製時、色や不透明度、その他の特殊性をもたらす目的で使用されるものである。つまり、塗料の光学的特性や、そこに配合される製品の特性を変更する目的で使用される。適切な顔料であることを特徴付ける特性は、再現する色を取得できる能力があることで、顔料を特徴付ける重要な特性は、模倣する色を取得する能力である。それらの存在は、不透明度を得るためにも必要な場合があるからで、なぜならほとんどの場合、塗料はそれらが塗布される表面を覆うために使用されるからである。
【0005】
塗料・エナメル・、顔料ベースを製造する過程で、要求された物理的特性を備えた流体を生成するために原材料はさまざまな比率で混合される。このプロセスの固有の問題は 使用される原材料のばらつき及び製造工程の変動性に影響される。これらの理由により、あらかじめ決められた比率の成分を直接単純に混合しただけでは、要求された仕様は達成できない。
【0006】
そのため、要求される仕様を達成するためには、製造過程で次の事が必要である。この流体の物理的特性を測定し、様々な調製が必要がある。これは、製造される製品のバッチ・ロットごとの構成成分の比率の変動を表すことになる。
【0007】
塗料のいくつかの特性の中でも、色・光沢・被覆率などの光学的特性は非常に重要である。この場合、現在、分析には目視または分光光度法が用いられている。いずれの方法でも、塗料を均一な薄膜状にして試験板に塗布し、その色や不透明度、光沢などを観察する。乾燥または硬化させた後、塗料を分析し、色標準と比較する。分光光度法を用いれば、それらの色度特性や光学特性を正確に測定することができる。
【0008】
どちらの分析法でも、それに関連する調製・塗布・硬化・乾燥などの段階ステップにより、分析期間は場合によっては数時間から数日かかることがある。
【0009】
塗料の色のみに関連する特性を簡単に分析するには、試験片が塗料で完全に覆われている (不透明)ことが不可欠である。なぜなら、そうしないと、目視や分光光度法による最終的な色の測定に、試験片の色が直接影響するからであある。
【0010】
人間の目で見たのと同じように色を測定するには、400~700 nmの可視光域で反射した光の物理的特性(反射率)を測定する分光光度計が使われる。この場合、横軸に波長、縦軸に反射率をとったグラフが作成され、塗膜の色を効果的に特徴づけることができ、その色は「フィンガープリント」に相当する。
【0011】
商業的な観点から見ると、現在、塗料の商品化には次のような2つの形態がある。
【0012】
「ファクトリーパック」とは、工場で直接生産された塗料を最終的な容器に入れて納品されたもので、色・被覆率・密度・粘度など、そのすべての特性は製造過程ですでに調製されている。
【0013】
塗料調色機を使って市販された塗料と言うのは顔料ペーストと事前に調製されたベースとの混合物をこの機械に投入し製造され直接販売店で売られているものである。
【0014】
塗料調色機で製造された塗料の場合、販売された塗料は品質管理・分析が行われていないので、調製されたベースと顔料ペーストの両方のすべての特性が重要になり、正確に計量され、仕様内の完全な製品を製造できるように厳密に管理されている必要がある。
【0015】
この方法では、使用するすべての成分の特性が完璧であることを前提としている。この為、混合終了時に得られる塗料が、色・被覆率・密度・粘度などの仕様をすべて満足することである。
【0016】
このように、2つの塗料の調製方法には非常に大きな概念上の違いがある。また、ファクトリーパックで得られた製品には、製品の構成成分が事前に確認されていると考えられる。樹脂・顔料ペースト・ベースなど、事前に調製する必要はない。なぜなら、その後の段階ステップで調整・品質管理があり、最終製品の特性を補正・調製するからである。市販の塗料調色機で製造された塗料は、構成成分が厳密に管理された品質要因を備えている必要があり、最終製品が検査されるはことないので、すべての要求される特性を満たす必要がある。
【0017】
前述したように、塗料調色機のベースおよび顔料ペーストは、メーカーが供給する原材料(顔料・フィラーなど)のバラツキを考慮して、その後の混合量に合わせて事前に調製する必要がある。また、展色剤のバラツキやこのようなベースの製造工程にも関連し、分析や調製を無くしたら基準範囲の再現性は不可能である。
【0018】
この場合、調製のためには、これらのベースや顔料ペーストの色を目視や分光光度法のいずれの測定で単純に観察しても、これらのベースを混合して塗料を調製した場合に何が起こるのか予想ができない。なぜなら、「完全飽和」と呼ばれる状態になっているからである。
【0019】
この状態では、これらの手法は試料間の違いを識別する感度が不足しているので、事前に較正された顔料ベースの標準希釈液を用いて、「脱飽和」または「カットオフ」と言う方法が採用される。
【0020】
この混合の結果、事前に決められた割合であるなら、「着色力」・「染着力」、あるいは単に「強度」と呼ばれる特性を測定することができる。
【0021】
着色顔料ペーストの分析と調整のための「強度」の測定は、通常、TiO2 (二酸化チタン)顔料で製造された較正済みの規格化されたホワイトベースを使用して行われる。ホワイトベースの分析と調製には、通常、黒や緑の顔料から作られた規格化・較正済みのベースが使用される。
【0022】
この場合、染着力の分析・調製方法は、規格ベースの既定の量、ならびに別の分析・調製される顔料ペーストの既定の量を計量することから始まる。これらの成分の混合物から生成された物は、試験板に塗布され、既定の条件の下で硬化または乾燥し、目視手法または標準分光光度計によって得られた反射曲線を通して、カラーチャートと比較される。
【0023】
簡単に言えば、この手法で得られた色が標準の色よりも濃い場合、これは分析中の顔料ペーストが、要求される結果に達するまで、このペーストの元の透明な展色剤で希釈されなければならないことを示している。因みにあまり濃くない場合は、要求される結果に達する迄、混合に高濃度の顔料を使用する必要があることを意味する。
【0024】
これと同じ手法を着色顔料ペースト、白のベースまたはペーストの両方に使うことが有効である。
【0025】
しかし、この「強度」の測定と調整の手法は、標準試料と供試試料の差を推定する方法(目視または分光光度計)にもかかわらず、それ自体が基準の較正に関連した極めて重要な経年変化をもたらすことを強調しなければならない。
【0026】
例えば、白の標準を較正するための黒の標準は、前の白の標準が原点で、その白の標準も前の黒の標準で較正されている、というように「無限に続く」と考えられる。これは結局、色度特性の標準に永久的かつ継続的な劣化をもたらすものであり、コピーからコピーを繰り返しているのと同じことであり、その結果、次のドキュメントの特性と品質に劣化が生じることになる。
【0027】
この問題とは別にこの手法には、下記の技術的不定性が加わる。塗料成分の計量に関する誤差・表面処理の方法・表面に塗料を塗布する際のスプレーの圧力・塗膜の厚さ・乾燥及び硬化の温度・空気の相対湿度・ベースの安定性(顔料の凝集と再凝集)・蒸発損失により基準の濃縮・人的要因など。
【0028】
これらの要因が重なると、塗料メーカーにとっては非常に重要な変動要因となり、これにより運用上複雑になって、いくつかの関連コストが発生する。例えば、「無品質の製品」のコスト・大量の在庫・分析や調製のためのリードタイム・運用能力の損失などである。
【0029】
最近の最新技術は、従来の「不飽和化」技術の代替として、膜厚を自動制御する装置を介して、異なる屈折率を有する流体の透過スペクトルを測定する装置が報告されている。
【0030】
この場合、顔料ベースまたはペーストは、可視スペクトルの2つの電磁放射線透過性表面(光学窓)の間に置かれ、片側を光源で照らし、反対側を分光光度計で観察する。
【0031】
2つの光学窓の距離(光路長)を変化させることができ、照射光が通過できる厚さになるまで膜の厚さを減少させて、反対側の光学窓から反射光スペクトル曲線を得る。
【0032】
この手法で「本当の」分析顔料の色度特性が得られるが、一方、従来の不飽和化技術では、顔料ペーストが白色顔料と混合されたときに顔料ペーストが何かを生成するような効果を表す。すなわち、分析対象の顔料ペーストをある一定の濃度で添加したとき、標準白色顔料のスペクトル曲線の変形量に相当するものである。
【0033】
特許BR9612756は、流体の特定の物理的特性を分析することを目的とした、流体分析システムについて記述されている。その為の方法でありこのシステム特定の厚さの流体膜を形成する為のデバイスを有する。既存の薄膜照射デバイスを、流体の特定の物理的特性と関連するデータを含む相互作用電磁放射線を生成する電磁放射線薄膜用に適合させたもので、相互作用電磁放射線を受信するための受信器と、相互作用電磁放射線を検出するための受信器に付随する検出器とを備えている。薄膜形成デバイスは流体と接触する反対側の表面との間で規定されたサンプリング領域を含み、サンプリング領域は、流体がそこに流入させるために流体入口と結合して、流体と接触する反対側の表面との間の距離によって規定された厚さで流体膜を形成するには、流体と接触している反対側の表面のうち少なくとも1つは、電磁放射線に対して透過性があること。
【0034】
特許BRPI9801134は、塗料・エナメル・染料などの流体を連続的に調製して、特定の色・不透明度・色相・彩度・明度・密度・粘度などの所望された既定の物理的特性を有する結果としての流体を生成し、流体の物理的特性を自動的に調整する装置が記載されている。濃縮液やベースの特性を測定し、必要な物理的特性の変動を補正するために必要な成分とその量を確定する。補正に必要な成分を自動的に適量供給することで、最終製品の流体が規定範囲内の特性を持つことを保証する。本発明の装置は、検出された流体の物理的特性が所望の物理的特性と異なる時には、混合チャンバーの出力ポートと入力ポートを相互に接続して、流体が混合チャンバーに戻ることを可能にするということを特徴とする。。
【0035】
特許US2008273204は、塗料・染料・エナメルまたはその他の不透明な流体の透過と反射の両方のスペクトル特性を測定する装置と方法が記載されている。ロックインアンプを使用して、流体を通過する電磁放射線の透過成分のS/N比を大幅に向上させることができる。これにより、電磁放射線の0.0001% またはそれ以下の透過率を測定することができる。これにより、測定の不確実性をもたらす試料の希釈、透過率を高めるために流体の非常に薄い膜を使用することを回避できる。これには、入射電磁放射線が流体と十分に相互作用しないため、透過スペクトルが得られないという欠点がある。
【0036】
特許US20080273204は、液体試料、特に塗料やその他の不透明な液体の透過と反射を測定する装置と方法が記載されている。基準光源・ビームスプリッター(「切替スイッチ」)・可変ギャップ用測定セル・少なくとも1つの受光器および少なくとも1つの検出器とプラグイン式増幅器で構成されている。ビームスプリッターは,光ファイバーを介して光源からの光束を分割することで透過と反射を同時に、あるいは別々に測定することができる。ビームスプリッターの位置をずらすことで、照射角度、ひいては反射角度も調整できる。同様に、二次透過電磁放射線は45°の角度で検出することができる。
【0037】
特許WO2005003740は、光学ユニット・試料分析ユニット・制御ユニットからなる反射率センサーについて記載されている。液体顔料調製剤または固体顔料表面の試料の反射率を測定する方法であり、反射率センサーを使用して、製造中のさまざまな工程で液体顔料調製剤の反射率を測定することができ、追加処理、液体顔料調製にも適用できる。
【0038】
特許WO2013173401は、0.05~2mmの範囲内の所定の膜厚で調製した流体試料の、ひとつまたはそれ以上の特性を測定する方法について記載されている。ある平らな円板で一方の面と他方の面がお互いに向かい合ってその中心に回転軸がこの二つの面に対して垂直で対称に平らな円板を回転させる機構である。この平らな円板と回転軸を支持する構造物がある。膜厚の制御は次の要素で構成されている。薄膜結合端と液体戻り経路、少なくとも一箇所のコネクタフレームが薄膜結合端・液体戻り経路・装置の筐体に繋がって、このコネクタフレームは装置の筐体から取り外しが可能である。回転軸を回す駆動装置、回転速度・回転方向・またはこの2つの回転要素の組み合わせた制御装置がある。
【0039】
特許EP0932829は、塗料・顔料ペーストまたはそれと類似な物質の物理的特性を分析する装置が記載されている。塗料・顔料ペースト又はその類似な物質の薄膜を形成するためのデバイスで構成されている。検査対象の塗料・顔料ペースト・その類似な物質に照射する光源、それによって塗料・顔料ペーストまたはそれと類似な物質と電磁放射線の間に相互作用が生じ、測定信号を出す。測定信号を受信する機器と、それと接続されて測定信号を受信する検出器を設置している。
【0040】
しかし、これらの最先端の装置は複雑で、製品を自然のままにして特性を測定することを目的としている。照射された薄膜が顔料粒子によって高い吸収と散乱を起こすことを考慮すると、非常に薄い膜厚で操作する必要があり、時には2~3μmに及ぶこともある。そのために高出力のランプを必要とするため、供試試料が加熱されて密度が変化し、結果として測定対象物の測定結果の安定性と精度が変わります。
【0041】
透過法を使用して種々な膜厚の色度測定に対処しようとすると、次のような他の影響も観察される。(a)圧力と温度に関連した環境の影響で、測定器に機械的な膨張と屈曲を引き起こし、透過率の結果に偏差が生じ、機器の使用が制限される。(b)表面反射(光学窓)間の「ゼロ厚」の較正・維持が不安定である。厚さの測定は、測定する厚さの数千倍の長さを持つ測定棒に接続されたデジタルプローブマイクロメーターによって、間接的に行われる。これはロッド材料の線膨張係数に関連する熱要因と機械的屈曲の両方によって、膜厚測定データに変動をもたらす。
【0042】
したがって、本発明の特許の目的は、顔料ペースト・顔料分散剤・ミネラルフィラー・透明または不透明度が調製された染料溶液と透明または不透明度がコントロールされた展色剤を段階的に希釈して流体分析を可能にする装置および方法である。このようにして規定光路長(固定照射膜厚)で透過型分光法を使用し分析できる均質な混合物を生成し、顔料ベースまたはペーストの染着力(強度)・被覆率、その他の色度特性の測定能力を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本流体分析装置の構成要素を模式図で示したものである。
【
図2B】
図2Bは各モジュールの位置関係を示す上面図である。
【
図3A】
図3Aは、セレクターバルブ(Vsel1)・(Vsel2)の透視図である。
【
図3B】
図3Bは、セレクターバルブの背面図で、空気圧ロータリーアクチュエータを明確に示してある。
【
図3C】
図3Cは、セレクターバルブの背面図で、バルブを駆動する空気圧ロータリーアクチュエータと4つの各停止位置を示す。
【
図3E】
図3Eは、セレクターバルブ本体とロータリーバルブヘッドハウジングの断面透視図で、材料の流れを3つの異なる場所に分配するための流路が設けられている。
【
図3F】また、
図3Fはセレクターバルブの背面で、入口と出口の3つのポートを示している。
【
図4A】
図4Aはディスペンシングモジュール (Mdos)の透視図で、
【
図4C】
図4Cは容積表示シリンジディスペンサーの断面詳細図である。
【
図5A】
図5Aは、混合モジュール ( Mmist ) の透視図である。
【
図5C】
図5Cは、均質化可変チャンバーの詳細断面を示す透視図である。
【
図5D】
図5Dは、均質化モードにおける可変チャンバーの詳細を示し、
【
図5E】
図5Eは、内容物排出モードにおける可変チャンバーの詳細を示している。
【
図6A】
図6Aは、流体分析モジュール(Manflu)の透視図である。
【
図6D】
図6Dは、クリーニング・試料供給モードの読み取りチャンバーの断面図である。
【
図6E】
図6Eは、分析流体の特性を読み取るため固定光路長「光学窓」を備えた読み取りチャンバーの断面図を示す。
【
図6F】
図6Fは、測定用 "光学窓 "と、読み取り用 "光学窓 "の2つの表面ワイパーブレードを中心に配置した、読み取りチャンバーの内部の上面図である。
【
図6H】
図6Hは、光学窓の機械的洗浄アームの側面図である。
【
図6I】
図6Iは、光学窓の機械的洗浄アームの透視図である。
【
図6J】また、
図6Jは、光学窓のワイパーブレードを強調した測定セルの空洞内部詳細断面図である。
【
図7A】
図7Aは、光学較正モジュール (Mcal)の透視図である。
【発明の詳細な説明】
【0044】
本発明の目的および簡略化のため、「流体分析試料」という用語は、顔料のペーストまたは分散液・ミネラルフィラーの事である。「透明または不透明度が調製された展色剤」という用語は、エナメル・混合溶剤・樹脂・不透明度が調製された液状展色剤、またはこれらの組み合わせされた物の事である。それは、本発明の記述において「展色剤」と言及している。「分析パッケージ」という用語は、簡略化の目的で、流体分析試料と展色剤との混合物を意味している。
【0045】
本発明の目的の対象である流体分析装置は、直列に描写された一連のモジュールを演算制御ユニット(Ucont)と呼ばれるマイクロコンピュータのプログラマブルマイクロプロセッサによって制御され、その模式図を
図1に示す。
【0046】
懸濁液・分散液・染料溶液・乳濁液の流体試料分析装置は、容器(C1)(C2)(C3)には流体試料・展色剤・溶剤が貯蔵されてディスペンシングモジュール(Mdos)に移送される。
【0047】
容器(C1)(C2)には、それぞれ独立して駆動する再循環ポンプ(B)が設置されており、No.1セレクターバルブ(Vsel1)の吸入ポートを与圧する。したがって、コンピューターシステムの制御ユニット(Ucont)による制御を通じて、ディスペンシングモジュール(Mdos)の高精度の「ディスペンシングシリンジ」に供給する。制御ユニット(Ucont)のアルゴリズムを通じて、流体分析試料と使用する
展色剤の比率を確立し、ディスペンシングモジュール(Mdos)のディスペンシングシリンジに移送される。
【0048】
コンピュータシステムによって既定の割合で、吸引によってディスペンシングシリンジに入れられた流体分析試料および展色剤は、リニアポジショナーの空気圧モーターを駆動することによってディスペンシングシリンジのプランジャーを作動し混合モジュール(Mmist)へ移送される。
【0049】
ディスペンシングモジュール(Mdos)と混合モジュール(Mmist)の間には、No.2セレクターバルブ(Vsel2)が設けられており、ディスペンシングモジュール(Mdos)から混合モジュール(Mmist)にディスペンシングシリンジ内容物が移送される時、コントロールユニット(Ucont)によって切り替えられ吸入ポートがアンロックの位置に維持され、混合モジュール(Mmist)内部への方向性のある流れをもたらし、移送が完了するとロック位置に戻る。
【0050】
混合モジュール(Mmist)では、ディスペンシングモジュール(Mdos)のディスペンシングシリンジの内容物の全容量(流体分析試料・展色剤または「分析パッケージ」)が排出された後、コントロールユニット(Ucont)によって制御される高速回転形エアモータに結合された円錐螺旋形ローターを備えた混合チャンバー内で均質化される。設定された混合時間が終了すると、制御ユニット(Ucont)によって制御された空気圧アクチュエータに結合された混合室の可動壁(ピストン式)を作動することにより、混合室の全内容物が流体分析モジュール(Manflu)内部に排出される。
【0051】
流体分析モジュール(Manflu)は、混合モジュール(Mmist)で均質化された流体膜を、光源(Flum)から照射されたこの薄膜を分光光度計(Esp)で100~6000 nmのスペクトル領域(紫外線から赤外線領域までの電磁放射線)で透過型分光法を用いて分析する。このようにして、濃度・エネルギー吸収指数・透明度・被覆率・着色力(強度)などその他の色度特性に関連する測定値の正確性を追求して色度の調製に必要なデータを提供する。
【0052】
分光光度計の較正のために、光学較正モジュール(Mcal)が設置されている。このモジュールは、減衰量が既知の「ニュートラルデンシティ(ND)フィルター」のセットをサンプルチャネルに挿入し、分光光度計の検出器に到達する放射光の一部を遮断することで、較正中段階での「飽和」を回避する。光線の吸収率が非常に高い試料(不透明な液体・高濃度の顔料・光遮蔽固体粒子)に適用されるこの方法は、試料分析の段階で、減衰フィルターが自動的に取り除かれ、入射放射光が非常に高い光度(フィルターの減衰係数を乗じたもの)になり、このようにして、S/N比が非常に低く、検出器に最適なエネルギーレベルで試料から放出される反射光の量を得ることができ、その結果、最適な条件での測定が可能になる。また、分光光度計で収集した測定データをさらに数学的に処理して、各波長の「ニュートラル光学フィルターの減衰指数」で割ることで、値は極めて小さいが精度の高い実際の透過率データを得ることができる。
【0053】
図3A~3Fに示すように、No.1セレクタバルブ(Vsel1)は、回転フランジ(17)を備えており、空気圧ロータリアクチュエータ(12)によって作動する。回転フランジ(17)は、制御ユニット(Ucont)によって位置決め制御される4つの停止位置(14a)(14b)(14c)(14d)を有し、各それぞれの停止位置は、制御ユニット(Ucont)であらかじめ設定された一連の命令で決められる。停止点(14a)(14d)は、空気圧ロータリアクチュエータ(12)で調整可能なストッパーであり、停止位置(14b)(14c)は、2つの補助空気圧アクチュエータ(11)によって指令された停止点が決められる。
【0054】
No.1セレクタバルブ(Vsel1)のNo 1停止位置(14a)は吸入ポート(18a)で、C1容器に貯蔵された流体分析試料を流入させる。No.1セレクタバルブ(Vsel1)のNo 2停止位置は吸入ポート(18b)で、容器C2に貯蔵された展色剤を流入させる。No.1セレクタバルブ(Vsel1)のNo 3停止位置は吸入ポート(18c)で、容器C3に貯蔵されている洗浄溶液を流入させる。No4停止位置は、すべての方向の流体の流れを遮断する。
【0055】
No.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポートへの流体の流入は、容器C1・C2のポンプ(B)による与圧から発生する吸引によって行われる。
【0056】
溶剤の通過を可能にする停止位置は、次の記述を通して十分に詳細に説明される。
【0057】
分析プロセスを開始すると、コントロールユニット(Ucont)は、空気圧ロータリアクチュエータ(12)に設置されたセンサーを介してNo 1停止位置(14a)を認識する。容器C1の排出口を、No.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポート(18a)に合わせ、No.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポートに流体分析試料を流入させる。コントロールユニット(Ucont)によって設定された割合で、流体分析試料をディスペンシングモジュール (Mdos)のディスペンシングシリンジ内部に移送する。リニアポジショナー(21)に設置されたプランジャー(24)を空気圧モータ(20)でコントロールユニット(Ucont)のプロセッサにインストールされたプログラムによって設定された分析流体容量に達する迄、プランジャー(24)後退させる。これにより、ピストン(24)に設置されたリニアトランスデューサ(23)を介して、流入した分析流体が間接的に測定される。
【0058】
コントロールユニット(Ucont)は、空気圧ロータリアクチュエータ(12)の回転によってNo.2停止位置(14b)を認識し、容器C2の排出口をNo.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポートに合わせる。展色剤をNo.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポート(18b)に入ることを可能にし、コントロールユニット(Ucont)が設定した割合で、ディスペンシングモジュールの(Mdos)のディスペンシングシリンジ内部に展色剤を移送する。ディスペンシングシリンジ(25)のプランジャー(24)にはリニアポジショナー(21)が設置されていて、制御ユニット(Ucont)のプロセッサにインストールされたプログラムによって展色剤が設定された容量に達するまで、ディスペンシングシリンジのプランジャー(24)を後退させるモータ(20)を駆動し、プランジャー(24)に設置されたリニアトランスデューサ(23)を介して展色剤が間接的に測定される事でシリンジに総容量が充満され、「分析パッケージ」と呼ばれる高精度な容量測定が得られる。
【0059】
「分析パッケージ」の流体がディスペンシングモジュール(Mdos)のディスペンシングシリンジ(25)内部に充填されるとき、コントロールユニット(Ucont)は、No.2セレクタバルブ(Vsel2)を遮断位置(14d)を維持し、流体が混合モジュール(Mmist)に移送したり、漏れたりするのを防止する。
【0060】
流体構成成分(分析パッケージ)がディスペンシングシリンジ(25)に移送されると、コントロールユニット(Ucont)は、No.1セレクタバルブ(Vsel1)の空気圧ロータリアクチュエータ(12)は第4停止位置(14d)まで作動し、ディスペンシングモジュール(Mdos)への流体通路を完全に遮断する。
【0061】
No.1セレクタバルブ(Vsel1)を第4停止点(14d)に位置させてディスペンシングモジュール(Mdos)への流体通路を遮断する。No.1セレクタバルブ(Vsel1)について前記説明した手順と同じように、コントロールユニット(Ucont)が、空気圧ロータリーアクチュエータ(12)を介してNo.2セレクタバルブ(Vsel2)をディスペンシングモジュール(Mdos)と混合モジュール(Mmist)とのマッチングポイントに合わせる。
【0062】
コントロールユニット(Ucont)は、モーター(20)を駆動して、ディスペンシングシリンジ(25)のプランジャー(24)を前方に移動させ、シリンジ(25)内に収納されている「分析パッケージ」内容物全体を、混合モジュール(Mmist)の混合チャンバー(39)に向けて排出する。
図5Dに示されている混合チャンバーは拡張モードであり、この流体の移送はすべて、ディスペンシングシリンジ(25)のプランジャー(24)に設置されたリニアトランスデューサ(23)を介してモニタリングしている。
【0063】
ディスペンシングシリンジ(25)のプランジャー(24)の位置の移動が完了し、このとき混合モジュール(Mmist)の混合チャンバー(39)が完全に充満されると、コントロールユニット(Ucont)は前述したように、No.2セレクタバルブ(Vsel2)を遮断位置(14d)に切り替える。
【0064】
次の段階ステップは混合モジュール (Mmist)の混合チャンバー(39)内での「分析パッケージ」の混合・均質化である。
【0065】
このステップでは、コントロールユニット(Ucont)は、No.2セレクタバルブ(Vsel2)の閉塞を検知した後、空気圧モータ(30)に命令し、一方のシャフトが空気圧モータ(30)に結合され、他方が螺旋状の円錐形攪拌機(38)に結合されたシャフト(35)を介して、混合チャンバー(39)の内容物の完全な均質化を促進するのに十分な時間である所定の時間でハイスピード回転させる。
【0066】
均質化ステップの後、コントロールユニット(Ucont)は、混合チャンバー(39)の内容物を、流体分析モジュール(Manflu)の特性測定セル(49)に直接排出するように命令する。
【0067】
均質化された「分析パッケージ」の移送は、混合モジュール(Mmist)の出口継手(34)を介して行われ、特定のチューブを介して流体分析モジュール(Manflu)の入口継手 (41)に結合される。
【0068】
この流体分析モジュール(Manflu)の内部への転送周期の間、コントロールユニット(Ucont)は、
図5Eに示すように、混合モジュール(Mmist)の内部チャンバ(37)の可動壁に結合されている空気圧可動アクチュエータ(32)を作動させ、混合チャンバー(39)の内容物がすべて排出されて流体分析モジュール(Manflu)に移送されるまで、前方に移動する。
【0069】
この段階ステップでは、円錐形螺旋型攪拌機(38)はバネとして機能し、混合チャンバー(39)に含まれる内容物の排出を阻止されたり、制限を加えたりされることなく完全に圧縮されます。
【0070】
次の段階ステップは、コントロールユニット(Ucont)が分析チャンバー(49a)内部の位置関係をモニタリングしている。これにより転送周期の全期間において、分析チャンバー(49a)は、
図6Dに示すように拡散モードであること。そのため、位置決め用空気圧アクチュエータ(45)は完全に後退の位置にある必要がある。静止光学窓(46)と移動光学窓(47)との隙間の距離を最大に出来、読取セルの空間(49a)に流体を完全に充満させるための抵抗はない。前の分析周期の分析試料の「分析パッケージ」を排出する。
【0071】
「分析パッケージ」 を流体分析モジュール(Manflu)の分析チャンバー(49a)への移送完了後、
図5Eに詳細を示すように、混合モジュール (Mmist) の混合チャンバー(39)が完全に収縮することにより、コントロールユニット(Ucont)は、
図6Eに示す通りに、固定膜厚測定のために光学読取窓(46)(47)の位置決めするための光学窓位置決め用空気圧アクチュエータ(45)の作動を指令する。
【0072】
コントロールユニット (Ucont)が空気圧アクチュエータ(45)の位置センサーを使って位置を確認した事によって、分析ステップが開始される。
【0073】
特性評価分析ステップでは、光源(Flum )によって生成された100 ~ 6000 nmの領域にある電磁放射線が光学窓( 46 )( 47 )の間にある流体分析試料に照射され、光ファイバー( 44 )で伝播される。
【0074】
光ファイバー(44)によって伝播された電磁放射線は、移動光学窓(47)を通過し、これらの光学窓(46)(47)の間に置かれた流体分析試料と相互作用し、照射の反対側に現れる。
【0075】
電磁放射線と流体分析試料の相互作用による生成物は、静止光学窓(46)を通過し、捕集光ファイバー束(43)によって収集され、ダブルビーム分光光度計(Esp)へ伝播される。
【0076】
このタイプのダブルビーム分光光度計(Esp)の使用用途は、紫外線域から赤外線域(100~6000 nm)までの分析に適しており、本装置の分析方法に大きな多様性をもたらし、流体の物理的特性に関連するデータを生成し、このデータはコントロールユニットへ転送され、マイクロプロセッサが透過分析法によって得た分光光度測定値を数学的処理してその分析結果をマイクロコンピュータに表示する。
【0077】
次の順番の段階ステップにおいて、コントロールユニット(Ucont)は、次の読み取り周期の前に、光学窓(46)(47)を除染しなければならない。 そのために、制御ユニット(Ucont)は、光学窓位置決め用空気圧アクチュエータ(45)に後退の命令を出す。
【0078】
コントロールユニット(Ucont)は光学窓位置決め用空気圧アクチュエータ(45)の位置センサーにより、光学窓の後退位置と距離を確認した後、空気圧アクチュエーター(40)に設置された機械式クリーニングアーム(49)を制御する。
【0079】
お互いの機械的クリーニングアーム(49)はそれぞれの空気圧アクチュエータ(40)により冗長性があり、特殊なエラストマーから作られた回転式擦り落としベーン(49b)を装備した、クリーニングアーム(49)を介して光学窓(46)(47)の表面を覆うように作動する。
【0080】
クリーニングアーム(49)を作動する空気圧アクチュエータ(40)には、コントロールユニット(Ucont)の指令により、電気的インターロックの周期がかかっている。
【0081】
この最終段階ステップの後、前述の分析サイクルが再び開始される。
【0082】
分光光度計の較正は、コントロールユニット(Ucont)によって制御される光学較正モジュール(Mcal)によって行われる。位置決めブロック( 55 )に固定されている減衰量が既知のニュートラルデンシティ(ND)フィルター (56a)( 56b ) ( 56c ) を、分光光度計( ESP )のサンプルチャンネルに挿入される。これは、分光光度計の検出器に到達する照射光の一部を遮断し、較正段階ステップで検出器の「飽和」を防ぐものである。
【0083】
「ニュートラルデンシティ (ND) フィルター」(56a) ( 56b ) ( 56c ) の移動は、位置決め用空気圧アクチュエータ(50)によって行われ、この3つのフィルターを位置決めすることができる。まだその他に2つの補助用空気圧アクチュエータ(54)があり、「ニュートラルデンシティ(ND)フィルター」(56a)(56b)(56c)の位置決め位置に機械的ストッパーを挿入する。
【0084】
位置センサー(53)は「ニュートラルデンシティ(ND)フィルター」((56a)(56b)(56c)の位置確認信号を、コントロールユニット(Ucont)へ送る。
【0085】
装置の洗浄や、別の試料の分析の為に表面を洗浄する場合、コントロールユニット(Ucont)は、No.2セレクタバルブ(Vsel2)を第3停止位置に切り替え、No.1セレクタバルブ(Vsel1)の吸入ポート (18c)に容器C3に貯蔵されている洗浄溶剤を入れる。また、No.2セレクタバルブ(Vsel2)を作動させて、洗浄溶剤を装置全体に通す事もできる。