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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】車両用の光無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/114 20130101AFI20231121BHJP
   F21S 41/155 20180101ALI20231121BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20231121BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20231121BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20231121BHJP
   F21S 41/13 20180101ALI20231121BHJP
   F21S 43/235 20180101ALI20231121BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231121BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20231121BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALN20231121BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALN20231121BHJP
   F21W 102/14 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20231121BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20231121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231121BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231121BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20231121BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20231121BHJP
【FI】
H04B10/114
F21S41/155
F21S41/153
F21S41/24
F21S43/145
F21S41/13
F21S43/235
G08G1/09 H
B60Q1/00 C
B60Q1/04 Z
B60Q1/26 Z
F21W102:14
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W102:30
F21W103:60
F21W103:00
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21W103:55
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019128678
(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公開番号】P2020037389
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-09
(31)【優先権主張番号】1856390
(32)【優先日】2018-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ、ド-ランベルトリー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ-グザビエ、アミエル
(72)【発明者】
【氏名】サミラ、ムバタ
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】トマ、キャノン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ルフォドゥー
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ティン
(72)【発明者】
【氏名】バン、タイ、ホアン
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0025709(US,A1)
【文献】特開平09-046769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/11 - 10/118
G08G 1/00 - 99/00
F21S 41/00 - 43/50
F21W 102/00 - 103/60
F21Y 115/00 - 115/30
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光デバイス(11)と、当該少なくとも1つの光デバイスを制御するように構成された制御電子回路(12)とを備えた、車両(2)用の光無線通信システム(1)において、前記少なくとも1つの光デバイス(11)が複数の光素子(111)を備えていることを特徴とすると共に、前記制御電子回路(12)が、前記複数の光素子における各光素子を個々に、または群毎に制御するように構成され、各光素子または各群の光素子が、ある伝播方向における少なくとも1つの光無線通信信号(100)を少なくとも送信するように構成されており、その伝播方向は、前記複数の光素子における少なくとも1つの別の光素子または少なくとも1つの別の群の光素子によってそれぞれ送信される光無線通信信号の伝播方向と相互に識別可能なものであり、
前記複数の光素子は、前記少なくとも1つの光無線通信信号として、連続的な光パルスを送信するように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成り、前記制御電子回路(12)が、各パルスの強度および継続時間、および2つの連続したパルス同士の間の時間間隔を変化させることができるように構成され、
2つの連続した光パルス同士の間の時間間隔が、送信車両からの全てのデータの送信が、送信車両からの単一の送信円錐を介して予め定められた時間間隔内で可能となるように設定されている、光無線通信システム(1)。
【請求項2】
所与の複数の前記光素子(111)が2次元マトリックス・アレイに配列されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
所与の複数の前記光素子(111)がモノリシック・アレイを形成している、請求項1および2のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも一部の複数の前記光素子(111)が、前記光デバイス(11)の成形用光学部品と連携して構成されている、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の光素子(111)は、第1の送信円錐(41)内で光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子と、第2の送信円錐(42)内で光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成り、前記第1および第2の送信円錐は互いに別個のものである、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の光素子(111)は、少なくとも1つの光無線通信信号を受信するようにも構成されるとともに、第1の受信円錐(51)内で光無線通信信号を受信するように構成された少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子と、第2の受信円錐(52)内で光無線通信信号を受信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成り、前記第1および第2の受信円錐は互いに別個のものである、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の光素子(111)は、連続的な光無線通信信号(101)を送信するように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成る、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の光素子(111)は、人間の目に見えるスペクトルに属した波長の光無線通信信号(100)を送信するように構成された光素子または光素子の群のうちの少なくとも1つと、人間に見えるスペクトル外の、例えば赤外や紫外の光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成っている、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の光素子(111)は、人間に見えるスペクトルに属した波長の光無線通信信号(100)を送信するように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成り、前記光無線通信信号は、自らの通信機能に付随して、または自らの通信機能に引き続いて、少なくとも1つの規制された測光的機能に関与するようパラメータ化されており、その少なくとも1つの規制された測光的機能が、ハイビーム機能、ロービーム機能、昼間走行灯機能、ポジションライト機能、およびフォグライト機能より選択されるものである、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の光素子(111)は、前記少なくとも1つの光無線通信信号の送信および受信を順次行うように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成っている、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御電子回路へ機能的に接続されて、通信すべき目標の位置を特定するか、或いは通信すべき目標を同定さえするように構成されたカメラ(22)を更に備えた、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御電子回路へ機能的に接続された付加的通信手段を更に備え、その付加的通信手段は、ワイファイ(商標)技術、ブルートゥース(登録商標)技術、および無指向性光無線通信技術のうち少なくとも1つの通信技術を実施するように構成されている、請求項1から11のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の通信システム(1)を少なくとも1つ備えた、少なくとも1つの規制された測光的機能を少なくとも部分的に果たすことのできる発光装置(21)。
【請求項14】
請求項1から12のうちのいずれか一項に記載の通信システムを少なくとも1つ備えて少なくとも1つの規制された測光的機能を少なくとも部分的に果たすことのできる発光装置(21)を具備している自動車両(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両に関連した通信の新興分野に関するものである。車両同士が互いに、或いは各車両がインフラストラクチャーと通信するこの分野においては、通信データの保全や電磁気的汚染へのサイバーセキュリティに関する諸問題が発生する。
【背景技術】
【0002】
自動車両に関連する様々な通信技術が知られているが、そのうちの幾つかはワイファイ(商標)技術を実施し、別の幾つかはブルートゥース(登録商標)技術を実施し、更に別の幾つかは光無線通信(即ちOWC)技術を実施するものである。これらの技術は共通して、空間的に広範囲な、或いは無指向性でさえある、放送周波数域における通信信号の送信を行う。かくして、信号の宛先とされた車両やインフラストラクチャー以外の車両やインフラストラクチャーによって信号が受信され、或いは読み取られさえする可能性がある。同様に、信号の宛先とされた車両やインフラストラクチャーが、通信信号をそれぞれ送信し得る複数の車両の中から、当該信号を送信していた車両を識別することができない可能性がある。さらには、特に実施される通信技術の拡散性を理由として、電磁気的汚染や帯域輻輳に伴う問題も現れてきている。
【0003】
本発明は、より特定的には、車両用の光無線通信システム、および、そのようなシステムを備え付けた車両光学機器に関するものである。
【0004】
そのような通信システムは、少なくとも1つの発光装置を備えた送信側の自動車両と目標との間で通信をするための方法を実施するものが知られている。その方法は根本的に、車両と目標との間における通信の目的で発光装置によって送信される光信号を、自動的に変調することに本質のある段階を備えている。その発光装置は、照明装置、昼間走行灯(DRL)、およびポジションライト(車幅灯)より選択されるものである。
【0005】
この型式のシステムに伴う1つの問題は、通信システムの各通信信号が、これらの信号の宛先とされた車両やインフラストラクチャー以外の車両やインフラストラクチャーによって受信され、或いは読み取られさえし得る、という事実に起因するものである。その問題は、先行技術の通信システムにおいて通信信号を受信する車両やインフラストラクチャーは、それらの信号の送信側を明確に決定することができない、という事実にも起因するものである。かくして通信信号は、受信側ではないシステムによって読み取られたり、不確定な送信側から受信されたりし得る。これにより、現用の通信システムが無効となったり侵入に曝されたりしてしまうのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現用技術の当該制限事項を、少なくとも部分的に改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の第1の態様は、少なくとも1つの光デバイスと、当該少なくとも1つの光デバイスを制御するように構成された制御電子回路とを備えた、車両用の光無線通信システムに関するものである。当該通信システムは本質的に、前記少なくとも1つの光デバイスが複数の光素子を備えているように、また制御電子回路が、当該複数の光素子における各光素子を個々に、または群毎に制御するように構成され、各光素子または各群の光素子が、ある伝播方向における少なくとも1つの光無線通信信号を送信および/または受信するように構成されており、その伝播方向は、当該複数の光素子における少なくとも1つの別の光素子または少なくとも1つの別の群の光素子によってそれぞれ送信および/または受信される光無線通信信号の伝播方向と相互に識別可能であるようになっている。
【0008】
かくして本発明は、通信信号の伝播の方向が、各光素子群、または所定の群の光素子における送信特性同士の組の一部を形作ることへの備えを成している。
【0009】
その上、本発明の第1の態様による通信システムの光デバイスは更に、車両の周囲に位置した範囲を各光素子の作動に応じて様々に照らすように構成され得る。それは特に、この単一のデバイスでロービーム(下向きビーム)やハイビーム(フルビーム)を発生させるためである。このことは、少なくとも幾つかの光素子が、他の光素子とは相対的に異なる送信の指向性を有することを要求する。しかしながら対照的に、そのような光デバイスの照明機能それだけでは、光素子または光素子の群によって光信号が、少なくとも1つの別の光素子または少なくとも1つの別の群の光素子によってそれぞれ送信および/または受信される光信号の伝播方向と相互に識別可能な伝播方向において送信および/または受信されることを必要とはしない。
【0010】
「識別可能」は、識別され、区別され、弁別され得ることの性質を意味する。
【0011】
本発明の第1の態様によるシステムの効力で、各通信信号が、1つないし複数の同定された目標へ向かって特定的に送信されたり、1つないし複数の同定された送信側から受信されたりし得る。それぞれ、この/これらの目標によってのみ受信され、或いは読み取られさえするためや、どの送信側から当該伝達事項が発せられているかを(曖昧さを伴わずに)知ることを可能とするためである。
【0012】
かくして、通信信号の宛先とされている1つないし複数の目標以外の目標による当該信号の受信が回避可能となる。
【0013】
本発明はまた、受信信号の識別可能性(即ち、受信信号を識別する能力)を通じて、通信信号を受信している車両やインフラストラクチャーが、それらの信号の送信側を明確に決定できるようにすることも可能とする。
【0014】
かくして、通信信号が、受信側ではないシステムによって受信され、或いは読み取られさえしたり、不確定な送信側から受信されたりするのを防止することが可能となる。これにより、本発明の第1の態様による通信システムが、有効で、侵入に対してより耐性のあるものなる。
【0015】
さらに、先行技術の通信技術の使用によって(特に、それらの技術の放送的な性質のために)引き起こされる電磁気的汚染や帯域輻輳が、大幅に低減される。
【0016】
例えば、所与の複数の光素子が2次元マトリックス・アレイに配列されている。
【0017】
適切な場合には、少なくとも一部の複数の光素子が、光デバイスの成形用光学部品と連携して構成されている。
【0018】
一つの特徴によれば、複数の光素子は、第1の送信円錐(円錐状の送信範囲)内で光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子と、第2の送信円錐内で光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成り、第1および第2の送信円錐は互いに別個のものである。
【0019】
別の特徴によれば、複数の光素子は、第1の受信円錐(円錐状の受信範囲)内で光無線通信信号を受信するように構成された少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子と、第2の受信円錐内で光無線通信信号を受信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成り、第1および第2の受信円錐は互いに別個のものである。
【0020】
第1および第2の送信および/または受信円錐は、少なくとも通信システムの有効(例えば、最大)通信距離に亘って互いに別個のものであることが好ましい。
【0021】
別の特徴によれば、複数の光素子は、連続的な光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成り、制御電子回路は更に、各信号の強度および持続時間、並びに光通信信号相互の連続における周波数のうち少なくとも1つを制御するように構成されている。
【0022】
かくして、本発明の第1の態様による通信システムは、送信および/または受信された情報が符号化されることを可能とする。
【0023】
別の特徴によれば、光通信信号相互の連続における周波数は、短い時間間隔における相当数のデータの伝達を可能とするようにパラメータ化されている。このことは、一緒に通信をしている車両同士が互いに相対的に高速で走行しているときや、例えば道路の縁に位置したインフラストラクチャーと通信している車両が高速で走行しているときに必要となり得る。
【0024】
別の特徴によれば、複数の光素子は、人間の目に見えるスペクトルに属した波長の光無線通信信号を送信するように構成された光素子または光素子の群のうちの少なくとも1つと、人間に見えるスペクトル外の、例えば赤外や紫外の光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子とを含んで成っている。
【0025】
かくして、本発明の第1の態様による通信システムは、種々のスペクトルに属した通信信号を用いることを可能とする。
【0026】
別の特徴によれば、複数の光素子は、人間に見えるスペクトルに属した波長の光無線通信信号を送信するように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成り、当該光無線通信信号は、自らの通信機能に付随して、または自らの通信機能に引き続いて、少なくとも1つの規制された測光的機能に関与するようパラメータ化されており、その少なくとも1つの規制された測光的機能が、ハイビーム機能、ロービーム機能、昼間走行灯機能、ポジションライト機能、およびフォグライト(霧灯)機能より選択されるものである。
【0027】
かくして、同じ光デバイスによって、別の車両やインフラストラクチャーへ情報を通信する機能と、規制された測光的機能との両方を果たすことが可能となる。
【0028】
別の特徴によれば、複数の光素子は、少なくとも1つの光無線通信信号の送信および受信を順次行うように構成された少なくとも1つの光素子または1つの群の光素子を含んで成っている。
【0029】
かくして、所与の光素子が、通信信号を送信し、それから受信するか、或いは受信し、それから送信するように構成され得る。
【0030】
別の特徴によれば、当該システムは、制御電子回路へ機能的に接続されて、通信すべき目標の位置を特定するか、或いは通信すべき目標を同定さえするように構成されたカメラを更に備えている。
【0031】
かくして、カメラが通信システムの環境についての情報を取得するように構成され、それに伴って、取得された情報に応じて通信システムの動作が(特に、制御電子回路によって)自動的に制御され得るという有利性がある。
【0032】
別の特徴によれば、当該システムは、制御電子回路へ機能的に接続された付加的通信手段を更に備え、その付加的通信手段は、ワイファイ(商標)技術、ブルートゥース(登録商標)技術、および無指向性光無線通信技術のうち少なくとも1つの通信技術を実施するように構成されている。
【0033】
かくして、複数の通信モードが規定され得る。
【0034】
別の特徴によれば、所与の複数の光素子がモノリシック・アレイを形成している。
【0035】
かくして、本発明の第1の態様による通信システムがコンパクトかつ高性能となって有利である。
【0036】
別の態様によれば、本発明はまた、本発明の第1の態様による通信システムを少なくとも1つ備えた、少なくとも1つの規制された測光的機能を少なくとも部分的に果たすことのできる発光装置に関するものである。当該少なくとも1つの規制された測光的機能には、通信システムの光デバイスが少なくとも部分的に関与することが好ましい。
【0037】
本発明はまた、本発明の第1の態様による通信システムを少なくとも1つ備えた、少なくとも1つの規制された測光的機能を少なくとも部分的に果たすことのできる発光装置を具備している自動車両に関するものである。
【0038】
本発明のその他の特徴や利点は、以下の例示的な説明や図面からもっとよく理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】先行技術による光無線通信システムの送信側の動作を模式的に示す図。
図2】本発明の一実施形態による光無線通信システムの光デバイスを示す図。
図3】本発明の一実施形態による光無線通信システムによって実施される通信方法を模式的に示す図。
図4】本発明の一実施形態による光無線通信システムの送信側の動作を模式的に示す図。
図5】先行技術による光無線通信システムの受信側の動作を模式的に示す図。
図6】本発明の一実施形態による光無線通信システムの受信側の動作を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
特に別様に示さない限り、所与の一実施形態について詳細に説明される技術的な諸特徴は、例として非限定的に記述する別の諸実施形態の文脈において説明される技術的な諸特徴と組み合わされてよい。
【0041】
同様に、特に別様に示さない限り、用語「下流側」ないし「前(方)」は、光デバイスから発せられて光デバイスから出て行く放射の経路に沿って更に下流側にある本発明の要素の相対的な配置を意味するものと理解されたい。用語「上流側」ないし「後(方)」は、反対の意味を有している。
【0042】
「ピクセル」は、(可視光であろうがなかろうが)光を送受信するための区域の最小要素であって、光の少なくとも1つの強度と(或いは1つの色とすら)個別に結びつくことの可能であるものを意味する。
【0043】
「光学部品」は、自らを構成する屈折性媒体の全てを含んで成る、光無線通信システムの前方部分を意味する。
【0044】
「成形用光学部品」は、発光装置または光デバイスによって放出された光線のうちの少なくとも1つを偏向させるように構成された光学部品を意味する。「偏向させる」は、成形用光学部品への光線の進入方向と、成形用光学部品からの光線の退出方向とが異なっていることを意味する。成形用光学部品は、1つないし複数のレンズ、1つないし複数の反射器、1つないし複数のライトガイド(導光体)、または、これらの候補同士の組合せなどの、少なくとも1つの光学素子を含んで成る。
【0045】
「規制された測光的機能」は、自動車両の使用の安全を可能とし、管理し、或いは向上させるように企図された照明機能を意味する。その機能は、例えばハイビーム機能、ロービーム機能、昼間走行灯機能、ポジションライト機能、フォグライト機能、および方向指示灯機能より選択されるものである。
【0046】
「別個の」は、一致していない/併合されていない/区別がつかなくない2つの要素同士であって、少なくともある一定の範囲では互いに重複したり交わったりしないことが好ましい2つの要素同士の性質を意味する。
【0047】
図1図4図5、および図6は、「右ハンドル」の車両の使用に関連した道路現場を示している。以下で説明する本発明はもちろん、「左ハンドル」の車両の使用に適用可能である。
【0048】
自らの第1の態様による本発明は、その最も広い許容範囲において、車両2用の光無線通信システム1に関するものである。図2図3図4、および図6において、当該システムは、少なくとも1つの光デバイス11と、少なくとも1組の制御電子回路12とを備えている。制御電子回路12は、光デバイス11を制御するように構成されている。光デバイス11は複数の光素子111を備え、制御電子回路12は、当該複数の光素子における各光素子を個々に、または群毎に制御するように構成されている。各光素子または各群の光素子は、ある伝播方向における少なくとも1つの光無線通信信号100を送信および/または受信するように構成されている。その伝播方向は、当該複数の光素子における少なくとも1つの別の光素子または少なくとも1つの別の群の光素子によってそれぞれ送信および/または受信される光無線通信信号の伝播方向と相互に識別可能なものである。
【0049】
当該少なくとも1つの光無線通信信号100は、以下の断片的情報のうち少なくとも1つを備えた伝達事項を搬送することができるものである:
- 送信側の車両の位置および/または速度(これによって、衝突のリスクを解析することが可能となる);
- 2つの車両同士の間で伝えられる口頭の情報、例えば一方の運転者からもう一方への個人的な伝達事項;
- 警察任務によって与えられ、受信側の車両へ宛てられた情報;および、
- 送信側の車両の環境、例えば送信側の車両周囲の交通状況や気候状況。
【0050】
本発明の第1の態様における好適な一実施形態によれば、図2に示すようにして、所与の複数の光素子111が2次元マトリックス・アレイに配列されている。例えば、図2で斜線の描き込まれた正方形によって示される光素子111が光子を放出している光素子であって、その他が光子を放出していない光素子であるか、或いはその反対である。それは、光素子111の2次元マトリックス・アレイへ制御電子回路12が及ぼす殆ど瞬間的な制御に依るものである。光デバイス11は、かくしてピクセル化されたビームを投射することができる。各光素子111は、基本光ビームを放出するために選択的に作動可能な基本発光体となっているのである。
【0051】
さらに、通信システム1は成形用光学部品を備えていてもよい。その成形用光学部品は、少なくとも一部の複数の光素子における各光素子111と連携して、ピクセルの形態の前記基本光ビームをそれぞれ投射するように構成されている。ピクセル同士が一緒になって前記ピクセル化されたビームを形成するのである。
【0052】
制御電子回路12は、例えば図3に示すように処理ユニット13から受け取った制御命令に応じて、ピクセル化されたビームの各ピクセルの光強度を選択的に制御することができ、特に当該ピクセル化されたビームの各ピクセルを選択的に点灯したり消灯したりすることができるのが有利である。
【0053】
成形用光学部品は、ピクセル化されたビームが少なくとも5°の垂直偏角と、少なくとも5°の水平偏角とを有するように構成され得る。これらの水平・垂直偏角によって、ピクセル化されたビームが、次のような機能を果たすに足る広さの道路区域上へと投射されるのを保証することが可能となる。即ち、このピクセル化されたビーム内のパターンが投射によって道路上に記される機能、特に、地面に目印が映し出されたり、運転者が支援されたり、GPS情報が投射されたりする機能であり、或いは、照明ビームがピクセル化されるのを必要とするアダプティブ・ライティング(配光可変照明)機能、特に非幻惑性のハイビームやコーナリング中に移動するダイナミック・ライティング・ビームを作り出すものなどの規制された測光的機能でありさえする。かくして形成用光学部品は、次の光学的構成要素のうちの1つか、または次の光学的構成要素のうち複数のものの組み合わせを備えていてよい:レンズ、反射器、ガイド(導光体)、コリメータ、プリズム。
【0054】
適切な場合には、光デバイス11は、基本発光体の少なくとも20個の縦列および少なくとも20個の横列、特に基本発光体の少なくとも32個の横列および縦列を備えていてよい。
【0055】
基本発光体の縦列および横列における、これらの最小数は、前述した水平・垂直偏角との組み合わせにおいて、基本光ビームのそれぞれについて(随意に成形用光学部品を通じて投射されたならば)0.5°未満の、或いは0.3°未満ですらある開口角(即ち、立体角σ)を得ることを可能とするものである。かくして、道路上へと投射されたときのピクセル化されたビームは、ピクセル化されたビームによって投射される前記パターンが、道路使用者によって、および/または、かように装備された車両の運転者によって十分に知覚され得るような最小限度の解像度を有している。
【0056】
各光素子111、および随意に成形用光学部品は、隣接した2つのピクセル同士(即ち、2次元マトリックス・アレイにおける所与の横列または所定の縦列内で隣り合う2つのピクセル同士)が連続する(即ち、それらのピクセルの隣り合う縁部同士が一致する)ように構成され得る。
【0057】
光デバイス11の第1の特定実施形態によれば、各光素子は、より特定的には、光を放出する少なくとも1つの発光ダイオードを含んで成っていてよい。関連付けられる成形用光学部品は、より特定的には、各光素子から発せられた光線を反射によって(例えば、成形用光学部品の別の要素の方へ)差し向けるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を備えていてよい。適切な場合には、成形用光学部品の別の要素によって、各光素子から発せられた光線同士を集めることが可能となる。それは、それらの光線を集中させて、デジタル・マイクロミラー・デバイスの表面の方へ差し向けるためである。各マイクロミラーは、2つの設定位置同士の間を回動し得る。その結果、各マイクロミラーが光線の一部分を反射しつつ、位置の変化を作動・制御することによって、成形用光学部品を通じて最終的には道路上へと送出されるビームの形状を変更することが可能となる。
【0058】
光デバイス11の第2の特定実施形態によれば、各光素子は、レーザービームを放出するレーザー光源を含んで成っていてよい。また、成形用光学部品は、放出された各レーザービームで波長変換素子の表面を走査するように構成されたレーザー走査システムを備えていてよい。ビームの走査は、走査システムを介して、投射ビームにおける走査運動が人間の目では知覚不能な十分に速い速度で成し遂げられる。レーザー光源の点灯とビームの走査運動とを同期させて制御することによって、ピクセル化された光ビームを制御することが可能となる。この場合、走査システムは、より特定的には複数の可動式マイクロミラーを備え、レーザービームの反射によって波長変換素子の表面が走査されることを可能としている。マイクロミラーは、例えば微小電気機械システム(MEMS)である。但し本発明は、決してこの走査手段に限定されるものではなく、別種の走査装置類(例えば、回転要素上に配置された一連のミラーであって、当該要素の回転でレーザービームが伝達面を走査するものなど)を用いてもよい。
【0059】
光デバイス11の第3実施形態によれば、そのデバイス11は固体光源を備えている。固体光源は、光素子111として、複数の所謂エレクトロルミネセント(電界発光)素子を含んで成っている。それらのエレクトロルミネセント素子は、少なくとも2つの縦列と2つの横列でマトリックス・アレイに配列されている。そのようなエレクトロルミネセント素子の例には、発光ダイオード(即ちLED)や、有機発光ダイオード(即ちOLED)や、ポリマー発光ダイオード(即ちPLED)、さらにはマイクロLEDが含まれる。
【0060】
固体光源は、エレクトロルミネセント素子の少なくとも1つのモノリシック・アレイ(即ち、単にモノリシック・アレイとも呼ばれるもの)を含んで成っていることが好ましい。モノリシック・アレイにおいては、各エレクトロルミネセント素子が、共通基板から成長させられて、個別に、或いはエレクトロルミネセント素子同士のサブセット(小集団)で選択的に作動可能となるよう電気的に接続されている。基板は、主として半導体で作られていてよい。基板は、1つないし複数の別の材料、例えば非半導体を含んで成っていてもよい。かくして、各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の群が、発光ピクセルを形成して、電力供給時に光を放出し得るのである。但し、各エレクトロルミネセント素子またはエレクトロルミネセント素子の群は、光放射における光子群を電流へと変換するために、(適切な場合には略一定の波長と1つの特定の方向とを有した)当該光放射を集めてもよい。
【0061】
モノリシック・アレイは、エレクトロルミネセント素子の2次元マトリックス・アレイの形態をとっていてよい。そのようなモノリシック・アレイによって、プリント回路基板上に半田付けされるよう企図された従来の発光ダイオード群に対して、選択的に点灯可能なピクセル同士を互いにかなり近接させて配置することが可能となる。さらに、その複数のエレクトロルミネセント素子で得られる輝度は、最低60Cd/mmであり、少なくとも80Cd/mmであることが好ましい。
【0062】
本発明の文脈において、モノリシック・アレイは、共通基板に対して自らの延長の主寸法(即ち、高さ)が略垂直であるエレクトロルミネセント素子を備えており、この高さが多くとも1ミクロンとなっている。
【0063】
上述したように、光デバイス11は、その発光を制御するための制御電子回路12に対して結合されていてよい。かくして制御電子回路12は、ピクセル化された光ビームの光デバイス11による生成および/または投射を制御(それは「ドライブ(駆使)」とも言える)し得る。制御電子回路12は、光デバイス11へ統合されていてもよい。制御電子回路12は、1つないし複数のモノリシック・アレイを制御するように構成され得る。
【0064】
制御電子回路12は、中央処理ユニット13を備えているか、或いは中央処理ユニット13と共同的に構成されていてもよい。中央処理ユニット13は一般的に、コンピュータ・プログラムを格納したメモリと結合される。そのプログラムは、信号を生成する各段階を実行することを可能とする諸命令を備えている。それらの信号は、光デバイス11が制御されることを可能とするものである。かくして制御電子回路12は、例えばモノリシック2次元マトリックス・アレイにおける各ピクセルの発光を個別に制御し得る。
【0065】
制御電子回路12は、各エレクトロルミネセント素子111を制御することのできる電子的装置を形成し得る。制御電子回路は、集積回路であってよい。集積回路(電子チップとも呼ばれる)は、1つないし複数の電子的機能を果たす電子的構成要素であり、例えば小さな容積内(即ち、小さなウェハ上)に幾つかの型式の基本的な電子的構成要素を集積し得るものである。これにより、回路を実施することが容易となり、例えば図3に示すような自動車両2のヘッドランプ21内へ組み込むことが容易となる。
【0066】
集積回路は、例えばASICやASSPであってよい。ASIC(特定用途向け集積回路の頭字語)は、少なくとも1つの特定用途(例えば、一顧客)のために開発された集積回路である。従ってASICは、専用の(マイクロエレクトロニクスの)集積回路である。一般的には、それは多数の独自な、即ち誂えられた機能性を一緒に纏めている。ASSP(特定用途向け標準製品の頭字語)は、広く標準化されたニーズを満たす多数の機能性を一緒に纏めている(マイクロエレクトロニクスの)集積電子回路である。ASICは、ASSPよりも、もっと特定の(具体的な)ニーズのために設計されているのである。モノリシック・アレイは制御電子回路12を通じて電力を供給されるが、その電子回路12自体は、例えば自らを電源へ接続する少なくとも1つのコネクタを用いて電力を供給される。電源は、本発明による通信システム1の内部にあっても外部にあってもよい。制御電子回路12が光デバイス11へ電力を供給するのである。
【0067】
光デバイス11の好適な一実施形態によれば、その光デバイス11は、少なくとも1つのモノリシック2次元マトリックス・アレイを備え、そのアレイにおける各光素子111が各々そこから成長させられたところの共通基板から突き出ている。エレクトロルミネセント素子111同士の種々の配置が、このモノリシック・アレイの定義を満たし得るが、それは次のことを条件としてである。即ち、各エレクトロルミネセント素子が、共通基板に対して略垂直な、自らの延長の主寸法のうちの1つを有していること、および(電気的に一緒に纏められた1つないし複数のエレクトロルミネセント素子によって形成される)ピクセル同士の間の間隔が、既知の、プリント回路基板へ半田付けされる平坦な正方形のチップ同士の配置によって課される間隔と比べて小さいことである。
【0068】
特に、光デバイス11は、その好適な実施形態によれば(下記で、より詳細に説明することとなるように)、互いに別個な複数のエレクトロルミネセント素子111であって、基板から個々に成長させられて、(適切な場合には、群ないしは下位群毎に)選択的に作動可能となるために電気的に接続されたエレクトロルミネセント素子111を備え得る。各エレクトロルミネセント素子111内では、ロッド同士が同時に作動され得る。より特定的には、エレクトロルミネセント素子は、サブミリメートル寸法のものであり、六角形断面のロッド群を形成するように基板から突き出ている。各エレクトロルミネセント・ロッドは、光デバイス11の光軸と平行に伸びている。
【0069】
エレクトロルミネセント・ロッド同士は(特に、各アレイに特有の電気的接続を介して)選択的に作動可能な複数のセグメントへと一緒に纏められている。エレクトロルミネセント・ロッドは、基板の第1面から生じている。例えば窒化ガリウム(GaN)を用いて形成された、各エレクトロルミネセント・ロッドが、例えばシリコン系の基板から、垂直ないし略垂直に突き出ている。本発明の文脈から逸脱することなく、シリコンカーバイドなどの他の材料を用いてもよい。例として、エレクトロルミネセント・ロッドは、アルミニウム-窒化ガリウム合金(AlGaN)や、アルミニウム、インジウム、およびリン化ガリウムの合金(AlInGaP)から作ることができるであろう。各エレクトロルミネセント・ロッドは、自らの高さを定める延長の軸線に沿って伸びており、各ロッドの基部が基板上面の平面内に位置している。
【0070】
所与のモノリシック・アレイにおけるエレクトロルミネセント・ロッド同士は、同じ形状と同じ寸法とを有しているのが有利である。それらのロッドは各々、端面によって、またロッドの延長の軸線に沿って伸びる外周壁によって境界付けられている。エレクトロルミネセント・ロッドがドープされ、バイアスを掛けられたとき、結果として生じるロッドからの光出力は、本質的には外周壁から放出されるが、端面からも光線が出て行き得る、ということを理解されたい。その結果、各ロッドが単一の発光ダイオードとして機能し、この光源の輝度が、一方では存在するエレクトロルミネセント・ロッド同士の密度によって、他方では外周壁(これは、それ故にロッドの全周および全高に亘って広がっている)により画定される発光面積の大きさによって向上するのである。ロッドの高さは、2から10μmの間に含まれていてよいが、略8μmであることが好ましい。ロッドの端面の最大寸法は2μm未満であるが、1μm以下であることが好ましい。
【0071】
各エレクトロルミネセント・ロッドの形成中には、光デバイス11の区域毎に高さを変えてもよい、ということを理解されたい。それは、対応した区域を構成するロッドの平均高さを増大させたときに、その区域の輝度が増大するようにである。かくして、ある群のエレクトロルミネセント・ロッドが、別の群のエレクトロルミネセント・ロッドとは異なる1つないし複数の高さを有し、これらの2つの群同士が同じモノリシック・アレイの構成要素となっていてよいのである。各エレクトロルミネセント・ロッドの形状は、特に各ロッドの断面や、端面の形状に関して、モノリシック・アレイ毎に変化していてもよい。各ロッドは、円柱状の全体形状を有しているが、特に多角形の(より特定的には、六角形の)形状の断面を有していてよい。外周壁が多角形の形状を有しているか円形の形状を有しているかに関係なく、その外周壁を通じて光を放出することができるのが重要なのである、ということを理解されたい。
【0072】
さらに、端面は、略平坦で、外周壁と直角をなした形状を有していてよい。結果として、その端面は、基板の上面と略平行であるか、或いは寧ろ、この端面から出て行く光の放出方向を増やすように、湾曲形状を有していたり、自らの中央に頂部を有したりしていてもよい。
【0073】
エレクトロルミネセント・ロッド同士が2次元マトリックス・アレイに配列されていることが好ましい。この配列は、ロッド同士を少しずつずらして配列するようなものとすることができるであろう。一般的には、基板上にロッド同士が一定間隔で配置され、マトリックス・アレイの2次元の各方向において直接隣り合う2つのエレクトロルミネセント・ロッド同士を隔てる距離は、少なくとも2μmでなくてはならず、3μmから10μmの間に含まれることが好ましい。それは、各ロッドの外周壁によって放出された光が、エレクトロルミネセント・ロッド同士のマトリックス・アレイから出て行けるようにするためである。さらに、これらの隔てる距離(隣り合うロッドにおける2本の延長の軸線同士の間で測ったもの)が、100μmを超えないようにすることへの備えがなされるであろう。
【0074】
光デバイス11の好適実施形態の一変形例によれば、モノリシック・アレイは、エレクトロルミネセント素子の各層(特に、n型ドープGaNで作られた第1層およびp型ドープGaNで作られた第2層)を(例えば、シリコンカーバイドで作られた)単一基板上でエピタキシャル成長させ、それを(ミリングおよび/またはアブレーションによって)切り分けることによって形成されたエレクトロルミネセント素子を備えていてよい。それは、それぞれが同じ基板から得られた複数のエレクトロルミネセント素子を形成するためである。そのような設計で同じ基板から複数のエレクトロルミネセント・チップが得られるが、それらのチップは互いに選択的に作動可能とされるために電気的に接続されている。
【0075】
この変形例による例示の一実施形態において、モノリシック・マトリックス・アレイの基板は、100μmから800μmの間に含まれる、特に200μmの厚さを有していてよく、各チップは、50μmから500μmの間に含まれ、好適には100μmから200μmの間に含まれる幅を有していてよい。それらのチップの長さと幅は、互いに等しくてよい。各チップの高さは500μm未満であるが、300μm未満であることが好ましい。各チップの出光面は、基板によって、エピタキシャル成長とは反対の側に形成され得る。隣り合う2つのエレクトロルミネセント・チップ同士の間を隔てる距離は、1μm未満、特に500μm未満であってよいが、200μm未満であることが好ましい。
【0076】
エレクトロルミネセント・チップ同士の各モノリシック・アレイは、より特定的には、以下の特徴のうち最少1つを有していてよい:
- エレクトロルミネセント・チップの数が250から数千の間に含まれ得る(典型的な値は、約1千チップである)こと
- 全体形状が通常は正方形であるが、矩形であってもよいこと。より特定的には、それらのアスペクト比が、概して1:1から1:5の間に含まれていること、および、
- 単位ピクセルの特徴的寸法が、現技術段階において100から300μmの間に含まれること。
【0077】
光デバイス11の別の実施形態(上述したように同じ基板から各々突き出ているエレクトロルミネセント・ロッドと、同じ基板上に積層されたエレクトロルミネセント層を切り分けることによって得られるエレクトロルミネセント・チップとの両者に適用可能なもの)によれば、モノリシック・マトリックス・アレイは、各エレクトロルミネセント素子が少なくとも部分的に埋め込まれるポリマー材料の層を更に備えていてよい。かくして、その層が、基板の全範囲に亘って、或いはエレクトロルミネセント素子の規定の群のみに亘って広がっていてもよい。ポリマー材料(これは、特にシリコーン系のものであってよい)は、光線の放散を妨げることなく各エレクトロルミネセント素子が保護されるのを可能とする保護層を作り出す。さらに、このポリマー材料の層には、波長変換手段(例えば、発光団)を組み込むことが可能である。その波長変換手段は、素子のうちの1つによって放出された光線の少なくとも一部を吸収して、当該吸収された励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を有した発光へと変換することのできるものである。ことによると、ポリマー材料の内部実質内へと発光団を埋め込むか、或いは寧ろ、このポリマー材料の層の表面上に発光団を配置することへの備えが成されるであろう。
【0078】
光源は更に、反射性材料の被覆を備えていてもよい。それは、光デバイス11の出光面の方へ光線を偏向させるためである。
【0079】
サブミリメートル寸法のエレクトロルミネセント素子同士が、基板に略平行な平面内で規定の出力範囲を画成している。この出光範囲は、その範囲を形成するエレクトロルミネセント素子の数および配置によって規定される、ということを理解されたい。かくして、略矩形の形状の送信範囲を規定することが可能となるが、この形状は変更されてもよく、本発明の文脈から逸脱することなく任意の形状が用いられてよい、ということを理解されたい。
【0080】
図3は、本発明の一実施形態による光無線通信システムによって実施される通信方法を模式的に示している。
【0081】
非限定的に、図3に示すような通信システム1は、上記で紹介された自らの構成要素を除いては、制御電子回路12に対して(適切な場合には、処理ユニット13を介して)機能的に接続されたカメラ22(または別のセンサ、例えばレーザー)を備えている。そのカメラ22は少なくとも、通信すべき目標の位置を特定するか、或いは通信すべき目標を同定さえするように構成されている。
【0082】
カメラ22は、通信システム1の環境についての情報を取得するように構成されている。かくして通信システム1の動作が、取得した情報に応じて自動的に制御され得る。そのような自動制御は必然的に、制御電子回路12が用いられることや、ことによると処理ユニット13が用いられることを必要とする。
【0083】
再び図3を参照すると、光通信信号101は、(随意に、パルス幅変調された)光パルス列の形態をとるように、設定周波数で、或いは同様に制御された時間間隔で次々と続いていてよい。それらの信号は、別の形態、例えば振幅変調や周波数変調された光信号の形態をとっていてもよい。
【0084】
図示例においては、各光パルスの強度が一定であるのに対して、それらのパルスの継続時間および/または2つの連続したパルス同士を隔てる時間間隔は変化する。その反対もまた想定可能である。同様に、強度、継続時間、および2つの連続したパルス同士の間の時間間隔という3つのパラメータのそれぞれが変化することを想定可能である。
【0085】
図3に示すパルス列101は、第1の光素子または第1群の光素子へ互いに異なる継続時間に亘って同じ電流が逐次供給され、2つのパルス同士の間の時間間隔が不規則であるような状況を表している。
【0086】
パルス列を規定する1つないし複数の変化量が何であれ、そのようなパルス列はデータをデジタル式に符号化することができるのである、ということを理解されたい。また、これらのデータは、例えば処理ユニット13によって生成されたデジタル・データに基づいて、制御電子回路12を介して符号化され得る、ということも理解されたい。
【0087】
再び図3を参照すると、光パルスの列101は、これもまた本発明による通信システム1を備えているインフラストラクチャー3へ送信される。より特定的には、インフラストラクチャー3は、少なくともある程度の光素子が光パルスの列101を受け取れる光デバイス11を備えると共に、自らの制御電子回路12が、上述した3つのパラメータのうちの少なくとも1つに換算した諸特性を決定するか、或いは処理ユニット13向けに書き換えることさえできるようになっている。その結果、処理ユニット13は、当該パルス列101の形態に符号化されたデータを確かめるために、これらの特性を解釈し得る。
【0088】
図1は、現用の通信システムの使用中に遭遇する状況を示している。この状況においては、参照符号Aの自動車両2(以下、車両A)が、参照符号Cの自動車両2(以下、車両C)向けの通信信号を無指向的に送信している。故に信号は、あらゆる方向へ、従って、信号がそれ向けではない参照符号Bの自動車両2(以下、車両B)へも送信される。かくして、通信信号が特に、ある特定の一道路使用者(ここでは車両C)や、ある特定の一道路インフラストラクチャー3に対して送られるわけではない、ということが分かると言ってよい。通信信号は、不適切な通信システムや、少なくとも受信側としては意図されていない通信システムによって読み取られ、これが通信の無効や侵入のリスクに繋がってしまう可能性があるであろう。さらに、あらゆる方向への通信信号の送信は、電磁気的汚染や帯域輻輳に繋がってしまう。
【0089】
上述したような本発明による通信システムは、この状況を図4に示すやり方で解決することを可能とするものである。
【0090】
車両Aの光デバイス11における複数の光素子111は、車両Cの方を向いて車両Bの方を向いていない(立体角σの)第1の送信円錐41内で通信信号を送信するように構成された、少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子を含んで成っていてよい。少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子は、図4に示すように第2の送信円錐42内で通信信号を送信するように構成されていてよい。第2の送信円錐42は第1の送信円錐41とは別個のものであり、第2光素子は第1光素子とは異なるものである。例えば、車両Cと特定的に通信するために第1光素子を用いて、同時に、或いは順次、車両Bと特定的に通信するために第2光素子を用いることが可能である。
【0091】
車両同士が互いに対して(特に、130km/hに達し得る速度で)移動することが想定される、この特定形態においては、通信信号が比較的素早く送信されることが重要である。これが、上述した光デバイスを用いて、短い時間間隔で相当数のデータを送信することが可能であるような通信信号相互の連続における周波数を(送信側で)達成できることが有利となる理由である。このことは、例えば道路の縁に位置したインフラストラクチャーと通信している車両が高速で走行しているときに必要となり得るとも判明している。
【0092】
具体的には、徹底して同じ光素子によって通信が保証されることが好ましい。実際に通信データの全てを単一の送信円錐を通じて短時間で受信側へ伝達できる場合には、これに当てはまるであろう。
【0093】
徹底して同じ光素子によって通信が保証されるには、データの伝達周波数が不十分であったり、それと同様に、一緒に通信し合う車両同士の相対速度が高すぎたりする場合には、通信を継続するために(別の送信円錐に対応した)その他の光素子を用いることが想定可能である。これら、その他の光素子は、ことによると、通信し合っている車両の環境上で集められるデータ(例えば、送信側の車両が装備しているカメラ22を通じて集められるデータ)に応じて必要とされるように決められることとなる。
【0094】
本発明の第1の態様によるシステムの効力で、通信信号は、1つないし複数の目標によってのみ受信され、或いは読み取られさえするために、この/これらの目標の方へ特定的に差し向けられ得るのである。かくして、信号の宛先とされた(各)目標以外の目標への通信信号の伝達が回避される。従って、通信信号がそれ向けではないシステムによって、それらの信号が読み取られてしまうのを防止することが可能となる。これにより、本発明の第1の態様による通信システムは、有効かつ侵入に対してより耐性のあるものとなる。さらに、先行技術の通信技術の使用によって(特に、それらの技術の放送的な性質のために)引き起こされる電磁気的汚染や帯域輻輳が、大幅に低減される。
【0095】
図5は、現用の通信システムの使用中に遭遇する状況を示している。この状況においては、車両Aが、車両C向けの通信信号を無指向的に送信し、車両Bも、車両C向けの通信信号を無指向的に送信している。各信号は、少なくとも部分的には同時に送信されるものと想定される。従って、車両Cにとっては、車両Aから受信した通信信号は、それとして、車両Bから受信した通信信号と識別可能なものではない。車両Cは、受け取った2つの伝達事項の一方を車両AとBのうちの何れの送信側車両が送ったか、また受け取った2つの伝達事項の他方を車両AとBのうちの何れの送信側車両が送ったかを、受け取った光束のみに基づいて決定することは不可能であろう。さらに、あらゆる方向への通信信号の送信は、電磁気的汚染や帯域輻輳に繋がってしまう。
【0096】
上述したような本発明による通信システムは、この状況を図6に示すやり方で解決することを可能とするものである。
【0097】
車両Cの光デバイス11における複数の光素子111は、車両Aの方を向いて車両Bの方を向いていない(立体角σの)第1の受信円錐内で通信信号を受信するように構成された、少なくとも1つの第1光素子または1つの第1群の光素子を含んで成っていてよい。そのうえ、車両Cの光デバイス11における複数の光素子111は、車両Bの方を向いて車両Aの方を向いていない(立体角σの)第2の受信円錐内で通信信号を受信するように構成された、少なくとも1つの第2光素子または1つの第2群の光素子を更に含んで成っていてよい。図6に示すように、第2の受信円錐52は第1の受信円錐51とは別個のものであり、第2光素子は第1光素子とは異なるものである。
【0098】
この場合もまた、車両同士が互いに対して(特に、130km/hに達し得る速度で)移動しがちなので、通信信号が比較的素早く受信されることが重要である。これが、上述した光デバイスを用いて、短い時間間隔で相当数のデータを受信することが可能であるような信号相互の連続における周波数を(受信側で)達成できることが有利となる理由である。このことは、例えば道路の縁に位置したインフラストラクチャーと通信している車両が高速で走行しているときに必要となり得るとも判明している。
【0099】
具体的には、徹底して同じ光素子によって通信が保証されることが好ましい。実際に通信データの全てを(単一の送信円錐を通じて送信側の車両から対応する信号を当該光素子が受信する間の)短時間で受信側によって受信できる場合には、これに当てはまるであろう。
【0100】
徹底して同じ光素子によって通信が保証されるには、データの受信周波数が不十分であったり、それと同様に、一緒に通信し合う車両同士の相対速度が高すぎたりする場合には、通信を継続するために(別の送信円錐に対応した)その他の光素子を用いることが想定可能である。これら、その他の光素子は、ことによると、通信し合っている車両の環境上で集められるデータ(例えば、送信側の車両が装備しているカメラ22を通じて集められるデータ)に応じて必要とされるように決められることとなる。
【0101】
本発明の第1の態様によるシステムの効力で、通信信号は、1つないし複数の同定された送信側や、当該伝達事項の由来する送出側から受信され得るのである。かくして、受信信号の識別可能性(即ち、受信信号を識別する能力)を通じて、通信信号を受信している車両やインフラストラクチャーが、それらの信号の送信側を明確に決定できるようにすることが可能とする。かように、通信信号が不確定な送信側から受信され得ることを防止することが可能となる。これにより、本発明の第1の態様による通信システムは、有効かつ侵入に対してより耐性のあるものとなる。さらに、先行技術の通信技術の使用によって(特に、それらの技術の放送的な性質のために)引き起こされる電磁気的汚染や帯域輻輳が、大幅に低減される。
【0102】
かくして本発明は、通信信号の伝播方向が、各光素子または規定された群の光素子における1組の送信および/または受信特性の一部を形成する、と言う事実を利用しているのである。
【0103】
図4に示す送信円錐41,42と、図6に示す受信円錐51,52とは、厳密には別個の2つ1組同士である。換言すれば、それらの円錐がたとえ無限遠まで延長されたとしても、それらの円錐同士が影響し合うことはないであろう。但し、本発明は、円錐同士の間における、この型式の区別に限定されるものではない。円錐同士は例えば、ある一定の距離、特に無限遠で交差していてもよいが、それは、この距離が、通信信号100によって搬送される伝達事項が通信され得る距離よりも大きいとすればである。より特定的には、光無線通信信号100は有効通信距離という点で限られた到達範囲を有していることから、重要なのは、送信および/または受信円錐同士が、少なくとも通信システムの有効通信距離に亘って互いに別個になっている、ということなのである。
【0104】
具体的には、光デバイスの各光素子または各群の光素子における送信および/または受信の指向性の点での制約が、それぞれ送信および/または受信円錐の立体角に換算して定量化可能なのである。この立体角σの値は、本質的には、各光素子の特性によって、また適切な場合には(これらの素子と共に配置される)上述した成形用光学部品などの光学的構成によって左右される。換言すれば、各光素子または光素子の群における送信および/または受信円錐の立体角の値は、本質的には、定められた、或いは少なくとも大きく変化はしない物理的特性に関係しているのである。それはまた、各素子へ供給される電流などの光素子の作動パラメータに関係していたり、各光素子に関連した光学的構成の如何なる流動性に基づくものであったりもし得る。さらに、送信および/または受信円錐が規定の立体角を有している限り、光デバイスの各光素子または各群の光素子における送信および/または受信の指向性の点での制約は、その送信および/または受信円錐が、別の光素子または別の群の光素子における送信および/または受信円錐とは交差しないこと、という言葉へ言い換えられ得る。この送信および/または受信円錐同士が交差しないことという概念は、通信信号の送信と受信の位置同士の間の距離によって左右され得る。かくして、これらの円錐同士が、交差しないか、或いは通信システムの規定の(好適には最大の)有効通信距離を過ぎてから僅かに交差することで十分なのである。この意味において、送信および/または受信の波長、供給電流、並びに各光素子の発光範囲は、次のことを可能とする同数のパラメータである。即ち、当該有効通信距離を調節すること、従って(随意に、型通りの試みを犠牲にして)通信の有効性や送信および/または受信の指向性における制約同士の間で折衷案を見い出すことである。
【0105】
複数の光素子111は、(波長変換手段を用いて、或いは用いずに)人間に見えるスペクトルに属した波長の光無線通信信号100を送信するように構成された第1光素子または第1群の光素子を含んでいてよい。この場合、光無線通信信号は、自らの通信機能だけでなく、規制された測光的機能にも、付随して、または引き続いて関与するようパラメータ化されていてよい。かくして、この特徴による通信システム1は、当該規制された測光的機能が果たされることを可能としながら、発光装置21への追加的な光源や追加的なモジュールの付加を免れるという利点を有している。
【0106】
それに代えて、或いはそれに加えて、複数の光素子111は、人間に見えるスペクトル外の、例えば赤外や紫外の光無線通信信号を送信するように構成された第2光素子または第2群の光素子を含んでいてもよい。
【0107】
さらに、送信側の車両が装備している光デバイス11と、受信側の車両が装備している光デバイス11とは互いに同一であることが有利となり得る。上述したような光デバイス11は、光無線通信信号100を送信したり受信したりする役目を有効に果たし得る。しかしながら、受信側に用いられる光素子を同時に送信側に用いることはできず、その逆もまた然りである。にもかかわらず、光デバイス11のある一定の光素子を受信側に用いる一方で、光デバイス11のその他の光素子を同時に送信側に用いることは可能であるという有利性がある。
【0108】
本発明は、別の態様によれば、例えば図3に示すような発光装置21に関するものでもある。その発光装置21は、少なくとも1つの規制された測光的機能を少なくとも部分的に果たすこができ、上述したような通信システム1を少なくとも1つ備えている。発光装置21は、車両の前部に設置された前照灯に限定されるものではなく、例えば、車両の後部に設置された制動灯や、方向指示灯であってもよい。それらのような発光装置は更に、ADB機能(ADBはアダプティブ・ドライビング・ビームの頭字語)や、DBL機能(DBLはダイナミック・ベンディング・ライトの頭字語)や、非幻惑性ハイビームを作り出す型式の機能などの、最適化された照明機能を果たし得る。
【0109】
本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、添付特許請求の範囲によって保護される如何なる実施形態をも包含するものである。
【0110】
特に、通信システムは、制御電子回路へ機能的に接続された付加的通信手段を更に備え、その付加的通信手段は、ワイファイ(商標)技術、ブルートゥース(登録商標)技術、および無指向性光無線通信技術のうち少なくとも1つの通信技術を実施するように構成されている。
【0111】
かくして、複数の通信モード、特に光デバイス11を実施する第1の通信モードと、従来技術の通信技術を実施する少なくとも1つの通信モードとを規定することが可能となる。これらの通信モード同士は、逐次に実施され得る。例えば、第1の通信モードは、暗号化データを解読することを可能とするデータを目標へ通信するように用いられ得る。それらの暗号化データは、第1の通信モードから少なくとも1つの第2の通信モードへの推移に続いて、従来技術の通信技術を通じて後から送信されるように企図されたものである。
【0112】
VLC(可視光通信の頭字語)通信システムに反して、本発明による通信システム1は、真っ昼間であっても(特に、人間の目に見える光を放出する光素子にて)有効な通信を可能としている。それは、利用される通信信号の指向性によるものである。具体的には、規定の受信円錐内に標される光信号のみを各光素子が捕らえるので、それらの素子は、光学的ノイズに影響されないか、或いは、より影響されにくいのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6