(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】調整器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231121BHJP
E01F 9/50 20160101ALN20231121BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21S2/00 631
E01F9/50
(21)【出願番号】P 2019201434
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 康平
(72)【発明者】
【氏名】高木 一誠
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082076(JP,A)
【文献】実開昭51-023383(JP,U)
【文献】特開昭49-021984(JP,A)
【文献】特開2000-123614(JP,A)
【文献】特開昭61-147215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
E01F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射面にライン状の光標示が描かれるように光を照射する道路標示装置の光照射方向を把握するための調整器具であって、
それぞれ別体に形成された単眼鏡を2個備え、該各単眼鏡は異なる向きに配置されると共に、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度が20°以上160°以下の大きさに設定されていることを特徴とする調整器具。
【請求項2】
前記各単眼鏡の視認方向のなす角度が前記道路標示装置の光の有効照射角度に対応する大きさに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の調整器具。
【請求項3】
前記各単眼鏡の視認方向のなす角度が、前記道路標示装置の光の有効照射角度の+0°、-15°の範囲の大きさに設定されていることを特徴とする請求項2に記載の調整器具。
【請求項4】
前記各単眼鏡の接眼レンズ内の映像を外部モニタへ出力する映像出力手段を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の調整器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照射面にライン状の光標示が描かれるように光を照射する道路標示装置の光照射方向を把握するための調整器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外の照明装置の設置作業において、照明装置が発する光の向きを把握して設置角度を調整するための器具について種々の発明が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、投光器の外周一部に、照準器を配置し投光器の角度を設定する投光器の角度設定機構において、軸体の先端に、投光器の先端外周に掛合する掛合部を有し、後方端部に投光器の外周に掛合し、且つ垂直方向にて寸法調整可能な支持体を設けて設定体を構成し、さらに同設定体における軸体の水平面の後方部に合わせて照準点を視認し得る望遠鏡を配置し、また同設定体は投光器に対して着脱自在に構成したことを特徴とする投光器の角度設定機構が示されている。
また、特許文献2には、路肩と車道とを識別するために路面に表示されている車道外側線を照明する車道外側線照明装置であって、道路側部の構造物に設置される筐体と、この筐体内に配設され前記車道外側線を照明する照明ユニットと、この照明ユニットを回動可能に保持する保持部材とを備え、前記照明ユニットを車輌の走行方向に沿って並設された多数の発光ダイオードで構成したことを特徴とする車道外側線照明装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-217401号公報
【文献】特開2002-260401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される投光器の角度設定機構は、投光器へ着脱自在に取り付けられる設定体の望遠鏡を光軸によって配置することで、消灯している状態でも望遠鏡によって照準点を探し出し投光器の角度を設定可能に設けている。しかしながら、特許文献1のごとき角度設定機構では、特許文献2に示されるような比較的幅が狭くて長い面積を効率よく照明する照明ユニットに適用する場合において、光の長手方向を設定できないという問題点があった。
【0006】
本発明は、被照射面にライン状の光標示が描かれるように光を照射する道路標示装置の光の照射方向を効果的に特定して、道路標示装置を向ける角度等を調整できる調整器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る調整器具は、被照射面にライン状の光標示が描かれるように光を照射する道路標示装置の光照射方向を把握するための調整器具であって、それぞれ別体に形成された単眼鏡を2個備え、該各単眼鏡は異なる向きに配置されると共に、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度が20°以上160°以下の大きさに設定されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る調整器具によれば、単眼鏡を2個備え、この各単眼鏡を異なる向きに配置させるので、各単眼鏡の視認方向がそれぞれ被照射面にライン状の光標示を描く光の照射方向と一致するように調整器具を道路標示装置に取り付けることでライン状の光標示が描かれる位置を容易に特定でき、道路標示装置の光の照射方向を効率的に調整できる。
また、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度を20°以上の大きさに設定するので、被照射面に描かれるライン状の光標示の位置を精度よく特定できる。
また、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度を160°以下の大きさに設定するので、道路標示装置の光を道路の長手方向へ傾けて照射させるような場合でも、単眼鏡を覗いて得られる視界から被照射面となされる道路が外れるような状況が生じにくく、被照射面に描かれるライン状の光標示の位置を効率良く特定できる。
【0009】
また、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度を前記道路標示装置の光の有効照射角度に対応する大きさに設定すればライン状の光標示の長手方向の位置を各単眼鏡で容易に特定できるので、道路標示装置の光の照射方向を効率的に調整できる。
【0010】
また、前記各単眼鏡の視認方向のなす角度を、前記道路標示装置の光の有効照射角度の+0°、-15°の範囲の大きさに設定すれば、各単眼鏡を視認して特定する位置がそれぞれ道路標示装置の光の有効照射範囲内となされるので、調整器具を用いて設定する道路標示装置がライン状の光標示を描くように照らすべき照射範囲から、単眼鏡を覗いて得られる視界が外れるような状況を抑制できる。
【0011】
また、前記各単眼鏡の接眼レンズ内の映像を外部モニタへ出力する映像出力手段を備えれば、調整器具の単眼鏡を直接視認しにくい場所へ道路標示装置を設置する場合でも、外部モニタへ出力した映像を確認して道路標示装置の光の照射方向を容易に調整できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の調整器具によれば、被照射面にライン状の光標示が描かれるように光を照射する道路標示装置の光照射方向を効果的に特定できる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ライン状の光標示を形成する道路標示装置の実施の一形態を示す正面図である。
【
図4】
図1の道路標示装置がライン状の光標示を形成している状況の一例を示す概略図である。
【
図5】本発明に係る調整器具の実施の一形態を示す斜視図である。
【
図10】
図1の道路標示装置に
図7の調整器具を取り付けた状態を示す正面図である。
【
図11】調整器具の単眼鏡を示す
図6のA-A矢視図である。
【
図12】
図11の単眼鏡を作業者が覗けるようにした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
最初に、
図1~3に示す道路標示装置5について、説明する。
道路標示装置5は、内側に収納する発光体の発する光を投光窓51から前方へ照射する本体部50と、立設する支柱や壁体などの道路付帯施設へ本体部50を設置するための支持部6を備えている。
【0015】
前記本体部50は矩形箱形の外形に形成しており、その前面に設けた前記投光窓51を略正方形状に形成している。投光窓51から前方へ放射される放射光Lは、投光窓51の全体から放射されて被照射面に細長いライン状の光標示Sを描くように放射されるものである。具体的には、前記放射光Lは、
図1中の左右方向へ広がるように放射されるように設けられており、
図1中の上下方向においては広がらずに略平行に放射されるように設けられている。このように放射される放射光Lは、左右方向を長手方向とする細長い略矩形のライン状の光標示Sを被照射面へ描くことができる。
【0016】
前記支持部6は、支柱などの道路付帯施設へ取り付ける取付部9と、この取付部9と本体部50とを連結する連結金具7、8を備えている。
前記取付部9は、
図1中の左右方向を長手方向とする長尺体であり、断面形状を全長に亘り同一形状に形成している。取付部9は、下方に開口する袋溝状のボルト溝91を備えており、このボルト溝91中にボルト頭部を収納させ雄ねじ部分を下方外側へ突出させた取付ボルトによって、支柱や壁体などの道路付帯施設へ取り付けて固定するように設けている。
【0017】
前記連結金具7は、矩形平板形状の基板部71と、基板部71の両縁から下方へそれぞれ延設する平板形状の連結部72とを備える断面略コの字形状の金具であり、金属板を曲げ加工して形成している。前記連結金具7は前記基板部71の上面を本体部50の下面へ当接させて、本体部50へ取り付けている。本体部50は、下面から下方へ突出する雄ねじ部52を備えており、この雄ねじ部52を基板部71へ貫通させるとともにナットを螺結させて、連結金具7を取り付けている。尚、前記雄ねじ部52へ螺結するナットを緩めることで、雄ねじ部52を回転軸として連結金具7を回転させることができるように設けており、道路標示装置5を道路付帯設備へ設置させる場合において、連結金具7を回転させて本体部50の向きを調整し、ライン状の光標示Sが好適な位置に描かれるように道路標示装置5を設置させることができる。
【0018】
前記連結金具8は、矩形平板形状の基板部81と、基板部81の両縁から上方へそれぞれ延設する平板形状の連結部82とを備える断面略コの字形状の金具であり、金属板を曲げ加工して形成している。前記連結金具8は前記基板部81の下面を前記取付部9へ当接させて、取付部9へ取り付けている。取付部9には、雄ねじ部分を上方へ突出させるボルトB1を取り付けており、このボルトB1の雄ねじ部分を基板部81へ貫通させるとともに、ナットを螺結させて連結金具8を取り付けている。
【0019】
前記連結金具7と連結金具8とは連結部72、82で連結させており、連結部72と連結部82とを貫通するボルトB2の雄ねじ部分にナットを螺結させて取り付けている。
連結金具7は、前記各ボルトB2にそれぞれ螺結する各ナットを緩めることで、ボルトB2を回転軸として連結金具8に対して回転させることができるように設けている。このように連結金具7を回転させて連結金具8に対する角度を変更して調整できるように設けることで、道路標示装置5を道路付帯設備へ設置させる場合において本体部50の向きを調整し、ライン状の光標示Sが好適な位置に描かれるように道路標示装置5を設置させることができる。
【0020】
連結金具7と同様に、連結金具8は、その基板部81を取付部9へ取り付けるボルトB1のナットを緩めることで、ボルトB1の雄ねじ部分を回転軸として取付部9に対して回転させることができるように設けている。このように設けることで、前記連結金具7の回転と同様に、連結金具8を回転させて本体部50の向きを調整し、ライン状の光標示Sが好適な位置に描かれるように道路標示装置5を設置させることができる。
【0021】
図4は
図1の道路標示装置5がライン状の光標示を形成している状況の一例を示す概略図である。
図4は、図中右側から左側へ車両が矢印方向へ進行する道路Rを上方から描いたものであり、道路Rの外側に設置させた道路標示装置5の投光窓51から放射させた光Lを路面へ照射させて、路面に形成した車道外側線r1の位置に一致するようにライン状の光標示Sを描いている状況を示している。
本体部50の投光窓51から放射させる放射光Lは、
図4中の左右方向へ広がるように放射させ、左右方向に対して垂直な方向においては広がらずに放射方向へ略平行に放射させている。このように放射光Lを放射させることで、被照射面である路面にライン状の光標示Sが描かれるが、前記道路標示装置5は、このライン状の光標示Sを好適に描くことができる範囲として、光の有効照射角度Eを設定している。具体的には、前記道路標示装置5は、光の有効照射角度Eを設定している方向へ広がるように放射光Lを放射して、有効照射角度Eを設定している方向に長手方向を向けてライン状の光標示Sを形成するように設けている。
図4の道路標示装置5は、光の有効照射角度Eを80°に設定している。
尚、
図4においては、放射光Lによって描かれるライン状の光標示Sの長手方向の端が、光の有効照射角度Eの範囲の端leの位置に一致するように図示しているが、これに限るものではなく、ライン状の光標示Sの長手方向の端が光の有効照射角度Eの端leの外側に位置するように設けても良い。即ち、光の有効照射角度Eとは、被照射面に実際に形成されたライン状の光標示Sによって規定されるものではなく、好適に視認できるライン状の光標示Sを形成可能な放射光Lの角度を規定する道路標示装置5の設計値であり、道路標示装置5を設置する道路管理者などが道路標示装置5の配置の検討等を行う際の参考とするためのものである。
【0022】
図5は本発明に係る調整器具1の実施の一形態を示す斜視図であり、
図6は
図5の平面図であり、
図7は
図5の正面図であり、
図8は
図5の右側面図であり、
図9は
図5の背面図である。
図5~9に示す調整器具1は、
図1~3に示す道路標示装置5へ着脱可能に設けられており、主に道路標示装置5の設置時に取り付けて、その放射光Lが放射される方向を把握するために利用する。
前記調整器具1は、道路標示装置5へ取り付ける取付部2と、この取付部2に接続する台座部3と、この台座部3に取り付けられた単眼鏡4を備えている。
【0023】
調整器具1の前記取付部2は、矩形平板状の上当接部21と、この上当接部21の左右両端からそれぞれ下方へ延設される矩形平板状の横当接部24とを有している。間隔をあけて平行に配置させた各横当接部24の相対する各板面は、前記道路標示装置5の両側の側面に対応する位置に配置させており、前記取付部2は、前記道路標示装置5へ上から被せるようにして取り付けたときに、上当接部21の下面が道路標示装置5の上面部分へ当接すると共に、横当接部24の前記各板面がそれぞれ道路標示装置5の側面部分へ当接するように設けている。
換言すると、調整器具1は、取付部2を道路標示装置5の外側に嵌め込むようにして取り付けるように設けている。
前記各横当接部24は、略L字形状に屈曲する接続金具23によって上当接部21へ接続している。
また、前記上当接部21の上部には把持部29が設けられており、調整器具1の持ち運びや、道路標示装置5への着脱作業を容易に行えるように設けている。
【0024】
前記取付部2は、上当接部21の前方の端部から下方へ突出する前当接部22を有している。
前記前当接部22は、略L字形状に屈曲する金具で形成されており、一方の板部分を上当接部21の上面へ固定し、垂直方向へ延設される他方の板部分を上当接部21の下方へ突出させている。
前記調整治具1は、取付部2を道路標示装置5へ取り付けた状態において、前記前当接部22が道路標示装置5の前面部分へ当接するように設けている。
【0025】
前記取付部2は、上当接部21、および各横当接部24の後方に配置される矩形平板状の後当接部25を有している。
後当接部25は、上部に取り付けた蝶番26を介して上当接部21へ取り付けられており、蝶番26により上当接部21に対して回動可能に設けられている。また、取付部2を道路標示装置5へ取り付けた状態において、後当接部25の板面が道路標示装置5の後面部分へ当接するように設けている。
【0026】
後当接部25は、蝶番26による回動を規制すると共に、後当接部25を前方へ付勢する付勢手段27を備えており、具体的には、所謂パチン錠が取り付けられている。
パチン錠は、カバン等の蓋部に取り付けられる錠前として一般的に利用されているものである。パチン錠は、開閉レバーと、この開閉レバーの開閉動作に連動して移動する引掛け部とを備えるパチン錠本体部と、前記引掛け部と係合する係合部を備える受部とを有し、前記引掛け部を係合部へ係合させた状態で前記開閉レバーを閉状態とすることで、前記パチン錠本体部と受部とが離間不能となされると共に、その状態を安定的に保持できるものである。
【0027】
後当接部25に設けたパチン錠は、前記受部を各横当接部24にそれぞれ取り付け、各受部に対応するパチン錠本体部を後当接部25に取り付けている。前記各パチン錠が開状態となされると、前記後当接部25は上当接部21に対して回動可能となされる。そして各パチン錠が閉状態となされると、前記後当接部25は回動不能となされと共に、前方へ強く付勢された状態となされる。
取付部2を道路標示装置5へ取り付けた状態において、前記各パチン錠を閉状態にすると、前方へ付勢された後当接部25の板面が道路標示装置5の後面部分へ強く押し付けられるように設けている。即ち、後当接部25と前記前当接部22とで道路標示装置5の前後を挟持する状態となされ、取付部2を道路標示装置5へ安定的に取り付けることができる。
【0028】
前記台座部3は平板形状に形成して、各横当接部24から外側側方へ突出するように設けている。
台座部3は、取付部2の左右両側にそれぞれ1個ずつ合計2個設けており、各台座部3の上面が揃うように配置させている。
【0029】
各台座部3の上部には、それぞれ単眼鏡4を1個ずつ取り付けている。各単眼鏡4は、使用者が接眼レンズを片目で覗いて利用するように設けられており、望遠機能を備える所謂望遠鏡である。また、各単眼鏡4は、接眼レンズ41を覗いたときに得られる視界の中心を正確に把握するための照準部が内部の光学部材に設けられている。前記照準部は十字形に形成されているが、点であってもよく、視界の中心を正確に把握できる他の形状に形成されていてもよい。
【0030】
前記単眼鏡4の近傍には、接眼レンズ41内の映像を外部モニタへ出力する映像出力手段Cをそれぞれ取り付けている。前記各映像出力手段Cは所謂カメラであり、そのレンズc1を接眼レンズ41に相対させて配置させている。
前記映像出力手段Cは、撮影した接眼レンズ41内の映像を外部モニタへリアルタイムで出力する機能を有しており、携帯電話やノートパソコンなどの画面へ前記映像をリアルタイムで表示できるようにデータを送信する機能を有している。
【0031】
図11は調整器具1の単眼鏡4を示す
図6のA-A矢視図である。
図11は、取付部2の図示を省略して、図面を簡略化している。
前記各映像出力手段Cは台部35に取り付けている。
台部35は、平板形状に形成して前記台座部3へ接続する基部36と、この基部36へ蝶番37を介して接続する回動部38を備えており、この回動部38へ取り付けた略L字形状に屈曲する取付金具38aへ前記映像出力手段Cを取り付けている。具体的には、映像出力手段Cの背面に固定した磁石mを前記取付金具38aへ磁着させて取り付けている。
【0032】
前記回動部38は蝶番37により基部36に対して回動可能に設けられており、両部材の上下方向の位置を略一致させて配置させた
図11に示す状態を、磁着部39で保持している。磁着部39は、基部36の上部に取り付けた磁石39aと、回動部38の上部に取り付けた略L字形状に屈曲する金具39bを備えており、回動部38の上面から上方へ突出させた金具39bの部位を磁石39aへ磁着させて、回動部38と基部36の配置を保持している。
【0033】
磁着する前記金具39bと磁石39aを引き離し、回動部38を回動させることで、作業者が単眼鏡4の接眼レンズ41を直接覗ける状態となされる。
図12は
図11の単眼鏡4を作業者が覗けるようにした状態を示す図である。
図12に示すように、回動部38を回動させることで、映像出力手段Cが単眼鏡4の下方へ移動し、単眼鏡4の接眼レンズ41を作業者が直接覗いて作業することができる状態となされる。また、
図12の回動部38を逆方向へ回動させて、金具39bを磁石39aへ磁着させることで、
図11に示す状態へ容易に戻すことができる。
図12においては、回動部38の取付金具38aへ映像出力手段Cを取り付けた状態としているが、映像出力手段Cを取付金具38aから取り外して接眼レンズ41を覗いてもよい。
【0034】
前記各単眼鏡4は、前記各台座部3の上面、及び前記上当接部21の下面に沿う方向へ向けられるように配置させると共に、
図6に示すようにそれぞれ異なる方向を視認するように配置させている。
一方の単眼鏡4は前方斜め右方向を視認するように配置させており、
図6中に一点鎖線で描く前後方向に対し右側へ40°の角度の方向へ向けている。また、他方の単眼鏡4は前方斜め左方向を視認するように配置させており、前後方向に対し左側へ40°の角度の方向へ向けている。即ち、各単眼鏡は前後方向を中心として左右方向に80°の角度をなすように配置させている。
【0035】
図10は
図1の道路標示装置5に
図7の調整器具1を取り付けた状態を示す正面図である。
図10においては、道路標示装置5の支持部6の図示を省略して、図面を簡略化している。
図10の調整器具1は、取付部2の上当接部21と各横当接部24の板面を道路標示装置5の本体部50の外面へ当接させると共に、前記付勢手段27であるパチン錠を閉状態として前記前当接部22及び後当接部25が本体部50の前後を挟持している。
【0036】
図10に示すように、道路標示装置5へ取付部2を取り付けた状態において、投光窓51の左右両側に配置された各単眼鏡4は、投光窓51の上下方向の略中央に位置するようにそれぞれ配置される。また、前後方向を中心として左右の異なる方向へ向けられた各単眼鏡4のなす角度は、投光窓51からの放射光Lの有効照射角度Eと同一の大きさである80°に設けられている。即ち、道路標示装置5に取り付けた状態において、各単眼鏡4の接眼レンズ41を覗いて得られる視界内に、道路標示装置5の前記放射光Lが照射される位置が視認できるように設けている。詳細には、接眼レンズ41を覗いて得られる視界において、ライン状の光標示Sを好適に形成できる放射光Lの有効照射角度Eの端leが視界の中央付近に位置するように設けている。換言すると、各単眼鏡4は、被照射面に描かれるライン状の光標示Sの範囲において、道路標示装置5が設計上好適に描くことができる長手方向の両側の端を、接眼レンズ41を覗いて得られる視界の中央付近にそれぞれ映すことができる。
【0037】
このように各単眼鏡4を配置させることで、道路標示装置5が消灯状態であっても放射光Lの有効照射角度Eの端leの位置を特定できる。即ち、調整器具1を用いることで、路面などの被照射面に描かれるライン状の光標示Sの幅方向の位置だけでなく、設計上好適に形成できる長手方向の両端の位置を特定できるので、ライン状の光標示Sの形成位置を車両外側線r1に一致させるなど、道路標示装置5の設置角度の調整を容易且つ正確に行うことができる。また、各単眼鏡4によってライン状の光標示Sの前記長手方向の両端の位置を特定できるので、ライン状の光標示Sを長手方向へ複数並べて描くように間隔をあけて複数の道路標示装置5を設置させる場合などにおいて、各道路標示装置5によって路面へ描かれる各ライン状の光標示Sの長手方向の位置をそれぞれ適正に配置することができる。一例としては、
図4に示すように、複数のライン状の光標示Sを一つの車道外側線r1上に描くような場合において、形成される各ライン状の光標示Sの幅方向及び長手方向の位置を調整器具1で把握して、それぞれ適切な位置に描かれるように各道路標示装置5の設置角度を調整することができる。
【0038】
尚、本発明に係る調整器具1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記調整器具1の各単眼鏡4は、取り付ける道路標示装置5の放射光Lの有効照射角度Eに対応する角度に配置させているが、これに限るものではなく、道路標示装置5が描くライン状の光標示Sの長手方向の位置を特定する必要がなければ、各単眼鏡4のなす角度が前記有効照射角度Eと異なる大きさとなるように設けても良い。しかしながら、各単眼鏡4のなす角度を前記有効照射角度Eに対応する角度に配置させることで、上記のように、ライン状の光標示Sの幅方向の位置だけでなく、設計上好適に形成できる長手方向の端の位置を特定できる。各単眼鏡4のなす角度は、前記有効照射角度Eと同一の大きさに設けるのが好ましいが、誤差や道路標示装置5へ取り付けたときに生じる位置ずれなどを考慮して、若干異なる大きさに配置してもよい。具体的には、各単眼鏡4のなす角度は、前記有効照射角度Eの+0°、-15°の範囲の大きさに設定するのが好ましい。前記角度を有効照射角度Eの大きさ以下に設けることで、各単眼鏡4の接眼レンズ41が、前記有効照射角度Eの範囲の外側の位置を映すような状況を低減でき、接眼レンズ41がより確実にライン状の光標示Sの形成位置を映すことができるようになされる。また、前記角度を有効照射角度Eの-15°の大きさ以上に設けることで、各単眼鏡4の接眼レンズ41が、前記有効照射角度Eの範囲の端から内側へ大きくずれた位置を映すような状況を低減できる。
【0039】
各単眼鏡4のなす角度を前記有効照射角度Eと異なる大きさに設ける場合においては、各単眼鏡4のなす角度は20°以上160°以下の大きさに設けるのが好ましい。前記角度を20°未満に設けた場合、各単眼鏡4で特定されるライン状の光標示Sの位置や向きの正確さが低下する。また、前記角度を160°を超えるように設けた場合、一方または両方の単眼鏡4の接眼レンズ41内の映像がライン状の光標示Sを描く被照射面から外れるような状況が生じる恐れがある。
【0040】
また、前記調整器具1は、各単眼鏡4を各台座部3へ移動不能に固定しているが、これに限るものではなく、各単眼鏡4の向きを変更可能に設けてもよい。各単眼鏡4の向きを変更して、両部材のなす角度を調整可能に設けることで、光の有効照射角度Eの大きさが異なる他の道路標示装置5の設置作業においても、調整器具1を好適に利用することができる。また、各単眼鏡4のなす角度を調整可能に設けることで、光の有効照射角度Eの大きさを変更可能に設けた道路標示装置5の設置作業においても、調整器具1を好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 調整器具
2 取付部
21 上当接部
22 前当接部
23 連結金具
24 横当接部
25 後当接部
26 蝶番
27 付勢手段
29 把持部
3 台座部
35 台部
36 基部
37 蝶番
38 回動部
39 磁着部
4 単眼鏡
41 接眼レンズ
5 道路標示装置
50 本体部
51 投光窓
52 雄ねじ
6 支持部
7 連結金具
71 基板部
72 連結部
8 連結金具
81 基板部
82 連結部
9 取付部
91 ボルト溝
C 映像出力手段
E 光の有効照射角度
L 放射光
R 道路
r1 車道外側線
S ライン状の光標示