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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】潤滑油の診断システム
(51)【国際特許分類】
   F16N 29/00 20060101AFI20231121BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
F16N29/00 A
G01N21/27 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019205210
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021076540
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小島 恭子
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 満
(72)【発明者】
【氏名】相川 慎一郎
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-189095(JP,A)
【文献】特開2004-176796(JP,A)
【文献】特開2019-078718(JP,A)
【文献】特開2017-219325(JP,A)
【文献】特開2002-276537(JP,A)
【文献】特開2008-184932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 29/00-29/04
G01N 21/00-21/01,21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油使用機器と、
前記潤滑油使用機器に供給される潤滑油を貯留するための潤滑油タンクと、
前記潤滑油タンクと前記潤滑油使用機器との間で循環される潤滑油が流れる循環ラインと、
前記潤滑油の特性を測定するセンサと、を備え、
前記センサは色度センサであり、
前記色度センサのデータの取得は、前記色度センサのデータに基づいた劣化指標の値が所定範囲内にあるとき行い、かつ、
前記潤滑油使用機器が停止状態になった後、予め定めた時間以上が経過した後に前記センサのデータを取得し、診断に用いることを特徴とする,
潤滑油の診断システム。
【請求項2】
前記停止状態は、外的な要因による予期せぬ停止である、
請求項1記載の潤滑油の診断システム。
【請求項3】
前記潤滑油使用機器は、風力発電機の増速機である、
請求項1記載の潤滑油の診断システム。
【請求項4】
前記センサのデータの取得は、
前記増速機が外的な要因による予期せぬ停止状態になった後、
予め定めた時間以上が経過した後に実施することを特徴とする,
請求項記載の潤滑油の診断システム。
【請求項5】
前記センサのデータの取得は、
前記増速機がカットアウト風速以上の風況のために停止状態になった後、
予め定めた時間以上が経過した後に実施することを特徴とする,
請求項記載の潤滑油の診断システム。
【請求項6】
潤滑油使用機器と、
前記潤滑油使用機器に供給される潤滑油を貯留するための潤滑油タンクと、
前記潤滑油タンクと前記潤滑油使用機器との間で循環される潤滑油が流れる循環ラインと、
前記潤滑油の特性を測定する色度センサと、を備え、
前記色度センサのセンサデータに基づいた劣化指標の値が所定範囲内にあるときのセンサデータを取得し、診断に用いることを特徴とする、
潤滑油の診断システム。
【請求項7】
前記劣化指標は、前記色度センサによるΔEに基づいた劣化指標である、
請求項記載の潤滑油の診断システム。
【請求項8】
前記劣化指標は、前記色度センサによるB値に基づいた劣化指標である、
請求項記載の潤滑油の診断システム。
【請求項9】
前記所定範囲内とは、過去データにより求めた潤滑油の劣化曲線を上限値とし、当該劣化曲線と閾値の間の範囲である、
請求項記載の潤滑油の診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械の診断技術に係り、特に、風力発電機などの増速機に用いられる潤滑油の劣化診断と増速機の状態診断技術、および、空気圧縮機,船舶,発電タービンなどの回転機械の潤滑油診断技術、機械の状態診断技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
大型回転機械の保全・保守を行う上で、軸受、歯車などの回転部品で使用される潤滑油の性状診断は重要な技術である。大型回転機械の例として、例えば、風力発電機の増速機、空気圧縮機,船舶,発電タービンなどがある。潤滑油の性状診断では、大別すると、(1)潤滑油の経時的な酸化劣化と、(2)水、塵埃や摩耗粉などの外部混入物による汚染の2種類を診断する。
【0003】
(1)の潤滑油の酸化劣化としては、基油の酸化による劣化、添加剤の消耗による劣化などがある。潤滑油の酸化劣化により、耐摩耗性の低下、粘度および粘度指数の変化、防錆性の低下、防食性の低下などが起こる。結果として、増速機の摩耗や材料疲労が促進されることがある。
【0004】
(2)の潤滑油の汚染は、水、塵埃、回転部品から生じる摩耗粉などによって起こる。水混入は、潤滑油の粘度変化による潤滑性能低下、金属部品の腐食、錆、材料劣化の原因となる。塵埃は、そのものが致命的な故障の原因となることは少ないが、金属摩耗粉増加の原因となることがある。摩耗粉は、大きさによって、機械の致命的な故障原因となることが知られている。
【0005】
増速機など回転機械の潤滑油は、予め定められた周期で微量を採取し、分析センタなどに送付して、粘度、汚染度、全酸価、金属濃度などの分析を行い、性状監視を行うことがある。また、風力発電機に設置されたセンサ群(例えば、出力、発電機回転数、発電量、油温、油圧、加速度などのセンサ)による状態監視が行われる。
【0006】
従来、潤滑油の性状診断技術としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、潤滑油中の汚染物質の種類を光学センサで検出した色に基づき特定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-117951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
潤滑油には、潤滑性能を維持するために種々の添加剤が含まれる。例えば、潤滑条件が過酷で、接触部分の圧力が高い場合や、すべり速度が小さかったり、油の粘度が低すぎたりする場合は、摩擦面の間の潤滑油の膜が薄くなり、摩擦抵抗が大きくなり摩耗が起こる。この状態を境界潤滑と呼び、極端な場合には焼付が起こる。このような境界潤滑の状態で摩擦や摩耗を減少させる働きをするのが添加剤であり、例えば、油性剤、摩耗防止剤、極圧添加剤(極圧剤)があり、これらを総称して耐荷重添加剤と呼ぶこともある。また、他の添加剤として、例えば酸化防止剤や消泡剤のようなものもある。添加剤は潤滑油に対して所定の割合(濃度)含まれていることが、所望の潤滑性能の維持のために必要である。
【0009】
従来、潤滑油の劣化診断としては、特許文献1に記載のように、光の透過により汚染物質による劣化を検出する技術が提案されていた。特許文献1記載では、白色発光素子によって発せられた白色の光のうち油用隙間において潤滑油中の汚染物質によって吸収されなかった波長の光に対して、カラー受光素子によって色を検出するので、機械の潤滑油中の汚染物質の色を即時に検出することができると述べている(0009項)。
【0010】
しかし、稼働中の機械の潤滑油中には,撹拌やキャビテーションなどにより、気泡が発生しやすい。このため、色を検出して潤滑油の状態を診断しようとする場合、液体である潤滑油と気泡との界面で光が散乱され、センサデータが気泡の量、大きさなどにより変化する。
【0011】
定期点検時など,機械が計画的に停止する際に得られるセンサデータは,気泡がほぼ無い状態のデータであるため,正確なデータであることが多いが,計画的な停止の頻度が高くない風力発電機などの場合,計測間隔が開きすぎて,必要な頻度での診断ができないという課題がある。
【0012】
また、他のセンサの例として、パーティクルカウンタが知られている。パーティクルカウンタは、粒子により光が散乱されたり遮蔽されたりした際の電気信号により粒子を測定するものであるが、原理的に、酸化や添加剤の消耗を計測できない。また、潤滑油中に気泡が発生している場合、パーティクルカウンタは、参照光が潤滑油中を透過した影を計測するので、原理的に、気泡と固形粒子の区別が難しい。
【0013】
別のセンサの例として、潤滑油の誘電率、導電率などの電気特性を計測する方式では、潤滑油中に気泡が含まれることにより、見かけのセンサデータが変化してしまうという課題がある。
【0014】
風力発電機には、高レベルで安定した稼動と発電量,20年から25年の長期使用に耐える信頼性が要求される。そのため、故障などの異常が発生する前の段階での異常を検知する予兆診断の機能を備え、ダウンタイムの削減が要求される。また、増速機のような高価な部品が使用されることからも、予兆診断によって故障を未然に防ぐことが要求される。そのためには、現場において高精度で潤滑油の状態を知る必要がある。しかし、風車の増速機潤滑油のような高粘度の潤滑油では、気泡が発生しやすく、かつ、消えにくいため、潤滑油の状態を測定する際の気泡の影響を排除あるいは考慮する必要がある。
【0015】
潤滑油は,添加剤の消耗によって潤滑性能が低下するため,定期的に交換する必要がある。しかし,潤滑油の交換のために,停止させる必要があるので,発電量ロスが生じる。また,潤滑油の交換には,新油費用,廃油費用,作業員の費用などが必要になり,潤滑油交換コストが高額であることが課題となっていた。
【0016】
本発明の目的は、風力発電機などの回転機械の潤滑油の状態診断を状態監視センサにより行う際に、信頼性が高い診断技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の好ましい一側面は、潤滑油使用機器と、潤滑油使用機器に供給される潤滑油を貯留するための潤滑油タンクと、潤滑油タンクと潤滑油使用機器との間で循環される潤滑油が流れる循環ラインと、潤滑油の特性を測定するセンサと、を備え、潤滑油使用機器が停止状態になった後、予め定めた時間以上が経過した後にセンサのデータを取得し、診断に用いることを特徴とする,潤滑油の診断システムである。
【0018】
本発明の好ましい他の一側面は、潤滑油使用機器と、潤滑油使用機器に供給される潤滑油を貯留するための潤滑油タンクと、潤滑油タンクと潤滑油使用機器との間で循環される潤滑油が流れる循環ラインと、潤滑油の特性を測定する色度センサと、を備え、色度センサのセンサデータに基づいた劣化指標の値が所定範囲内にあるときのセンサデータを取得し、診断に用いることを特徴とする、潤滑油の診断システムである。
【0019】
本発明の好ましい他の一側面は、潤滑油使用機器と、潤滑油使用機器に供給される潤滑油を貯留するための潤滑油タンクと、潤滑油タンクと潤滑油使用機器との間で循環される潤滑油が流れる循環ラインと、を備える装置における、潤滑油の診断方法であって、潤滑油の特性を測定する色度センサを用い、潤滑油使用機器が停止状態になった後、予め定めた時間以上が経過した後に色度センサのデータを取得し、診断に用いることを特徴とする、潤滑油の診断方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、風力発電機などの回転機械の潤滑油の状態診断を状態監視センサにより行う際に、信頼性が高い診断技術を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】風力発電機の概略全体構成図。
図2】潤滑油中の添加剤(極圧剤)濃度と色度の相関を示すグラフ図。
図3】潤滑油中の添加剤(酸化防止剤)濃度と色度の相関を示すグラフ図。
図4】潤滑油中の二種の添加剤濃度と色度の相関を示すグラフ図。
図5】風力発電機のパワーカーブのグラフ図。
図6】潤滑油供給系統を有する風力発電機の潤滑油の監視システムの概略図。
図7】実施例1の潤滑油用センサを備えた回転機械の構成図。
図8】潤滑油中の気泡が増速機停止後に減少することを示すグラフ図。
図9】風車発電量と潤滑油中気泡量と光学式センサΔE値との相関を示すグラフ図。
図10】潤滑油中の気泡量とΔE値の相関を示すグラフ図。
図11】潤滑油中の気泡量とRGB値の相関を示すグラフ図。
図12】潤滑油中の気泡量とMCD値の相関を示すグラフ図。
図13】潤滑油診断のフロー図。
図14】潤滑油診断の他のフロー図。
図15】潤滑油用センサを備えた回転機械の構成図。
図16】ΔE値を指標とした潤滑油の劣化曲線図。
図17】潤滑油汚染検出例のグラフ図。
図18】RGB値を指標とした潤滑油の劣化を示すグラフ図。
図19】B値を指標とした劣化曲線による潤滑油の監視例を示すグラフ図。
図20】潤滑油の相対劣化度を示すグラフ図。
図21】劣化予測曲線を用いた潤滑油劣化検出例を説明するグラフ図。
図22】劣化予測曲線を用いた潤滑油汚染検出例を説明するグラフ図。
図23】風車停止後の気泡消滅後に光学式センサの電源を投入してデータを取得するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
風力発電機では、構成要素間の機械的な摩擦係数を低減するために潤滑油等を使用している。以下の実施例では、風力発電機の潤滑油を例として潤滑油の監視技術を説明する。もっとも、本発明は風力発電機に限らず、タービンその他の機械にも適用することができる。
【0023】
実施例で説明される一例は、増速機と発電機とを有する風力発電機から情報を収集し、収集された情報に基づいて風力発電機の異常を判断する風力発電機の診断システムである。このシステムでは、風力発電機の状態を監視するため、増速機に供給される潤滑油の性状をセンサ情報として出力するセンサと、センサ情報毎に定められた基準値を記憶する記憶部とを有する。
【0024】
<1.風力発電機の基本構成>
図1に、ダウンウインド型の風力発電機の概略全体構成図を示す。図1では、ナセル3内に配される各機器を点線にて示している。図1に示すように、風力発電機1は、風を受けて回転するブレード5、ブレード5を支持するハブ4、ナセル3、及びナセル3を水平面内に回動可能に支持するタワー2を備える。
【0025】
ナセル3内に、ハブ4に接続されハブ4と共に回転する主軸31、主軸31に連結されるシュリンクディスク32、シュリンクディスク32を介して主軸31に接続され回転速度を増速する増速機33、及び、カップリング38を介して増速機33により増速された回転速度で回転子を回転させて発電運転する発電機34を備えている。
【0026】
ブレード5の回転エネルギーを発電機34に伝達する部位は、動力伝達部と呼ばれ、主軸31、シュリンクディスク32、増速機33及びカップリング38が動力伝達部に含まれる。そして、増速機33及び発電機34は、メインフレーム35上に保持されている。また、メインフレーム35上には、動力伝達部の潤滑用に潤滑油を貯留する潤滑油タンク37が一つまたは複数設置されている。また、ナセル3内には、ナセル隔壁30よりも風上側にラジエータ36が配置されている。外気を用いてラジエータ36で冷却された冷却水を発電機34や増速機33に循環させて発電機34や増速機33を冷却している。図1には、いわゆるダウンウインド型風車を例に説明したが、本実施の形態は、アップウインド型風車に適応できることは言うまでもない。
【0027】
風力発電機では、多くの回転機械で潤滑油が使用されている。たとえば、図1において、主軸31、増速機33、発電機34、図示しないヨー、ピッチなどの軸受には潤滑油が供給される。風速に応じてブレードのピッチ角を変え出力を制御するのがブレードのピッチ制御であり、無駄なく風を受けるために風車の向きを風向きに追従させるナセルの方位制御がヨー制御である。
【0028】
このような動力伝達部に加え、ヨー制御やピッチ制御を行うための回転機械を含む回転機械については潤滑油を強制循環により供給する必要がある。潤滑油は回転機械の回転部分の摩擦を低減し、部品の磨耗や破損、あるいはエネルギーロスを防止する。しかし、潤滑油の経時的な劣化による潤滑性能の低下や、摩耗粒子、塵埃などの潤滑油への混入による汚染が起こると、摩擦係数が増加し、風力発電機の故障リスクが増大する。
【0029】
風力発電機が故障すると、故障部品交換のコスト・停電中の発電収入減など、多大なロスコストが発生するため、余寿命予測・予兆検知による早期部品手配、停電期間短縮などの対策が望まれている。特に、重要部品である増速機は、潤滑油の性能が低下すると故障リスクが増大するため、潤滑油の余寿命や交換時期を可能な限り早期に推定するための技術が重要である。
【0030】
<2.潤滑油の特性評価手法>
潤滑油等の特性評価手法として、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)元素分析や、LC/MS(Liquid Chromatography Mass Spectrometry:以下LC測定)等による成分分析が可能である。しかし、一般にLC測定等では、サンプルを取得して実験施設まで運搬し処理を行なう必要があり、現場での評価が困難である。そこで、現場でサンプルの光学的性質や電気的性質を測定し、間接的に潤滑油の性質を測定することが考えられる。測定手法としては上述のように、潤滑油の色を評価するもの、誘電率や導電率などの電気特性を評価するもの、混入粒子を光学的に測定するもの等、種々の手法が有る(例えば特許文献1やそれに引用される公知文献参照)。しかし、多くの測定手法では、潤滑油中の気泡は測定結果に影響を与える。
【0031】
以下で、光学式センサの計測データに基づき求められる色度データを用いて潤滑油の添加剤の濃度を測定する例を説明する。添加剤である油性剤、摩耗防止剤、極圧添加剤、酸化防止剤、消泡剤等においても、添加剤濃度と色度の相関がある場合が多く、濃度の評価が可能となる。発明者による検討の結果、LC測定などによって求められる、風車などの回転部品を有する機械で使用された潤滑油中の添加剤の濃度と、潤滑油の着色度(色度)には相関があることが判明した。
【0032】
図2は潤滑油中の極圧剤濃度と色度の相関を示す図である。縦軸はLC測定などによって求められる潤滑油中の添加剤の濃度を示し、横軸は光学式センサの計測データに基づき求められる色度を示す。ここで、図2において色度はRGBの組み合わせから構成される色空間で計算される色差(△E)で表示している。
【0033】
図2中の△Eの定義は、
△E=(R+G+B1/2
であり、R、G、B、は、加法混合における光の三原色(Red、Green、Blue)を意味し、色座標の数値表示では、(R、G、B)と表現する。光の三原色の波長については、Rが610から750nm、Gが500から560nm、Bが435から485nmである。
【0034】
なお、24bpp(24 bit per pixel、ピクセルあたり24ビット)でエンコードされたRGB色度は、赤・緑・青の輝度を示す3つの8ビット符号の整数(0から255まで)で表わされる。たとえば、(0, 0, 0)は黒、(255, 255, 255)は白、(255, 0, 0)は赤、(0, 255, 0)は緑、(0, 0, 255)は青、をそれぞれ示す。なお、色度の表示としては、RGB表色系の他に、XYZ表色系、L表色系、L表色系等々多くの種類があり、これらは数学的に変換されて各種の表色系に展開することができるので、他の表色系で色度を表示しても良い。潤滑油の色を、色度で数値化しておくと、色度値を変換することにより、元の潤滑油の色を、コンピュータや監視システムのモニタまたはディスプレイ上に表示させることが可能である。
【0035】
添加剤毎に、LC測定などによって求められる、風車などの回転部品を有する機械で使用された潤滑油中の添加剤の濃度と、光学式センサの測定データに基づき求められる、風車などの回転部品を有する機械で使用された潤滑油の色度の関係を、図2のように予め求めておけば、潤滑油の監視の際には、光学式センサの測定データに基づき求められる潤滑油の色度が得られ、潤滑油の色度に基づき、潤滑油の添加剤の濃度を測定することができる。
【0036】
このように、潤滑油の劣化の指標となる、潤滑油中の添加剤の減少(消耗度)は、光学式センサによって計測される色度より求められることが明らかになった。これにより、LC測定や、FT-IR(フーリエ変換赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴)などによる分析と比較して、潤滑油の添加剤濃度を簡易に測定することが可能となる。また、光学式センサ等をナセル内に設置すれば、風力発電機の潤滑油のオンライン遠隔監視も可能となる。この例のように、潤滑油の色度から潤滑油の特性を評価する場合には、色度が正確に測定できることが必要であり、気泡による影響を低減する必要がある。
【0037】
図2では、潤滑油に添加剤として極圧剤を含む場合について示したが、添加剤としては、耐荷重添加剤である、油性剤、摩耗防止剤、極圧添加剤の他、酸化防止剤、消泡剤に対しても同様に適応できる。
【0038】
図3はその例の一つとして、潤滑油中の酸化防止剤濃度と色度の相関を示したものである。
潤滑油の劣化の指標である添加剤の消耗度が、色度と相関がある理由は以下のように説明される。添加剤が歯車や軸受の摺動面で作用すると分解するが、添加剤の分解生成物が、フェノール系の酸化物やキノンのような酸化生成物であり、それらは黄色~赤褐色に着色している。たとえば、酸化防止剤であるBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)や、極圧剤であるTPPT(トリフェニルフォスフォロチオネート)が分解すると、着色化合物が生じる。酸化前のBHT、TPPTは、ほぼ無色である。これらのことから、潤滑油の劣化は、分解生成物である着色化合物の増加と正の相関がある。したがって、色度計測により、潤滑油の劣化度が求められる。
【0039】
潤滑油には複数の添加剤が含まれる場合がある。この場合もLC測定などによって求められる、風車などの回転部品を有する機械で使用された潤滑油中のそれぞれの添加剤の濃度と、光学式センサの測定データに基づき求められる潤滑油の色度の関係を予め求めて、検量線を作成しておけば、潤滑油の監視の際には、光学式センサの測定データに基づき求められる潤滑油の色度に基づき、潤滑油中のそれぞれの添加剤の濃度を測定することができる。
【0040】
潤滑油の劣化度と色度の関係を示す検量線は、潤滑油の劣化加速試験として知られている、種々の酸化試験によって、強制的に酸化劣化させた潤滑油を用いても作成可能である。添加剤の種類と初期濃度が同じであっても、基油の種類が異なると、機械での使用に伴う劣化による色度の変化の度合いが異なることがある。このため、潤滑油の劣化度と色度の関係を示す検量線は、油種ごとに作成する必要がある。
【0041】
図4は、添加剤として極圧剤(TPPT)と酸化防止剤(BHT)の二種が一定量配合された潤滑油での、添加剤の添加剤濃度と色度との相関を示す図である。この図から分かるように、極圧剤と酸化防止剤のように消耗速度が異なる添加剤の濃度も光学式センサの測定データに基づき求められる色度に基づき測定することができる。
【0042】
さらに、本発明者らは、光学式センサの計測データに基づき、潤滑油の添加剤の消耗(劣化)と潤滑油の汚染を識別することができることを見出した。潤滑油が、塵埃、水、機械から発生する摩耗粒子などにより汚染された際には、塵埃と摩耗粒子は固形分であり、また、水はほとんど潤滑油に溶解せずに分散し、波長に依存せず、光の透過率が低下することを利用して、光学式センサで検出できる。潤滑油の汚染が起こった場合には、光学式センサの計測データが、主に添加剤の消耗による潤滑油の劣化とは異なる挙動を示すことから、劣化の検量線からの乖離度によって、潤滑油の汚染度を計測できる。
【0043】
潤滑油の劣化と汚染が軽微であり、潤滑油交換や部品交換が必要ない程度である場合に、風力発電機を停止し、風力発電機の増速機から潤滑油を採取し、LC測定、FT-IR、NMRなどの組成分析、元素分析、微粒子計測、粘度測定、全酸価分析を行うことは、時間とコストの面から、必ずしも必要ではない。
【0044】
そこで、増速機の潤滑油中に設置された光学式センサを含む種々のセンサで潤滑油の性状を検出し、そのセンサ情報(潤滑油の物理化学的な状態を示す数値)に基づいて潤滑油の異常度合いの程度をリアルタイムに判別し、その判別結果に応じて増速機が故障に至る前の適切なタイミングで詳細な潤滑油分析のための潤滑油採取を促す。センサ情報と潤滑油の異常度合い(不純物濃度や酸化の程度等)の関係については、予め実験的に求めておき、データベースとして記憶しておく。これにより、適正な潤滑油交換やフィルタ交換、あるいは部品の交換などを行うことで故障を未然に防止することができ、また修理等の対応処理を迅速に行うことで風力発電機を効率的に管理できる。
【0045】
潤滑油性状センサで測定できる潤滑油性状としては、潤滑油の温度、色度、粘度、密度、誘電率、導電率、コンタミ等級(ISOコード、NAS等級)などがある。各潤滑油性状センサで測定可能な潤滑油性状はセンサの仕様により異なるため(1つだけでなく2つ以上の潤滑油性状を測定できるセンサも存在する)、実際に増速機に搭載される潤滑油性状センサの組み合わせは、測定したい潤滑油性状と各センサの仕様に応じて異なる。
【0046】
<3.潤滑油中の泡への対応>
風車のような回転部品を有する機械で潤滑油を使用する際には、潤滑油中に気泡が発生し、潤滑油性状を計測するためのセンサデータに少なからず影響を及ぼす。コンタミ等級を計測するセンサの場合は、光が潤滑油中を透過する際の、固形物である汚染粒子の影を検出するので、潤滑油中に気泡があると、気泡の影が固形物の影と区別困難であり、正しい汚染度が計測できない。粘度、密度、誘電率、導電率のような物性を計測するセンサの場合は、一定体積の潤滑油中に、物性値が大きく異なる空気を含んでしまうため、潤滑油中に気泡があると、正しい計測ができない。潤滑油の可視光透過率を計測して色度を求める光学式センサの場合は、潤滑油中の気泡と潤滑油界面で光の反射が起こるため、正しい光透過率を計測できない。
【0047】
従って、稼働中の風車の潤滑油をセンサで計測する場合、気泡がより少ない場所にセンサを設置する、あるいは、追加の手段により、気泡を除去することが、正確な計測をするためには有効である。もしくは,風車にセンサを設置しておき,不定期に発生する停止時に,正確な計測をすることは大変有効である。
【0048】
図5は、横軸に風速を示し、縦軸に風力発電機の出力を示したグラフ図である。図5の風力発電機のパワーカーブに示されるように,風車の発電制御では,カットイン風速(2~3m/s程度)とカットアウト風速(25m/s程度)が設定されており,カットイン風速を超えた時に発電を開始し,カットアウト風速を超えたときには発電を停止する。強風時には,ブレードを風向と平行にすることで,発電を止める。このように、回転機等は風況等の外的な要因により、予期せぬ停止状態となる場合がある。
【0049】
発明者らの検討によれば、潤滑油中の気泡が無くなるのは,増速機等の回転が実質的に停止している時,すなわち,発電量が実質的にゼロである時である。実質的に停止しているかどうかは、例えば増速機等の回転数が所定閾値を下回ったかどうかで判定すればよい。
【0050】
発電量が実質的にゼロになるのは、上記の,カットイン風速以下の時,カットアウト風速以上の時に加えて,風車や送電線に故障が生じた時,点検・修理のために風車を止めた時などである。ただし,カットイン風速以下の,発電量が実質的にゼロの時でも,低速の風によりローターが回転し,それに伴って増速機が無負荷で低速回転する時がある。この場合は低風速であるから,潤滑油中の気泡量は少ない。
【0051】
風車の増速機で使用される潤滑油は、極圧剤を高濃度に含むギヤ油に近い組成であり、VG320程度の、比較的高粘度のものであることが多い。VGとは国際規格で定められた粘度グレードのことで、その後の数字は粘度指数を表す。数値が大きいほど粘度の高い油となる。
【0052】
一般的に、増速機用潤滑油には、消泡剤が配合されているが、増速機の稼働中には、多量の気泡が発生する。高粘度であるため、一度発生した気泡が消滅する速度は遅く、油面に近い部分の気泡が消えるまでには、増速機が停止してから1時間以上を要することがある。
【0053】
一般に、風車は、常に変化する風況に応じて最適な発電を行えるような制御が行われている。局所的な風向、風速は変化が激しく、予測が非常に困難である。このため、風速がゼロで無い場合でも、風車の発電の制御のために、一時停止することがある。すなわち、定期点検などの計画的な風車停止以外にも、予期できない増速機停止が頻繁に起こることがある。このような、外部要因による予測できない増速機停止は、1日あたり1回以上起こることがあり、稼働中に生成した増速機潤滑油の気泡が消滅するために必要な、1時間以上の増速機停止が発生すれば、気泡の影響が無い、正確な潤滑油センサデータを得ることが可能である。
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0055】
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【0056】
同一あるいは同様な機能を有する要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0057】
本明細書における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0058】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0059】
以下の実施例では、増速機と発電機とを有する風力発電機、および、風力発電機から情報を収集し、収集された情報に基づいて風力発電機の異常を判断する風力発電機の診断システムであって、増速機に供給される潤滑油の性状をセンサで計測、診断する際に、気泡がより少なくなるタイミングで得られるセンサデータを用いて、より正確なセンサ診断を行う例を説明する。
【実施例1】
【0060】
実施例1は、風力発電機の機械的駆動部に供給される潤滑油の監視するため、増速機の潤滑油中に設置された光学式センサを含む種々のセンサで潤滑油性状、回転機械の状態を把握するための増速機の加速度を検出し、そのセンサ情報(潤滑油の物理化学的な状態を示す数値)に基づいて潤滑油の異常度合いの程度、回転機械の状態をリアルタイムに判別する。そして、判別結果に応じて増速機が故障に至る前の適切なタイミングで詳細な潤滑油分析のための潤滑油採取、潤滑油交換、フィルタ交換、部品交換を促す風力発電機の診断システムである。このシステムは、入力装置、処理装置、記憶装置、および出力装置を備える。記憶装置は、潤滑油の添加剤の濃度と光学式センサのデータである色度との相対関係を記憶し、処理装置は、潤滑油の色度を計測する光学式センサデータに基づいて、潤滑油の色度特性より求められる潤滑油中の添加剤濃度が所定閾値以下(基準値)となる時間を推測する。
【0061】
また、実施例1は、処理装置、記憶装置、入力装置、および出力装置を備えたサーバを用いる、光学式潤滑油センサを用いた風力発電機診断システムおよび方法である。この方法では、まず、潤滑油の性状を把握するため、風力発電機の潤滑油の色度データを取得する第1のステップ、サンプルに含まれる添加剤の濃度を測定する第2のステップ、測定した添加剤の濃度を、記憶装置に時系列に格納して添加剤濃度データとする第3のステップ、処理装置が添加剤濃度データを処理することにより、添加剤の濃度が所定閾値となる時間を推測する第4のステップを実行する。
【0062】
(1.システム全体構成)
図6に潤滑油供給系統を有する風力発電機の潤滑油の監視システムの概略図を示す。図6には説明のため、図1の風力発電機1のナセル3部分を抽出して示している。ナセル3内部には、主軸31、増速機33、発電機34、図示しないヨー、ピッチなどの軸受があり、これらには潤滑油タンク37から潤滑油が供給される。
【0063】
図6に示すように、風力発電機1は通常複数が同一敷地内に設置され、これらをまとめてファーム200aなどと呼ぶ。それぞれの風力発電機1には、潤滑油の供給系統に各種センサ(図示せず)が設置され、潤滑油の状態を反映したセンサ信号は、ナセル3内のサーバ210に集約される。また、各風力発電機1のサーバ210から得られるセンサ信号は、ファームごとに配置される集約サーバ220に送られる。集約サーバ220からのデータは、ネットワーク230を介して中央サーバ240へ送られる。中央サーバ240へは、他のファーム200bや200cからのデータも送られる。また、中央サーバ240は、集約サーバ220やサーバ210を介して、各風力発電機1に指示を送ることができる。
【0064】
(2.センサ配置)
図7は、潤滑油用センサを備えた回転機械の概念図である。潤滑油は、ポンプなどの潤滑油供給デバイス301から回転機械302に供給される。潤滑油供給デバイス301は、潤滑油タンク37に接続されて潤滑油の供給を受ける。回転機械302は、例えば増速機33その他の機械的な接触が生じる部位の他、ヨー・ピッチ制御を行うための動力伝達部を含んでよい。
【0065】
センサ群304は潤滑油の状態を検知するために潤滑油の流路等に配置される。実施例1では、回転機械302の潤滑油の排油口に接続する潤滑油の流路から分岐した流路(分岐ライン)に測定部303を設け、この測定部303に潤滑油の一部を導入して、測定部303にセンサ群304を設置している。分岐ラインは、潤滑油の劣化状態をモニタするために、潤滑油経路の末端付近に設けるのが良い。測定部303を潤滑油のメインの流路(循環ライン)に設けていないのは測定部303における潤滑油の流速を潤滑油の状態を検知するのに適した流速に調整するためである。このように、循環ラインから分岐して循環ラインと並列に配置された分岐ラインを用い、分岐ラインの屈曲形状や太さを調節することで、油圧を調整することもできる。
【0066】
回転機械302から排出した潤滑油はオイルフィルタ305を経由して潤滑油タンク37に戻る。オイルフィルタ305のメッシュ径は、5から50μmである。
【0067】
潤滑油の流路に沿った位置関係を表す際に、上流、下流という表現を用いることがある。潤滑油は上流から下流に向けて相対的に移動する。図7の場合には、潤滑油供給デバイス301が上流にあり、オイルフィルタ305が下流にあり、測定部303はその間に配置されている。なお、各要素の配置は図7の構成に限定されず、例えば後述のように、潤滑油タンク37を回転機械302と測定部303の間に配置してもよい。
【0068】
センサ群304は、潤滑油の各種のパラメータを測定する。例えば、物理量としては、光学式センサによる色度の他、温度、油圧などがある。光学式センサに代えてあるいは追加して潤滑油の誘電率、導電率などの電気特性を測定するセンサを備えても良い。温度、油圧等は、公知のセンサを用いて測定することができる。これらのパラメータの時間的な変化に基づいて、潤滑油の状態を評価することができる。これらの温度などのセンサは必須ではないが、潤滑油の状態をより詳しく検知するために設けるのが好ましい。
【0069】
実施例1では、センサ群304には、可視光源と受光素子を備えた、光学式センサが含まれる。光学式センサは、潤滑油の可視光透過率を計測し、潤滑油の色度情報(R、G、Bの値)を出力する。取得した色度データより、潤滑油中の残存添加剤量を求め、劣化度診断と余寿命診断を行う。センサデータによる診断では、光学式センサによるセンサデータまたは光学式センサと他の一つまたは複数の種類のセンサデータに基づいて診断を行う。
【0070】
潤滑油は、使用により品質が劣化し、初期の機能を果たさなくなる。このため、品質の劣化状況に応じて、交換等のメンテナンスを行う必要がある。このようなメンテナンスのタイミングを知るために、センサ群304で収集し得るデータを、遠隔地でモニタできるようにすることは、保守管理の効率上有用である。センサ群304で収集したデータは、例えばナセル3内のサーバ210に集められ、その後ファーム200内でデータを集約する集約サーバ220を経て、複数ファームのデータを集約する中央サーバ240に送られる。
【0071】
また、集約されるデータとしては、潤滑油に関するデータだけでなく、風力発電機の稼動状況を示すデータを含めてもよい。例えば、風力発電機1の振動を検知する加速度センサ(大きいほど潤滑油の劣化速度大)、風車出力値(大きいほど潤滑油の劣化速度大)、実稼働時間(長いほど潤滑油の劣化速度大)、機械温度(高いほど潤滑油の劣化速度大)、軸の回転速度(速いほど潤滑油の劣化速度大)、潤滑油の温度(高いほど潤滑油の劣化速度大)等である。これらは、風力発電機の各所に設置された公知の構成のセンサや、装置の制御信号から収集することができる。
【0072】
(3.潤滑油中の気泡の挙動)
図8は,2MW風車の増速機の稼働,停止,に伴う増速機潤滑油中の気泡量の変化を示す図である。時刻10時10分まで定格で発電したが10時10分から増速機が停止した。増速機の潤滑油中の気泡量は,定格発電時は体積比で約30%であったが,1時間後の11時10分には0%になった。この時の油温は50℃から53℃であった。この増速機で,潤滑油の色を計測する光学式センサ計測を行ったところ,11時00分までは本来の潤滑油の色度よりも低い値を示したが,それ以後は,本来の潤滑油の色度を表す値が得られた。すなわち、この例では回転機械302の停止から50分後には、泡の影響が色度センサの測定上影響を与えなくなっていることがわかる。
【0073】
潤滑油中の気泡量の挙動は,潤滑油の粘度や温度,化学組成に依存するものであるが,風車の機種や増速機の構造が違う場合などでも,同様な挙動を示す。
【0074】
(4.風車稼働状態,気泡量とセンサデータの関係)
図9は,増速機を有する2MW風車の稼働状態と増速機油中の気泡量,増速機油を計測するための光学式センサデータΔEとの関係を示すものである。発電の開始とともに,発電量901が立ち上がり、油中の気泡量902が増加し,オイルセンサデータΔE903は本来の値である420から急激に低下した。
【0075】
発電が停止すると,徐々に気泡量が減少し,それにともなって発電停止から60分後に,ΔEは本来の値である420に戻った。発電停止から60分経過以後の光学式センサデータを用いて,潤滑油の劣化診断を行うことができた。
【0076】
一般的に,たとえば,風車の発電量がゼロを示したことは,すなわち,増速機が停止していることを意味する。風車の発電量は,風力発電所であれば,通常,SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)などで計測している。風車の稼働状態と,増速機潤滑油中の気泡量は再現良く相関関係にあることが確認できたことから,風車の発電量を計測すれば,すなわち,間接的に増速機油中の気泡を計測していると言える。また,潤滑油中の気泡は,体積流量計と質量流量計の併用などにより,直接的に計測することも可能である。
【0077】
図10は,2MW風車の増速機の潤滑油中の気泡量(vol%)と光学式センサで計測して得られたΔE値の関係を示す図である。
【0078】
図11は,2MW風車の増速機の潤滑油中の気泡量(vol%)と光学式センサで計測して得られたRGB値の関係を示す図である。
【0079】
図12は,別の2MW風車の増速機の潤滑油中の気泡量(vol%)と光学式センサで計測して得られたMCD値の関係を示す図である。この風車は,潤滑油の交換を行ってから3.5年経過しており,潤滑油の劣化が中程度まで進んでいた。なお、MCDはMaximum color differenceの略で,最大色差を意味する。オイル診断では,通常,RとBの差を用いる。
【0080】
(5.潤滑油診断のフロー)
図13は、実施例1による潤滑油診断処理を示すフロー図である。図13で示す処理は、図6のサーバ210、集約サーバ220、中央サーバ240のいずれかのコントロール下で行われる。以下の例では中央サーバ240が行うものとする。計算や制御等の機能は、サーバの記憶装置に格納されたソフトウェアがプロセッサによって実行されることで、定められた処理を他のハードウェアと協働して実現される。なお、ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアでも実現できる。
【0081】
中央サーバ240が制御を行う場合、配下に複数の風力発電機1を持つため、以下の処理は風力発電機ごとに行うものとする。この処理は基本的に繰り返し処理であり、開始タイミングはタイマーなどで設定され、例えば、毎日0時に処理を開始する(S601)。また、中央サーバ240が、オペレータの指示により任意のタイミングで行うこともできる。
【0082】
処理S602では、中央サーバ240は、潤滑油の交換時期をチェックする。交換時期の初期値は、例えば潤滑油が設計温度で動作しているという前提で、余寿命を初期設定する。この交換時期は、実測データに基づいて、後に処理S610で更新され得る。
【0083】
潤滑油の交換時期であった場合には、処理S603で潤滑油交換を行う。潤滑油交換は通常は、作業員による作業となるため、中央サーバ240は交換を行うべき時期と対象を作業員に指示するための表示や通知を行う。
【0084】
潤滑油の交換時期でない場合には、処理S604で、中央サーバ240は潤滑油の性状をセンサデータにより診断する。センサデータとしては光学式センサで得られる潤滑油の色度情報に加えて、温度、油圧、潤滑油に含まれる粒子の濃度等を用いることができる。
【0085】
図9で説明したように、センサデータとして用いる光学式センサの情報は、回転機械が実質的に停止してから所定時間後に計測した情報を用いることで、泡による測定誤差の影響を低減することができる。回転機械302が実質的に停止するタイミングは、発電量をモニタすることで知ることができる。あるいは、回転機械302を停止するための制御信号に基づいてタイミングを検知してもよい。
【0086】
センサ群304で測定されたデータは、中央サーバ240に送られ、例えば中央サーバが、センサから得られたパラメータを事前に定めた基準値と比較することにより、潤滑油の特性を評価する。中央サーバには、図2図4に示した色度と添加剤濃度の相関、潤滑油中の添加剤が消耗(添加剤が分解して酸化生成物を生成)した際のR、G、Bの各値の変化、潤滑油中に摩耗粉が生成した際のR、G、Bの各値の変化を予め記憶させておき、センサデータとの比較に用いるものとする。この基準値には、予め定められた閾値の他、予め定められた単位時間当たりのセンサ情報の変化量を用いることができる。
【0087】
処理S605、S606で診断の結果が異常であれば、処理S603で潤滑油交換を行う。異常がなければ、処理S609を行う。処理S605では、例えば、光学式センサのR、G、B、のすべての値が所定の閾値よりも低下している場合には汚染異常有りと判断する。ただし、汚染異常については従来のセンサのデータも合わせて用いてもよい。S606では、図2図4に示す添加剤濃度と色度の相関を用いて、光学式センサで測定した色度により求められる添加剤濃度が所定の閾値よりも低下した場合に添加剤劣化度異常有りと判断する。なお、色度により添加剤濃度を求めることなく、色度が所定の閾値よりも小さくなった場合に添加剤劣化度異常有りと判断することも可能である。
【0088】
処理S609では、中央サーバ240に色度測定データなどを入力し、当該データは時系列的に保存される。処理S610では、時系列的に保存した色度測定データなどから、劣化曲線を推定し、潤滑油の交換時期の推定を行う。また、劣化曲線の更新が必要な場合は、更新を行う。処理S611では、必要に応じて診断結果をディスプレイに表示し、あるいはプリントアウトする。処理S612では、表示の際に、光学式センサの出力を適当な色に変換して表示することにより、内容が把握しやすくなる。
【0089】
光学式センサデータの蓄積により,似た型式の風車,近い条件の風力発電ファームの風車群の,潤滑油の劣化曲線分布を得ることができ,学習データより劣化予測曲線を作成することができる。増速機が停止して60分以上経過し,センサデータが劣化予測曲線の範囲に入った場合に,その範囲内のデータを劣化診断に用いるのがよい。
【0090】
風車の発電中に増速機が停止し,60分以上経過しても,光学式センサデータが劣化予測曲線より低い値で安定する場合がある。その状態が継続する場合は,潤滑油の劣化以外に,水混入や摩耗粉増加のような汚染が発生している可能性が高い。
【0091】
図14は,劣化予測曲線を用いたセンサ診断フローである。処理S1401において測定したΔEが図2~4の劣化曲線を下回っていた場合、処理S1402により部品点検および潤滑油の交換を行う。
【0092】
風力発電機の予防的保全、計画的な保守という観点からすれば、異常有りと判断される前に、潤滑油に含まれる添加剤の濃度の推移に基づき潤滑油の劣化について予兆診断を行うことが望ましい。
【0093】
以上のように、添加剤濃度測定結果を用いて潤滑油中の添加剤の消耗速度を知ることにより、潤滑油の寿命を早期検出できる。このため、適切な潤滑油交換等のメンテナンスにより、風力発電機の異常を未然に防止することができる。また、潤滑油の交換周期を最適化することも可能である。また、添加剤濃度を簡易な方法により測定することができ、光学式センサをナセル内に設置すれば潤滑油中の添加剤の劣化をオンライン遠隔監視することも可能となる。
【0094】
なお、実施例1では、光学式センサで測定された色度に基づき、オンラインにより、摩耗粉による汚染の予兆診断や、水混入の予兆診断も可能である。また、潤滑油の交換周期を最適化することも可能である。また、添加剤濃度を簡易な方法により測定することができ、光学式センサをナセル内に設置すれば潤滑油中の添加剤の劣化をオンライン遠隔監視することも可能である。
【0095】
以上のように、潤滑油中の気泡量が予め定めた量以下となった時のセンサデータを取得し,診断に用いることで高精度の潤滑油診断を行うことができる。潤滑油中の気泡量が予め定めた量以下となったかどうかは、潤滑油中の気泡量を直接的または間接的に計測することで可能となる。直接的な計測手段としては、公知の気泡率測定装置等で計測することができる。間接的な計測手段としては、予め回転機械等が停止した後の経過時間と気泡量の関係を測定しておき、回転機械等が停止してから所定時間経過後のセンサデータを取得することとしてもよい。回転機械が停止したかどうかは、風力発電機の場合には発電量から間接的に検知することができる。なお、本実施例では、使用する測定データのタイミングを制御できれば、オイルセンサ自体は常時ONであってもよい。
【実施例2】
【0096】
実施例1(図7)ではセンサ群304を主流路のバイパスに設けたが、センサ群304を、主流路に設けてもよい。たとえば、図7でセンサ群304が、オイルフィルタ305の直前に設置されていてもよい。実施例2では、油温は30℃から65℃の範囲で変化し、センサ群304の位置での流量は平均毎分100Lであった。不定期な風車待機および発電停止による増速機停止後60分経過後のセンサデータを使用して,潤滑油の劣化および汚染の診断を正しく行えることを確認した。なお、流量が毎分5Lから500Lの範囲でも、効果が得られることを確認した。
【実施例3】
【0097】
図15は、センサ群304が、回転機械302に接続している、深さ70cmの潤滑油タンク37の底部(タンク底面から上方20cmの位置)に設けられた例である。気泡は自然に上に移動するため、タンク上部より下部の気泡が少ないと考えられるが,タンクの底に近すぎると,油中の固形分が沈殿により過多の診断結果が得られたり,センサに固形分が付着したりするため,この位置に設置した。油温は,増速機の稼働状態およびナセル内温度に依存し,10℃から60℃までの範囲で変化した。
【0098】
増速機稼働中には,潤滑油中に気泡が大量に発生したが,不定期な風車待機および発電停止による増速機停止後,70分経過後のセンサデータを使用して,潤滑油の劣化および汚染の診断を正しく行えることを確認した。
【実施例4】
【0099】
本実施例では、増速機33に設置した光学式センサで,潤滑油の汚染診断を行った例を示す。
増速機で使用する潤滑油は,数百リットル以上であり,潤滑油が使用される温度は50℃程度である。一般的な市販の増速機油の寿命は5年から7年であり,劣化はゆっくり進行する。構造が近い型式の風車が複数商用発電している場合に,光学式センサによる劣化診断データを数年以上蓄積,分析,学習させることにより,潤滑油の劣化速度の算出と潤滑油の余寿命予測が可能となる。
【0100】
図16は,増速機の潤滑油の汚染が無い風車(A,B,およびC)の潤滑油の劣化挙動を示したものである。使用年数とΔEの関係は,線形近似ができる。この近似曲線の傾きd(ΔE)/dtは,経時的には変化せず,風車が違っても一定の範囲に収まる。ΔE値のかわりに,色度センサで取得するRGB値のうち,潤滑油劣化との相関が大きいB値を用いても,同様な診断ができた。
【0101】
図17は,風車A~Cと同一型式で同一ファームにある,風車Dの増速機潤滑油を光学式センサで遠隔監視した例である。潤滑油の使用開始から約2年後に,急激なΔEの低下を示した。この風車の増速機潤滑油を,2.6年経過時に100ml採取して外観検査を実施したところ,白濁しており,水分量の分析を実施したところ,水が500ppm含まれていたことから,直後に潤滑油全量を交換した。
【実施例5】
【0102】
実施例5では、ΔEに代えてB値を指標として劣化度を求めた例を示す。
図18は、色座標に基づいた劣化指標を示すグラフ図である。横軸に時間を示し、縦軸にRGBそれぞれの値を示す。図に示すように、酸化劣化では,RGBのうち,特にB値が低下する。このため、B値を用いて劣化曲線を表すことができる。
【0103】
図19は、B値を用いた学習データから予測された劣化曲線1901を示す図である。横軸に時間を示し、縦軸にB値を示す。増速機33が停止したタイミングで計測した光学式センサによるB値を指標として、劣化曲線1901を予測することができる。
【0104】
図20は、B値を指標とした劣化曲線1901から求めた、相対劣化度を劣化指標とした劣化曲線2001を示すグラフ図である。横軸に時間を示し、縦軸に相対劣化度を示す。新品を相対劣化度0としている。相対劣化度は、B値を用いた学習データから予測された劣化曲線1901と、図2図4に示したごとき添加剤特性と色度(この場合ΔEに代えてB値を用いる)の相関に基づいて求めることができる。
【実施例6】
【0105】
色度センサで得た過去のデータに基づく劣化曲線を利用した、予兆診断の例を説明する。ここでは、実施例1のシステム構成を用いて、センサ群304として色度センサを用いた例としている。
【0106】
図21は、横軸に経過時間を示し、縦軸に色度センサで得たΔEを示したグラフ図である。一般に潤滑油の劣化は一定割合で進行するため、過去のΔEの値から劣化曲線2101を求めることができる。図21の例は、正常に潤滑油の劣化が進行した例を示している。
【0107】
実施例1で説明したように、色度センサによるデータは泡の発生により誤差が生じるため、例えば泡の影響でデータ2102に示すように低いΔE値が取得される場合がある。泡によるΔE値の低下は、回転機の停止後所定時間の後に回復する。そこで、色度センサのセンサデータに基づいた劣化指標(例えばΔE)の値が泡の影響のない範囲内にあるときのセンサデータを取得し、予兆診断に用いることで、正確な診断が可能となる。例えば、劣化曲線2101から閾値の間にセンサデータがあるとき、当該データを劣化の判断に用いる。
【0108】
閾値としては、劣化曲線2101を上限として、これから所定の値を差し引いた閾値2103を用いることができる。あるいは、閾値2104のように一定値を用いることもできる。閾値は機械の種類や潤滑油の種類で異なるため、例えば図10のように気泡量とΔEの関係を実測し、泡の影響の有無を識別できる値を設定すればよい。
【0109】
また、劣化曲線2101近傍の、泡の影響のないΔEが安定している部分2105のデータを用いることにより、さらに正確な予兆診断が可能となる。すなわち、劣化曲線2101を生成する際に、ΔEが安定している部分2105のデータを用いることで、正確な劣化曲線2101を得ることができる。ΔEが安定しているかどうかは、データの時間的な変動量を評価して判定すればよい。
【0110】
上記の所定範囲に限定したデータ取得の手法は、実施例1で説明した回転機の停止後所要時間経過後にデータを取得する手法と併用することができる。
【0111】
図22は、増速機の潤滑油が摩耗粉増加により汚染された例を示す。横軸に経過時間を示し、縦軸にΔEの値を示す。過去の増速機油の計測データを分析,学習して得られた劣化曲線2101に対し,使用開始後6か月の時点で,増速機が1時間以上停止しているにも関わらず,測定値に基づく劣化曲線2201が学習データから予測された劣化曲線2101から乖離した。それ以後,乖離が継続したため、測定値に基づく劣化曲線2201は、潤滑油の汚染によって変化量2202だけシフトしたものと判断された。
【0112】
このため,7.5か月経過した時点で増速機油を100ml採取し,パーティクルカウンタによる粒子数計測とフェログラフィ分析を実施したところ,固形粒子数の異常な増加と歯車の異常摩耗粉を多数検出したため,9か月経過時に増速機の点検を実施し,歯車の欠損を確認した。
【0113】
図22に示すように、予兆診断において潤滑油の劣化と潤滑油の汚染を区別することができる。一般に潤滑油の劣化は劣化曲線2101や2201に示すように、時間的に所定割合で進行する。一方、潤滑油の汚染は、水や異物の混入により生じるため、変化量2202に示すように急激に測定値が変化する。
【実施例7】
【0114】
図23は,増速機33を有する5MW風車の増速機に光学式の色度センサを設置し,風車の発電量がゼロ,すなわち,増速機停止から,60分経過後に色度センサの電源を入れて計測を実施した例を示すものである。制御信号2301により、オイルセンサのON・OFF制御を行っており、ONのタイミングのデータを用いる。
【0115】
図23に示すように、オイルセンサのON・OFFを繰り返す計測シーケンスを用いることにより,計測データ量の低減と,色度センサの電気的な経時劣化を低減することが可能である。
【0116】
上記実施例では、光学式センサである色度センサを例に説明したが、本発明は色度センサの他、パーティクルカウンタ、誘電率センサ、導電率センサ、粘度センサなど、気泡により測定値が影響を受け得るセンサについて有効である。
【0117】
具体的な実施例では、泡の量の少ない条件で測定することにより、潤滑油の特性を精度よく測定することが可能となる。
【0118】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0119】
例えば、上述の実施例では、回転機械として風力発電機を例にとり説明したが、原子力発電機、火力発電機、ギヤードモータ、鉄道車両車輪フランジ、空気圧縮機、変圧器、可動プラント機械、大型ポンプ機械などの回転機械の潤滑油の添加剤の劣化診断にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0120】
1:風力発電機、2:タワー、3:ナセル、4:ハブ、5:ブレード、33:増速機、34:発電機、210:サーバ、220:集約サーバ、230:ネットワーク、240:中央サーバ、301:潤滑油供給デバイス、302:回転機械、303:測定部、304:センサ群、901:発電量、902:気泡量、903:オイルセンサデータΔE
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