(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】ノットを作るのを容易にするシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
B65B 27/00 20060101AFI20231121BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
B65B27/00 C
B64C1/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019206254
(22)【出願日】2019-11-14
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】タイラー・イー・バーキー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エル・スコット
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0229870(US,A1)
【文献】特開昭52-103296(JP,A)
【文献】米国特許第00876573(US,A)
【文献】実開昭53-106377(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0282645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00
B65B 27/00
B65B 67/00
H05K 7/00
B64C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノットを作るのを容易にするための装置(14)であって、前記装置(14)は、
内部通路(18)を画定する固定具(16)であって、前記固定具(16)は、前記固定具(16)の内面(30)を通してアクセス可能でありかつ前記内部通路(18)と連通する周方向
の溝(28)を画定する、固定具(16)
を備え、
前記溝(28)は、互いに交差する第1及び第2の溝部分(38、40)を含み、
前記溝(28)の両端部(28a、28b)は
、互いに一致するとともに、前記固定具(16)の外面によって画定された開口部を通して
前記外面上で開放されており、
前記溝(28)が、前記第1の溝部分(38)に平行な第3の溝部分(42)をさらに含み、前記第2及び第3の溝部分(40、42)が互いに交差し、前記第1、第2、及び第3の溝部分(38、40、42)は前記溝(28)の前記両端部(28a、28b)間に順次配置され、
前記第2の溝部分(40)のうち前記第1及び第3の溝部分(38、42)と交差する部分は、第1及び第3の溝部分(38、42)と異なる深さを有し、前記第2の溝部分(40)の他の部分は、前記第1及び第3の溝部分(38、42)と同じ深さを有する、
装置(14)。
【請求項2】
前記第1及び第2の溝部分(38、40)が異なる深さ(D
1、D
2)を有する、請求項
1に記載の装置(14)。
【請求項3】
前記溝(28)が、チャネル(44)と、前記チャネル(44)と前記固定具(16)の前記内面(30)との間に延在するネック(46)とを含み、前記ネック(46)の幅が前記チャネル(44)の幅よりも小さい、請求項
1又は2に記載の装置(14)。
【請求項4】
前記固定具(16)が、前記溝(28)の前記第1及び第2の溝部分(38、40)を画定するために協働する第1及び第2の固定具構成要素(22、24)を備え、前記第1の固定具構成要素(22)は、互いに交差するように前記第1及び第2の溝部分(38、40)を画定し、前記第2の固定具構成要素(24)は、平行関係を有するように前記第1及び第2の溝部分(38、40)を画定する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置(14)。
【請求項5】
ノット(12)を作るのを容易にする方法であって、前記方法は、
ワークピース(10)が固定具(16)によって画定される内部通路(18)を通って延在するように前記ワークピース(10)の周りに前記固定具(16)を配置するステップであって、前記固定具(16)は前記固定具(16)の内面(30)を通してアクセス可能で前記内部通路(18)と連通する周方向
の溝(28)を画定し、前記溝(28)は互いに交差する第1及び第2の溝部分(38、40)を含
み、前記溝(28)が、前記第1の溝部分(38)に平行な第3の溝部分(42)をさらに含み、前記第2及び第3の溝部分(40、42)が互いに交差し、前記第1、第2、及び第3の溝部分(38、40、42)は前記溝(28)の両端部(28a、28b)間に順次配置され、前記第2の溝部分(40)のうち前記第1及び第3の溝部分(38、42)と交差する部分は、第1及び第3の溝部分(38、42)と異なる深さを有し、前記第2の溝部分(40)の他の部分は、前記第1及び第3の溝部分(38、42)と同じ深さを有する、ステップと、
タイ部材(56)が前記溝(28)を通って長手方向に延在するように、前記タイ部材(56)を前記溝(28)に挿入するステップと、
前記タイ部材(56)を前記ワークピース(10)に向かって内向きに移動させ、前記溝(28)から外すステップと、
前記タイ部材(56)から前記ノット(12)を形成できるように前記固定具(16)を前記ワークピース(10)から取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記タイ部材(56)を前記溝(28)に挿入する前記ステップが、
リード部材(54)を前記溝(28)に通すステップと、
前記タイ部材(56)を前記リード部材(54)に接続するステップと、
前記タイ部材(56)が前記溝(28)に対応して挿入されるように、前記リード部材(54)を前記溝(28)から引き抜くステップと
を含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記リード部材(54)を前記溝(28)に通す前記ステップが、前記溝(28)を通して第1の方向に長手方向に前記リード部材(54)を押すステップを含み、前記リード部材(54)を引き抜く前記ステップが、前記タイ部材(56)が前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記溝(28)を通して引っ張られるように、前記リード部材(54)を前記溝(28)から引っ込めるステップを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の溝部分(38、40)は、前記第1又は第2の溝部分(38、40)の一方を通って延在する前記リード部材(54)が、前記第1又は第2の溝部分(38、40)の他方を通って延在する前記リード部材(54)の内側に位置するとともに前記第1又は第2の溝部分(38、40)の他方を通って延在する該リード部材(54)と交差するように、異なる深さを有する、請求項
6又は
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溝(28)が、チャネル(44)と、前記チャネル(44)と前記ワークピース(10)に面する前記固定具(16)の内面(30)との間に延在するネック(46)とを備え、前記ネック(46)は前記チャネル(44)よりも小さい幅を有し、前記タイ部材(56)を前記溝(28)に挿入する前記ステップは、前記タイ部材(56)を前記溝(28)の前記チャネル(44)に挿入するステップを含み、前記タイ部材(56)を前記ワークピース(10)に向かって内向きに移動させて前記溝(28)から出るようにする前記ステップは、前記タイ部材(56)を前記溝(28)から外すように前記チャネル(44)から前記溝(28)の前記ネック(46)に押し込むステップを含む、請求項
5から
8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、ノットを作るための技術に関し、より具体的には、ノットを作るのを容易にするシステム、装置、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
適切な配線束の管理を容易にするために、配線、ケーブル、コンジット、又は他の細長い部材などの配線束は、ほぼ規則的な間隔で一緒に固定されることが多い。配線束をほぼ規則的な間隔で固定することにより、他の構成要素との干渉を避け、配線束が損傷するリスクを減らすために、配線束をより簡単に望ましい位置に維持できる。例えば、自動車や航空機などのビークルは、配線束を含むことが多く、配線束はほぼ規則的な間隔で固定されている。例えば、民間航空機の配線束は通常、1~3フィートごとに規則的な間隔で固定されている。軍用航空機に関しては、配線束は通常、2~3インチごとなど、より頻繁に固定されている。
【0003】
結束バンドなどのケーブルタイは、配線束を固定するために使用されることがある。ただし、結束バンドやその他のタイプのケーブルタイは、配線束を含むシステムの重量を増加させるのが好ましくない。航空機などの一部のシステムには、長い配線束が含まれる場合があり、その結果、全体として、システム全体の重量に寄与するケーブルタイが多数含まれる場合がある。例えば、航空機に関して、結束バンドなどのケーブルタイによる重量の増加は、燃料消費を増加させ、航続距離を減少させるなどの可能性がある。
【0004】
このため、配線束を結ぶために紐を利用して、ほぼ規則的な間隔で配線束を固定するようにしてもよい。この点に関して、航空機などの配線束を含むシステムがさまざまな外力を受けても、配線束は、配線束の安全な保持を提供するクローブヒッチノット(clove hitch knot)で結ばれてもよい。クローブヒッチノットなどのノットは、一般に結束バンドや他のケーブルタイよりも軽いため、配線束を含むシステム全体の重量が軽減される。例えば、航空機に関しては、この重量の軽減により、燃料消費量が削減されたり、航続距離が長くなったりする可能性がある。ただし、クローブヒッチノットなどのいくつかのノットは、少なくとも繰り返し作るのが難しい場合がある。適切に結ばれていても、クローブヒッチノットなどのいくつかのノットは作るのに時間がかかり、それによってシステム全体の組み立て時間とコストが増加する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、クローブヒッチノットなどのノットを作るのを容易にするために、例示的な実施形態に従ってシステム、装置、及び方法が提供される。例示的な実施形態のシステム、装置、及び方法の支援により作られたノットは、自動車や航空機などのビークルによって運ばれる配線束などの配線束を含むさまざまなワークピースを固定するために利用され得る。クローブヒッチノットなどのノットを作るのを容易にすることにより、例示的な実施形態のシステム、装置、及び方法は、信頼できる方法でより迅速にノットを作ることを可能にし、それによって潜在的に設置時間とコストを削減する。さらに、ノットを作るのを容易にすることにより、例示的な実施形態のシステム、装置、及び方法は、結束バンド又は他のケーブルタイとは対照的に、配線束などのワークピースを紐で固定することを可能にし、それにより、ケーブルタイの使用に関連する全体の重量の低減、潜在的な燃料消費量の削減、及び航続距離の向上が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態では、ノットを作るのを容易にする装置が提供される。この装置は、内部通路を画定する固定具を含む。固定具は、固定具の内面を通してアクセス可能であり、内部通路と連通する周方向溝を画定する。溝は、互いに交差する第1及び第2の溝部分を含む。溝の両端部は一致し、固定具の外面によって定義される開口部を通して開いている。
【0007】
例示的な実施形態の溝は、第1の溝部分に平行な第3の溝部分をさらに含む。第2及び第3の溝部分は互いに交差し、第1、第2及び第3の溝部分は溝の両端部間に順次配置される。例示的な実施形態では、第1及び第2の溝部分は異なる深さを有する。例示的な実施形態の溝は、チャネルと、チャネルと固定具の内面との間に延在するネックとを含む。ネックの幅はチャネルよりも小さくなっている。例示的な実施形態では、固定具は、協働して溝の第1及び第2の溝部分を画定する第1及び第2の固定具構成要素を含む。第1の固定具構成要素は、互いに交差するように第1及び第2の溝部分を画定し、第2の固定具構成要素は、平行関係を有するように第1及び第2の溝部分を画定する。
【0008】
別の例示的な実施形態では、ノットを作るのを容易にするシステムが提供される。このシステムは、内部通路を画定する固定具を含む。固定具は、固定具の内面を通してアクセス可能であり、内部通路と連通する周方向溝を画定する。溝は、互いに交差する第1及び第2の溝部分を含む。このシステムはまた、リード部材を溝に交互に送り、タイ部材がそこに接続されると、溝からリード部材を引き抜くように構成されたリード部材供給機構を含む。
【0009】
例示的な実施形態のリード部材供給機構は、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すことによってリード部材を溝に通し、タイ部材が第1の方向とは反対の第2の方向に溝を通して引っ張られるように、リード部材を溝から引っ込めることによって溝からリード部材を引っ張るように構成される。例示的な実施形態では、溝の両端部は一致し、固定具の外面を通して画定された開口部を通して開いている。この例示的な実施形態のリード部材供給機構は、リード部材を開口部から溝に挿入することにより、リード部材を溝に通し、リード部材を開口部から引き抜くことにより、リード部材を溝から引き抜くように構成される。
【0010】
例示的な実施形態のリード部材供給機構は、リード部材の供給部と、リード部材と係合し、リード部材を溝に交互に送り、リード部材を溝から引き抜くように構成された1つ又は複数の送り部材とを含む。この例示的な実施形態のシステムはまた、タイ部材の供給部、並びに固定具に係合して位置を維持するハウジングと、リード部材及びタイ部材の供給部と、1つ又は複数の回転可能な送りホイールとを含んでもよい。
【0011】
例示的な実施形態の溝は、第1の溝部分に平行な第3の溝部分をさらに含み、第2及び第3の溝部分は互いに交差する。この例示的な実施形態の第1、第2、及び第3の溝部分は、溝の両端部間に順次配置される。例示的な実施形態では、第1及び第2の溝部分は異なる深さを有する。例示的な実施形態の溝は、チャネルと、チャネルと固定具の内面との間に延在するネックとを含む。この例示的な実施形態のネックは、チャネルよりも小さい幅を有する。例示的な実施形態では、固定具は、協働して溝の第1及び第2の溝部分を画定する第1及び第2の固定具構成要素を含む。この例示的な実施形態では、第1の固定具構成要素は、互いに交差するように第1及び第2の溝部分を画定し、第2の固定具構成要素は、平行関係を有するように第1及び第2の溝部分を画定する。
【0012】
さらなる例示的な実施形態では、ノットを作るのを容易にする方法が提供される。この方法は、ワークピースが固定具によって画定された内部通路を通って延在するように、ワークピースの周りに固定具を配置するステップを含む。固定具は、固定具の内面を通してアクセス可能であり、内部通路と連通する周方向溝を画定する。溝は、互いに交差する第1及び第2の溝部分を含む。方法はまた、タイ部材が溝を通って長手方向に延在するように、タイ部材を溝に挿入するステップを含む。方法は、タイ部材をワークピースに向かって内向きに移動させて溝から外し、ワークピースから固定具を取り外してタイ部材からノットを形成できるようにするステップをさらに含む。
【0013】
例示的な実施形態の方法は、リード部材を溝に通し、タイ部材をリード部材に接続し、タイ部材が溝に対応して挿入されるようにリード部材を溝から引き抜くことにより、タイ部材を溝に挿入する。一実施形態では、方法は、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すことによってリード部材を溝に通し、方法はまた、タイ部材が第1の方向とは反対の第2の方向に溝を通して引っ張られるように、リード部材を溝から引っ込めることによってリード部材を引き抜く。別の実施形態では、方法は、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すことによってリード部材を溝に通し、方法はまた、リード部材に接続されたタイ部材も溝を通して第1の方向に引っ張られるように、リード部材を溝から引っ張ってリード部材を引き抜く。
【0014】
例示的な実施形態の第1及び第2の溝部分は、第1又は第2の溝部分の一方を通って延在するリード部材が、第1又は第2の溝部分の他方を通って延在するリード部材の内側に位置するとともに第1又は第2の溝部分の他方を通って延在する該リード部材と交差するように、異なる深さを有する。例示的な実施形態では、溝は、チャネルと、チャネルとワークピースに面する固定具の内面との間に延在するネックとを含む。ネックがチャネルよりも小さい幅を有する例示的な実施形態では、方法は、タイ部材を溝のチャネルに挿入することにより、タイ部材を溝に挿入し、方法はまた、タイ部材を溝から外すようにチャネルから溝のネックに押し込むことにより、タイ部材をワークピースに向かって内向きに移動させて溝から外す。
【0015】
本開示の例示的な実施形態を一般的な用語で説明してきたが、次に、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】2つのクローブヒッチノットによって固定された配線束の斜視図であり、本開示の例示的な実施形態による、配線束の周りに第3のノットを作るのを容易にするために配線束が延在する装置も示す。
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による、閉位置にある固定具の斜視図である。
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による、開位置にある固定具の斜視図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、第1及び第3の溝部分が第2の溝部分と交差する第1、第2及び第3の溝部分を有する第1の固定具構成要素の斜視図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、第1、第2、及び第3の溝部分が平行に延在する第2の固定具構成要素の斜視図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態によるチャネル及びネックをより詳細に示す溝の側面図である。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、クローブヒッチノットなどのノットを作るのを容易にするために実行される動作を示すフローチャートである。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、タイ部材が溝を通して挿入された
図3の第1の固定具構成要素の斜視図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、固定具、リード部材及びタイ部材の供給部、並びに1つ又は複数の回転可能な送り部材を示すためにハウジングの一部が取り外された例示的な実施形態によるシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示のいくつかの例示的な実施形態は、本開示のすべてではないがいくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により完全に説明される。実際、本開示のさまざまな実施形態は、多くの異なる形態で実現されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。全体を通して同じ参照符号は同じ要素を指す。
【0018】
例示的な実施形態によれば、クローブヒッチノットなどのノットを作るのを容易にするためのシステム、装置、及び方法が提供される。このシステム、装置、及び方法は、ワークピースの周りにノットを紐で作るのを容易にする。ノットは、それぞれのワークピースを固定するために、さまざまなワークピースの周りに作られてもよい。例示的な実施形態では、ワークピースは、配線、ケーブル、コンジット、又は他の細長い部材の束などの配線束である。ノットによって固定された配線束などのワークピースは、さまざまな異なる用途に使用され得る。例えば、ビークルのさまざまな構成要素を相互接続するために、1つ又は複数のノットによって固定された配線束が、自動車、航空機、スペースビークルなどのビークルを通って延在することがある。
【0019】
ここで
図1を参照すると、配線束などの細長いワークピース10が示されている。ワークピース10は、クローブヒッチノットなどのノット12が形成された紐によってほぼ規則的な間隔で固定される。
図1の例に関して、細長い配線束などの細長いワークピース10に沿って離間した箇所に2つのノット12が示されている。
図1のワークピース10は、それに沿って規則的な間隔で複数のノット12によって固定されるように示されているが、ワークピースは、規則的な間隔又は不規則な間隔で配置されるノットで任意の数のノットによって固定されてもよい。
【0020】
図1にも示されるように、例示的な実施形態による装置14は、ワークピースの周りで別のノット12を作るのを容易にするために、ワークピース10と係合している。装置14は、固定具16を含む。
図1及び
図2Aにより詳細に示すように、固定具16は、内部通路を通って延在する長手方向軸線20を中心とする内部通路18を画定する。内部通路18は、ワークピースが固定具16によって画定された内部通路を通って延在するように、配線束などのワークピース10を受容する大きさである。
【0021】
例示的な実施形態の固定具16は、第1及び第2の固定具構成要素22、24を含む。固定具16は、配線束などのワークピース10の周りで交互に開閉するように、クラムシェル設計を有してもよい。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、第1及び第2の固定具構成要素22、24は、第1及び第2の固定具構成要素が回転するヒンジ26に取り付けるなどして、枢動可能に接合され得る。ただし、第1及び第2の固定具構成要素22、24は、ワークピース10の周りを交互に開閉するように枢動可能に接合される必要はなく、代わりに、
図1に示すようにワークピースの周りに第1及び第2の固定具構成要素を交互に配置し、ワークピースから取り外して別々にできるように構成を変えてもよい。
【0022】
固定具16はまた、固定具の内面30を通って内部通路18内に開く周方向溝28を画定する。周方向溝28は、
図2Bに示されるように、両端部28a、28bの間で長手方向に連続的に延在する。
図3に示す第1の固定具構成要素22の例示的な実施形態では、溝28の両端部28a、28bは一致し、固定具16の外面32を通して開いている。開口部34が第1の固定具構成要素22の一端に隣接して画定される図示の実施形態では、開口部と位置合わせ及び隣接する第2の固定具構成要素24の部分も開口部の一部を画定することができ、これにより、第1及び第2の固定具構成要素によって画定される開口部の部分は、協働して開口部を構成する。したがって、この例示的な実施形態の固定具16は、固定具によって画定される周方向溝28の両端部28a、28bの両方として機能する、外面32を通る開口部34も画定する。第1及び第2の固定具構成要素22、24によって画定される開口部34の部分は、図示のように位置合わせされ得る。あるいは、第1及び第2の固定具構成要素22、24によって画定される開口部34の部分は、周方向溝28の一端28aとして機能する1つの固定具構成要素によって画定される開口部の部分及び周方向溝の他端28bとして機能する他の固定具構成要素によって画定される開口部の部分と互いにオフセットされ得る。溝28は、さまざまな方法で開口部34に移行してもよいが、一実施形態では、溝は開口部まで滑らかに湾曲する。
【0023】
固定具16によって画定される周方向溝28は、固定具によって画定される内部通路18の周りで少なくとも2回、いくつかの実施形態では3回以上周方向に延在する。図示の実施形態では、例えば、周方向溝28は、固定具16によって画定される内部通路18の周りに3回延在している。したがって、周方向溝28は複数の溝部分を含み、各溝部分は、固定具16によって画定される内部通路18の周りに一回、すなわち360°延在する。複数の溝部分は、周方向溝28が固定具16によって画定される内部通路18の周りに3回延在する図示の実施形態では、周方向溝が3つの溝部分、すなわち固定具によって画定された内部通路の周りを360°固定具の外面32を通って画定された開口部34から延在する第1の溝部分38から第2の溝部分40までを含むように連続して配置される。次に、第2の溝部分40はまた、第3の溝部分42への内部通路の周りに360°延在する。次に、第3の溝部分42は、第2の溝部分40から、固定具16によって画定される内部通路18の周りを360°、固定具の外面32を通る開口部34まで延在する。固定具16が第1及び第2の固定具構成要素22、24を含む実施形態では、各溝部分は第1及び第2の固定具構成要素の各々によって画定され、このため、第1及び第2の固定具構成要素は協働して一般に周方向溝28を画定し、より具体的には、第1、第2、及び第3の溝部分38、40、42の各々を画定する。
【0024】
ノット12を作るのを容易にするために、第1及び第2の溝部分38、40は、互いに交差するように固定具16によって、より具体的には、第1の固定具構成要素22によって画定される。周方向溝28が第1、第2及び第3の溝部分を含む実施形態では、第2及び第3の溝部分40、42は、互いに交差するように画定されてもよい。この例示的な実施形態では、第1及び第3の溝部分38、42は、互いに平行になるように画定され、第2の溝部分40は、第2の溝部分が第1及び第3の溝部分の両方と交差するように第1及び第3の溝部分の両方に対してある角度で延在するように画定され得る。
【0025】
図4の例示的な実施形態では、第2の固定具構成要素24は、第1、第2、及び第3の溝部分38、40、42などの溝部分を互いに平行になるように画定する。したがって、第1、第2、及び第3の溝部分38、40、42の各々は、互いに平行でありかつ固定具16を通る内部通路18によって画定される長手方向軸線20に垂直に向けられたそれぞれの基準面にある。対照的に、第1の固定具構成要素22は、長手方向軸線20に対して異なる向きのそれぞれの基準面に位置するように、溝部分、及び図示の実施形態では第1、第2、及び第3の溝部分38、40、42を画定する。これに関して、上記のように、第1及び第3の溝部分38、42は互いに平行であり、互いに平行かつ
図3に示すように、事前に定義された角度αで長手方向軸線20に垂直な平面から第1の角度方向にオフセットされたそれぞれの平面にある。対照的に、第2の溝部分40は、長手方向軸線20に垂直な平面から、第1の角度方向とは反対の第2の角度方向にオフセットされた基準面にある。第2の溝部分40を含む基準面は、異なる角度方向で長手方向軸線20に垂直な平面からオフセットされるだけでなく、例えば、第1及び第3の溝部分を含む基準面が長手方向軸に垂直な平面からオフセットされる角度(-2α)の2倍だけ長手方向軸に垂直な平面からオフセットされることなどにより、より大きくオフセットされてもよい。
【0026】
図3に矢印1で示されるように、図示の実施形態の周方向溝28は、第1の固定具構成要素22の周りの長手方向軸線20に垂直な平面に対して、θなどの角度で固定具16の外面32を通って延在する開口部34から延在する第1の溝部分38から始まる。次に、第1の溝部分38は、内部通路18の残りの部分の周りで第2の固定具構成要素24を通って続く。第2の固定具構成要素24によって画定される第1の溝部分38は、(例えば、長手方向軸線に垂直な面にあることにより)長手方向軸線20に垂直な平面に対して0°など、第1の固定具構成要素22によって画定される第1の溝部分とは異なる角度にある。
図3に矢印2で示されるように、次に、周方向溝28は、長手方向軸線20に垂直な平面に対して角度-2θなどの第1の溝部分38とは異なる角度で第1の固定具構成要素22によって画定される第2の溝部分40に続く。次に、第2の溝部分40は、内部通路18の残りの部分の周りで第2の固定具構成要素24を通って続く。第1の溝部分38と同様に、第2の固定具構成要素24によって画定される第2の溝部分40は、(例えば、長手方向軸に垂直な平面にあることにより)長手方向軸線20に垂直な平面に対して0°など、第1の固定具構成要素22によって画定される第2の溝部分とは異なる角度にある。
図3に矢印3で示されるように、第3の溝部分42は、第1の固定具構成要素22の周りの長手方向軸線20に垂直な平面に対してθなどの角度で第2の溝部分40から続く。次に、第3の溝部分42は、内部通路18の残りの部分の周りで第2の固定具構成要素24を通って固定具16の外面32を通して画定された開口部34まで続く。第1及び第2の溝部分38、40と同様に、第2の固定具構成要素24によって画定される第3の溝部分42は、(例えば、長手方向軸に垂直な面にあることにより)長手方向軸線20に垂直な平面に対して0°など、第1の固定具構成要素22によって画定される第3の溝部分とは異なる角度にある。したがって、第1、第2、及び第3の溝部分38、40、42からなる周方向溝28は、固定具16の外面32を通して画定された開口部34から始まり、固定具の外面を通る同じ開口部で終わる前に、内部通路18の周りを3回連続して長手方向に延在する。
【0027】
周方向溝28は、さまざまな構成及び形状を有することができる。しかしながら、
図5により詳細に示される例示的な実施形態では、周方向溝28は、チャネル44と、チャネルと固定具16の内面30との間に延在するネック46とを含む。ネック46は、溝が延在する長手方向に垂直な幅方向に測定して、チャネル44の幅W
1よりも小さい幅W
2を有する。そのため、タイ部材をチャネル44内に配置することができ、タイ部材を溝28のネック46に通すことができるが、そうでなければ、タイ部材をチャネルからネックを通って内部通路18に移動させる力がない場合にタイ部材はチャネル内に保持される。
【0028】
固定具16はさまざまな方法で形成され得るが、例示的な実施形態の固定具は、付加的に製造されるか、又はレーザ印刷され得る。支持材料なしで単一の部品として固定具のレーザ印刷を容易にするために、例示的な実施形態のチャネル44は、
図5に示すように、ネック46に収束する傾斜面を含む。例示的な実施形態では、ゴムガスケット又は複数の剛毛などの柔軟な部材は、ネックによって画定される通路内に延在するように、周方向溝28のネック46内に位置決め及び保持される。以下に説明するように、柔軟な部材はさらに、チャネル44内に留まるようにタイ部材を付勢し、チャネルからタイ部材が不用意に外れるのを防ぎながら、外力がタイ部材に加えられるとタイ部材がチャネルからネック46を通して引き出されることを可能にする。
【0029】
例示的な実施形態では、第1及び第2の溝部分38、40は、固定具16の内面30に対して測定されたときに異なる深さを有する。第1、第2及び第3の溝部分を含む実施形態では、第1及び第3の溝部分38、42は同じ深さD
1を有してもよいし、第2の溝部分40は第1又は第3の溝部分と異なる深さD
2を有してもよい。この例示的な実施形態では、第2の溝部分40は、第1及び第3の溝部分38、42の深さD
1よりも深い深さD
2を有し、それによりその内面30から固定具16内にさらに延在する。第2の溝部分40全体は、第1及び第3の溝部分38、42よりも深くてもよいが、例示的な実施形態の固定具16は、第1及び第3の溝部分と交差する第2の溝部分の一部(すなわち、
図3の40aで囲まれた第2の溝部分の一部)が第1及び第3の溝部分の対応する部分よりも深いように構成され、ただし、第1、第2、及び第3の溝部分の他の部分は同じ深さを有してもよい。図示の実施形態では、例えば、第1の固定具構成要素22は、第1の固定具構成要素によって画定される第1及び第3の溝部分38、42よりも深い深さを有するように第2の溝部分40を画定し、第2の固定具構成要素24は、第1及び第3の溝部分と同じ深さを有するように第2の溝部分を画定する。
【0030】
固定具16は、クローブヒッチノットなどのノット12を、配線束などのワークピース10の周りに作ることを可能にする。
図6のブロック60に示されるように、ワークピース10が固定具によって画定される内部通路18を通って延在するようにワークピースの周りに固定具16を配置した後、タイ部材が溝を通って長手方向に延在するように紐などのタイ部材が溝28に挿入される。この点に関して、
図7に示すように、第2の固定具構成要素24が取り外されてタイ部材56が連続する溝部分を通過できるようになっており、タイ部材は、固定具16の外面32を通して画定された開口部34を通して、第1の溝部分38、より具体的には第1の溝部分のチャネル44に挿入され得る。タイ部材56の挿入は、第1の溝部分38(
図3の矢印1で示される)を通って、第2の溝部分40(矢印2で示される)に、そして固定具16の外面32を通して画定された開口部34を通って固定具から出る前に第3の溝部分42(矢印3で示される)に続く。第1及び第3の溝部分38、42に対する第2の溝部分40のより深い深さなど、溝部分の異なる深さの結果として、タイ部材56は、第1、第2、及び第3の溝部分を通って連続的に延在することができ、第2の溝部分が第1及び第2の溝部分と交差するようになっていることの結果として、自分自身と交差することができる。
【0031】
図6のブロック62に示されるように、次いで、タイ部材を、ワークピース10に向かって内向きに移動させて溝28から外す。これに関して、タイ部材は、周方向溝28のネック46を通って、固定具16によって画定される内部通路18内に移動するように強制され、それにより、いくつかの実施形態では、内部通路18を通って延在する配線束などのワークピース10に近接し、いくつかの実施形態では、ワークピース10に接触する。例示的な一実施形態では、固定具16の外面32によって画定される開口部34から外向きに延在するタイ部材の部分に引張力を加えることにより、タイ部材は溝28から押し出される。例えば、固定具16の外面32によって画定される開口部34を通って延在するタイ部材の部分は、固定具から離れる方向、又は固定具の外面によって画定される開口部からタイ部材を引き出す傾向がある他の方向に引っ張ることができる。タイ部材56にこの力を加えると、周方向溝28を通って延在する固定具16内のタイ部材の長さが短くなり、溝のネック46を通って引っ張られ、それにより、
図5に示すように、配線束などのワークピースの周りで締まる。次いで、ブロック64に示すように、第1及び第2の固定具構成要素22、24を開くなどして、固定具16をワークピース10から取り外すことができる。タイ部材の端部などの対向部分は、固定具16がワークピース10から取り外されるときに固定具の外面32によって画定される開口部34を通して引っ張られ、それにより、タイ部材は、周方向溝28によって画定される構成における配線束などのワークピースの周りに巻き付けられたままになる。次に、タイ部材の端部を二重結びなどで結び、それにより、周方向溝28によって画定されるパターンの結果として、クローブヒッチノットなどのノット12をもたらすことができる。
【0032】
タイ部材は、タイ部材を周方向溝28に押し込むなどして、手で周方向溝に挿入されてもよい。タイ部材の挿入を容易にするために、リード部材は、例えば、溝28を通して押されることにより、最初に溝を通して挿入されてもよい。リード部材は、内部通路18の周りの周方向溝28をたどるのに十分な柔軟性を有するが、タイ部材よりも剛性が高い。例えば、リード部材は、ばね鋼などの金属で形成されてもよく、平らなリボンの形態であってもよい。リード部材の第1の端部は、溝28に挿入されてもよく、タイ部材は、クリップなどによって、リード部材の反対側の第2の端部に取り付けられてもよい。次いで、リード部材は溝を通して第1の方向に挿入されてもよい。周方向溝28を通過した後、固定具16の外面32によって画定される開口部34からリード部材が現れると、リード部材の第1の端部は、リード部材が第1の方向に長手方向に溝から引っ張られるように引っ張られてもよく、それに対応して、リード部材に取り付けられたタイ部材は第1の方向に溝の中に引っ張られる。リード部材が溝28から取り外され、タイ部材がそれに対応して溝に挿入されると、タイ部材はリード部材から取り外されてもよく、ノット12を形成するプロセスは、例えば固定具16を取り外す前に、タイ部材を溝から外し、配線束などのワークピース10の周りで締め付けるために、固定具に対して外向きにタイ部材の両端部を引っ張るなどして、上述のように継続し得る。
【0033】
例示的な実施形態では、ノット12を作るのを容易にし、より具体的には、周方向溝28を通してのタイ部材の挿入を容易にするためのシステムが、例示的な実施形態に従って提供される。
図8に示すように、システム50は、上述のような固定具16と、リード部材供給機構52とを含む。リード部材供給機構52は、ばね部材、例えば、平らなリボンの形態のばね鋼部材などのリード部材54を、溝28を通して交互に送り、タイ部材56がそれに接続されるとリード部材を溝から引き抜くように構成される。
【0034】
これに関して、リード部材供給機構52は、固定具16の外面32によって画定される開口部34を通してリード部材を周方向溝に挿入することなどにより、溝28を通して第1の方向に長手方向にリード部材54を押すように構成される。リード部材54は、その外面32を通して画定された同じ開口部34を通って固定具16から現れるように、周方向溝28の全長にわたって延在してもよい。この例示的な実施形態では、次いで、タイ部材56は、例えばワニ口クリップなどのクリップによって、リード部材54に接続されてもよい。次に、リード部材供給機構52は、タイ部材56がリード部材によって溝28を通して引っ張られるように、リード部材を溝から引っ込めることにより、溝からリード部材54を引き抜くように構成される。この点に関して、リード部材供給機構52は、タイ部材56が接続された固定具16の外面32によって画定される同じ開口部34を通してリード部材を引き抜くことにより、リード部材54を溝28から引き抜くように構成される。リード部材54を引き抜くことにより、タイ部材56は、溝28を通して対応して引っ張られる。次に、タイ部材56は、タイ部材の両端部が固定具16の外面32によって画定された開口部34を通って延在するように、リード部材54から係合解除されてもよい。次に、固定具16をワークピースから取り外してノット12が作られる固定具の周方向溝によって画定される構成を有することを可能にする前に、タイ部材をワークピース10に向かって内向きに移動させて溝28から外すために、タイ部材56の両端部に力を加えることができる。前述の例が示すように、リード部材供給機構52は、リード部材54を第1の方向に溝を通して長手方向に押すように構成される(その結果、リード部材は、最初に第2の溝部分40を通って押される前に第3の溝部分42に入り、最後に第1の溝部分38に入る)、続いて、リード部材を溝から引っ込めてリード部材を溝から引き抜き、タイ部材が第1の方向とは反対の第2の方向に溝を通って引っ張られるようにする。
【0035】
図8に示されるように、リード部材供給機構52は、リード部材のコイルなどのリード部材54の供給部を含むことができる。上述のように、一実施形態では、リード部材54は、板ばね鋼材料などの板ばね材料によって形成されてもよい。この例示的な実施形態のリード部材供給機構52はまた、リニアアクチュエータなどのアクチュエータと、一実施形態では、リード部材54と係合するように構成された一対の対向する送りホイールなどの1つ又は複数の回転可能な送り部材58とを含み、そして、固定具16によって画定された溝28にリード部材を交互に送り、そこからリード部材を引き抜く。この点に関して、送り部材58は、これに対応して、第1の方向に回転するときにリード部材を溝28に送り、第1の方向とは反対の第2の方向に回転するときに溝から引き抜くように制御可能に回転するように駆動され得る。送り部材58はさまざまな方法で駆動され得るが、例示的な実施形態のシステム50は、送り部材を制御可能に回転させるために繰り返し作動させることができるトリガ70を含む。例えば、トリガ70の作動は、送り部材58を所定の量だけ所定の方向に回転させるように構成されてもよい。トリガ70を繰り返し引くことにより、送り部材58を繰り返し回転させることができ、それにより、リード部材54のラチェット式前進又は後退を提供する。
【0036】
例示的な実施形態では、送り部材58が回転する方向、及びその結果として、リード部材54が周方向溝28に挿入されるか、周方向溝28から引き抜かれるかは、トグルスイッチのような選択機構(図示せず)によって画定され得、これにより、ユーザはシステム50を交互に構成して、1つ又は複数の送り部材を回転させ、リード部材を周方向溝に挿入するか、あるいはリード部材を溝から引き抜くようにする。別の実施形態では、リード部材54は、外力がない状態でコイル状の位置を取ることができる。1つ又は複数の送り部材58と係合している間、リード部材54は、周方向溝28を通って前進することができる。この例示的な実施形態において、リード部材54を溝28から引き抜くために、送り部材58は、例えば、リード部材に対して持ち上げられることにより、リード部材から係合解除するように構成されてもよく、リード部材は、次に、コイル状の位置に戻り、それによってリード部材を溝から引き抜くことができる。
【0037】
図8の例示的な実施形態のシステム50はまた、タイ部材が巻き付けられるスプール72などのタイ部材56の供給部を含む。スプール72は、
図8の向きで時計回り方向などに回転するように構成されており、リード部材54への取り付け及び溝28を通したリード部材の引き抜きに続いてタイ部材56をスプールから引っ張ることができる。
図8にも示されるように、システム50は、システムの他の構成要素をより明確に示すことができるように片側が除去されたハウジング74を含むことができる。ハウジング74は、固定具16、リード部材54及びタイ部材56の供給部、及び1つ又は複数の回転可能な送り部材58と係合し、位置を維持する。
【0038】
上記のように、最初にリード部材54を溝に通し、次にクリップなどでタイ部材56をリード部材に接続することにより、
図8のシステム50を利用して、周方向溝28にタイ部材56を挿入することができる。次に、リード部材によって溝28を通して引っ張られるなどして、タイ部材56が対応して溝に挿入されるように、リード部材54を溝から引っ張ることができる。この例示的な実施形態では、リード部材54を、溝28を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すことによってリード部材54を溝に通すことができる。次に、この例示的な実施形態のリード部材は、タイ部材56が溝28を通して第1の方向とは反対の第2の方向に引っ張られるようにリード部材を溝から引っ込めることにより、溝から引き抜かれ得る。次に、開口部34から突出するタイ部材56の対向部分を、固定具16を越えて約1/4インチなど、切断することができる。これに関して、例示的な実施形態のシステム50は、ユーザの動作に応じてなど、固定具56を越えて延在するタイ部材56の対向部分を切断するためのナイフブレードなどの切断機構も含むことができる。
【0039】
例示的な実施形態のシステム50、装置14、及び方法は、それにより、クローブヒッチノットなどのノット12を、配線束などのワークピース10の周りに作ることを容易にする。したがって、ノット12を、ワークピース10の周りにより確実かつ効率的に作ることができる。したがって、配線束などのワークピース10を結んで固定するために紐を利用することができ、それにより、相当数の結束バンドなどのケーブルタイが利用された場合に課せられる追加の重量を回避する。また、例示的な実施形態の固定具を利用することにより、クローブヒッチノットなどのノットを確実に作ることができ、それにより、ワークピース10がバインドされるセキュリティを高めることができる。
【0040】
さらに、本開示は、以下の条項に応じた実施形態を含む:
【0041】
条項1:ノットを作るのを容易にするための装置であって、装置は:
内部通路を画定する固定具であって、固定具は、固定具の内面を通してアクセス可能でありかつ内部通路と連通する周方向溝を画定する、固定具
を備え、
溝は、互いに交差する第1及び第2の溝部分を含み、
溝の両端部は一致し、固定具の外面によって画定された開口部を通して開いている、
装置。
【0042】
条項2:溝が、第1の溝部分に平行な第3の溝部分をさらに含み、第2及び第3の溝部分が互いに交差し、第1、第2、及び第3の溝部分は溝の両端部間に順次配置される、条項1に記載の装置。
【0043】
条項3:第1及び第2の溝部分が異なる深さを有する、条項1に記載の装置。
【0044】
条項4:溝が、チャネルと、チャネルと固定具の内面との間に延在するネックとを含み、ネックの幅がチャネルの幅よりも小さい、条項1に記載の装置。
【0045】
条項5:固定具が、溝の第1及び第2の溝部分を画定するために協働する第1及び第2の固定具構成要素を備え、第1の固定具構成要素は、互いに交差するように第1及び第2の溝部分を画定し、第2の固定具構成要素は、平行関係を有するように第1及び第2の溝部分を画定する、条項1に記載の装置。
【0046】
条項6:ノットを作るのを容易にするためのシステムであって、システムは:
内部通路を画定する固定具であって、固定具は、固定具の内面を通してアクセス可能でありかつ内部通路と連通する周方向溝を画定し、溝は互いに交差する第1及び第2の溝部分を含む、固定具と、
リード部材を溝に交互に送り、タイ部材がそこに接続されると、溝からリード部材を引き抜くように構成されたリード部材供給機構と
を備える、システム。
【0047】
条項7:リード部材供給機構が、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すことによってリード部材を溝に通し、タイ部材が第1の方向とは反対の第2の方向に溝を通して引っ張られるように、リード部材を溝から引っ込めることによって溝からリード部材を引き抜くように構成される、条項6に記載のシステム。
【0048】
条項8:溝の両端部が一致し、固定具の外面に画定された開口部を通して開いており、リード部材供給機構は、リード部材を開口部から溝に挿入することにより、リード部材を溝に通し、リード部材を開口部から引き抜くことにより、リード部材を溝から引き抜くように構成される、条項6に記載のシステム。
【0049】
条項9:リード部材供給機構が、
リード部材の供給部と、
リード部材と係合し、リード部材を溝に交互に送り、リード部材を溝から引き抜くように構成された1つ又は複数の回転可能な送り部材と
を備える、条項6に記載のシステム。
【0050】
条項10:
タイ部材の供給部と、
固定具に係合して位置を維持するハウジングと、リード部材及びタイ部材の供給部と、1つ又は複数の回転可能な送り部材と
をさらに備える、条項9に記載のシステム。
【0051】
条項11:溝が、第1の溝部分に平行な第3の溝部分をさらに含み、第2及び第3の溝部分が互いに交差し、第1、第2、及び第3の溝部分は溝の両端部間に順次配置される、条項6に記載のシステム。
【0052】
条項12:第1及び第2の溝部分が異なる深さを有する、条項6に記載のシステム。
【0053】
条項13:溝が、チャネルと、チャネルと固定具の内面との間に延在するネックとを含み、ネックの幅がチャネルの幅よりも小さい、条項6に記載のシステム。
【0054】
条項14:固定具が、溝の第1及び第2の溝部分を画定するために協働する第1及び第2の固定具構成要素を備え、第1の固定具構成要素は、互いに交差するように第1及び第2の溝部分を画定し、第2の固定具構成要素は、平行関係を有するように第1及び第2の溝部分を画定する、条項6に記載のシステム。
【0055】
条項15:ノットを作るのを容易にする方法であって、方法は:
ワークピースが固定具によって画定される内部通路を通って延在するようにワークピースの周りに固定具を配置するステップであって、固定具は固定具の内面を通してアクセス可能でありかつ内部通路と連通する周方向溝を画定し、溝は互いに交差する第1及び第2の溝部分を含む、ステップと、
タイ部材が溝を通って長手方向に延在するように、タイ部材を溝に挿入するステップと、
タイ部材をワークピースに向かって内向きに移動させて溝から外すステップと、
タイ部材からノットを形成できるように固定具をワークピースから取り外すステップと
を含む、方法。
【0056】
条項16:タイ部材を溝に挿入するステップが、
リード部材を溝に通すステップと、
タイ部材をリード部材に接続するステップと、
タイ部材が溝に対応して挿入されるように、リード部材を溝から引き抜くステップと
を含む、条項15に記載の方法。
【0057】
条項17:リード部材を溝に通すステップが、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すステップを含み、リード部材を引き抜くステップは、タイ部材が第1の方向とは反対の第2の方向に溝を通して引っ張られるように、リード部材を溝から引っ込めるステップを含む、条項16に記載の方法。
【0058】
条項18:リード部材を溝に通すステップが、溝を通して第1の方向に長手方向にリード部材を押すステップを含み、リード部材を引き抜くステップは、リード部材に接続されたタイ部材も溝を通して第1の方向に引っ張られるように、リード部材を溝から引っ張るステップを含む、条項16に記載の方法。
【0059】
条項19:第1及び第2の溝部分は、第1又は第2の溝部分の一方を通って延在するリード部材が第1又は第2の溝部分の他方を通って延在するリード部材の内側に位置するとともに第1又は第2の溝部分の他方を通って延在する該リード部材と交差するように異なる深さを有する、条項15に記載の方法。
【0060】
条項20:溝は、チャネルと、チャネルとワークピースに面する固定具の内面との間に延在するネックとを備え、ネックはチャネルよりも小さい幅を有し、タイ部材を溝に挿入するステップは、タイ部材を溝のチャネルに挿入するステップを含み、タイ部材をワークピースに向かって内向きに移動させて溝から外すステップは、タイ部材を溝から外すようにチャネルから溝のネックに押し込むステップを含む、条項15に記載の方法。
【0061】
本開示の多くの修正形態及び他の実施形態は当業者が想到し得るものであり、本開示は、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有してこれに関連する。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正形態及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることを理解すべきである。さらに、前述の説明及び関連する図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組合せとの関連で例示的な実施形態を説明しているが、要素及び/又は機能の異なる組合せが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替の実施形態によって提供されてもよいことを理解されたい。これに関して、例えば、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載されているように、上記で明示的に説明したものとは異なる要素及び/又は機能の組合せも考えられる。特定の用語が本明細書中で使用されているが、これは、一般的かつ説明的な意味で使用されているだけであり、限定の目的のためではない。
【符号の説明】
【0062】
10 ワークピース
12 ノット
14 装置
16 固定具
18 内部通路
20 長手方向軸線
22 第1の固定具構成要素
24 第2の固定具構成要素
26 ヒンジ
28 周方向溝
28a 端部、一端
28b 端部、他端
30 内面
32 外面
34 開口部
38 第1の溝部分
40 第2の溝部分
42 第3の溝部分
44 チャネル
46 ネック
50 システム
52 リード部材供給機構
54 リード部材
56 タイ部材、固定具
58 送り部材
70 トリガ
72 スプール
74 ハウジング