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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】経路誘導装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20231121BHJP
【FI】
G01C21/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019208489
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021081294
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】益田 勝也
(72)【発明者】
【氏名】粟井 康全
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩平
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-128745(JP,A)
【文献】特開2016-045035(JP,A)
【文献】特開平10-227649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、前記進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、前記複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、
前記Uターン地点におけるUターンによる前記進行方向の逆転を含んで前記目的地に到達する経路を出力する経路出力部と、を備え、
前記Uターン地点選択部は、前記複数の候補地点のいずれかの候補地点が中央分離帯のある区間に位置する場合に、前記中央分離帯のない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して低くなるように評価された前記スコアに基づいて前記Uターン地点を選択する、経路誘導装置。
【請求項2】
目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、前記進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、前記複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、
前記Uターン地点におけるUターンによる前記進行方向の逆転を含んで前記目的地に到達する経路を出力する経路出力部と、を備え、
前記Uターン地点選択部は、前記複数の候補地点のいずれかの候補地点が右折専用レーンのある区間に位置する場合に、前記右折専用レーンのない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して低くなるように評価された前記スコアに基づいて前記Uターン地点を選択する、経路誘導装置。
【請求項3】
目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、前記進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、前記複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、
前記Uターン地点におけるUターンによる前記進行方向の逆転を含んで前記目的地に到達する経路を出力する経路出力部と、を備え、
前記Uターン地点選択部は、前記複数の候補地点のいずれかの候補地点において信号機により右折専用期間が設けられる場合には、当該候補地点において前記右折専用期間が設けられない場合に比較して低くなるように評価された前記スコアに基づいて前記Uターン地点を選択する、経路誘導装置。
【請求項4】
前記Uターン地点選択部は、前記複数の候補地点から前記スコアが最も低い候補地点を前記Uターン地点として選択する、請求項1から3のいずれか一項に記載の経路誘導装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、プログラム及び/又はデータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去にUターンが行われたUターン可能交差点を示すUターン情報を取得するUターン情報取得手段と、Uターン情報に基づいてUターン可能交差点を案内する案内手段とを備えるナビゲーションシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-45035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両の適切な誘導に有効な経路誘導装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る経路誘導装置は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データに基づいて出力する経路出力部と、を備え、Uターン地点選択部は、複数の候補地点のいずれかの候補地点が中央分離帯のある区間に位置する場合に、中央分離帯のない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して低くなるように評価されたスコアに基づいてUターン地点を選択する。
【0007】
本開示の他の側面に係る経路誘導装置は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を出力する経路出力部と、を備え、Uターン地点選択部は、複数の候補地点のいずれかの候補地点が右折専用レーンのある区間に位置する場合に、右折専用レーンのない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して低くなるように評価された前記スコアに基づいて前記Uターン地点を選択する。
【0008】
本開示の更に他の側面に係る経路誘導装置は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部と、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を出力する経路出力部と、を備え、Uターン地点選択部は、複数の候補地点のいずれかの候補地点において信号機により右折専用期間が設けられる場合には、当該候補地点において右折専用期間が設けられない場合に比較して低くなるように評価された前記スコアに基づいて前記Uターン地点を選択する。
Uターン地点選択部は、複数の候補地点からスコアが最も低い候補地点をUターン地点として選択してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】経路誘導システムの機能的な構成を例示するブロック図である。
図2】ネットワークデータを例示する模式図である。
図3】リンク地物データを例示するテーブルである。
図4】ノード地物データを例示するテーブルである。
図5】スコアデータを例示するテーブルである。
図6】経路誘導システムのハードウェア構成を例示するブロック図である。
図7】スコアデータ構築手順を例示するフローチャートである。
図8】Uターン可否の判定例を示す模式図である。
図9】スコアリング処理手順を例示するフローチャートである。
図10】スコアリング処理手順を例示するフローチャートである。
図11】スコアリングの例を示す模式図である。
図12】スコアリングの例を示す模式図である。
図13】スコアリングの例を示す模式図である。
図14】スコアリングの例を示す模式図である。
図15】スコアリングの例を示す模式図である。
図16】経路誘導手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
〔経路誘導システム〕
本実施形態に係る経路誘導システム(経路案内システム)は、車両の現在地から目的地までの経路を導出し、車両の運転者又は車両の運転システムに出力するシステムである。図1に示すように、経路誘導システム1は、経路誘導装置100と、地図サーバ200とを備える。地図サーバ200は、経路探索用の地図データを経路誘導装置100に提供する。例えば地図サーバ200は、機能上の構成(以下、「機能ブロック」という。)として、地図データ記憶部211と、候補地点抽出部212と、候補地点評価部213とを有する。以下、各機能ブロックについて説明する。各機能ブロックが実行する処理は、地図サーバ200が実行する処理に相当する。
【0014】
地図データ記憶部211は、地図データを記憶する。地図データは、ネットワークデータ220と、地物データ230と、スコアデータ240とを含む。ネットワークデータ220は、現在地から目的地までの経路探索に用いられるデータであり、複数のUターン可能地点を含む道路網を示す。例えばネットワークデータ220は、複数の地点にそれぞれ対応付けられた複数のノードと、複数のノード間の移動経路を示すリンクとを含む。ネットワークデータ220は、同一の道路に対して、進行方向ごとにリンクを有していてもよい。この場合、ネットワークデータ220は、両方向への進行が可能な道路を2条のリンクで示す2条化データとなる。
【0015】
図2は、2条化データであるネットワークデータ220を例示する模式図である。図2中のノードN10は、道路R100,R200の交差点CP10に対応付けられたノードである。ノードN20は、道路R100,R300の交差点CP20に対応付けられたノードである。
【0016】
リンクL111,L112,L113は、道路R100において図示上方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL112は、ノードN10とノードN20とを接続している。リンクL111は、ノードN10を介してリンクL112につながっている。リンクL113は、ノードN20を介してリンクL112につながっている。
【0017】
リンクL121,L122,L123は、道路R100において図示下方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL122は、ノードN10とノードN20とを接続している。リンクL121は、ノードN10を介してリンクL122につながっている。リンクL123は、ノードN20を介してリンクL122につながっている。
【0018】
リンクL211,L212は、道路R200において図示右方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL211,L212は、ノードN10を介してつながっている。リンクL221,L222は、道路R200において図示左方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL221,L222は、ノードN10を介してつながっている。
【0019】
リンクL311,L312は、道路R300において図示右方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL311,L312は、ノードN20を介してつながっている。リンクL321,L322は、道路R300において図示左方へ向かう車線に対応付けられたリンクである。リンクL321,L222は、ノードN20を介してつながっている。
【0020】
ノードN10は、交差点CP10内における移動経路を示すリンクNL11,NL12,NL13,NL14を含んでいる。リンクNL11は、リンクL111,L112を接続する。リンクNL12は、リンクL121,L122を接続する。リンクNL13は、リンクL211,L212を接続する。リンクNL14は、リンクL221,L222を接続する。
【0021】
ノードN20は、交差点CP20内における移動経路を示すリンクNL21,NL22,NL23,NL24を含んでいる。リンクNL21は、リンクL112,L113を接続する。リンクNL22は、リンクL122,L123を接続する。リンクNL23は、リンクL311,L312を接続する。リンクNL24は、リンクL321,L322を接続する。
【0022】
地物データ230は、地物情報をネットワークデータ220に関連付けたデータである。地物は、ネットワークデータ220が示す経路の通行に関与するあらゆる物を含む。地物の具体例としては、道路車線、中央分離帯、歩道、縁石、信号機、道路標識、道路上の標識マーク等が挙げられる。地物データ230は、図3に示すリンク地物データ231と、図4に示すノード地物データ232とを含む。
【0023】
図3に示すように、リンク地物データ231は、車線に存在する地物をリンクに関連付ける。図3のテーブルによれば、リンクL111に対応する車線に2本の直進レーン、中央分離帯、及び速度標識が存在することが示されている。リンクL112に対応する車線に2本の直進レーン及び中央分離帯が存在することが示されている。リンクL113に対応する車線に2本の直進レーン及び中央分離帯が存在することが示されている。
【0024】
図4に示すように、ノード地物データ232は、交差点などの地点に存在する地物をノードに関連付ける。一例として、ノード地物データ232は、ノードへの複数の進入経路のいずれかに関連付ける。図4のテーブルによれば、リンクL111からノードN10への進入経路に、赤信号、黄信号、青信号、左折・直進兼用レーン、直進専用レーン、右折専用レーン及び右折専用信号が存在することが示されている。リンクL122からノードN10への進入経路に、赤信号、黄信号、青信号、左折・直進兼用レーン、直進専用レーン、右折専用レーン及び右折専用信号が存在することが示されている。リンクL211からノードN10への進入経路に、赤信号、黄信号、青信号、左折・直進兼用レーン、転回禁止標識、及び路面の転回禁止マークが存在することが示されている。リンクL222からノードN10への進入経路に、赤信号、黄信号、青信号、左折・直進兼用レーン、転回禁止標識、及び路面の転回禁止マークが存在することが示されている。
【0025】
スコアデータ240は、上記道路網(ネットワークデータ220が示す道路網)における複数のUターン可能地点のそれぞれについて、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアを示す。ネットワークデータ220において、少なくとも一部のノードはUターン可能地点となり得る。図5に示すように、スコアデータ240は、ノード等で特定される地点ごとに、Uターンの可否と、Uターン可である場合の上記スコアとを示す。Uターン可能地点が交差点である場合、スコアデータ240は、交差点への進入経路ごとに、Uターンの可否と、Uターン可である場合の上記スコアとを示す。
【0026】
図1に戻り、候補地点抽出部212は、ネットワークデータ220において、Uターン可能地点の候補となる地点(以下、「候補地点」という。)を抽出する。例えば候補地点抽出部212は、車両のUターンが物理的に可能な地点を候補地点として抽出する。車両のUターンが物理的に可能な地点は、少なくとも以下の要件を満たす地点である。
条件1) 両方向への走行が可能な道路に位置していること。
条件2) 対向車線との間に車両の移行の障害(例えば中央分離帯)が存在しないこと。
【0027】
例えば、両方向への走行が可能な道路上の交差点は、物理的にUターンが可能な地点となり得る。走行中の車線と対向車線との間の中央分離帯に、車両幅より大きい切れ目が存在する地点は、物理的にUターンが可能な地点となり得る。走行中の車線と対向車線との間に中央分離帯等の障害が存在しない道路においては、いずれの地点も物理的にUターンが可能な地点となり得る。
【0028】
候補地点評価部213は、候補地点抽出部212により抽出された各候補地点について、Uターンの可否を判定する。候補地点評価部213は、Uターン可と判定した各候補地点(Uターン可能地点)について、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性をスコアリングする。Uターン可能地点が交差点である場合、候補地点評価部213は、Uターン可能地点への進入経路ごとに、Uターンの可否の判定と、上記可能性のスコアリングとを行う。
【0029】
車両のUターンの可否は、転回禁止標識、転回禁止マーク等の有無に基づいて判定可能である。転回禁止標識、転回禁止マーク等の有無は、地物データ230に基づいて判定可能である。そこで候補地点評価部213は、少なくとも地物データ230に基づいて、Uターンの可否を判定する。
【0030】
車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性に関与する因子としては、候補地点が位置する区間における中央分離帯の有無、道路の車線構造、信号機の仕様等が挙げられる。これらの因子に関する情報は、地物データ230に基づき取得可能である。そこで候補地点評価部213は、少なくとも地物データ230に基づいて、上記可能性をスコアリングする。
【0031】
例えば、中央分離帯のある区間でUターンを行う場合、中央分離帯の切れ目に退避した状態でUターンを待機することが可能となるので、中央分離帯のない区間でUターンを行う場合に比較して、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼし難いといえる。そこで候補地点評価部213は、Uターン可能地点が中央分離帯のある区間に位置する場合に、中央分離帯のない区間に当該Uターン可能地点が位置する場合に比較して、当該Uターン可能地点のスコアを低く評価してもよい。
【0032】
なお、「Uターン可能地点が中央分離帯のある区間に位置する」とは、Uターン可能地点自体に中央分離帯があることを意味するのではなく、Uターン可能地点を含む区間においてUターン可能地点の前後に中央分離帯があることを意味する。「中央分離帯のない区間に当該Uターン可能地点が位置する場合」とは、中央分離帯がない点以外の条件が全て上記「中央分離帯がある区間」と一致した仮想の区間に当該Uターン可能地点が位置する場合を意味する。
【0033】
また、右折専用レーンのある区間でUターンを行う場合、右折専用レーンにてUターンを待機することが可能となるので、右折専用レーンのない区間でUターンを行う場合に比較して、車両のUターンが当該Uターン可能地点を直進する他車両の通行に影響を及ぼし難いといえる。また、Uターンの待機が必要な状況においては右折の待機も必要なので、右折専用レーンにおけるUターンの待機は、当該Uターン可能地点で右折する他車両の通行にも影響を及ぼし難いといえる。そこで候補地点評価部213は、Uターン可能地点が右折専用レーンのある区間に位置する場合に、右折専用レーンのない区間に当該Uターン可能地点が位置する場合に比較して、当該Uターン可能地点のスコアを低く評価してもよい。なお、「右折専用レーンのない区間に当該Uターン可能地点が位置する場合」とは、右折専用レーンがない点以外の条件が全て上記「右折専用レーンのある区間」と一致した仮想の区間に当該Uターン可能地点が位置する場合を意味する。
【0034】
また、右折専用信号のある区間でUターンを行う場合、右折専用期間にUターンを行うことが可能となるので、対向車線の他車両の通行に影響を及ぼすことなくUターンを行うことが可能となる。そこで候補地点評価部213は、Uターン可能地点において信号機により右折専用期間が設けられる場合には、当該Uターン可能地点において右折専用期間が設けられない場合に比較して、当該Uターン可能地点のスコアを低く評価してもよい。なお、「当該Uターン可能地点において右折専用期間が設けられない場合」とは、右折専用期間が設けられない点以外の条件が全て上記「右折専用信号のある区間」と一致した仮想の区間に当該Uターン可能地点が位置する場合を意味する。
【0035】
Uターン可能地点における交通量も、上記可能性に関与する因子である。そこで候補地点評価部213は、Uターン可能地点の交通量に関する過去の統計データに更に基づいて上記可能性をスコアリングしてもよい。
【0036】
候補地点評価部213は、Uターン可否の判定結果と、上記可能性のスコアリング結果を上記スコアデータ240として地図データ記憶部211に保存する。
【0037】
経路誘導装置100は、現在地から目的地までの経路を導出してユーザインタフェース400に出力する。経路誘導装置100は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点のそれぞれについて、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性を地図データに基づいてスコアリングすることと、上記可能性のスコアが最も低いUターン地点を複数の候補地点から選択することと、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データに基づいて出力することと、を実行するように構成されている。
【0038】
例えば経路誘導装置100は、機能ブロックとして、位置情報取得部117と、地図データ取得部112と、地図データ記憶部113と、経路探索部111と、候補地点評価部114と、Uターン地点選択部115と、経路出力部116とを有する。以下、各機能ブロックについて説明する。各機能ブロックが実行する処理は、経路誘導装置100が実行する処理に相当する。
【0039】
位置情報取得部117は、現在地の位置情報と、目的地の位置情報とを取得する。例えば位置情報取得部117は、現在地の位置情報を車両の位置センサ300から取得し、目的地の位置情報を車両のユーザインタフェース400から取得する。位置センサ300は、例えばGPS(Global Positioning System)により車両の現在地を検出する。位置センサ300は、速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等を補助的に用いて現在地を検出してもよい。
【0040】
ユーザインタフェース400は、ユーザ入力の取得と、ユーザに対する情報表示とを行う。例えばユーザインタフェース400は、入力デバイスと、表示デバイスとを有する。表示デバイスの具体例としては、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等が挙げられる。入力デバイスの具体例としては、キーパッド等が挙げられる。入力デバイスは、所謂タッチパネルとして表示デバイスと一体化されていてもよい。
【0041】
地図データ取得部112は、位置情報取得部117が取得した情報に基づいて、現在地と目的地とを含むエリア(以下、「探索対象エリア」という。)の地図データを地図サーバ200から取得する。例えば地図データ取得部112は、探索対象エリアのネットワークデータ220と、地物データ230と、スコアデータ240とを地図サーバ200から取得する。地図データ記憶部113は、地図データ取得部112が取得した地図データを記憶する。
【0042】
経路探索部111は、地図データ記憶部113が記憶する地図データに基づいて、現在地から目的地までの経路を探索する。例えば経路探索部111は、ダイクストラ法又はベルマン・フォード法等の既知の方法によって、現在地から目的地までの経路を探索する。この時点の探索においては、目的地に到達する際に車両が走行する車線とその対向車線とのどちらに目的地が面しているかは考慮されない。また、現在地において車両がどちら向きの車線を走行しているかも考慮されない。以下、この時点の探索結果を「概略経路」という。
【0043】
概略経路を導出した後、経路探索部111は、現在地から目的地に到達するために、少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要であるか否かを判定する。例えば経路探索部111は、概略経路に従って目的地に到達する際に車両が走行する車線の対向車線に目的地が面している場合に、目的地における進行方向の逆転が必要であると判定する。また、経路探索部111は、現在地において車両が走行している車線が、概略経路に従った車線の逆向きである場合に、現在地における進行方向の逆転が必要であると判定する。以下、進行方向の逆転が必要となる地点を「逆転地点」という。
【0044】
候補地点評価部114は、経路探索部111により逆転地点における進行方向の逆転が必要であると判定された場合に、当該進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点のそれぞれについて、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性を地図データに基づいてスコアリングする。例えば候補地点評価部114は、逆転地点から所定距離の範囲内における複数のUターン可能地点を複数の候補地点として地図データ記憶部113の地図データから抽出し、スコアデータ240に従って各候補地点の上記可能性のスコアを定める。このように、各候補地点の上記可能性をスコアリングすることは、事前に行われたスコアリングの結果を取得することを含む。なお、候補地点評価部114が抽出する候補地点は、必ずしも逆転地点と同じ道路上の地点に限られない。
【0045】
スコアデータ240に従うことによって、候補地点評価部114は、候補地点が中央分離帯のある区間に位置する場合に、中央分離帯のない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。なお、「中央分離帯のない区間に当該候補地点が位置する場合」とは、中央分離帯がない点以外の条件が全て上記「中央分離帯のある区間」と一致した仮想の区間に当該候補地点が位置する場合を意味する。
【0046】
候補地点評価部114は、候補地点が右折専用レーンのある区間に位置する場合に、右折専用レーンのない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。なお、「右折専用レーンのない区間に当該候補地点が位置する場合」とは、右折専用レーンがない点以外の条件が全て上記「右折専用レーンのある区間」と一致した仮想の区間に当該候補地点が位置する場合を意味する。
【0047】
候補地点評価部114は、候補地点において信号機により右折専用期間が設けられる場合(例えば候補地点が右折専用信号のある区間に位置する場合)には、当該候補地点において右折専用期間が設けられない場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。なお、「当該候補地点において右折専用期間が設けられない場合」とは、右折専用期間が設けられない点以外の条件が全て上記「右折専用信号のある区間」と一致した仮想の区間に当該候補地点が位置する場合を意味する。
【0048】
候補地点における交通量も、上記可能性に関与する因子である。そこで候補地点評価部114は、候補地点の交通量に関するリアルタイム情報に更に基づいて上記可能性をスコアリングしてもよい。候補地点評価部114は、候補地点の交通量に関する過去の統計データに基づいて上記可能性をスコアリングしてもよい。
【0049】
候補地点評価部114は、道幅などの物理的な制約条件に更に基づいて上記可能性をスコアリングしてもよい。例えば、道幅が広い程、ハンドルの切り返しの少ない迅速なUターンが可能となるので、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性が低くなる。そこで候補地点評価部114は、Uターンに利用可能な道幅が広くなるのに応じて上記可能性のスコアを低く評価してもよい。
【0050】
なお、事前に行われたスコアリングの結果であるスコアを取得するのに代えて、候補地点評価部114が、下記で説明する経路誘導手順の処理を行う度に、ネットワークデータ220及び地物データ230に基づいて上記可能性をスコアリングして得られたスコアを利用してもよい。この場合のスコアリング手法は、例えば候補地点評価部213によるスコアリング手法と同様である。つまり、結果的に、下記で説明するUターン地点選択部115がスコアを利用するものであればよい。
【0051】
Uターン地点選択部115は、上記可能性のスコアが最も低いUターン地点を上記複数の候補地点から選択する。上述のように、候補地点が右折専用レーンのある区間に位置するか否かに基づいて上記可能性がスコアリングされている場合、Uターン地点選択部115は、次のような処理を行う可能性がある。すなわちUターン地点選択部115は、逆転地点から第1距離の第1候補地点と、逆転地点から第2距離の第2候補地点とにおいて進行方向の逆転のためのUターンが可能であり、第2距離が第1距離よりも大きく、第1候補地点が右折専用レーンを含まない区間に位置し、第2候補地点が右折専用レーンを含む区間に位置する場合に、第2候補地点をUターン地点として選択する可能性がある。
【0052】
経路出力部116は、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データ記憶部113の地図データに基づいて出力する。例えば経路出力部116は、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を、上記概略経路に付加した詳細経路をネットワークデータ220に基づいて導出し、ユーザインタフェース400に出力し、ユーザインタフェース400の表示デバイスに表示させる。経路出力部116は、詳細経路を車両の運転支援装置(例えば自動運転装置)に出力してもよい。
【0053】
図6は、経路誘導システム1のハードウェア構成を例示するブロック図である。図6に示すように、地図サーバ200は、回路290を有する。回路290は、少なくとも一つのプロセッサ291と、メモリ292と、ストレージ293と、通信ポート294とを有する。ストレージ293は、スコアデータ240を生成するためのプログラムと、スコアデータ240を含む地図データとを記憶する。例えばストレージ293は、地図データ記憶部211に割り当てられる記憶領域と、候補地点抽出部212及び候補地点評価部213を地図サーバ200に構成させるためのプログラムに割り当てられる記憶領域とを含む。
【0054】
メモリ292は、ストレージ293からロードしたプログラム及びプロセッサ291による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ291は、メモリ292と協働して上記プログラムを実行することで、地図サーバ200の各機能ブロックを構成する。通信ポート294は、プロセッサ291からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して経路誘導装置100との間で通信を行う。
【0055】
経路誘導装置100は、回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、通信ポート195とを有する。ストレージ193は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点のそれぞれについて、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性を地図データに基づいてスコアリングすることと、上記可能性のスコアが最も低いUターン地点を複数の候補地点から選択することと、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データに基づいて出力することと、を経路誘導装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ193は、地図データ記憶部113に割り当てられる記憶領域と、位置情報取得部117、地図データ取得部112、経路探索部111、候補地点評価部114、Uターン地点選択部115、及び経路出力部116を経路誘導装置100に構成させるためのプログラムに割り当てられる記憶領域とを含む。
【0056】
メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、経路誘導装置100の各機能ブロックを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に従って、位置センサ300及びユーザインタフェース400との間で情報の入出力を行う。通信ポート195は、プロセッサ191からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して地図サーバ200との間で通信を行う。
【0057】
なお、回路190,290は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路190,290は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0058】
〔スコアデータ構築手順〕
続いて、地図データの生成方法の一例として、地図サーバ200が行うスコアデータ240の生成手順を例示する。図7に示すように、地図サーバ200は、まずステップS01,S02,S03を実行する。ステップS01では、候補地点抽出部212が、車両のUターンが物理的に可能な地点を候補地点としてネットワークデータ220から抽出する。ステップS02では、候補地点評価部213が、抽出された候補地点のいずれかを選択する。以下、選択した候補地点を「選択地点」という。ステップS03では、候補地点評価部213が、地物データ230に基づいて、転回禁止標識又は転回禁止マーク等による転回禁止表示が選択地点にあるかを確認する。
【0059】
ステップS03において転回禁止表示が選択地点にあると判定した場合、地図サーバ200はステップS04を実行する。ステップS04では、候補地点評価部213が、選択地点におけるUターンは不可であると判定する。例えば図8に示すように、ノードN10に進入するリンクL111に転回禁止標識10及び転回禁止マーク20等が存在する場合に、候補地点評価部213はリンクL111からリンクL121へのUターンは不可であると判定する。
【0060】
図7に戻り、ステップS03において転回禁止表示が選択地点にないと判定した場合、地図サーバ200はステップS05を実行する。ステップS05では、車両が選択地点においてUターンする場合に他車両の通行に影響を及ぼす可能性を候補地点評価部213がスコアリングする。具体的なスコアリング手順については後に例示する。
【0061】
ステップS04又はステップS05の実行後に、地図サーバ200はステップS06,S07を実行する。ステップS06では、候補地点評価部213が、Uターン不可の判定結果、又はスコアリングの結果を地図データ記憶部211のスコアデータ240に追加する。ステップS07では、候補地点評価部213が、全ての候補地点について、Uターン不可判定又は上記可能性のスコアリングが完了したかを確認する。
【0062】
ステップS07においてUターン不可判定又は上記可能性のスコアリングが完了していない候補地点が残っていると判定した場合、地図サーバ200は処理をステップS02に戻す。以後、全ての候補地点についてUターン不可判定又は上記可能性のスコアリングが完了するまで、候補地点の選択と、Uターン不可判定又は上記可能性のスコアリングが繰り返される。ステップS07において全ての候補地点についてUターン不可判定又は上記可能性のスコアリングが完了したと判定した場合、スコアデータ240の構築手順が完了する。
【0063】
図9及び図10は、ステップS05におけるスコアリング手順を例示するフローチャートである。図9に示すように、地図サーバ200は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、候補地点評価部213が、地物データ230に基づいて、選択地点が中央分離帯のある区間に位置するか否かを確認する。
【0064】
ステップS11において、選択地点が中央分離帯のある区間に位置すると判定した場合、地図サーバ200は、ステップS12を実行する。ステップS12では、候補地点評価部213が、地物データ230に基づいて、選択地点が右折専用レーンのある区間に位置するか否かを確認する。
【0065】
ステップS12において、選択地点が右折専用レーンのある区間に位置すると判定した場合、地図サーバ200は、ステップS13を実行する。ステップS13では、候補地点評価部213が、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられているか否かを確認する。換言すると、候補地点評価部213は、信号機により右折専用期間が設けられた区間に選択地点が位置するか否かを確認する。例えば候補地点評価部213は、地物データ230に基づいて、選択地点を含む区間に対する右折専用信号が存在するか否かを確認する。
【0066】
ステップS13において、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられていると判定した場合、図11に示すように、選択地点は中央分離帯30及び右折専用レーン41のある区間に位置し、選択地点を含む区間に対する信号機50が右折専用信号51を有する。この場合、図9に示すように、候補地点評価部213は、上記可能性のスコアを1とする(ステップS14)。
【0067】
ステップS13において、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられていないと判定した場合、図12に示すように、選択地点は中央分離帯30及び右折専用レーン41のある区間に位置するが、信号機50は右折専用信号51を有しない。この場合、信号機50が右折専用信号51を有する場合に比較して、選択地点における車両のUターンが、対向車線の他車両の通行に影響を及ぼす可能性が高くなる。そこで候補地点評価部213は、ステップS14におけるスコアリングに比較して上記可能性のスコアを大きくする。例えば候補地点評価部213は、図9に示すように、上記可能性のスコアを2とする(ステップS15)。
【0068】
ステップS12において選択地点が右折専用レーンのある区間に位置していないと判定した場合、地図サーバ200は、ステップS16を実行する。ステップS16では、候補地点評価部213が、地物データ230に基づいて、選択地点が右折・直進兼用レーンのある区間に位置するか否かを確認する。
【0069】
ステップS16において、選択地点が右折・直進兼用レーンのある区間に位置すると判定した場合、地図サーバ200は、ステップS17を実行する。ステップS17では、候補地点評価部213が、ステップS13と同様に、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられているか否かを確認する。
【0070】
ステップS17において、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられていると判定した場合、図13に示すように、選択地点は中央分離帯30及び右折・直進兼用レーン42のある区間に位置し、選択地点を含む期間に対する信号機50が右折専用信号51を有する。この場合、右折専用信号51によって右折専用期間は設けられるものの、右折・直進兼用レーンにおいて右折専用期間を待機することとなるので、右折専用レーンにおいて右折専用期間を待機する場合に比較して、後続の他車両の通行に影響を及ぼす可能性が高くなる。そこで候補地点評価部213は、ステップS15におけるスコアリングに比較して上記可能性のスコアを大きくする。例えば候補地点評価部213は、図9に示すように、上記可能性のスコアを3とする(ステップS18)。
【0071】
ステップS17において、選択地点において信号機により右折専用期間が設けられていないと判定した場合、図14に示すように、選択地点は中央分離帯30及び右折・直進兼用レーン42のある区間に位置するが、信号機50は右折専用信号51を有しない。そこで候補地点評価部213は、ステップS18におけるスコアリングに比較して上記可能性のスコアを大きくする。例えば候補地点評価部213は、図9に示すように、上記可能性のスコアを4とする(ステップS19)。
【0072】
ステップS16において、選択地点が右折・直進兼用レーンのある区間に位置しないと判定した場合、図15に示すように、選択地点は右折専用レーン41及び右折・直進兼用レーン42のいずれもない区間に位置することとなる。この場合、直進専用レーン43又は直進・左折兼用レーン44においてUターンを待機することとなるので、右折専用レーン41又は右折・直進兼用レーン42にてUターンを待機する場合に比較して、後続の他車両の通行に影響を及ぼす可能性が高くなる。そこで候補地点評価部213は、ステップS19におけるスコアリングに比較して上記可能性のスコアを大きくする。例えば候補地点評価部213は、図9に示すように、上記可能性のスコアを5とする(ステップS21)。
【0073】
ステップS11において、選択地点が中央分離帯のある区間に位置しないと判定した場合、図10に示すように、地図サーバ200は、ステップS12~21と同様のステップS22~S31を実行する。選択地点が中央分離帯のある区間に位置しない場合、中央分離帯の切れ目に退避してUターンを待機することはできないので、ステップS11が存在する場合よりも後続の他車両の通行に影響を及ぼす可能性は高くなる。そこで候補地点評価部213は、ステップS12~S21における上記可能性のスコアの最大値よりも、ステップS22~S31における上記可能性のスコアの最小値を大きくする。例えば候補地点評価部213は、ステップS14に対応するステップS24において上記可能性のスコアを6とし、ステップS15に対応するステップS25において上記可能性のスコアを7とし、ステップS18に対応するステップS28において上記可能性のスコアを8とし、ステップS19に対応するステップS29において上記可能性のスコアを9とし、ステップS21に対応するステップS31において上記可能性のスコアを10とする。以上でスコアリング手順が完了する。
【0074】
〔経路誘導手順〕
続いて、経路誘導方法の一例として、経路誘導装置100が実行する経路誘導手順を例示する。この手順は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点のそれぞれについて、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性を地図データに基づいてスコアリングすることと、上記可能性のスコアが最も低いUターン地点を複数の候補地点から選択することと、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データに基づいて出力することと、を含む。
【0075】
図16に示すように、経路誘導装置100は、まずステップS41,S42,S43,S44,S45を実行する。ステップS41では、位置情報取得部117が、ユーザインタフェース400から目的地の位置情報を取得する。ステップS42では、位置情報取得部117が、位置センサ300から現在地の位置情報を取得する。
【0076】
ステップS43では、地図データ取得部112が、現在地と目的地とを含むエリア(上記探索対象エリア)の地図データを地図サーバ200から取得し、地図データ記憶部113に保存する。ステップS44では、地図データ記憶部113が記憶する地図データに基づいて、経路探索部111が現在地から目的地までの経路(上記概略経路)を探索する。ステップS45では、経路探索部111が、現在地から目的地に到達するために、少なくとも1地点(上記逆転地点)における進行方向の逆転が必要であるか否かを判定する。
【0077】
ステップS45において進行方向の逆転が必要であると判定した場合、経路誘導装置100はステップS46,S47,S48,S49,S51を実行する。ステップS46では、候補地点評価部114が、逆転地点から所定距離の範囲内における複数のUターン可能地点を複数の候補地点として地図データ記憶部113の地図データから抽出する。
【0078】
ステップS47では、候補地点評価部114が、地図データ記憶部113の地図データが含むスコアデータ240に従って、各候補地点の上記可能性のスコアを定める。ステップS48では、Uターン地点選択部115が、上記可能性のスコアが最も低いUターン地点を上記複数の候補地点から選択する。
【0079】
ステップS49では、経路出力部116が、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データ記憶部113の地図データに基づいて導出する。例えば経路出力部116は、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を、上記概略経路に付加した詳細経路をネットワークデータ220に基づいて導出する。ステップS51では、経路出力部116が、詳細経路をユーザインタフェース400に出力し、ユーザインタフェース400の表示デバイスに表示させる。
【0080】
ステップS45において進行方向の逆転が必要でないと判定した場合、経路誘導装置100は、ステップS46~S49を実行することなくステップS51を実行する。この場合、経路出力部116は、上記概略経路を詳細経路としてユーザインタフェース400に出力し、ユーザインタフェース400の表示デバイスに表示させる。
【0081】
次に、経路誘導装置100は、ステップS52を実行する。ステップS52では、車両が目的地に到達したか否かを位置情報取得部117が確認する。ステップS52において、車両が目的地に到達していないと判定した場合、経路誘導装置100は、ステップS53を実行する。ステップS53では、車両が出力済みの詳細経路から逸脱したか否かを位置情報取得部117が確認する。
【0082】
ステップS53において、車両が詳細経路から逸脱していないと判定した場合、経路誘導装置100は処理をステップS52に戻す。以後、車両が詳細経路から逸脱しない限り、経路誘導装置100は車両が目的地に到達するのを待機する。ステップS53において、車両が詳細経路から逸脱していると判定した場合、経路誘導装置100は処理をステップS42に戻す。これにより、逸脱後の現在地に基づいて、概略経路の探索と、詳細経路の出力とが再度実行される。ステップS52において、車両が目的地に到達したと判定した場合、経路誘導手順が完了する。
【0083】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、経路誘導装置100は、目的地に到達するために少なくとも1地点における進行方向の逆転が必要である場合に、進行方向の逆転のためのUターンが可能な複数の候補地点における車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のスコアに基づいて、複数の候補地点から1つの候補地点をUターン地点として選択するUターン地点選択部115と、Uターン地点におけるUターンによる進行方向の逆転を含んで目的地に到達する経路を地図データに基づいて出力する経路出力部116と、を備える。例えば、Uターン地点選択部115は、複数の候補地点からスコアが最も低い候補地点をUターン地点として選択してもよい。
【0084】
経路誘導装置100によれば、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性の低いUターン地点が的確に選択され、当該Uターン地点におけるUターンを含む経路が出力される。従って、車両のUターンが他車両の通行に及ぼす影響の抑制に有効である。
【0085】
候補地点評価部114は、複数の候補地点のいずれかの候補地点が中央分離帯30のある区間に位置する場合に、中央分離帯30のない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。この場合、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性の的確なスコアリングを容易に行うことができる。
【0086】
候補地点評価部114は、複数の候補地点のいずれかの候補地点が右折専用レーン41のある区間に位置する場合に、右折専用レーン41のない区間に当該候補地点が位置する場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。この場合、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のより的確なスコアリングを容易に行うことができる。
【0087】
候補地点評価部114は、複数の候補地点のいずれかの候補地点において信号機50により右折専用期間が設けられる場合には、当該候補地点において右折専用期間が設けられない場合に比較して、当該候補地点のスコアを低く評価してもよい。この場合、車両のUターンが他車両の通行に影響を及ぼす可能性のより的確なスコアリングを容易に行うことができる。
【0088】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0089】
以上の実施形態は、車両のUターンが他車両の通行に及ぼす影響の抑制に有効な経路誘導装置及びデータ構造を提供する。また、以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、車両の適切な誘導に有効な経路誘導装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0090】
30…中央分離帯、41…右折専用レーン、50…信号機、100…経路誘導装置、114…候補地点評価部、115…Uターン地点選択部、116…経路出力部、220…ネットワークデータ、240…スコアデータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図16