(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20231121BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20231121BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20231121BHJP
【FI】
H01L21/30 562
H01L21/30 564Z
H01L21/30 569D
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019219556
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】松井 良一
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/171631(WO,A1)
【文献】特開2013-206962(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110337(WO,A1)
【文献】特開2019-091759(JP,A)
【文献】特開2016-196361(JP,A)
【文献】特開2016-181220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/00-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理部と、
前記処理部にアクセスする作業者を撮像する少なくとも1つのカメラと、
前記カメラによって撮像された動画データを記憶する記憶部と
、
前記カメラの撮像範囲を、前記処理部によって前記基板を処理する基板処理モードと、前記処理部に関するメンテナンス作業を行うメンテナンスモードとで切り替える切り替え部とを備え、
前記切り替え部は、前記メンテナンスモードにおける前記カメラの撮像範囲を、前記処理部にアクセスする前記作業者を含む範囲に切り替え、
前記基板処理モードにおける前記カメラの撮像範囲が、前記処理部に対して搬入または搬出される前記基板を含む撮像範囲であり、
前記処理部は、スリットノズルから塗布液を吐出して塗膜を形成する塗布機構であり、
前記カメラは、前記メンテナンスモードにおいて前記塗布機構における前記スリットノズルをメンテナンスする前記作業者を、前記スリットノズルを中心とする撮像範囲において撮像する、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記処理部は、前記基板を処理するための処理装置と、前記処理装置を制御するための情報を入力するための操作部
とを含む、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載の基板処理装置であり、
前記カメラを複数備え、
前記切り替え部は、前記メンテナンスモードにおける複数の前記カメラのうちの2以上の前記カメラの撮像範囲を、前記処理部にアクセスする前記作業者を含む範囲に切り替える、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デバイスの製造に際しては、当該デバイスに用いられる半導体基板またはガラス基板などの基板に様々な処理液を供給する基板処理が行われる。
【0003】
一方で、上記の基板処理を行う基板処理装置には、あらかじめ定められたタイミングでのメンテナンスが必要である。メンテナンス作業を行う際には、基板処理装置の稼働が停止され、メンテナンス作業を行うために基板処理装置にアクセスする作業者の安全が確保される(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特にメンテナンス作業の終了後に基板処理装置を再稼働させる際に、基板処理装置が正常に稼働しない場合がある。これは、メンテナンス作業を行った作業者が不意に基板処理装置内の機器に接触し、当該機器が破損してしまった場合、または、メンテナンス作業のために作業者が基板処理装置の一部の設定を変更したが、当該変更を元に戻すことを作業者が忘れている場合などが原因となることがある。
【0006】
このような原因で基板処理装置の再稼働が妨げられると、メンテナンス作業の度に基板処理装置の稼働率が低下してしまう。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、メンテナンス作業などのために作業者が基板処理装置にアクセスする場合であっても、基板処理装置の稼働率の低下を抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、基板を処理するための処理部と、前記処理部にアクセスする作業者を撮像する少なくとも1つのカメラと、前記カメラによって撮像された動画データを記憶する記憶部と、前記カメラの撮像範囲を、前記処理部によって前記基板を処理する基板処理モードと、前記処理部に関するメンテナンス作業を行うメンテナンスモードとで切り替える切り替え部とを備え、前記切り替え部は、前記メンテナンスモードにおける前記カメラの撮像範囲を、前記処理部にアクセスする前記作業者を含む範囲に切り替え、前記基板処理モードにおける前記カメラの撮像範囲が、前記処理部に対して搬入または搬出される前記基板を含む撮像範囲であり、前記処理部は、スリットノズルから塗布液を吐出して塗膜を形成する塗布機構であり、前記カメラは、前記メンテナンスモードにおいて前記塗布機構における前記スリットノズルをメンテナンスする前記作業者を、前記スリットノズルを中心とする撮像範囲において撮像する。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第1の態様に関連し、前記処理部は、前記基板を処理するための処理装置と、前記処理装置を制御するための情報を入力するための操作部とを含む。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第3の態様は、第1または2の態様に関連し、前記カメラを複数備え、前記切り替え部は、前記メンテナンスモードにおける複数の前記カメラのうちの2以上の前記カメラの撮像範囲を、前記処理部にアクセスする前記作業者を含む範囲に切り替える。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に開示される技術の第1から3の態様によれば、カメラを用いて撮像された、処理部にアクセスする作業者の動画データを記憶することができるため、メンテナンス作業などのために作業者が基板処理装置にアクセスする場合であっても、早期に不具合の原因となり得る事象を発見することによって、基板処理装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【0015】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に関する、基板処理装置の構成の例を概略的に示す図である。
【
図2】制御部の構成の例を概念的に示す機能ブロック図である。
【
図3】基板処理装置の一部の構成の例を概略的に示す図である。
【
図4】実施の形態に関する基板処理装置の、特にカメラの動作を示す図である。
【
図5】実施の形態に関する基板処理装置の、特にカメラの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0018】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0019】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0020】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0021】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0022】
また、以下に記載される説明における、相対的または絶対的な位置関係を示す表現、たとえば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」または「同軸」などは、特に断らない限りは、その位置関係を厳密に示す場合、および、公差または同程度の機能が得られる範囲において角度または距離が変位している場合を含むものとする。
【0023】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0024】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。
【0025】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成の例を概略的に示す図である。
【0026】
図1の例では、基板処理装置1はコータおよびデベロッパ装置であり、主として、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、レジスト塗布装置14、プリベーク装置15、露光装置16、現像装置17およびポストベーク装置18のそれぞれの処理装置と、上記の装置群への基板の搬入および搬出を行うインデクサ部11と、カメラ10Aと、カメラ10Bと、カメラ10Cと、カメラ10Dと、カメラ10E(以下、これらを区別せずに、単に「カメラ」と称する場合がある)と、操作パネル20と、ユニット操作パネル20Aと、ユニット操作パネル20Bと、ユニット操作パネル20Cと、ユニット操作パネル20Dと、ユニット操作パネル20Eと、ユニット操作パネル20Fと、ユニット操作パネル20Gと、ユニット操作パネル20H(以下、これらを区別せずに、単に「ユニット操作パネル」と称する場合がある)とを備えている。
【0027】
インデクサ部11から露光装置16までの行きラインには、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、レジスト塗布装置14およびプリベーク装置15などがこの順で配置される。露光装置16からインデクサ部11までの帰りラインには、現像装置17およびポストベーク装置18などがこの順で配置される。
【0028】
インデクサ部11には、複数の基板を収納する複数のカセットが載置される。基板は、たとえば、液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチセンサーまたはマイクロLEDなどに用いられる矩形状のガラス基板、または、半導体基板である。インデクサ部11には、基板搬送手段としてのインデクサロボットが配置されている。インデクサロボットはカセットから基板を取り出し、当該基板を洗浄装置12へと搬送(投入)する。
【0029】
洗浄装置12においては、基板に洗浄処理が行われる。洗浄処理が行われた基板は、脱水ベーク装置13に搬送される。脱水ベーク装置13においては、加熱により脱水処理(脱水ベーク処理)が行われる。脱水ベーク処理が行われた基板は、レジスト塗布装置14に搬送される。
【0030】
レジスト塗布装置14においては、レジスト塗布処理が行われる。レジスト塗布処理が行われた基板は、プリベーク装置15に搬送される。プリベーク装置15においては、加熱処理が行われる。加熱処理が行われた基板は、露光装置16に搬送される。露光装置16においては、露光処理が行われる。
【0031】
これらの処理が行われた基板は、現像装置17に搬送され、現像処理が行われる。現像処理が行われた基板は、ポストベーク装置18に搬送され、加熱処理が行われる。
【0032】
その後、当該基板は、インデクサロボットによってインデクサ部11に載置される元のカセットに収容される。これらの一連の処理によって、基板の表面にはレジストのパターンが形成される。
【0033】
基板処理装置に備えられるそれぞれのカメラは、遠隔操作可能であり、かつ、制御部60と有線または無線で接続される。それぞれのカメラは、たとえば、固体撮像素子のひとつであるCCDと、電子シャッター、レンズなどの光学系とを備え、動画撮影が可能である。
【0034】
それぞれのカメラは、制御部60の制御によって撮像範囲を変更可能であり、たとえば、カメラ10Aであれば、インデクサ部11、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、ユニット操作パネル20A、操作パネル20、ユニット操作パネル20B、ユニット操作パネル20Cおよびユニット操作パネル20Dなどを含む範囲内で撮像範囲を変更可能である。
【0035】
操作パネル20は、タッチパネルなどの、タッチ操作またはボタン操作などを行うための操作部である。操作パネル20には、基板処理装置1におけるそれぞれのロボット(たとえば、インデクサロボットなどの搬送ロボット)およびそれぞれの処理装置が制御対象として表示される。操作パネル20において入力される操作は、後述の制御部60と連動可能である。
【0036】
ユニット操作パネルは、タッチパネルまたはボタン操作などを行うための操作部である。ユニット操作パネルは、対応する処理装置が制御対象として表示される。具体的には、ユニット操作パネル20Aであれば、対応するインデクサ部11が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Bであれば、対応する洗浄装置12が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Cであれば、対応する脱水ベーク装置13が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Dであれば、対応するレジスト塗布装置14が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Eであれば、対応するプリベーク装置15が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Fであれば、対応する露光装置16が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Gであれば、対応する現像装置17が制御対象として表示され、ユニット操作パネル20Hであれば、対応するポストベーク装置18が制御対象として表示される。
【0037】
なお、基板処理装置1は、一連の処理が行われる基板の状態(基板に割れまたは欠けなどが生じていないか)を検査する基板検査部を、たとえば、インデクサ部11と洗浄装置12との間、脱水ベーク装置13とレジスト塗布装置14との間、露光装置16と現像装置17との間、または、ポストベーク装置18とインデクサ部11との間などに備えていてもよい。
【0038】
上記の基板検査部としては、たとえば、処理対象である基板に対して光を照射し、反射される光の受光レベルを測定する機器が想定される。そして、基板検査部は、測定される光の受光レベルが低い場合に、当該基板に割れまたは欠けなどが生じていることを検出することができる。
【0039】
また、基板処理装置1は、それぞれの処理装置での処理および基板の搬送を制御する制御部60を備える。
図2は、制御部60の構成の例を概念的に示す機能ブロック図である。
【0040】
制御部60はたとえば制御回路であって、
図2に例が示されるように、CPU(CentralProcessingUnit)61、ROM(ReadOnlyMemory)62、RAM(RandomAccessMemory)63および記憶部64などが、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。
【0041】
ROM62は基本プログラムなどを格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶部64は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0042】
また、制御部60では、入力部66、表示部67および通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU61による制御で各種の情報を表示する。通信部68は、LAN(LocalAreaNetwork)などを介したデータ通信機能を有する。
【0043】
また、制御部60には、それぞれのロボット(たとえば、インデクサロボットなどの搬送ロボット)およびそれぞれの処理装置が制御対象として接続されている。すなわち、制御部60は、基板の搬送を制御する搬送制御部として機能することができる。また、制御部60は、インデクサ部11から洗浄装置12への基板の投入を開始させたり、または、当該投入を停止させたりするための制御信号を、インデクサ部11へと発信する信号発信手段として機能することができる。
【0044】
制御部60における制御内容は、操作パネル20およびそれぞれのユニット操作パネルに反映させて表示することができる。
【0045】
制御部60の記憶部64には、基板処理装置1を構成するそれぞれの装置の搬送制御についての複数のモード、また、それぞれのカメラの撮像範囲についての複数のモードがあらかじめ設定されている。また、制御部60の記憶部64には、それぞれのカメラで撮像された画像(動画)データが記憶されている。制御部60のCPU61が処理プログラムPを実行することによって、上記の搬送制御に関する複数のモードのうちの1つのモード、または、上記のカメラの撮像範囲に関する複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードによって基板の搬送動作またはカメラを用いる撮像動作が制御される。
【0046】
また、処理プログラムPは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部60(コンピュータ)に処理プログラムPをインストールすることができる。また制御部60が実行する機能の一部または全部は必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0047】
図3は、
図1の基板処理装置1の一部の構成の例を概略的に示す図である。
図3の例においては、レジスト塗布装置14が示されている。
図3に示されるレジスト塗布装置14における各駆動部は、
図1に例が示された制御部60の制御によって駆動する。
【0048】
レジスト塗布装置14は、
図3の左手側から右手側に向けて水平姿勢で搬送される基板Wの上面Wfに塗布液を塗布するスリットコータである。
【0049】
レジスト塗布装置14では、基板Wの搬送方向(+X方向)に沿って、入力コンベア100、入力移載部2、浮上ステージ部3、出力移載部4、出力コンベア110がこの順に近接して配置されており、以下に詳述するように、これらにより略水平方向に延びる基板Wの搬送経路が形成されている。
【0050】
すなわち、処理対象である基板Wは
図3の左手側から入力コンベア100に搬入される。入力コンベア100は、コロコンベア101と、これを回転駆動する駆動機構102とを備えており、コロコンベア101の回転により基板Wは水平姿勢で下流側、つまり(+X)方向に搬送される。
【0051】
入力移載部2は、コロコンベア21と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する駆動機構22とを備えている。コロコンベア21が回転することで、基板Wはさらに(+X)方向に搬送される。また、コロコンベア21が昇降することで、基板Wの鉛直方向位置が変更される。入力移載部2によって、基板Wは入力コンベア100から浮上ステージ部3に移載される。
【0052】
浮上ステージ部3は、基板Wの搬送方向に沿って3分割された平板状のステージを備える。すなわち、浮上ステージ部3は、入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33を備えており、これらのそれぞれのステージの上面は互いに同一平面の一部をなしている。
【0053】
入口浮上ステージ31および出口浮上ステージ33のそれぞれの上面には、制御機構35の制御によって供給される圧縮空気を噴出する噴出孔がマトリックス状に多数設けられており、噴出される気流から付与される浮力により基板Wが浮上して、つまり基板Wの下面がステージ上面から離間した状態で水平姿勢に支持される。基板Wの下面とステージ上面との間の距離は、たとえば、10μm以上、かつ、500μm以下とすることができる。
【0054】
一方、塗布ステージ32の上面では、圧縮空気を噴出する噴出孔と、基板Wの下面とステージの上面との間の空気を吸引する吸引孔とが交互に配置されている。制御機構35が噴出孔からの圧縮空気の噴出量と吸引孔からの吸引量とを制御することによって、基板Wの下面と塗布ステージ32の上面との距離が精密に制御される。これによって、塗布ステージ32の上方を通過する基板Wの上面Wfの鉛直方向位置が規定値に制御される。
【0055】
入力移載部2を介して浮上ステージ部3に搬入される基板Wは、コロコンベア21の回転により(+X)方向への推進力を付与されて、入口浮上ステージ31上に搬送される。
【0056】
入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33は基板Wを浮上状態に支持するが、基板Wを水平方向に移動させる機能を有していない。浮上ステージ部3における基板Wの搬送は、入口浮上ステージ31、塗布ステージ32および出口浮上ステージ33の下方に配置された基板搬送部5により行われる。
【0057】
基板搬送部5は、基板Wの下面周縁部に部分的に当接することで基板Wを下方から支持するチャック51と、チャック51上端の支持部位に設けられた吸着パッドに負圧を与えて基板Wを吸着保持させる機能およびチャック51をX方向に往復走行させる機能を有する制御機構52とを備えている。チャック51が基板Wを保持した状態では、基板Wの下面は浮上ステージ部3のそれぞれのステージの上面よりも高い位置に位置している。したがって、基板Wは、チャック51により周縁部を吸着保持されつつ、浮上ステージ部3から付与される浮力により全体として水平姿勢を維持する。
【0058】
入力移載部2から浮上ステージ部3に搬入された基板Wをチャック51が保持し、この状態でチャック51が(+X)方向に移動することで、基板Wが入口浮上ステージ31の上方から塗布ステージ32の上方を経由して出口浮上ステージ33の上方へ搬送される。
【0059】
搬送された基板Wは、出口浮上ステージ33の(+X)側に配置された出力移載部4に受け渡される。
【0060】
出力移載部4は、コロコンベア41と、これを回転駆動する機能および昇降させる機能を有する駆動機構42とを備えている。コロコンベア41が回転することで、基板Wに(+X)方向への推進力が付与され、基板Wは搬送方向に沿ってさらに搬送される。また、コロコンベア41が昇降することで基板Wの鉛直方向位置が変更される。
【0061】
出力移載部4によって、基板Wは出口浮上ステージ33の上方から出力コンベア110に移載される。
【0062】
出力コンベア110は、コロコンベア111と、これを回転駆動する駆動機構112とを備えており、コロコンベア111の回転により基板Wはさらに(+X)方向に搬送され、最終的にレジスト塗布装置14外へと払い出される。
【0063】
なお、入力コンベア100および出力コンベア110はレジスト塗布装置14の構成の一部として設けられてもよいが、レジスト塗布装置14とは別体のものであってもよい。また、たとえば、レジスト塗布装置14の上流側に設けられる別ユニットの基板払い出し機構が入力コンベア100として用いられてもよい。また、レジスト塗布装置14の下流側に設けられる別ユニットの基板受け入れ機構が出力コンベア110として用いられてもよい。
【0064】
このようにして搬送される基板Wの搬送経路上に、基板Wの上面Wfに塗布液を塗布するための塗布機構が2組配置される。具体的には、入口浮上ステージ31の上方に塗布機構6が、また出口浮上ステージ33の上方には塗布機構7が、それぞれ設けられる。
【0065】
塗布機構6は、スリットノズル161と、スリットノズル161に対しメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット165とを備えている。また、塗布機構7は、スリットノズル71と、スリットノズル71に対しメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット75とを備えている。
【0066】
スリットノズル161およびスリットノズル71には、図示しない塗布液供給部から塗布液が供給され、ノズル下部に下向きに開口する吐出口から塗布液が吐出される。スリットノズル161およびスリットノズル71に供給される塗布液は、互いに同一のものであってもよく、また異なるものであってもよい。
【0067】
スリットノズル161は、位置決め機構163によりX方向およびZ方向に移動位置決め可能となっている。同様に、スリットノズル71は、位置決め機構73によりX方向およびZ方向に移動位置決め可能となっている。位置決め機構163および位置決め機構73によって、スリットノズル161およびスリットノズル71が選択的に、塗布ステージ32の上方の塗布位置(破線で示される位置)に位置決めされる。
【0068】
塗布位置に位置決めされたノズルから塗布液が吐出されて、塗布ステージ32との間を搬送されてくる基板Wに当該塗布液が塗布される。こうして基板Wへの塗布液の塗布が行われる。
【0069】
メンテナンスユニット165は、スリットノズル161を洗浄するための洗浄液を貯留するバット651と、予備吐出ローラ652と、ノズルクリーナ653と、予備吐出ローラ652およびノズルクリーナ653の動作を制御する制御機構654とを備えている。
【0070】
また、メンテナンスユニット75は、スリットノズル71を洗浄するための洗浄液を貯留するバット751と、予備吐出ローラ752と、ノズルクリーナ753と、予備吐出ローラ752およびノズルクリーナ753の動作を制御する制御機構754とを備えている。
【0071】
スリットノズル161が予備吐出ローラ652の上方であり、かつ、吐出口が予備吐出ローラ652の上面に対向する位置(第1の予備吐出位置)では、スリットノズル161の吐出口から予備吐出ローラ652の上面に対して塗布液が吐出される。
【0072】
スリットノズル161は、塗布位置へ位置決めされるのに先立って第1の予備吐出位置に位置決めされ、吐出口から所定量の塗布液を吐出して予備吐出処理を実行する。このように塗布位置へ移動させる前のスリットノズル161に予備吐出処理を行わせることによって、塗布位置での塗布液の吐出をその初期段階から安定させることができる。制御機構654が予備吐出ローラ652を回転させることで、吐出された塗布液はバット651に貯留された洗浄液に混合されて回収される。
【0073】
また、スリットノズル161がノズルクリーナ653の上方位置(第1の洗浄位置)にある状態では、ノズルクリーナ653が洗浄液を吐出しながらY方向に移動することによって、スリットノズル161の吐出口およびその周囲に付着した塗布液が洗い流される。
【0074】
また、位置決め機構163は、スリットノズル161を第1の洗浄位置よりも下方でノズル下端がバット651内に収容される位置(第1の待機位置)に位置決めすることが可能である。スリットノズル161を用いた塗布処理が実行されないときには、スリットノズル161はこの第1の待機位置に位置決めされる。なお、図示を省略しているが、第1の待機位置に位置決めされたスリットノズル161に対し吐出口における塗布液の乾燥を防止するための待機ポッドが配置されてもよい。
【0075】
スリットノズル71についても同様である。具体的には、スリットノズル71が予備吐出ローラ752の上面に対向する第2の予備吐出位置に位置決めされて、スリットノズル71により予備吐出処理が実行される。また、スリットノズル71がノズルクリーナ753上方の第2の洗浄位置にある状態では、ノズルクリーナ753によりスリットノズル71の洗浄が行われる。そして、スリットノズル71を用いた塗布処理が実行されないときには、スリットノズル71は第2の待機位置に位置決めされる。
【0076】
図3においては、第1の予備吐出位置にあるスリットノズル161が実線によって、第1の洗浄位置にあるスリットノズル161が点線によってそれぞれ表されている。また、第2の予備吐出位置にあるスリットノズル71が実線によって、第2の待機位置にあるスリットノズル71が点線によってそれぞれ表されている。図示されていないが、スリットノズル161に対応する第1の待機位置およびスリットノズル71に対応する第2の洗浄位置についても同様に定義することができる。
【0077】
このように、塗布機構6は塗布位置よりも上流側に配置されており、位置決め機構163が必要に応じてスリットノズル161を塗布ステージ32上方の塗布位置へ移動させることによって、スリットノズル161による基板Wへの塗布が実現される。メンテナンスユニット165も塗布位置よりも上流側に配置されている。メンテナンスユニット165におけるスリットノズル161の停止位置のうち、第1の予備吐出位置が最も下流側で塗布位置に近い位置に設定され、第1の洗浄位置および第1の待機位置は第1の予備吐出位置よりも上流側に設定されている。
【0078】
一方、塗布機構7は塗布位置よりも下流側に配置されており、位置決め機構73が必要に応じてスリットノズル71を塗布ステージ32上方の塗布位置へ移動させることによって、スリットノズル71による基板Wへの塗布が実現される。メンテナンスユニット75も塗布位置よりも下流側に配置されている。メンテナンスユニット75におけるスリットノズル71の停止位置のうち、第2の予備吐出位置が最も上流側で塗布位置に近い位置に設定され、第2の洗浄位置および第2の待機位置は第2の予備吐出位置よりも下流側に設定されている。
【0079】
つまり、塗布機構6と塗布機構7とは、塗布位置を挟んでYZ平面に関して対称な構成とすることができる。なお、塗布機構6と塗布機構7との間でそれぞれの部の形状が完全な対称性を有している必要はなく、必要に応じてそれぞれの部の構成が変更されていてもよい。
【0080】
メンテナンスユニット165は、塗布位置よりも上流側位置であって、スリットノズル71が塗布位置に位置決めされたときに、メンテナンスユニット165および第1の予備吐出位置に位置決めされたスリットノズル161がスリットノズル71に干渉しないような位置に設置される。第1の洗浄位置および第1の待機位置は第1の予備吐出位置よりもさらに塗布位置から離れているため、これらの位置にあるスリットノズル161が塗布位置にあるスリットノズル71と干渉することはない。
【0081】
同様に、メンテナンスユニット75は、塗布位置よりも下流側位置であって、スリットノズル161が塗布位置に位置決めされたときに、メンテナンスユニット75および予備吐出位置に位置決めされたスリットノズル71がスリットノズル161に干渉しないような位置に設置される。第2の洗浄位置および第2の待機位置も第2の予備吐出位置よりもさらに塗布位置から離れているため、これらの位置にあるスリットノズル71が塗布位置にあるスリットノズル161と干渉することは回避される。
【0082】
なお、上記では、基板Wをステージ上に浮上させつつスリットノズルに対して移動させる浮上搬送方式の塗布装置が説明されたが、基板Wをステージ上に吸着して水平姿勢に支持しつつ基板Wに対してスリットノズルを移動させるタイプの塗布装置であってもよい。
【0083】
<基板処理装置の動作について>
次に、
図4および
図5を参照しつつ、本実施の形態に関する基板処理装置の動作を説明する。ここで、
図4および
図5は、本実施の形態に関する基板処理装置の、特にカメラの動作を示す図である。
【0084】
まず、
図4を参照しつつ、基板処理装置1が基板に対し一連の処理を行うモード(基板処理モード)におけるそれぞれのカメラの動作について説明する。
【0085】
上記の基板処理モードにおいては、それぞれのカメラは、搬送される基板、当該基板を処理する各種処理装置、または、各種処理装置を操作する作業者などを含む撮像範囲の画像(または動画)を撮像する。なお、基板処理の各工程に合わせて、それぞれのカメラの撮像範囲が工程途中で変更されてもよい。そして、それぞれのカメラにおいて得られた画像(または動画)データは、有線または無線で接続される制御部60において記憶部64に記憶される。
【0086】
なお、上記の基板処理モードにおけるそれぞれのカメラの撮像範囲には、それぞれのカメラに対応する処理装置に対して搬入または搬出される際の基板が含まれていてもよい。そのようにそれぞれのカメラの撮像範囲が設定されれば、それぞれの処理装置内での基板に生じる割れなどの不具合だけでなく、処理装置間を移動する際に基板に生じている不具合もカメラを用いて撮像することができる。
【0087】
次に、
図5を参照しつつ、基板処理装置1のメンテナンス作業を行うモード(メンテナンスモード)におけるそれぞれのカメラの動作について説明する。
【0088】
上記のメンテナンスモードにおいては、制御部60は、それぞれのカメラの撮像範囲を、あらかじめ定められたメンテナンス用撮像範囲に設定する。制御部60は、必要に応じて、それぞれのカメラの撮像範囲を、基板処理モードとメンテナンスモードとで切り替える。ここで、メンテナンス用撮像範囲は、メンテナンスを要する処理装置、および、当該処理装置を制御するためのユニット操作パネルのうちの少なくとも一方にアクセスする作業者を含む撮像範囲である。なお、以下では、メンテナンスを要する処理装置、および、当該処理装置を制御するための操作パネル(または、ユニット操作パネル)のうちの少なくとも一方を含むものを処理部と称する場合がある。
【0089】
メンテナンス作業に際して、作業者がメンテナンスを要する処理装置(
図5においては、斜線が付されたレジスト塗布装置14)に直接アクセスする場合、たとえば、レジスト塗布装置14のスリットノズル71(
図3を参照)を目視点検する、スリットノズル71の位置を調整する、スリットノズル71の先端等に付着した塗布液を払拭する、またはスリットノズル71を交換する場合などでは、制御部60は、少なくともメンテナンス用撮像範囲として、メンテナンスを要する処理装置にアクセスする作業者を含む撮像範囲を設定する。
【0090】
具体的には、カメラ10Aまたはカメラ10Bであれば、レジスト塗布装置14のスリットノズル71などにアクセスする作業者が撮像範囲に含まれるように、制御部60は、カメラ10Aまたはカメラ10Bのメンテナンス用撮像範囲として、レジスト塗布装置14のスリットノズル71を中心とする撮像範囲を設定する。なお、ここでいう「中心」とは、撮像範囲における中央領域であればよく、撮像範囲における厳密な中心のみを意図するものではない。
【0091】
また、メンテナンス作業に際して、作業者がメンテナンスを要する処理装置に間接的にアクセスする場合、たとえば、メンテナンスを要する処理装置を制御するためのユニット操作パネルを操作する場合などでは、制御部60は、少なくともメンテナンス用撮像範囲として、当該ユニット操作パネルにアクセスする作業者を含む撮像範囲を設定する。
【0092】
具体的には、カメラ10Cであれば、メンテナンスを要するレジスト塗布装置14を制御するためのユニット操作パネル20Dにアクセスする作業者が撮像範囲に含まれるように、制御部60は、カメラ10Cのメンテナンス用撮像範囲として、ユニット操作パネル20Dを中心とする撮像範囲を設定する。
【0093】
このようにそれぞれのカメラの撮像範囲を設定することによって、メンテナンス作業を行った作業者が処理装置に不意に接触した場合、または、操作パネル20(または、それぞれのユニット操作パネル)を用いて処理装置の設定をメンテナンス用に変更したことを作業者が忘れている場合などに、それぞれのカメラで記憶された動画データをリアルタイムまたは後で参照することによって、それらの事象を早期に発見することができる。よって、上記の不具合の原因を早期に解決し(具体的には、接触してしまった機器などの再調整、または、メンテナンス用に変更された設定値の再設定など)、基板処理装置の稼働率を高めることができる。
【0094】
なお、メンテナンス用撮像範囲が、基板処理モードのカメラの撮像範囲と同一である場合には、制御部60は、基板処理モードからメンテナンスモードに切り替わったとしても、カメラの撮像範囲を切り替える必要はない。すなわち、制御部60は、基板処理モードからメンテナンスモードへの切り替えまたはその逆の切り替えに際して、カメラの撮像範囲を切り替えなくともよい。
【0095】
また、
図5においては、カメラ10Dおよびカメラ10Eを含めて全てのカメラがレジスト塗布装置14のスリットノズル71およびユニット操作パネル20Dのうちの少なくとも一方(すなわち、処理部)を撮像範囲の中心として、処理部にアクセスする作業者を撮像するように設定されているが、メンテナンスモードにおいては、複数のカメラのうちの少なくとも1つのカメラが処理部を撮像範囲の中心としていればよい。ただし、複数のカメラが1つの処理部に向けられれば、様々な方向から撮像された画像(または動画)データを取得することができるため、不具合原因の発見精度を向上させることができる。
【0096】
また、メンテナンスを要する処理装置が複数存在する場合には、複数のカメラの撮像範囲が、それぞれの処理部を中心とするものに振り分けられてもよい。
【0097】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0098】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、処理部と、少なくとも1つのカメラと、記憶部64とを備える。ここで、処理部は、たとえば、基板を処理する処理装置であるレジスト塗布装置14、または、レジスト塗布装置14に対応するユニット操作パネル20Dなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。また、カメラは、たとえば、カメラ10A、カメラ10B、カメラ10C、カメラ10Dまたはカメラ10Eなどに対応するものである。カメラは、処理部にアクセスする作業者を撮像する。そして、記憶部64は、カメラによって撮像された動画データを記憶する。
【0099】
このような構成によれば、カメラを用いて撮像された、処理部にアクセスする作業者の動画データを記憶することができるため、メンテナンス作業のために作業者が基板処理装置にアクセスする場合であっても、早期に不具合の原因となり得る事象を発見することによって、基板処理装置の稼働率の低下を抑制することができる。また、メンテナンス後に基板処理装置を再稼働するに際して不具合が生じた場合であっても、記憶されている動画データを参照することによって、不具合の原因を早期かつ詳細に特定することができる。
【0100】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0101】
また、以上に記載された実施の形態によれば、処理部は、基板を処理するための処理装置(たとえば、レジスト塗布装置14)と、処理装置を制御するための情報を入力するための操作部(たとえば、ユニット操作パネル20D)とを含む。このような構成によれば、メンテナンスを要する処理装置自体にアクセスする作業者、または、メンテナンス作業に際して操作される操作部にアクセスする作業者を撮像することができるため、たとえば、作業者が不意に当該処理装置に接触してしまった場合、または、操作部を操作してメンテナンス作業のための設定変更を元に戻すことを作業者が忘れていた場合などであっても、これらの事象をカメラによって動画データに記憶しておくことができる。よって、早期に不具合の原因となり得る事象を発見することによって、基板処理装置の稼働率の低下を抑制することができる。また、メンテナンス後に基板処理装置を再稼働するに際して不具合が生じた場合であっても、記憶されている動画データを参照することによって、不具合の原因を早期かつ詳細に特定することができる。
【0102】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、切り替え部を備える。ここで、切り替え部は、たとえば、制御部60に対応するものである。制御部60は、カメラの撮像範囲を、処理部に含まれる処理装置によって基板を処理する基板処理モードと、処理部に含まれる処理装置のメンテナンス作業を行うメンテナンスモードとで切り替える。そして、制御部60は、メンテナンスモードにおけるカメラの撮像範囲を、処理部にアクセスする作業者を含むあらかじめ設定された範囲に切り替える。このような構成によれば、基板処理モードでは、基板処理における基板の割れなどの不具合を監視するためにカメラを用いつつ、メンテナンスモードでは、メンテナンス作業に起因して基板処理装置に生じる不具合を特定するためにカメラを用いることができる。
【0103】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理モードにおけるカメラの撮像範囲が、処理部に対して搬入または搬出される基板を含む撮像範囲である。このような構成によれば、基板処理装置における複数の処理装置間で搬入または搬出される際に、基板の割れなどを監視することができる。そのため、基板の不具合が一連の基板処理のどの段階で生じたのかを詳細に特定することができる。なお、基板割れの判定は、基板検査部において画像を目視することによって作業者が判断してもよいし、基板検査部において画像解析が行われることによって判断されてもよい。
【0104】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、カメラを複数備える。そして、制御部60は、メンテナンスモードにおける複数のカメラのうちの2以上のカメラ(たとえば、カメラ10Bおよびカメラ10C)の撮像範囲を、処理部にアクセスする作業者を含むあらかじめ設定された範囲に切り替える。このような構成によれば、複数のカメラが処理部および作業者を撮像することによって、処理部および作業者のさまざまな方向からの動画データを記憶することができるため、不具合の原因を早期かつ詳細に特定することができる。
【0105】
また、以上に記載された実施の形態によれば、処理部は、スリットノズル71(または、スリットノズル161)から塗布液を吐出して塗膜を形成する塗布機構6(または、塗布機構7)である。そして、カメラは、メンテナンスモードにおいて塗布機構6(または、塗布機構7)におけるスリットノズル71(または、スリットノズル161)をメンテナンスする作業者を撮像する。このような構成によれば、スリットノズルのメンテナンス作業の際に作業者が不意に当該スリットノズルに接触してしまった場合などに、当該事象をカメラによって動画データに記憶しておくことができるため、不具合の原因を早期かつ詳細に特定することができる。
【0106】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0107】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0108】
また、以上に記載された実施の形態で記載されたそれぞれの構成要素は、ソフトウェアまたはファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、それぞれの構成要素は「部」または「処理回路」(circuitry)などと称される。
【符号の説明】
【0109】
1 基板処理装置
2 入力移載部
3 浮上ステージ部
4 出力移載部
5 基板搬送部
6,7 塗布機構
10A,10B,10C,10D,10E カメラ
11 インデクサ部
12 洗浄装置
13 脱水ベーク装置
14 レジスト塗布装置
15 プリベーク装置
16 露光装置
17 現像装置
18 ポストベーク装置
20 操作パネル
20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20H ユニット操作パネル
21,41,101,111 コロコンベア
22,42,102,112 駆動機構
31 入口浮上ステージ
32 塗布ステージ
33 出口浮上ステージ
35,52,654,754 制御機構
40 ベーク装置
51 チャック
60 制御部
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 記憶部
65 バスライン
66 入力部
67 表示部
68 通信部
71,161 スリットノズル
73,163 位置決め機構
75,165 メンテナンスユニット
100 入力コンベア
110 出力コンベア
651,751 バット
652,752 予備吐出ローラ
653,753 ノズルクリーナ