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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-20
(45)【発行日】2023-11-29
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20231121BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231121BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20231121BHJP
【FI】
G09F9/33
G09F9/00 338
H01L33/00 L
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019222777
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092646
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-137582(JP,A)
【文献】国際公開第2012/081536(WO,A1)
【文献】特開2016-136176(JP,A)
【文献】特開2003-272871(JP,A)
【文献】特表2007-531321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に位置し、それぞれ発光ダイオードを有する複数の画素、
前記複数の画素上の対向基板、および
前記対向基板に設けられ、前記複数の画素に含まれる複数の前記発光ダイオードの間の領域上に位置し、前記発光ダイオードの高さよりも大きな高さを有する少なくとも一つの柱状部材もしくは壁状部材であるリブを備え、
前記少なくとも一つのリブは、前記複数の画素の前記発光ダイオードと重なる複数の開口を有し、
前記複数の開口から選択される第1の開口と重なる前記画素の数は、前記複数の開口から選択される第2の開口と重なる前記画素の数と異なり、
前記基板は一部が湾曲し、湾曲領域と平坦領域を有し、
前記第1の開口と前記第2の開口は、それぞれ前記湾曲領域と前記平坦領域に位置する、表示装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのリブは、屈折率が1.40以上1.80以下の有機化合物を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのリブは金属を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのリブは、有機化合物、および前記有機化合物を覆う金属膜を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板上に位置し、前記少なくとも一つのリブの下に位置する複数の絶縁膜をさらに含み、
前記複数の絶縁膜の内前記対向基板に最も近い絶縁膜は、前記少なくとも一つのリブから離隔する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の開口はハニカム状に配置される、請求項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのリブは、ストライプ状に配置される複数のリブを含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素の一部に含まれる前記発光ダイオードは、隣接する前記リブの間で複数列に配置される、請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記基板と前記対向基板の間に、前記少なくとも一つのリブと前記複数の画素を囲むシーリング材をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記基板と前記対向基板の間に、前記複数の画素の前記発光ダイオードを覆う充填剤をさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の画素の前記発光ダイオード上に反射膜をさらに備える、請求項1に記載の表
示装置。
【請求項12】
前記複数の画素の一部の前記発光ダイオード上に反射膜をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つのリブと前記対向基板の間に遮光膜をさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1の開口と重なる前記画素の数は、前記第2の開口と重なる前記画素の数より小さい、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例として、基板上に配置される複数の画素のそれぞれに一つ、あるいは複数の発光ダイオード(LED)が配置されたLED表示装置が知られている。LED表示装置は視認性の高い映像を表示でき、任意の大きさや形状の表示装置を形成できること、また、LEDは有機発光ダイオード(OLED)と比較して信頼性が高いことから、新しいタイプの自発光型表示装置として期待されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0342654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明に係る実施形態の一つは、LEDが実装され、高い輝度の表示が可能であり、消費電力の低い表示装置を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明に係る実施形態の一つは、上記表示装置の製造方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、基板、複数の画素、対向基板、および少なくとも一つのリブを備える。複数の画素は基板上に位置し、それぞれ発光ダイオードを有する。対向基板は複数の画素上に位置する。少なくとも一つのリブは基板と対向基板に挟まれ、複数の画素に含まれる複数の発光ダイオードの間の領域上に位置し、発光ダイオードの高さよりも大きな高さを有する。
【0006】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、基板上に配線を形成すること、基板上に配線と電気的に接続される発光ダイオードを形成すること、開口を有する少なくとも一つのリブを対向基板上に形成すること、および発光ダイオードと開口が重なり、少なくとも一つのリブが基板と対向基板に挟まれるように、基板と対向基板を互いに固定することを含む。
【0007】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、基板上に配線を形成すること、基板上に配線と電気的に接続される発光ダイオードを形成すること、ストライプ状あるいは島状に配置される複数のリブを対向基板上に形成すること、および発光ダイオードが互いに隣接するリブの間の領域と重なり、複数のリブが基板と対向基板に挟まれるように、基板と対向基板を互いに固定することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図2】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図3】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図と断面図。
図4】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図5】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図6】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図7】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図8】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図9】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図10】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的上面図。
図11】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図12】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図13】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図14】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図15】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の模式的断面図。
図16】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の製造方法を示す模式的断面図。
図17】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の製造方法を示す模式的断面図。
図18】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の製造方法を示す模式的断面図。
図19】本発明の実施形態の一つに係る表示装置の製造方法を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
本明細書及び請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
<第1実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つである表示装置100の構造について説明する。
【0013】
1.全体構成
図1に表示装置100の上面模式図を示す。表示装置100は基板102を有し、基板102上にはパターニングされた種々の導電膜や絶縁膜が積層される。
【0014】
基板102は可視光に対する透過率の高い材料を含み、後述するLED140からの発光を透過するように構成される。より具体的には、基板102はガラスや石英、あるいはポリイミドやポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル、あるいは主鎖に芳香環を含むポリカルボナートなどの高分子から選択される材料を含む。基板102は可撓性を有してもよい。
【0015】
基板102上にはパターニングされた導電膜、絶縁膜、半導体膜が適宜配置され、これにより、画素回路をそれぞれ有する複数の画素104、複数の画素104を駆動するための駆動回路(走査線駆動回路108、信号線駆動回路110)、駆動回路から各画素104へ電流を供給するための配線として機能する複数の第1配線112と第2配線114、画素104や駆動回路と接続される複数の端子(図示しない)などが構成される。複数の端子にはフレキシブル印刷基板(FPC)などの回路基板116が接続され、電源や映像信号が回路基板116を介して図示しない外部回路から表示装置100に供給される。第1配線112と第2配線114の交点、またはその近傍に画素104が設けられ、第1配線112と第2配線114を介して各画素104の画素回路に電流が供給される。これによって複数の画素104によって定義される表示領域106に画像が表示される。画素104の配列に制約はなく、図1などに示すストライプ配列でもよく、あるいはデルタ配列などを採用してもよい。ここで、画素104とは色情報を与える最小単位であり、LED140(後述)とそれを駆動するための画素回路を含む領域である。表示領域106とは、すべての画素104を囲む最小面積を有する一つの領域を指す。
【0016】
表示装置100はアクティブマトリクス型の表示装置でもよく、この場合、パターニングされた種々の導電膜や絶縁膜、半導体膜の積層体によって各画素に一つ、あるいは複数のトランジスタや容量素子を含む画素回路が形成される。この場合、第1配線112はトランジスタに走査信号を供給する走査信号線、第2配線114はトランジスタに信号電圧を供給する信号線に該当する。表示装置100をパッシブ型の表示装置とする場合は、第1配線112はアノード線もしくはカソード線とも呼ばれ、同様に第2配線114はカソード線もしくはアノード線とも呼ばれる。さらに、走査線駆動回路108や信号線駆動回路110を設けなくてもよく、例えば第1配線112と第2配線114は回路基板116に接続されてもよい。
【0017】
2.画素
図2(A)に画素104の断面模式図を示す。各画素104にはLED140が設けられる。以下、LED140とは電流駆動型の発光素子であり、インジウムやガリウム、アルミニウム、窒素、リンなどの13族元素や14族元素を含む化合物半導体の積層体142、およびこの積層体142と電気的に接続される一対の電極144、146で構成される。より具体的には、積層体142はp型の化合物半導体を含むp層、n型の化合物半導体を含むn層、およびp層とn層が接することで形成されるpn接合層を備え、一対の電極144、146がそれぞれp層とn層に接続される。一対の電極144、146から直流電流が積層体142に供給され、p層とn層を介してキャリアが活性層に輸送される。活性層においてキャリアの再結合が生じ、再結合によって得られるエネルギーが光として取り出される。
【0018】
LED140の発光色に制約はない。典型的な例として、三原色を構成する複数の赤色発光、緑色発光、青色発光のLED140が表示装置100に配置されるよう、各画素104に赤色発光、緑色発光、青色発光のLED140のいずれかが一つ、あるいは複数配置される。一つの画素104に複数のLED140を設ける場合には、各画素104内においてLED140が同じ発光色を与えるようにLED140を配置してもよい。
【0019】
LED140の大きさや形状にも制約はない。基板102の主面と平行な面における大きさが数μm以上100μm以下のLEDはマイクロLEDと呼ばれ、100μm以上のLEDはミニLEDとも呼ばれる。本実施形態では任意の大きさのLEDを用いることができ、画素104の大きさに応じてマイクロLED、またはミニLEDをLED140として用いることができる。より具体的には、各LED140の基板102の主面と平行な面における形状は、一辺が1μm以上100μm以下、5μm以上50μm以下、あるいは10μm以上20μm以下の多角形でもよい。各LED140高さ、すなわち基板102の主面に垂直な方向における長さも1μm以上100μm以下、5μm以上50μm以下、あるいは10μm以上20μm以下の範囲で適宜設定される。
【0020】
各画素104に設けられる画素回路の構成に制約はない。例えば図2(A)に示すように、画素回路は、基板102を覆うパッシベーション膜120上に形成される第1配線112、第1配線112上に位置する第1の層間絶縁膜122上に設けられる第2配線114、第1配線112と第2配線114を覆う第2の層間絶縁膜124に設けられる開口においてそれぞれ第1配線112と第2配線114と電気的に接続される引出端子126、128などによって構成することができる。引出端子126、128の端部は保護絶縁膜130よって覆われていてもよい。パッシベーション膜120や第1の層間絶縁膜122、第2の層間絶縁膜124、保護絶縁膜130はそれぞれ酸化ケイ素や窒化ケイ素などのケイ素含有無機化合物を含む膜、あるいはエポキシ樹脂やアクリル樹脂、シリコン樹脂などの有機化合物を含む膜を一つ、あるいは複数含む膜である。第1の層間絶縁膜122は第1配線112と第2配線114の間を電気的に絶縁するために設けられる。
【0021】
LED140の一対の電極144、146は、導電剤132によってそれぞれ引出端子126、128と電気的に接続される。導電剤132としては、例えば銀や銅、ニッケルなどの金属の粒子を含むペースト、あるいははんだなどを含むことができる。第1配線112や第2配線114から供給される電流は引出端子126、128と導電剤132を介して一対の電極144、146に供給される。なお、引出端子126、128は任意の構成であり、導電剤132を介して第1配線112と第2配線114をそれぞれ電極144、146に直接接続してもよい。
【0022】
図2(A)に示した例では、一対の電極144、146は積層体142に対して同じ側に配置されているが、図2(B)に示すように、一対の電極144、146は積層体142を挟持するように配置されていてもよい。この場合、例えばLED140は封止膜136によって固定・封止され、一方の電極144が導電剤132によって第1配線112と電気的に接続される。他方の電極146は封止膜136から露出するように設けられ、封止膜136上に設けられる引出端子126(または128)に電気的に接続される。引出端子126はさらに、第2の層間絶縁膜124に設けられる開口を介して第2配線114と電気的に接続される。
【0023】
表示装置100にはさらに、基板102に対向する対向基板150が設けられていてもよい。対向基板150も基板102と同様、可視光を透過するように構成され、基板102で使用可能な材料を含むことができる。対向基板150は例えばカバーガラスとして基板102およびLED140を保護する。また、図示しないが、例えば基板102とパッシベーション膜120の間に遮光膜、あるいは反射膜を設けてもよい。反射膜は基板102とパッシベーション膜120の間に設けられるに限らず、基板102とLED140との間に設ければよい。これにより、LED140からの光を選択的に対向基板150側から取り出すことができる。
【0024】
以下、基板102とLED140、およびこれらの間に形成される種々の絶縁膜や配線を総じてバックプレーン101と記す。バックプレーン101によって表示装置100の基本的な機能である表示機能が発現される。
【0025】
3.リブ
表示装置100にはさらに、LED140からの発光を効果的に取り出すために、少なくとも一つのリブ160が設けられる。リブは例えば柱状部材や壁状部材などの突出した形状を有している。リブ160の構造を表示装置100の一部の模式的上面図(図3(A))、および図3(A)の鎖線A-A´に沿った断面の模式図(図3(B))に示す。見やすさを考慮し、図3(B)では画素回路や絶縁膜などの構成は図示されていない。
【0026】
これらの図に示すように、表示装置100は、複数の開口160aを有する少なくとも一つのリブ160を基板102と対向基板150の間に有する。リブ160は対向基板150側に固定される。したがって、リブ160は対向基板150と直接接する、あるいは対向基板150に後述する遮光膜166やオーバーコートなどの構造体が形成される場合には、これらの構造体の少なくとも一つと接する。リブ160は画素104、あるいはLED140とは重ならないように設けられる。すなわち、複数の開口160aが画素104、あるいはLED140と重なるようにリブ160が構成され、リブ160は隣接する画素104のLED140の間の領域上を延伸する。リブ160の高さはLED140の高さよりも大きくなるように調整される。
【0027】
リブ160を構成する材料に制約はなく、例えば高分子に例示される有機化合物が挙げられる。高分子としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、シリコン樹脂などが挙げられる。リブ160が有機化合物を含む場合、リブ160の屈折率が比較的高い方ことが好ましい。具体的には、屈折率が1.40以上1.80以下、1.40以上1.75以下、あるいは1.50以上1.75以下の材料を用いることが好ましい。屈折率の高い高分子としては、硫黄、ハロゲン、リンを含む高分子が挙げられる。硫黄を含む高分子としては、主鎖や側鎖にチオエーテル、スルホン、チオフェンなどの置換基を有する高分子が挙げられる。リンを含む高分子としては、主鎖や側鎖に亜リン酸基、リン酸基などが含まれる高分子、あるいはポリフォスファゼンなどが挙げられる。ハロゲンを含む高分子としては、臭素やヨウ素、塩素を置換基として有する高分子が挙げられる。これらの高分子は、分子間あるいは分子内で架橋していてもよい。
【0028】
あるいはリブ160は、金属を含んでもよい。金属としては例えばアルミニウム、銅、銀、マグネシウム、チタン、モリブデン、タングステンなどが挙げられ、なかでも可視光に対する反射率の高いアルミニウム、またはアルミニウムを含む合金が好ましい。
【0029】
あるいはリブ160は、上述した有機化合物を含み、かつ、リブ160の壁面を覆う金属膜を有していてもよい。金属膜に含まれる金属としては、上述した金属が例示される。
【0030】
このような構成を有するリブ160を設けることで、LED140からの発光を効率よく取り出すことができる。この効果を図3(B)を用いて説明する。LED140からの光は活性層からほぼ等方的に射出されるため、必ずしもすべての射出光が光の取出し方向(図3(B)では対向基板150側)へ進むとは限らない。例えば対向基板150を直接照射する光のみならず、基板102の主面に対して斜めの方向などにも光が射出される(図3(B)の点線矢印参照)。しかしながらリブ160を設けることでリブ160の表面で射出光が反射するので、対向基板150に直接入射される光のみならず、主面の法線から斜めに射出した光も対向基板150側へ進行させることが可能となる。例えばリブ160が有機化合物を有する場合、有機化合物の屈折率とLED140が存在する空間に充填される空気や不活性ガスの屈折率との差に起因して、リブ160の表面において光がフレネル反射する。リブ160が金属を有する、あるいはリブ160の表面が金属によって覆われている場合には、金属の高い反射率に起因してより効率よくLED140からの光が反射する。その結果、効果的にLED140からの発光を対向基板150に入射させることができ、各LED140の見かけ上の光取出し効率が増大する。このことは、輝度の高い画像を表示することを可能にすると同時に、表示装置100の消費電力の低減に寄与する。
【0031】
4.リブの形状と配置
リブ160の平面形状は図3(A)に示した形状に限られない。図3(A)に示すように、複数の開口160aのそれぞれが、一つの画素104に含まれるLED140と重なるようにリブ160を構成してもよく、あるいは図4(A)に示すように一つの開口160aに複数の画素104、あるいは複数の画素104に含まれる複数のLED140が重なるようにリブ160を構成してもよい。図4(A)に示す例では一つの開口160aに三つの画素104a、104b、104cが重なるようにリブ160が構成される。この場合、三つの画素104a、104b、104cに配置されるLED140の発光色は互いに異なってもよい。例えば画素104a、104b、104cにそれぞれ赤色、緑色、青色に発光するLED140を配置することができる。
【0032】
複数の開口160aの面積や幅W、長さLは表示領域106の全体で同一でも良く、あるいは表示領域106における位置によって異なってもよい。したがって図4(B)に示すように、開口160aに配置される画素104の数が表示領域106の位置によって互いに異なってもよい。ここで、開口160aの幅Wと長さLはそれぞれ、第1配線112と第2配線114に平行な方向における開口160aの長さ、または、第2配線114と第1配線112に平行な方向における開口160aの長さである(図4(A)参照)。
【0033】
図3(A)や図4(A)、図4(B)に示した例では、一つの表示装置100は、複数の開口160aを有する一つのリブ160を有するが、表示装置100はストライプ状に配置される複数のリブ160を備えてもよい(図5(A))。この場合、各リブ160は第1配線112と平行に配置してもよく、第2配線114と平行に配置してもよい。また、隣接するリブ160の間と重なる領域では、複数の画素104は一列(あるいは一行)に配置されてもよく(図5(A))、複数列(あるいは複数行)に配置されていてもよい(図5(B))。さらに図5(B)に示すように、一対の隣接するリブ160の間と重なる領域に配置される画素104の列(あるいは行)の数は、他の一対の隣接するリブ160の間に配置される画素104の列(あるいは行)の数と異なってもよい。
【0034】
あるいは図6(A)に示すように、表示装置100は島状に配置される複数のリブ160を備えてもよい。この場合、各リブ160は第1配線112または第2配線114と平行な方向に延伸するように形成される。隣接するリブ160の間と重なる領域に配置される画素104の数に制約はなく、図6(A)に示すように第1配線112が延伸する方向において隣接するリブ160bと160cの間と重なる領域には、画素104は一つだけ配置されていてもよく、図示しないが複数の画素104が配置されていてもよい。同様に、第2配線114が延伸する方向に隣接するリブ160dと160eの間と重なる領域には、画素104は一つだけ配置されていてもよく、複数の画素104が配置されていてもよい。なお、図6(A)では見やすさを考慮し、第1配線112と第2配線114はそれぞれ一本のみ図示されている。
【0035】
あるいは図6(B)に示すように、複数の開口160aがハニカム状に配置されるようにリブ160を構成してもよい。この場合、画素104に対してデルタ配列を適用することができる。
【0036】
上述したように、リブ160が複数の開口160aを有する場合(図3(A)参照)、開口160aの面積、長さL、または幅Wは表示装置100の全体で一定でもよいが、基板102の中心と端部付近で互いに異なってもよい。例えば図7(A)に示すように、基板102の中心における開口160aの幅Wまたは長さLは、基板102の端部側におけるそれらよりも小さくてもよい。あるいは図7(B)に示すように、基板102の中心における開口160aの幅Wまたは長さLは、基板102の端部側におけるそれらよりも大きくてもよい。また、幅Wまたは長さLは、基板102の中心から端部に向かうに従って段階的に、あるいは連続的に増大または減少してもよい。このような構成を採用することで、リブ160の密度を表示領域106内で変化させることができる。
【0037】
図示しないが、ストライプ状、あるいは島状に配置される複数のリブ160が表示装置100に設けられる場合には、隣接するリブ160間の距離が基板102の中心と端部付近において異なってもよく、基板102の中心から端部に向かうに従って段階的に、あるいは連続的に増大または減少するようにリブ160を構成してもよい。
【0038】
リブ160の断面形状、すなわち、基板102の主面に垂直な断面における形状にも制約はない。例えば図3(B)に示すように、基板102と対向基板150の間で同一、または実質的に同一の幅を有していてもよく、あるいは基板102から対向基板150に向かうにしたがって幅が減少する(図8(A))、または増大する(図8(B))ようにリブ160を構成してもよい。あるいは図8(C)に示すように、断面の輪郭が曲面を有するようにリブ160を構成してもよい。
【0039】
5.その他の構成
図9(A)に示すように、表示装置100は任意の構成としてシーリング材162を有してもよい。シーリング材162は基板102と対向基板150を固定し、これらの間の空間を密閉する機能を有し、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの樹脂を含む。上記空間には窒素やアルゴンなどの不活性ガス、または空気が封入される。シーリング材162を設けることで外部から酸素や水が表示装置100の内部に侵入することを防ぐことができ、表示装置100の信頼性をさらに向上させることができる。シーリング材162は、表示領域106を囲むように設けられる(図10)。すなわち、複数の画素104とこれらに配置されるLED140、およびリブ160を囲むように設けることができる。シーリング材162は走査線駆動回路108や信号線駆動回路110の一方、あるいは両者と重なるように設けてもよい。
【0040】
シーリング材162を設ける場合には、リブ160は基板102から離隔するように設けることができる(図9(B))。基板102上に種々の絶縁膜(例えば図2(A)や図2(B)に示したパッシベーション膜120や第1の層間絶縁膜122、第2の層間絶縁膜124、保護絶縁膜130など)を設ける場合、リブ160はこれらの絶縁膜のうち対向基板150に最も近い絶縁膜(以下、この絶縁膜を最上位絶縁膜と記す)から離隔するように設けることができる。この場合には、基板102と対向基板150との間の距離はシーリング材162によって維持、固定される。このような構成を採用することにより、後述するように基板102や対向基板150を湾曲させる際、リブ160に歪が発生せず、リブ160の破壊やこれに起因する表示装置100への悪影響を防止することができる。
【0041】
あるいは図9(C)に示すように、基板102と対向基板150の間に充填剤164を形成してもよい。充填剤164は基板102と対向基板150を固定するとともにLED140を覆い、LED140に対して外部から酸素や水が浸入することを防ぐ保護膜としての機能を有する。図示しないが、充填剤164とともにシーリング材162を設けてもよい。充填剤164に含まれる材料としては可視光に対して高い透過率を有する材料が好ましく、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ポリカルボナート、ポリエステルなどの高分子が挙げられる。好ましくは、充填剤164の屈折率がリブ160の屈折率よりも小さくなるよう、充填剤164を構成する材料が選択される。図示しないが、充填剤164にゼオライトやシリカゲルなどの乾燥剤、あるいは酸化チタンなどを含む光拡散粒子などが混合されていてもよい。
【0042】
あるいは図11(A)に示すように、表示装置100はリブ160と対向基板150の間に、リブ160と重なる遮光膜(ブラックマトリクス)166をさらに有してもよい。遮光膜166は可視光に対する透過性が低い材料を含む。例えば遮光膜166は、クロムやモリブデンなどの比較的光反射率の低い金属、あるいは樹脂材料と黒色またはそれに準ずる着色材との混合物を含むことができる。リブ160と遮光膜166は直接接してもよく、図示しないオーバーコートがリブ160と遮光膜166の間に設けられていてもよい。
【0043】
あるいは図11(B)に示すように、表示装置100はLED140と重なるカラーフィルタ168をすべての画素104、あるいは一部の画素104と重なるように設けてもよい。これにより、LED140から出射する光の色純度を向上させることができ、表示装置100の色域を拡大することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態に係る表示装置100では、LED140から出射される光のうち一部がリブ160の表面で反射し、反射光を対向基板150側へ集光させることができる。このため、LED140の見かけ上の発光効率が増大し、より高い輝度で映像を提供することができる。したがって、映像表示に必要とされる電流量の低減が可能であることから、低い消費電力の表示装置を提供することができ、さらに表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0045】
<第2実施形態>
本実施形態では、複数の画素104に設けられるLED140からの発光のすべて、あるいは一部を基板102を介して取り出すように構成される表示装置200について、その構造を説明する。第1実施形態で述べた構成と同一、あるいは類似する構成については説明を省略することがある。
【0046】
図12(A)に断面模式図として示す表示装置200は、LED140と対向基板150の間に反射膜170がさらに設けられている点で表示装置100と異なる。反射膜170はLED140と重なるように設けられる。反射膜170は、図12(A)に示すようにリブ160と対向基板150によって挟まれるように設けられてもよく、あるいは図12(B)に示すように隣接するリブ160の間に選択的に設けられてもよい。また、図12(C)に示すように、リブ160の側壁の全体、または一部をさらに覆うように反射膜170を形成してもよい。
【0047】
反射膜170は可視光に対する反射率が高い材料を含むことが好ましく、このような材料としてはアルミニウムや銀、これらの金属の合金が挙げられる。反射膜170は単層でも良く、異なる金属を含む膜の積層でも良い。
【0048】
反射膜170をすべての画素104上に形成することで、LED140から出射される光を反射膜170で反射させ、その結果、発光を効率よく基板102を介して取り出すことができる(図12(A)の点線矢印参照)。したがって、表示領域106において再現される映像を基板102を通して提供することが可能となり、所謂ボトムエミッション型の表示装置を構成することができる。
【0049】
反射膜170は必ずしもすべての画素104に設ける必要ななく、一部の画素104に設けてもよい。具体的には図13(A)に示すように、一部の画素104aから104cにのみ反射膜170を設け、他の画素104dから104fには反射膜170を設けなくてもよい。このような構成を採用することで、画素104aから104cによって再現される映像を基板102側に、画素104dから104eによって再現される映像を対向基板150側に提供することができる。換言すると、所謂デュアルエミッション型の表示装置を構成することができる。このため、基板102側と対向基板150側に対し、それぞれ同一の映像を提供することも可能であり、あるいは互いに異なる映像を同時に提供することも可能である。
【0050】
あるいは図13(B)に示すように、各画素104に複数のLED140を設け、各画素104内の一方のLED140を覆うように反射膜170を設け、他のLED140は反射膜170に覆われず、反射膜170から露出されるように表示装置200を構成してもよい。この場合、反射膜170が設けられないLED140と重なるように、基板102とパッシベーション膜120の間に遮光膜または反射膜を設けてもよい。このような構成を採用することで、同一の解像度を有する映像を基板102側と対向基板150側に提供することができる。
【0051】
表示装置100と同様、表示装置200においてもLED140から出射される光の一部はリブ160の表面で反射し、基板102または対向基板150から取り出される。したがって、高い効率と低い消費電力を有する表示装置を提供することができる。また、本実施形態の場合、例えば上述のマイクロLEDという極めて微小な自発光素子が高密度で配置されるよう狭ピッチで実装するため、基板102側から見る使用者にとっても、対向基板150側から見る使用者にとっても違和感のない高精細の画像を提供することができる。さらに反射膜170を基板102の全面に設けない、所謂デュアルエミッション型とすることで、視認者が基板102側から見た際に対向基板150側の背景が透けて見え、また対向基板150側から見た際に基板102側の背景が透けて見え、透過型ディスプレイとしても高精細な映像を提供することもできる。
【0052】
<第3実施形態>
本実施形態では、全体、あるいは一部が湾曲した形状を有する表示装置202について説明する。第1、第2実施形態で述べた構成と同一、あるいは類似する構成については説明を省略することがある。
【0053】
第1実施形態で述べたように、基板102と対向基板150は高分子を含むことができるため、高分子を含む基板102と対向基板150を適度な厚さ(例えば0.5mmから10mm程度)の厚さで形成することで、表示装置100に可撓性を付与することができる。
【0054】
具体的には図14(A)の断面模式図に示すように、表示装置202の基板102と対向基板150は、全体が湾曲した形状を有することができる。この場合、基板102と対向基板150の曲率に制約はなく、全体にわたって同一、あるいは実質的に同一の曲率で表示装置202を湾曲してもよく、あるいは位置によって異なる曲率を有するように湾曲してもよい。したがって、表示装置202を設ける対象物の表面の形状に適合するように曲率を決定すればよい。このため、対象物の美観に対して大きな影響を与えることなく、対象物の表面に表示機能を付与することができる。
【0055】
あるいは図14(B)の断面模式図に示されるように、表示装置202は一部が湾曲し、平坦領域202aと湾曲領域202bを併せ持つ立体形状を有してもよい。湾曲領域202bを形成する場所は任意であり、表示装置202の中央部に湾曲領域202bを形成してもよく、図14(B)に示すように両端部に湾曲領域202bを形成してもよい。
【0056】
表示装置202では、表示装置100と同様、リブ160の一部、または全体が基板102または最上位絶縁膜から離隔するように設けることができる。例えば図15(A)に示すように、リブ160の全体が基板102または最上位絶縁膜から離隔するようにリブ160を設けてもよい。この場合、基板102と対向基板150間の空間に外部から酸素や水が浸入しないよう、シーリング材162をリブ160を囲むように設けることが好ましい。表示装置202の一部が湾曲した構造を有する場合には(図15(B))、湾曲領域202bにおいてのみ基板102または最上位絶縁膜から離隔するようにリブ160を構成してもよい。
【0057】
図15(A)や図15(B)に示すように、基板102が対向基板150よりも内側に配置されるように表示装置202の一部または全体を湾曲させる場合、基板102の湾曲と同時に対向基板150に張力が印加されて引き伸ばされる。また、上述したようにリブ160は対向基板150と直接、あるいは対向基板150上に設けられる構造体のうち最も基板102に近い構造体と接するように設けられる。このため、リブ160が基板102または最上位絶縁膜に固定されている場合には、対向基板150の伸びによってリブ160に歪が生じ、リブ160、またはリブ160と接する構造体や最上位絶縁膜が破壊されることがある。これに対して、基板102や最上位絶縁膜と接しないようにリブ160を構成することで、湾曲させる領域において歪の発生を抑制することができるため、表示装置202に対する悪影響を防止することが可能となる。
【0058】
あるいは、表示装置202の端部に湾曲領域202bを設ける場合には(図14(B)参照)、第1実施形態で述べたように、平坦領域202aにおける開口160aの幅Wや長さL、あるいは隣接するリブ160間の距離は、湾曲領域202bにおけるこれらよりも小さくなるようにリブ160を構成してもよい(図7(A)参照)。あるいは、開口160aの幅Wや長さL、あるいは隣接するリブ160間の距離が基板102の中心から湾曲した端部に向かうに従って段階的にまたは連続的に大きくなるようにリブ160を構成してもよい。このようにリブ160を構成する場合、平坦領域202aに位置する一つの開口160aと重なる画素104の数は、湾曲領域202bに位置する一つの開口160aと重なる画素104の数と異なり、前者が後者よりも小さい。このように表示装置202を構成することにより、リブ160が基板102または最上位絶縁膜と固定されている場合でも、リブ160に発生する歪を低減することができる。
【0059】
<第4実施形態>
本実施形態では、表示装置100、200、202の製造方法について説明する。第1から第3実施形態で述べた構成と同一、あるいは類似する構成については説明を省略することがある。
【0060】
1.基板102
図2(A)、図2(B)に示される、バックプレーン101を構成する第1配線112や第2配線114、引出端子126、128、パッシベーション膜120、第1の層間絶縁膜122、第2の層間絶縁膜124、保護絶縁膜130は公知の方法を適用して形成することができる。また、基板102上へのLED140の配置や固定も公知の方法を適宜適用することで行うことができるので、説明を割愛する。
【0061】
2.対向基板
リブ160は対向基板150上に形成される。リブ160が有機化合物を含む場合には、対向基板150上にインクジェット法や印刷法(スクリーン印刷法やグラビア印刷法)を用いて直接リブ160を形成してもよい。あるいは、有機化合物として光硬化性を有する樹脂172をインクジェット法や印刷法を用いて対向基板150のほぼ全面に塗布し、透光部180aを有するフォトマスク180を介して露光を行い、引き続く現像を行ってリブ160を形成してもよい(図16(A)、図16(B))。この場合には、感光性を有するフィルム状の樹脂を用い、これを対向基板150に貼り付けて樹脂172を形成してもよい。なお、リブ160を形成する前に、ケイ素含有無機化合物を含むパッシベーション膜を対向基板150上に形成し、その上に樹脂172を形成してもよい。
【0062】
上述したようにリブ160の壁面に金属膜161を形成する場合には、例えば印刷法やスプレー法、あるいはインクジェット法などを利用し、リブ160が形成された対向基板150上に金属層184を形成する(図16(C))。この時、コーヒーカップ現象により、リブ160に近づくに従って厚さが増大するように金属層184が形成される。その後、隣接するリブ160の間の領域と重なる開口を有するレジストマスク(図示しない)を形成し、エッチングあるいはアッシングなどによってレジストマスクから露出した金属層184を除去することで、リブ160の壁面に金属膜161を形成することができる(図16(D))。あるいはレジストマスクを形成することなく金属層184に対してエッチングあるいはアッシングを行ってもよい。この場合、金属層184のうち厚さの小さい部分が除去され、リブ160の壁面に接する金属膜161を形成することができる。
【0063】
リブ160が金属を含む場合には、例えば対向基板150に金属板を接合することにより、またはめっき法を利用して対向基板150上に金属膜を成長させることにより金属層174を形成し、その上にレジストマスク182を形成する。このレジストマスク182をマスクとして金属層174に対してエッチング、あるいはサンドブラスト加工を行い、レジストマスク182に覆われていない部分を除去することでリブ160を形成してもよい(図17(A))。
【0064】
あるいは対向基板150上にシード層176を化学気相成長(CVD)法やスパッタリング法を用いて形成し、シード層176上にマスク178を形成する(図17(B))。シード層176はチタンやニッケル、クロム、銅、金などの金属を含むことができる。その後、シード層176に対して給電を行い、電解めっき法によってマスク178から露出されたシード層176上にリブ160を形成してもよい(図17(C))。引き続きマスク178を除去し、リブ160の一部、およびリブ160から露出したシード層176をエッチングやアッシングにより除去する(図17(D))。エッチングやアッシングは対向基板150、あるいは対向基板150上に設けられるパッシベーション膜などが露出するまで行えばよい。この時、電解めっきで形成されたリブ160の高さが減少するが、この減少量を考慮してマスク178の高さ、および電解めっきによって形成されるリブ160の高さを調整すればよい。この方法を用いる場合には、リブ160は残存するシード層176を含む構造体として認識することも可能である。
【0065】
あるいは図18(A)に示すように、対向基板150上に、リブ160を形成する領域と重なる開口を有するレジストマスク182を形成し、その後CVD法やスパッタリング法、蒸着法などを用いて金属層186を形成する(図18(B))。金属層186はレジストマスク182の開口を埋め、かつレジストマスク182と重なるように形成される。その後エッチングによってレジストマスク182を除去することでレジストマスク182上に形成される金属層186が同時に除去される(リフトオフ)。その結果、残存する金属層186がリブ160として対向基板150上に形成される(図18(C))。
【0066】
反射膜170を設ける場合には(図12(A)参照)、印刷法やスプレー法、あるいはインクジェット法などを用い、リブ160が形成された対向基板150上に金属層184を形成し(図16(C))、この金属層184を反射膜170として直接利用してもよい。あるいは、図示しないが、CVD法やスパッタリング法、印刷法、インクジェット法などを用いて金属を含む反射膜170を対向基板150上に形成し、その後、反射膜170をレジストマスクで覆い、反射膜170をシード層176として用いて電解めっき法によりリブ160を形成してもよい(図17(B)、図17(C)参照)。
【0067】
対向基板150に可撓性を有する材料を用いる場合には、例えばガラスや石英を含む支持基板(図示しない)に対向基板150を接合する、あるいは支持基板上に第1実施形態で例示した樹脂を塗布・硬化して対向基板150を形成する。その後、対向基板150上にリブ160を形成した後に支持基板を剥離して取り除くことで、可撓性を有する対向基板150とその上に設けられるリブ160が得られる。
【0068】
リブ160を形成した後、リブ160やLED140が基板102と対向基板150に挟まれるように基板102と対向基板150を互いに貼り合わせ、固定する(図19)。シーリング材162を設ける場合には(図9(A)参照)、基板102、または対向基板150上に感光性を有する樹脂を配置し、基板102と対向基板150を貼り合わせた状態で樹脂を露光・硬化することでシーリング材162を形成することができる。充填剤164を設ける場合も同様であり、基板102、または対向基板150上に感光性を有する樹脂を滴下し、基板102と対向基板150を貼り合わせた状態で樹脂を露光して硬化すればよい。
【0069】
以上のプロセスにより、表示装置100や200、202を製造することができる。
【0070】
上述したように、バックプレーン101を構成する種々の配線や絶縁膜、およびこれらの上に配置されるLED140は、公知の方法を適用することで形成、配置することができる。したがって本発明の実施形態では、既存の製造設備を利用し、公知の技術を利用することで表示装置100や200、202を製造することができる。このことは、製造コストの低減に寄与する。
【0071】
また、リブ160は基板102上ではなく対向基板150の上に形成され、その後基板102と対向基板150が固定される。したがって、リブ160の形成時において、基板102上に形成された配線や絶縁膜、LED140に対し、リブ160の形成条件は影響を与えない。換言すると、バックプレーン101を作製するためのプロセスを考慮することなくリブ160の形成方法や条件、材料などを選択・設定することができるため、製造プロセスを選択する自由度が高い点も本発明の実施形態の特徴である。また、リブ160の形状や配置が異なる場合でも、バックプレーン101は共通化できるため、例えば表示型式(ボトムエミッションかデュアルエミッション)の選択などもリブ160を適宜設計するだけで行うことが可能である。
【0072】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0073】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0074】
100:表示装置、101:バックプレーン、102:基板、104:画素、104a:画素、104b:画素、104c:画素、104d:画素、104e:画素、104f:画素、106:表示領域、108:走査線駆動回路、110:信号線駆動回路、112:第1配線、114:第2配線、116:回路基板、120:パッシベーション膜、122:第1の層間絶縁膜、124:第2の層間絶縁膜、126:引出端子、128:引出端子、130:保護絶縁膜、132:導電剤、136:封止膜、140:LED、142:積層体、144:電極、146:電極、148:共通電極、150:対向基板、160:リブ、160a:開口、160b:リブ、160c:リブ、160d:リブ、162:シーリング材、164:充填剤、166:遮光膜、168:カラーフィルタ、170:反射膜、172:樹脂、174:金属層、176:シード層、178:マスク、180:フォトマスク、182:レジストマスク、184:金属層、186:金属層、200:表示装置、202:表示装置、202a:平坦領域、202b:湾曲領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19